KAKENHI (Grants-in-Aid for Scientific Research) -
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難治性腎疾患におけるCaMK4を介した新規ポドサイト特異的治療法の開発
2019.4 - 2022.3
科学研究費補助金 基盤研究(C)
前田 佳哉輔
Authorship:Coinvestigator(s)
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マイクロRNAと脂肪幹細胞由来エクソソームを用いた、敗血症性AKI治療開発
2019.4 - 2022.3
科学研究費補助金 基盤研究(C)
加藤 規利
Authorship:Coinvestigator(s)
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致死性血栓症における補体3型受容体の機能解明
Grant number:19K07232 2019.4 - 2022.3
水野 智博
Authorship:Coinvestigator(s)
活性化好中球が放出するヒストンにより惹起される線溶系有意の致死性血栓症は,凝固系有意の敗血症由来のものとは異なる。この致死性血栓症の発症メカニズムの解明研究は,凝固系有意の致死性血栓症治療薬とは作用機序の異なる新規治療薬開発の重要な基盤研究となる。本研究では,これまでの研究成果を踏まえ,新たに血小板凝集および組織への接着,白血球-血小板複合体に関与する補体3型受容体との関わりの重要性に着目し,Mac-1欠損およびPILRα欠損マウスへヒストンを投与して致死性血栓症モデル動物を作製し,Mac-1がヒストン誘発性致死性血栓症に関与するかどうか,を解明する。
補体3型受容体(Mac-1:CD11b/CD18)は、血小板凝集および組織への接着や白血球-血小板複合体の生成促進に関与することが知られている。我々は、ヒストン誘導性致死性血栓症モデルマウスにおいて、白血球におけるMac-1発現が亢進することを確認しているが、出血と血栓形成の双方が関与する同疾患にて、Mac-1がどのように発症へ関与するのか、詳細は不明であった。致死性血栓症におけるMac-1の関与を明らかにするため、C57BL6/J(野生型)マウスおよび同系統のMac-1欠損マウスへ細胞外ヒストンを投与し、致死性血栓症モデル動物の作製を行った。ヒストン投与後の生存期間、肺、肝・腎障害の程度,プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を評価および測定した。Mac-1欠損マウスでは、野生型マウスに比して、ヒストン投与後の生存期間が延長し、組織障害についても、軽度であった。PT、APTTについてはMac-1欠損および野生型マウス間で差が認められなかった。上記結果を踏まえ、Leukoladherin-1(LA-1)を用い、Mac-1を一時的に活性化させることで、上記遺伝子改変マウスと比較して、ヒストンによる反応性が異なるかどうかを検討した。野生型マウスにLA-1(LA-1群)およびコントロールとしてDMSO(コントロール群)を前投与し、その後ヒストンを投与することで致死性血栓症を惹起させたところ、LA-1群およびコントロール群間でヒストン投与後の生存期間、臓器障害に差は認められなかった。
2019年度の研究実施計画は、C57BL6/J(野生型)マウスおよび同系統のMac-1欠損マウスへ細胞外ヒストンを投与し、ヒストン投与後の生存期間、肺、肝・腎障害の程度、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を評価および測定することであった。上記研究を完了し、次年度前半に予定していたLeukoladherin-1(LA-1)投与実験も完了することができた。以上の結果を踏まえ、当初の計画以上に進展していると考える。
Leukoladherin-1(LA-1)前投与による致死性血栓症への影響が認められなかった要因として、ヒストン自身のMac-1活性化作用が考えられる。そのため、LA-1とは異なる方法を用い、好中球の関与を検討する必要がある。次年度は抗Ly-6G抗体を用い、好中球をdepleteさせることにより、ヒストンによる致死性血栓症に与える影響を検討する。さらに、野生型およびMac-1欠損マウスの両個体から好中球を単離し、ヒストンがNETosisへ与える影響についても、検討する。 -
補体活性と糖鎖異常に着目した二次性血栓性微小血管症(TMA)の病態解明
Grant number:19K08692 2019.4 - 2022.3
勝野 敬之
Authorship:Coinvestigator(s)
血栓性微小血管症(TMA)は腎予後、生命予後ともに不良な難治性病態であるが、早期診断法や治療法は確立されていない。申請者らは腎障害モデルにおいて、補体活性化が腎障害を増悪させることを見出してきた。近年、Glycocalyxによる血管内皮の恒常性維持作用が注目されている。本研究では、「二次性TMAでは糸球体内皮細胞上のGlycocalyxの発現が低下し、それにより補体活性化が惹起され腎障害が増悪する」という仮説を検証する。本研究を通して、TMAの早期診断や治療標的の同定につながる新たな知見を見出すことを最終目標とする。
近年、血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy : TMA)と診断される症例は増加傾向にありその原因も多様である。
わが国のTMAの実態を調査するため、日本腎臓学会による腎生検レジストリー(J-RBR)のデータを活用した横断研究を実施した。2007年から2017年の10年間で38,495例の腎生検症例が登録されており、そのなかでTMAと診断された症例は152症例(0.39%)であった。TMAの基礎疾患としては、溶血性尿毒症症候群(HUS)/血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 16.4%, 膠原病 17.1% 薬剤性16.4 %が多い結果であった。このほかにも臓器移植関連、高血圧、妊娠、悪性腫瘍などTMAの原因は多彩であった。疫学的には小児から高齢者まで幅広くTMAを発症していた。小児はHUS/TTPが有意に多いが、成人期以降では二次性TMAの頻度が増加する傾向が認められた。小児・成人・高齢者の比較では、高齢者で有意に腎機能が低下しており、糖尿病や高血圧などによる潜在的な内皮障害がTMA病態を促進させて可能性が示唆された。この結果はClin Exp Nephrol. 2020 May 15. doi: 10.1007/s10157-020-01896-7にて報告した。二次性TMAのなかでも頻度の高い膠原病関連TMAに関しては、抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome : APS)に着目し、APSにおける腎障害を報告した (J Clin Rheumatol. 2019 Nov 8. doi: 10.1097/RHU.0000000000001173)。
現在は強皮症に関連したTMA病態である強皮症腎クリーゼの予後と治療効果に関する臨床研究を実施している。二次性TMAにおける補体活性系および制御系の関与については検体収集中であり、集まり次第C5b-9などの因子を測定していく予定である。二次性TMAの動物モデルの作成は確立しておらず進歩状況としてはやや遅れている。抗悪性腫瘍薬関連TMAに関してはレジストリーに該当する症例が予想を下回っており遅れが生じている。
全身性強皮症を中心とした膠原病に関連したTMA病態の予後改善のため、臨床予後調査と治療効果に関する臨床研究を進める。薬剤性TMAに関しては、抗悪性腫瘍薬関連TMA発症の実態調査のため症例のレジストリーを進めていく。二次性TMAの動物モデルの作成についてはさらなる検討が必要である。 -
間葉系幹細胞治療における現在の問題点を解決する新たな細胞治療用カラムの開発
Grant number:19K08722 2019.4 - 2022.3
古橋 和拡
Authorship:Coinvestigator(s)
間葉系幹細胞(MSC)を用いた臨床試験はこの数年で著しく増加している。しかし、MSCを静脈内投与された患者が肺塞栓のため死亡した事例が報告されており、さらなる安全な幹細胞療法の開発が急務である。本研究では、MSCがもつ優れた成長因子・免疫制御因子の産生能力に着目し、細胞を直接体内に投与せず、これらの液性因子を体内に投与できる治療法としてMSC治療用中空糸膜カラムを開発する。これにより細胞による肺塞栓をゼロにできる。その際に、MSCの静脈内投与と遜色ない治療効果をカラムによって得るためには、MSCの活性化が必要であり、MSCを活性化する全く新しい細胞カラムを開発する。
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難治性腎疾患におけるCaMK4を介した新規ポドサイト特異的治療法の開発
Grant number:19K08723 2019.4 - 2022.3
前田 佳哉輔
Authorship:Coinvestigator(s)
ポドサイトの機能不全は慢性腎臓病の進展に中心的な役割を担う。我々は、カルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼIV(CaMK4)の活性化が、①ループス腎炎におけるポドサイト障害の原因の一つであること、②細胞骨格の制御を介したポドサイト障害と免疫複合体沈着・半月体形成に関与する知見を得た。
また、本研究では難治性腎疾患(進行性半月体形成性腎炎、治療抵抗性ネフローゼ症候群)への治療応用を見据え、①ポドサイト内のCaMK4シグナルを介した半月体形成・糸球体硬化の分子機構の解明、②CaMK4をターゲットとした半月体形成性腎炎・難治性ネフローゼ症候群のポドサイト特異的新規治療法の開発をめざす。
カルシウム/カルモヂュリン依存性キナーゼ(CaMK)シグナルに対するポドサイト特異的治療の確立のため、難治性腎疾患の一つである、難治性ネフローゼ症候群におけるCaMKシグナルの解析を行った。難治性ネフローゼ症候群の一つである巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)においては、一部でCaMK4がポドサイト上に発現上昇が認められたが、CaMK2に関しては糸球体内での発現が見られなかった。同じカルシウム/カルモジュリン誘導性のキナーゼであるのにも関わらず、両者に違いが見られたことから、上流のCaMKキナーゼ(CaMKK)に着目した。なぜなら、CaMKKは、CaMKの中でCaMK1と4の活性化に必須のキナーゼで、CaMK2の活性化には関与しないためである。CaMKKは2種類のアイソフォームを持つが、両者を阻害する低分子化合物を使用して、その役割を検討した。FSGSモデルマウスに阻害薬を投与し、尿蛋白の推移を検討した。CaMK4阻害を行った場合と同様の結果が予想されたが、CaMKKの阻害により、蛋白尿の誘導に関しては有意な差は認められなかった。長期の経過では、野生型はある時点でピークを迎え尿蛋白は改善傾向に転じるが、阻害薬投与群においては改善の遅延がみられ、有意に障害が遷延する結果となった。CaMKKはポドサイト障害の可逆性に関与している可能性があり、今後CaMKKの2種類のアイソフォームの役割の違いも含めて、各々の遺伝子欠損マウスを使用し検証していく予定である。
CaMKファミリーの発現の違いにより上流のCaMKKの調節機構の解析を要した。当初CaMK4を活性化する役割をもつCaMKKは、同様にポドサイト障害を軽減すると想定されたが、予想に反し悪化傾向を呈した。予定していたCaMK4の機能解析のみならず、上流のCaMKKの解析も行う必要があるため、やや遅れる結果となっている。
今後は、CaMKK-CaMK4経路の解析のため、CaMKKのアイソフォーム毎の機能解析を行う。そのための各欠損マウスは取得済みである。 -
Development of leukocytes and endothelial cell-derived biomarkers for glomerular endothelial injuries
Grant number:19K08739 2019.4 - 2022.3
Authorship:Coinvestigator(s)
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Changes of microbiome in patients with chronic kidney disease and new therapeutic strategy by their improvement
Grant number:19K08700 2019.4 - 2022.3
Authorship:Coinvestigator(s)
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マイクロRNAと脂肪幹細胞由来エクソソームを用いた、敗血症性AKI治療開発
Grant number:19K08676 2019.4 - 2022.3
加藤 規利
Authorship:Coinvestigator(s)
敗血症は、全世界的にみても死亡率が高い重篤な疾患である。また新たな治療法の開発は遅れ、生存率の改善は停滞している。我々はToll like receptorシグナルをmiRNAによって制御するといった、新しいアプローチによる治療を報告してきた。一方で幹細胞由来のエクソソームには、炎症性疾患における治療効果が報告されており、今回は低血清培地型脂肪由来幹細胞のエクソソームを用いて、我々が見つけ出したmiRNAを敗血症モデルマウスに投与して、治療効果の上乗せが可能かどうか、検証を行う。
核酸医薬は、昨今開発が進む抗体医薬や細胞医薬に比して安価に安定的に生合成され、一度定めたプラットフォームを用いることによって、様々な疾患に応用可能な治療薬として注目を集めている。我々は、生体内に存在する自然のRNAi機構であるmicroRNA(miRNA)の治療的応用を目指し、過去においてPolyethylenimine (PEI)をドラッグデリバリーシステムとして用い、NF-κBを負に制御するmiR-146aを投与することで、敗血症モデルマウスの高サイトカイン血症を抑制し、生存率を高める事に成功してきた。
一方細胞治療は、一部すでに実用化も進んでおり、様々な臨床的効果が期待されているが、核を含む細胞を体内に投与する事で、拒絶や癌化といったリスクが危惧されている。そこで細胞自身を投与するのではなく、細胞の放出する細胞外小胞、とくにエクソソームに着目し、エクソソームを投与することで細胞投与と同等の効果を認めたとする報告が多く見られるようになってきている。
本研究は、当科で細胞治療研究として取り組んできた脂肪由来幹細胞(ASC)由来エクソソームを、それだけで投与するのではなく、治療効果をすでに確認しているmiRNAと組み合わせることで、治療の相乗効果を狙った新しい治療プラットホームの開発を目的としている。
動物実験の解析により、投与したmiR-146a 発現プラスミドの作用点は脾臓であることが判明している。本年度においては、先行研究で用いたmiR-146a発現プラスミドは生体応用し難いため、成熟miRNAおよび人工核酸においても同等に脾臓がターゲットとして治療効果を得られるかを中心に検証すべく研究を行った。
脾臓は二次リンパ節としては最大で、敗血症の発症において抗原提示、免疫の増幅、全身性へのサイトカイン産生の主たる臓器として役割を持っている。先行研究においてはmiR-146a発現プラスミドを用いており、発現に時間がかかるとともに生体の核内に遺伝子が導入されてしまうことになるため、一過性発現かつ即効性のある成熟miRNAを用いて、脾臓での取り込みを確認した。
まず成熟miRNAを、PEIをドラッグデリバリーシステムとして脾臓への直接注射を行い、脾臓に投与後24時間をピークに48時間まで検出可能であることを確認した。脾臓に直接投与した場合、ごく一部合流した門脈を介して肝臓においても検出されたが、腎臓、肺には影響を及ぼさなかったため、他臓器への影響は限局的であることが示唆された。また同様に先行研究で明らかになったmiR-146aの脾臓マクロファージへの取り込みに関しても、F4/80による脾臓細胞のセレクションにより証明した。
次に盲腸結紮穿孔モデルによりマウスに敗血症を起こし、同様にmiR-146aを投与した所、対照群(スクランブル配列)と比較して、Cr, BUN, AST, ALT, LDHを低下させることが可能であった。ただし、死亡率はmiR-146a投与群でむしろ悪化しており、治療により死亡を増やすが、生存した群においては治療効果を示すという結果となった。
さらによりエクソソームに近いと考えられる、リポソームをドラッグデリバリーシステムとして用いた治療実験において、現時点で治療効果は確認できていない。
マウス盲腸結紮穿孔モデルに置いて、miR-146a脾臓注射が治療効果を示す一方で死亡率を高めた理由の考察として、miR-146aが脾臓のマクロファージに取り込まれるところは確認されており、そのNF-κB抑制作用によりサイトカイン産生を抑制することから、(1)腹腔内の感染、菌血症に対する炎症の初期反応が抑制されてしまった可能性、(2)より晩期の免疫抑制によりsecondary infectionを引き起こした可能性の両面が考えられる。
そもそも先行研究において効果が見られた原因としては、敗血症晩期の過剰な免疫反応としてのサイトカインストームを抑制するところにあり、感染成立初期の特に自然免疫の反応を抑制してしまった場合は最近の増殖を抑えきれず、そのまま死に至ると考えられるし、晩期の免疫力が正常に戻った後過剰な免疫抑制を起こした際は、二次感染で死亡する。つまり投与するタイミングが非常に重要であり、我々の先行研究においては、敗血症を起こす前に事前投与していたが、miR-146a発現プラスミドであったことから、効果の発現に時間がかかり、時期としてちょうど首尾よくサイトカインストームを抑制した可能性がある。
臨床応用に関しては、事前投与は困難であることから、今後は(1)の可能性を考慮して、敗血症モデル作成直後に投与すするのではなく、数時間空けて投与することで反応を確認していく予定である。
また、投与方法として脾臓直接注射は多臓器への影響が少なくより選択的に治療対象とする脾臓マクロファージに取り込まれるが、生体に与える侵襲も高い。よって今後は静注、腹腔内投与と言った別経路による治療を検討し、条件を確定していく予定である。 -
蛋白尿可視化透明モデル動物による特発性巣状分節性糸球体硬化症の液性病因の解明
2019.4 - 2021.3
科学研究費補助金 研究成果公開促進費 (研究成果公開発表)
Authorship:Principal investigator
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日本の一次性膜性腎症における責任抗原ごとの病態理解と新規診断法の確立
2019.4 - 2021
科学研究費補助金 基盤研究(C)
秋山 真一
Authorship:Coinvestigator(s)
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糖尿病性腎臓病における2つのフルクトース代謝酵素の役割の解明とその治療応用
2018.4 - 2021.3
科学研究費補助金 基盤研究(C)
石本 卓嗣
Authorship:Coinvestigator(s)
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臨床応用を指向した腎疾患病型スクリーニング法の開発
2018.4 - 2021.3
科学研究費補助金 基盤研究(C)
平山 明由
Authorship:Coinvestigator(s)
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臨床応用を指向した腎疾患病型スクリーニング法の開発
Grant number:18K08219 2018.4 - 2021.3
平山 明由
Authorship:Coinvestigator(s)
本年度は、前年度に同定したループス腎炎のバイオマーカー候補について、液体クロマトグラフィー―質量分析計を用いた高速分析法の開発を行った。これにより、従来キャピラリー電気泳動―質量分析計を用いて30分かかっていた測定時間を約10分に短縮することが可能になった。
また、バイオマーカー候補については異なる時期に採取されたバリデーション用検体を用いて、マーカーとしての感度・特異性の検討を実施した。7つの異なるネフローゼ疾患患者尿120検体を用いてバリデーション試験を実施した結果、独立した検体群においてもループス腎炎を他の6種のネフローゼから高精度に判別できることが証明された。
また、検体の臨床情報との相関についても検討を実施した。検体のベースラインデータとの相関を検討した所、BMIと体重には弱い相関がみられたが、その他は相関が見られなかった。さらに、ループス腎炎に関しては病理型との関連も検討したが、顕著な関連は見られなかった。本マーカーは、濃度が低い方が完全寛解が遅く、腎機能悪化も多い傾向が見られ、濃度の高い方が予後が良い傾向が認められた。
さらに、ループス腎炎患者血漿中のマーカー濃度についても検討を行った。10名のループス腎炎患者の血漿中のマーカー濃度を健常者と比較した所、尿同様に患者血症中でも高い傾向が認められた。
マーカー代謝物の化学合成に少し時間を要しているが、おおむね計画通り進んでいる。
共同研究先への結果のフィードバックを速やかに行い、必要に応じて追加検体を受け取れる体制を整えていく。 -
The roles of two isoforms of fructokinase on diabetic kidney disease
Grant number:18K08238 2018.4 - 2021.3
Authorship:Coinvestigator(s)
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日本の一次性膜性腎症における責任抗原ごとの病態理解と新規診断法の確立
Grant number:18K08239 2018.4 - 2021.3
秋山 真一
Authorship:Coinvestigator(s)
本研究では、膜性腎症の中でも責任抗原が不明な特発性膜性腎症について未知の責任抗原の解明を目指すと共に、Phospholipase A2 receptor(PLA2R)やThrombospondin 7A(THSD7A)を含む各責任抗原に対する自己抗体を指標にした病態理解および新規診断法の開発に取り組んでいる。
研究2年目の進捗は以下の通りである。未知の責任抗原の同定では、研究1年目に開発した患者血清を用いた免疫沈降法を用いて抗原検索を継続した。また、昨年度の実験で得られた新規抗原候補となるタンパク質の同定作業にも取り組んだ。質量分析により得られた新規抗原候補群からポドサイトに発現する膜タンパク質を抽出して、各候補抗原のcDNA断片を組み込んだ発現ベクターを作成し、各種組換えタンパク質を取得した。得られた抗原タンパク質を用いて患者血清に対する結合試験を開始した。一方、既知責任抗原であるPLA2Rのエピトープ解析では、海外の先行論文にて一次性膜性腎症患者がもつ自己抗体のエピトープとして報告されているシステインリッチドメイン(CysR)、Cタイプレクチンドメイン1番(CTLD1)、Cタイプレクチンドメイン5番(CTLD5)、Cタイプレクチンドメイン7番(CTLD7)、Cタイプレクチンドメイン8番(CTLD8)に対するエピトープ分布解析に取り組んだ。各ドメインの組換えタンパク質を調製して、抗PLA2R陽性一次性膜性腎症患者の診断時血清を用いて解析を実施した。その結果、日本人患者ではエピトープ分布と病勢・予後との間に海外症例で報告されたような明瞭な相関は認められず、日本人患者では診断時の抗PLA2R抗体濃度の方がより予後との相関が強いことが示された。
未知抗原の同定では候補抗原の発現と患者自己抗体に対する結合性確認を繰り返す作業に移行できている。自己抗体濃度やエピトープ分布による病勢・予後解析では計画通りに推進できてデータの蓄積が進んでいる。
順調に進展しているため今後も当初の研究計画に沿って進める。具体的には、未知抗原同定とPLA2R関連膜性腎症患者およびTHSD7A関連膜性腎症患者の血清を用いた自己抗体濃度およびエピトープ分布による病勢・予後診断法の検討を進める。 -
間葉系幹細胞特異的マーカーを利用した糸球体腎炎の病態解明と新規細胞治療法の開発
2017.4 - 2020.3
科学研究費補助金 基盤研究(B)
Authorship:Principal investigator
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間葉系幹細胞に着目した腎間質線維化の機序解明と新規治療法の開発
2017.4 - 2020.3
科学研究費補助金 基盤研究(C)
齋藤 尚二
Authorship:Coinvestigator(s)
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Analysis of the role of mesenchymal stem cell marker Meflin in kidney fibrosis
Grant number:17K09696 2017.4 - 2020.3
Saito Shoji
Authorship:Coinvestigator(s)
Fibrosis is a key regulator of organ damage.myofibroblast is essential for rise of fibrosis, and it is said that MSC is one of the origin. We previously report that a cell surface and secreted protein, Meflin, is expressed in cultured MSCs, fibroblasts and pericytes, but not other types of cells including epithelial, endothelial and smooth muscle cells. We also found Meflin is a potential marker for cultured MSCs and focused on the mechanism of fibrosis by investigating Meflin.
We discovered that Meflin expresses in intersititum and around the vascular pole of glomerulus. And its’ expression increases when glomerular inflammation and fibrosis progresses.We also investigated the manner of Meflin positive cells with Meflin reporter mice generated in our lab.
In vitro study also suggested that Meflin is positively regulating kidney fibrosis. -
Analysis of the role of mesenchymal stem cell marker Meflin in glomerulonephritis
Grant number:17H04186 2017.4 - 2020.3
maruyama shoichi
Authorship:Principal investigator
Grant amount:\16900000 ( Direct Cost: \13000000 、 Indirect Cost:\3900000 )
We previously report that a cell surface and secreted protein, Meflin, is expressed in cultured MSCs, fibroblasts and pericytes, but not other types of cells including epithelial, endothelial and smooth muscle cells. We also found Meflin is a potential marker for cultured MSCs and focused on manner of Meflin with the onset of glomerulonephritis.
We discovered that Meflin express in intersititum and around the vascular pole of glomerulus. And its’ expression increases when glomerular inflammation and fibrosis progresses.
We also investigated the manner of Meflin positive cells with Meflin reporter mice generated in our lab.