科研費 - 塩川 和夫
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国際地上観測網と人工衛星観測・モデリングに基づくジオスペース変動の国際共同研究
研究課題/研究課題番号:22K21345 2022年12月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際先導研究)
塩川 和夫, 三好 由純, 小川 泰信, 横山 竜宏, 吉川 顕正
担当区分:研究代表者
配分額:689000000円 ( 直接経費:530000000円 、 間接経費:159000000円 )
地球のまわりの宇宙空間(ジオスペース)は、太陽から常に吹き付けている太陽風や下層大気から伝わってくる大気波動によって、常に大きく変動している。本研究では、日本が保有する国際地上多点ネットワーク観測網と欧米の最新の科学衛星による観測・グローバルなモデリングを組み合わせ、ジオスペース変動研究とその予測のさらなる国際化・高度化をはかり、安全・安心な宇宙利用に貢献する。また、若手研究者や大学院生を本研究に参加させることにより、地上観測・衛星観測・モデリングを組み合わせた研究を通して将来のジオスペース研究開発の中核を担う研究者・技術者を育成し、この分野の国際共同研究の中長期的な発展につなげていく。
・本事業の参画機関が保有・参加するグローバルで総合的な国際地上観測ネットワークによるジオスペース・地球大気の観測を維持・継続し、国際共同研究のための観測データを取得した。この観測との比較のために、海外共同研究者であるドイツのStolle教授、米国のKistler教授・Lu博士らと打合せを行い、彼らが開発・運用する欧米の人工衛星やモデリング、日本のあらせ衛星等と組み合わせた国際共同研究を立ち上げつつある。これらを通して、地球大気の変動がジオスペースにどのように影響を及ぼすか、ジオスペースの変動が地球大気にどのように影響を及ぼすか、という2つの大きな学術的問いに迫っていく。
・多種多様な地上・衛星観測データやモデリングデータを統一して比較するために、各種データのデータベースを構築するとともに、それらを統合的に解析することを可能にする統合解析ツールの開発を、IUGONETや名古屋大学の統合データサイエンスセンターと連携して行った。これらのデータベースやツールは、国内外の研究者に広く公開され、より広範な国際共同研究の推進に貢献していく。
・本研究の人材育成として、若手研究者・大学院生を本研究に参加させる。次年度から研究アシスタントとして雇用する博士後期学生の選考を行った。今後、これらの若手研究者や大学院生を海外Co-Iや海外研究協力者の研究機関に滞在させることで、地上のみならず衛星観測とモデリングという異なる視点から研究課題にアプローチできる広い視野を持って自立した研究者を育成していく。国際組織SCOSTEP等と連携し、5月にイタリアのトリエステで開催する国際スクールの参加者募集と講師の選定を行った。SCOSTEPと連携して、海外機関に所属している大学院生を令和5年度日本に招聘するための選考を行った。
研究実績の概要に記したように、令和4年12月に本事業が採択されてから、本事業の参画機関が保有・参加するグローバルで総合的な国際地上観測ネットワークによるジオスペース・地球大気の観測を維持・継続し、国際共同研究のための観測データを取得した。この観測との比較のために、海外共同研究者であるドイツのStolle教授、米国のKistler教授・Lu博士らと打合せを行い、彼らが開発・運用する欧米の人工衛星やモデリング、日本のあらせ衛星等と組み合わせた国際共同研究を立ち上げつつある。また、これらの多種多様な地上・衛星観測データやモデリングデータを統一して比較するために、各種データのデータベースを構築するとともに、それらを統合的に解析することを可能にする統合解析ツールの開発を、IUGONETや名古屋大学の統合データサイエンスセンターと連携して行っている。また、本研究の人材育成として、若手研究者・大学院生を本研究に参加させるために、次年度から研究アシスタントとして雇用する博士後期学生の選考を行った。さらに、国際組織SCOSTEP等と連携し、5月にイタリアのトリエステで開催する国際スクールの参加者募集と講師の選定を行った。また、SCOSTEPと連携して、海外機関に所属している大学院生を令和5年度日本に招聘するための選考を行った。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
令和5年度以降は、以下の推進方策で本研究を進める。
・本事業の参画機関が保有・参加するグローバルで総合的な国際地上観測ネットワークによるジオスペース・地球大気の観測を維持・継続し、太陽活動極大期に向かって活発化しつつあるジオスペース変動について、国際共同研究のための新しい観測データを取得する。この観測との比較のために、海外共同研究者であるドイツのStolle教授、米国のKistler教授・Lu博士らと緊密に連携し、彼らが開発・運用する欧米の人工衛星やモデリング、日本のあらせ衛星等と組み合わせた国際共同研究を推進する。これらを通して、地球大気の変動がジオスペースにどのように影響を及ぼすか、ジオスペースの変動が地球大気にどのように影響を及ぼすか、という2つの大きな学術的問いに迫っていく。
・多種多様な地上・衛星観測データやモデリングデータを統一して比較するために、引き続き、各種データのデータベースを構築するとともに、それらを統合的に解析することを可能にする統合解析ツールの開発を、IUGONETや名古屋大学の統合データサイエンスセンターと連携して行う。これらのデータベースやツールは、国内外の研究者に広く公開し、より広範な国際共同研究の推進に貢献していく。
・本研究の人材育成として、若手研究者・大学院生を本研究に参加させる。このため、研究アシスタントとして雇用する博士後期学生やポスドク研究員の選考を行った。今後、これらの若手研究者や大学院生を海外Co-Iや海外研究協力者の研究機関に滞在させ、地上のみならず衛星観測とモデリングという異なる視点から研究課題にアプローチできる広い視野を持って自立した研究者を育成していく。国際組織SCOSTEP等と連携し、スペインやナイジェリアなどで国際スクールを開催する。また、SCOSTEPと連携して、海外機関に所属している大学院生を日本に招聘する。 -
青いオーロラの高分解能分光観測に基づく地球大気の窒素分子イオン流出の計測
研究課題/研究課題番号:21K18651 2021年7月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
塩川 和夫, 大山 伸一郎, 小川 泰信
担当区分:研究代表者
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
極域のオーロラでは、その上辺が青く光ることがある。この青いオーロラは、窒素分子イオンが高い高度まで上昇し、薄明の太陽光を共鳴散乱して光っていると考えられてきた。しかし質量の重い窒素分子イオンがなぜ高い高度に上昇するか、その機構はよくわかっていない。本研究では、高高度で発光する青いオーロラを、ファブリ・ペロー干渉計を用いて世界で初めて高分解能分光することにより、発光している窒素分子イオンの上昇速度を計測し、高高度の青いオーロラ発光の発生メカニズムを探る。さらに、青いオーロラ発光の分光計測というこれまで行われなかった新しい手法で、地球大気の宇宙空間への流出過程の解明にも貢献する。
・令和3年度は、研究代表者・分担者(塩川・大山)がノルウェー・トロムソ観測点で運用しているファブリ・ペロー干渉計(FPI)で波長427.8nmの青いオーロラ発光を観測できるように、この波長のみを透過するバンドパスフィルターを米国のフィルター製造会社から購入した。
・コロナウイルスの拡大のために現地に行ってこのフィルターを設置することができなかったため、以前からFPIに装着している波長732nmの酸素原子イオンの発光を観測するフィルターを使って、酸素原子イオンの干渉フリンジの計測を令和3年度後半の9-12月に実施した。この中で、特に令和3年9月28日、9月30日のデータを詳細に解析し、干渉フリンジがイオンのdoublet構造により2重になっていることを確認するとともに、鉛直方向のイオンの速度を求めた。今後、さらに他の日のデータも解析し、酸素原子イオンの動きの速度の日による違いを決定していく。
・電離圏・磁気圏の分子イオンの人工衛星による観測の過去の論文をレビューし、これまでに得られている知見をまとめて、今回の観測の新規性をよりはっきりさせた。
コロナウイルスの拡大のために、ノルウェー・トロムソの現地に行くことができず、新たに購入した427.8nmのフィルターをFPIに装着して観測を実施することができていない。代わりのフィルターで酸素原子イオンの観測を行っているが、当初目的である窒素分子イオンはまだ観測できていない状況である。
R4年度には、昨年度に購入した427.8nmを9-12月のどこかでノルウェー・トロムソのFPIに装着し、窒素分子イオンの観測を開始する。また、すでに観測データを得ることができた酸素原子イオンのデータを解析し、日ごとの違いやオーロラとの対応関係を明らかにして、結果を研究会等で発表していく。 -
地上多点ネットワークに基づく超高層大気変動の緯度間結合の観測的研究
研究課題/研究課題番号:21H04518 2021年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
塩川 和夫, 西谷 望, 大山 伸一郎, 横山 竜宏, 大塚 雄一, 藤本 晶子, 野澤 悟徳, 吉川 顕正, 能勢 正仁
担当区分:研究代表者
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
地球周辺の宇宙空間のプラズマは磁力線に沿って地球の極域に流れ込み、オーロラに代表される極域の超高層大気の擾乱を引き起こし、さらに中緯度から赤道域に広がっていく。本研究では、既存のアジア域の地上観測ネットワークに加えて、北欧からアフリカ赤道域に至る緯度方向に、夜間大気光を撮像する高感度全天カメラによる地上観測ネットワークを新たに構築し、極域から赤道への超高層大気変動の伝搬過程を2つの経度で同時に測定する。これに人工衛星による観測やモデリングを組み合わせ、極域から赤道域への超高層大気・電磁場変動の発生・伝搬メカニズムとその経度・地方時による拡がりや違いを明らかにする。
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最新の複数衛星・地上観測に基づく地球電磁気圏の電磁波動とプラズマの相互作用の研究
研究課題/研究課題番号:21F21023 2021年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
塩川 和夫, KIM HYANGPYO
担当区分:その他
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地上多点ネットワーク観測による内部磁気圏の粒子・波動の変動メカニズムの研究
研究課題/研究課題番号:16H06286 2016年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 特別推進研究
塩川 和夫, 西谷 望, 関 華奈子, 大山 伸一郎, 大塚 雄一, 田中 良昌, 尾崎 光紀, 能勢 正仁, 片岡 龍峰, 三好 由純
担当区分:研究代表者
配分額:488930000円 ( 直接経費:376100000円 、 間接経費:112830000円 )
・本事業で各観測点に設置されたVLFアンテナ、誘導磁力計、高感度全天カメラ、リオメータ、EMCCDカメラや、平成28年12月に打ち上げられたあらせ衛星、本事業で開発されているモデリングなどを通じ、令和元年度には38件の査読付き論文を国際学術誌に出版した。代表的な成果は以下が挙げられる。
・ロシアのZhigansk観測点や米国のRBSP衛星における観測、モデル計算を組み合わせて、電磁イオンサイクロトロン波動(EMIC波動)が数百keVという従来考えられているよりも低いエネルギー範囲の放射線帯電子の消失に貢献していることを明らかにした。また、アラスカのGakona観測点のEMCCDカメラで高速撮像された脈動オーロラと、あらせ衛星で観測された磁気圏ELF/VLF波動(コーラス波動)の明滅の1対1対応を見出し、秒以下の時間スケールのオーロラの脈動が、コーラス波動の微細構造によって作られていることを世界で初めて明らかにした。さらにフィンランドのKannuslehto観測点とあらせ衛星で同時観測された磁気圏ELF/VLF波動を詳細に解析し、磁気圏赤道面における地球磁場の曲率が、ここで生成される波動の特性を大きく左右していることを明らかにした。これらの電磁波動の衛星ー地上観測の成果は、人類の宇宙利用の脅威となる放射線帯粒子の生成・消失の機構の解明につながる重要な成果である。
・ノルウェーのトロムソ観測点で得られた熱圏風のデータ解析から、オーロラサブストーム開始前後の熱圏風の変動や地磁気静穏時の熱圏風の動態を明らかにした。また、北欧と南極昭和基地の大型レーダーとあらせ衛星の同時観測により、高エネルギー粒子の降込みに伴う中間圏レーダーエコーの発生を見出した。これらの観測は、宇宙空間からの高エネルギープラズマ粒子の流入に対する地球大気の応答を明らかにする上で重要な成果である。
・フィンランド、アイスランド、カナダ、ロシア、アラスカ、日本などの既存の観測点の自動定常観測を維持・継続している。残っているカナダのNain観測点もすべての装置及び記録計の設置を終了し、キャンペーンベースで稼働させることができており、得られたデータの解析も進められている。
・引き続き、これらの観測で得られるデータをERGサイエンスセンターとIUGONETによるデータベースを利用してデータベース化して公開し、国内・海外との共同研究を促進することができている。
・定常観測を継続している日本のERG(あらせ)衛星の軌道に合わせて、令和元年度の秋にもキャンペーン観測を行った。また、米国のVan Allen Probe衛星・THEMIS衛星などの内部磁気圏衛星との同時観測データの解析を進めることもできている。
・波動と粒子の相互作用を局所的およびグローバルに評価するモデリングの開発を継続し、これらの観測と比較することで、モデルの改良と粒子加速・消失の定量評価を行いつつある。
・これらの地上・衛星観測、モデリングから、数多くの研究成果が得られている。
・カナダのNain観測点は、電源が得られない場合は発電機を活用してあらせ上空通過時などに観測を行ってデータを取得していく。
・本研究では8か所の観測点・5種類の機器から大量のデータを得ている。これらの観測データはすべて大容量ストレージに保管され、世界的に広く使われているCDFフォーマットに変換されて、ネットワークを介して世界の研究者に公開されている。昨年度に引き続き、新しく得られてくるデータも世界の研究者に公開し、データ利用の促進と成果の創出をはかっていく。
・本事業ではホームページ(http://www.isee.nagoya-u.ac.jp/dimr/PWING/)を立ち上げてデータの説明や進捗状況、データへのリンク先などを公開している。このホームページを引き続き運用し、情報発信をはかっていく。さらに、関連研究の国際ワークショップや国際シンポジウムを開催して、成果の創出をはかっていく。
・本研究の成果は、科学論文として発表していくだけでなく、さまざまな形で社会へ発信していくことが重要である。このために、出前授業や、大学院生・若手研究者向けの国際スクール、重要な成果のプレスリリースなどを実施していく。 -
地球電磁気圏擾乱現象の発生機構の解明と予測
研究課題/研究課題番号:15H05815 2015年6月 - 2020年3月
新学術領域研究(研究領域提案型)
三好 由純
担当区分:研究分担者
本計画班では、人類の活動に特に大きな影響を及ぼす宇宙天気現象のうち、宇宙放射線、電離圏変動、地磁気誘導電流(GIC)の3つに焦点をあてて研究活動を進めてきた。宇宙放射線については、プラズマ波動による放射線帯粒子加速および消失の実証的な観測に成功した。電離圏変動については、1-2日先までの電離圏変動予測を可能とするシステムを構築した。GICについては、物理シミュレーションを構築し、日本の送電線網を流れるGICの計算を可能にするとともに、高い精度での再現に成功した。
本計画研究では、人類の社会活動、宇宙活動に大きな影響を与える宇宙天気現象のうち、宇宙放射線、電離圏変動、地磁気誘導電流に焦点をあてて研究を進めてきた。新しい人工衛星の観測データや、本計画で新たに設置した地上観測点データ、また本計画で独自に開発したシミュレーション群を用いた研究によって、各現象の物理素過程の理解を飛躍的に進めるとともに、太陽、太陽風の変動に応じて、各現象の変動予測を可能とするモデルを構築し、実際の現象の予測を可能にした。 -
偏光分光イメージング観測によるオーロラ偏光過程の解明
研究課題/研究課題番号:26302005 2014年4月 - 2018年3月
坂野井 健
担当区分:連携研究者
本研究は、世界で初めてオーロラの発光スペクトルの広視野偏光分布を観測する偏光分光メージャーと機器偏光を定量的に校正可能な光源を開発した。この装置を2015年に北米アラスカに設置し、厳密な校正データ取得とオーロラの連続観測を行った。この結果、630nmオーロラの直線偏光度が1.6±0.9%であることを明かにした。また、偏光度は天頂付近で小さく、低い仰角で大きいことがわかった。このようにオーロラ偏光を天頂から低い仰角まで一度に測定されたのは世界初である。また、この計画では北欧EISCATレーダーと光学観測等でも国際貢献した。本研究を通じて4名の修士、2名の学士がうまれており、高い教育効果があった。
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人工衛星-地上ネットワーク観測に基づく内部磁気圏の粒子変動メカニズムの研究
研究課題/研究課題番号:25247080 2013年4月 - 2017年3月
塩川 和夫
担当区分:研究代表者
配分額:38350000円 ( 直接経費:29500000円 、 間接経費:8850000円 )
・ロシアのZhigansk観測点において、誘導磁力計による定常観測を平成28年9月14日より開始し、良好なデータが取得できていることを確認した。ロシアのZhigansk観測点を管轄するヤクーツクのIKFIA研究所に、平成28年9月末にVLFアンテナ、高感度全天カメラを送付した(平成27年度の本計画の繰り越し分による実施)。また、関連機器による定常観測が行われている既存の観測点であるアサバスカ、トロムソ、マガダン、パラツンカ、レゾリュート、国内の母子里、陸別、信楽、鹿児島、佐多などの自動観測を維持・継続した。
・アサバスカ、マガダン、パラツンカの誘導磁力計による5年間の同時観測データを統計的に解析して、Pc1帯地磁気脈動の振幅変調の観測点ごとに違いの季節・太陽活動度・地方時・地磁気活動度などへの依存性を明らかにした。この結果から、この波動の振幅変調が磁気圏ではなく電離圏の伝搬中にうなりによって発生していることを示唆した。また、アサバスカで1年間に観測されたVLF/ELF帯波動の統計解析を行い、この波動の季節・地方時・地磁気活動度などへの依存性を明らかにした。これらの波動は、人工衛星に悪影響を及ぼす放射線帯粒子の加速や消失を引き起こしていることがわかっており、今回の結果は、この加速・消失過程の時間・空間変化に示唆を与えるものである。
・なお、本計画は、研究代表者が平成28年度から別の特別推進研究の代表者になったために、平成28年度途中で廃止になった。本計画で予定されていたカナダ中部のアサバスカ、カナダの東海岸、及び、ロシアのZhigansk観測点における光学・電磁場計測は、この特別推進研究によって引き続きおこなわれることになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
28年度が最終年度であるため、記入しない。 -
北米域での高時間分解能オーロラ観測と電波観測を軸とした脈動オーロラ変調機構の研究
研究課題/研究課題番号:25302006 2013年4月 - 2017年3月
三好 由純
担当区分:連携研究者
周期数秒で明滅する脈動オーロラの変調機構の解明を目指して、アラスカ・ポーカーフラット、カナダ・アサバスカに設置した高速撮像カメラ、およびVLF帯のループアンテナによる観測研究、および低高度人工衛星とシミュレーションの比較にもとづく研究を行った。高速撮像観測とVLF電波の比較から、脈動オーロラの主脈動および内部変調と、ホイッスラー・コーラスのバースト的出現、およびrising tone elementとの対応が明らかになった。人工衛星観測とシミュレーションとの比較によって、脈動オーロラの主脈動、内部変調、背景降りこみが、ホイッスラー・コーラス波動のスペクトル構造に対応することを解明した。
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人工衛星-地上ネットワークによるオーロラと電磁波動の高時間分解能観測
2011年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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人工衛星-地上ネットワークによるオーロラと電磁波動の高時間分解能観測
研究課題/研究課題番号:23403009 2011年4月 - 2015年3月
塩川 和夫
担当区分:研究代表者
配分額:19890000円 ( 直接経費:15300000円 、 間接経費:4590000円 )
本研究では、カナダ北極域のサブオーロラ帯(オーロラ帯よりも少し低い緯度帯)にループアンテナ及び高速のオーロラ観測カメラを設置し、これまでにない最高時間分解能のオーロラ画像(100Hz)とVLF/ELF波動(100kHz)の同時観測を2012年に新たに開始し、2015年現在まで自動定常観測を継続している。これにより、サブオーロラ帯でのVLF/ELF波動のさまざまな変動特性やその波動粒子相互作用を表すオーロラとの関係が世界で初めて明らかにされた。
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極域電離圏プラズマメソスケール密度構造のカスケード過程の解明
研究課題/研究課題番号:22340143 2010年4月 - 2015年3月
田口 聡
担当区分:連携研究者
極域電離圏のプラズマは,様々な物理過程によって水平方向に10 kmから100 km のメソスケール構造を作ることが多い.本研究では,そのような構造と,さらにその構造の生成に関わるメソスケールのオーロラ構造を高い時間分解能で捉えることのできる全天イメージャーを構築して,その装置によって得られたデータを解析した.極冠域で生じている現象については,その出現特性と構造化の特徴を見出した.また,カスプ域については,磁気圏からの粒子降下が,これまでに同定されていない時間空間特性をもつことを明らかにした.
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EISCATレーダーを用いたジオスペースに関する国際協同研究
研究課題/研究課題番号:22403010 2010年4月 - 2014年3月
藤井 良一
担当区分:連携研究者
磁気圏―電離圏結合に重要な3次元電流系とカウリングチャネル、極冠域ポーラーパッチ、電離圏上下振動と磁気圏電場の短周期成分との相関、下部熱圏高度のイオン-中性大気衝突周波数の時間変化、下部熱圏におけるオーロラ加熱評価と大気温度変動、オーロラ擾乱に伴う下部熱圏・中間圏におけるナトリウム原子の密度変動、オーロラサブストームとイオンアウトフローの関係、フォトメータによる電離圏電気伝導度導出手法の開発、伝搬性電離圏擾乱等に関する新たな知見を得た。
EISCAT_3D計画の実現に向けて、研究集会等を開催し、共同研究者と議論を行った。EISCAT_3Dを用いたサイエンスケースについて、とりまとめを行った。 -
インド・東南アジア・太平洋の広域観測による赤道スプレッド F 現象の日々変動の解明
研究課題/研究課題番号:22403011 2010年 - 2012年
山本 衛
担当区分:連携研究者
赤道スプレッドF現象(Equatorial Spread-F、ESF と略記、プラズマバブルとも呼ばれる)は電離圏の最も強い擾乱の一つであり、近年の高度な衛星利用、特に GPS 測位に悪影響を与え得る。本研究では、未だ謎の深い ESF の日々変動を中心として、アジアから太平洋にわたる広域に各種のレーダー・大気光観測装置・衛星ビーコン受信機等による観測網を構築して国際共同研究を展開した。ESF の日々変動に関して、午後の時間帯に発生する波長数百 km の大規模波動構造(Large-Scale Wave Structure; LSWS)が日没と共に振幅を増大し、 ESF 発生に結びつく様子を見出した。また太陽活動度が低い時期には、夜半過ぎに ESF 類似の現象が発生することを明らかにした。
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高感度分光多点観測による超高層大気変動の研究
研究課題/研究課題番号:20244080 2008年4月 - 2013年3月
塩川 和夫
担当区分:研究代表者
配分額:47840000円 ( 直接経費:36800000円 、 間接経費:11040000円 )
ロシア、カナダ、日本、ノルウェー、インドネシア、タイ、オーストラリアなどにおけるファブリ・ペロー干渉計5台と高感度全天カメラ10台以上を用いた夜間大気光の高感度分光多点観測から、高度80-300kmの地球の超高層大気の擾乱に関するさまざまな研究成果が得られた。代表的な成果の例として、夜間に発生する中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)のオーロラ帯付近での振る舞いの解明や、80-90km高度の中間圏の大気重力波のダクト伝搬の可視化、台風から発生した大気重力波が中間圏界面付近まで伝搬している様子、赤道域プラズマバブル現象の東向き伝搬と中性大気の風の関係(F層ダイナモ過程を示唆)、などが挙げられる。
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高感度分光多点観測による超高層大気変動の研究
2008年
科学研究費補助金 基盤研究(A),課題番号:20244080
塩川 和夫
担当区分:研究代表者
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カナダ北極域におけるオーロラの高時間分解能光学観測
研究課題/研究課題番号:19403010 2007年 - 2010年
小川 忠彦, 佐竹 洋
担当区分:研究分担者
本研究では、カナダ北極域を中心とした多地点のオーロラ帯において、既存の高感度全天カメラによる定常観測(時間分解能:分)に加えて、30分の1秒の高時間分解能でオーロラの変動を観測する全天カメラを運用し、これらのデータをTHEMIS衛星などの人工衛星データと比較することにより、サブストームに伴うオーロラの微細構造の発達特性や、極冠域の電離圏構造を明らかにした。
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大型短波レーダーによる中・高緯度電離圏プラズマー超高層大気相互作用の研究
研究課題/研究課題番号:19340141 2007年 - 2010年
西谷 望
担当区分:連携研究者
本研究では、2006年11月に稼働を開始した北海道-陸別HFレーダーを主に活用し、北海道北方からオホーツク海、極東シベリア領域にわたる電場擾乱等の電離圏プラズマ関連現象と伝搬性電離圏擾乱等の超高層大気関連現象の間の相互作用の解明に焦点を置いて研究を進め、サブオーロラ帯電場擾乱の発生条件や伝搬性電離圏擾乱による電離圏プラズマ構造運動のメカニズム、および巨大地震後に超高層大気変動により引き起こされる電離圏プラズマ変動の特性等を明らかにした。
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低高度極軌道衛星と地上観測網によるジオスペース電離圏現象の多次元・同時総合観測
研究課題/研究課題番号:19403011 2007年 - 2010年
平原 聖文
担当区分:連携研究者
2005年8月23日に打ち上げられた「れいめい」衛星は極域低高度を飛翔する小型科学探査衛星であり、世界初の高空間・高時間分解能によるオーロラ粒子・発光の同時観測成果をもたらした。この観測データにより、電離圏・磁気圏結合、及び、磁気圏尾部でのプラズマダイナミクスに関する新しい知見を得た。特に、極域磁気圏におけるオーロラ・電磁気圏プラズマの同時・多点・多元観測を遂行し、電離圏・磁気圏結合、及び、磁気圏尾部でのプラズマダイナミクスに関する観測データ・事象の相互比較を行った。
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磁気インピーダンスセンサを用いた超小型・広帯域磁力計システムの開発
研究課題/研究課題番号:19654072 2007年 - 2009年
塩川 和夫
担当区分:研究代表者
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
昨年度に引き続き、駆動回路及びMIセンサを研究代表者のグループの研究室内で製作し、回路定数、感度、コイルの巻数を変えて動作テストを繰り返し、磁場を感知して、正常に駆動する回路を製作した。昨年度までに行ってきたMIセンサ及び駆動回路の1次・2次試作では、磁気シールドケース内でのDC磁場変動は数百nT以上もあったが、3次試作では、この値が6.2nT程度の変動にまで改善された。また3次試作最終回路のACノイズレベルは、0.64nT/Hzであった。DC安定度については、定磁場基準のフィードバック、MI出力パルスの積分化、MIセンサに交流磁場を印加するなどの対策が効いているものと思われる。しかし、DC安定度が増したとはいえ、周辺の環境変化(温度・湿度変化等)に耐えられるほどの安定度はなく、センサを移動させたりするとDCオフセットが大きく変化する、という特徴は変わらない。また、現在のACノイズレベルの高さでは、弱いもので0.01nT程度の振幅を持つPc1帯の地磁気脈動をとらえるのは難しい。3次試作中、ACノイズレベルの低減に努めたが、それでも0.05nT/Hzが最高であった。ノイズレベルの高さの大きな要因の一つは、MIパルスのサンプリングに使っているアナログスイッチが出しているノイズであり、このアナログスイッチのノイズ低減方法を考えることが今後の課題であることがわかった。