科研費 - 丸山 彰一
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特発性巣状分節性糸球体硬化症の腎糸球体蛋白透過性亢進因子の分子同定
研究課題/研究課題番号:24K22119 2024年6月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
丸山 彰一, 秋山 真一
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
本研究では、「特発性の巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」の病態理解と新規診療技術の開発に向けて、過去の知見から患者血中にその存在が確実視されている特発性FSGSの蛋白 透過性亢進因子(液性病因)の同定に挑戦する。本研究では、研究代表者らが独自開発した“蛋白尿可視化透明ゼブラフィッ シュによるネフローゼ症候群惹起分子評価系”をコア技術として、患者血液に含まれる膨大な種類の生体分子から特発性FSGSの液性病因の検索・同定を目指す。本研究は魚類を用いる点でユニークであるが、腎臓や免疫系の進化的な 種差を考慮しても非現実的なアプローチでは決して無く、むしろゲームチェンジャーになると期待できる。
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ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞を用いた、新規腎疾患治療法 の臨床応用を目指す研究
研究課題/研究課題番号:24K11429 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
田中 章仁, 丸山 彰一, 古橋 和拡
担当区分:研究分担者
MSCは様々な疾患に対する治療効果が示されている。当研究室では、MSCが動物モデルにおいて腎炎を改善させることを示してきた。しかし、MSCの課題も浮き彫りになってきた。本課題では、iPS細胞から分化誘導したMSCを腎疾患に対して投与し、治療効果が安定して高いことを確認し、MSCの欠点を克服できていることを裏付ける。さらに治療効果を高める操作を加え、これまでのMSCよりも、腎炎に対して格段に高い治療効果を得る。さらにその優れた治療効果が大動物でも認められることを検証する。
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研究課題/研究課題番号:24K11417 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
平山 明由, 丸山 彰一
担当区分:研究分担者
エクソソーム(直径50~150 nm)に代表される細胞外小胞は、血管新生、免疫抑制、遠隔転移をはじめとして多くのがんの進展に関与することが知られている。これまで、細胞外小胞内のDNA、mRNA、miRNAやタンパク質などの分子に関しては精力的に研究が行なわれてきたものの、代謝物に関してはほとんど手付かずの状態であった。
本研究の目的は、ヒトの血液及び尿中に含まれる細胞外小胞のメタボローム解析を実施することにより、細胞外小胞中に内包されている低分子プロファイルの全容を明らかにするとともに、リキッドバイオプシーに基づく新規バイオマーカーを開発することである。 -
糸球体周囲マクロファージは基底膜を貫く樹状突起によりポドサイト恒常性を維持する
研究課題/研究課題番号:22K19523 2022年6月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
古橋 和拡, 丸山 彰一, 田中 章仁
担当区分:研究分担者
本研究では、通常の組織学的観察で見出せず、最新のイメージング技術である生体顕微鏡・臓器透明化を用いることで初めて観察することができたマクロファージのユニークな構造と細胞間networkに関して、その生物学的意味を解明する。独自に開発した生体顕微鏡技術・組織固定技術・組織透明化技術を融合することで、本課題の科学的問いは初めて解決することができるため、独自性の高い挑戦的な研究である。本課題は組織幹細胞niche研究に細胞形態学・細胞動態学を取り入れた新たな研究フィールドを創生し、細胞形態に関わる蛋白を治療ターゲットとした新たな治療法へと発展させ、ポドサイト再生に関わる因子の同定することを目指す。
我々は、通常の組織学的観察で見出せず、生体顕微鏡を用いることで『糸球体周囲マクロファージが糸球体の外からボウマン嚢基底膜を貫いて、まるでボウマン腔内に“橋”をかけるようにポドサイトに到達している』という現象を世界ではじめて見出した。マクロファージが形成するユニークな樹状突起の生物学的意味として、『糸球体周囲マクロファージはボウマン腔内およびポドサイトの状況を感知することで、ポドサイト前駆細胞の増殖・分化を調整し、糸球体の恒常性を維持する』という新概念の検証を行った。
本研究では、通常の組織学的観察で見出せず、最新のイメージング技術である生体顕微鏡・臓器透明化を用いることで初めて観察することができたマクロファージのユニークな構造と細胞間networkに関して、その生物学的意味を解明する。独自に開発した生体顕微鏡技術・組織固定技術・組織透明化技術を融合することで、本課題の科学的問いは初めて解決することができるため、独自性の高い挑戦的な研究である。本課題は組織幹細胞niche研究に細胞形態学・細胞動態学を取り入れた新たな研究フィールドを創生し、細胞形態に関わる蛋白を治療ターゲットとした新たな治療法へと発展させ、ポドサイト再生に関わる因子の同定へ発展させる。 -
間葉系幹細胞カラムとiPS細胞・遺伝子編集技術を融合した新規治療システム
研究課題/研究課題番号:23K24348 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
古橋 和拡, 高須 正規, 平山 明由, 鈴木 洋, 丸山 彰一, 田中 章仁, 森 崇
担当区分:研究分担者
間葉系幹細胞(MSC)は、障害部位の炎症強度に応じた免疫・炎症制御が可能なことから、副作用の少ない次世代の炎症制御療法として期待されているが、循環動態が悪い際の経静脈的な細胞投与は細胞塞栓の危険がある。この問題を解決するため、我々は既に細胞を投与しない新たな治療法システムとして間葉系幹細胞中空糸膜カラム(MSCカラム)を開発し、動物急性腎障害モデルで高い治療効果を確認している。
本課題では、自身のこれまでのMSC研究と開発を進めるMSCカラムを融合することで、新たな治療システムを開発することを目的とする。 -
aHUS早期診断及び抗補体薬の適応判断に必要な補体機能検査開発
研究課題/研究課題番号:22K08349 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
加藤 規利, 前田 佳哉輔, 丸山 彰一, 水野 正司, 古橋 和拡, 小杉 智規
担当区分:研究分担者
aHUSは血液中ではなく、血管内皮細胞膜上での無秩序な補体活性化が問題であり、単純な採血で評価できないところに検査開発の難しさがある。我々は、2020年より開始したaHUS全国調査研究で登録のあった症例の血漿から、細胞外小胞(Exosomes)を精製し、Exosomes上の補体関連タンパクを測定し、細胞膜上の補体活性を評価する。またex vivoでaHUS患者の血漿と血管内皮細胞株との反応系にエクリズマブを添加することにより、実際に薬剤を投与する前に、治療反応性を見極める。
我々は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の疾患事務局を、2020年より東京大学から引き継ぎ、医療施設からの症例相談を受けるとともに、奈良県立医科大学にて開発されたヒツジ赤血球溶血試験(補体機能検査)や、抗H因子抗体(抗CFH抗体)価を測定するなどして研究、臨床の両面から知見を蓄積してきた。2020年度は62症例の臨床相談を受け、91検体の解析を行った。2021年度は65症例の臨床相談を受け、81検体の解析を行った。そして本研究を開始した2022年度は73症例の相談、85検体の解析を行った。2023年度は10月までに64症例の相談、66検体の解析を行った。
当方で53例のaHUSの診断に至り、うち補体関連遺伝子の病的バリアント保有例は26症例、病的バリアント未検出は20症例、未検査7症例であった。病的バリアント保有割合は57%(26/46)という数字は、過去の報告と同等な値で、概ね妥当な数値と考えられる。
26症例の病的バリアントの内訳は、CFH:9例、C3:12例、CD46:3例、CFI:2例(1例のC3, CD46重複例を含む)であった。世界的にはCFHの病的バリアント保有例の割合が高いが、本邦ではC3、特にC3 I1157Tバリアントの割合が高いことは、既に報告(Clin Exp Nephrol . 2018 Oct;22(5):1088-1099.)があり、同じ傾向であった。
上記の様に、疾患の概要、特に本邦における特徴が明らかになっている。我々は非典型溶血性尿毒症症候群全国調査研究とリンクして、既存のヒツジ赤血球溶血試験のさらなる解析をすすめるとともに、治療法の開発は進んでいるが早期に診断する検査法がない問題点を解決するべく、新規のaHUS診断法を開発している。
aHUSは希少疾患であり、本研究(非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)全国調査研究)は、現在日本で行われているaHUSの最大のコホート研究であると言える。上述のように53症例の診断に寄与してきた実績があり、本年度の症例数も例年と同じ水準~やや多めの数を記録している。aHUSのみならず他のTMA(STEC-HUS, TTP, 二次性TMA)の症例も含まれていることが、本コホート研究の強みである。つまり、aHUSの診断に寄与する検査方法を、他のTMAを引き起こす疾患と比較することができる。
血漿中のC5b-9の値は補体活性化の最終経路を反映するものであり、aHUS症例で上昇するものの、STEC-HUS及びTTP、また二次性TMAの一部でも上昇する結果となった。これは、補体第2経路以外によっても最終的には補体最終経路を活性化するため、aHUSのような補体第2経路の異常な活性化以外の疾患においても、二次的に古典経路、レクチン経路など第2経路以外の経路から補体が活性化してしまえば、C5b-9が上昇してしまうこととなる。一方でC3bに関しては、古典経路、レクチン経路からも生成される補体成分であるが、第2経路の活性化によって血清中のC3が低下することでわかるように、第2経路のみに存在する増幅回路によって、他の経路よりもC3の消費が激しく、それによりC3bの生成が多いことが示唆される。よって最終経路を測定するよりも、第2経路を観察するにはC3bにまつわるコンポーネントを測定するほうが望ましいと考えられた。引き続き症例を重ねてデータを収集し、最終年度での報告につなげたい。
aHUS疾患事務局の活動をベースに、同意の得られた検体を用いて解析を進めていく。名古屋大学医学部腎臓内科のホームページにおいて事務局の活動を報告、案内するとともに、学会等で成果を報告していく。
エクソソームを用いたaHUS診断に関しては、知財取得に務めた上でデータの蓄積をすすめ、解析を行う。
血管内皮細胞を用い、フローサイトメトリーでの解析に関しては、ヒツジ赤血球溶血試験に次ぐ補体機能検査としての可能性を持っており、症例数を増やしたうえで解析を進め、論文化につなげていく予定である。 -
間葉系幹細胞カラムとiPS細胞・遺伝子編集技術を融合した新規治療システム
研究課題/研究課題番号:22H03087 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
古橋 和拡, 高須 正規, 平山 明由, 鈴木 洋, 丸山 彰一, 田中 章仁, 森 崇
担当区分:研究分担者
これまでの間葉系幹細胞(MSC)研究を通して、臨床応用時の問題点の解決と治療特性に関わる作用機序について解明を進めてきた。循環動態が悪い際の経静脈的な細胞投与は細胞塞栓の危険があり、この問題を解決するために、新たな治療装置としてMSCカラムの開発を進めている。さらに、細胞ソースの問題を解決するため、iPS細胞からMSCを作成する研究を進めている。
本課題では、iPS細胞、MSCカラム、解明した治療機序を融合した新規治療システムを開発し、将来的に遺伝編集技術・細胞治療が新たに創生する治療フィールドを見据えた基盤技術へと発展させる。 -
慢性腎臓病患者における生体内細菌叢をターゲットにした新規抗老化療法の開発
研究課題/研究課題番号:22K08328 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
加藤 佐和子, 丸山 彰一, 今泉 貴広, 小杉 智規
担当区分:研究分担者
慢性腎臓病(CKD)患者の表現系は老化に見られる諸変化に酷似している。通常の維持血液透析患者(従来透析)と長時間透析患者、保存期腎不全患者は、尿毒症にさらされている強度や条件が異なる。尿毒症存在下において、どのような外的・内的環境負荷(Allostatic load)が免疫学的変調と慢性炎症をきたし、Microbiomeの変調をきたすのか、老化の指標となる遺伝子保護の不調(テロメア消耗)に関与しているか解析し、実際の心疾患、感染症、死亡率と比較することにより、腸内細菌叢の改善をターゲットとしたCKD患者の新規治療戦略の構築を目指すものである。
登録状況は順調である。NICE-GENEコホート研究では現在までに約300名の登録、 RRTRコホート研究では約200名の登録(全体で約300名登録のうち長時間透析200名)、N-KDRGでは約100名の登録が達成されている。環境因子(allostatic load)の情報収集については、患者背景・臨床情報(腎機能、炎症、栄養状態、心不全、および動脈硬化指標等)に加えて、老化の表現系であるフレイルの評価項目に基づき、体組成分析・身体機能・身体活動量・精神状態に関するデータ収集を開始した。特に、長時間透析とリンと生命予後<4.5-6.0<の3群にわけて評価したところ、有意差はないが、4.5-6.0を基準値として、低くても高くてもHazard riskが高いことがわかった。さらに、InBodyで体組成を評価し筋肉量などについても収集することとした。
今後、社会因子としての経済指標や医療リテラシーに関する指標、介護度なども収集可能か検討している。
循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析については、NICE-GENEコホート研究における腸内細菌叢の変調の予備解析から、尿毒症などから惹起される酸性環境により炎症性の負担が増加することが一因で起こる腸内細菌叢の変調ではないかと推察した。 さらに、過去の報告と比較検討しこの腸内細菌叢の変調に推測される状況について、我々のコホートでの事例と合致するか検討を進める方針である。
国際共同研究施設であるカロリンスカ研究所、グラスゴー大学とは、COVID19パンデミック下、著しく交流が疎になっていたが、今後、国際学会などの機会を通じて情報交換を行い、循環白血球内のMicrobiomeの変調についてさらなる詳細な解析を行えるよう検討を継続していく。
すでに開始してるコホート研究の患者登録については順調であるものの、循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析については、すでに我々が予備解析に使用した健常人サンプルが、腎臓病患者サンプルと年齢構成があまりに異なり、検体数も少数であったため、比較検討がむずかしいことがわかった。
腸内細菌叢の変調と細胞老年マーカーについて、テロメア長との検討を予定していた。しかしながら、共同研究者グラスゴー大学のProf. Paul Shielsより、我々が今まで行ってきたテロメア測定法によるテロメア長の解析よりCDKN2Aの評価のほうが、細胞老化を検討するにはSensitiveではないかとの指摘をいただき、予算やサンプルのクオリティも含めて実施可能か検討しているが、あまり進展はなかった。
NICE-GENEコホート研究、RRTRコホート研究、N-KDRG研究いずれも、患者登録、サンプル収集、臨床情報収集を継続する。慢性腎臓病の初期の患者、さらに慢性腎臓病をきたしうる危険因子を持つ患者についても検討できると、慢性腎臓病の発症、進展、末期腎不全となってからの合併症にいたるまで、患者生涯をカバーするserialな経過を追うことができる。これが可能であれば、慢性腎臓病患者の老化を解明する当研究において研究目的を解明するために有用であると考えられる。
また、循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析については、細菌叢の変調は予想より多彩であった。細菌叢の変調の解釈についてすでに確立されたものが少なく、患者の表現系にどのように影響しているかについて報告するのに注意が必要であり、過去報告や共同研究機関でのデータとも比較し検討を続けていく。
海外の研究者の興味は、日本人の慢性腎臓病患者の生存を含めた治療成績が欧米に比し良好であることが、日本食に起因しているのではないかというClinical Questionに基づいており、可能であれば食事に関する(とくに日本独特の発酵食品や魚介類の摂取)について追加情報を取得できないか検討していく方針である。 -
ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞を用いた新規腎疾患治療法の開発
研究課題/研究課題番号:21K08253 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
田中 章仁, 石本 卓嗣, 丸山 彰一, 古橋 和拡
担当区分:研究分担者
間葉系幹細胞(MSC)は様々な疾患に対する治療効果が示されている。しかし、MSCは品質のばらつきがあるため、治療効果の担保が大きな問題となっている。本課題では、iPS細胞からMSCを分化誘導し、腎炎に対する治療効果が安定して高いことを確認し、MSCの欠点を克服する。さらに治療効果を高める操作を加え、これまでのMSCよりも、腎炎に対して各段に高い治療効果を得る。最終的には、既存の治療法を凌駕する、難治性腎疾患に対する全く新しい細胞治療を確立する。
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間葉系幹細胞の微小環境での炎症制御機構に着眼した次世代型免疫・炎症制御法の創成
研究課題/研究課題番号:21H04824 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
丸山 彰一, 古橋 和拡, 杉浦 悠毅, 平山 明由, 榎本 篤, 田中 章仁, 石本 卓嗣, 秋山 真一
担当区分:研究代表者
配分額:43030000円 ( 直接経費:33100000円 、 間接経費:9930000円 )
既存の免疫抑制薬は過剰免疫抑制による感染症などの副作用が問題となっている。間葉系幹細胞(MSC)は、障害部位の炎症強度に応じた自律的かつ局所での炎症制御が可能なことから、次世代の免疫制御療法として期待されている。しかし、その作用機序は十分解明されておらず、その実用化に際しては課題が多い。新概念として『障害部位に到達したMSC由来細胞外小胞が炎症細胞から放出される炎症性物質と微小空間で会合した時にのみ免疫抑制物質が生成されて局所での抗炎症作用が出現する』という着想に至った。本研究では、この新概念を検証して、効果的で安全な次世代型免疫・炎症制御療法の開発に取り組む。
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日本の一次性膜性腎症における新規責任抗原の同定と臨床実態および病態機序の解明
研究課題/研究課題番号:21K08227 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
秋山 真一, 丸山 彰一
担当区分:研究分担者
成人の一次性ネフローゼ症候群の主要な原疾患である一次性膜性腎症の診療では、近年、責任抗原に対する自己抗体を指標にした新しい診療技術が開発され、血液検査で鑑別診断および免疫的病勢評価が可能になりました。しかし、日本人の一次性膜性腎症患者の45%は責任抗原が未だ不明なため、自己抗体を指標にした新しい医療技術を受けられずにいます。
そこで、本研究では、日本人一次性膜性腎症患者の未知の責任抗原を一つでも多く解明して、最終的には、日本人の一次性膜性腎症患者の大半で自己抗体を指標にした新しい診療技術が実現することを目差します。 -
特異的な間葉系幹細胞マーカーMeflinを介した腎線維化の機序解明と治療法の開発
2020年4月 - 2023年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
齋藤 尚二
担当区分:研究分担者
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特異的な間葉系幹細胞マーカーMeflinを介した腎線維化の機序解明と治療法の開発
研究課題/研究課題番号:20K08589 2020年4月 - 2023年3月
齋藤 尚二
担当区分:研究分担者
1)Meflinの正常腎ならびに疾患モデルマウスにおける発現を正常マウスならびにMeflinノックアウトマウスを用いて解析する
2)Meflin陽性細胞の腎線維化に関する役割をMeflin-CreERT2;Rosa26-LSL-tdtomatoマウスを用いて経時的・空間的に系譜追跡し解明する
3)Meflin-ZsGreen-DTR-Creマウスを用いてMeflin陽性細胞を消去し、その役割を解明する
4)Meflinの発現を誘導することにより、腎線維化進展や臓器不全の予防につながる治療法を開発する -
メタボローム解析を活用した腎血漿流量とより正確な糸球体濾過量推算式の開発
研究課題/研究課題番号:20H03575 2020年4月 - 2023年3月
安田 宜成
担当区分:研究分担者
腎血行動態評価には腎血漿流量(RPF)測定が必要だが腎専門施設でも検査が出来ない。また筋肉量が標準と大きく異なる患者の糸球体濾過量(GFR)評価法は未確立である。
そこで本研究ではメタボロミクスと既存データベース・検体バイオバンクを駆使し、新規のGFR・RPFバイオマーカーを探索し、日常診療で活用できるRPF推算式を作成し、フレイルなど筋肉量が極度に低下した患者の正確なGFRを評価法を開発する。 -
蛋白尿可視化透明モデル動物による特発性巣状分節性糸球体硬化症の液性病因の解明
研究課題/研究課題番号:19K22618 2019年6月 - 2022年3月
挑戦的研究(萌芽)
丸山 彰一
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の患者血液に含まれるとされる蛋白尿惹起性液性病因を同定するために、FSGS患者の血清分画液および標品を、ネフローゼ症候群を可視化した透明ゼブラフィッシュに投与してWhole animal in vivo screening assayを実施して、蛋白尿を惹起する画分や成分をスクリーニングする。特発性FSGSの液性病因を同定できれば、血液検査による腎移植前適合性評価だけでなく、早期鑑別診断や治療有効性評価に向けたブレークスルーとなり、本研究の挑戦の意義は大きい。
本研究では、患者血中にその存在が確実視されている特発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の透過性因子について、研究代表者らが開発した透明ゼブラフィッシュによるネフローゼ症候群モデル実験系を用いて解明を試みている。
研究1年目の進捗は以下の通りである。まず、研究基盤の準備として実験ツールとなる透明ゼブラフィッシュとして旧来のモデルに加えて尿細管上皮、ポドサイトおよび血管内皮細胞が蛍光タンパク質で可視化された系の作出に取り組んだ。また、ネフローゼ症候群を可視化評価するために旧来の蛍光標識デキストランを血中投与する実験系に加えて蛍光タンパク質を血中に発現させる実験系の構築にも取り組んだ。これらの作出されたモデルフィッシュに既知の腎毒性物質を投与して蛋白尿の漏出や尿細管上皮の脱落が生じることを確認した。次に、FSGS患者の血中に含まれることが想定される透過性因子の探索源として、FSGS患者血清およびLDLアフェレーシスカラムに吸着した血清由来成分に着目し、採取、抽出および分画に取り組んだ。LDLアフェレーシスカラムに吸着した血清由来成分には脂質が多く含まれる一方でタンパク質やその他の成分が得られた。これらの手技確立を通じて実験基盤の構築が完了した。続いて、患者選定を行った。特発性FSGS患者の中でも病型によって病勢や予後が異なることが知られていることから、より病勢の強い病型を有する患者に注目して解析を進めることにした。
研究1年目において当初の計画に沿って実験モデル動物の準備、評価手法の確立、検体採取法の確立ができた。
LDLアフェレーシスカラム吸着物および患者血清の分画成分を実験モデル動物に投与して、ネフローゼ症候群の発生を評価項目としてFSGSの透過性因子を含む画分のスクリーニングを進める。 -
慢性腎臓病患者における腸内細菌叢の変化とその改善による新規治療戦略の開発
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
加藤 佐和子
担当区分:研究分担者
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致死性血栓症における補体3型受容体の機能解明
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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白血球・血管内皮細胞発現タンパクに着目した腎糸球体血管内皮障害特異的診断法開発
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
坪井 直毅
担当区分:研究分担者
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補体活性と糖鎖異常に着目した二次性血栓性微小血管症(TMA)の病態解明
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
勝野 敬之
担当区分:研究分担者
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間葉系幹細胞治療における現在の問題点を解決する新たな細胞治療用カラムの開発
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
古橋 和拡
担当区分:研究分担者