科研費 - 服部 美奈
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イスラーム教育と世俗の越境・融解:ムスリム側から描く「ポスト世俗化」像
研究課題/研究課題番号:25H00569 2025年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
日下部 達哉, 河野 明日香, 清水 貴夫, 服部 美奈, 黒川 智恵美, 中島 悠介, 見原 礼子, 久志本 裕子, 内田 直義
担当区分:研究分担者
本研究は、世界各国のムスリム居住地域において、イスラーム教育と世俗の教育との境界が、いかに越境・融解しようとしているのか、またそのことがムスリム人材の質や市民性をいかに変容させているのかについて研究する。本研究の研究期間が4年間ある中で、研究代表者と研究分担者、研究協力者らは、2回の海外渡航を予定しており、それらを通じたデータ収集によって、今世紀におけるイスラームへのイメージの歪みを是正、平和構築に貢献する。
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研究課題/研究課題番号:23K25628 2024年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小川 佳万, 服部 美奈, 大和 洋子, 石田 憲一, 松本 麻人, 小野寺 香
担当区分:研究分担者
本研究は、アジア各国が近年特に重視してきている総合学習に焦点を当て、そこで展開される活動内容や学力観に関して次の3つの角度、すなわち、1.教育行政機関レベルの政策動向分析、2.学校レベルの活動実態調査(授業目標や評価方法等)、3.教員レベルの実践調査(指導方法等)、から明らかにし、それらの多様性や共通性を検討する。それは各国の教育戦略においてどのような「市民」や「未来型人材」を育成しようとしているのかを実証的に明らかにすることでもある。
グローバル化と第4次産業革命が進展する社会において、アジア各国は主に初等・中等教育段階で「新しい学力」に基づいた「市民」や「未来型人材」の育成が重要な教育課題となってきている。その鍵として各国が共通して強調しているのが総合学習である。本研究は、この総合学習に焦点を当て、そこで展開される活動内容や学力観に関して次の3つの角度から明らかにすることを目的とする。すなわち、1.教育行政機関レベルの政策動向分析、2.学校レベルの活動実態調査、3.教員レベルの実践調査、の3つの角度から明らかにし、それらの多様性や共通性を検討する。
本年度は2年目であり、継続して関連文献や行政文書を検討するとともに、各自の担当国の学校の訪問調査、あるいはオンラインで調査を行い、総合学習の具体的な実践内容について調査を行った。特に中国はコロナウイルス感染症の影響でこれまで学校訪問が困難であったが、本年度は中国の小学校や中学校、高校を訪問して実際の活動の観察や聞き取り調査を実施することができた。メンバーの都合や相手側の都合によって学校訪問が叶わなかったケースもあったが、それぞれの担当国の総合学習の政策動向や活動実態について可能な範囲で情報収集を行い、定期的に研究会を開催してメンバー間での意見交換を行ってきた。また、日本比較教育学会第60回大会のラウンドテーブルにおいて、フィリピン、中国、台湾、韓国の総合学習について報告し、科研メンバーだけでなく、フロアの方々とも、各国の総合学習の特徴や日本との違いについて議論を交えることができた。さらに、オセアニア比較国際教育学会第52回大会において、日本の総合学習の事例について報告し意見交換を行った。来年度は、今年度の学校での調査の内容をもとに学会発表や論文刊行を進める予定である。
研究メンバーの多くが担当国の学校訪問やオンライン調査を行うことができ、そのデータ及び収集資料の検討と分析を進めているため。
今後も引き続き研究メンバー各自が担当国の分析を進めていく。来年度は、今年度と同様に中等教育学校の訪問調査を継続し、その結果を積極的に学会発表し、論文投稿を目指すことにする。 -
多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の実践に関する国際比較研究
研究課題/研究課題番号:23K25623 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
服部 美奈, 松本 麻人, 宮崎 元裕, 中田 有紀, 濱谷 佳奈, 高橋 春菜
担当区分:研究代表者
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
本研究は、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の多様な実践を明らかにすることを目的とする。研究対象国は、インドネシア、トルコ、ドイツ、イタリア、韓国とする。主な研究課題は、第一に各国・各宗教の宗教指導者組織と宗教指導者養成機関では多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知がいかなる議論を経て創造されているか、第二に各国では学校や宗教施設において、宗教教育が次世代に対してどのように行われているかである。各国の特徴を明らかにするとともに、地域横断的、宗教横断的に考察することにより、立体的に宗教知の創造と宗教教育の実践の現代的特徴と課題を明らかにすることを最終的な到達点とする。
本研究の目的は、多宗教および国際比較の観点から、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の多様な実践を明らかにすることを目的とする。研究対象国は、インドネシア、トルコ、ドイツ、イタリア、韓国である。各国の特徴を明らかにするとともに、これらを地域横断的、宗教横断的に考察することにより、立体的に宗教知の創造と宗教教育の実践の現代的特徴と課題を明らかにすることを最終的な到達点とする。
研究課題は、1.宗教指導者による多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造、2.養成機関における多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造、3.公教育および宗教施設で行われる宗教教育の多元的価値と宗教間融和への対応、4.総合的考察である。
2年目となる2024年度は、現地調査をイタリア、ドイツ、日本で実施した。イタリアでは、エミリアロマーニャ神学部の宗教学バカロレア課程におけるカトリック教神学の基礎知識の習得、イタリア教育学会宗教教育部会主催シンポジウム「意味の地平」での情報収取、現地校3校で宗教教育の実践を観察すると同時に仏教ないし禅の実践とカトリックの対話実践における霊性を通じた交流の可能性を考察した。ドイツでは第一に、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教教育の実践について、ドイツの公立学校における宗派教育を検討した。具体的には、ハンブルク市とニーダーザクセン州に見られる宗派教育の新たな展開に注目して比較考察した。第二に、ドイツの公立学校及び宗教施設において前年度に引き続き授業観察とインタビュー調査を行った。特に、イスラーム宗教教育に関しては、その目的と内容、社会的統合と宗教間対話をめぐる議論について考察した。日本では、日本カトリック神学院司祭養成課程における多元的価値の涵養に関する調査を実施した。また、比較考察としてイギリスの宗教教育に関する聞き取りを実施した。
初年度2023年度に続き2年目となる2024年度は、公教育および宗教施設で行われる宗教教育における多元的価値と宗教間融和への対応に関する資料収集と同時に、イタリア、ドイツ、日本で現地調査を実施した。上述したようにイタリアでは、エミリアロマーニャ神学部の宗教学バカロレア課程におけるカトリック教神学の基礎知識の習得、イタリア教育学会宗教教育部会主催シンポジウム「意味の地平」での情報収取、現地校3校で宗教教育の実践を観察すると同時に仏教ないし禅の実践とカトリックの対話実践における霊性を通じた交流の可能性を考察した。ドイツでは第一に、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教教育の実践について、ドイツの公立学校における宗派教育を検討した。具体的には、ハンブルク市とニーダーザクセン州に見られる宗派教育の新たな展開に注目して比較考察した。第二に、ドイツの公立学校及び宗教施設において前年度に引き続き授業観察とインタビュー調査を行った。特に、イスラーム宗教教育に関しては、その目的と内容、社会的統合と宗教間対話をめぐる議論について考察した。日本では、日本カトリック神学院司祭養成課程における多元的価値の涵養に関する調査を実施した。また、比較考察としてイギリスの宗教教育に関する聞き取りを実施した。韓国、トルコ、インドネシアに関しては宗教教育関連の文献収集を実施した。
2025年は継続して可能な限り現地調査を実施する。しかし、万が一、現地調査が困難な場合は文献資料を中心に研究を継続する。イタリアでは、イスラームの関連の組織や施設を訪問し、ムスリムの人々がイタリア社会における自らの宗教教育をいかに捉えているのかを考察する。
同時に2025年度は、宗教指導者による多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造、および宗教指導者養成機関における多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造に関しても研究を進め、その特徴を地域横断的・宗教横断的に考察し、その構造を立体的に明らかにすることを試みる。
以上の分析を通して、宗教が公共宗教として積極的な役割をもつことが期待される市民社会において、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の実践はいかなる形態のもとで実現できるかを明らかにすることを最終的な到達点とする。 -
カンボジアのムスリム集落の教育からみた多宗教間の共存関係の創出と調和
研究課題/研究課題番号:24K05673 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
千田 沙也加, 服部 美奈, 内田 直義
担当区分:研究分担者
本研究では、ポル・ポト時代を除き、マジョリティと平和的に共存してきたといわれているカンボジアにおけるムスリムの教育に焦点をあてる。カンボジアのイスラームコミュニティにおける国民教育(国定カリキュラム)とイスラーム教育(クルアーンに基づく教育)のそれぞ
れの教育実践の工夫や関係を明らかにし、ムスリムの教育を総体的に捉える。そして、教育
からみたマジョリティとマイノリティとの共存関係の創出と調和について実証的に考察し、
宗教間理解のための教育観と新たな視座の析出を目指す。
本研究の目的は、カンボジアのイスラームコミュニティにおける国家カリキュラムに基づく国民教育と、クルアーンに基づくイスラーム教育についての、歴史的変遷と現行の教育活動の特徴およびコミュニティの人びとの認識を検討することで、マジョリティとの共存関係の創出につながる教育の工夫や取り組みを明らかにすることとする。
カンボジアのムスリムは、国民の9割以上を占める上座仏教徒に対するマイノリティである。東南アジア大陸部の一部の国々では、マイノリティであるムスリムとマジョリティの間でしばしば衝突や対立がある一方で、ポル・ポト時代を除けば、カンボジアでは、両者は平和的に共存してきたといわれている。そこで本研究は、カンボジアのイスラームコミュニティにおける国民教育とイスラーム教育のそれぞれの教育実践の工夫や関係を明らかにし、ムスリムの教育を総体的かつ動的に捉える。そして、教育からみたマジョリティとマイノリティとの共存関係の創出と調和について実証的に考察し、宗教間理解のための教育観と新たな視座の析出を目指す。
初年度である2024年度は、文献検討を通じてカンボジアのムスリムの歴史的背景を確認するとともに、ポル・ポト時代以後のイスラームコミュニティの再生とイスラーム学校の展開について理解を深めた。また、現地調査では、設置形態の異なる複数のイスラーム学校を訪問し、それぞれの設置から現在までの経緯や教育課程について聞き取り調査を実施した。加えて、カンボジア・イスラーム最高評議会での聞き取り調査により、教育省からのイスラーム学校教員への公務員給与支給制度の導入など、近年のイスラーム学校の制度化に関する分析も進めている。
初年度である2024年度は、文献検討と現地調査を主に行った。
文献検討では、基礎歴な歴史的背景を中心に検討した。特に、カンボジアのムスリムの中でも、チャンパにルーツのあるチャム人がマジョリティであることを確認し、現在では、カンボジア・イスラーム最高評議会のグランド・ムフティ(カンボジアにおける最高位のイスラーム指導者)が指導するスンニ派ムスリムが主流派であることが分かった。ただし、その他にも異なるグローバルなつながりのあるイスラームグループがカンボジアに存在することが確認された。
現地調査は、東南アジアのマレー世界およびアラブ世界のイスラーム教育を専門とする研究者とともにチームを組み、実施することができた。そこで、カンボジアのイスラームコミュニティにおける異なる設置形態のイスラーム学校を訪問し、教育方針の違いを明確にすることができた。
最も顕著な相違点として、グランド・ムフティの管轄下にある学校は、公立学校化が進んでおり、イスラーム教師に対して公務員としての給与が支給される制度が整備されていた。グランド・ムフティの認可のカリキュラムの使用やイスラーム教育のみを行う学校でも、公立学校化することで学校歴が統一されるなど、制度化が進んでいた。
他方で私立学校としての認可を受ける学校では、自由なイスラーム教育が実施でき、マジョリティとの学校教育との接続の可能性も開かれている一方で、学費がかかるなど、異なる制度的・経済的な条件となっていることが明らかとなった。
2025年度は、イスラームコミュニティの記憶や認識に迫る現地調査を実施する。また、文献検討では、カンボジアの仏教教育の展開や、他のムスリムがマイノリティの国々での教育の実態を検討する。
現地調査では、2024年度に訪問した学校を再訪し、学校長や設置者、そして教師へのインタビューを行う。ライフヒストリーを聞き取り、教育観を明らかにする。また、近年のイスラーム学校の制度化をどのように受け止めているのか、マジョリティとのかかわりについての認識についても聞き取りを行う。
文献検討では、イスラーム教育の制度化の意味について分析を行う。具体的には、カンボジアにおける仏教教育が制度化されたプロセスや意義を検討したり、ムスリムがマイノリティの国々における制度化の実態やその意味や背景などを検討していく。
現地調査と文献検討から、教育からみたマジョリティとマイノリティとの共存関係の創出と調和について実証的に考察し、宗教間理解のための教育観と新たな視座の析出を目指す。 -
高等教育における「リバース・ジェンダー・ギャップ」現象―東南アジアの国際比較
研究課題/研究課題番号:23K22246 2024年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鴨川 明子, 服部 美奈, 久志本 裕子, 市川 誠, 森下 稔, 羽谷 沙織
担当区分:研究分担者
継続課題のため、記入しない。
本研究は、高等教育段階において男性より女性の数が上回る「リバース・ジェンダー・ギャップ」現象に着目し、その現象が見られる東南アジアの国々を主たる対象とする国際比較研究である。
研究の目的は、リバース・ジェンダー・ギャップの現状及びその現象を生じさせる背景や要因を体系的に解明することにある。そのため、第1に、教育統計や教育・ジェンダー政策を精査し、国別の独自性と宗教・政治・経済などの要因ごとに見られる多国間の共通性をマクロレベルで、第2に、ミクロレベルで女性や男性が教育を選択することの複層的な意味を明らかにする。第3に、東南アジアのリバース・ジェンダー・ギャップ現象を総合的・多面的に解釈するものである。
第2年度と第3年度は連動し「②個人のワークライフキャリア形成の意識と実態の把握、独自性の解明」を研究課題としている。第3年度は、研究目的を達成するために、以下の具体的な年度計画と方法で進めてきた。すなわち、「どのように、個人(私)がワークライフキャリアを形成し、リバース・ジェンダー・ギャップ現象を生じさせたか。また、それらは各国でどのような独自性が見られるか」という課題を掲げ、その課題のもとで、先行するフィールドでは、予備的インタビュー調査や訪問調査を実施した。
研究成果の一部を、日本比較教育学会等の関連学会において発表するとともに、本科研の助成による図書の出版に向けて出版社と協議し準備を進めてきた。
研究代表者・研究分担者は担当する国々を訪問したり、現地のジェンダー研究者や教育研究者及び教育省の政策担当者とともに、リバース・ジェンダー・ギャップ現象に関する研究討議を行うことができた。コロナ禍の余波が残っていないとは言えないため、必ずしも各国の全体像を描くことができるような大規模調査を行うことはできてはいないが、それぞれがフィールドで培ったネットワークを利用して、予備的調査や訪問調査を進めることができている。
また、事情により現地調査を十分に行うことができない場合にも、日本でインフォーマントを探すなど工夫してきた。さらに、このような研究成果の一部について関連学会で発表するとともに、一般書として出版する準備を進めることができたため。
今後は、研究分担者や研究協力者と協議した上で、研究成果を公表するとともに、必要に応じて現地調査を実施する。特に、アウトプットやアウトリーチ活動をより積極的に実施する予定である。具体的に、①書籍出版(6月)、②日本比較教育学会における共同発表、ブックトークへの登壇、③学生等を対象とする出版記念イベントの開催(7月)を予定している。 -
研究課題/研究課題番号:23K17614 2023年6月 - 2026年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
服部 美奈, 松本 麻人, 中田 有紀, 李 正連
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6110000円 ( 直接経費:4700000円 、 間接経費:1410000円 )
本研究は、インドネシア、韓国、日本の3つの島嶼国家を対象とし、遠隔教育環境が劇的に変化したポスト・コロナ時代における、ローカルな知を基盤とする島嶼地域教育の可能性を国際比較の観点から考察することを目的とする。最終的な到達点は島嶼地域を結ぶ新しい教育ネットワーク構築である。研究課題は、 [1] 島嶼地域の教育とローカルな知に関する史料考察、 [2] 島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:歴史、 [3] 島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:現在、 [4] 島嶼地域をメリットとするローカルな知の発信:未来から構成する。
本研究の目的は、約14,000島(有人島1,766)を有するインドネシア、約3,350島(有人島470)を有する韓国、約6,800島(有人島430)を有する日本の3つの島嶼国家を対象とし、ポスト・コロナ時代における、ローカルな知を基盤とする島嶼地域教育の可能性を国際比較の観点から考察することを目的とする。最終的な到達点は島嶼地域を結ぶ新しい教育ネットワーク構築である。また本研究は、本来中心に置かれるべき島嶼地域からのローカルな視点に着目し、島嶼地域の活性化を教育学の観点から問い直すものである。開発上困難な島嶼地域という従来の通説を覆し、島嶼地域であることが逆にポスト・コロナ時代ではメリットとなるという前提に立つ。設定した研究課題は、1.島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察、2.島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:歴史、3.島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:現在、4.島嶼地域をメリットとするローカルな知の発信:未来である。
2年目となる2024年度は、2023年度に続き、島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察と同時に、韓国で現地調査を実施した。韓国では、地域教育共同体づくりを実践している地域事例を調査した。具体的には、①黎民同楽共同体(全羅南道霊光郡畝良面所在)の取り組み、②トブマウル学校(全羅南道務安郡一老邑所在)の取り組みである。これらの地域は西海に近く、人口減少・高齢化率の高い地域で、持続可能な地域づくりのために地域教育共同体づくりに取り組んでいることが明らかになった。インドネシアと日本に関しては、2023年度からの継続として島嶼地域の教育に関する文献調査を実施した。特に日本に関しては島嶼地域で実践されている特色ある教育実践や、水産高校の新たな取組を中心に文献収集を行った。
2年目となる2024年度は、島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察と同時に、韓国で現地調査を実施した。韓国では、地域教育共同体づくりを実践している地域事例を調査した。具体的には、①黎民同楽共同体(全羅南道霊光郡畝良面所在)の取り組み、②トブマウル学校(全羅南道務安郡一老邑所在)の取り組みである。これらの地域は西海に近く、人口減少・高齢化率の高い地域で、持続可能な地域づくりのために地域教育共同体づくりに取り組んでいることが明らかになった。インドネシアと日本に関しては、2023年度からの継続として島嶼地域の教育に関する文献調査を実施した。特に日本に関しては島嶼地域で実践されている特色ある教育実践や、水産高校の新たな取組を中心に文献収集を行った。
3年目となる2025年は文献調査とともに可能な限り現地調査を実施する。しかし、万が一、現地調査が困難な場合は文献資料を中心に研究を継続する。
2025年度は前年度までに実施した文献研究を継続すると同時に、現地調査を実施する。具体的には、韓国の島嶼地域での現地調査の実施、インドネシアの島嶼地域での現地調査の実施(2023年度に調査を実施したリアウ諸島州ナトゥナ諸島の他、中部ジャワ州ジュパラ郡カリムン・ジャワ諸島の追加調査の実施)、日本の島嶼地域での現地調査(主に三重県伊勢志摩地域、長崎県五島列島地域)を実施する。
以上の分析を通して、1)ローカルな知と文化資源を生かした島嶼地域からの教育の発信(島嶼地域を周縁に位置づけるのではなく、地球面積の1割弱を占める島嶼地域の重要性と存在感を示す)、2)日本、インドネシア、韓国と同様、海洋に接する国々が海洋国家構想を打ち出すなかで、島嶼地域のローカルな知の重要性と可能性を学術的に解明することを目指す。 -
研究課題/研究課題番号:23H00931 2023年4月 - 2028年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小川 佳万, 服部 美奈, 大和 洋子, 石田 憲一, 松本 麻人, 小野寺 香
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は、アジア各国が近年特に重視してきている総合学習に焦点を当て、そこで展開される活動内容や学力観に関して次の3つの角度、すなわち、1.教育行政機関レベルの政策動向分析、2.学校レベルの活動実態調査(授業目標や評価方法等)、3.教員レベルの実践調査(指導方法等)、から明らかにし、それらの多様性や共通性を検討する。それは各国の教育戦略においてどのような「市民」や「未来型人材」を育成しようとしているのかを実証的に明らかにすることでもある。
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多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の実践に関する国際比較研究
研究課題/研究課題番号:23H00926 2023年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
服部 美奈, 松本 麻人, 宮崎 元裕, 中田 有紀, 濱谷 佳奈, 高橋 春菜
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
本研究は、多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知の創造と宗教教育の多様な実践を明らかにすることを目的とする。研究対象国は、インドネシア、トルコ、ドイツ、イタリア、韓国とする。主な研究課題は、第一に各国・各宗教の宗教指導者組織と宗教指導者養成機関では多元的価値と宗教間融和に対応する宗教知がいかなる議論を経て創造されているか、第二に各国では学校や宗教施設において、宗教教育が次世代に対してどのように行われているかである。各国の特徴を明らかにするとともに、地域横断的、宗教横断的に考察することにより、立体的に宗教知の創造と宗教教育の実践の現代的特徴と課題を明らかにすることを最終的な到達点とする。
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東南アジア・ムスリム社会における「学校化」の教育社会史:植民地期の教育言説と女性
研究課題/研究課題番号:22K02335 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久志本裕子, 服部 美奈, 鴨川 明子, 山口 元樹, 坪井 祐司
担当区分:研究分担者
この研究では、現在のマレーシア・インドネシアにあたる地域で20世紀初頭にムスリムによって発行された雑誌と新聞、あるいはイスラーム系ではない雑誌、新聞におけるムスリムによって書かれた記事を主な資料として教育に関する言説、特に女性の社会的地位と教育の必要性について論じた言説がどのような形で欧米と中東の言説の影響を受けながら成立し、変化したのかを分析する。東南アジアの教育社会史として研究成果を論文等の形で発表するのに加え、東南アジアのムスリムが「外来」の制度や思想を紆余曲折しながら受け止めた様子から得られた示唆を、「学校化」する現代社会をめぐるより一般的な知見としてシンポジウム等で発表する。
本研究の目的は、19世紀から20世紀初頭の東南アジア・ムスリム社会において「学校化」が なぜ、どのようにして始まったのかを、女性と教育に関する言説形成を中心とする教育社会史として明らかにすることである。研究計画における本年度の目的は、特に東南アジアにしか所蔵がない資料を追加して、英領マラヤと蘭領東インドで出版された雑誌の女性と男性双方による記事を比較分析することを中心としていた。このため、昨年度に続き本年度はまず両地域の植民地化の展開についてのより深い理解を得るための文献収集と読解を進めた。次に植民地期に植民地支配者によって持ち込まれたジェンダー関係を理解するために、植民地化が進展する以前の東南アジアのジェンダー関係をより深く考察するための文献収集と読解を進めることとした。
マレーシア・インドネシア地域におけるヨーロッパ勢力の進出は16世紀から17世紀に見られるものの、植民地化が領域的支配に展開し教育を含む社会制度全体を含んで深まっていくのは特に19世紀以降である。これ以前の特に15世紀から17世紀にかけての「交易の時代」と呼ばれる時代のジェンダー関係、特に世界の中でも比較的地位が高かったとされる女性の社会的役割については近年研究が進んでいる分野である。植民地期のムスリム社会の変化、特にそこで近代ヨーロッパの価値観があるべきものとして入り込んでいく過程を描くという本研究の趣旨に照らして18世紀以前のジェンダー関係についての理解を深める作業は研究計画書においては主要な部分としては含んでいなかったものの、本研究において決定的に重要な部分になると認識を改め、2024年度はこの点の研究を重点的に行った。この結果、当初の計画と比べて研究の進展がやや遅れることとなった。
上述の通り、当初の計画では重要項目に入れていなかった18世紀以前のジェンダー関係についての研究を優先して行ったため、当初の研究計画については実行の時期がやや遅れることとなった。
本年度は元の研究計画で予定していた植民地期の雑誌を中心とする一次資料の分析を進め、成果報告を実施していきたい。まず、本年度の前半には研究分担者間での研究会を2か月に一度ほどオンラインで実施し、各自が取り組んでいる一次資料の内容の紹介を随時行いながら分析の方向性を検討する。次に、対面での研究会を9月ごろに実施し、2日ほどかけて研究成果の公開の方向性について議論を深める。本年度の後半には一次資料の分析からわかることをより広く共有するための公開研究会を実施する。 -
高等教育における「リバース・ジェンダー・ギャップ」現象―東南アジアの国際比較
研究課題/研究課題番号:22H00975 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鴨川 明子, 服部 美奈, 久志本裕子, 市川 誠, 森下 稔, 羽谷 沙織
担当区分:研究分担者
本研究は、高等教育段階において男性より女性の数が上回る「リバース・ジェンダー・ ギャップ」現象に着目し、その現象が見られる東南アジアの国々を主たる対象とする国際比較研究である。研究の目的は、リバース・ジェンダー・ギャップの現状及びその現象を生じさせる背景や要因を体系的に解明することにある。そのため、第1に、教育統計や教育・ジェンダー政策を精査し、国別の独自性と宗教・政治・経済 などの要因ごとに見られる多国間の共通性をマクロレベルで、第2に、ミクロレベルで女性や男性が教育を選択することの複層的な意味を明らかにする。第3に、東南アジアのリバース・ジェンダー・ギャップ現象を総合的・多面的に解釈する。
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イスラーム教育によって創出されたムスリムネスの地域性と共鳴性
研究課題/研究課題番号:21H04413 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
日下部 達哉, 河野 明日香, 清水 貴夫, 服部 美奈, 中島 悠介, 見原 礼子, 久志本裕子
担当区分:研究分担者
本研究は、世界のイスラーム教育機関が日々創り出しているムスリムネス(イスラーム教徒らしさ)の地域性と共鳴性について研究するものである。多彩なあり方を許容するイスラームは、地域ごとに独自のムスリムネスを生み出している。その一方でそれらは、留学、機関紙、SNSなどを通じて、地域間で共鳴している。この想定のもと、「共鳴して生み出されている新しいムスリムネス」、「共鳴性を受けて変容するムスリムネスの地域性」等について、研究を遂行する。これにより、未だにデータ・情報に乏しいイスラームの現状を克服、イメージの偏りも打破していく。
本研究では、世界各地のイスラーム教育が生み出す、ムスリムネスの地域性・共鳴性を研究することを課題として研究を進めてきた。結果として、欧米で、ムスリムたちが自らの教育圏としてのマドラサを設立し、政府の要請で、英語や数学などの一般教科も力を入れ、性的マイノリティについて教える等の改革事例を収集した。またアジアやアフリカのマドラサでは、自らのイニシアティブで改革し、自主性・独立性は保持しつつ、一般教科にも力をいれるなどして、公教育と共生しようとする事例も見られた(地域性)。これらムスリムネスの地域性は留学、出版物、SNS等によって地域を超えて循環し、共鳴し合っていることも明らかとなった(共鳴性)。
本研究が明らかにしてきたのは、新自由主義、グローバルな波にもまれながらも、イスラーム教育の現代的位置づけを求めるべく、また、人々に新しく創生されたムスリムネスを絶え間なく普及すべく、現代における新しい現象や考え方を解釈し、マドラサなどのイスラーム教育施設を通じて、時代に合った新しいイスラーム教育を提供し続けようとしている姿である。つまり、それらは過激な形ではなく、平和裏にイスラームを位置づけようとするムスリムの姿であり、今後、我が国においてもより、隣人となっていくであろうムスリムのステレオタイプを取り払う一助となる発見を伴っている。 -
インドネシア国立イスラーム大学における知の再編-一般諸学との融合形態に着目して-
研究課題/研究課題番号:20K02558 2020年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 美奈
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2730000円 ( 直接経費:2100000円 、 間接経費:630000円 )
本研究は、インドネシアにおける2000年以降のイスラーム高等教育改革に焦点をあて、新生の国立イスラーム大学が「宗教知」と「世俗知」の融合をどのように構想・実践しているのか、さらに「宗教知」と「世俗知」の融合によって、多宗教・多文化共存のための知の基盤をいかに創出しているかを明らかにする。その際、分析の参照枠として、マレーシア国際イスラーム大学、イスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)が推進するイスラーム教育の世界的な動向をおく。
本研究は、2000年以降の国立イスラーム大学における「宗教知」と「世俗知」の融合の形態、融合による多宗教・多文化共存のための知の基盤の創出の展開を明らかにすることを目的とした。研究の結果、(1)世俗知とイスラーム知の融合はカリキュラム、学位、進路にみられること、(2)一方で、現段階では折衷の意味合いが強く、融合は次の段階として予想されること、(3)伝統的イスラーム教育の制度化により、プサントレンとの異同をいかに自己定義するかが今後の重要な論点となること、(4)知の融合による多宗教・多文化共存のための「知の共通基盤」の創出は、制度面では徐々に推進されていることが明らかになった。
イスラームは独自の人間観を有する一つの思想体系であり、教育学的な観点からみると独自の学問体系をもつ思想体系でもある。イスラームの「知」がいかに形成されているのかを改めて教育学の観点から考察することはイスラーム教育研究の深化となる。また、日本の教育学研究における研究の偏りやイスラーム教育思想研究の不在に対し、イスラーム教育思想研究が、人間存在を問う教育学に対して新たな知見を提供するものと考える。同時に、宗教知と世俗知の分離・融合の問題は現代的な問題であり、イスラームに限定されるものではない。本研究の知見は近代以降の知のあり方と今後を考えるうえで意義を有する。 -
イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に関する応用的・実践的研究
研究課題/研究課題番号:20H00085 2020年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
長澤 榮治, 村上 薫, 森 千香子, 後藤 絵美, 鳥山 純子, 森田 豊子, 黒木 英充, 岩崎 えり奈, 小野 仁美, 服部 美奈, 岡 真理, 山崎 和美, 嶺崎 寛子, 鷹木 恵子, 高橋 圭, 細谷 幸子, 竹村 和朗, 幸加木 文, 岡戸 真幸
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:44850000円 ( 直接経費:34500000円 、 間接経費:10350000円 )
本研究は、2016年度以来実施してきた基盤研究(A)「イスラーム・ジェンダー学の構築のための基礎的総合的研究」の成果を踏まえ、イスラーム・ジェンダー学という新しい知的挑戦の枠組みを実践的応用的研究へと発展させることを目指すものである。
とくに現代世界の諸問題の根底をなす人々に「分断」をつくり出す構造を明らかにすることを目指して、「イスラーム」と「ジェンダー」の視座から、さまざまな「障壁」や「格差」や「摩擦」についての人文社会学的実証研究を行う。国内外研究者のみならず、市民組織・国際機関などとも連携し、問題解決となる方策を探り、具体的な提言やアドボカシーを含む、実践的応用的研究を遂行する。
本研究は、イスラーム・ジェンダー学という新しい知的挑戦の枠組みを通じて現代世界が直面する諸問題を考察し、解決方法を模索するものである。とくに諸問題の根底にある人々の「分断」に着目し、それをつくり出す構造を明らかにすることを目指している。具体的には、「イスラーム」と「ジェンダー」の視座から、さまざまな「障壁」や「格差」、「摩擦」についての人文社会学的研究を行ってきた。個別研究・班研究・全体集会等を通じ考察を深め、国際ワークショップ・国際学会への参加を通じて国際学術交流を図った。一般市民向けの公開セミナーやイスラーム・ジェンダー・シリーズの刊行を通じて成果の社会還元に努めた。
「イスラーム」と「ジェンダー」の視角から、現代世界において人々の「分断」を生みだしている諸問題の実態を分析し、その構造と背景を考察するとともに、公正な秩序にもとづく共生社会を実現するための諸課題を明らかにしようと試みた。これらの応用的実践的な諸課題に取り組むに当たっては、多様な専門分野の研究者の参加を得ることによって理論的な考察を深めるとともに、マイノリティと差別、難民や移民の問題など「分断」と「共生」をめぐる問題に関心のある市民との交流を通じて、人の営む暮らしや日常的な感覚に根差した問題解決の道を探った。 -
研究課題/研究課題番号:19K21799 2019年6月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
中島 千惠, 服部 美奈, 杉本 均, 石川 裕之, 澤野 由紀子
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究は、教育を通した共通の基盤を形成していく制度設計にチャレンジし、公教育の新たな段階を模索しようとするものでもある。従来の公教育にはまらない人々の学習保障をどうするか、いずれすべての国で直面する課題であると思われる。しかし、単純な問題ではない。公教育の枠外の人達の現実を受け止め、多様なバックグランドのすべての人に学習機会を保障し、公教育の新しい段階を拓くには、価値観の転換、あるいは新たな価値観の創造が必要だ。アセアン共同体の動きも踏まえながら、日本に今までにない制度を外国の制度の輸入ではなく、日本の公教育の良さを保持したままでいかに創造していけるのか探求し、挑戦する。
本研究は公教育制度の外で学ぶ多様な人々を包摂し、共通の基盤を形成、社会の分断を回避するアジア的アプローチを模索する。最も公的支援が届きにくいHSに焦点を当て、アメリカ、カナダ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、韓国、北欧を調査し、以下の成果を得た。1.韓国、日本以外では、既にホームスクーリング(以下HS)が例外措置あるいは免除される法令や規定があり、多様な人々を包摂している。2.HSを選ぶ理由は多様化し、学習成果の考え方は柔軟、いずれの国でも質保障として公立学校の基準が共通の基盤形成の大きな柱となっている。3.HSを経ても高等教育段階で従来からの公教育に統合される道が開かれている。
調査対象国にすべてにおいて合法・非合法に関わらずHSをする人々がいた。従来のHS研究であまり扱われてこなかったアジア諸国とロシアも含む9か国についてHSの法令、実態と仕組み、HSする児童生徒が置かれた複雑な社会的事情や背景を含むより深い理解、多様な児童生徒の公教育への統合・包摂と教育の質保証とのバランスとせめぎ合いの諸相、グローバル化と近代的公教育や宗教教育の間の葛藤、リスク、そして可能性を明らかにした。各国のHSの法令、事例そして多角的知見は、日本における次の公教育制度形成において、理論的ディスカッション段階を越えて、具体的取組やアクションの段階へと推し進め得る有用な情報と知見を提供した。 -
東南アジア島嶼部における男子・男性のワークライフキャリア形成
研究課題/研究課題番号:19K02525 2019年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
鴨川 明子, 服部 美奈, 金子 奈央, 中田 有紀
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
2030年に向けた持続可能な開発目標(SDGs)において、ジェンダーと教育の問題は解決されるべき目標に掲げられる。ジェンダーと教育の問題は、相対的に不利な立場に置かれた女子・女性の問題としてとらえられることが多い。そのため、彼女たちの教育機会が限定されている国や地域(サブサハラアフリカや南アジア)に注目が集まる傾向にある。
しかしながら、本研究は、高等教育段階において男女間の教育格差が縮小しているように見えるが、男子がより高い教育段階に進学しない点に特質が認められる東南アジア島嶼部3ケ国に対象を絞る。そして、これら3ケ国における男子・男性の「ワークライフキャリア形成」の独自性を解明する。
2030年に向けた持続可能な開発目標(SDGs)において、ジェンダーと教育の問題は解決されるべき目標に掲げられる。本研究は、高等教育段階において男女間の教育格差が縮小しているように見えるが、男子がより高い教育段階に進学しない点に特質が認められる東南アジア島嶼部のマレーシアとインドネシアに対象を絞る。そして、これらにおける男子・男性の「ワークライフキャリア形成」の独自性を解明するものである。と同時に、対象国における男性・女性の教育に関する現況を「ワークライフキャリア」概念により整理するとともに、高等教育におけるリバース・ジェンダー・ギャップという新しい現象の一端を明らかにした。
教育学領域で未解明の東南アジア島嶼部における男子・男性のワークライフキャリア形成に関して、西洋の枠組みに拠らず分析する点に学術的意義がある。また、高等教育段階で男女間の教育格差は縮小しているが、男子・男性に特有のキャリア形成や性役割へのまなざし、その特有の文化が見落とされてきた同地域の教育現象を解明することに意義が認められる。
さらに、本研究の視点は、男子・男性の生涯にわたるワークライフキャリア形成とその独自性に着目することによって、国際的なジェンダーと教育の問題の、より深い理解と解決を模索する点に創造性がある。その創造性はジェンダー平等の概念をとらえなおし、日本社会への波及効果をもたらす。 -
アジアにおける市民性教育の標準化と多様化に関する国際比較研究
研究課題/研究課題番号:19H01639 2019年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小川 佳万, 長濱 博文, 松本 麻人, 服部 美奈, 中田 有紀, 石田 憲一, 小野寺 香, 大和 洋子
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:15470000円 ( 直接経費:11900000円 、 間接経費:3570000円 )
社会のグローバル化が進む中で、アジア各国は20世紀型国民国家から21世紀型市民国家へと移行するため、主に初等・中等教育段階で「市民」形成が目指されてきた。ところが近年高等教育の拡大を受けて、それが高等教育段階の課題としても各国で認識され、それを鍵概念の一つとした教養教育改革が実施されてきている。本研究は、アジア諸国における市民性教育(Citizenship Education)を中等教育段階の学力観の転換及び高等教育段階の教養教育改革という視点から捉え、国際比較検討を行うことにより、グローバル社会における「市民」概念の解明と将来の市民性教育のあり方へ示唆を与える。
本研究は、アジア諸国における市民性教育を中等教育段階の学力観の転換及び高等教育段階の教養教育改革という視点から捉え、国際比較検討を行うことにより、グローバル社会における「アジア的市民」概念の解明を目指した。共同研究の結果、「アジア的市民」を「共属民」という語で表現できると結論づけた。この「共属民」とは、さまざまな共同体(例えば、家、地域、国、世界)に属し、それら共同体の人々との調和的な関係性を重視する人間を意味する。そして、こうした調和的関係を維持・強化するための教育に、研究対象とした国々は中等教育段階でも高等教育段階でも力を入れている。
本研究の学術的特色は、歴史や文化が異なり多様でありつつ、本格的なグローバル化への対応として市民性教育を共通して推し進めるアジアの「市民」概念を包括的に分析することである。従来「市民」形成は初等・中等教育の課題と捉えられてきたが、高等教育における教養教育という観点から捉え直すことで、新たな「市民」概念、特にアジア的な「市民」概念を析出する。アジアはヨーロッパとは異なり、共通性を見出すのが困難であったことを踏まえると、本研究はそこに新たな視座を提示することとなる。 -
ムスリム居住地域で進行する主体的なイスラーム教育改革に関する地域間比較研究
研究課題/研究課題番号:17H02682 2017年4月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
日下部 達哉, 河野 明日香, 服部 美奈, 中島 悠介, 見原 礼子, 清水 貴夫
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本研究では、参画した各研究者によって「イスラーム教育がいかに主体的に改革を行っているか」、が明らかにされてきた。情報メディアが発達した現在、ムスリムたちにとって宗教教育の役割はきわめて重要になってきている。多くのムスリム居住地域では、西洋出自の情報がメディアを通じ子どもや若者に影響を与えているため、各地で展開するイスラーム教育は、その土地をカバーする教育制度や社会に合わせて常に改革・改変を繰り返す必要に迫られる。この研究では、そうしてできたアジア・アフリカのイスラーム教育の地域的多様性について明らかにしている。
本研究においてよく登場する言葉が「マドラサ」である。イスラーム教育を施す場所として最も知られている場所であり、また概念である。このマドラサをめぐる報道や言説をみた場合、必ずしも適切なイメージが形成されているとは言い難い。メディアに露出してきたマドラサのイメージは、「過激派の温床」といったようなネガティブなものであった。マドラサをめぐる言説は、以上のように不穏当なイメージから抜け出せてはいない。しかし本研究は、生活に根差したイスラーム教育を対象とすることにより、少しでもそうしたイメージを払拭することを目指した。 -
イスラーム思想のなかの「子ども」-ローカルな実践と思想にみる発達観の解明
研究課題/研究課題番号:16K13546 2016年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
服部 美奈
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
期間全体の研究成果は以下の4点である。第一に、イスラーム教義のなかのバリフ(アラビア語ではブルーフ)という概念が、子どもの発達段階、特に子どもと成人を隔てる概念として重要であることが再確認された。第二に、各地域で行われる通過儀礼は、実施される時期や意味づけにおいて異なっている。第三に、各地域に共通して、思春期(第二次性徴を迎えてから結婚に至るまでの時期)の子どもへの対応は、イスラームの教義と子どもが当該社会で置かれた社会状況との間にアンビバレントな状況が生まれている。第四に、思春期の扱いにより、教育や結婚、交際範囲、服装に異なる解釈が生まれ、教義とのズレもみられた。
イスラームは、独自の人間観を有する一つの思想体系であり、独自の発達観・教育観を有する。ここでいう発達観・教育観は固定的なものではなく、ローカルな文脈のなかで解釈・実践され、生成される動態的なものである。研究は、イスラーム思想のなかの「子ども」に焦点をあてることを通して、イスラームにおける発達観・教育観を明らかにした点に学術的意義があり、日本におけるイスラーム教育思想研究の不在に対し、新たな視点を提供するものである。同時に本研究は教育という観点からイスラーム理解に寄与する点で社会的意義を有する。 -
研究課題/研究課題番号:16H01899 2016年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
長澤 榮治, 村上 薫, 松永 典子, 後藤 絵美, 鳥山 純子, 森田 豊子, 黒木 英充, 岩崎 えり奈, 服部 美奈, 岡 真理, 臼杵 陽, 山岸 智子, 嶺崎 寛子, 鷹木 恵子, 小林 寧子, 竹村 和朗
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:39780000円 ( 直接経費:30600000円 、 間接経費:9180000円 )
本プロジェクトは、イスラームにとってジェンダー的な公正とは何か、という問題意識にもとづき、文化・政治・開発などにわたる諸問題を学際的に研究することを目的とした。また、これまで個別に行われてきた中東・イスラーム地域のジェンダー研究をまとめ上げ、かつ広範囲の研究領域にジェンダー視点を導入することにより「イスラーム・ジェンダー学」という新たな知的営為の基礎固めを行うことを目指した。個別研究・公募研究・全体集会等を通じ考察を深め、国際ワークショップ・国際学会への参加を通じて国際学術交流を図った。一般市民向けの公開セミナーやイスラーム・ジェンダー・シリーズの刊行を通じて成果の社会還元に努めた。
現代世界においては、難民や移民、マイノリティと差別の問題など人々を分断する動きが強まる一方、異文化共生社会の実現に向けての知的・社会的努力が積み重ねられている。こうした課題にとって重要な焦点となっているのが「イスラーム」と「ジェンダー」をめぐる問題領域である。本プロジェクトは、このような問題意識に立ちながら、多様な専門分野の研究者の参加によって新たな学術的知見を得るとともに、教育現場の関係者や障がい者、性的少数者など、分断や差別の問題に関心のある市民の参加も得て議論の社会的広がりも確保することができた。 -
研究課題/研究課題番号:15H03477 2015年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
サルカルアラニ モハメドレザ, 石井 英真, 坂本 將暢, 服部 美奈, 久野 弘幸, 坂本 篤史, 柴田 好章, 中島 繁雄
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
本研究の目的は、国際比較授業分析の方法を開発しながら、グローバルな現代社会におけるペダゴジーの文化的基底の様相とその機能を解明することであった。各国のペダゴジーにおけるローカル知・理論とグローバル知・理論の検討・比較の結果を基に、学習デザイン、授業観、教授法、教師観、教授技術などを基礎とした研究成果から、授業実践の背後にある心象、価値観、信念や習慣化された行動様式、およびそれらの相互関連の構造を明確にした上で、ペダゴジー・コレクトネスの構築を検討し、よりよい社会の顕在化のためのペダゴジーの働き・役割と文化的基底(cultural foundation of pedagogy)を解明した。
①宗教、言語、教育制度、学校文化の異なる様々な国を研究対象としたことで、トランスカルチャルな問題を明らかにできる。②実証的な検証を基礎にした比較開発研究、特に国際比較授業分析にある。③教えるということは「何であるか・何であるべきか」を国際的なディスコースと日本的なディスコースを結びつけることができる。
具体的に、国境を越えてトランスナショナル・ラーニングの解明に向かう基礎を築くところに、本研究の意義はある(ローカル知とグローバル知が結びつく)。例えば、アクティブ・ラーニングの学校文化の創造や知識の活用は、日本において焦眉な教育課題であるが、これは形を変えて他国にも存在している。