2025/04/19 更新

写真a

マエダ ナオコ
前田 直子
MAEDA Naoko
所属
大学院法学研究科 総合法政専攻 国際・比較法政 教授
学部担当
法学部 法律・政治学科
職名
教授

学位 4

  1. 京都大学博士(人間・環境学) ( 2010年3月   京都大学 ) 

  2. 法学修士 ( 2001年7月   レスター大学 ) 

  3. 修士(人間・環境学) ( 1998年3月   京都大学 ) 

  4. 学士(法学) ( 1996年3月   京都大学 ) 

研究キーワード 7

  1. 拷問等禁止条約

  2. 出入国在留管理

  3. 国際人権条約

  4. ヨーロッパ人権条約

  5. 国際連合(国連)

  6. 国際法

  7. 国際人権法

研究分野 1

  1. 人文・社会 / 国際法学

経歴 7

  1. 名古屋大学   大学院法学研究科   教授

    2025年4月 - 現在

  2. 国連拷問禁止委員会   委員

    2022年1月 - 現在

  3. 京都女子大学   法学部   教授

    2020年4月 - 2025年3月

  4. 京都女子大学   法学部   准教授

    2015年4月 - 2020年3月

  5. 京都女子大学   法学部   専任講師

    2011年 - 2015年

  6. 神戸大学   助教

    2008年 - 2011年

  7. 外務省   外務事務官

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学歴 4

  1. 京都大学   人間・環境学研究科   博士後期課程

    - 2010年3月

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    国名: 日本国

  2. レスター大学   Graduate School of Law

    - 2001年7月

  3. 京都大学   人間・環境学研究科   修士課程

    - 1998年3月

  4. 京都大学   法学部

    - 1996年3月

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    国名: 日本国

所属学協会 5

  1. 国際法学会   理事

  2. 世界法学会   理事

  3. 国際人権法学会   理事

  4. 国際法協会日本支部

  5. アジア国際法学会日本支部   研究企画委員

委員歴 4

  1. 国連拷問禁止委員会委員・副委員長  

    2022年1月 - 現在   

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    団体区分:その他

  2. 法務省難民審査参与員  

    2018年7月 - 現在   

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    団体区分:政府

  3. 大阪府人権施策推進審議会委員  

    2022年2月 - 現在   

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    団体区分:自治体

  4. 京都市人権文化推進懇話会委員・座長  

    2020年1月 - 現在   

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    団体区分:自治体

 

論文 28

  1. 拷問に対する不処罰禁止と時効―ヴィラビアン勧告的意見 招待有り 査読有り

    人権判例報   ( 9 ) 頁: 52 - 59   2024年12月

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    記述言語:日本語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

  2. Impacts on the Monitoring System of the United Nations Human Rights Treat 査読有り 国際共著

    前田 直子

    Global Impact of the Ukraine Conflict   1 巻   頁: 161 - 184   2023年

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    記述言語:英語  

    DOI: 10.1007/978-981-99-4374-6_8

    CiNii Research

  3. 国連人権条約個人通報手続が直面する課題と拷問禁止委員会の実行

    前田 直子

    国際人権   34 巻   頁: 3 - 8   2023年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  4. 入管法改正と日本の難民認定制度の現在 査読有り

    前田 直子

    ジュリスト   1591 巻   2023年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  5. 人権の自律化・主流化における第三世界のイニシアティブとその軌跡 査読有り

    前田 直子

    新国際人権法講座   1 巻   頁: 89 - 108   2023年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  6. 国連人権条約における国家間通報――運用課題についての一考察―― 査読有り Open Access

    前田 直子

    研究紀要   27 巻   頁: 1 - 24   2022年

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    記述言語:日本語  

    Open Access

    CiNii Research

  7. 「人権条約の実施における時間的管轄」

    前田 直子

    『現代国際法の潮流 Ⅱ:人権、刑事、遵守・責任、武力紛争』   II 巻   頁: 4 - 17   2020年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  8. 「国連人権条約における国家報告審査の実効性――総括所見フォローアップ手続の課題――」

    前田 直子

    『実証の国際法学の継承』   1 巻   頁: 121 - 142   2019年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  9. Forty Years' Practice of the UN Human Rights Committee for Implementation of the Covenant: A Universal Model for the Protection and Promotion of Human Rights 査読有り

    前田 直子

    Japanese Yearbook of International Law   60 巻   頁: 212 - 242   2017年

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    記述言語:英語  

    CiNii Research

  10. 外国人の在留管理における児童の権利条約の適用可能性

    前田 直子

    国際法外交雑誌   113 巻 ( 4 ) 頁: 595 - 619   2015年1月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:一般財団法人 国際法学会  

    DOI: 10.60340/kokusaihogaikozasshi.113.4_595

    CiNii Research

  11. Reinforcement of the Execution of Judgment of the European Convention on Human Rights: Development and Challenges 招待有り Open Access

    前田 直子

    Journal of Law and Politics (Nagoya University)   258 巻   頁: 91 - 102   2014年10月

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    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)  

    DOI: 10.18999/nujlp.258.4

    Open Access

  12. 保護される権利 : 国際法上の個人の権利としての法的限界 (保護する責任と保護される権利の諸相) 招待有り 査読有り Open Access

    前田 直子

    世界法年報   0 巻 ( 31 ) 頁: 42 - 64   2012年3月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:世界法学会  

    DOI: 10.11388/yearbookofworldlaw.31.0_42

    Open Access

    CiNii Books

  13. ヨーロッパ人権裁判所の新展開--補完性原則の変容? 査読有り Open Access

    前田 直子

    研究紀要   ( 16 ) 頁: 1 - 19   2011年3月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:世界人権問題研究センタ-  

    Open Access

    CiNii Books

  14. 国籍の国家承継

    前田 直子

    変革期の国際法委員会(村瀬信也・鶴岡公二編)(信山社)     頁: 529 - 552   2011年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  15. 欧州人権条約における判決履行措置の司法的強化 Open Access

    前田 直子

    国際協力論集(神戸大学) 18巻2号     頁: 41 - 56   2010年

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    記述言語:日本語  

    DOI: 10.24546/81002622

    Open Access

    CiNii Research

  16. 犯罪人引渡しと死刑――ジャッジ事件 査読有り

    前田 直子

    国際法判例百選(第3版)   第3版 巻   頁: 104 - 105   2021年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  17. 「国際法1 改宗と難民該当性(東京地判令和元・9・17)」

    前田 直子

    ジュリスト『令和元年度重要判例解説』   1544 巻   頁: 274 - 275   2020年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  18. 「上陸拒否の特例:退去強制となった外国人に対する『留学』在留資格証明書の交付」

    前田 直子

    『国際人権』   31 巻   頁: 119 - 121   2020年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  19. 「カディ事件」 査読有り

    前田 直子

    『判例国際法(第3版)』   3 巻   頁: 669 - 673   2019年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  20. 人権侵害の継続性と時間的管轄 : ユスポヴァ対ロシア事件[自由権規約委員会2015.7.21見解] 査読有り Open Access

    前田直子

    京女法学   13 巻 ( 13 ) 頁: 51 - 62   2018年2月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:日本語   掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)  

    Open Access

    CiNii Books

    その他リンク: http://hdl.handle.net/11173/2601

  21. 継続的侵害に関する時間的管轄の法理―ブレチッチ事件(大法廷判決) 査読有り

    前田 直子

    戸波・北村・建石・小畑・江島(編集)『ヨーロッパ人権裁判所の判例Ⅱ』   1(単巻) 巻   2016年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  22. パイロット判決手続の適用によるキプロス紛争の一側面の処理―ゼニデス・アレスティス事件 査読有り

    前田 直子

    戸波・北村・建石・小畑・江島(編集)『ヨーロッパ人権裁判所の判例Ⅱ』   1(単巻) 巻   2016年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

  23. Book Review:Kokusaijinkenhou ―Kokusaijinken no Dainamizumu to Kokunaihou tono Kyouchou[International Human Rights Law -Dynamisum of International Standards and Coordination with Domestic Law] by Shin Hae Bong(Shinzansha,2013) 査読有り

    前田 直子

    Japanese Yearbook of International Law   58 巻   頁: 424 - 426   2015年

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    記述言語:英語  

    CiNii Research

  24. 国際義務の「継続的侵害」概念 : 手続的義務にかかる時間的管轄についての一考察 (法学部 創設記念) Open Access

    前田 直子

    京女法学 = Kyojo hougaku : Kyojo journal of law and politics   ( 1 ) 頁: 201 - 226   2011年11月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:京都女子大学法学部  

    Open Access

    CiNii Books

  25. 欧州人権条約における第14bis議定書の採択 ―並列する暫定的適用方法の効果と問題点―

    前田 直子

    国際協力論集   17 巻 ( 3 ) 頁: 67 - 84   2010年2月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:神戸大学大学院国際協力研究科  

    DOI: 10.24546/81001978

    CiNii Books

  26. 欧州人権条約における受理可能性新基準 「相当な不利益」の創設と人権裁判所機能の発展

    前田 直子

    国際協力論集   17 巻 ( 1 ) 頁: 117 - 130   2009年7月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:神戸大学  

    DOI: 10.24546/81001452

    CiNii Books

  27. 公正な裁判手続における「非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い」により得られた自白の証拠許容性と自己負罪拒否権--ヨーロッパ人権裁判所Jalloh対ドイツ事件判決の検討

    前田 直子

    社会システム研究   ( 11 ) 頁: 151 - 167   2008年2月

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:京都大学大学院人間・環境学研究科社会システム研究刊行会  

    CiNii Books

  28. 麻薬所持容疑者に対する吐剤の強制投与と公正な裁判に対する権利-ジャロー対ドイツ事件(ヨーロッパ人権裁判所大法廷2006年7月11日判決)

    前田 直子

    国際人権 19     頁: 206 - 209   2008年

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    記述言語:日本語  

    CiNii Research

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書籍等出版物 5

  1. ベーシック条約集2025

    ( 担当: 共著)

    東信堂  2025年3月 

  2. 概説国際法

    加藤 信行, 萬歳 寛之 , 山田 卓平 , 伊藤 一頼, 岡田 陽平, 瀬田 真 , 竹村 仁美 , 前田 直子, 川岸 伸( 範囲: 国際人権法)

    有斐閣  2024年  ( ISBN:9784641046979

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    記述言語:日本語

    CiNii Books

  3. 国際法入門 逆から学ぶ(第3版)

    ( 担当: 単著 ,  範囲: 第15章 国際人権法)

    法律文化社  2022年10月 

  4. Encyclopedia of Public International Law in Asia: Volume 1

    ( 担当: 分担執筆 ,  範囲: Japan: Human Rights)

    Brill  2021年11月 

  5. 判例国際法(第3版)

    ( 担当: 分担執筆)

    東信堂  2019年6月 

MISC 7

  1. 「解説・日本の国際法判例(15)―2017(平成29)年―」

    前田 直子  

    『国際法外交雑誌』119(4) 巻   頁: 117 - 144   2021年

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  2. 「解説・日本の国際法判例(14)―2016(平成28)年―」

    前田 直子  

    『国際法外交雑誌』118(4) 巻   頁: 102 - 132   2020年

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  3. 解説・日本の国際法判例(13)―2015(平成27)年―

    前田 直子, 小畑 郁  

    『国際法外交雑誌』117巻4号 巻   頁: 190 - 218   2019年

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  4. Book Review: Kokusaijinkenhou-Kokusaikijun no Dainamizumu to Kokunaihou tono Kyouchou[International Human Rights Law- Dynamism of International Standards and Cooperation with Domestic Law] by Shin Hae-Bong 招待有り 査読有り

    前田 直子  

    Japanese Yearbook of International Law58 巻   頁: 424 - 426   2016年2月

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    記述言語:英語   掲載種別:書評論文,書評,文献紹介等  

  5. 日本における国際人権訴訟主要判例一覧(9)

    前田 直子  

    国際人権 : 国際人権法学会報 ( 22 ) 頁: 216 - 224   2011年

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:国際人権法学会 ; 1990-  

    CiNii Books

  6. 日本における国際人権訴訟主要判例一覧(8)

    前田 直子  

    国際人権 ( 21 ) 頁: 170 - 180   2010年

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:国際人権法学会  

    CiNii Books

  7. 日本における国際人権訴訟主要判例一覧(7)

    前田 直子  

    国際人権 ( 20 ) 頁: 153 - 160   2009年

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    記述言語:日本語   出版者・発行元:国際人権法学会  

    CiNii Books

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講演・口頭発表等 5

  1. 人権法分野における日本の国家実行とその国際法への影響

    前田直子

    国際法学会2023年度(第126年次)研究大会  2023年9月6日 

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    開催年月日: 2023年9月

  2. Forty Years' Practice of the UN Human Rights Committee for Implementation of the Covenant: A Universal Model for the Protection and Promotion of Human Rights 招待有り 国際会議

    前田 直子

    国際法学会2016年度研究大会小田滋判事記念レクチャーシリーズ  2016年9月11日 

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    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(招待・特別)  

  3. Reinforcement of Measures for the Execution of Judgments of the European Convention on Human Rights 招待有り 国際会議

    前田 直子

    Institutional Design for Conflict Resolution and Negotiation-Theory and Praxis  2014年2月1日 

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    記述言語:英語   会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)  

  4. 「保護される権利」―国際法上の個人の権利としての法的限界 招待有り

    前田 直子

    世界法学会2011年度研究大会  2011年5月14日 

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    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

  5. 外国人の在留管理における「児童の権利条約」の適用可能性

    前田 直子

    国際法法学会2013年度研究大会  2013年10月14日 

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    記述言語:日本語   会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)  

科研費 17

  1. 憲法と人権条約をつなぐ多元的主体から成る実効的人権保障システム(人権法)

    研究課題/研究課題番号:23H00035  2023年4月 - 2027年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    江島 晶子, 小畑 郁, 北村 泰三, 建石 真公子, 前田 直子, 河合 正雄, 竹内 徹, 佐々木 亮, 根岸 陽太, 高田 陽奈子, 馬場 里美, 山元 一, 須網 隆夫

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    担当区分:研究分担者 

    本研究は、パンデミック、戦争・内乱、経済危機、自然災害、地球環境の悪化等、地球規模の課題の中で生身の人間の「生」(生命・生活)が脅かされており、人であればどこにいても人権が保障されるべきところが、実際にはそうではないという現実を直視し、地球上、どこにいても人権が保障される(よって、人間らしい生を享受できる)という理想を実現できるシステムの構築をする。具体的には、憲法と人権条約をつなぐ多元的主体(国家機関、国際機関、非国家主体、個人)間の応答に着目し、実証研究・制度研究・理論研究を行うことによって、より実効的な人権保障システムを構築し、「人権法」という法領域を積極的に構築する。
    2023年度は、前年度までコロナ禍の影響で長らくオンライン形式による研究会活動が中心であったが、対面形式による研究会(通算6回)、ワークショップおよびシンポジウムを復活させる一方、オンライン形式による研究活動も併用して、より一層精力的な研究活動を行った。
    国際研究交流として、①韓国の裁判官との共同セミナー(オンライン)、②韓国の研究パートナーであるECtHR’s Jurisprudence Research Forum of the Korean Public Law Association(韓国公法学会ヨーロッパ人権裁判所判例リサーチフォーラム)との韓日共同ワークショップ(対面)および③元ヨーロッパ人権裁判所副所長招聘による平等・非差別原則に関する国際シンポジウム(対面)を開催し、国際研究交流を躍進させた。以上の研究成果は、論文として公刊したり、公刊すべく論文を執筆中である。
    さらに、研究成果を公表し、批判的検証を受けるべく、各人が国際シンポジウムや国際セミナーに積極的に参加し、究報告を行った。また、国際人権法学会におけるインタレスト・グループを活用して研究会を開催した。
    2020年に創刊した「人権判例報」は、今年度は第6号、第7号を発刊し、重要な判例を迅速かつ的確に紹介することができた。人権判例報の編集作業として、原則、毎月第3土曜日にオンラインで編集会議を開催した。また、人権判例報掲載判例が80件程度蓄積されたことから、今後の図書としての出版への目途が付けられた。
    2023年度は実証研究にフォーカスしていたが、実証研究の対象とすべき適切な事例を得ることができ、研究計画を予定していた通り実施することができた。加えて、元ヨーロッパ人権裁判所副所長であり、現在、ケルン大学でAkademy for European Proetection of Human Rightsを主宰しているAngelika Nussberger教授(ケルン大学)および同僚2名、そして韓国の研究者・実務家10名を招聘し、国際ワークショップ、国際シンポジウムを開催することができたため、研究課題について国際的な意見交換を行い、重要な知見を得ることができた。
    2024年度は、実証研究をさらに深化させると同時に、そこで得られた成果を制度研究に反映させることを予定している。2023年度に発展させることができた国際的ネットワーク(ケルン大学、コペンハーゲン大学等)を活用して比較研究の精度をあげ、的確な問題分析を行い、制度研究に生かしたい。また、実証研究、制度研究において析出できた問題点を理論研究に反映することをすでに開始する予定である。

  2. 可視化された大規模人権侵害と不可視の人権侵害ー民主主義と人権の不可分性の観点から

    研究課題/研究課題番号:23K22058  2022年4月 - 2027年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    坂元 茂樹, 杉木 志帆, 齋藤 民徒, 北村 泰三, 小畑 郁, 薬師寺 公夫, 有江 ディアナ, 西井 正弘, 徳川 信治, 水島 朋則, 村上 正直, 前田 直子, 戸田 五郎, 阿部 浩己, 三輪 敦子

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    担当区分:研究分担者 

    地域的な人権保障システムを持たないアジア地域において、人権の普遍性の承認に対して疑念を生じさせるような事態が生じている。とりわけ近年、アジア地域における民主主義体制を採用する国家と採用しない国家に関係なく、大規模な人権侵害が度々起きている。
    本研究では、こうしたアジア諸国における人権状況を民主主義と人権の不可分性の観点から、国際人権条約体及び普遍的定期審査(UPR)の検討を基礎に、アジア地域において普遍的国際人権保障システムの機能が果たしている役割と課題を明らかにしていく。
    本研究では、アジア諸国における人権状況を民主主義と人権の不可分性の観点から、国際人権条約体及び普遍的定期審査(UPR)の検討を基礎に、アジア地域において普遍的国際人権保障システムの機能が果たしている役割と課題を明らかにすることが目的である。
    2023年度は、6回の研究報告の場を設け、アジア地域の8カ国のUPR第三巡目による当該国の人権状況を全体で検討を行ったほか、難民と補完的保護、ハンセン病差別、そしてジェンダーに関する研究報告と議論の場を設けた。また、これまでの研究を通じて見えてきた国際的な人権保障体制の課題については、国連の人権条約体の状況を踏まえながら議論をするために、人権条約体の委員を招聘し、直近の国際情勢とアジアの人権状況について議論の場と情報交換の場も設けた。
    普遍的定期審査(UPR)は、主要人権条約に入ってない国家に対し、仲介役として条約への加入を促す効果があることはこれまでの議論でも確認されてきた。加えて、主要人権条約を批准・加入していない国家の人権状況を把握するには一定の意義があるといえる。とりわけ、一部の中東諸国において、社会権規約及び自由権規約を批准・加入しておらず、その批准・加入が見込めない場合であっても、UPRは個別人権条約ではカバーされていない人権状況も対象となる。さらに、これらの国において、女性や子どもの人権状況に一定の改善がみられており、自発的に国内の改革の必要性が認識されたからのみならず、海外からの評判・批判も、それらの改善を生み出し、推進していく要因となっていると考えられる。そして、その圧力の一部として、普遍的定期審査や条約機関の活動が影響力をもっていたとも考えられるため、今後はさらに検討していくことが必要である。
    2023年度は、各国の普遍的定期審査(UPR)の第三巡目の報告を通じて、アジア地域の国々の人権状況のアップデートを行い、全体で情報共有するとともに、類似する状況の国家間を比較しながら、全体的な議論を実施している。
    2024年度に入り、第四巡目の審査の検討も行い始めており、UPRの制度のもたらす効果とUPRの課題の検討にも取り組んでいく。
    2024年度も引き続き2カ月に1回程度の研究会を開催し、全体でアジア諸国の人権状況についての実態を把握しながら、議論と検討の場を設ける。また、これまでの研究を通じて国際的な人権保障体制を評価し、その成果や課題については、各分担者は学会等での発表や論文等の執筆を通じて、その成果を公表していく。

  3. 人の国際移動に対する国家の出入国及び在留管理権と人権の保障義務に関する再検討

    研究課題/研究課題番号:23K22059  2022年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    薬師寺 公夫, 坂元 茂樹, 小畑 郁, 古屋 哲, 北村 泰三, 戸田 五郎, 徳川 信治, 吾郷 眞一, 西井 正弘, 前田 直子, 水島 朋則, 杉木 志帆, 有江 ディアナ, 内田 晴子

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    担当区分:研究分担者 

    日本の労働適齢人口の急減に伴い、移住労働者とその家族の受入れと人権問題は喫緊の課題であり、出入国及び在留管理制度は大きな再編成の時期を迎えている。日本では長らく移民受入れ政策を採用せず、既存の在留資格の若干の変更と運用で対応してきたため、この分野の国際条約の締結や総合的国内法制の整備はまだ不十分な点が少なくない。本研究では、コロナ禍以降の外国人労働力受け入れを含めて、人の国際移動に伴う国際法国内法上の問題を移住労働の現状と実態分析を踏まえて分析し、必要な国際基準の実施と国内法制の改正動向も踏まえて、移住労働者とその家族の権利保護に関する課題と方向性を書籍の形で提案することをめざしている。
    コロナ禍以降の人の国際移動の復活と、日本における外国人労働力受入れ政策の大きな転換点を迎えて、本研究は、人の移動に伴い生じている実態の分析を踏まえて、国際法上及び国内法上の制度上及び運用上の問題点を整理・分析し、同時に地方自治体レベルで直面している課題に答えるべく、政策的課題の指摘と提言を行うことを目的としている。特に重視すべき点として、①2022年度に続き、移住労働に関連した出入国及び在留管理等に関する現行国内法制の基本構造とその改正案(当時)に関する分析を行うこと、②国際規範との関連で調整を要する問題点を整理し、日本の国際約束との関連で解決すべき課題と方向を示すことを掲げた。
    上記の目的と研究実施計画に従って代表者・分担者が受け持った研究対象に関する個人研究を進めるとともに、①ストラスブール大学教授による貧困問題と移民に関する欧州人権裁判所判決の動向に関するミニシンポジウムの開催、②国際移動と国際法に関する国際法協会の日本委員である研究分担者による国際法協会リュブリャナ会合の報告・討議、③日本における外国人労働者の受入れ政策の転換(特定技能制度の拡充と技能実習制度から育成就労制度への転換など)と新たな状況を受けて、実務家研究協力者による「外国人雇用における送出国法令及び国内法との関係」の報告・討議、ならびに出入国在留法制の改正を受けて研究分担者による「批判的入管制度概説―その基本的メカニズムと再編の現段階」の報告・検討会を行った。各人の研究実績については研究実績欄に掲げる成果を得た。
    「人の国際移動に対する国家の出入国及び在留管理権と人権の保障義務に関する再検討」(2022年度~2024年度)は、日本の人口動態の特徴(老齢化と若年労働力の不足など)から近い将来深刻化する日本経済を支える労働力の不足に対応して外国人労働者とその家族の受入れが本格化することに対応するために、日本の出入国及び在留管理制度と外国人受入れ制度に必要な変更は何なのかを、国際人権基準、国内法制、実際的対応が求められる地方自治体や企業の各レベルで検討し、その結果を基に必要な提言を行うことを目的としてきた。この目的を実現するため、①移住労働者とその家族を保護するための国際基準に関する研究(ILO、移住労働者権利条約、企業と人権に関する国連原則など)、②日本の出入国及び在留管理制度と国内法制上の外国人の権利に関する研究、③現代日本の移住労働者とその家族をめぐる実態問題に関する研究に分担し、分担に従った個人研究を基調にしつつ、3年間で国際シンポジウム及びミニシンポジウムの開催、技能実習制度及び特定技能制度に関する実務家を招いての共同研究会、海外への調査などを3年間の研究計画に組み込んで、実施計画に従い研究を進めてきた。
    2023年度は研究成果出版物に向けての作業をさらに進め、各執筆者と執筆内容の調整・確定、書籍仮題と構成の確定、出版社との協議により体裁・執筆要領の確定に至った。2023年から2024年にかけて外国人労働者受入れ制度は非常に早い速度で変化しつつあり、出入国管理及び難民認定法や関連法規の2024年度前半での改正を見据えて最新の状況を成果出版物に反映させるべく、オンラインやハイブリッド形式を取り入れてミニシンポジウムを開催し、また実務家研究協力者の参加も得て、実務上の知見を共有しつつ研究を進めている。当初の予定に比べて一部に遅れがあるもののおおむね順調に進展としていると考えている。
    本科研の最終年度である2024年度内に公刊を目指している成果出版物は、『移住労働者とその家族の人権―国際人権保護基準に基づく法基盤整備をめざして―』(仮題)とし、第1部「移住労働者権利条約とその今日的意義」、第2部「日本の法制とその他の条約・国際基準」、第3部「現代日本の移住労働者とその家族をめぐる問題―人権の視点から―」という構成をとることで計画を進めている。2024年度の前半は、各執筆者がそれぞれの執筆内容に基づいて研究報告を行うことに集中し、5月(本報告書執筆時点で実施済)、6月、7月に計4回の共同研究会を開催する。8月末の原稿〆切を経て、2024年度の後半は、入稿・出版に向けての作業と平行して、随時、外部ゲストを招いての共同研究会を実施し、国際人権保護基準に基づく法基盤整備を目指して、残された課題や論点についての研究を推進する。
    本研究を開始した当初は、日本の移住労働者の受入れ制度のこれほどまでの大幅な改変と出入国及び在留管理制度の改正が完全には見通せていなかった。企業と人権に関する条約作成ならびに国際法教科における国際移住に関する研究が開始されることも予想を超えていた。本科研の3年間の研究の成果をさらに発展させるために、次の研究課題を申請して研究を継続することを考えている。

  4. 国際人権条約における法実現メカニズムの構造と実効性

    研究課題/研究課題番号:21K01170  2021年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    前田 直子

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:2990000円 ( 直接経費:2300000円 、 間接経費:690000円 )

    国際人権条約は、条約の改正や立法によらない後の慣行も含め、様々な形態の法実現メカニズムを発展させてきた。本研究課題は、その1つである人権条約体による締約国への実地調査手続(拷問等禁止条約20条等)に焦点をあて、①国際人権条約の履行確保システムを構成する諸制度・手続の態様と、各条約が保障する権利規範はどのような連関を有しているのか、②実地調査手続は、履行確保システムに正当性や実効性を与え、条約上の国家義務や責任法に適っているのかについて、規範的側面及び手続的側面の双方の視点から、理論的・実務的検討を試み、国際人権条約の法実現メカニズムの構造を明らかにしようとするものである。
    本研究課題は、国際人権条約の履行確保システムを構成する諸制度・手続の態様と、各条約が保障する権利規範はどのような連関を有しているのかを明らかにすることを目的としている。
    国際人権諸条約において、国家の諸制度の改善・是正を目的とする国家報告制度と、個人の人権侵害への救済を目的とする個人通報制度については多くの先行研究が存在するものの、特定の条約にのみ設置されている調査・訪問手続については、当該条約のいかなる権利性に由来するものかについて、検証した研究は少なく、本研究が目指すところである。
    令和5(2023)年度は、現時点では実績が多い拷問等禁止条約での調査手続(inquiry)を題材に、調査対象国の選定経緯、調査委員の選定、対象国との調整、調査結果と勧告の位置付けや報告書採択に関し、個別事例ごとの資料を収集し、手続規定に照らして具体的にどのような審査が実施されたのかについて考察を進めた。
    また調査手続のみを断片的に捉えるのではなく、拷問禁止委員会が行う他の手続との関係も踏まえるために、同委員会が各種審査において用いる国連最低準則についての研究を進め、学会報告(日本語)と論稿の執筆(英文:脱稿済・未発表)を行った。
    そのほか、同委員会が各種審査において直面している課題についての論説の執筆(日本語)や、ウクライナ紛争下で国連人権条約の履行確保システムがどのような影響を受けているかについての論稿(英文)を執筆した。
    上記「研究実績の概要」のとおり、調査手続とも重層的に履行システムを構成する各種手続に関しても包括的に研究し、学会報告や論稿の執筆・刊行を進捗として残すことができた。
    とりわけ、拷問等禁止条約の履行においてそのガイドライン的役割を果たす国連最低準則が複数存在するが、非拘禁措置(non-custodial measures)の活用を促進する東京ルールズについて、その策定の経緯と目的、今日の活用・実施状況を研究し、学会報告を行ったことは、一定の意義があったと考える。
    研究の最終年度にあたることから、過去の実例を網羅的にリサーチしつつ、条約が保障する権利・義務と調査手続のメカニズムの関係について、手続の起草経緯も踏まえながら総合的な結論を提示し、論説として公表することを目指したい。

  5. 日本および日本の国際法学が国際法の発展に与えた影響の総合的研究

    研究課題/研究課題番号:21H04385  2021年4月 - 2024年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    濱本 正太郎, 柴田 明穂, 竹内 真理, 望月 康恵, 新井 京, 福永 有夏, 齋藤 民徒, 竹村 仁美, 石川 知子, 深町 朋子, 小畑 郁, 王 志安, 豊田 哲也, 福井 康人, 西 平等, 水島 朋則, 石橋 可奈美, 真山 全, 前田 直子, 阿部 達也, 石井 由梨佳, 青木 節子, 鶴田 順

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    担当区分:研究分担者 

    本研究は、国際法の形成展開に日本および日本の国際法学がどのような影響を与えてきたか解明しようとするものである。国際法の領域別に、関連する国際法規範の形成展開において日本(の国際法学)がどのような影響を与えたかにつき検討し、さらにそれらの領域別研究を総合する形で、国際法全体に対して日本(の国際法学)がどのように影響を与えてきたかを解明する。それにより、日本の国際法学がこれからどのように研究活動を続けていくべきかについての手がかりを得ることも狙いとする。
    日本の国際法学あるいは国際法実践が何らかの国際的影響を与えた分野は少なくない。たとえば、植民地支配の清算においては日本による補償と陳謝とがその消極的側面を含め旧植民地宗主国による検討の対象となっており、国家免除については日本の国内立法が国際司法裁判所に参照されたり、国連における条約作成過程における中心的役割という形での関与もみられる。多数国間条約形成過程に大きな役割を果たした例としては、海賊に関して国際連盟期に既に見られるほか、第二次大戦後も多くの分野において見られる。これら成果は、2024年度中に原稿のとりまとめを終え、2025年度に英文にて出版する予定である。
    国際法はヨーロッパ起源であり、江戸時代末期から日本はもっぱらそれを受け容れる立場にあったため、国際法が日本に与えた影響については豊かな研究が存在している。その一方で、日本がどのように国際法に影響を与えてきたかについては必ずしも明らかにされてこなかった。本研究では、日本の学説や国家実行がどのような影響を与えてきたかについて、国際連盟期や植民地支配期から21世紀の現在までにわたり、人権・安全保障・宇宙・海洋など様々な分野について明らかにすることを試みた。それにより、分野ごとに濃淡はあるものの、積極消極両面を含め、日本が一定の影響を与えてきていることが明らかになった。

  6. 移住労働者とその家族の国際人権保護基準に基づいた法基盤整備の総合的研究

    研究課題/研究課題番号:19H01417  2019年4月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    薬師寺 公夫, 坂元 茂樹, 小畑 郁, 北村 泰三, 徳川 信治, 戸田 五郎, 西井 正弘, 飛田 雄一, 古屋 哲, 前田 直子, 水島 朋則, 有江 ディアナ, 杉木 史帆, 内田 晴子

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    本研究は、人の移動に伴う人権の問題を、特に外国人移住労働者とその家族の人権に焦点をあてつつ、人の越境移動をめぐる国際法上の問題、日本の法制度とその運用の問題、地方公共団体の受入れの実情と課題の3分野に分けて、検討することを目的としている。研究期間は3年間で、2019年度は初年度にあたり、また、代表者及び分担者が、法学、社会学など異なる領域の研究者で構成されていることを踏まえて、まず、3分野でどのような課題が存在しているのかについて共通の認識をもつことを初年度の課題とし、各分野から問題の現状と課題について順次報告をしてもらうことにした。2020年度は各領域の中で検討を深める問題を明確にして個別研究を深化させるとともに、国際シンポジウム等を開催して、日本の移住労働者受入れの進展状況とそれに伴い生じてきている国際人権法上の課題を送出国及び受入国の双方の側から分析し、これらをふまえて最終年度に研究成果を著書にまとめるための原稿準備を終えることを計画した。
    この基本計画に基づいて、2019年度は、代表者及び分担者が上記3つの領域の中で担当するテーマを割り当てるとともに、各領域において生じている基本的な問題について順次報告を行った。代表者及び分担者が地域的にも関東、中部及び関西在住の研究者により構成されているので、研究は科研費の使用ができる7月以降原則月1回の定例研究会を行うとともに、報告、資料等は共通に利用できる情報基盤を整備するとともに、成果等を公表できるWEBサイトの基盤構築を行った。その上で、3つの領域につき、総計で9回の研究会を開催し、外部から招請した報告者の報告も含めて17本の報告を検討した。完全とはいえないが,これらの基礎的研究報告を受けて、次年度以降の研究の基礎作業を終えることができたと考える。

  7. 国連人権条約体における実施措置強化の合法性・正統性の再検討

    研究課題/研究課題番号:17K03396  2017年4月 - 2023年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    前田 直子

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )

    国連人権諸条約に備えられた手続の実効性に関し、国際的手続の制度設計の観点からも多角的に検討するため、関連する国連総会決議、国連事務総長報告、各国政府や市民社会からのコメント、そして人権条約機関議長間会合の成果文書を考察材料として、条約機関に与えられたマンデートについて、国際法上の合法性・正統性の観点から考察した。
    コロナ禍以降、国連総会や同人権理事会での積極的な議論や進展は見られないが、人権条約機関議長間会合の新たな報告審査手続の導入に向けたイニシアティブが明らかになった。
    国連人権諸条約は、その多くが日本にも適用があり、個人の人権保障にとって重要な法的枠組みである。本研究はそうした人権条約の発展において、機構(運営体制)や手続(国家報告や個人通報)が、実体的側面(規範形成や遵守)に与える影響を実証的に検証する点に独創性がある。本研究の成果が、人権条約体(条約機関)の運営に関する方針決定に対して、一定の学術的貢献を果たすとともに、国内的な議論を主導する実務上の意義も有する。

  8. 「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」の交錯下での新たな人権保障システム理論の構築

    研究課題/研究課題番号:15H01916  2015年4月 - 2018年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    江島 晶子, 戸波 江二, 建石 真公子, 北村 泰三, 小畑 郁, 本 秀紀, 薬師寺 公夫, 阿部 浩己, 村上 正直, 齊藤 正彰, 鈴木 秀美, 大藤 紀子, 戸田 五郎, 門田 孝, 申 惠ボン, 山元 一, 中井 伊都子, 馬場 里美, 西方 聡哉, 須網 隆夫, 愛敬 浩二, 徳川 信治, 前田 直子, 河合 正雄, 菅原 真, 辻村 みよ子, 根岸 陽太, 村上 玲

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    担当区分:連携研究者 

    本研究は、グローバル化する世界における法のありようとして、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」という現象における両者の接合面に注目し、人権実施における問題点を明らかにしながら、より実効的な人権保障システムに関する理論構築を目指した。その結果、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」の接合面において比較憲法と国際人権法の積極的接合関係を観察することができ、人権保障の実効性を高める新たな人権保障システムを構築することは可能であり、そこでのキー概念は多元性、循環性、非階層性であることが析出できた。

  9. 国連人権理事会における「人権の主流化」の到達点と限界-政府間主義の機能

    研究課題/研究課題番号:26590006  2014年4月 - 2016年3月

    科学研究費助成事業  挑戦的萌芽研究

    小畑 郁, 前田 直子, 中井 伊都子

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    担当区分:連携研究者 

    本研究では、まず、国連人権理事会の状況について、客観的に把握することにつとめた。理事会では、テーマ別手続はインフレ状態に陥っている。さまざまなテーマ別の議題で議事の焦点がはっきりしなくなったこともあり、NGOの参加は国連人権委員会の時代よりも少なくなっている。人権理事会がメディアやNGOにあまり注目を受けなくなっており、理事会の政治的ステイタスは高くない。
    普遍的定期審査において、政府間主義の成果がないわけではないが、むしろ、NGOや個人専門家のイニシアチヴを抑え込む口実となっており、人権の主流化への貢献は認めがたい。もっとも、これまでの観察から、政府間主義それ自体に展望がないといはいえない。

  10. アジアにおける国際的人権保障制度の実施と課題

    研究課題/研究課題番号:26285014  2014年 - 2016年

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    安藤 仁介, 坂元 茂樹, 薬師寺 公夫, 岩沢 雄司, 西井 正弘, 村上 正直, 北村 泰三, 小畑 郁, 中井 伊都子, 徳川 信治, 初川 満, 前田 直子, 阿部 浩己, 三輪 敦子, 水島 朋則

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    アジアでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)が2012年にアセアン人権宣言を採択したものの、地域的人権条約の締結が早期に実現する目処は立っていない。そのため、アジアにおいて国際人権保障を実現するためには、第一に、国際人権規約など普遍的人権条約の履行がアジア諸国において適切に行われるよう確保することが最も重要な課題となる。また、第二に、国連改革の一環として2006年に創設された国連人権理事会が実施する普遍的定期審査(UPR : Universal Periodic Review)が、アジア諸国における人権状況の改善に貢献するよう確保することも、同様に重要な課題である。
    そこで、本研究では、アジアにおける上記の課題に対応する形で、第一に、各委員会の活動に関する調査を通して、国別に国際人権条約の履行状況に関する調査を行い、各国の人権水準と課題を分析した。最終年度にあたる2016年度は、自由権規約委員会の第114会期・115会期・116会期・117会期・118会期における活動の成果と課題について検討を行った。さらに、韓国とネパールの最新の政府報告書審査をとりあげ、各国における自由権規約の履行状況を検討した。この他、モンゴル(社会権規約委員会)、韓国(女子差別撤廃委員会)、ブルネイとイラン(児童の権利委員会)の最新の政府報告書審査を取り上げて分析を行った。
    また、第二に、作業部会報告書をはじめとするUPR関連文書の調査を通して、アジア諸国が抱える国際人権保障一般に関する課題を明らかにし、多様なアジア諸国に共通する国際人権保障上の課題を分析した。2016年度は、トルコ、ベトナム、マレーシアの3ヵ国(1月末時点)の審査についての報告と分析を行った。
    この他、国連人権高等弁務官事務所より実務家を招聘して、国連人権理事会の状況及び実務的な課題について議論を行った。

  11. 欧州人権条約における国家の判決履行義務

    研究課題/研究課題番号:25380067  2013年4月 - 2016年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    前田 直子

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )

    欧州人権条約においては、人権裁判所による判決の拘束力及び執行の義務が規定されている(46条)。あわせてこの規定では、当事国による判決履行に対する監視を、政治的機関による監督と司法的手続により強化することが図られた。しかし特定の手段での判決履行義務がどこから導かれるのかは明確ではない。人権裁判所判決の履行、特に救済措置の在り方を巡って判決履行に困難を抱える当事国も出現し、単なる履行遅延にとどまらず、強化された人権条約体制への信頼を揺るがす状況にもある。

  12. 人権条約実施状況の分析を通じた欧州地域秩序の「憲法化」構造の把握

    研究課題/研究課題番号:24243007  2012年10月 - 2015年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    小畑 郁, 戸波 江二, 本 秀紀, 建石 真公子, 北村 泰三, 江島 晶子, 薬師寺 公夫, 阿部 浩己, 村上 正直, 齋藤 正彰, 鈴木 秀美, 大藤 紀子, 戸田 五郎, 門田 孝, 申 惠ボン, 山元 一, 中井 伊都子, 馬場 里美, 西片 聡哉, 須網 隆夫, 愛敬 浩二, 徳川 信治, 前田 直子, 河合 正雄, 菅原 真

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    担当区分:連携研究者 

    欧州では、人権条約制度、EUおよび各国は、価値の共有意識を基盤として、制度的にも緊密な関係を保ち、一種の「憲法秩序」としてのまとまりをもっている。しかし、この憲法秩序においては、人権条約制度ないしEU制度が階層的秩序の頂点に立つというような、近代国内憲法(学)が想定するようなヒエラルキー構造は存在しない。
    内部的な各国との緊張関係のゆえに、人権裁判所も介入を可能な限り価値中立的に行おうとする。比例原則の一般化はそれを示す代表例である。しかし他方、外部との関係では、人権の原則的な保障を確保しようというモーメントが強く働く。ノン・ルフールマン原則の解釈適用でもその傾向が現れている。
    <br>

  13. 国際法の訴訟化への理論的・実践的対応

    研究課題/研究課題番号:23243009  2011年4月 - 2016年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    坂元 茂樹, 五十嵐 正博, 柴田 明穂, 林、 美香, 玉田 大, 小寺 彰, 浅田 正彦, 酒井 啓亘, 黒神 直純, 小林 友彦, 前田 直子, 阿部 達也, 新井 京, 川岸 伸

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    担当区分:研究分担者 

    「国際法の訴訟化」現象を手掛かりに、国際社会において現在質量ともに拡張しつつある国際裁判機関を包括的に検討した。検討の結果、①訴訟を通じた国際法の実現、②裁判を通じた条約の発展的解釈、③訴訟を通じた紛争解決と利益実現、④訴訟の累積による判例形成と法の予見可能性の拡大、といった状況が明らかになった。また、日本がICJに提訴された捕鯨事件を通じて、訴訟戦略や外交政策と連動させた訴訟論が必要である点についても明らかにすることができた。

  14. 日本における国際義務の国内実施に関する裁判と立法・行政との対話

    研究課題/研究課題番号:23653013  2011年 - 2013年

    科学研究費助成事業  挑戦的萌芽研究

    小畑 郁, 高村 ゆかり, 水島 朋則, 桐山 孝信, 深町 公信, 板倉 美奈子, 徳川 信治, 齋藤 民徒, 西片 聡哉, 前田 直子

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    担当区分:連携研究者 

    国際法規則の適用は、入管法のように既存の国内法体系が存在する分野では、この国内法の構造に強く規定され、この構造との関係で一定程度の創意工夫が不可欠であるが、そうした創意工夫をする前に、不適用に押し流される傾向がある。にもかかわらず、既存の国内法体系との強い緊張関係は、一部に革新的な判例を生み出し、これが、最近比較的多くみられる立法的な措置による国際法実施方法の積極的な改革に関わりをもっている。総じて、国際法の実効的な実施がなされていない状況については、裁判官のみに責任を追及することはできず、さしあたり条約締結時の内閣と国会の行動パターンを批判的にみていく必要があるということがいえる。

  15. 国際人権条約における一般的救済確保義務の研究

    研究課題/研究課題番号:23730042  2011年 - 2012年

    科学研究費助成事業  若手研究(B)

    前田 直子

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:1690000円 ( 直接経費:1300000円 、 間接経費:390000円 )

    欧州人権条約制度では、条約締約国は、人権裁判所判決により指示された一般的救済の国内的履行に努めている。しかしそれは、締約国が一般的救済を国家責任法からの帰結として位置づけているとは言い難く、人権裁判所および欧州評議会閣僚委員会による判決履行監視の強化によるものである。国連人権諸条約下での一般的救済については、人権条約体の勧告に対する締約国の対応にはかなりの温度差がある。したがって、国家の一般的救済確保は、何らかの共通の法的根拠を伴うものというよりは、判決(決定)の法的拘束力の有無、そしてその履行を強制化する機関の存在にあると考察した。

  16. 国連人権理事会の実効性~普遍的定期審査を中心に

    研究課題/研究課題番号:22330019  2010年4月 - 2014年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    安藤 仁介, 坂元 茂樹, 薬師寺 公夫, 岩沢 雄司, 金 東勲, 西井 正弘, 村上 正直, 小畑 郁, 中井 伊都子, 北村 泰三, 徳川 信治, 阿部 浩己, 前田 直子, 三輪 敦子, 初川 満

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    国連改革の一環として、2006年に創設された国連人権理事会は、4年のサイクルですべての国連加盟国の人権状況を審査する普遍的定期審査を導入した。本研究では、人権の普遍性と客観性を高めるために始まった普遍的定期審査の実態を検討し、審査が抱える問題にいかに対応すべきかに焦点を当てて制度の課題を抽出した。また、人権理事会がUPR制度の導入を決定した目的の一つには、国際人権基準実施のために各国の能力向上を図ることが挙げられる。そこで、本研究に参加する研究者がこれまで蓄積してきた自由権規約の国家報告書審査の分析の経験を基礎に、各国の能力向上に資する審査の在り方についても検討を行った。

  17. ヨーロッパ地域における人権(基本権)規範のハーモナイゼーションとその限界

    研究課題/研究課題番号:20243005  2008年 - 2010年

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    小畑 郁, 戸波 江二, 北村 泰三, 建石 真公子, 江島 晶子, 本 秀紀, 薬師寺 公夫, 阿部 浩己, 村上 正直, 齊藤 正彰, 鈴木 秀美, 大藤 紀子, 戸田 五郎, 門田 孝, 申 恵〓, 山元 一, 小泉 洋一, 中井 伊都子, 馬場 里美, 西片 聡哉, 須網 隆夫, 徳川 信治, 前田 直子, 今井 直, 井上 知子, 戸波 江二

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    担当区分:連携研究者 

    ヨーロッパにおける人権規範のハーモナイゼーションは、ヨーロッパ・レヴェルおよび各国レヴェルの関係規範・判断審級の重層的構造を保持しながら進展している。一方で、前者が各国の単純な上級審となって一元化することもなく、他方で、各「層」が完全に自律的に活動するのでもない構造が維持されている。このような重層的構造は、グローバル化とそれにともなう多文化社会化に柔軟に対処できるという機能を有しており、それを維持するために、EUの人権条約加入や人権裁判所の判決実施をめぐってさまざまな具体的試みが展開している。

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