科研費 - 飛田 潤
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研究課題/研究課題番号:22H01575 2022年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
平井 敬, 高橋広人, 倉田 和己, 新井 伸夫, 飛田 潤
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:390000円 ( 直接経費:300000円 、 間接経費:90000円 )
超高密度地震観測の実現を目指し、自動車を地震計として利用するための震度計と観測成果をサーバー上で収集・分析・可視化するシステムの開発を行う。震度計のセンサーには安価で小型のMEMS加速度センサーとジャイロセンサーを用い、車両の並進振動と回転運動を把握する。データ処理部では、車両の振動特性の影響を除去することで地上の振動を逆算し、計測震度またはそれに相当する地震動の強さ指標を算出する。データ収集・分析・可視化システムでは、既設の震度観測網による観測記録を使用して自動車による観測記録を補正し、階層的な地震観測体制を構築する。
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免震建物の被災後・長期稼働後を想定した免震装置の特性変化モニタリング
研究課題/研究課題番号:22H01640 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
飛田 潤, 平井 敬, 護 雅史
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
免震構造は、建物の大地震時の安全性と機能維持に有効であり、庁舎や病院などの公的建築、質の高いオフィスや共同住宅などに用いられる。本研究は免震建物と免震装置の大地震被災後および長期使用時の性能を、現地で的確に把握する技術の実験的検討を行う。大振幅の加振装置を備えた免震建物と多様なモニタリング技術を用いて、建物の振動特性と免震装置の特性把握と、それらの実性能を反映したモデル化を行い、特性変化の検出や応答特性への影響を評価しうる一連の手法を開発する。
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広域地震災害を想定した建物強震観測・モニタリング普及促進のための環境構築
研究課題/研究課題番号:26420548 2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
護 雅史, 平井 敬
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
建物強震観測の拡充と観測記録の活用のため、広域地震災害を想定した建物被災度モニタリングや防災情報への展開を考慮して、技術者や建物使用者が活用できる強震観測方策とデータ共有システムの検討を行った。主な成果は、①建物の強震観測の現状把握と既存の観測記録の再検討、②ウェブGISを用いた強震観測記録の共有システムの検討、③強震観測の普及にむけたシステム・データ・機材の活用の検討である。これにより建物に関係する設計者、技術者および使用者にメリットを考慮した観測方策の展開が有効であることを考察した。
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非専門家との連携協働による新たな建物強震観測体制「Pネット」の構築
研究課題/研究課題番号:23560669 2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
福和伸夫、護雅史、小島宏章
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5460000円 ( 直接経費:42000円 、 間接経費:1260000円 )
将来の広域巨大地震災害に備えて建物の強震観測体制を改善するために、非専門家との協働に基づく新たな強震観測体制「Pネット」を提案し、運用基盤の構築を行う。
(1)安価な地震計で簡略な観測体制をとり、強震記録の回収や維持管理作業を建物ユーザーなどの非専門家に依頼する。またこれらの基本作業をサポートするソフト・ハードを提供する。
(2)観測に協力するインセンティブとして、各自の立場で建物の強震観測のメリットを享受できる多様なソフト・ハード・ウェブ環境および防災教育・地域防災活動プログラムを提供する。
以上により、最小限のコストで多数の強震観測点を確保し、建物耐震化や地震防災教育、普及啓発を行うことで、日本の防災文化に根ざした強震観測普及の新たなモデルを構築する。 -
東海・東南海地震の広域巨大災害における構造被害データ収集のための建物強震観測戦略
研究課題/研究課題番号:20360250 2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
飛田潤、福和伸夫、護雅史、小島宏章
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:19240000円 ( 直接経費:14800000円 、 間接経費:4440000円 )
近い将来の東海・東南海地震において予想される膨大な建物構造被害の情報を効果的に収集するために、広域・多数の建物に関する戦略的な強震観測・データ整理の体制を検討し、名古屋圏で試験稼動することを目的とした。結果として、(1)建物・地盤・地震動等の基礎データ収集・整理と相互運用ウェブGISによる利用環境開発、(2)旧式、廉価型地震計の活用法と性能確認、(3)観測記録から建物被害を評価する方法論の構築、などの成果を得た。
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近い将来の巨大地震にむけた地震時建物挙動の広域モニタリング体制の構築
研究課題/研究課題番号:19656136 2007年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 萌芽研究
飛田 潤、小島宏章
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
本研究では、主に一般的な中低層建物を対象として、多様な構造特性や耐震改修効果の検証を含めた耐震性能評価に向けた一般的応答観測手法の検討に基づき、近い将来の巨大地震による膨大な構造被害データを最大限に収集するための「広域に展開した戦略的な地震時建物挙動モニタリング体制」の提案と基本的な実現可能性を検討する
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双方向災害対応ネットワークによる災害情報インテグレーション
研究課題/研究課題番号:16360274 2004年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
飛田 潤、福和伸夫、鈴木康弘、新井伸夫
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:10600000円 ( 直接経費:10600000円 )
本研究では、地域の災害や防災に関連した多岐にわたる情報を、行政、住民、技術者、研究者などが収集・整理・共有・発信・利用するための枠組みを検討し、実際的なシステムやそれを用いた地域防災活動、そのための拠点構築などを検討した。これを災害情報インテグレーションと呼ぶ。結果として、高解像度のウェブGISをプラットフォームとして、多様なハザード情報や防災情報を統合し、多様な利用者が利用できるコンテンツとインターフェイスをもつ一連の地域防災情報システム群を構築し、その活用プログラムや利用拠点についても試みた。
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鉄筋コンクリート造建物の耐震診断・耐震改修効果の常時微動による評価
研究課題/研究課題番号:10128217 1998年4月 - 1999年3月
科学研究費助成事業 特定領域研究(A)(2)
飛田潤、西阪理永、森保宏
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2000000円
本研究では、主に名古屋市内の耐震診断・耐震改修が進められている多数の鉄筋コンクリート造建物を対象として常時微動実測・分析を行い、地盤や構造、耐震診断結果、耐震改修方法と実測された振動特性に関する詳細なデータベースを作成することにより、耐震指標をはじめとする各種構造特性と振動特性との関連を定量的に明らかにすることを目的とした。本研究の成果は以下のようにまとめられる。
1. 常時微動計測:名古屋市内の学校建築を中心として、低層RC造建物延べ100棟以上で常時微動計測を行った。うち6棟は耐震改修前後の計測があり、また4棟では低層建物の微動による固有振動特性推定法の詳細な検討のために多点同時計測を実施している。
2. 耐震診断資料・地盤調査資料の収集とデータベース化:計測対象の全建物に関する二次診断結果に加えて、愛知県における中低層RC造数百棟の診断結果を収集・整理した。
また従来から行っていた名古屋市内の地盤情報収集結果から、計測対象建物全点に関する詳細な地盤情報を抽出・整理した。
3. 低層RC造建物の常時微動による動特性推定と相互作用:多数の対象建物の分析と、少数の建物の詳細な多点同時計測から、低層RC造建物では地盤・建物動的相互作用の影響で常時微動から適切な振動特性推定値が得られない場合があることを提示し、その原因が地盤条件・周辺振動源・基礎形式・上部構造形式の関連でほぼ説明できることを示した。
4. 振動特性と各種建物特性との相関:上記の結果から、二次診断のIs値やCT・SD値と固有振動数の相関性等を示した。この結果は、非常に多数の建物の耐震性能評価が必要とされている現状において、耐震診断を補完するための簡易な指標として常時微動観測に基づく振動特性が活用できる可能性を示唆するものである。 -
致命的災害病巣を検知・切除・治癒することによる南海トラフ地震の総合的減災戦略研究
研究課題/研究課題番号:17H01304 2017年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
福和 伸夫, 高橋広人, 平井 敬, 都築 充雄, 倉田 和己, 山崎 雅人, 新井 伸夫, 飛田 潤, 長江 拓也
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:43940000円 ( 直接経費:33800000円 、 間接経費:1290000円 )
切迫する南海トラフ地震による地震被害を抜本的に低減するため、危険回避力、都市や構造物の抵抗力、災害後の対応力、回復力の4つの力を強化することを目的として、社会の致命的な災害病巣を検知し、その切除と治癒の方策を検討すると共に、VR、AR技術を駆使して、社会を構成する産・官・学・民全ての減災行動の誘発を行い、災害情報共有化を進め、組織態様に応じて、被害波及を最小化し効率的に復旧・復興を図る方法を検討した。
防災減災研究では、被害軽減のため、社会を俯瞰すると共に、様々な研究分野の成果を総合活用し、具体的な対策に結び付けることが肝要である。本研究課題では、社会を構成する様々なステークホルダーと共に議論することで、従来認識されていなかった社会の災害病巣をあぶりだし、その解決手法を示した点に本研究の学術的意義がある。また、この成果を活かして中部産業界の防災減災行動に繋げたこと、具体的な提言を経済団体から発出することで行政の施策立案に繋げたことに社会的意義がある。 -
三次元の波動伝播を考慮した広域表層地盤モデルの高精度化に関する研究
研究課題/研究課題番号:17K01308 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高橋広人
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
三次元の波動伝播を考慮した広域表層地盤のモデル化手法の確立を目的として3点の成果を得た。①列状に配置したセンサーを用いた微動記録に基づく二次元地盤情報を抽出する手法を構築した。②三次元有限差分法に基づく模擬微動記録に基づき位相速度に及ぼす周辺地盤の影響範囲と波長との関係を明らかにした。③表層地盤モデルをPC画面上で三次元表示し、一般市民に居住地域の土地利用と表層地盤構造の関係を通した防災対策意識の向上をはかる表層地盤モデル可視化システムを構築した。
本研究課題で構築した交通振動から二次元地盤情報を抽出する仕組みは、実務で用いられている表面波探査に比べて長い波長の分散性、さらに40~50m程度まで構造を捉えることが可能となり、人工震源なしで不整形地盤の把握が期待できる。
表層地盤モデル可視化システムは、地盤構造になじみの薄い一般市民の方に、新旧地形図や空中写真と併せて立体的に表示することで土地の履歴や地形改変を学習しながら防災啓発につながることが期待される。今後、防災啓発施設等に設置して学習効果について調査していきたい。 -
南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト
2013年10月 - 2020年3月
文部科学省 国内共同研究
資金種別:競争的資金
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東日本大震災に学ぶ 南海トラフ巨大地震での長周期建物の挙動予測・再現と耐震対策促進
研究課題/研究課題番号:25249077 2013年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
福和伸夫, 護雅史, 飛田潤
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:44980000円 ( 直接経費:34600000円 、 間接経費:10380000円 )
長周期地震動への対策を進めるために、地震動と建物の応答特性の把握および対策促進の方策を提案した。まず、堆積盆地構造が地震動に与える影響について、有限差分法と相反定理を用いて検討した。次に、建物の固有周期特性と減衰特性を明らかにするために、建設時と解体時の高層建物を対象に継続して微動計測と強震観測を行い、振動特性の建物階数依存性を明確にした。また、構造物を連続体置換することにより、動的相互作用が応答に及ぼす影響を波動論に基づいて明らかにした。さらに、実大構造物の加振実験環境と振動モニタリングシステムを構築し、長周期建築物の耐震対策や家具固定の促進のためのシステム開発事例を提示した。
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減災に向けた連続する大地震の揺れ・液状化に対する重要諸施設の詳細応答予測手法構築
研究課題/研究課題番号:24560683 2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
護 雅史
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:5460円 ( 直接経費:4200円 、 間接経費:1260円 )
本研究では、被害が東海から近畿、四国、九州に広がるとも予測されている国難とも言うべき南海トラフで発生する巨大地震から、人の命を守り被害を最小限に留めるため、特に役所・学校や病院、エネルギー施設など、災害時に非常に重要となる諸施設の耐震性能の精度の良い評価に向け、大都市の人口が集中する軟弱地盤の挙動や建物を支える基礎と地盤との動的な相互作用効果を考慮した精度の高い地震応答解析法の構築に関する検討を実施した。 -
動く見たまま3D画像と地震音の自動生成による視聴覚に訴える地震時想像力醸成環境
研究課題/研究課題番号:23656338 2011年4月 - 2013年3月
科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
福和伸夫、飛田潤、護雅史
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
巨大地震による災害被害を劇的に減少させるためには、耐震化や家具固定などの個々人の備えの行動を抜本的に進めることが必要である。このためには、国民一人一人の我が事感を醸成することが不可欠である。そこで、視聴覚体感環境を利用して個々人の地震時イマジネーション力をつけるシステムを開発した。
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古地図・図会・浮世絵等と地震工学情報を統合した納得感のある減災行動誘発手法の開発
研究課題/研究課題番号:22246071 2010年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
福和伸夫、飛田潤、護雅史
担当区分:研究分担者
配分額:39650000円 ( 直接経費:30500000円 、 間接経費:9150000円 )
切迫する大地震を前にして、抜本的な災害被害軽減のため、危険を回避する土地利用と、個々人の耐震補強を進めるための研究が必要とされている。そこで、本研究では、古地図や図会、浮世絵などの非地震工学的情報と、強震動や、地盤、建築物の耐震性などの地震工学情報とをWebGIS上で統合すると共に、地震時の状況をVR技術により再現するシステムを構築することにより、納得感とわが事感のある減災行動誘発手法を開発した。
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いつでもどこでもだれでも地震の揺れを体験できるバーチャルウェブ振動体感環境の構築
研究課題/研究課題番号:21651079 2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
福和伸夫、飛田潤、護雅史
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:3200000円
東海・東南海・南海地震や首都直下地震に対する地震防災戦略が策定されたにも関わらず国民の防災対策は遅々として進んでいない。その最も大きな原因は、地震災害の発生をまだ十分に「納得」せず、「わがこと」と捉えていないことにある。そこで、この研究では、国民が地震災害の発生の危険性について十分に「納得」し、さらに災害がわが身に降りかかったときの状況を「わがこと」と感じるためのウェブシステムを構築する。このウェブシステムは、インターネット接続環境さえあれば、時間や場所を選ばず、誰もが地震時に経験する揺れや、周辺の状況をリアルに体感できるものとする。
平成22年度は、まず、相互分散運用でデータを相互参照できるシステムをWebGIS上に構築し、分散する地図・空中写真・標高・地下構造などのデータを利用して、当該サイトの立体地形・建物画像・地盤モデルなどを自動生成する新たなシステムを開発した。次に、PC画面上を床応答変位で移動する室内画像に、家具を転倒させる動画機能を持たせると共に、ウェブ上で、室内写真・屋外写真などを入力すると、当該居室の揺れを予測し、この床応答変位で写真をPC画像上で移動させるソフトを完成させた。さらに、相互分散運用型データベースシステム、WebGIS、強震動・応答予測システム、PC上を画像が移動する動画生成システム、床面と壁面と側面の動画を表示する3台のプロジェクターを同時制御するPCが、連携して動作する全体システムを構築し、Webを介した入出力で全てを制御できるバーチャルウェブ振動台を実現した。最後に、名古屋市域を対象としたプロトタイプシステムをウェブ上で公開した。これに加え、国や自治体が評価した地震動に対する揺れ体感も可能にした。 -
広域・大規模地震災害時の研究的情報トリアージと調査行動戦略策定のための環境構築
研究課題/研究課題番号:21560586 2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
護雅史、福和伸夫、飛田潤
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究は、未曾有の被害が予測されているこの大震災に対して、有限かつ変動するヒト・コト・モノ・カネで、莫大な情報量の中から学術的に重要な被害調査情報を取捨選択するための、いわば「データトリアージ」と効率的な被災調査行動戦略の策定を、満足化手法により実現しようとするものである。研究成果としては、過去の地震被害調査状況調査の取りまとめや、被害予測等に必要なデータの収集とデータベース化とともに、WebGISによる公開システム等について検討した。さらに、2011年東日本大震災関連の情報収集に努め、情報集約拠点を設置した。また、戦略立案システム構築にあたって必要となる、想定東海地震、東南海地震、南海地震の地震動評価やこれらを用いて災害時に重要施設となる小学校の被害予測を行った。
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個人の耐震化対策を誘導する説明力を持った地震ハザード予測と体感型提示手法の開発
研究課題/研究課題番号:19206059 2007年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
福和伸夫、飛田潤、護雅史、小島宏章、飯場正紀、宮腰淳一
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:49530000円 ( 直接経費:38100000円 、 間接経費:11430000円 )
切迫する大地震を前にして災害被害軽減のために個々人の耐震補強と家具固定を抜本的に進めるための研究が必要とされている。そこで、本研究では、耐震化の推進を支える人材育成や啓発教材構築のため、「国民に対して説明力を持った高精度・高解像度の地震ハザードの予測法」と、「簡易振動台や耐震実験教材、eラーニング、3次元WebGISを活用した体感型提示法」の開発を行い、これらを耐震化推進活動に活用した。
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建設時強震観測による超高層建物の振動性状解明と長周期床応答体感用自走式台車の開発
研究課題/研究課題番号:17360269 2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
福和伸夫
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:15200000円
東海・東南海地震など海溝型巨大地震では、長周期が卓越した地震動が長時間にわたり継続することが予測される。この際に超高層建物などの長周期低減衰建物は、共振して著しく大きい応答を生じる可能性があり、構造安全性のみならず、特に上階における室内安全性は大きな問題である。本研究では、新しい振動観測法を提示することで、効率的な実測による超高層建物の振動特性評価の検討を行った。
また強震時の超高層建物の長周期大振幅の床応答を再現できる自走式振動台の開発を行い、応答体験による防災対策促進の啓発手法を検討した。
建設中の建物において、建設段階を追って観測点を随時上階に移設しながら、常時微動と地震観測を継続的に行う手法を提示し、そのために適した計測機材・計測体制・データ通信機器等を開発した。これを用いて研究期間内に3棟の超高層建物の施工時計測を完了、現在も1棟で観測を実施している。振動特性を建物高さ、応答振幅(相関変形角)、設計時特性などとの関係で詳細に検討し、常時微動から求めた減衰定数が0.脇程度と小さいこと、実測周期と設計周期との差違など、応答予測に当たって重要な知見が得られている。
長周期構造物の応答体験用に、人が乗れるロングストローク振動台を開発した。これは10Hz以下の振動数で最大変位±3m、最大速度500cm/s、最大加速度2Gの性能を有し、任意の波形を高い精度で再現できることを検証した。これを用いて超高層建物の上階の応答を再現したところ、揺れの様子は予想しなかったものとなり、建物使用者や所有者のみならず構造設計者に対しても、超高層建物の応答や室内安全性に関する啓発効果が極めて高いことが確認された。
以上の成果は、超高層建物の地震時安全性向上に関して、研究面・普及啓発面のいずれからも大きな意味を持つものであり、本研究の所期の目的を達するとともに、将来にむけた課題も整理できたと考えられる。 -
半導体センサーとインターネットを活用した超高密度・多点建物強震観測システムの試作
研究課題/研究課題番号:16656169 2004年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 萌芽研究
福和伸夫、飛田潤、小島宏章、飯場正紀、中野優
担当区分:研究分担者
配分額:3500000円
強震観測の充実の妨げとなっているコストと維持管理の問題を解決すべく,ネットワーク接続型の低コスト強震計を開発した。この強震計の特徴は,半導体センサーを強震観測用に改造することにより,フルスケール2G,上下動が1Gの3成分センサーでありながら,AD変換部も低コスト化を図ることにより,一般の気象庁検定地震計に対して1桁下回るコストを実現している。また,維持管理・使用上の利便性を考慮して,LAN接続,RS232C接続,波形収録,連動機能,震度計算,リアルタイム震度送出,震度表示,接点出力の機能を全て標準装備としている。これらの特徴は,既往の低コスト地震計には備わっておらず,従来の強震観測の在り方であった重厚型(高精度・多点観測・高価格)から,軽薄型(高密度・超多点観測・低価格)へと抜本的な変化をもたらすものであり,一般建築物の地震時挙動の解明を急展開させたり,一般家庭へ寒暖計並に強震計を普及させたりすることで,強震観測の充実化が十分見込める。
今年度は,開発した低コスト強震計と並列観測している通常の強震計と比較することで精度検証を行い,各振動数において1.5gal・secに達する地震動であれば、一般の建築物で重要となる0.1秒〜1.5秒程度の範囲において充分に実用可能である結果を得た。
低コスト強震計の活用例として,企業内LANにネットワークカメラと共に接続することにより,地震時にPC上へリアルタイム情報(震度情報,最大加速度,SI値)を表示すると共に,インターネットを介して各観測点での震度分布図が表示できるシステムを構築し,地震時の早期情報収集を行っている。また,接点出力とPC及び回転灯を接続することにより,警告音(ブザー)や回転灯の点滅で地震の到来を知らせたり,カメラによる地震時映像の収録をしたり,機械停止用の接点信号を出す企業地震防災システムにも活用している。