科研費 - 平井 真洋
-
赤ちゃんはどのように学ぶのか?予測符号化理論に基づくヒト乳児の学習原理の解明
研究課題/研究課題番号:24H00719 2024年4月 - 2028年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
平井 真洋, 鹿子木 康弘, 堀井 隆斗
担当区分:研究代表者
配分額:47970000円 ( 直接経費:36900000円 、 間接経費:11070000円 )
乳児は「どのように」学ぶのだろうか?これまで,乳児の学習理論は個別に提案されているものの,学習の共通原理について未だ不明である.本研究は乳児の学習を,内部モデルの構築,内部モデルによる予測,予測と入力信号の誤差計算である「サプライズ」,予測誤差に基づく「モデルの更新」の一連のプロセスとして捉え直す.とくに,学習領域の違いは予測誤差の分散の違いとして表現されると仮定し,学習過程を「サプライズ」と「モデル更新」の二つのパラメタで表現する.その上で,二つのパラメタの発達軌跡を調べ,発達初期の学習過程とそれに対応する神経メカニズムを解明する.
-
社会的動機づけ理論は自閉スペクトラム症児者の社会的認知特性を説明可能か?
研究課題/研究課題番号:23K17638 2023年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
-
エピゲノム変化に着目したライフステージに応じた社会認知特性の評価
研究課題/研究課題番号:22H00986 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木村 亮, 平井 真洋, 井上 亮, 加藤 寿宏
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、腸内細菌叢を介したDNAメチル化変化から「生物学的年齢」を算出し、自閉スペクトラム症やそれとは逆の高い社交性を呈するウィリアムズ症候群について、発達段階に応じた社会性や認知行動特性を精密に評価することである。これら神経発達症では、症状の個人差が大きく、発達に応じた社会性や認知特性との関係は明らかになっていない。本研究では、被検者検体を使って、腸内細菌叢に関連したDNAメチル化変化を基に「生物学的年齢」を算出し、問診や質問紙、視線・身体活動計測を組み合わせ、発達と社会認知行動特性との関係を明らかにする。本研究の結果は、介入や支援の客観化による特性改善へ発展することが期待される。
-
ヒトの社会性が異なる集団における社会的認知特性の環境要因の解明
研究課題/研究課題番号:21KK0041 2021年10月 - 2026年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
平井 真洋, 浅田 晃佑, 木村 亮, 白野 陽子, 寺田 和憲
担当区分:研究代表者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
本研究は申請者らの先行研究と予備的知見を発展させ、日欧の自閉スペクトラム症(ASD)と社会性が対極にあるとされるウィリアムス症候群(WS)の社会的認知特性を比較する。欧州においてASD・WS比較研究を先導する英国ダラム大学の研究者と共同で研究を推進する。これにより、両者の顔認知と対人応答特性が文化的背景によりどのように変容するかを、質問紙・眼球運動計測などの複数手法により多角的に解明する。本研究はヒトの社会性分布の位置により顔認知・対人応答特性が社会的環境へどの程度可塑的であるかを解明し、ヒトの社会性の可塑性に関する理論整備とそれに基づく療育プログラム構築などを目指す。
我々の文化・社会の基盤となるヒトの社会性には広がりがあり,社会的環境に影響されうる.本研究では,社会性が異なるとされる自閉スペクトラム症(ASD)児者ならびにウィリアムス症候群(WS)児者を対象に,社会的認知特性が文化的背景によりどのように異なるのかを,質問紙・実験心理学的手法を組み合わせて多角的に解明する.本研究は,欧州において当該研究をリードしている英国ダラム大学と共同で研究を推進する.当該年度においては,まず研究計画のとおり,両群の社会的特性がどのように異なるかを明らかにするために,養育者を対象とした質問紙調査をとりまとめ,相違点について分析を行った.結果,両群の類似点ならびに相違点が明らかとなった.また,英国ダラム大学のグループが主導したオンラインによる国際アンケート調査に参画した.
本年度は,自閉スペクトラム症ならびにウィリアムス症候群児者における社会性の特性について検討するため,養育者を対象とした質問紙による調査の取りまとめを実施した.結果,両者の社会性においては異なる部分も認められるものの,類似した性質があることを見出し,本研究成果を論文としてまとめ投稿中である.また,次年度以降に実施予定のヴァーチャルリアリティシステムを用いた実験システムの構築について研究分担者とオンラインでの打ち合わせを進め,システム構築のための準備を進めた.実施予定の予備実験を対面で実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染症感染拡大により実施することができなかった.また,英国グループとの対面打ち合わせは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により実現できなかったため,次年度以降感染が収束次第行うこととする.
本年度は英国側の研究者との打ち合わせを進め,研究計画に記載した研究項目を実施する.当初の計画に記載したとおり,同一質問紙を日英自閉スペクトラム症ならびにウィリアムス症候群児者の養育者の方々を対象として実施し,疾患間・文化間比較を行う.さらに昨年度より研究分担者と打ち合わせにより仕様を詰めたヴァーチャルリアリティシステムを実際に構築し,予備実験を実施する.予備実験によりパラメータを確定し,本実験を実施できるようにする.また,新型コロナウイルス感染症の感染状況によるが,日本側の研究者が英国ダラム大学を訪問し,研究打ち合わせを進める. -
感覚過敏と他者視点取得能力の関係解明:cross-syndrome比較からの洞察
研究課題/研究課題番号:21K18554 2021年7月 - 2023年3月
挑戦的研究(萌芽)
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
-
他者の動き情報に基づく乳児の学習メカニズムの解明とモデル化
研究課題/研究課題番号:21H03783 2021年4月 - 2024年3月
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
-
社会的認知発達における遺伝環境要因の解明:日英ウィリアムス症候群・自閉症比較研究
研究課題/研究課題番号:18H01103 2018年4月 - 2021年3月
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
本研究では、我々の社会・文化を形成する上で必須な社会的知覚・認知能力が「遺伝」「環境」要因によりどのような発達変化を遂げるかについて明らかにすることを目指した。このため、社会的知覚・認知特性が異なるとされる自閉スペクトラム症(ASD)ならびにウィリアムス症候群(WS)児を対象に、社会的知覚・認知特性を明らかにする課題を設計の上、社会的コミュニケーション様式が異なる日本と英国において同一課題を実施し、発達過程を直接比較する。本研究計画では、社会的知覚・認知において重要である顔や他社会的刺激の知覚・認知能力を行動計測並びに眼球運動計測に明らかにする。具体的には、これまで、ASD児にみられる顔知覚の非定型性は、顔への非定型な経験によって生じる可能性が指摘されているものの、一貫した見解がないのが現状である。本研究計画ではこの問題に挑むため、顔知覚にみられる自人種優位効果(Own-race Advantage: ORA)を利用することにより、環境がどのようにASD児の顔知覚に影響を与えるかについて検討した。ORAとは、日常よく見かける自分と同一の人種の顔は見分けやすいが、異なる人種の方の顔は見分けにくい効果である。日英におけるASD児と定型発達児を比較することにより、ASD児のORAについて調べた。研究の結果、日英ASD児ともにORAがみられた。さらにASD児と定型発達児のORAには、文化間で異質性を認めた。特に、日本の児童は英国の児童よりも正確に顔を区別でき、日本の定型発達児ではORAを示さなかった。これらの研究を踏まえ、人物を含む自然画像を短時間見ている場合の自発的な視覚的な注意特性についても日英のASDならびにWS児を対象とした研究を行うための予備研究を進めた。英国共同研究者と緊密に連携の上、実験デザイン、実験刺激作成ならびに定型発達児を対象とした予備検討に着手した。
日英ASD児を対象とした自人種優位効果(Own-race Advantage: ORA)研究については両国側でのデータ取得ならびに解析を完了し、論文執筆を進め投稿を完了した。
また、自然画像に関する研究では、英国研究者と緊密に連携の上、刺激作成ならびに実験デザインを確定するに至り、予備実験を完了の上、一部で本実験を開始した。他実験計画についても計画書に記載の実験案について検討を進めており、一部は近日中に予備実験を開始予定である。予備実験の結果を踏まえ、実験刺激ならびにデザインを調節し、本実験へ着手する予定である。
今後は本年度の研究を更に進め、自閉スペクトラム症(ASD)児と社会性がASD児と社会性が対極にあるとされるウィリアムス症候群(WS)児を対象とした研究を実施する。英国共同研究者との緊密な連携を図りながら日英ASD・WS児を対象に同一社会的知覚・認知課題を実施する体制を整える。日本側のデータ取得を効率的に実施できるよう、関連機関と緊密に連携の上研究を進める予定である。具体的には以下の研究項目を中心に進める。
【項目1】社会的注意の定量評価:アイトラッキング装置を用いた、社会的刺激への自発的な注意特性をASD・WS両群を対象に評価する。さらにその発達軌跡を明らかにする。
【項目2】社会的認知課題:アイトラッキング装置を用いたASD・WS両群における他者行為理解予測、他者視点取得課題の発達軌跡を明らかにする。
いずれの項目も言語年齢、生活年齢を統制した定型発達児を対象とした研究を実施する。 -
AADC欠損症等の小児神経疾患・先天代謝異常症に対する遺伝子治療法開発
2016年4月 - 2019年3月
難治性疾患実用化研究事業
山形崇倫
資金種別:競争的資金
-
他者の動きに埋め込まれた社会的情報の処理機構とその発達(国際共同研究強化)
研究課題/研究課題番号:15KK0129 2016年 - 2019年
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:15470000円 ( 直接経費:11900000円 、 間接経費:3570000円 )
本研究は若手A研究を発展させ、十数個の光点運動のみから他者行為を知覚可能なバイオロジカルモーション(BM)に関する発達モデルの構を目指した。提案モデルは、二つのモジュールから構成されている。一つはStep Detectorと呼ばれる、大まかな歩行情報を処理するモジュールであり、主として皮質下が関与することを想定した。もう一つはAction Evaluatorと呼ばれる、ヒトの動作・行為を詳細に処理するモジュールであり、大脳皮質が関与することを想定している。このモデルにより既存の研究結果を説明することが可能となった。さらに、コミュニカティブな動作を観察している際の脳波を9ヶ月児で計測した。
本研究は、顔・視線知覚に関する研究に比して遅れている「他者の動き知覚の発達メカニズム」に関する理論整備を行った。本研究プロジェクトでは、これまで顔・視線で提案されている2プロセスモデルを下敷きとして、バイオロジカルモーション(BM)知覚発達に関する理論モデルを構築した。これにより、これまでのBM知覚処理に関する知見を説明する理論的枠組を提案することが可能となり、当該領域をさらに発展させたと考える。また、本研究成果は非定型発達児のBM知覚処理の非定型性について新たな仮説を提唱することが期待される。 -
他者の動きに埋め込まれた社会的情報の処理機構とその発達
研究課題/研究課題番号:15H05310 2015年4月 - 2019年3月
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:20410000円 ( 直接経費:15700000円 、 間接経費:4710000円 )
我々は他者の身体の動きから様々な社会的情報を読み取り、それを利用して円滑な社会生活を営むことができる。しかしながら、その処理の発達過程については不明である。本研究は、他者の動き知覚の発達過程、動きに埋め込まれた社会的情報の特徴量、それが学習に与える影響について乳児を対象に明らかにした。一連の研究の結果、①他者の動きへの選好は生後1年の間で変化すること、②水平方向の手の振りが4ヶ月児の選好を促し、9ヶ月児ではそれを物体学習に利用する可能性、③手の動きの非効率性が学習を促進させること、④それらの神経基盤について明らかにした。さらにこれら一連の発見の理論的基盤を整備するため、発達モデルを構築した。
本研究は、顔・視線知覚のような社会的刺激に関する研究に比して遅れている「他者の動き知覚の発達メカニズム」を実験的手法と理論的手法により明らかにした。一連の研究の結果、身体の動きに固有に含まれる顕示的な信号があり、乳児の選好、社会的学習に影響を与えることを見出した。さらに本研究結果を踏まえ、身体の動き知覚の発達に関する認知発達モデルを構築した。本研究は、顔・視線知覚に比して理論整備が遅れている身体の動きの知覚発達について理論整備を進め、当該領域をさらに発展させたと考える。また、本成果は非定型発達児の認知発達を明らかにする上で重要な行動・神経生理学的指標を確立した。 -
他者視点取得養成ギブスの構築とその応用
研究課題/研究課題番号:15K12050 2015年4月 - 2018年3月
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
本研究の目的は,視点を自由に操作するシステムの構築とそれに基づく認知機能の変容の発達変化について明らかにすることであった.研究結果として,(1)視点変換により運動計画が定型発達児・非定型発達児で異なること,(2)視点取得課題において,定型発達児と非定型発達児では異なる脳部位が関与することが示唆された.
-
身体に根ざした他者視点取得能力の神経機構とその障害
研究課題/研究課題番号:15H01585 2015年4月 - 2017年3月
新学術領域研究(研究領域提案型)
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:10140000円 ( 直接経費:7800000円 、 間接経費:2340000円 )
本研究では,社会的コミュニケーションにおいて重要な要素の一つである,他者視点取得の定型・非定型発達変化を明らかにすることを目的としている.他者視点取得とは,他者の見ている景色は自分の見えている景色とは異なることを理解する能力である.近年,非定型発達児における他者視点取得が不得手であるとの報告がなされている.更に,他者視点取得は,心的回転課題とは異なる方略でなされるとの報告がある.また,申請者らは,低年齢定型発達児と非定型発達児は似たようなエラーを示すことを見出している.具体的には,他者視点が自己視点と異なる場合でも自己視点を回答する自己視点バイアスエラーがみられる.本研究課題では,そのエラーに着目し,それが定型発達児ならびに非定型発達児においてどのように異なるかを明らかにすることを目指した.本研究課題では,異なる二つの実験課題を用い,他者視点取得課題時における自己視点バイアスエラーの生起要因について検討した.研究課題1では,視点変換操作を施した際の,運動プラニング能力を定型・非定型発達児を対象に検討し,その発達軌跡を追った.研究課題2では,他者視点取得課題と統制課題として,心的回転課題を実施した際の脳活動を定型・非定型発達児を対象に光トポグラフィーにより計測した.結果,研究課題1では,定型発達児において,視覚座標系の情報から身体座標系のような発達変化がみられるのに対し,非定型発達児では発達によらず,身体座標系の情報を利用する傾向がみられた.また,研究課題2における他者視点取得課題遂行時の脳活動計測において,視点取得課題遂行時には,側頭頭頂接合部付近における活動を見出し,定型・非定型発達児における活動の違いを見出した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
28年度が最終年度であるため、記入しない。 -
身体運動に埋め込まれたコミュニカティブな信号処理に関する認知発達研究
研究課題/研究課題番号:25871228 2013年4月 - 2015年3月
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
近年の研究から,自閉症スペクトラム児では2歳においてすでに他者・他者への動きへの選好が異なることが報告されている.本研究では,身体運動に含まれる「コミュニカティブ」な信号の表現様式と脳内表現様式とその脳内表現に焦点を当て研究を進めた.定型・自閉症スペクトラム児を対象とした脳波計測により,身体の動きに鋭敏な成分を抽出し,定型・非定型発達児において神経活動が異なることを見出した.更に,身体運動に埋め込まれたコミュニカティブな信号表現について行動実験によって検討した.
-
バイオロジカルモーション知覚処理における階層性の検討-ウィリアムズ症候群を対象に
研究課題/研究課題番号:23830127 2011年 - 2012年
平井 真洋
担当区分:研究代表者
配分額:1820000円 ( 直接経費:1400000円 、 間接経費:420000円 )
近年,自閉症児において,十数個の光点運動のみから他者行為を知覚可能な現象であるバイオロジカルモーション(BM)検出の不得手さが数多く報告されており,社会的知覚処理の特性を調べる一つのツールとしての有用性が認識されつつある.一方,遺伝性疾患であり,social phenotype(社会的表現型)に特徴を持つウィリアムズ症候群(WS)患児(者)において,その知覚処理特性は十分に明らかにされていない.本研究では,BM知覚処理に特化したテストバッテリを用い,その様々な知覚処理特性を検討した.具体的には,QUEST法を用いた4つのBMテストバッテリ(1)コピーレンス課題,(2)検出課題,(3)方向弁別課題,(4)性別弁別課題を22名のWS患児(者)ならびに定型発達児ならびに健常成人の協力を得て実施し,閾値の測定をした.結果,WS患児患児(者)において,性別(男性)弁別課題以外の閾値が高いことがわかった.これらの結果はWS患児(者)において,他者知覚処理特性に関してもギャップが存在する可能性が示唆された.