科研費 - 杉浦 正利
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日本語学習者の作文コーパス:電子化による共有資源化
1996年4月 - 1999年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
大曾美恵子
担当区分:研究分担者
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マルチメディアと通信を利用した日本語学習支援ツールの開発
1995年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 試験研究 (B)
斎藤洋典
担当区分:研究分担者
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インターネットを利用した語学教育
1995年4月 - 1996年3月
科学研究費補助金 総合研究(B)
尾関修治
担当区分:研究分担者
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第二言語としての日本語の係り受け距離に基づく統語発達指標の研究
研究課題/研究課題番号:24K04011 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小森 早江子, 杉浦 正利
担当区分:研究分担者
本研究は、第二言語としての日本語の係り受け距離に基づく統語発達指標に関する基礎的研究である。日本語学習者の統語発達をデータに基づいて検討し発達過程を分析する。統語の複雑さの研究の指標として語と語の係り受け関係を示すMDD(平均係り受け距離)や、統語構造の階層性から複雑性を測るMHD(平均階層距離)などの係り受け距離に基づく指標の有効性を検証する。学習者の発達過程は個人差が大きく、横断データでの調査には限界があるため3年間の縦断調査を実施して、個々の学習者の言語発達過程を詳しく観察し一般化線形混合モデル(GLMM)などの分析手法で解析して、日本語統語運用能力の発達と統語発達の指標の関係を分析する。
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マルチモーダル刺激の統合処理と外国語学習への効果 -眼球運動とMRI実験に基づく考察-
研究課題/研究課題番号:24K00088 2024年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
梶浦 眞由美, 石田 知美, Jeong Hyeonjeong, 古泉 隆, 杉浦 正利
担当区分:研究分担者
外国語学習において、動画キャプション等、様々な感覚から情報を得るマルチモーダルな刺激入力は、情報量が多く予測誤差が小さいため、理解や習得が促進されるとする一方、ワーキングメモリ(WM)に負荷がかかり過ぎ、同時に処理しきれず、習得に繋がらない可能性も示唆されている。本研究の目的は、マルチモーダル入力の効果に影響を与える要因を探索し、効果的なマルチモーダル情報の提示方法や外国語学習への応用の仕方を、トレーニング実験、視線計測実験、MRI実験から検討することである。さらに情報を瞬時に取捨選択し処理するWM実行機能に関連した複数刺激処理モデルを構築することにも取り組みたい。
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研究課題/研究課題番号:23K20097 2020年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
杉浦 正利, 阿部 大輔, 江口 朗子, 古泉 隆, 村尾 玲美, 阿部 真理子
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
日本語を母語とする英語学習者が、英語を使って話したり書いたりできるようになる第二言語(外国語)の習得過程に関する基礎的データを初期段階から収集し、第二言語処理能力の発達過程を明らかにする。
小学校での英語の導入後、本格的に英語を習い始める中学1年生から3年生までの3学年分のスピーキングとライティングの産出データを3年間継続して収集し、英語学習の初期段階からの横断的かつ縦断的学習者コーパスを構築し、語彙・文法・表現・構文、そして発話単位などの観点から第二言語(外国語)の習得過程を明らかにし、第二言語処理能力の発達メカニズムを説明する理論構築を目指す。
本年度は、本調査2年目のデータ収集及びデータ整形を進めるとともに、主に三つの分析を行った。
データ収集は、昨年同様、年二回の調査とTOEFL Primary Speaking Testを行った。語彙サイズテストは第1回目に、ライティングデータの収集は第2回目に合わせて行った。
分析は、まず、分析ツールとして第一言語としての英語の統語発達研究で使用実績のあるIPSynを使って第二言語習得の発達を測定できるかどうかを検証した。第1回予備調査で収集した中学1、2、3年生のデータを横断的に分析した結果、学年間で有意なスコアの伸びを観察することができた。また、名詞句、動詞句、疑問・否定、構文の4つの下位区分のうち、動詞句がスコアの伸びに最も大きく寄与し、名詞句は有意な影響がないという結果を得た。(LCR2022で発表)
次に、話し言葉と書き言葉とで発達に違いが見られるかどうかを、第2回予備調査で収集した話し言葉データと書き言葉データを対象にIPSynで分析し比較した。その結果、スコアは全体的に話し言葉の方が高かったが、発達の傾向に違いは見られなかった。(JSLS2022で発表)
統語発達の分析に使用したIPSynは、もともと第一言語としての英語の統語発達研究用に開発された。それによって第二言語としての英語の発達も観察できることは確認できたが、第二言語習得研究分野独自の処理可能性理論(PT)に基づいて第二言語としての英語の統語発達を観察するために、PTで言語発達のステージ判定に使われている言語特徴を基にIPSynのプログラムの改良を試みた。この改良版IPSynプログラムを使い第1回本調査で収集した発話データを対象に分析した結果、スピーキング能力の発達を説明するモデルとして使用できる可能性があることが確認できた。(JSLS2023で発表予定)
年2回のデータ収集及びTOEFL Primary Speaking Testは無事完了できた。整形済みデータの分析も3種類実施でき、それぞれ、国際学会で発表(予定)できた。特に、処理可能性理論に基づいた言語特徴を使った独自の定義ファイルの開発は他には類を見ず、研究分野に対する大きな貢献といえる。そうした大きな進展があった一方で、データの整形に時間がかかり、縦断的な分析が実施できていない点はマイナス点である。総合的に見て、おおむね順調に進展していると判断される。
予定通り、来年度、本調査3年目のデータ収集を行い、データの整形作業をすすめる。データの整形作業に時間がかかっている点は、より多くの大学院生に協力を求めることで解決したい。
分析面では、改良版IPSynの観察項目を増やす等の手立を使い分析精度を上げ、研究の精緻化を図っていきたい。それとともに、縦断的な分析を行うことと、独自の平均統語距離という観点から、統語単位の複雑さと統語発達の関係を分析していきたい。