科研費 - 尾上 順
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エネルギー変換材料の分子レベル解明と高性能化設計に関する日仏ワークショップ 国際共著
2020年7月 - 2021年3月
科学研究費補助金 二国間交流事業 オープンパートナーシップセミナー(大学間連携)
尾上 順
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2211000円
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金属イオンを含有した亜臨界水による土壌粘土鉱物からのCs脱離に関する研究
研究課題/研究課題番号:18H03398 2018年4月 - 2021年3月
尾上 順
担当区分:研究分担者
配分額:2396000円
回分式水熱装置にCsを吸着したVermiculitized Biotite(VB) 2g と0.1M MgCl2 水溶液200mlを入れ、250℃、4MPaの条件下でCs脱離率の時間変化を測定した。その結果からイオン交換過程の速度係数(総括物質移動係数)を評価できた。
次いでカラムによるCsの連続回収実験を行った。のCs吸着VB 0.5g をカラムに充填し、250℃、4MPa の条件で0.1MMgCl2水溶液を 0.5ml/min で流し、Cs回収試験を行った。カラムからの流出液中のCs濃度を測定し、Cs脱離率の変化を調べたところ最終的にすべてのCsを回収することに成功した。処理前後のVBに対してX線回折分析を行ったところ、VBに吸着された Cs+ が全て Mg2+ に置換されたことを確認できた。
MD シミュレーションによる亜臨界水中におけるVB-水間の固液界面での原子・分子レベルでのイオン交換過程の動的変化を解析した。固液界面でのイオン交換挙動をMD シミュレーションにより模擬し、交換過程を解析した。その結果、常温常圧下では、Cs+ 取り込まれた層は、10.5-11.5 A 程度まで収縮し、安定的に固定化されることが分かった。また、固液界面に注目すると、Csを含む層の界面が閉じており、界面近傍での Cs+ と水分子の出入りは活発には起こらないことが示唆された。一方で、亜臨界水下では、層間の Mg2+、水分子、さらにはそれらが結合した Mg(H2O)6 2+ 錯体が層間を押し広げることで Cs+ は層内をランダムウォークによって拡散することが示唆された。常温常圧と亜臨界水条件で拡散係数を比較すると、拡散係数は亜臨界水条件下で 5-10 倍程度大きくなり、層間吸着している Cs+ がランダムウォークによってMg2+ と交換して脱着しやすくなることが分かった。
令和元年度の提案書で挙げている5つの課題 [①実汚染土壌を篩分けした細粒分(<75μm)を準備し、回分式亜臨界接触装置及び小型カラム試験装置を用いてイオン交換平衡・速度、Cs連続脱離を測定する。②XRD用の高温高圧セルを用いて、亜臨界水条件のイオン交換平衡における汚染土壌の分級細粒物の層間距離を測定し、層間距離から金属イオンの存在状態を解析する。③土壌細粒物のイオン交換挙動(平衡、速度)を支配している土壌構成成分及びプロセス操作条件を明らかにする。④MDシミュレーションによる水熱条件下における固液界面での原子・分子レベルでのイオン交換過程の動的変化を解析する。固液界面でのイオン交換挙動をMDシミュレーションにより模擬し、交換過程を解析する。⑤第一原理計算による層間に取り込まれた水分子およびその他のイオンや分子の化学状態を解析する。粘土鉱物層間に取り込まれた水分子やイオンの電子状態を解析する。]について、研究概要に示す通り、ほぼ研究目標を達成している。計画通りに順調に進めていると言える。
令和2年度は申請書に従い、以下の3つの研究項目を進める。
① 理論計算と分光/構造解析実験結果の解析による高速イオン交換過程の原子・分子レベルで解明する。1,2年目の計算および実験結果を基に、イオン交換反応を原子・分子レベルで解明する。
② これまでの成果を総合化し、粘土鉱物の亜臨界水条件におけるイオン交換理論(平衡論、速度論)を展開する。
③ 実機規模の「亜臨界水イオン交換プロセス」を想定し、構築された亜臨海水イオン交換理論を利用して、物質・エネルギー・放射能の各収支を評価して、必要なプロセスの規模、二次廃棄物発生量、処理土壌の再利用性を評価する。 -
1次元凹凸周期曲面構造C60ポリマー薄膜の新奇物理的・化学的機能の開拓
研究課題/研究課題番号:18H01826 2018年4月 - 2021年3月
JSPS 科研費 基盤研究B
尾上 順
担当区分:研究代表者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
(1) 熱電変換機能の開拓
超高真空(UHV)下でマイクロプローバを用いてゼーベック係数を測定し, 四探針測定で得られている電気伝導率からパワーファクターを算出したが、KxC60薄膜と同様に、ゼーベック係数と電気伝導率とがトレードオフの関係であることがわかった。薄膜のグレインサイズ(数ミクロン)に対して上記2つの物性値を測定する際の電極パッド間の距離が0.1 mmのため、粒界が支配的になっていることが原因と考えられる。そのため、現在、電極間距離を縮小して再度測定を行う予定である。
(2) 特異反応場機能の開拓
CO2の固定化および有価物質への変換として、水素(H2)とCO2との反応によるギ酸(HCOOH)の生成について検討した。ギ酸は水素キャリアとして注目されている物質である。UHVチャンバーにH2とCO2を1D凹凸C60ポリマー薄膜に導入し、in situで赤外分光測定を行い、理論スペクトルとを比較した結果、室温ではフリーのギ酸に対応するピークは観測されなかったが、新たなピークが現れた。ギ酸がC60ポリマーに吸着している可能性もあり、現在、可能性のあるモデル構造から理論IRスペクトルを計算中である。
また、得られた成果については、今年度、国際雑誌Carbon 152, 241 (2019)、Carbon 152, 882 (2019)、Nanotechnology 31, 115701 (2020)に掲載され、現在1報投稿中である。
上記検討課題は想定内の課題であるため、その解決策も分かっているため、概ねクリアできると考えられる。
(1) 熱電変換機能の開拓
前年度は、C60薄膜に電子線照射により1D凹凸C60ポリマー薄膜を形成し, ゼーベック係数と電気伝導率をin situ測定したが、グレインサイズより大きな電極間で測定認め、粒界の影響により、薄膜の真の物性値が測定できなかった。今年度は、電極間距離をグレインサイズ程度まで小さくすることで、薄膜由来の真のゼーベック係数と電気伝導率を測定し、1993年に理論予測されている巨大ZTを発現するか検証する。
2 特異反応場機能の開拓
今年度は、前年度In situ超高真空FT-IR装置に取り付けた反応性ガス導入機構および質量分析計測器を用いて、 固定化 したCO2を有用物質(R-OH, R-COOHなど)に変換するために, H2ガスを導入し、室温でギ酸が生成するかを検討した。新たなIRピークが観測されたが、フリーのギ酸そのもののIRピークとは異なることから、ギ酸とC60ポリマーとの相互作用したモデル構造を用いた理論スペクトルを算出し、生成物の同定を行う。また、新たに反応性ガス(たとえば、メタンやエタン)を導入し, 炭酸イオンから有用物質への変換を試みる。 -
1次元凹凸周期曲面構造C60ポリマー薄膜の新奇物理的・化学的機能の開拓
2018年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
尾上 順
担当区分:研究代表者
既往のナノカーボン材料(フラーレン, ナノチューブ, グラフェン)とは異なる構造と物性(たとえば,電子物性に対する幾何曲率効果)を示す日本オリジナルの1次元(1D)金属凹凸周期曲面構造C60ポリマー(1D凹凸C60ポリマー)薄膜について,
① 超高真空(UHV)下でマイクロプローバを用いてゼーベック係数を測定し, 四探針測定で得られている電気伝導率及び熱伝導率(外部分析)の結果と合わせて熱電変換性能指数ZTを算出し, 1993年に理論予測されているZTの飛躍的な向上の有無を,
② また, UHVチャンバーに種々の反応性ガスを導入し, 1D凹凸C60ポリマーがフレームワークとして構成されるサブナノスペース(幅約0.3 nm)の特異な反応場の機能発現の有無を, それぞれ実験と理論の両面から調べ, 既往のナノカーボン材料にはない新奇な物理的・化学的機能の開拓を目的とする。 -
金属イオンを含有した亜臨界水による土壌粘土鉱物からのCs脱離に関する研究
2018年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
竹下健二
担当区分:研究分担者
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ペンタグラフェン:創製と機能創発
2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
川添良幸
担当区分:研究分担者
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ペンタグラフェン:創製と機能創発
研究課題/研究課題番号:17H03384 2017年4月 - 2020年3月
川添 良幸
担当区分:研究分担者
実験から得られるパラメータを一切使わず、物理の基礎理論だけで新材料設計を行う第一原理シミュレーション計算を適用し、我々が理論的に提案したペンタグラフェン構造を炭素系から他元素系へと拡張し、さらに負のポアソン比を生かした建築材料等のマクロ系への適用も行った。グラフェンの工業応用研究も並行して行い、ペンタグラフェン特有の性能を明らかにした。
触媒作用を実際に起こっている現象通りに計算機の中で再現するために時間依存シュレディンガー方程式の解法を本研究グループ独自の全電子混合基底第一原理計算法TOMBOに導入し、電子を励起したまま時間発展させたシミュレーション計算を実施した。
従来は2次元に囚われ、薄膜構造の検討がなされていなかった。本研究では、この盲点を重点的に調べ、正五角形のみでの(擬)平面タイリングを可能とした。その応用の一つが炭素の構造体ペンタグラフェンであり、発見から現在までに既に400件の引用がなされている。合成に成功すれば、新規物性が発現するため、有用なデバイス応用による高度情報化社会への寄与が可能となる。負のポアソン比は幾何学構造のみに依存して決まりマクロな系でも同様の特性を示すため、建築用材料等への適用も可能である。 -
マルチスケールによる有機太陽電池の光電変換素過程と微視的構造因子の相関関係の解明
2017年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 日本ーフランス 二国間交流事業(共同研究)
尾上 順
担当区分:研究代表者
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新たな曲面量子物性学理の基盤構築
2009年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 新学術研究領域(課題研究提案型)
尾上 順
担当区分:研究代表者
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フラーレン・金属錯体積層構造を用いた機能調和型高効率光電変機能材料の構築
2003年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金
尾上 順
担当区分:研究代表者