科研費 - 須田 淳
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炭化珪素基板上へのⅢ族窒化物の超高品質コヒーレント成長の基礎とデバイス応用
2012年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
須田 淳
担当区分:研究代表者
SiC基板上への高Al組成窒化物半導体のコヒーレント成長の基礎を築き、デバイス応用への展開を目指して研究を行った。高Al組成AlGaNの成長として、組成や構造のデジタル的な制御が可能な、AlN/GaN短周期超格子に着目した。さまざまな構造・成長条件のAlN/GaN短周期超格子の臨界膜厚の解明、緩和メカニズムの解明を行い、GaNモル分率20%の規則混晶のコヒーレント成長に成功した。また、3BLのGaNを成長すると格子緩和がはじまることを明らかにした。極薄GaNの格子緩和はゆっくりと生じることを利用して、SiC基板上に圧縮、引っ張り歪みを持つAlNを成長する方法も提案した。
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炭化珪素半導体の欠陥制御と超高耐圧ロバスト素子への応用
2009年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(S)
木本 恒暢
電力系統や高圧電源に用いられる高効率電力変換用パワーデバイスの実現を目指し、炭化珪素(SiC)半導体に関する材料科学と超高耐圧デバイスの基礎研究を遂行した。主な成果として、高純度結晶の作製、拡張欠陥の構造および物性の解明、拡張欠陥の非破壊高速検出、深い準位の物性解明、キャリア寿命キラー欠陥の大幅な低減とキャリア寿命の増大、キャリア寿命制御、超高耐圧を可能とする接合終端構造および設計指針の提示、絶縁破壊機構に関する考察、固体素子として最高の超高耐圧(20kV以上) SiC PiNダイオードおよびバイポーラトランジスタの作製、特性解析と高温動作(300℃)の実証を達成した。
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超高耐圧ロバスト素子を目指した炭化珪素半導体の欠陥制御に関する研究
2009年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
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新しい結晶構造を持つ窒化アルミニウムの物性制御と深紫外発光デバイスへの展開
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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イオン注入および埋め込み再成長を利用したSiC超接合パワーMOSFETの研究
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
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ヘテロバレント・ヘテロポリタイプSiC上III族窒化物結晶成長の総合的理解と制御
2004年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
担当区分:研究代表者
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InGaNの非混和性を積極的に利用したDERI法による転位の不活性化
研究課題/研究課題番号:26600090 2014年4月 - 2017年3月
名西 やす之
担当区分:連携研究者
InGaNは青色発光ダイオードの活性層として利用されているが、In組成を増やし緑、赤、さらに赤外領域の発光、受光デバイスに利用しようとすると、転位などの影響が顕著となり、特性が著しく劣化する。 本研究では、研究代表者が中心になって独自に開発した高品質InN結晶成長技術(DERI法)を利用して、InGaNの非混和性を積極的に利用し、転位近傍にバンドギャップの広い極微ナノ構造を作成し、転位の影響を抑制して、InNおよび全混晶組成のInGaNをデバイスとして利用するための検討を行った。コンダクティブAFMを用いてナノ領域のリーク電流を測定する手法により、リーク電流の抑制を確認する成果を得た。
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炭化珪素基板上へのⅢ族窒化物の超高品質コヒーレント成長の基礎とデバイス応用
研究課題/研究課題番号:24360009 2012年4月 - 2016年3月
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
SiC基板上への高Al組成窒化物半導体のコヒーレント成長の基礎を築き、デバイス応用への展開を目指して研究を行った。高Al組成AlGaNの成長として、組成や構造のデジタル的な制御が可能な、AlN/GaN短周期超格子に着目した。さまざまな構造・成長条件のAlN/GaN短周期超格子の臨界膜厚の解明、緩和メカニズムの解明を行い、GaNモル分率20%の規則混晶のコヒーレント成長に成功した。また、3BLのGaNを成長すると格子緩和がはじまることを明らかにした。極薄GaNの格子緩和はゆっくりと生じることを利用して、SiC基板上に圧縮、引っ張り歪みを持つAlNを成長する方法も提案した。
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温度に依存しない感度特性を持つ500℃まで動作可能な炭化珪素紫外光検出器の実現
研究課題/研究課題番号:24656230 2012年4月 - 2014年3月
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
500℃という高温でも動作可能な紫外線検出器は、発電・化学プラントのモニタリングやエンジンのリアルタイム燃焼制御用のセンサーなどに貢献しうるデバイスである。現在、光センサーに用いられているシリコン(Si)は禁制帯幅が1.12eVと小さいため200℃を超える動作は不可能である。本研究ではSiに比べて3倍の禁制帯幅、3.26eVを有する炭化珪素(4H-SiC)を用いて高温動作可能な紫外線検出器の実現を目指した。検出器の設計に必要なSiCの屈折率や光吸収係数などを明らかにし、また、検出感度低下の原因となるリーク電流の低減方法を確立し、500℃で動作可能なSiC光検出器の試作に成功した。
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炭化珪素半導体の欠陥制御と超高耐圧ロバスト素子への応用
研究課題/研究課題番号:21226008 2009年5月 - 2014年3月
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
電力系統や高圧電源に用いられる高効率電力変換用パワーデバイスの実現を目指し、炭化珪素(SiC)半導体に関する材料科学と超高耐圧デバイスの基礎研究を遂行した。主な成果として、高純度結晶の作製、拡張欠陥の構造および物性の解明、拡張欠陥の非破壊高速検出、深い準位の物性解明、キャリア寿命キラー欠陥の大幅な低減とキャリア寿命の増大、キャリア寿命制御、超高耐圧を可能とする接合終端構造および設計指針の提示、絶縁破壊機構に関する考察、固体素子として最高の超高耐圧(20kV以上) SiC PiNダイオードおよびバイポーラトランジスタの作製、特性解析と高温動作(300℃)の実証を達成した。
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超高耐圧ロバスト素子を目指した炭化珪素半導体の欠陥制御に関する研究
研究課題/研究課題番号:21246051 2009年
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
超高耐圧素子の作製に必要な高純度・厚膜SiCエピタキシャル成長層の形成と欠陥評価について研究を行った。得られた成果は以下のとおりである。
(1)独自の化学気相堆積法により、70-90μm/hの高速で70-160μmの厚膜SiCエピタキシャル成長層を形成することに成功した。成長層の表面は原子レベルで平坦であり、残留不純物密度が約1E13/cm3という高純度結晶を得た。また、SiCパワーデバイスの信頼性に悪影響を及ぼす基底面転位(基板から伝播)の密度が、成長速度の上昇と共に減少することを見出した。
(2)フォトルミネッセンス(PL)のマッピング測定により、SiC成長層中に存在するin-grown積層欠陥を高速・非破壊に検出できることを示した。SiC成長層中に存在する主要なin-grown積層欠陥には3種類あり、高分解能断面電子顕微鏡(TEM)観察により、各々の欠陥構造を原子レベルで明らかにした。さらに、成長初期プロセスの改良により、積層欠陥密度を大幅に低減することに成功した。
(3)n型SiC成長層に存在する点欠陥(深い準位)をショットキー障壁容量の過渡特性解析(DLTS)により評価した。伝導帯底から約0.6eVおよび1.5eVのエネルギー位置に主要な電子トラップが存在すること、およびこれらの点欠陥は1700℃の高温熱処理を施すことにより、密度を大幅に低減できることを明らかにした。 -
SiCの2次非線形光学定数精密測定
研究課題/研究課題番号:20560038 2008年 - 2010年
庄司 一郎
担当区分:連携研究者
次世代の高出力可視光発生波長変換材料として期待されるSiCの2次非線形光学定数の精密測定を行った.複数の製造業者で作製された4Hと6Hの2種類の結晶多形,(0001)と(11-20)の2種類の面方位の高品質試料に対し,回転型メーカーフリンジ法とウェッジ法の2種類の測定法を用い,基本波波長1.064μmで測定し,厳密な解析を行った.その結果,製造業者・面方位・測定法によらず一致した正確な値が得られた.また,4H-SiCのd33は6H-SiCのd33より6 %小さいことがわかった.今回明らかとなったSiCの2次非線形光学定数は,今後,SiCを用いた高出力高効率波長変換デバイスを精密に設計するうえで不可欠となる.
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新しい結晶構造を持つ窒化アルミニウムの物性制御と深紫外発光デバイスへの展開
研究課題/研究課題番号:20360008 2008年 - 2010年
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
深紫外線発光デバイス材料として期待されている半導体材料窒化アルミニウム(AlN)の結晶成長に関する研究を行った。AlNとして広く研究されているウルツ鉱構造ではなく、炭化珪素(SiC)基板の結晶構造を引き継ぐことで極めて品質の高い結晶が得られる4H-AlNについて研究を行った。高効率発光デバイス実現に必要な、AlGaN混晶成長技術、量子井戸作製技術に取り組み、(1-100)面ではAlGaN/AlN量子井戸構造、(11-20)面ではAlGaNの成長が困難なことを見出し、その解決としてGaN/AlN短周期超格子構造を提案し、その作製に成功した。
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窒化物半導体の非線形光学定数の精密評価と内部電界による制御
研究課題/研究課題番号:19032003 2007年 - 2008年
近藤 高志
担当区分:研究分担者
バルク試料を用いた回転型メーカーフリンジ法とウェッジ法とを併用することでSiCとGaNのintrmsicな非線形光学定数(d=x^<(2)>/2)の精密測定をおこなった。また, MBE法によるGaN周期極性反転構造の作製と導波路作製に取り組んだ。
1. SiCの非線形光学定数精密測定
GaNエピタキシャル薄膜の非線形光学定数をはかる準備として, 基板材料となるSiCの非線形光学定数評価をおこなった。その結果は以下のとおり。6H-SiCの非線形光学定数は, d_<31>=6.7pm/V, d_<15>=6.5pm/V, d_<33>=-12.5pm/V。4H-SiCの非線形光学定数は, d_<31>=6.5pm/V, d_<15>=6.7pm/V, d_<33>=-11.7pm/V。両者は測定誤差の範囲内で一致しているが, 4H-SiCのd_<33>が若干小さく, 理想的四面体構造に対して予想されるd_<33>/d_<31>=-2からのずれが大きい。これは, 4H-SICが6H-SiCと比較して格子の歪みが大きいことを反映している。
2. GaNの非線形光学定数精密測定
液相成長のバルク試料とエピタキシャル成長自立基板を試料として用い, GaNのintrinsicな非線形光学定数の精密測定をおこない, 以下の結果が得られた。d_<31>=2.4pm/V, d_<15>=2.5pm/V, d_<33>=-3.8pm/V。GaNは理想的四面体構造からの歪みが大きく, その結果, d_<33>/d_<31>=-2の関係から大きくずれている。また, この結果は, エピタキシャル薄膜試料を用いて測定された既報の値と比較してかなり小さく, これまでの測定に内部電界と3次非線形光学効果の影響が混入していたことをうかがわせる。
3. 周期極性反転GaN導波路の作製
MBEによるGaNエピタキシャル膜の格子極性制御の再現性を確認した上で, 疑似位相整合波長変換デバイス作製に不可欠な周期極性反転GaNの作製をおこなった。また, 導波路デバイス作製プロセス開発の第一段階としてリフトオフによるリブ構造作製が可能であることを示した。 -
イオン注入および埋め込み再成長を利用したSiC超接合パワーMOSFETの研究
研究課題/研究課題番号:18206032 2006年 - 2008年
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
次世代の高性能パワーデバイスとして期待されるSiCパワーMOSFETの特性を極限まで向上させるため、多層pn接合の多次元空乏化を利用する超接合構造に着目した。イオン注入や埋め込み成長により形成したpn接合特性の解析、MOS界面特性の向上、高精度デバイスシミュレーションによる構造設計や微細加工技術を集約して、耐圧1580V、オン抵抗40mΩcm2という優れた性能を達成した。この特性はSiデバイスの理論限界より20倍優れている。
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ヘテロバレント・ヘテロポリタイプSiC上III族窒化物結晶成長の総合的理解と制御
研究課題/研究課題番号:16686002 2004年 - 2006年
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:28600000円 ( 直接経費:22000000円 、 間接経費:6600000円 )
ヘテロバレソト・ヘテロポリタイプな系である、AlN/SiCヘテロエピタキシャル成長についての系統的な研究を行った。無極性面方位に関しては、(1-100)面、(11-20)面を対象に研究を行った。4H-SiCを用いた場合に、SiCの4層周期の積層構造がAlNに転写され、AlNは4H構造を持つことが明らかになった。SiC表面の原子レベルの平坦化とAlN成長条件の最適化を行うことで、きわめて欠陥の少ない4H-AlNを成長することに成功した。無極性面方位に関しては、成長条件を適切に設定することで、本来ヘテロポリタイプであるAlN/SiC系をアイソポリタイプ化し、結晶欠陥を大幅に低減できることが明らかになった。このアイソポリタイプAlNをテンプレートとして、デバイス応用上重要なGaNの成長を行った。広範囲な成長条件の検討を行ったが、GaNのポリタイプは熱力学的に安定な2H構造になってしまうことが判明した。AlN/GaNの格子不整合がAlN/SiCの倍以上であることや、GaNそれ自体が4H構造となった場合エネルギー的に不安定になることが原因として考えられるが、現時点では不明である。2H構造GaNは4H構造AlNほどは高品質ではないが、他の無極性基板と同等の品質のものが得られることは確認している。極性面については、SiCのステツプェツジに起因する欠陥の極限までの低減を目指して研究を進めた。ウエハーレベルでのSiCのステップエッジの高さ制御技術をほぼ確立し、6H-SiCにおいてステップ高さ6層に制御した基板を作製し、この表面上にAlNを成長し、結晶欠陥の低減を確認した。
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多層Pη接合の多次元空乏化を利用した金属接点級SiCパワーデバイスの基礎研究
研究課題/研究課題番号:16360153 2004年 - 2005年
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
本研究では、高い絶縁破壊電界を有するワイドギャップ半導体SiCの多層pn接合を用いた高耐圧・低損失パワーデバイスの構造設計とデバイス作製に関する基礎研究を行った。以下に本年度に得られた主な成果をまとめる。
(1)デバイスシミュレーションによりpn接合の二次元空乏化時の電界分布を解析してデバイス端部での電界集中を緩和し、高い耐圧が得られる最適なドーピング密度とサイズを決定した。また、絶縁膜/SiC界面や表面電荷が空乏化や電界分布に与える影響を明らかにした。
(2)二次元空乏化構造を従来のnp型から表面p型領域を有するpnp型(ダブルRESURF)にすることにより、耐圧の低下を招くことなくドーズ量を増すことができ、ドリフト抵抗を大幅に低減できることを見出した。さらに、この構造における最適ドーズ設計の指針を構築した。また、この構造の採用により、ゲート酸化膜の電界も緩和され、高耐圧化に有利であることを見出した。
(3)高品質エピタキシャル成長、微細加工、イオン注入、MOS界面制御などの技術を集約して、pn接合の二次元空乏化を活用した横型SiC MOSFET(ダブルRESURF構造)を作製し、耐圧750V、オン抵抗52mΩcm^2という優れた特性を得た。本研究独自のダブルRESURF構造を採用することによって、ドリフト抵抗を従来の1/3以下に低減できることを実験的に示した。
(4)異なるドーピング密度を有するpnp型の二次元空乏化構造を二重に形成する「二ゾーンダブルRESURF構造」を発案し、シミュレーションによる最適設計と試作を行った。二ゾーン化することで耐圧を大幅に増大できることを見出した。試作したSiC MOSFETは耐圧1380V、オン抵抗66mΩcm^2という世界最高の性能を示した。 -
ワイドギャップ半導体SiCを用いた高耐圧・超高効率・高速パワーMOSFET
研究課題/研究課題番号:13555094 2001年 - 2002年
木本 恒暢
担当区分:研究分担者
本研究では、高い絶縁破壊電界を有するワイドギャップ半導体SiC(シリコンカーバイド)を用いたMOS界面の高品質化、微細加工プロセスと高耐圧横型MOSFETの作製を行った。以下に本研究で得られた主な成果をまとめる。
1.SiC MOS界面の高品質化
高い温度で熱酸化を行うことにより、6H-SiC(0001)面で78cm^2/Vs、4H-SiC(0001)面で22cm^2/Vsという従来と比べて約2倍の高いチャネル移動度を達成した。また、4H-SiC(1120)面および(0338)面では30〜40cm^2/Vsのチャネル移動度が得られ、やはり(0001)面よりMOS界面特性が優れていることが分かった。
2.微細加工プロセス
プラズマCVDで形成した厚いSiO_2膜をドライエッチングによりパターニングする技術を確立し、これをイオン注入用マスクに使用することによって、チャネル長1μm(従来は5μm)のSiC MOSFETを作製することに成功した。
3.高耐圧横型SiC MOSFETの作製
デバイスシミュレーションを駆使してRESURF型のSiC MOSFETの構造設計を行った。次に、エピタキシャル成長とイオン注入技術などの要素技術を集約してRESURF MOSFETを作製し、特性を評価した。耐圧1000V、オン抵抗0.1Ωcm^2という優れた特性を得た。この特性は、SiパワーMOSFETの理論限界を突破しており、SiCの有用性を実験的に実証することができた。 -
ワイドギャップ半導体ヘテロ界面の電子物性制御とパワーデバイスの高性能化への展開
研究課題/研究課題番号:13750010 2001年 - 2002年
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
ワイドギャップ半導体六方晶シリコンカーバイド(SiC)は大きな絶縁破壊電界強度を持つため、既存のシリコン(Si)系半導体パワーデバイスでは理論的に実現不可能な超低損失デバイスを実現可能と期待されている。しかし、シリコン酸化膜(SiO_2)/SiC界面におけるチャネル電子移動度がバルクSiCの電子移動度に比べ極めて小さいため、チャネル抵抗がデバイスの抵抗の大半を占め、デバイスの高性能化を阻んでいる。本研究では、SiO_2に代わる新たな絶縁膜としてSiCと同じ六方晶で、しかも、格子定数がほぼ等しい窒化アルミニウム(AlN)を提案している。窒化アルミニウムとSiCの界面を制御することで、デバイスに利用可能なAlN/SiCヘテロ構造を実現することを目指して研究を進めてきた。今年度得られた結果は以下の通りである。
1.SiC表面を、構造的観点および化学的観点で制御を行うことで、高品質AlN結晶成長を実現した。すなわちステップ高さの制御と、表面に存在する酸素の完全な除去および表面超構造の発現を行ったSiC上にAlNを成長することで、2次元レイヤーバイレイヤー成長を実現すると共に、結晶性の大幅な改善を実現した。この高品質AIN層の応用としてGaN成長層の為のバッファー層として使用したところ、GaN層の結晶性も大きく向上することを明らかにした。GaN系パワーデバイスへの応用が期待される。
2.従来用いられてきたSiC(0001)面に加え、無極性面であるSiC(11-20)面上へのAlNの結晶成長を試みた。SiCの結晶方位情報をAlNは引き継いで成長する、すなわち、エピタキシャル成長を実現した。しかし、SiCのポリタイプはAlNに引き継がれず、SiCが6Hポリタイプであるのに対して、AlNは2Hポリタイプ(ウルツ鉱構造)であることが判明した。この現象は結成成長学的に新しい知見であると当時に、GaN系光デバイスで必要とされる、無極性面の実現の1方法を新たに提案するものとして意義がある。 -
有機金属分子線エピタキシー法による立方晶窒化ガリウムの結晶成長機構の解明と応用
研究課題/研究課題番号:11750014 1999年 - 2000年
奨励研究(A)
須田 淳
担当区分:研究代表者
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
トリエチルガリウム(TEGa)とrfプラズマ励起活性窒素(N^*)を原料に用いた有機金属分子線エピタキシャル(MOMBE)成長における、窒化ガリウム(GaN)の結晶成長機構を活用して新規な構造を作製することをめざして研究を進めた。
立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)の(001)面方位を基板として用いて結晶成長を行ったところ、基板による構造引き込み効果により、サファイア基板上の場合よりもより広い成長条件で立方晶GaNが得られることが分かった。また、3C-SiC基板上においてはGaNの核形成が抑制されることが分かり、連続膜を得るためには低温バッファ層が不可欠であることが判明した。そこで、成長初期の核形成を制御すれば、任意の場所に立方晶の結晶を得ることができると考え、選択成長を試みることにした。
3C-SiC基板を酸素雰囲気中で1000℃以上に加熱し、表面に酸化膜を形成した後、集束イオンビーム描画装置を用いて、酸化膜の一部を極微細な領域に限って除去し、真空トンネルを通じて直ちに結晶成長装置に搬送、GaNの結晶成長を行った。最適化した成長条件で、酸化膜の除去された開口部のみにGaNの核形成、結晶成長を起こすことに成功した。ただし、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法で報告されているような横方向成長は確認されず、微小結晶が密集して存在する結晶成長形態であることが分かった。また、微小結晶は立方晶であり、{111}ファセットを側面に有していることが確認された。成長時間や開口部のサイズ調整などを行うことで、幾何学的に対称性を持つ微小結晶を平面に規則的に並べることができると考えられる。このような構造は、電子エミッタやフォトニック結晶などに応用可能と考えられる。 -
Development of SiC high-power devices
資金種別:競争的資金
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ZnSe系ワイドギャップ半導体の結晶成長と励起子光物性の解明
資金種別:競争的資金
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SiC半導体のハイパワーデバイス実現のための研究
資金種別:競争的資金
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Growth of ZnSe-based semiconductors and excitonic properties
資金種別:競争的資金
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Growth of GaN-based semiconductors and its applications to electronic devices
資金種別:競争的資金
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GaN系ワイドギャップ半導体の結晶成長と電子デバイスへの応用
資金種別:競争的資金