2025/04/01 更新

写真a

ハナゾノ マコト
花薗 誠
HANAZONO, Makoto
所属
大学院経済学研究科 社会経済システム専攻 政策システム分析 教授
大学院担当
大学院経済学研究科
学部担当
経済学部 経済学科
職名
教授

学位 1

  1. Ph.D. ( 2003年8月   ペンシルバニア大学 ) 

研究キーワード 4

  1. 産業組織論

  2. 契約と組織の経済学

  3. ゲーム理論

  4. ミクロ経済学

研究分野 1

  1. 人文・社会 / 理論経済学  / 産業組織、ゲーム理論、契約理論

現在の研究課題とSDGs 2

  1. 消費者探索と産業組織

  2. 調達の経済学

経歴 3

  1. 名古屋大学 経済学研究科 准教授

    2007年4月

      詳細を見る

    国名:日本国

  2. 名古屋大学 経済学研究科 講師

    2006年4月 - 2007年3月

      詳細を見る

    国名:日本国

  3. 京都大学経済研究所・講師

    2003年5月 - 2006年3月

      詳細を見る

    国名:日本国

学歴 4

  1. ペンシルバニア大学   経済学部

    1998年9月 - 2003年8月

  2. 慶應義塾大学   経済学研究科

    1996年4月 - 2000年3月

      詳細を見る

    国名: 日本国

  3. 慶應義塾大学   経済学研究科

    1994年4月 - 1996年3月

      詳細を見る

    国名: 日本国

  4. 慶應義塾大学   経済学部

    1990年4月 - 1994年3月

      詳細を見る

    国名: 日本国

所属学協会 3

  1. 数理経済学会

  2. 行動経済学会

  3. 日本経済学会

 

論文 12

  1. PROMINENCE AND MARKET POWER: ASYMMETRIC OLIGOPOLY WITH SEQUENTIAL CONSUMER SEARCH

    Hanazono, M; Kudoh, N

    INTERNATIONAL ECONOMIC REVIEW   65 巻 ( 3 ) 頁: 1249 - 1281   2024年8月

     詳細を見る

  2. Equity bargaining with common value 査読有り

    Hanazono, M; Watanabe, Y

    ECONOMIC THEORY   65 巻 ( 2 ) 頁: 251 - 292   2018年3月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1007/s00199-016-1004-1

    Web of Science

  3. Is a Big Entrant a Threat to Incumbents? The Role of Demand Substitutability in Competition Among the Big and the Small 査読有り

    Pan, LJ; Hanazono, M

    JOURNAL OF INDUSTRIAL ECONOMICS   66 巻 ( 1 ) 頁: 30 - 65   2018年3月

     詳細を見る

  4. Endogenous Product Boundary 査読有り

    Takanori Adachi, Takeshi Ebina, Makoto Hanazono

    Manchester School   85 巻 ( 1 ) 頁: DOI: 10.1111/manc.12134   2017年1月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: DOI: 10.1111/manc.12134

  5. ENDOGENOUS PRODUCT BOUNDARY

    Adachi, T; Ebina, T; Hanazono, M

    MANCHESTER SCHOOL   85 巻 ( 1 ) 頁: 13 - 40   2017年1月

     詳細を見る

  6. 抱き合わせ販売 招待有り

    花薗 誠

    一橋ビジネスレビュー   61 巻 ( 1 ) 頁: 36-50   2013年6月

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:日本語  

    DOI: 36-50

  7. 総合評価落札方式オークションの均衡入札―除算方式評価の場合―

    花薗 誠

    経済科学   57 巻 ( 4 ) 頁: 149-157   2010年3月

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:日本語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

  8. *Dynamic Entry and Exit with Uncertain Cost Positions 査読有り

    Makoto Hanazono and Huanxing Yang

    International Journal of Industrial Organization   27 巻 ( 3 ) 頁: 474-487   2009年5月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    We study the dynamics of entry and exit based on firms' learning about their relative cost positions. Each firm's marginal cost of production is its own private information, thereby facing ex ante uncertainty about its cost position. The (inelastic) market demand can accommodate only a fraction of firms to operate, and thus only firms with relatively lower costs are viable in the long run. Some firms in the market will exit if excessive entry (or overshooting) occurs. We derive the unique symmetric sequential equilibrium. The equilibrium properties are consistent with empirical observations: (i) entry occurs gradually over time with lower cost firms entering earlier than higher cost firms, (ii) exiting firms are among the ones that entered later (indeed in the last period). Moreover, equilibrium overshooting probability is shown to always be positive and decreasing over time.

  9. *Mimicking the Winner Leads to War: An Evolutionary Analysis of Conflict and Cooperation 査読有り

    Makoto Hanazono

    Japanese Economic Review   58 巻 ( 3 ) 頁: 417-422   2007年9月

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    This note applies an evolutionary analysis to Skaperdas's (1992) static model of conflict and cooperation, in which agents are faced with trade-offs between joint production and share competition. We adopt the stochastic evolution approach, and assume that each agent occasionally mimics the action of the winner of the stage. In contrast to Skaperdas's results that justify full- or partial-cooperation in productive activity, the long-run equilibrium must exhibit total conflict; nobody engages in production at all.

  10. *Collusion, Fluctuating Demand, and Price Rigidity 査読有り

    Makoto Hanazono and Huanxing Yang

    International Economic Review   48 巻 ( 2 ) 頁: 483-515   2007年5月

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    We study a repeated Bertrand game in which an i.i.d. demand shock occurs in each period. Each firm receives a private signal about the demand shock at the beginning of each period. At the end of each period, all information but the private signals becomes public. We consider the optimal symmetric perfect public equilibrium (SPPE) mainly for patient firms. We show that price rigidity arises in the optimal SPPE if the accuracy of the private signals is low. We also study the implications of more firms, and firms' impatience on collusive pricing. These results contribute to our understanding of which industries, and under what conditions, should exhibit rigid prices.

  11. A Simple Holdup Model with Two-sided Investments: the Case of Common-Purpose Investments 査読有り

    Makoto Hanazono

    Problems and Perspectives in Management   4 巻 ( 2 ) 頁: 115-125   2006年

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    This paper theoretically studies a simple, discrete holdup model with two-sided investments, in which each party's investment enhances the value of transaction by improving a common factor (the buyer's valuation, in text). We investigate whether contractual remedies to the holdup problem are avialable by adopting noncontingent or option contracts. The main result of this paper is that an option contract can completely remedy the holdup problem in several cases, whereas noncontingent contracts can only partly remedy it. Remedies by option contracts are more likely as the relative improtance of the purely cooperative investent to the purely selfish investment becomes larger, and the cost of investment becomes smaller.

  12. 不完備契約の再交渉におけるコミットメント 査読有り

    花薗 誠

    三田学会雑誌   98 巻 ( 3 ) 頁: 79-90   2005年10月

     詳細を見る

    担当区分:筆頭著者   記述言語:日本語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    本稿は、不完備契約とホールドアップ問題に関する先駆的な研究であるHart-Moore(1988)における再交渉ゲームを再検討し、その構造に内在するコミットメントの問題を明らかにする。あわせて、Hart-Mooreの議論の複雑さがコミットメントの問題の回避のアプローチに起因するという点を指摘し、均衡の精緻化に基づくより扱いやすい問題の回避アプローチを提示する。

▼全件表示

書籍等出版物 2

  1. 産業組織とビジネスの経済学

    花薗 誠( 担当: 単著)

    有斐閣  2018年9月  ( ISBN:978-4641150591

     詳細を見る

    記述言語:日本語 著書種別:教科書・概説・概論

  2. 数理経済学の源流と展開

    武藤功, 花薗誠( 担当: 共編者(共編著者))

    慶應義塾大学出版会  2015年9月  ( ISBN: 978-4-7664-2253-5

     詳細を見る

    総ページ数:336   記述言語:日本語 著書種別:学術書

MISC 1

  1. 公共調達:制度設計とその経済学的な評価 招待有り

    花薗 誠  

    進化するビジネスの実証分析   頁: 131 - 139   2020年5月

     詳細を見る

    記述言語:日本語   掲載種別:記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

科研費 14

  1. 談合など自律的協調に関する理論モデルの実証分析

    研究課題/研究課題番号:24H00147  2024年4月 - 2028年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    中林 純, 花薗 誠, 西脇 雅人, 川合 慶, 山田 克宣

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    繰り返しゲームの理論研究で示唆された共謀の成立・維持・崩壊メカニズムに関する各種の理論的知見を入札談合の実証分析を通じて検証する。具体的には1)コミュニケーション共謀成立や維持に与える可能性、2)行動の観測可能性が協調均衡に与える影響の有無について、入札データから談合を識別する手法を開発し、適用することで実証的に確かめる。本研究によって得られる実証結果は、繰り返しゲームのモデルから得られる理論的知見の検証という意味で学術的に重要な意味を持つほか、実証結果が理論研究にフィードバックされることによって、理論研究の一層の発展に貢献することが期待される。

  2. 持続可能性、品質維持、競争適正化のための公共調達制度設計

    研究課題/研究課題番号:23H00051  2023年4月 - 2028年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    花薗 誠, 川中 大士朗, 広瀬 要輔, 鈴木 彩子, 西村 健, 中林 純, 鶴岡 昌徳, 佐藤 進, 佐野 隆司, 安田 洋祐, 高橋 秀典

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:42250000円 ( 直接経費:32500000円 、 間接経費:9750000円 )

    経済性・品質確保・持続可能性の観点から、公共調達における適正な競争とはどのような状況か、また競争を適正化するためにどのような方法や制度設計が適切かについて、理論、実証、実験により総合的に研究する。調達における競争の向上は経済性(価格)には貢献するものの、過当な競争により品質低下や事業者の倒産等の問題が引き起こされると指摘されてきた。本研究では、競争制限が市場の機能不全を改善するか、という視点で競争が適正か否かを捉え、調達の諸問題や調達制度の機能を競争の適正化の観点から論ずる。本研究は、産業組織論、マーケットデザイン、実験経済学を駆使して研究を発展させ、調達における未解決の重要課題に取り組む。

  3. 多次元入札の研究基盤の構築

    研究課題/研究課題番号:21K18426  2021年7月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

    花薗 誠, 中林 純

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )

    本研究は多次元入札の研究基盤を理論的に整備するとともに、実証分析のための構造推定の方法を整備・開発することを目的とする。入札参加者に価格のみならず、事業者の属性や事業内容に関する提案といった価格以外の他の要素を入札させ、その総合評価によって落札者を決定する「多次元入札(multidimensional bidding)」は、公共調達の受注事業者選定や石油/ガス採掘権売却などで広く用いられている。結果として、入札制度設計に貢献することを目指す。
    多次元入札の一形態である総合評価方式入札における戦略的な意思決定問題に関して、以下のような新しい結果を加えた。総合評価による評価値の計算方法が個々の入札者によって異なる場合であっても、評価値の大小の比較で落札者が決定される限り、一位評価値入札において純戦略単調ベイズナッシュ均衡が存在することを証明した。この結果により、中小企業保護にみられるような一部の事業者が優遇されるケース(ハンディキャップオークション)や、えこひいきや癒着、ある種の評価者の裁量が認められるケースにおいても、競争的な入札行動の分析が拡張されることから、総合評価方式入札の分析枠組みを一層広げることができた。また、以前想定していた対称的な環境における実証研究手法は、上記のような非対称な環境にも拡張可能で、ナッシュ均衡行動を構造推定しモデルのパラメータや分布を識別できることがわかった。
    合わせて、事業者の私的な費用関数のパラメータが多次元という一般的なケースは、パラメータが一次元であるケースとは本質的に異なるものである点について整理した。というのも、一次元のパラメータであれば、費用効率に自然な全順序が定められるが、多次元にわたる費用関数のパラメータについては、費用効率は部分順序しか定められないからである。一次元のケースではそのような特殊な順序構造からしか得られないような強い結論、たとえばオークション形式によって均衡における落札評価値の期待値に優劣ができるなどといった結果が得られるが、多次元のケースではそのような比較をすることは理論的に考えて難しいという理由を明らかにした。これらの結果は論文“Theory and Estimation for Scoring Auctions”に追加した。
    多次元入札に関する分析基盤の整備が進んではいるものの、研究計画にあげた相互連関的な評価方法という課題については当初の予想以上に分析が困難であることが判明し、研究が十分に進んでいない。また、総合評価方式入札の反実仮想分析のために、モデルの均衡行動を導く方法の解明についても検討しているが、モデルの不動点であらわされる均衡状態を導出・近似する方法がまだ見つかっていない。一案として、モデルにおける入札空間を離散化して、そのグリッドを細かくすることによって連続的な入札空間に近づけるようなアプローチを取り、比較的細かいグリッドのケースにおける入札行動をコンピュータプログラムによって近似できるか検討している。しかし、そのケースでも入札行動が均衡入札に収束するかどうか自明でなく、それがグリッドの粗さに起因しているのか、そもそものモデルの構造に依存した挙動なのかが判明していない。
    引き続き、多次元入札において入札の評価値を落札確率と同一視して多次元入札を分析する方法の推進する。一般的な分析を遂行することが困難であるので、簡単なケースや関数形を特定化した例を用いて解決の糸口を探す。併せて、総合評価方式入札における均衡入札行動の反実仮想分析のための、均衡をシミュレートする方法をできる限り理論的に解明するべく一層の努力を行う。これまでの理論的結果から、一定の単調性を持つことが示されている均衡行動であるが、均衡が安定性を満たしているか、あるいは安定性を有するために必要なモデルのプリミティブがどのようなものかを検討する。安定な均衡であれば何らかの動学及び適切な初期条件を用いて均衡を近似できる可能性がある。そのような結果が得られれば、動学を用いてして均衡をシミュレートできるかどうかを確認する。

  4. 談合の理論・実証分析

    研究課題/研究課題番号:21H04402  2021年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    中林 純, 花薗 誠, 西脇 雅人

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    1)各国政府の公表する入札データを収集してデータセットを構築し、談合を識別する新手法を提案する。2)統計的手法を用いて、繰り返しゲームの理論研究で示唆された談合の成立・維持・崩壊メカニズムの検証を行う。1)で提案する手法は、特定の企業が談合に関与しているかどうかの識別など、高い精度で談合をスクリーニングすることが可能となり、競争当局等が担う新たな実務分野を開拓することが期待される。2)については、その結果を繰り返しゲームの理論分析にフィードバックすることを通じて、理論研究の一層の発展に貢献するとともに、途上国を含めた各国政府が談合を抑止する入札制度を設計する際に応用されることが期待される。
    本研究課題では繰り返しゲームの均衡について、データを用いて検証することを行った。本研究課題における研究成果は、談合のスクリーンの手法に関する論文が経済学の主要な学術雑誌の一つであるReview of Economic Studies誌に掲載された。また研究代表者及び研究分担者の関連する論文についても、経済学の他の主要な学術雑誌に掲載されることになった。また、本研究課題を通じて得られた理論的知見は、実務にも応用されることとなった。具体的には競争当局等における談合・カルテルの取り締まり政策への応用であり、また公共事業発注機関における入札参加業者へのコンプライアンス政策などの分野である。さらに、本研究課題を通じて得られた多数の発注機関の入札データについては、今後調達全般に関する研究などへの応用も期待できる。こうしたことから、本研究課題は、経済学における談合・カルテルの研究の発展に寄与するとともに、社会的な応用も含めて十分な成果を上げることができたと考える。
    令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
    令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

  5. 市場支配力とマクロ経済:サーチ理論による産業組織、景気変動と格差の分析

    研究課題/研究課題番号:20H01476  2020年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    工藤 教孝, 花薗 誠, 宮本 弘暁, 田中 頌宇将, 尾山 大輔

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    2010年のノーベル経済学賞の対象となった「サーチ理論」は、微小な粒子同士のランダムなぶつかり合いとして経済活動を再定義することで市場の「摩擦」をモデル化することに成功した。しかしながら、「微小な経済主体」という世界観は分析上の制約になることも多かった。本研究は、「企業規模」という概念をモデル化することを通じてサーチ理論を大きく発展させ、世界規模で進む市場構造の変質、特に近年報告されている市場支配力の上昇や労働分配率の下落などの現象を、産業組織、景気変動に伴う雇用調整、所得分布の視点から解明する。
    プロジェクト1:摩擦的市場における企業規模 本プロジェクトは、研究代表者が長年研究してきた「サーチ理論」を「産業組織論」に応用するという方法を採用し、産業組織論をサーチ理論を通じて再構築するプロジェクトである。研究分担者との共同研究の成果を「Priminence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」という論文にまとめ、現在国際ジャーナルにて2回目の書き換え要求に対応し終え、最終的な審査結果を待っている状態である。
    プロジェクト2:摩擦的市場と景気変動 研究代表者と研究分担者による共同研究の成果のひとつ「General Equilibrium Effects and Labor Market Fluctuations」では、景気変動における「所得効果」の役割について数量分析を行い、Economic Modellingという国際専門誌に掲載された。また、「Time Aggregation and Unemployment Volatility」では、労働市場統計の集計上のバイアスが景気変動を過小に計測してしまう可能性についてシミュレーションによって明らかにし、Economics Bulletinという国際専門誌に掲載が決まった。「Robots and Unemployment」では、技術進歩によって雇用が失われる可能性について理論分析と数量分析を行った。当該年度中に複数の専門誌にて審査を受け、まだ掲載は決まっていないものの、審査から得られたコメント等を元に、分析結果の中身を精査し、研究の新規性を打ち出すにはどうするか、新しい方向性を発見するに至った。
    プロジェクト1の研究成果である論文「Priminence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」が経済学分野で伝統のある学術誌の審査に残っており、2度の書き換え作業を経て、23年度中には掲載が決まると見込まれる。この研究成果を土台として次の研究に進むことが可能になる。プロジェクト2についてもすでに専門誌に2本掲載が決まっており、残りの研究期間を使って他の現在進行中の研究を完了させることができる見通しになったから。
    プロジェクト1「摩擦的市場における企業規模」については、引き続き花薗教授との共同研究を推進し、市場の摩擦と市場支配力の推移について分析を進め、ますます加速してゆく情報化社会の中で少数の企業が巨大化していくのか、それとも多数の企業による競争的な市場に向かっていくのかについて解明を進める計画である。プロジェクト2「摩擦的市場と景気変動」についても引き続き宮本教授と研究を進め、当該年度までに複数の方向で数理モデル構築とシミュレーションが進んでいる研究成果について、次年度中にそれぞれ論文にまとめていくことを目標としている。

  6. 市場支配力とマクロ経済:サーチ理論による産業組織、景気変動と格差の分析

    研究課題/研究課題番号:23K20144  2020年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    工藤 教孝, 花薗 誠, 宮本 弘暁, 田中 頌宇将, 尾山 大輔

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    本研究は、微小な粒子同士のランダムなぶつかり合いとして経済活動を再定義する「サーチ理論」という新理論を用いて「市場支配力の源泉はどこにあるのか」を問う。これまでの研究において、支店の店舗数が多いなど、消費者が遭遇する頻度が高いという意味での企業規模が大きいほど、その企業の価格支配力が高まることを厳密な数理モデルの解析ならびにコンピューターシミュレーションを通じて明らかにした。また、サーチ理論を労働市場分析に応用することで、景気変動上の雇用調整を高い精度で分析可能な数理モデルを開発中である。
    プロジェクト1:摩擦的市場における企業規模 本プロジェクトは、研究代表者が長年研究してきた「サーチ理論」を「産業組織論」に応用するという方法を採用し、産業組織論をサーチ理論を通じて再構築するプロジェクトである。研究分担者との共同研究の成果をまとめた論文「Priminence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」が権威ある国際学術誌 International Economic Review に掲載が決まり、オンライン版はすでに掲載されている。本プロジェクトにより、支店数の意味での企業規模拡大が価格支配力を与えるというメカニズムを明らかにした。
    <BR>
    プロジェクト2:摩擦的市場と景気変動 研究代表者と研究分担者による共同研究の成果のひとつ「Time Aggregation and Unemployment Volatility」では、労働市場統計の集計上のバイアスが景気変動を過小に計測してしまう可能性についてシミュレーションによって明らかにし、Economics Bulletinという国際専門誌に掲載された。
    <BR>
    本研究課題の重要テーマの一つである格差についての研究としては、分担者とともに「Robots and Unemployment」という論文に取り組み、技術進歩によって雇用が失われる可能性についての分析を可能にする数理モデルの枠組みを開発し、理論分析と数量分析を行った。また、労働分配率の推移を理解するために「Hours of Work and the Labor Share」というテーマで新規の研究を進めており、学外の研究会で発表を行いながら論文にまとめる準備を進めている。
    プロジェクト1の研究成果「Prominence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」が権威ある国際学術誌 International Economic Review への掲載が決まったため、全体的には目に見える成果の出た年度であったと評価できる。しかしながら、審査期間が非常に長く、論文の書き換え作業に多大な時間と労力を要したため、本プロジェクトから派生する新規プロジェクトの推進には思うように時間を注ぐことができなかった。
    <BR>
    プロジェクト2については、全体としては共同研究の中で常に分析・仕上げ・新規派生プロジェクト立案が動いており、その意味では順調に研究が進んでいる。しかし、研究成果を高いランクのジャーナルに挑戦しては棄却されるということを繰り返した結果、ひとつの論文の書き換え作業が繰り返される結果となり、当初仕上げる予定の論文の完成に遅れが出ただけでなく、関連プロジェクトの仕上げスケジュールにも遅れが出た。しかしながら、挑戦するジャーナルのランクが高いと採択率が下がるのは当然のことであり、この遅れは当初よりある程度見込んでいる。研究自体の行き詰まりは生じていない。
    プロジェクト1「摩擦的市場における企業規模」については、引き続き研究分担者である花薗教授との共同研究を推進し、International Economic Review 誌に掲載が決まったばかりの論文「Prominence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」を起点として複数の新規プロジェクトを立ち上げる計画である。特に、企業の価格支配力(Market Power)について、摩擦の果たす役割に注目しながら更なる解明を進める計画である。
    <BR>
    プロジェクト2「摩擦的市場と景気変動」についても引き続き研究分担者の宮本教授と研究を進める。すでに数多くの関連プロジェクトが進行中であるため、その中から優先的に仕上げるプロジェクトを選定し、それらの研究成果については最終年度である次年度中にそれぞれ論文にまとめていく計画である。また、関連する新規プロジェクトを複数立ち上げながら、より大きなテーマ設定を目指すことも目標としている。

  7. 日本酒産業の経済学的解明-サケノミクスの構築に向けて

    研究課題/研究課題番号:18K18575  2018年6月 - 2021年3月

    科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

    阿部 顕三, 安達 貴教, 花薗 誠, 大湾 秀雄

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    本研究では、日本酒の経済分析(サケノミクス)に関する萌芽的研究を行った。調査研究では、聞き取り調査によって、日本酒の生産者の効率化や輸出と差別化の関連に関する示唆を得た。実証研究では、小売データを用いて、季節的な消費行動の変化や他のアルコール飲料との代替性などについて示唆を得た。また、理論分析おいては、大企業と小企業が共存する経済モデルを応用し、日本酒に対する需要変化の影響を明らかにした。
    本研究は、これまで焦点の充てられてこなかった日本酒の経済分析(サケノミクス)に初めて着手した。日本酒産業は日本の伝統産業の一つであり、独特な生産方式、企業(酒蔵)組織、産業組織の特徴を明らかにし、それらの特徴を捉えた経済分析を行う点で重要な意義がある。また、日本酒産業の発展に寄与する政策の立案にも示唆を与えるものである。

  8. 契約と組織の先端的経済分析

    研究課題/研究課題番号:18H03640  2018年4月 - 2023年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    伊藤 秀史, 室岡 健志, 水野 敬三, 石田 潤一郎, 石黒 真吾, 花薗 誠, 大湾 秀雄, 大洞 公平, 三浦 慎太郎, 石原 章史, 小佐野 広, 神戸 伸輔, 中泉 拓也

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    以下のワークショップ,コンファレンス,学会報告,学術出版を通じて,契約理論と組織の経済学分野で,複数大学にまたがる国際水準の研究拠点を形成する成果をあげてきた.(1) 定期的な月例ワークショップCTW (2) 各年度8月上旬のサマー・コンファレンス (2020~2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止) (3) 各年度12月に開催され,日本,台湾,香港,韓国の研究者を中心とする東アジア国際共同コンファレンス (2020~2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止) (4) その他のコンファレンス,ワークショップ (5) 国内外学会等での研究報告・研究交流および学術出版.
    契約理論と組織の経済学の分野の複数大学にまたがる研究拠点として,25年を超える期間にわたって毎年ほぼ毎月定期的にワークショップ開催を継続し,ワークショップでの報告から学術出版につなげ続けている研究組織は,国内はいうまでもなく海外にもほとんど存在せず,国際的にも同分野のハブとして機能し続けることの学術的意義は大きい.さらに同分野の研究成果が国内学界,官庁,実業界における共有知識となっていない中で,本研究成果は教科書出版,雑誌連載,学部教育,大学院教育,ビジネススクール教育等で地道に貢献を続けるという社会的意義につながっている.

  9. 品質評価とモニタリングの不完備性が調達入札に与える影響

    研究課題/研究課題番号:17KK0067  2018年 - 2022年

    科学研究費助成事業  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)

    花薗 誠

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:11050000円 ( 直接経費:8500000円 、 間接経費:2550000円 )

    調達入札において、モニタリングの不備と破産の可能性が認められると、業績評価を用いて事業者の努力インセンティブを高めようとすることが、入札段階での逆選択を招くことを理論的に示した。インセンティブの強度を高めると、落札する事業者はデフォルトを起こしやすく、費用効率も低下する。この研究に加えて、調達入札理論と実証分析の基盤を拡張し、一般の総合評価ルール、多次元の費用構造・タイプ構造の下で入札者がどのように戦略的意思決定を行うのか、また、データからどのようにモデルのパラメータを推計可能かを論じるための構造、条件を明らかにした。
    本研究の社会的意義は、調達入札の制度設計に関する重要な示唆、改善の方向性を与えたことにある。具体的には、事後的な業績評価やそのインセンティブ設計がもたらす問題点・トレードオフ(強いインセンティブが逆選択を招く)を明らかにしたことである。学術的意義としては、本研究により拡張された調達入札のゲーム理論的な基盤整備により、今後の理論的研究の発展や構造推定を通じた実証研究の促進が期待されることを挙げられる。

  10. 区分的線形である非線形価格に関する研究

    研究課題/研究課題番号:15K03363  2015年4月 - 2019年3月

    渡部 真弘

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    本研究の目的は、プリンシパル・エージェント問題において、運用上のコストが高いと思われる最適契約を十分に代替するような屈折点を伴う区分的線形契約の可能性を模索することであった。私的情報の分布の歪みや、反実仮想(counterfactual thinking)や曖昧な情報(epsilon-contamination)といった経済主体の心理的側面が、最適契約と簡素な契約に与える影響について考察した。例えば、インセンティブ契約に関しては、屈折点を伴う簡素な報酬制度を適切に設定すれば、労働者の私的情報の分布の歪みの程度に関わらず、最適契約のパフォーマンスを十分に近似することが可能であることが確認された。
    本研究では、公共料金や携帯電話料金に用いられているような区分的線形契約 (ブロック料金制) や労働者に対するインセンティブ契約に関する経済学的根拠を模索した。企業が直面している消費者や労働者の属性の分布の不均一性や、反実仮想 (counterfactual thinking) や曖昧な情報 (epsilon-contamination) といった経済主体の心理的側面を考慮する状況において、理論上の非線形的な最適契約とは形状が異なるが、最適契約を十分に代替するような簡素な区分的線形契約の可能性について考察した。

  11. 調達の経済分析:理論と応用

    研究課題/研究課題番号:15H03346  2015年4月 - 2019年3月

    花薗 誠

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:14430000円 ( 直接経費:11100000円 、 間接経費:3330000円 )

    第一に、公共調達の入札や契約に関する分析の基礎を拡充し、入札者の行動原則や望ましい制度設計についての理解を深める事に貢献した。具体的には、一般的な総合評価のもとでの入札行動のモデル化、品質が多次元である場合の最適な評価ルールの設定方法、および大規模な入札データから談合などの入札行動を探知する方法の確立などである。
    第二に、調達のデザインがどのような効果を持つのかに関連するいくつかの知見をえた。具体的には、調達における財の抱合せの効果の実証的な解明、および複数の財の調達を同時または逐次に入札する場合の入札者のインセンティブの理論的な解明である。
    本研究の学術的な意義として、調達の経済学の理論的・実証的基礎がより強固にされたことから今後の調達の経済学的な分析が深められ、加速することを挙げることができる。また、社会的意義としては、公共調達や電力調達において、用いられる方法(評価ルールや調達デザイン)の差異が、調達される財の価格や質にどのような影響を与えるのか、あるいはどのような方法を用いればより望ましい結果に導くことができるかという、現実社会において極めて重要な問題に対して示唆を与えられる点を挙げることができる。

  12. スコアリングオークションの基礎的課題

    研究課題/研究課題番号:15K13005  2015年4月 - 2018年3月

    花薗 誠

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:3120000円 ( 直接経費:2400000円 、 間接経費:720000円 )

    スコアリングオークション(総合評価方式入札)の理論モデルを構築し、以下のような汎用性の高い結果を得た。第一に、事前には対称的な入札者によるオークションについて、私的情報が多次元である場合のゲームの均衡が存在するための条件を導いた。その条件とは、入札者の固定費用に影響する私的情報と可変費用に影響する私的情報が別々の次元に属しているというものである。第二に、入札者の私的情報が一次元であるケースでの、予定価格や品質の上限、下限等の制約が課される場合について分析を行い、成果を得た。特に、不等式で表される制約が同時に等号を満たすことがなければ、制約がない場合と変わらない分析が可能であることを導いた。

  13. 契約と組織の経済学

    研究課題/研究課題番号:25245031  2013年4月 - 2018年3月

    伊藤 秀史

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    以下のワークショップ,コンファレンス,学会報告等を通じて,2016年ノーベル経済学賞受賞対象となった契約理論と組織の経済学分野で,複数大学にまたがる国際水準の研究拠点を形成する成果をあげてきた.(1) 合計40回,16名の海外からの研究者による研究報告を含む定期的ワークショップCTW (2) 各年度8月上旬のサマー・コンファレンス (3) 各年度12月に開催され,台湾から香港,アジア・太平洋に拡大しつつある国際共同コンファレンス (4) 12名の海外からの研究者による研究報告を含む東京地区でのワークショップCTWE (5) 47件の国内外学会等での研究報告・研究交流および31本の学術論文.

  14. 長期的関係下のインセンティブ契約

    2008年

    科学研究費補助金  若手研究(B),課題番号:20730131

    花薗 誠

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

▼全件表示

 

担当経験のある科目 (本学) 6

  1. 経済数学B

    2012

  2. ミクロ経済学II

    2012

  3. 上級価格理論I

    2012

  4. 経済数学B

    2011

  5. Game Theory

    2011

  6. ミクロ経済学II

    2011

▼全件表示