科研費 - 加藤 準治
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3D-print 傾斜機能材料による超防振マルチマテリアルゴムのトポロジー最適化
研究課題/研究課題番号:22H00226 2022年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
加藤 準治, 西口 浩司, 干場 大也, 渡邉 大貴
担当区分:研究代表者
配分額:43160000円 ( 直接経費:33200000円 、 間接経費:9960000円 )
本研究の目的は,近年の積層造形技術が可能にした「傾斜構造」を取り入れ,異種ゴム材料のマルチマテリアル化により,これまで不可能とされてきた防振性能と制振性能の両立を可能にする先進的なトポロジー最適設計法を構築することである.特に本研究では,すべての周波数領域において防振域に留まる理想的なゴム特性の実現に挑む.具体的には,一般化マックスウェルモデルと均質化法をベースにゴム特有の非線形力学的挙動を再現し,次に傾斜構造を有するゴムが防振性能に及ぼす微視的なメカニズムを解明し,さらに提案する材料と構造のトポロジーを同時に最適化する手法によってすべての周波数領域における振動を抑制する.
これまでの成果として粘弾性材料モデルとして一般化マックスウェルモデルのプログラムを作成し,感度解析も含め高精度に導出できるプログラム開発に成功している.当該年度は,マルチマテリアルトポロジー最適化の詳細検討を行い,これまでの自作の有限要素解析ソフト(C++)に実装し,その妥当性の検証を行った.また,動的解析のプログラムに4 つの粘性ばね(4 項モデル)を考慮したモデルを構築しているが,よりシンプルな挙動の評価をするために,1つの粘性ばねを用いたものを様々な周波数に対して数値実験を行い徹底検証した.これにより,物理的にも合理性の高い構造が得られるようになった.この予備検討で,最適解の合理性を確認できたため,よりリアルな材料の粘弾性特性を考慮できるようにパラメータ設定を実施した.また,ゴム材料の専門家の意見とも対比させながら,構築した理論と得られた最適構造の信頼性も担保できたと考えている.また,これまでは動的な荷重載荷点における変位の最小化を目的関数としていたが,散逸エネルギー最大化という高度な目的関数の構築に挑戦し成功した.さらに構築した最適化理論を使って最適化計算を実施し,得られた構造の力学的合理性を検証した.これにより,低周波数では,剛性の高いゴム材料が支配的となるが,高周波数では剛性の低いゴム材料が変形することで散逸エネルギーを最大化できるという機構を突き止めた.この成果は,ゴム本来の性能を制御できるようになるとともに,学術的にも極めて有効な設計手法の開発ができたと考える.
進捗状況については,すでにマルチマテリアル化の実装と,物理的にも合理的と考えられる最適構造を得られるような理論の構築とプログラミングの実装,および数値検証を完了させることができた.また,粘性散逸エネルギーの最大化という学術的にも評価の高い問題に挑戦し,その方法を確立することができた.粘性散逸エネルギーは,いわゆるエネルギーロスを意味するものであるが,これを制御できるようになればゴム材料の適用範囲が大幅に広がるものとなりえる.
当該研究では,低周波および高周波の動的外力を与えた場合のトポロジー最適化を試みた.その結果,低周波帯においては,剛性の高い材料でエネルギーロスを大きくし,逆に高周波帯では,剛性の低い材料に大きな変形をしながらエネルギーロスを大きくするという結果が得られた.これは,力学的にも合理的な結果であると言える.これより,当該研究の状況としては,当初の計画以上に進展しているものと判断した.
今後は,低周波および高周波という,異なる周波域の両方において,防振ゴム本来の特性を満たすための多目的最適化問題の解法を提案する予定である.この多目的最適化問題においては,低周波帯および高周波帯で最適となる構造は,それぞれトレードオフの関係にあることがわかっており,信頼できる最適解を得ることが難しくなる.このようなトポロジー最適化問題では,最適化問題としての非凸性が顕著になることから最適化アルゴリズムを慎重に選ぶ必要がある.
そのため,今年度は移動漸近法(Method of Moving Asymptotes)だけでなく,新たなアルゴリムの適用可能性を調査した上で,問題に即したものを選ぶことに努める.また,場合によってはアニーリングによるアルゴリズムを適用し,量子アニーリングで解く最適化問題への展開を試みることを視野に入れて研究を進める予定である.得られた成果は,国内外の学会および論文で積極的に発信する予定である. -
連続繊維複合材用3Dプリンターで作る革新的多孔質構造のロバスト・トポロジー最適化
研究課題/研究課題番号:19H00781 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
加藤 準治, 干場 大也, 小橋 真, 北根 安雄
担当区分:研究代表者
配分額:47060000円 ( 直接経費:36200000円 、 間接経費:10860000円 )
近年,様々な分野において積層造形(3Dプリンター)を活かしたものづくりが本格的に導入されている.そして,その先端テクノロジーが生み出したインフィル構造と呼ばれる多孔質性構造体を導入すると従来構造の約5 倍もの耐荷力を発現するという実験結果が示された.しかし,製作上のばらつきなどの不確かな条件下ではその性能を安定的に引き出すことができなくなることがわかってきた.本研究はその優れた性能を安定的かつ最大限に引き出すために実験によるメカニズムの解明とそれを基にロバストな構造見出す新たなトポロジー最適設計法を構築する.最後にFRP製のインフィル構造に導入して極限性能の発現を目指す.
現在,多くの産業において「積層造形(3D-printing)」を活かしたものづくりの導入が検討あれており,最近では連続繊維の積層造形も開発されている.そのような中,積層造形によって造形した多孔質性構造体を埋め込んだ複雑形状を有する構造は,従来構造の約5倍もの耐荷力を発現するという驚くべき実験結果が示された.しかし,製作上のばらつきや荷重変動などの不確かな件下では,その性能を安定的に引き出すことができない.そこで,本研究ではその優れた性能を安定的かつ最大限に引き出すために,新たなトポロジー最適設計法を構築し,ロバストな最適多孔質構造体の形状を見出す方法を開発した.
将来の生産労働者人口の減少を鑑み、宇宙航空,自動車,機械,建設,医工学の分野において,ロボットや積層造形を活用した革新的なものづくりが検討されているが,その構造はこれまでのものとは大きく異なり,従来型の設計法では力学的に価値ある構造を設計できない.そのため,本研究ではトポロジー最適化理論に基づいて,合理的な構造形状を数理的に求める手法を開発した.開発した手法は,力学性能に優れた構造を生み出すとともに,様々な分野に応用できる汎用性の高さを有するものであるため,今後の革新的なものずくりに寄与するものと考えられる. -
非線形性を考慮したトポロジー最適化
2019年4月 - 2020年3月
国内共同研究
資金種別:競争的資金
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研究課題/研究課題番号:17KT0038 2017年7月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
加藤 準治, 高瀬 慎介
担当区分:研究代表者
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
近年,宇宙航空,自動車,機械,建設,医療工学分野など,種々の分野において「積層造形によるものづくり」が本格的に導入されるようになってきた.その主な理由は,積層造形の最大の利点である自由形状を活かして最適な構造を設計・製作すれば,大幅な軽量化が期待できるためである.しかし,積層造形の長所を活かした造形物の設計は,高度な知識を要し,依然としてハードルが高い.このような高度にデザインされた構造製品を生み出すためには,積層造形を前提としたトポロジー最適化法の研究開発が必要不可欠である.本研究ではそれを可能にする汎用性の高いトポロジー最適設計法を開発した.
積層造形によるものづくりは,未来の社会基盤を支える重要な技術開発であるが,積層造形の長所を活かした造形物の設計は,高度な知識を要し,依然として難しい.高性能な構造製品を生み出すためには,積層造形を前提としたトポロジー最適化法の研究開発が必要不可欠である.本研究ではそれを可能にする汎用性の高いトポロジー最適設計法を開発した.本成果は,学術的価値が高く,また将来の設計工学に一石を投じるもので社会的意義が大きいものと考えている. -
金属積層造形プロセスを再現した最適ミクロ材料-最適制御設計法の新開発(国際共同研究強化)
研究課題/研究課題番号:16KK0141 2017年 - 2021年
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
加藤 準治
担当区分:研究代表者
配分額:13910000円 ( 直接経費:10700000円 、 間接経費:3210000円 )
本研究の目的は,申請者の基課題,科研費基盤B「高強度・高延性の両立を可能にする次世代金属材料のための多結晶構造最適化」の成果を発展させ,宇宙航空,自動車,機械,建設,船舶,医療工学分野など,あらゆる分野の「ものづくり」の基盤となる最適設計法の共同研究および国際的ネットワーク・人脈作りを行うことであった.ドイツ・アーヘン工科大学ほか,ドレスデン工科大学,シュトゥットガルト大学,中国・大連工科大学,イタリア・パヴィア大学などの研究機関との共同研究および研究交流を通じて研究を実施し,積層造形を念頭においた熱流体-構造問題に関するマルチフィジックス解析およびトポロジー最適設計法を確立した.
本研究は,近年注目されている次世代型ものづくりの積層造形に着目し,それによって造形される構造体の最適トポロジーを得るための設計手法の開発を目的としたものである.特に,熱流体-構造連成解析の非定常問題を定式化し,材料微視構造の寸法効果を考慮したマルチスケール最適設計法の確立に成功した.非定常のマルチスケールトポロジー設計法の確立は,学術的に意義が高く,積層造形で製作する熱移動を最大化させるような構造部品の設計に役立つものであることから,社会的意義も高いものと思われる. -
金属製積層造形の自動進化型最適造形システムの創成
2017年 - 2020年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
加藤準治, 高瀬 慎介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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金属積層造形プロセスを再現した最適ミクロ材料-最適制御設計法の新開発(国際共同研究強化)
2017年 - 2019年
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
加藤準治
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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膨潤性岩盤を対象としたマルチスケール・マルチフィジックス岩盤力学の展開
研究課題/研究課題番号:16H02361 2016年4月 - 2020年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
京谷 孝史, 森口 周二, 寺田 賢二郎, 松原 成志朗, 山田 正太郎, 大河原 正文, 加藤 準治, 長田 昌彦, 高瀬 慎介
担当区分:研究分担者
スメクタイトの膨潤による地中構造物の経年劣化問題の解決のため,岩盤の膨潤挙動に対するマルチフィジックス・マルチスケール岩盤力学解析モデルを開発した.まず,モンモリロナイト試薬を用いた膨潤実験を実施して,スメクタイトの吸水膨潤挙動を記述する熱力学モデルを定式化した.一方で,修正カムクレイモデルを基礎に強度と剛性が低下する岩盤の力学挙動を扱う数理モデルを定式化し,それに熱力学的膨潤モデルを組み込んで岩盤の膨潤に伴う劣化を表現するマルチスケール・マルチフィジックス解析モデルを開発した.検証例題として膨潤性岩盤に構築されたトンネルの応力変形照査解析を実施し,提案理論の有効性および発展性を確認した.
近年,建設から数十年経つトンネル等の地下構造物が,岩盤の膨潤によって損傷し,その機能が著しく劣化する事象が多数生起しており,道路や橋梁などと共に社会基盤施設の健全な維持管理の大きな問題の一つとして顕現している.本研究は,そうした維持管理技術の高度化に資する点に社会的意義がある.また,本研究はスメクタイトの化学的な吸水膨潤挙動に対する熱力学モデルの定式化と,岩盤の材料劣化にともなう剛性と強度の低下を表現できる数値解解析モデルを融合させたマルチスケール・マルチフィジックス岩盤解析モデルの開発を通して,岩盤の力学挙動を扱うための新しいアプローチ手法の確立に取り組んだ点に学術的意義がある. -
災害リスク評価のためのマルチステージ破壊シミュレーション手法の開発
研究課題/研究課題番号:16H02137 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
寺田 賢二郎, 森口 周二, 高瀬 慎介, 竹内 則雄, 車谷 麻緒, 松原 成志朗, 新宅 勇一, 京谷 孝史, 加藤 準治
担当区分:研究分担者
本研究では、脆性材料により構成される構造物の崩壊現象の再現を意図して、連続体の変形と剛体運動を分離した共回転定式化を、mid-pointアルゴリズムおよびenergy-momentum法を用いて動的問題へと発展させた。さらにはpenalty法による要素の結合・分離により破壊現象を表現し、augmented Lagrange法を用いて接触現象を考慮したマルチステージ破壊シミュレーション手法を構築した。数値解析により提案手法の妥当性を例示した。
大きな負荷履歴に起因する剛性・強度などの材料劣化、発災時のひび割れ生成と成長、応力伝達メカニズムの変化を経て部分的平衡から構造物の大変位・大回転運動が発展し、全体的な崩壊に至る過程をシームレスに数値シミュレーションにより再現するには、解決すべき多くの理論的および技術的課題があり、世界的にみても未だ決定的な手法が確立されていない。また、成果物として得られた破壊のシミュレーション手法は健全な構造物が崩壊していく過程を連続的に再現できる、世界的にも比例ないものである。 -
高強度・高延性の両立を可能にする次世代金属材料のための多結晶構造最適化
研究課題/研究課題番号:16H04394 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
加藤 準治, 高瀬 慎介, 高木 知弘, 京谷 孝史, 寺田 賢二郎, 吉見 享祐
担当区分:研究代表者
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
金属材料の最も重要な力学的性質は靭性であるがそれは強度や延性と相関関係にある.また,それらの力学的性質を決定付けるものは材料微視構造である結晶構造である.一方で,トポロジー最適化という,構造や材料の力学的性能を最大にするような最適形状をコンピュータで見出す方法がある.本研究は,結晶性材料の設計に役立てるために,トポロジー最適化を導入した新しい設計法の枠組みを開発した.ここでは,剛性や靭性,熱伝導性能を最大にする最適結晶構造を数値的に求める手法を開発し,その有用性を数値実験で確かめた.
金属材料をはじめとする結晶材料は社会インフラを構成する基盤材料であり,その性能を改善するためにこれまで多くの研究が行われている.しかし,従来の方法はこれまでの実績と経験則に依存する部分が多く,より高度な材料の開発を推進するには限界がある.本研究は,それを改善するためのものであり,今後の先端材料開発における上流側の設計に大きく寄与するものであると考える. -
膨潤性岩盤を対象としたマルチスケール・マルチフィジックス岩盤力学の展開
2016年 - 2019年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
京谷 孝史, 森口 周二, 寺田, 賢二郎, 松原 成志朗, 大河原 正文, 加藤 準治, 長田 昌彦, 高瀬 慎介
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
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高強度・高延性の両立を可能にする次世代金属材料のための多結晶構造最適化
2016年 - 2018年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
加藤 準治, 高瀬 慎介, 高木 知弘, 京谷 孝史, 寺田 賢二郎, 吉見 享祐
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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災害リスク評価のためのマルチステージ破壊シミュレーション手法の開発
2016年 - 2018年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
寺田 賢二郎, 森口 周二, 高瀬 慎介, 竹内, 車谷 麻緒, 松原 成志朗, 新宅 勇一, 京谷 孝史, 加藤 準治
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
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これからの材料開発に欠かせない材料ミクロ組織の仮想実験と最適化技術の新展開
2014年 - 2016年
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
加藤 準治
担当区分:研究代表者
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スメクタイト含有粘土地山の膨潤挙動に対するマルチスケール理論解析モデルの構築
2014年 - 2016年
科学研究費補助金 研究成果公開促進費 (研究成果公開発表)
京谷 孝史
担当区分:研究分担者
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遡上津波と構造物の相互作用評価のためのマルチスケール数値実験
2013年 - 2015年
科学研究費補助金 基盤研究(A)
寺田 賢二郎
担当区分:研究分担者
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マルチスケール非破壊検査法の提案-逆均質化法の新導入
2012年 - 2015年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
京谷 孝史
担当区分:研究分担者
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複合材料のエネルギー吸収性能最大化―マルチスケール構造最適化法の新導入
2011年 - 2013年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
加藤準治
担当区分:研究代表者
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降伏した材料の塑性挙動に対する最適制御
2011年 - 2013年
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
京谷 孝史
担当区分:研究分担者
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コンクリート材料の強度発現機構に対する非均質性の影響再考
2010年 - 2012年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
寺田 賢二郎
担当区分:研究分担者