科研費 - 阿部 洋
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研究課題/研究課題番号:15K12751 2015年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
阿部 洋
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
ガン細胞で過剰に発現し、抗ガン剤耐性に寄与しているグルタチオン S トランスフェラーゼは複数のサブタイプがあり、ガン細胞によって発現しているサブタイプが異なる。本研究では GST のサブタイプ特異的なプローブの開発を目指し、グルタチオンの誘導体を設計・合成した。
アミノ酸と共有結合を形成する誘導体を合成して検証を行ったところ、サブタイプ特異性を示唆する構造が得られた。また、グルタチオンのグリシン残基に蛍光分子またはビオチンをつけた誘導体でも GST に結合することを確認した。
これらの知見は、GST サブタイプ特異的なプローブ開発につながるものである。 -
GSTを標的とする分子プローブの開発
2015年 - 2017年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
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研究課題/研究課題番号:25282240 2013年 - 2016年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
阿部 洋
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
核酸鋳型化学反応を開発し、機能性RNAを設計・合成することを試みた。本法のRNA干渉法への適用を試みた。RNA干渉には通常20塩基以上のRNA二本鎖が用いられる。しかしながら、20塩基以上のRNAは細胞内で免疫応答を起こすことが問題なる。この非特異的な免疫応答はRNA干渉を医療応用する際に大きな問題となる。これを解決するために短鎖のRNA鎖を細胞内に導入することで、免疫系を回避した後、ビルドアップ的に長鎖の活性型RNA二本鎖を細胞内構築する反応を開発した。ビルドアップ型RNAは、免疫応答を回避できるとともに、RNA干渉効果をもたらすことが明らかとなった。
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ナノ構造化と鋳型反応に基づくRNAの医薬機能創発
2013年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
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研究課題/研究課題番号:24656510 2012年4月 - 2013年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
伊藤 嘉浩, 王 偉, 多田 誠一, 鵜澤 尊規, 阿部 洋
担当区分:その他
化学拡張進化分子工学により、有機溶媒共存下で触媒作用をもつペプチド配列の探索を目指した。ターゲットする触媒反応は、生化学工業でも有用なアルドール縮合反応とした。進化分子工学手法には、一方の反応基質を担持したtRNAと、反応生成物を回収できるよう他方はビオチン化した基質を各々合成し、有機溶媒中でも安定な表現型一情報型分子の錯体を共有結合で形成できるmRNAディスプレイ法を用い、有機溶媒中で触媒できるペプチドの探索を行った。
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研究課題/研究課題番号:24656511 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
阿部 洋
担当区分:研究代表者
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
原核生物である大腸菌の翻訳系において、「環状RNAを用いた終わりのない回転式翻訳システム」を構築し、その分子メカニズムを解析した。終止コドンを除いた環状のメッセンジャーRNA (mRNA)を合成し、それらを大腸菌の無細胞翻訳系に加えることでエンドレスにタンパク質合成させることに成功した。その反応は通常の直鎖状RNAを鋳型とするタンパク質合成反応に比べ、単位時間当たり200倍ほど高効率であることを明らかにした。
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2011年 - 2014年
科学技術振興機構 戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
阿部 洋
担当区分:研究代表者
神経細胞内のmRNAをイメージングするための革新的なプローブを開発します。微量RNAを検出するためにプローブの高感度化、及び複数RNAの同時観察を可能とするために多色プローブの開発を進めます。さらに、シナプスの可塑性に関わる複数のmRNA群を標的にしたプローブを作成し、神経細胞における内在性mRNAの動態を直接イメージングし、その輸送と局所での翻訳過程との相関を解析することを目指します。
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単一分子レベルの酵素反応解析からがん治療法開発までの複合領域研究
2011年 - 2013年
国際的な科学技術共同研究などの推進 戦略的国際科学技術協力推進事業 SICP スウェーデン
阿部 洋
担当区分:研究代表者
本研究交流は、がん細胞で過剰に発現していることが知られるグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)の新規基質となる新規化合物を設計し、1分子レベルでの酵素反応メカニズムを解析することを目的とする。具体的には、日本側はGSTと反応する蛍光化合物、化学発光化合物、核磁気共鳴プローブ、低分子薬剤の設計を担当し、スウェーデン側はその生物活性解析、速度論解析、細胞イメージングや薬効評価を担当する。両国の研究チームが有機合成化学および酵素学・生物物理化学の観点から相互補完的に取り組むことで、1分子酵素解析技術に基づき、体内における代謝によりはじめて薬効が現れるように工夫した薬(プロドラッグ)の設計法やがん細胞イメージング技術の開発が期待される。
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化学反応プローブとフローサイトメーターを用いた細菌の検出法の検討
2011年 - 2012年
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
阿部 洋
細菌同定に必要な高感度プローブを、複数の細菌について開発する。感度改良のためのプローブの鎖長、多色染色を可能とする蛍光発生型蛍光色素群の創製、プローブの細菌類への効率的な導入法を機軸とした研究を推進する。開発期間が短期間であることを考慮して、最適なプローブ鎖長の検討、新規蛍光発生化合物の開発にしぼり、最適な鎖長(15量体)並びに現在利用している緑色蛍光化合物から大きく波長を離した赤色蛍光剤の候補化合物を合成できた。今後は、一塩基変異を定量的かつ多色で検出できるプローブを創製し遺伝情報に立脚した細菌定量法へ展開する予定である。
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研究課題/研究課題番号:22686077 2010年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(A)
阿部 洋
担当区分:研究代表者
配分額:26000000円 ( 直接経費:20000000円 、 間接経費:6000000円 )
本研究では、「生細胞内の遺伝子シグナルを釣り針として望みの細胞を単離する」前例のない新しい技術を開発することを目指した。長波長領域にシグナルを発生する赤色プローブを作成した。つづいて、未分化細胞で高発現しているmiRNAを標的にRETFプローブを作成し、フローサイトメーターで検出実験をおこなったところ、優位なシグナルを観測できた。そこで、現在、標的シグナルを指標にした細胞分離を検討している。
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研究課題/研究課題番号:20750146 2008年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
阿部 洋
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究では、遺伝子シグナルを飛躍的に増幅できる化学反応プローブを創出し、生細胞内遺伝子検出法へ応用することを目的とする。
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研究課題/研究課題番号:19200041 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
伊藤 嘉浩, 阿部 洋, 和田 章, 吉田 靖弘, 北嶋 隆
担当区分:研究分担者
金属・無機材料への成長因子タンパク質の固定化にかかわる分子デザインについて検討を行った。まず、材料側のデザインとして、成長因子が固定化できるようなチタンやステンレス鋼表面の有機化を行うことができ、成長因子の固定化を可能にした。成長因子タンパク質側のデザインとして、進化分子工学法や非天然アミノ酸を含むペプチドのケミカルライゲーション法によってチタンやアパタイトへ結合性の成長因子の創成を行うことができた。
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研究課題/研究課題番号:19651098 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
伊藤 嘉浩, 阿部 洋
担当区分:研究分担者
前年度までに、我々は有機溶媒中で機能する核酸触媒を試験管内進化法により創製する研究の手始めに有機溶媒可溶化核酸の調製に成功した。すなわち、オリゴ核酸15塩基にPEG(分子量1万)を修飾し、種々の有機溶媒に100μMまで問題なく溶解することが明らかになった。また、TTAGGGの6塩基からなるDNAをPEG修飾し、これが各種有機溶媒中で、4量体を形成しGカルテット構造を形成することをCDスペクトルにより確認した。
本年度は、この構造体とヘミンが水中で複合体を形成しルミノール反応を起こすことが報告されていたので、有機溶媒中でもこの現象が同様に起こるか検証した。その結果、メタノール中で、ルミノール反応が効率よく起こることを確認した。この結果により、核酸の構造体とヘミンが水中と同様に複合体を形成する能力をもち、さらに、触媒能力を維持できることを明らかにした。また、試験管内進化法で得られたディールズ・アルダー反応を触媒するDNAzymeについても、PEG修飾を行った。得られたハイブリッド体は、様々な有機溶媒に可溶化でき、水中と同じような触媒活性が観察できた。このようにPEG修飾により試験管内進化法で得られたオリゴ核酸が有機溶媒に可溶化され触媒活性をもつことがわかった。
さらにPEG修飾DNAプライマーを用いてDNAをPCR増幅できることが明らかとなった。触媒探索のための試験管内進化法ではDNAをPCR法で増幅して、触媒反応を行うDNAを選別する必要があるため、この方法の確立により有機溶媒中での試験管内進化法による触媒探索が可能であることが明らかとなった。 -
研究課題/研究課題番号:18750159 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
阿部 洋
担当区分:研究代表者
配分額:3700000円 ( 直接経費:3700000円 )
前回まで、蛋白質と化学反応することで蛍光発生する分子プローブの開発を目指していたが、蛋白質との化学反応性が低いプローブしか得られず、その開発は難しかった。一方、我々は遺伝子検出プローブとして、最近開発した分子は1分子内での蛍光のon/offが可能であり、蛋白質検出にも応用可能であることが期待された。この分子はアジドメチル基を持ち、トリフェニルボスフィン等の還元剤によってアジド基が還元されることにより構造変化が起こり蛍光を発することが可能となる。
今回、アジドメチル基を有する蛍光分子をもちいた化学反応を引金とする蛍光発光システムによるタンパク質およびペプチド検出を試みた。標的として17merからなるヒトHIV-1 Revタンパク質のarginine-rich motif(ARM)を選択した。ヒトHIV-1 Rev ARMペプチドには35merからなるRNAアプタマーが結合することがこれまでに報告されている。そこでこのRNAアプタマー配列を2分割し、ペプチド検出用プローブとすることにした。配列の異なる2種類のプローブのうち、一方にはアジドメチル基を有する蛍光分子を結合させ、もう一方のプローブには還元剤であるトリフェニルホスフィン基を導入した。この2種類のプローブを用いることで溶液中のRev ARMペプチドの検出を試みた。50mM Tris-HC1溶液中37℃で30分間反応させた結果、Rev ARMペプチド存在下の場合、非存在下の場合と比較してその蛍光強度が約25倍に増強することが示された。 -
アノマー効果を利用する立体選択的ラジカルC-グリコシル化とIP3リガンドの創製
研究課題/研究課題番号:01J10599 2001年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
阿部 洋
C-グリコシドは対応するO-グリコシドの生物学的安定等価体として機能することから注目されている。そのため、C-グリコシドの立体選択的構築法の開発が望まれている。筆者らは、^4C_1型あるいは^1C_4型配座に制御されたピラノース基質を用いたラジカルC-グリコシル化反応がαおよびβ高立体選択的にC-グリコシル体を与えることを発見した。これは、従来認識されていなかったラジカル反応における速度論的アノマー効果を立体選択制発現に積極的に利用した初めての例となった(J.Am.Chem. Soc.2001,123,11870-11882)。
今回、さらに、このピラノース配座制御によるアノマー効果に基づく立体制御法をオキソカルベニウムイオン中間体をへるS_N1型C-グリコシル化反応に適用し検討した。^4C_1型あるいは^1C_4型に配座制御されアノマー位に脱離基としてフッ素を有するキシロシル糖基質をアリルトリメチルシランおよびBF_3/Et_2O存在下撹拌したところ、^4C_1型基質はα高選択的(85%,α/β=50:1)に、^1C_4型基質はβ高選択的(73%,βonly)にアリルC-グリコシド体を与えた(Angew.Chem.Int.Ed.2003,in press)。
この結果から、本C-グリコシル化反応立体制御法がラジカル反応のみでなくカチオン中間体を経るS_N1型反応にも適用可能であることが確認できた。このことは、高立体選択的C-グリコシル化が種々の反応条件で可能になることを意味し、他の様々なC-グリコシド型化合物合成への応用が期待できる。