科研費 - 渡邉 彰
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原位置バイオレメディエーションにおける地下地盤環境の微生物群集の動態解析と制御
2002年7月 - 2005年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)(一般)
担当区分:研究分担者
科研費
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作物根系の水吸収・通導に関わる発育機能形態
2001年7月 - 2003年1月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)(一般)
担当区分:研究分担者
科研費
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土壌中における芳香族化合物の分解・抱合体生成過程と関与する微生物群の解析
2000年7月 - 2002年1月
科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)(一般)
担当区分:研究分担者
科研費
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水田各部位の生物相に関する研究
1999年7月 - 2001年1月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)(一般)
担当区分:研究分担者
科研費
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ガス体炭素基質ーCO2, CH4の微生物利用が水田土壌の物質動態に果たす機能の解明
研究課題/研究課題番号:24K01654 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
村瀬 潤, アシルオグル ムハンメットラシット, 渡邉 彰, 渡邉 健史, 沢田 こずえ
担当区分:研究分担者
水田は温室効果ガスであるメタンの重要な発生源の1つであるが、土壌の表層ではメタンの酸化が活発であり、大気への放出を抑制している。また水田土壌の表面では土壌藻類の光合成による二酸化炭素の吸収も活発である。メタンの酸化と二酸化炭素の吸収は、水田土壌表層で隣接して起こる微生物反応であり、相互に影響しながら炭素を中心とする土壌の物質循環や他の微生物活動に影響を与えていると想定される。本研究では、水田表層土壌における2つの温室効果ガスの微生物利用の実態と水田土壌生態系における意義を明らかにする。
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結合型土壌有機物プール形成過程の解析による土壌有機炭素安定化の解明
研究課題/研究課題番号:22H02228 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
渡邉 彰
担当区分:研究代表者
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
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結合型土壌有機物プール形成過程の解析による土壌有機炭素安定化の解明
研究課題/研究課題番号:23K23495 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
渡邉 彰
担当区分:研究代表者
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
土壌有機物量を増大あるいは高く維持することは、持続的な農業と環境(地球温暖化対策)両面において重要であり、そのためには土壌有機物を安定化する機構の発現が不可欠である。本研究は、土壌有機物安定化の実体を、結合型土壌有機物の生成(形成)および分解(置換)過程の解析から明らかにすることを目的とする。そのために、各種有機物の粘土への吸着とその後の分解性、結合型土壌有機物と植物または微生物由来有機物との置換、団粒外部からの水溶性有機物の浸透による結合型土壌有機物形成の可能性等に関する実験を行い、それらを通して結合型土壌有機物プールが構築されていく過程の再現に取り組む。
本研究は複数のモデル実験による多角度的な解析によりSOC安定化の実体を明らかにすることを目的とし、本年度は、SOMを多く含む土壌における微生物由来有機物からの結合型SOMの形成、有機物の化学構造と有機-無機複合体形成との関係、水溶性有機物の吸着による団粒形成とその安定性について調べた。土壌微生物の13C標識は、元々結合型SOMを多く含む土壌においても、微生物由来SOCの80%以上が結合型として蓄積することを示し、アルキルCあるいは同時に標識されたカルボキシCの結合への寄与を示唆した。実際、標識が確認された化合物の多くは、直鎖・分岐・不飽和脂肪酸類であった。一方、土壌中における存在と構造特性の異同に着目して選抜した低分子有機酸、含N化合物、多糖類、リグニン、H層水抽出有機物(WEOM)、フミン酸等の粘土鉱物との有機-無機複合体形成実験では、フミン酸、レシチン等構造中に疎水性部位と親水性部位を両方持つ有機物がモンモリロナイト、アロフェンいずれにも多く吸着すること、アルコール性水酸基よりもカルボキシ基の方が吸着に対する寄与が大きいこと、カルボキシ基を有していても分子量が小さいと吸着量が低くなることなどが示唆された。また、多くの有機物の吸着量がpH4>pH6であり、IRスペクトルの変化やpKaから水素結合の関与が示唆された。ただし、IRの変化に基づく吸着機構の解析には感度、精度を改善する必要がある。水溶性有機物の化学構造と団粒形成/安定性との関係は、6種の土壌有機資材から調製したWEOMを用いて調べた。それらの土壌への添加は、30日間の透水培養の後、>2 mmの団粒を増大させ、一部は団粒安定指標値(GMD、MWD)を増大させた。13C NMR、IR、HPSEC分析の結果、これらの機能は、O-アルキルCおよび高分子(>10 kDa)成分を多く含む試料で強いことが明らかにされた。
SOMを多く含む土壌における微生物由来有機物からの結合型SOMの形成については、一部データの追加が必要ではあるが、主要実験結果の解析は終了している。水溶性有機物の吸着による団粒形成とその安定性に関しては、既に論文を作成し、学術雑誌に投稿済みであり、現在審査中である。各種有機物の粘土鉱物への吸着に関しては、直接的な吸着について重点的に実験を行い、知見を収集した。ただし、赤外顕微鏡による結合様式の推定には改良が必要であり、現在も検討中である。
各種有機物の粘土鉱物への吸着に関しては、直接的な結合に続き、形成された有機物-粘土鉱物複合体上への多価金属を介した吸着について研究を進める一方、吸着による生物分解性の変化を培養試験において確認することで、土壌中で起こっている反応の再現へと展開していく予定である。また、結合様式を評価するための赤外顕微鏡観察について、必要な有機物濃度の確認とともに、ATR法の適用を検討することで、方法を確立する予定である。さらに、結合型SOMの形成における微生物由来有機物の優位性に関して、化学構造的に植物由来有機物よりも土壌粒子との親和性が高いのか、あるいは団粒内部や土壌粒子上に微生物が存在することで土壌粒子との結合に有利なだけなのかを見極めるために、菌体と菌体から放出される水溶性有機物を分けて土壌に添加し、既存の結合型SOMとの置換、集積過程を捕捉することを試みる。 -
研究課題/研究課題番号:16H05784 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
眞家 永光, 渡邉 彰, 池永 誠, 落合 博之, 髙松 利恵子, 丹治 肇, メリング ルーリー
担当区分:研究分担者
熱帯湿地林を油ヤシプランテーション(OPP)に開発した際の泥炭へのインパクトを明らかにするため,開発後の泥炭の分解速度と分解過程,および,それに影響を及ぼす要因について調べた。その結果,1)泥炭は分解に伴い細粒化し,泥炭の種類によっては,分解を抑制する負のフィードバックが働く。2)水分は,酸素の拡散速度を低下させるが,基質の移動性を高めるため,泥炭の分解に対し二面性を示す。3)泥炭の圧密は,酸素の拡散速度を抑え,泥炭の分解を抑制する。4)原生林下の泥炭中の微生物叢は,主要細菌の割合は異なるが類似している。5)OPPにおける泥炭の分解速度に,雨季の雨量が影響する可能性がある,ことを明らかにした。
本研究の成果は,地球規模の炭素バランスに大きく影響を及ぼす熱帯泥炭土の,開発に伴う炭素循環プロセスの変化とそのメカニズム,および,熱帯泥炭土の持続的農業利用を成功させるための圃場管理に関する貴重な基礎的知見となるものである。熱帯泥炭は油ヤシプランテーション開発に伴い急速に分解すると一般に考えられてきたが,適切な泥炭のタイプを,適切な管理下において利用することにより,分解速度を低く保つことができる可能性を示した意義は大きいと考えられる。 -
研究課題/研究課題番号:16H04890 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
渡邉 彰
担当区分:研究代表者
配分額:14690000円 ( 直接経費:11300000円 、 間接経費:3390000円 )
水田土壌における土壌有機炭素(SOC)、畑に施用された厩肥とバイオ炭の中長期的な安定化の機構および火山灰による黒色腐植物質の生成を明らかにすることを目的とした。長期水田利用は、マクロ団粒へのSOCの蓄積を促すが、その際鉱物結合型SOCとともに易分解性Cも増えることが明らかになった。29年の厩肥連用期間中に、SOCの構造的あるいは蓄積形態の変化による安定性の増大は認められなかった。バイオ炭は施用5~7年後に33~89%が残存しており、一部に粘土との結合による安定化が認められた。火山灰と腐植化度が低いフミン酸との培養では、60oCにおいて黒色度の増大とともに縮合芳香環含量の増大が示唆された。
土壌の長期水田利用は、マクロ団粒に安定な形態でCを蓄積し、微生物のエネルギー源になりうるC量も増えることを示唆した。畑土壌に厩肥を連用しても長期的に安定なCは形成されないことを明らかにし、C量を維持するには施用し続けるしかないことを示唆した。土壌施用後のバイオ炭Cの残留性には、バイオ炭の生分解性の違いよりも、鉱物への吸着や気候条件の方が重要である可能性を示した。火山灰存在下でのフミン酸の腐植化度の増大が、縮合芳香環含量の増大を伴うことを示した。また、常温においてもポリフェノールから縮合芳香環を含むフミン酸が形成することを示唆した。