科研費 - 井藤 彰
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研究課題/研究課題番号:23H01772 2023年4月 - 2026年3月
文科省 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井藤 彰, 堀江 正信
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
本研究は、磁性ナノ粒子がMRIに撮像され、交流磁場で発熱する性質を利用して、がんの診断と治療を同時に行うことが可能な機能をもった磁性ナノ粒子を開発することを目的とする。そのためには、血中投与によってがんに送達されるまで循環する必要があるため、磁性ナノ粒子をステルス化するためにMPCポリマーで被覆したり、がん細胞特異的に結合するようにハーセプチンのようながん特異的抗体を結合させた機能性磁性ナノ粒子を作製する。作製した機能性磁性直粒子は、マウスに投与後に腫瘍に送達されてMRIで撮像されるか、さらに交流磁場照射によって発熱して腫瘍退縮による治療効果を発揮するかを調べる。
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研究課題/研究課題番号:23K26465 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井藤 彰, 堀江 正信
担当区分:研究代表者
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
本研究は、磁性ナノ粒子がMRIに撮像され、交流磁場で発熱する性質を利用して、がんの診断と治療を同時に行うことが可能な機能をもった磁性ナノ粒子を開発することを目的とする。そのためには、血中投与によってがんに送達されるまで循環する必要があるため、磁性ナノ粒子をステルス化するためにMPCポリマーで被覆したり、がん細胞特異的に結合するようにハーセプチンのようながん特異的抗体を結合させた機能性磁性ナノ粒子を作製する。作製した機能性磁性直粒子は、マウスに投与後に腫瘍に送達されてMRIで撮像されるか、さらに交流磁場照射によって発熱して腫瘍退縮による治療効果を発揮するかを調べる。
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メカノセンサー標的型磁性ナノ粒子の創製とヒトiPS細胞精密挙動制御技術の開発
研究課題/研究課題番号:2721K04787 2021年4月 - 2024年3月
科研費 基盤研究C
井藤 彰
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:300000円 ( 直接経費:300000円 、 間接経費:90000円 )
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メカノセンサー標的型磁性ナノ粒子の創製とヒトiPS細胞精密挙動制御技術の開発
研究課題/研究課題番号:21K04787 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
堀江 正信, 井藤 彰
担当区分:研究分担者
申請者らはこれまで工学的な新しいヒトiPS細胞培養技術として、外部物理刺激負荷のみで挙動を自在に制御する技術開発を行ってきた。しかし、細胞外部環境および物理刺激の受容が均一でなく、細胞外物理刺激のみでは挙動制御が困難であった。本研究では、生体適合性の高い酸化鉄マグネタイト (Fe3O4)の磁性ナノ粒子を用いた薬物送達システム(Drug delivery system, DDS)を駆使して細胞内DDSを構築し、細胞骨格や核といった細胞内物理刺激受容体(メカノセンサー)を標的とした物理刺激を細胞内部から直接行い、挙動評価を行うことでメカノセンサーとヒトiPS細胞挙動の関係性を探る。
本年度はメカノセンサー標的型粒子の設計と開発、および物理刺激がヒトiPS細胞に与える影響評価を主として行なった。具体的には直径約10 nmのマグネタイ ト粒子の表面をアミノシランコートしPEG鎖を導入する。さらにミトコンドリア指向性化合物TPPおよび核移行シグナルペプチドを提示させることによって、それぞれミトコンドリアおよび細胞核への送達を目指した。構築したマグネタイト粒子を正電荷脂質膜で包埋することによって、負の電荷を持つ細胞表面に自身で結合し取り込まれる。リポソームの主成分であるDOPEが膜融合することによってマグネタイト粒子はエンドソーム脱出するものと考えた。
当該粒子を構築後テストとして、まずマウスKRAS変異大腸がんCT26細胞(BALB/c)に取り込ませ、集積や細胞影響を評価した。コントロールとしてミトコンドリアターゲッティング部位(TPP)有無の2種類を構築し、評価を行った。その結果、細胞への取り込み量、交流磁場照射による温度上昇はTPPの有無に関わらずに同等であった。一方で、細胞生存率に関してはTPP無しの場合、70%程度であったのに対して、TPPありの場合、40%程度まで低下しており、効果的に細胞を殺傷していることが確認できた。さらに、当該粒子を取り込ませた上記細胞を電子顕微鏡によって観察したところ、TPP提示粒子の方が優位にミトコンドリアに集積していることが確認できた。
ミトコンドリア標的型磁性粒子の構築は完了し、ガン細胞をモデルとして標的性や機能確認を終えることができている。それらの結果を論文としてまとめることができている。
構築したミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子をヒトiPS細胞に取りませ、上記と同様に取り込み量及び交流磁場による発熱、さらに電子顕微鏡を用いたミトコンドリアへの集積を評価する予定である。それらの評価と同時に、ネオジム磁石を用いた細胞内の局所物理刺激などの負荷と細胞応答評価を行っていく。 -
オルガネラを標的とするナノヒーターの創製とガン温熱療法の深化
研究課題/研究課題番号:20H02538 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井藤 彰, 岡部 弘基
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
我々は磁性ナノ粒子を腫瘍へ送達し、体外から交流磁場を照射して磁性ナノ粒子を発熱させるガン温熱療法の開発を行ってきた。本研究ではミトコンドリアや核といったオルガネラに送達可能な磁性ナノ粒子を開発し、それらを標的とした加温を行うことでガン細胞の急所を探り、オルガネラを標的とした細胞内局所加温によって腫瘍組織の温度上昇がなくても高い治療効果を発揮する新しい原理のガン温熱療法を開発することを目的とする。
ナノテクノロジーの進歩によって、交流磁場で発熱するナノサイズの磁性粒子(ナノヒーター)が生み出された。我々は工学的な新しいがん治療技術として、生体適合性の高い酸化鉄マグネタイトの磁性ナノ粒子を薬物送達システム(DDS)を駆使して腫瘍へ送達し、体外から交流磁場を照射して磁性ナノ粒子を発熱させるがん温熱療法の開発を行ってきた。本研究ではさらに発展させた細胞内DDSを構築し、ミトコンドリア標的加温を行ったところ、6匹中5匹の腫瘍が完全退縮した。これらの結果から、オルガネラ標的ナノヒーターにより強力ながん温熱療法の開発につながることが示唆された。
交流磁場で発熱する磁性ナノ粒子を使用するがん温熱療法は、腫瘍局所での加温が可能となるため、患者に対する負荷の低い治療となる可能性がある。本研究では、治療効果を高めるための方策として、がん細胞内でストレスセンサーの役割をもつミトコンドリアを特異的に加温する磁性ナノ粒子を開発することに成功した。ミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子によって加温された腫瘍は、6匹中5匹が完治するという強力な治療効果が得られ、ミトコンドリアが温熱療法におけるがん細胞の急所の一つであることが示された。これらの成果は、ミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子を用いた温熱療法が、がん治療にとって有用であることを示唆している。 -
高機能性ビニルアルコール系重合体を用いた革新的バイオ人工膵臓の開発
2019年7月 - 2022年3月
AMED AMED 医療分野研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)
井藤 彰, 株式会社クラレ, 国立国際医療研究センター
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:36800000円 ( 直接経費:16000000円 、 間接経費:20800000円 )
本研究ではヒトiPS細胞から分化誘導した膵島細胞を搭載したエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるデバイスを用いた「バイオ人工膵臓」を開発し、「EVOHデバイス」を用いることで重篤な副作用や医療費負担を伴う免疫抑制剤を使用することなく、長期にわたる移植細胞の機能性を保持し、ヒトiPS細胞を用いた細胞移植治療の実現を目指す。
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磁性ナノテクノロジーによるガン治療法Heat Immunotherapyの創出
研究課題/研究課題番号:19K22086 2019年6月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
井藤 彰
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
ガン治療において免疫チェックポイント阻害薬と総称される新薬が登場して注目されている。京都大学の本庶教授らは、T細胞の PD-1がガン細胞のPD-L1と結合することでT細胞の細胞障害性を阻害することを見いだした。この免疫チェックポイントを阻害する薬により、T細胞はガン細胞を攻撃することができる。一方、我々は磁性ナノ粒子を交番磁場で発熱させることでガンを加温する温熱療法の開発を行ってきた。磁性ナノ粒子を用いて温熱療法を施すと、抗腫瘍免疫が誘導されることを見いだした。本研究では、磁性ナノテクノロジーで免疫チェックポイント阻害薬の効果を強力に増幅する新規Heat Immunotherapyを創出する。
免疫チェックポイント阻害薬では細胞傷害性T細胞が破壊できる癌細胞の数は限られており 固形腫瘍を治療することは難しい。我々は磁性ナノ粒子が交流磁場で発熱する性質を利用して、熱で癌を破壊する温熱療法の開発を行ってきた。 磁性ナノ粒子を用いた温熱療法は、1)免疫系に認識される腫瘍抗原を体内で大量に産生/放出できること、2)腫瘍組織は温熱療法で破壊して、転移ガンは免疫で排除できることから、免疫チェックポイント阻害薬の弱点を強力に補完した理想的なガン治療が可能になる。本研究では、磁性ナノテクノロジーで免疫チェックポイント阻害薬の効果を強力に増幅する新規Heat Immunotherapyを開発した。
癌の死亡数は人口の高齢化を主な要因として増加し続けており、強力な治療法が望まれる。近年、「免疫チェックポイント阻害薬」と総称される新薬が登場し、夢の癌治療薬として注目されているが、免疫療法では固形癌を退縮させることは難しいのが現状である。我々が開発した磁性ナノ粒子を用いた癌温熱療法を、免疫チェックポイント阻害剤の投与と組み合わせることでマウスの系で高い治療効果が得られた。さらに、この組み合わせ療法の効果を増強すべく、抗炎症作用が知られるグリチルリチンの投与および免疫抑制細胞を阻害するCpGの投与の組み合わせにより、劇的に治療効果が高まることを見出したことは、学術的・社会的意義が大きい。 -
ナノ・ヒーティングによる生体組織凍結保存技術の創出
2017年10月 - 2021年3月
JST さきがけ
井藤 彰
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
臓器や組織を冷凍保存できれば、移植ドナー不足を解消できます。また、再生医療において、移植用組織や細胞の凍結保存技術は実用化のために必須です。本研究では、磁性ナノ粒子の交流磁場中における発熱のスペクトル学的理解と制御技術の開発により、従来困難であった生体組織の凍結保存技術を確立することを目的とします。本研究の成果は、ナノテクノロジーを駆使した新しい技術として、国民の健康に寄与すると期待されます。
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ヒトiPS細胞を用いた骨格筋ティッシュエンジニアリング技術の開発
研究課題/研究課題番号:17H03469 2017年4月 - 2020年3月
科研費
井藤 彰
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
骨格筋の最も重要な機能は収縮して力を発生することである。しかし、ヒトiPS 細胞を分化誘導して、収縮力を発揮する成熟した三次元筋組織を作製する方法は確立されていない。本研究では、我々が開発した先進医工学技術「磁性ナノテクノロジー」を基盤として、「動く」三次元筋組織を、ヒトiPS 細胞から構築するプロセスを開発した。本研究で開発される三次元筋組織は、骨格筋の再生医療や筋疾患メカニズムの解明、および筋ジストロフィや加齢性筋委縮(サルコペニア)に対する薬剤スクリーニングに有用であると考えられる。
現在iPS 細胞における研究開発の目まぐるしい発展により、再生医療の実用化が推進されている。iPS 細胞は患者の細胞から誘導可能であるため、移植による再生治療や病気の仕組みの解明や薬の開発における再生研究に有用である。今までに、iPS 細胞を筋細胞に分化誘導する手法は報告されているが、三次元筋組織まで構築する一連の技術は確立されていなかった。本研究では、iPS 細胞から「動く」三次元筋組織を誘導する一連の技術を開発した。このことにより、筋肉に対する薬の効果を試験管内で「筋収縮力」を指標に調べることが可能となることから、筋ジストロフィやサルコペニアなどに対する薬の開発に有用であると考えられる。 -
ヒトiPS細胞を用いた骨格筋ティッシュエンジニアリング技術の開発
2017年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井藤 彰, 堀江正信
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
再生医療の研究において、iPS細胞から生体内の機能的な細胞への分化誘導法の開発が行われており、骨格筋においても筋転写因子の一つであるMyoD遺伝子をiPS細胞に導入することで、筋芽細胞へ分化することが報告されている。さらに、筋疾患患者由来の細胞から筋疾患iPS細胞を作製し、筋疾患に関する遺伝子を高効率かつ高精度に修復できることも示されている。しかしながら、筋肉の最も重要な機能である収縮を指標とした評価はなされていない。本研究では、iPS細胞から「動く」筋組織を作製して、収縮力を指標とした筋機能評価という新しい評価法を提案する。我々オリジナルの磁性ナノテクノロジーを基盤とした三次元組織作製法(Mag-TE法)により、MEMS技術により作製したPDMSの微細デバイスを用いて、iPS細胞から三次元筋組織組織を作製したところ、電気刺激で収縮して力を発生する組織を構築することに成功した。この成果は、骨格筋組織再生や薬剤スクリーニングへの応用に向けた人工筋組織の作製にとって有用な知見となることが期待できる。
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研究課題/研究課題番号:16K01362 2016年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
安藤 由典, 粂 昭苑, 白木 伸明, 井藤 彰, 中路 修平, 小林 悟朗
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
細胞移植デバイスに使用するエチレン-ビニルアルコール共重合体製の半透膜の製膜検討を行い、ポアサイズの異なる膜を安定的に作成することが可能となった。ポアサイズの異なる膜を用い、グルコース及び各種タンパクの透過性評価を行い、ポアサイズによりタンパク質の分離が可能なことを明らかにした。IgGが透過しない膜を見出しており、抗体の透過を防げる可能性が示された。更に、いずれの膜でも細胞は透過しないことを確認した。一方、細胞評価のために、ヒトiPS細胞から膵β細胞の作成、評価を行い、作成した膵β細胞が糖の高濃度に依存してインスリンを分泌することを確認した。同細胞をデバイス中に封入し、動物への投与も試みた。
細胞にとって生体内は最も優れた培養環境である。この環境を活かすことができれば移植デバイスは単なるコンテナとしての役割のみならず、in vivo でのCell Processing Centerとして活用でき、細胞の分化誘導・維持培養・機能評価・安全性評価が可能となる。本研究で開発するアクセスポート付き細胞移植デバイスは、免疫隔離膜から構成されており、細胞を免疫から隔離することができるため、免疫不全動物を使用しなくても他家細胞の評価や使用が可能となる上、アクセスポートから安全かつ容易に細胞や薬剤を出し入れ可能である。更に、移植細胞は生体と隔離されており、癌化等のリスクへの対応策ともなり得る。 -
磁性ナノテクノロジーによる細胞内局所加温技術の創出
2016年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金
井藤 彰
担当区分:研究代表者
磁性ナノ粒子は磁石に引き寄せられる性質のみならず、MRIにおける造影効果や、交流磁場中で発熱する性質をもつ。本研究では、酸化鉄の10 nmのマグネタイト表面を正電荷脂質膜で修飾することでマグネタイトカチオニックリポソームを作製し、単一細胞が加温可能な技術を開発した。方法論として、合成生物学的アプローチを導入して、レポーター遺伝子の発現を指標に細胞の熱ストレスを解析するシステムを構築した。HSP70B’プロモーターとTet-Offシステムの融合により構築した熱誘導型人工プロモーターは、熱ショックがかかるとポジティブフィードバックシステムにより、EGFPが高発現し続けることで、温熱ストレスを被った履歴のある細胞が可視的に判別できる。細胞に機能性磁性ナノ粒子を取り込ませて、交流磁場を照射すると、培地の温度上昇は見られないが、目的遺伝子が発現した。このことは、細胞内局所における磁性ナノ粒子の発熱によって、HSP70B’プロモーターが駆動したと考えられる。さらに、磁性ナノ粒子を合成生物学的アプローチで細胞内に生産させる方法を開発した。鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンの遺伝子をHeLa細胞に導入して磁性ナノ粒子を細胞内で形成させることによって、遺伝子的に細胞を磁気標識することに成功した。フェリチン遺伝子の発現により磁気標識された細胞は、磁気分離が可能となり、また、MRIの造影効果が得られた。さらに、熱誘導型人工プロモーターを導入したHepG2細胞にフェリチン遺伝子を導入して磁場を照射すると、レポーター遺伝子であるEGFPが発現することから、フェリチン導入細胞が交流磁場で発熱することを見いだした。今後、EGFPを治療遺伝子などの目的遺伝子に交換することで、磁場誘導型の遺伝子治療といった医療への応用が可能であると考えられる。 -
磁性ナノテクノロジーによる細胞内局所加温技術の創出
2016年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
井藤 彰
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
磁性ナノ粒子は磁石に引き寄せられる性質のみならず、MRIにおける造影効果や、交流磁場中で発熱する性質をもつ。本研究では、酸化鉄の10 nmのマグネタイト表面を正電荷脂質膜で修飾することでマグネタイトカチオニックリポソームを作製し、単一細胞が加温可能な技術を開発した。方法論として、合成生物学的アプローチを導入して、レポーター遺伝子の発現を指標に細胞の熱ストレスを解析するシステムを構築した。HSP70B’プロモーターとTet-Offシステムの融合により構築した熱誘導型人工プロモーターは、熱ショックがかかるとポジティブフィードバックシステムにより、EGFPが高発現し続けることで、温熱ストレスを被った履歴のある細胞が可視的に判別できる。細胞に機能性磁性ナノ粒子を取り込ませて、交流磁場を照射すると、培地の温度上昇は見られないが、目的遺伝子が発現した。このことは、細胞内局所における磁性ナノ粒子の発熱によって、HSP70B’プロモーターが駆動したと考えられる。さらに、磁性ナノ粒子を合成生物学的アプローチで細胞内に生産させる方法を開発した。鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンの遺伝子をHeLa細胞に導入して磁性ナノ粒子を細胞内で形成させることによって、遺伝子的に細胞を磁気標識することに成功した。フェリチン遺伝子の発現により磁気標識された細胞は、磁気分離が可能となり、また、MRIの造影効果が得られた。さらに、熱誘導型人工プロモーターを導入したHepG2細胞にフェリチン遺伝子を導入して磁場を照射すると、レポーター遺伝子であるEGFPが発現することから、フェリチン導入細胞が交流磁場で発熱することを見いだした。今後、EGFPを治療遺伝子などの目的遺伝子に交換することで、磁場誘導型の遺伝子治療といった医療への応用が可能であると考えられる。
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磁性ナノテクノロジーによる細胞内局所加温技術の創出
研究課題/研究課題番号:16H01393 2016年4月 - 2018年3月
新学術領域研究(研究領域提案型)
井藤 彰
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:8970000円 ( 直接経費:6900000円 、 間接経費:2070000円 )
磁性ナノ粒子は磁石に引き寄せられる性質のみならず、MRIにおける造影効果や、交流磁場中で発熱する性質をもつ。本研究では、酸化鉄の10 nmのマグネタイト表面を正電荷脂質膜で修飾することでマグネタイトカチオニックリポソームを作製し、単一細胞が加温可能な技術を開発した。方法論として、合成生物学的アプローチを導入して、レポーター遺伝子の発現を指標に細胞の熱ストレスを解析するシステムを構築した。HSP70B’プロモーターとTet-Offシステムの融合により構築した熱誘導型人工プロモーターは、熱ショックがかかるとポジティブフィードバックシステムにより、EGFPが高発現し続けることで、温熱ストレスを被った履歴のある細胞が可視的に判別できる。細胞に機能性磁性ナノ粒子を取り込ませて、交流磁場を照射すると、培地の温度上昇は見られないが、目的遺伝子が発現した。このことは、細胞内局所における磁性ナノ粒子の発熱によって、HSP70B’プロモーターが駆動したと考えられる。さらに、磁性ナノ粒子を合成生物学的アプローチで細胞内に生産させる方法を開発した。鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンの遺伝子をHeLa細胞に導入して磁性ナノ粒子を細胞内で形成させることによって、遺伝子的に細胞を磁気標識することに成功した。フェリチン遺伝子の発現により磁気標識された細胞は、磁気分離が可能となり、また、MRIの造影効果が得られた。さらに、熱誘導型人工プロモーターを導入したHepG2細胞にフェリチン遺伝子を導入して磁場を照射すると、レポーター遺伝子であるEGFPが発現することから、フェリチン導入細胞が交流磁場で発熱することを見いだした。今後、EGFPを治療遺伝子などの目的遺伝子に交換することで、磁場誘導型の遺伝子治療といった医療への応用が可能であると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
29年度が最終年度であるため、記入しない。 -
磁性ナノテクノロジーによる骨格筋再生医療の技術基盤の創製
2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
井藤 彰
担当区分:研究代表者
本研究では、骨格筋再生医療における「再生治療」と「再生研究」に有用な新規技術基盤の開発を行った。特に、我々がこれまで開発してきた先進医工学技術「磁性ナノテクノロジー」を効果的に利用し、独創的な方法論で研究展開をはかった。骨格筋は組織を形成して初めて本来の機能を発揮する。磁力を用いた組織工学技術により、電気刺激によって「動く」筋組織を作製することで、移植組織の「質」を評価する「再生治療」の評価基盤の確立を行った。また、再生治療研究として、ヒトiPS細胞の筋分化法の検討を行った。さらに、微細加工技術を組み合わせることで筋組織アレイを開発し、新規薬剤の探索を行う「再生研究」の基盤技術の確立を行った。
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磁性ナノテクノロジーによる骨格筋再生医療の技術基盤の創製
2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井藤 彰, 清水一憲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究では、骨格筋再生医療における「再生治療」と「再生研究」に有用な新規技術基盤の開発を行った。特に、我々がこれまで開発してきた先進医工学技術「磁性ナノテクノロジー」を効果的に利用し、独創的な方法論で研究展開をはかった。骨格筋は組織を形成して初めて本来の機能を発揮する。磁力を用いた組織工学技術により、電気刺激によって「動く」筋組織を作製することで、移植組織の「質」を評価する「再生治療」の評価基盤の確立を行った。また、再生治療研究として、ヒトiPS細胞の筋分化法の検討を行った。さらに、微細加工技術を組み合わせることで筋組織アレイを開発し、新規薬剤の探索を行う「再生研究」の基盤技術の確立を行った。
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磁気細胞操作技術による高速3次元細胞システム構築
2014年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金
井藤 彰
本研究は、磁性ナノ粒子と磁力を用いることで、「遺伝子修飾工程」と「三次元組織構築工程」のプロセスを高速化し、それらをまとめて一連の「磁気細胞操作技術による高速3次元細胞システム」を完成することを目的に行った。
1)「遺伝子修飾工程」の開発成果:磁力を用いた遺伝子導入法「マグネトフェクション法」の開発を行った。正電荷脂質包埋型磁性ナノ粒子を作製し、これをレトロウイルスベクターに添加して、iPS細胞に磁力で引き寄せることで、磁力なしの場合と比較して、約4倍 遺伝子導入効率が上昇した。また、遺伝子回路構築および遺伝子導入細胞構築において、以下の成果を挙げた。1.交流磁場をトリガーにして遺伝子発現するシステムの構築:熱誘導型HSP70B’プロモーターを用いて、Tet-Onシステムと組み合わせることで、交流磁場による磁性ナノ粒子の発熱をトリガーにして目的遺伝子を持続的に高発現するシステムを構築した。再生医療への用途のため、発熱で細胞死が起こらないレベルの発熱であっても、本システムを使用すると、目的遺伝子が持続的に高発現することを実証した。2.組織を構築した際に低酸素になった部分が遺伝子発現するシステムの構築:低酸素誘導型RTP801プロモーターを用いて、Tet-Onシステムと組み合わせることで、三次元組織内における低酸素環境下で目的遺伝子を高発現するシステムを構築した。
2)「三次元組織構築工程」の研究成果
三次元細胞システムの構築として、磁力を用いて遺伝子導入筋組織を作製し、機能する(強い収縮力を示す)三次元筋組織を構築した。筋分化を促進するIGF-I遺伝子と組織内部の低栄養/低酸素状態でのアポトーシスを阻害するBcl-2遺伝子を筋芽細胞に共導入することで、高筋分化かつ高細胞密度の三次元筋組織を作製することに成功した。 -
筋組織形成促進および筋萎縮抑制効果を有する素材の探索
2014年
キリン株式会社 R&D本部 基盤技術研究所 企業からの受託研究
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
独自に開発したティッシュエンジニアリング技術で作製した三次元筋組織を用いて、収縮力を指標にしたサルコペニア抑制素材の検索を行った。
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バイオテクノロジーを駆使した人工筋組織による新原理アクチュエータの創製
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
井藤 彰
担当区分:研究代表者
生体の筋肉に近い性質および性能をもつ動力素子(アクチュエータ)はロボット工学などの分野に新しい展開を生み出すと考えられる。我々は、磁力を用いた三次元組織構築技術(Mag-TE法)を利用して、高密度で配向した筋芽細胞からなる三次元組織を構築し、さらに遺伝子導入および電気刺激培養により機能を高めて、電気刺激に応じて収縮運動する人工筋組織(バイオアクチュエータ)を構築することに成功した。
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機能性磁性ナノ粒子を用いた筋組織再生技術によるバイオアクチュエーターの開発
2009年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
井藤 彰
担当区分:研究代表者
筋肉はきわめて高いエネルギー効率を有する動力素子(アクチュエータ)である。本研究では、磁力を用いた組織工学技術を応用して、高密度の筋芽細胞からなる三次元組織を構築し、電気刺激に応じて収縮運動する人工筋組織を構築することに成功した。さらに、人工筋組織の高機能化を目指して、筋芽細胞への遺伝子導入を行い、機能向上を評価した。