2025/04/15 更新

写真a

ナカノ ヒデオ
中野 秀雄
NAKANO, Hideo
所属
大学院生命農学研究科 応用生命科学専攻 応用生命科学 教授
大学院担当
大学院生命農学研究科
学部担当
農学部
職名
教授
連絡先
メールアドレス

学位 2

  1. 工学博士 ( 1992年12月   東京大学 ) 

  2. 工学修士 ( 東京大学 ) 

研究キーワード 7

  1. 抗体工学

  2. 無細胞蛋白質合成系

  3. 蛋白質工学

  4. 酵素

  5. 無細胞タンパク質合成系

  6. 抗体

  7. ハイスループットスクリーニング

研究分野 2

  1. その他 / その他  / 生物・生体工学

  2. ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学) / バイオ機能応用、バイオプロセス工学

現在の研究課題とSDGs 5

  1. 無細胞蛋白合成系に関する研究

  2. タンパク質のナノスケール配置技術の開発

  3. 無細胞蛋白質合成系を用いたヒトB細胞からのモノクローナル抗体合成法の開発と応用

  4. 無細胞タンパク質合成系を利用した新機能タンパク質の創製

  5. タンパク質工学

経歴 4

  1. 名古屋大学   役員等   総長補佐

    2016年8月 - 2618年3月

  2. 名古屋大学大学院生命農学研究科・教授

    2005年4月

      詳細を見る

    国名:日本国

  3. 名古屋大学農学部 助教授

    1995年5月 - 2005年3月

      詳細を見る

    国名:日本国

  4. 名古屋大学農学部 助手

    1991年1月 - 1995年12月

      詳細を見る

    国名:日本国

学歴 2

  1. 東京大学   工学系研究科   化学工学

    - 1991年

      詳細を見る

    国名: 日本国

  2. 東京大学   工学部   化学工学科

    - 1985年

      詳細を見る

    国名: 日本国

所属学協会 7

  1. 日本農芸化学会   理事

    2021年5月 - 現在

  2. 日本生物工学会   理事

    2015年5月 - 2021年4月

  3. 日本農芸化学会   中部支部庶務幹事

    2000年4月 - 2003年3月

  4. 日本化学工学会   中部支部庶務幹事

    1996年4月 - 1999年3月

  5. 日本農芸化学会   中部支部庶務幹事

    1996年4月 - 1999年3月

▼全件表示

受賞 5

  1. 生物工学技術賞

    2021年9月   公益社団法人日本生物工学会   無細胞タンパク質合成系を利用した迅速抗体スクリーニング技術開発とその実用化

    加藤晃代、中野秀雄、兒島孝明、永井 里美

     詳細を見る

    受賞区分:国内学会・会議・シンポジウム等の賞  受賞国:日本国

    無細胞タンパク質合成系を利用した新規な迅速抗体スクリーニング技術開発を実用化し、大学発ベンチャー企業設立に導いた。

  2. 生物工学論文賞

    2011年9月   公益社団法人日本生物工学会  

    兒島孝明 、橋本陽子、加藤雅士、小林哲夫、中野秀雄

     詳細を見る

    受賞区分:学会誌・学術雑誌による顕彰  受賞国:日本国

  3. 日本生物工学会 論文賞

    2004年9月   日本生物工学会  

     詳細を見る

    受賞国:日本国

  4. 2002年武田研究奨励賞優秀賞

    2002年11月   (財)武田計測先端知財団  

     詳細を見る

    受賞国:日本国

  5. 日本生物工学会 照井賞

    2002年10月   日本生物工学会  

     詳細を見る

    受賞国:日本国

 

論文 119

  1. Leucine Zipper fused Fab; Enhancement of active Fab formation in E. coli in vitro and in vivo expression systems 査読有り

    Ojima-Kato Teruyo, Fukui Kansuke, Kojima Takaaki, Nakano Hideo

    PROTEIN SCIENCE   24 巻   頁: 194-194   2015年10月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    Web of Science

  2. Ultra-High-Throughput Screening of an In Vitro-Synthesized Horseradish Peroxidase Displayed on Microbeads Using Cell Sorter 査読有り

    Zhu Bo, Mizoguchi Takuro, Kojima Takaaki, Nakano Hideo

    PLOS ONE   10 巻 ( 5 )   2015年5月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1371/journal.pone.0127479

    Web of Science

  3. Immobilization of proteins onto microbeads using a DNA binding tag for enzymatic assays 査読有り

    Kojima Takaaki, Mizoguchi Takuro, Ota Eri, Hata Jumpei, Homma Keisuke, Zhu Bo, Hitomi Kiyotaka, Nakano Hideo

    JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING   121 巻 ( 2 ) 頁: 147-153   2016年2月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1016/j.jbiosc.2015.06.003

    Web of Science

  4. In vitro generation of rabbit anti-Listeria monocytogenes monoclonal antibody using single cell based RT-PCR linked cell-free expression systems 査読有り

    Ojima-Kato Teruyo, Hashimura Dai, Kojima Takaaki, Minabe Shiori, Nakano Hideo

    JOURNAL OF IMMUNOLOGICAL METHODS   427 巻   頁: 58-65   2015年12月

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1016/j.jim.2015.10.001

    Web of Science

  5. Construction of a DNA Library on Microbeads Using Whole Genome Amplification 査読有り

    Kojima Takaaki, Zhu Bo, Nakano Hideo

    WHOLE GENOME AMPLIFICATION: METHODS AND PROTOCOLS   1347 巻   頁: 87-100   2015年

     詳細を見る

    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1007/978-1-4939-2990-0_6

    Web of Science

▼全件表示

書籍等出版物 13

  1. 新版生物反応工学

    中野秀雄、岩崎雄吾、山根恒夫、河原崎泰昌、加藤雅士、志水元亭( 担当: 共著)

    産業図書株式会社  2016年9月  ( ISBN:978-4-7828-2617-1 C

     詳細を見る

    総ページ数:275   記述言語:日本語 著書種別:教科書・概説・概論

  2. Creation of Novel Enantioselective Lipases by SIMPLEX. In Vitro Transcription and Translation Protocols

    Koga, Y., Yamane, T. and Nakano, H.( 担当: 共著)

    Humana Press,  2007年4月 

     詳細を見る

    記述言語:英語

  3. SIMPLEX: Single-Molecule PCR-Linked In Vitro Expression. In Vitro Transcription and Translation Protocols

    Rungpragayphan, S., Yamane, T. and Nakano, H.( 担当: 共著)

    Humana Press  2007年4月 

     詳細を見る

    記述言語:英語

  4. 酵素の光学選択性に関与する基質認識部位の網羅的解析

    中野 秀雄( 担当: 共著)

    [出版者不明]  2007年 

     詳細を見る

  5. バイオプロダクション

    化学工学会バイオ部会編( 担当: 共著)

    コロナ社  2006年5月 

     詳細を見る

    記述言語:日本語

▼全件表示

MISC 16

  1. タンパク質生産量を増大させるN末端SKIKペプチドタグ配列に関する研究

    古川裕貴, 加藤晃代, 中野秀雄, 中野秀雄  

    日本農芸化学会中部支部例会講演要旨集(Web)187th 巻   2020年

     詳細を見る

  2. タンパク質生産量を増大させるN末端SKIKペプチドタグ配列に関する研究

    古川裕貴, 加藤晃代, 加藤晃代, 中野秀雄, 中野秀雄  

    日本生物工学会大会講演要旨集71st 巻   2019年

     詳細を見る

  3. モノクローナル抗体迅速探索プラットフォーム技術の社会実装

    中野秀雄, 中野秀雄, 加藤晃代, 大内将司, 兒島孝明  

    日本生物工学会大会講演要旨集71st 巻   2019年

     詳細を見る

  4. 再構成型無細胞タンパク質合成系を用いた抗体-酵素融合タンパク質(Zipbodyzyme)の効率的合成

    伊藤玲奈, ALMASL Alfi, 加藤晃代, 兒島孝明, 中野秀雄  

    日本生物工学会大会講演要旨集71st 巻   2019年

     詳細を見る

  5. 麹菌摂取による宿主腸内細菌叢の改善および大腸炎の緩和

    兒島孝明, 志水元亨, 馬場保徳, 中野秀雄, 加藤雅士  

    日本生物工学会大会講演要旨集71st 巻   2019年

     詳細を見る

▼全件表示

講演・口頭発表等 43

  1. 無細胞タンパク質合成系を用いたモノクローナル抗体ハイスループットスクリーニング技術の開発と社会実装 招待有り

    Hideo Nakano

    日本ビタミン学会第72回大会  2020年9月1日  日本ビタミン学会

     詳細を見る

    開催年月日: 2020年9月

    記述言語:日本語   会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)  

    開催地:web   国名:日本国  

  2. In vitro generation of Hepatitis B Monoclonal Antibody From Single Plasma Cells.

    Yunita Sabrina, Muhamad Ali, and Nakano, H

    日本農芸化学会2007年度大会 

     詳細を見る

    開催年月日: 2007年3月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  3. 特定蛋白質間相互作用の選択的破壊法の開発.

    池内暁紀,神谷拓摩,山根恒夫,中野秀雄,河原崎泰昌

    日本農芸化学会2007年度大会 

     詳細を見る

    開催年月日: 2007年3月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  4. Direct separation of regio-and enantiomeric isomers of monoglycerides by a tandem column HPLC.

    Deng Li, Iwasaki, Y., and Nakano, H.

    日本農芸化学会2007年度大会 

     詳細を見る

    開催年月日: 2007年3月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  5. Microbeads Display of Proteins Using Emulsion PCR and Cell-free Protein Synthesis.

    Gan, R, Yamanaka, Y., and Nakano, H.

    日本農芸化学会2007年度大会 

     詳細を見る

    開催年月日: 2007年3月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

▼全件表示

共同研究・競争的資金等の研究課題 5

  1. 免疫学的食中毒菌迅速検出法の開発

    2010年7月 - 現在

    出資金による受託研究 

  2. 酵素リアクターにおけるバイオマス分解酵素の進化分子工学による高機能化研究開発

    2008年4月 - 2011年3月

      詳細を見る

    資金種別:競争的資金

    申請者らが独自に開発したビーズディスプレイ法等を用いてセルラーゼの高機能化を目指す。

  3. 進化分子工学によるバイオマス糖化酵素の高機能化

    2006年6月 - 2008年3月

    企業からの受託研究 

  4. 遺伝子工学的手法を用いた酵素の機能改変

    2005年4月 - 2006年3月

    企業からの受託研究 

  5. 免疫反応検出用マイクロディバイスの研究開発

    2004年4月 - 2005年3月

    企業からの受託研究 

科研費 24

  1. 医学応用を指向した網羅的抗体レパートリ―・エピトープ相関解析のためのシステム開発

    研究課題/研究課題番号:24K01269  2024年4月 - 2027年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    中野 秀雄, ダムナニョヴィッチ ヤスミナ, 兒島 孝明, 加藤 晃代, 正谷 達謄, 山下 公大

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )

    本研究では、ヒト体内に存在する個々の抗体配列、抗原、さらには抗原の中に存在する抗体の結合領域(エピトープ)をハイスループットに解析することを可能にする革新的な手法を開発する。さらにこれらの手法を用いて、狂犬病ウイルスにたいするヒト抗体の解析や、大腸がん中に浸潤しているB細胞が発現している抗体の解析を行う。本研究は、がん組織中の機能未知抗体解析、創薬のリード抗体の創出、感染症ワクチン開発や新規診断・治療薬開発等の加速に貢献しうるものである。

  2. 胃癌パイスループットCAR-T細胞作製プラットフォーム構築

    研究課題/研究課題番号:23K18316  2023年6月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

    掛地 吉弘, 中野 秀雄, 大野 真佐輔, 藤田 貢, 船越 洋平, 山下 公大

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    本研究は以下の流れで進められる。深層学習アルゴリズムを基盤としたイメージングサイトメトリーを用いて、抗体取得に適切なB細胞の同定、Ecobody法による抗体取得、胃癌細胞/正常細胞を用いたスクリーニング、CAR-T細胞を作成し、ヒト細胞株腫瘍細胞移植マウスに対する治療効果の評価、及び取得抗体の抗原決定を行う。
    CARは抗腫瘍抗体をベースに設計されるため、CAR-T細胞には組織適合抗原(MHC/HLA)拘束性がないという利点がある。一方、従来のCAR設計には既知の抗体情報が用いられてきたため、CARレパートリーは極めて限定されてきた。そのため、CAR-T細胞療法によるがん克服には多くの抗腫瘍抗体の確保が最重要課題である。
    本研究では、(1)AIを基盤としたイメージングサイトメトリーによる抗体取得に適切なB細胞の同定、(2)Ecobody法による抗体取得、(3)胃癌細胞/正常細胞を用いたスクリーニング、(4)CAR-T細胞の作成とヒト細胞株腫瘍細胞移植マウスに対する治療効果の評価、(5)取得抗体の抗原決定を行う。(1)については、独自開発したCu-Cytoを用いて多重染色による組織標本をデジタル画像として取り込み、本研究に関連する大学院生や研究員らのチーム(総勢8名)が、これを教師あり画像としてアノテーション作業によるチューニングを実施中である。定期的なレビュー作業により精度を上げており、AI-イメージサイトメトリーは実用レベルに達している。この技術では細胞認識から識別、位置情報の処理と通常の病理組織診断を超えた情報が取得可能である。
    B細胞の取得源をTLSに絞り込むことで、精度の高い技術がより効率化される。また、抗原決定までの過程が従来より迅速化されている。抗体取得後、相補性決定領域(CDR)、抗原特異性、抗原とエピトープに関する情報を、ハイスループットかつ網羅的に解析可能となる統合解析システムが施行可能となっている。
    本研究の挑戦的な意義は、独自開発のCu-Cytoを用いた多重染色による組織標本のデジタル画像解析、B細胞の取得源をTLSに絞り込むこと、抗体取得後の統合解析システムにより、精度と効率の高い技術が実現可能である点にある。また、過去の実績から安定したCAR-T細胞の開発が可能であり、胃癌に対する新たな治療法の開発につながることが期待される。
    本研究では、胃癌病理組織切片の多重免疫組織化学染色の条件設定が完了し、深層学習アルゴリズムに基づくイメージサイトメトリーであるCu-Cytoのアノテーション作業をほぼ終了している。Cu-Cytoは、細胞認識から識別、位置情報の処理と通常の病理組織診断を超えた情報が取得可能な技術である。本研究に関連する大学院生や研究員らのチーム(総勢8名)が、教師あり画像としてアノテーション作業によるチューニングを実施し、定期的なレビュー作業により精度を上げている。現在、Cu-Cytoは実用レベルに達しており、病理医による顕微鏡での評価所見に大きく矛盾しない結果が得られている。
    本研究では、三次リンパ構造(TLS)に着目している。TLSは、がん組織内に形成されるリンパ節様構造であり、抗腫瘍免疫応答に重要な役割を果たすと考えられている。現時点では、TLSの遺伝学的定義は行っていないが、形態学的にB細胞の集簇が確認できれば、概ね問題ないような結果が得られている。Cu-Cytoでの解析所見から、一定の精度でTLSの識別が可能であることが示唆されている。今後は、標本選択を行い、改めて抗体情報を取得する計画を進める予定である。
    一方、現在はすでに取得済の抗体について、機能解析を勧めている。免疫染色と組織ELISAを行い、抗体の結合性を確認した。胃癌細胞の表面に発現するタイプのタイピングを行い、その特徴を明らかにする予定である。また、同抗体よりキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)の作成を開始した。抗体情報に基づき、キメラ受容体のデザインを行っている。
    現在、全体の進捗状況としてはやや遅れている状態であるが、着実に研究を進めている。今後は、TLSの遺伝学的定義を行い、より精度の高いTLSの識別を目指す。また、取得した抗体の特徴を明らかにし、CAR-T細胞の作成を進める。本研究の成果が、胃癌患者に対する新たな治療法の開発につながることを期待したい。
    本研究の今後の推進方策として、以下の点に注力する必要がある。まず、TLSの遺伝学的定義の確立を迅速に完遂することである。TLSの識別精度を向上させるためには、TLSを構成する細胞の遺伝子発現プロファイルを解析し、TLS特異的な遺伝子シグネチャーを同定する必要がある。これにより、Cu-Cytoを用いたTLSの識別の精度を向上させることができる。次に、取得抗体の機能解析の推進である。抗体の結合特異性や親和性、エピトープの同定などを行い、抗体の抗腫瘍効果を in vitro および in vivo で評価する必要がある。これらの解析により、CAR-T細胞の作成に最適な抗体を選択することができる。さらに、CAR-T細胞の作成と評価の推進を行う。CARの設計を最適化し、T細胞への遺伝子導入効率を向上させる必要がある。作成したCAR-T細胞については、in vitro での細胞障害活性や特異性を評価し、最適な細胞株を選択する。また、PDXモデルを用いて、CAR-T細胞の体内動態や抗腫瘍効果を評価する必要がある。加えて、研究体制の強化を行う必要がある。研究人材の確保や育成、共同研究体制の構築、研究設備の整備などを進め、研究費の確保に努め、研究の継続性を担保することが重要である。
    以上の方策を着実に実行することにより、本研究の目的である胃癌に対する新たな治療法の開発に向けた基盤を確立することができると期待される。研究の進捗状況に応じて、方策の優先順位や内容を柔軟に見直し、研究の過程で得られた知見を積極的に公表し、研究コミュニティとの情報共有を図ることも重要である。

  3. 革新的機能的ヒト抗体配列ーエピトープのハイスループット解析技術開発

    研究課題/研究課題番号:22K18919  2022年6月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

    中野 秀雄, ダムナニョヴィッチ ヤスミナ, 兒島 孝明

      詳細を見る

    担当区分:研究代表者 

    配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )

    ヒト体内に存在するB細胞が産生する抗体分子は、感染防除や予防、がん細胞除去な どを担う一方、自己免疫疾患やがん細胞増殖にも関わるなど、多面的な機能を有することが知られている。抗体の標的分子は可変領域の配列で決まっているのであるが、その配列と標的であるエピトープを網羅的に解析する手法は存在せず、それらの関係性は不明のままである。本研究では、エマルジョン中での極微細反応場や無細胞タンパク質合成系、さらには次世代シーケンスやバイオインフォマティクスを駆使することで、抗体配列とエピトープを迅速安価に解析する新たな方法論を開発する。
    標的分子に結合するモノクローナル抗体を網羅的に取得することと、取得抗体のエピトープを決定することは、免疫系を理解し、それらを医療だけでなく様々に産業利用していくためには大変重要な技術課題である。ともに一つの抗体に対して作業を行う場合でも数ヶ月単位の時間が要する作業であり、相当のコストがかかる。したがって生体内に存在する10の16から18乗にものぼるレパートリーのうち、ある特定の抗原に対するほんの少しもの抗体とそのエピトープを「網羅的」に解析することは全く不可能であった。本研究では、抗体配列とそのエピトープ、網羅的に解析することを可能にする技術課題に取り組んでいる。昨年度に引き続き、本年度は、1)リボソームディスプレイを用いたウサギおよびヒトFab抗体のライブラリー構築技術の開発とモデルスクリーニングの実施、2)リボソームディスプレイ、次世代シーケンスとバイオインフォマティクスによるエピトープ推定技術の開発に取り組んだ。1)については、ヒト・ウサギの抗体を短鎖Fabとして網羅的にリボソーム上に提示して、各種抗原に対するスクリーニングを行った。腸内細菌を抗原としてそれに結合できるヒト抗体配列を、リボソームディスプレイにより濃縮し、大腸菌にクローニングして塩基配列を解析し、無細胞タンパク質合成系によりFabとして解析を行なった。またウサギに関しても標的産物に結合する抗体配列の濃縮に成功した。2)については、ランダムペプチドライブラリーをリボソーム上に提示し、モデルとした無細胞蛋白質合成系により合成したFabに結合するペプチド配列を濃縮し、次世代シーケンス解析と独自に作成したPythonプログラムを用い、標的分子中からエピトープを推定する手法を検討した。
    2022年度末の時点では、
    1)リボソームディスプレイ法により抗原に対する抗体セレクションのプロセスを確立する。2)無細胞タンパク質合成系により合成したFab抗体に対してリボソームディスプレイによりエピトープマッピングを行う際の条件検討;3)上記のFab抗体を多サンプル(96種類程度)同時解析行うための、条件検討を行う。;4) エマルジョン中での抗体L鎖H鎖mRNA結合反応の条件を検討する。としていたが、1)の条件検討の際に、副産物のDNA断片の増幅が顕著になったため、その対策に時間をとられてしまい、検討予定の3)と4)の実験を行うことができなかった。
    これまでの研究成果をもとに、
    1)無細胞タンパク質合成系により合成したFab抗体を多サンプル(96種類程度)同時解析行うための、条件検討を行う。
    2)エマルジョン中での抗体L鎖H鎖mRNA結合反応の条件を検討する。
    3) 2)の条件で増幅した天然ペアの抗体L鎖H鎖を有する短鎖Fab抗体のリボソームディスプレイ法を確立する。
    4)3)でスクリーニングした抗体のエピトープをハイスループットに合成する方法論を確立する。

  4. 腫瘍微小環境内 B 細胞を用いた転移性脳腫瘍に対する CAR-T 細胞療法の開発

    研究課題/研究課題番号:22K09223  2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    大野 真佐輔, 中野 秀雄, 藤田 貢, 山下 公大, 松下 博和

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    本研究計画は大きく①転移性脳腫瘍内のTLSおよびTABの検出②新鮮腫瘍組織からのTABのソーティングと抗体情報の抽出③CARの構築と抗腫瘍効果の検証の3つの段階に分かれる。大量の転移性脳腫瘍検体を用いての検索を必要とするため深層学習アルゴリズムを用いたハイスループット画像解析手法を用いてTLSの検出を行い、かつ抗体抽出に最適なTABの選定のための抗体コンビネーションを選定する。続いてEcobody法を用いた新鮮腫瘍組織からのTABの抽出と抗体情報の取得を行う。最後に入手した抗体の情報をもとにCARを構築し、in vitro、動物脳腫瘍モデルを用いた新規CARレパートリーの有効性を検証する
    消化器癌の転移性脳腫瘍パラフィン埋包検体を13例収集し、HE染色および各種免疫染色を行った。がん免疫の活性化に関与し、良好な予後や免疫チェックポイント阻害薬の有効性を予測するとして近年注目されている三次リンパ構造は、他の臓器では多くの報告があるが、転移性脳腫瘍に関しては皆無である。HE染色を用いて転移性脳腫瘍組織の観察を行い、腫瘍辺縁や腫瘍辺縁の脳血管腔にこの三次リンパ構造を推定させるリンパ球の集簇を発見した。CD4、CD8、CD20、BCL6、CD103などによる免疫染色を進め、三次リンパ構造に特徴的なCD20陽性B細胞が腫瘍辺縁や腫瘍辺縁の脳血管周囲に集簇していることが観察された。しかし、成熟した三次リンパ構造のマーカーとして使用されるBCL6を発現しているB細胞は認められず、転移性脳腫瘍における三次リンパ構造は未熟な形態として存在していることが明らかになった。
    <BR>
    さらに、CD103陽性CD8陽性T細胞(tissue-resident memory T cells: TRMs)は腫瘍間質のみならず、腫瘍上皮にも深く浸潤していることが明らかとなった。腫瘍組織内のB細胞およびTRMsを含む免疫細胞のすべてを画像解析ソフトを用いてカウントし、これらの結果を臨床データと照らし合わせ、統計解析を行った。13例の患者を高値群、低値群の2群に分け解析を進めた結果、高B細胞群および高TRMs群において、転移性脳腫瘍発生からの生存期間が有意に長いことが分かった。以上より、転移性脳腫瘍におけるB細胞およびTRMsの存在は転移性脳腫瘍発症後の良好な予後に関連することが分かった。
    <BR>
    現在これらの結果をまとめ上げ、論文を作成し投稿中である。
    3年にわたる新型コロナの蔓延により当院においても臨床業務に支障が生じた。特に病理部門が所属する臨床検査科においては多くのスタッフとその家族が新型コロナに感染し就業困難となった。患者の治療に関連する業務の遂行が最優先され、研究に関する業務は後回しになる。結果、当研究に必要な病理組織検体スライドの作成が大幅に遅れることとなった。
    転移性脳腫瘍における三次リンパ構造の存在およびB細胞・TRMsの腫瘍内分布とその予後との関連について現在投稿中の論文にてまとめた。今後は、手術摘出で得られた生検体を用いてB細胞を抽出していく。腫瘍内に存在するB細胞においても高度に腫瘍免疫活性を認めるものから、免疫活性に乏しいものまであるため、腫瘍免疫活性の高いB細胞の抽出のためのマーカーを決定していく。
    <BR>
    また、本研究ではTRMsが腫瘍上皮に深く浸潤し、予後と相関していることが明らかとなった。TRMsはケモカインの分泌を介してB細胞を腫瘍へとリクルートすることが報告されているため、TRMsとB細胞の相互作用についても検討を行う。
    <BR>
    本研究の知見は、転移性脳腫瘍に対する新規免疫療法の開発に寄与すると考えられる。有望なB細胞の抽出が完了すれば、このB細胞の抗体情報を用いてCARの構築を行っていく。さらに、TRMsを標的とした免疫療法の可能性についても探索したい。

  5. 固相培養条件下の麹菌における遺伝子の動的発現制御機構の解明とその応用

    研究課題/研究課題番号:22K05405  2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    兒島 孝明, 丸山 潤一, 中野 秀雄

      詳細を見る

    担当区分:研究分担者 

    生命機能の発現・制御機構を解明する上で、染色体の動的な構造変化を考慮することは非常に重要である。本研究では、産業微生物Aspergillus oryzaeの固体培養における遺伝子発現動態に着目し、固体培養条件におけるA. oryzaeのゲノム構造情報ならびに全遺伝子発現情報を包括的に取得し、その経時的動態をデータベース化する。さらに、このデータベースを活用し、ゲノム構造の動態を考慮した難分解性多糖の代謝パスウェイの最適化を試み、新奇高機能性A. oryzaeの創生技術を確立する。これらのアプローチを通して、生命機能の発現・制御のメカニズムの包括的理解のための汎用的な技術基盤の構築を目指す。
    本研究では、A. oryzaeの固体培養における遺伝子発現動態の包括的理解とその技術基盤構築を目的として研究期間2年目に以下のアプローチを実施した。
    ・スクロースおよびキシランを唯一炭素源としたSC条件下のA. oryzaeにおけるmRNAレベルでの動的転写制御機構の解析
    A. oryzaeをスクロースおよびキシランを唯一炭素源とした寒天プレート上で培養し、植菌後の一定期間、1日おきに菌体を回収した。これらの菌体よりRNAを抽出し、高速DNAシーケンサーによって条件ごとのA. oryzae全遺伝子の時系列発現データを取得し、可視化した上で、炭素源と培養時間によって区分された条件における発現動態を網羅的に比較した。今後、本解析結果の再現性や生物学的意義を詳細に検証の上、研究論文としてまとめる予定である。
    ・A. oryzaeのクロマチン立体構造情報の取得法の検討
    ナノポアシーケンサーを用いたクロマチン立体構造情報の取得法、Pore-Cを、固相培養由来のA. oryzaeのクロマチン立体構造解析に適用するため、ゲノム抽出条件や近接するゲノム領域の架橋反応条件などの詳細な検討を行った。
    研究代表者が本研究期間開始時期の2022年4月にこれまで所属していた研究機関とは別の機関へ異動したため、研究実施環境の再構築に想定以上の時間を要したことが主な要因として挙げられるが、DNAシーケンサー、解析用の高スペックのPCなど、本課題の遂行に必要とされる研究環境の整備はほぼ完了した。このため、本研究アプローチの今後の進展はおおいに期待できると言える。
    2022年度および2023年度に得られた研究成果をもとに、下記のアプローチを実施する。
    ・種々のC源を唯一炭素源とした固相培養条件下におけるA. oryzaeの全遺伝子の発現動態のデータベース化
    ・上記アプローチの成果を基にした研究論文の作成と公開
    ・A. oryzaeにおけるPore-Cの確立と、固相培養条件下におけるクロマチン構造の解明
    ・天然SC条件である米粒上で培養したA. oryzaeにおける全遺伝子発現量とクロマチン構造の時系列データと取得と関連付け
    これらのアプローチを通して、新奇の高機能性A. oryzaeの創生技術基盤を確立する。

▼全件表示

産業財産権 18

  1. タグ付抗体

    中野秀雄 兒島孝明 加藤晃代

     詳細を見る

    出願人:名古屋大学

    出願番号:特願2014‒122773  出願日:2014年6月

    公開番号:特開2016‑‒002009 

    出願国:国内  

  2. 特定菌検出⽅方法

    加藤晃代 渕真吾 中野秀雄 田村廣人 三宅司郎

     詳細を見る

    出願人:名古屋大学等

    出願番号:特願2013‑‒103740  出願日:2013年5月

    公開番号:特開2014‑‒223033 

    出願国:国内  

  3. 分⼦子ディスプレイ法及びその⽤用途

    中野秀雄 古澤聖司

     詳細を見る

    出願人:名古屋大学

    出願番号:特願2008‑‒018324  出願日:2008年1月

    公開番号:特開2009‑‒178067 

    出願国:国内  

  4. エマルジョンを利用した核酸増幅法および核酸増幅キット、

    中野秀雄、武井義明、児島孝明

     詳細を見る

    出願番号:特願2005-2980  出願日:2005年

    出願国:国内  

  5. 検査対象受体、検査装置、及び検査方法

    中野秀雄 吉村千里 石鹿孝典

     詳細を見る

    出願人:ブラザー工業株式会社

    出願番号:特許出願2004-66206  出願日:2004年

    公開番号:特許公開2005-257337 

    出願国:国内  

▼全件表示

 

担当経験のある科目 (本学) 6

  1. 生物反応工学

    2022

     詳細を見る

    微生物および酵素を用いたバイオプロセスの概要と基本理念について解説する

  2. 応用生命科学科学生実験

    2022

  3. 生物分子工学特論

    2022

  4. 応用生命科学科学生実験

    2021

  5. 化学基礎Ⅱ

    2011

▼全件表示

担当経験のある科目 (本学以外) 5

  1. 合成・生物化学特論A

    2022年1月 京都大学)

     詳細を見る

    科目区分:大学院専門科目 

  2. 無細胞タンパク質合成系の高機能化と応用

    2004年4月 - 2005年3月 静岡大学)

  3. 微生物工学

    1996年4月 - 1997年3月 国際工学院専門学校)

  4. 生物と工学

    2018年9月 - 現在 中部大学)

     詳細を見る

    国名:日本国

  5. バイオテクノロジー

    2009年4月 - 2010年3月 中部大学)