科研費 - 金子 敬明
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研究課題/研究課題番号:24K04619 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山下 純司, 久保野 恵美子, 金子 敬明
担当区分:研究分担者
現在、高齢者や障害者をめぐる法のあり方として、「意思決定代行から意思決定支援へ」ということが盛んに言われるようになってきている。現在の法制度は、判断能力が不十分な者について、本人が単独で取引等をする資格(行為能力)を制限した上で、後見人等の法定代理人が、本人の利益のために財産管理等に係る法律行為を代行する成年後見制度が用意されている。
しかし、高齢者や障害者の自己決定を尊重する観点からは、であっても、判断能力の不十分な人々の意思決定を支援することで、本人自ら取引等をできるような社会を目指すべきである。本研究では、そのような社会を構築するための法的な枠組みについて研究する。 -
ソーシャルメディアユーザーの死亡によるデータの承継――アカウントの観点から
研究課題/研究課題番号:24K04610 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
金子 敬明
担当区分:研究代表者
配分額:1040000円 ( 直接経費:800000円 、 間接経費:240000円 )
ソーシャルメディアネットワークのユーザーが死亡した際に、アカウント内にあったデータがどうなるかについては、不透明な点が多く残されている。この問題は、実務上重要であるのみならず、誰が最終的に承継するのがよいかという相続法の実体的側面とは別に、その結果をもたらすためにどのような手続を組めばよいかを考えさせる点において、理論的にも重要である。本研究はこれらのことを外国法との比較のもとに検討する。
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多様性社会における「人」の再定位および人格的価値を中核とした私法システムの再構築
研究課題/研究課題番号:24H00134 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
片山 直也, 小柳 春一郎, 吉井 啓子, 水津 太郎, 山城 一真, 隈元 利佳, 武川 幸嗣, 秋山 靖浩, 大島 梨沙, 麻生 典, 青木 則幸, 根本 尚徳, 林 滉起, 松尾 弘, 木村 敦子, 高 秀成, 石尾 智久, 田高 寛貴, 原 恵美, 森田 宏樹, 平野 裕之, 金子 敬明, 金 あんに, 金山 直樹, 山下 純司
担当区分:研究分担者
多様性社会においては、超高齢化・人口減少、格差・差別などの課題に対峙するため、私法システムの抜本的な見直しが求められている。本研究においては、まずは、「脆弱性」に着目した法律行為など民法の基本原理および諸制度の再構築、カップル像の多様化に対応した家族制度の見直し等の各論的な検討を通じて、多様性社会を支える「法的人間像」を提示する。次いで、「人格的価値」という視点から、「財の法」の再構築を目指す。さらに、人の多様な生活と活動の場に応じた「資産」の分割や結合、生活世界における活動を支える「資金」の調達、それに対応した「責任」の制限を導く新たな「資産の法」のあり方を探求する。
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研究課題/研究課題番号:21K01219 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
金子 敬明
担当区分:研究代表者
配分額:520000円 ( 直接経費:400000円 、 間接経費:120000円 )
補助事業期間の前半(最初の1年半ほど)は、信認義務にはどこまでの内容が含まれるか、いいかえれば信認義務の本質は何か、をめぐるコモンウェルス圏での議論の動向を追いかける作業に費やしたいと考える。検討の対象国はイングランドを中心とするが、カナダやオーストラリアなど、コモンウェルス圏の他の主要国における議論も、できるだけ取り入れたい。
そのうえで、後半の1年強の期間では、前半において追いかけてきた信認義務の本質論を、日本をはじめとする大陸法系の諸国においてどのように応用できるかを考えていきたい。
本研究は、「フィデューシャリー・デューティー」の語が主に金融業界において広く知られるようになってきた日本の現状を踏まえて、信認義務(fiduciary duty)の語の本来の意味を、その発祥の地である英国や、コモンウェルス諸国(特にオーストラリア)における議論を参照しつつ、改めて確認しようとするものである。結果として、受認者(fiduciary)には多様な者が含まれること、受認者とされる者が負う義務のすべてが信認義務であるわけではないこと、過度な影響力(undue influence)の行使法理などの隣接する法理との境界線は必ずしも明確でないことなど、複雑な様相が明らかになってきた。
「フィデューシャリー・デューティー」の語は日本で金融業界に特化して用いられているが、信認義務という観念がもつポテンシャルからすると、それは不当に偏狭な用語法であるという他ない。代理や会社取締役など、信託と比較すれば日本法にも定着している概念を鍛え直したり、弁護士や不動産業者などが負う助言義務を信認義務の観点から整理しなおしたりすることは、有用な結果をもたらす可能性がある。 -
研究課題/研究課題番号:20K01401 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山下 純司, 久保野 恵美子, 金子 敬明
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、家族関係において、契約による関係形成がどこまで可能なのかという問題を検討することである。夫婦間あるいはカップル間の関係を契約によってどこまで規律できるのか、老後の世話を親族にしてもらう扶養契約の有効性や他の制度との関係、相続人の権利義務を前もって契約で定めておくことの可否など、既存の法秩序とは異なる家族関係を合意により作り出す自由とその限界について、様々な角度から考察を行う。
本研究では、家族関係を形成するため契約、および、家族関係を支えるための契約について研究を行った。
家族関係を形成するための契約として、婚姻外のカップルの関係について研究を行い、パートナーシップ契約の法的効力について論文を公表した。また養子縁組についての比較法研究の論文を公表した。
家族関係をさせるための契約として、家族を受託者とする信託について研究を行い、後見制度ではない方法で、高齢者の財産を家族が管理する契約の問題点と、その解決策について提案をする論文を公表した。
家族関係を形成する契約のあり方を研究することは、従来の民法が想定してこなかったような多様な家族のあり方を合意によって規律する前提として重要である。
また、家族関係を支える契約のあり方を研究することは、高齢者や障害者など、社会的弱者と呼ばれる人々が、広い意味の家族の支援を受けながら、適切な形で社会に参加できるための基盤づくりとして重要である。
以上のように本研究の成果は、家族関係の多様化に対応するものであると同時に、社会的弱者の積極的な社会参加を支えるものでもあり、いわゆるインクルーシブ社会の実現という現代的な課題に直接結びついている。 -
高齢社会・人口減少社会が提示する諸問題への法的対応と「人の法」・「財の法」の展開
研究課題/研究課題番号:19H00573 2019年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
吉田 克己, 小柳 春一郎, 片山 直也, 吉井 啓子, 水津 太郎, 山城 一真, 武川 幸嗣, 秋山 靖浩, 阿部 裕介, 麻生 典, 青木 則幸, 根本 尚徳, 松尾 弘, 高 秀成, 石尾 智久, 田高 寛貴, 原 恵美, 森田 宏樹, 平野 裕之, 金子 敬明, 金山 直樹
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
高齢社会と人口減少社会の到来に対して、法の現実的・理論的対応が求められている。高齢社会は、高齢者という具体的カテゴリーの人間を法が把握することを要求する。人口減少社会は、財産の負財化現象を顕在化させ、法が財をその具体的様相において把握することを要請する。本研究は、人も物も抽象的に把握することを特徴とする伝統的な民法のパラダイムを克服し、「財の法」「人の法」を構築することによって、これらの要請に応えることを目指す。
本研究においては、第1に、多様な高齢者像を法の観点から整理するとともに、高齢者法のあり方を検討した。その結果、「財の法」としての性格の強い高齢者法から「人の法」としての高齢者法へ、弱者保護の法としての高齢者法から人間の尊厳と個人の尊厳尊重の法としての高齢者法へという展望が得られた。さらに、高齢者法という概念自体が可能かという問題意識も提示した。本研究においては、第2に、人口減少社会における負財対応の法制度の多様な展開を検討した。そこでは、当然に所有者不明土地問題への法的対応が重要な課題となる。また、この課題に加えて、相続法や担保法における新たな展開についても検討を行った。
高齢社会と人口減少社会の到来に対して、政策的対応と同時に、法の現実的・理論的対応が求められている。本研究は、この課題に正面から取り組んだもので、その社会的意義は大きい。高齢者法の今後の基本的あり方の解明は、「人の法」の構築という観点から大きな理論的意義を持つだけでなく、消費者法や遺産承継法(贈与法や相続法)などの各論的な法制度論、法解釈論の深化という実践的意義も持つ。負財対応の法制度の多様な展開の検討は、人口減少社会という現代日本の法制度展開の理論的基礎を解明するという重要な理論的意義を持つだけでなく、所有者不明土地対応の方向性の提示などに関して大きな実践的意義も持つ。 -
親族・相続関係における意思・合意・協議の意義
2016年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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研究課題/研究課題番号:16K03410 2016年4月 - 2020年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山下 純司, 久保野 恵美子, 金子 敬明
担当区分:研究分担者
本研究では、親族法や相続法の各制度の中における当事者の意思(当事者間合意や当事者同士の協議も含む)の役割を、横断的に考察した。私的自治の原則(当事者の意思により関係を自由に定められるという考え方)は、家族関係においても重要な役割を果たすが、取引関係を規律する財産法に比べると、その現れ方は複雑かつ多様であることが分かってきた。そこには、私的自治の原則とは別に尊重されるべき、家族関係の保護や子どもの福祉、相続秩序といった多様な価値が見いだされた。
高齢化と少子化が進むわが国の状況下で、身分法の見直しが急速に進んでいる。本研究には、従来の制度の問題点や、新たな制度の意義を考察することを可能とする意義がある。近時実現した民法改正に関わる研究成果としては、成年年齢の引下げの意義についての研究、特別養子縁組制度の改正に関する研究、遺言執行者の権限に関する研究などがあげられる。本研究の研究代表者や研究分担者が、改正法律案の審議や準備作業に関わったものもあり、本研究の研究成果はわが国の制度改革に大きく貢献している。 -
研究課題/研究課題番号:25245001 2013年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
木庭 顕, 桑原 朝子, 松原 健太郎, 中林 真幸, 山本 隆司, 加毛 明, 金子 敬明
担当区分:研究分担者
昨年度に予告したとおり本年度は公共団体の問題に活動を集中した。その集大成は3月にKinch HoekstraとLuca Ioriを迎えて行われた「ホッブズとトゥーキュディデス」に関する研究会であり、事実上の締めくくりとなるに相応しい濃厚な二日間であった。つまり古典古代と近代をまたぎ、また国際間の衝突もテーマであったから国家間の問題、近代国家共存体制外の地域の問題、をも視野に入れた。ホッブズはまさに枢要な交点である。そのポイントで、公共団体立ち上げの条件を探った。ゲスト二人の報告は或る雑誌に翻訳して発表の予定である。また、研究代表者自身、この研究会に至る中で同時並行して一本の論文をまとめ、『国家学会雑誌』に発表した。後者は、このプロジェクトが深くかかわってきた法人理論がホッブズにとって有した意義をも論ずるものである。また、ともに、自生的な団体と深く関係するメカニズムである互酬性を、そのメカニズムの極限的なフェイズをホッブズがいかに利用しつつ克服するか、を追跡した。こうした考えをホッブズはトゥーキュディデス読解を通じて獲得した。彼が同じく翻訳したホメーロスを含め、ギリシャの社会人類学的洞察をバネにしたことになる。こうした見通しは、本研究会が遂行してきた広い比較史的視野を有して初めて持つことが可能になる。その意味では、今回の成果は、公共団体をターゲットとしてきた本年度の活動のみならず、全期間の活動の凝縮点である。付言すれば、教育目的ながら野心的な内容を含む拙著『現代日本公法の基礎を問う』も同一の軌道を回る惑星である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。 -
準契約概念の系譜的研究
2013年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
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後見における財産管理と身上監護との関係:法律行為法と親族法の交錯領域の理論的解明
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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企業承継問題への民法学からの貢献----立法論を中心に
2010年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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フランス夫婦財産制の研究----比較夫婦財産制の試み
2007年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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離婚当事者の法使用における相談ネットワークと弁護士の役割
2002年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者