科研費 - 松尾 信一郎
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格子ゲージ理論の四次元多様体論への応用とザイバーグ=ウィッテン理論の差分化
研究課題/研究課題番号:21K03222 2021年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
松尾 信一郎
担当区分:研究代表者
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
1. 平坦とは限らないトーラスにおいてWD作用素を定式化して,トーラスに正スカラー曲率計量が存在しないことを組み合わせ論的に証明すること.
2. 一般のリーマン多様体でWD作用素を定式化して,特に四次元多様体のとき,ロホリンの定理を組み合わせ論的に証明すること.
3. 一般の四次元リーマン多様体でWD作用素を用いて,非線型方程式のザイバーグ=ウィッテン方程式を組み合わせ論的に再定式化すること.
今年度も,前年度までに引き続き,境界付き多様体の指数とドメインウォールフェルミオンとの関係について考察した.物理的にはアノマリーの考察に相当する.最初に得られたのはAPS指数のときで,次が mod 2指数のときで,現在は複素フェルミオンのときを引き続き考えている.しかし,めざましい進展は得られなかったので,前年度に引き続き,物理的応用も研究することにした.そちらではGelfand-Yaglom理論についての結果が出た.論文準備中である.
また,格子指数の連続極限の存在について証明を大幅に簡略化した.自明なベクトル束に非自明な接続を入れたときに帰着することができた.証明の大幅な簡略化である.結果としてウィルソン項の数学的位置付けがさらに明確になった.
さらに,派生研究として,反自己双対計量のモジュライ空間の向き付けについてさらに考察した.K3曲面のとき,反自己双対計量のモジュライ空間が向き付け可能ではないという大変興味深い結果を得ていたが,その証明をさらに見直し,現在も引き続き一般の多様体の向き付けの条件を求めるために,KR指数を計算している.
当初の計画通りにおおむね順調に進展しており,さらに派生研究もある.
今後は,複素フェルミオンを引き続き考えるとともに,格子指数の応用を探っていきたい.また,ウィルソン項の役割をさらに突き詰めることによって,格子指数への透明な理解を目指す.おそらくそれはザイバーグーウィッテン理論への応用もあると考えている. -
コンパクト四次元双曲多様体はシンプレクティック構造を持つか?
研究課題/研究課題番号:17K14186 2017年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
松尾 信一郎
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
指数の局所化の射程を探った.
第一は,境界付き多様体の指数とドメインウォールフェルミオンとの関係を,物理の格子ゲージ理論に触発され,研究した.その結果,APS指数をドメインウォールフェルミオンのエータ不変量で表す公式を得た.これらの公式のmod 2指数や複素フェルミオンへの拡張も研究した.
第二は,反自己双対計量のモジュライ空間の向き付け可能性を判定するためのKR指数の計算である.
指数定理と格子ゲージ理論を架橋し,Atiyah-Patodi-Singerの指数定理の格子ゲージ理論的定式化に道を開いた.さらに,指数の局所化の射程を探った.第一に,境界付き多様体の指数とドメインウォールフェルミオンとの関係を,物理の格子ゲージ理論に触発され,研究したことがある.その結果,APS指数をドメインウォールフェルミオンのエータ不変量で表す公式を得た.これらの公式のmod 2指数や複素フェルミオンへの拡張も研究した.第二に,反自己双対計量のモジュライ空間の向き付け可能性を判定するためのKR指数の計算がある. -
非コンパクト空間上の非線形楕円型作用素によるモジュライ理論の構成
研究課題/研究課題番号:25287009 2013年4月 - 2017年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
加藤 毅, 木田 良才, 木田 良才, 尾國 新一, 深谷 友宏, 塚本 真輝, 松尾 信一郎
担当区分:連携研究者
サイバーグウイッテン理論でのバウアー古田によるモノポール写像を、AHS複体が閉像である場合に、普遍被覆空間上で構成した。そのためには作用素代数を土台にしたHigson-Kasparov-TroutによるHilbert空間上の無限次元Bott周期性を用いた。特に線形化写像が同型を与える場合に、被覆モノポール写像度を同変E群の元として与え、そこから群環に関わるK群の間の準同型を構成した。それがバウアー・古田によるモノポール写像度の普遍被覆版に相当する。その応用として、4次元スピン分類多様体に対して、新しい位相不等式を予想し、一般型極小複素曲面を含む多くのクラスでそれが成立することを示した。
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研究課題/研究課題番号:25800045 2013年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
松尾 信一郎
担当区分:研究代表者
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
報告者は四次元多様体論におけるゲージ理論のドナルドソン理論とザイバーグ=ウィッテン理論を超越的手法により研究している.特に,インスタントンやモノポールのモジュライ空間のコンパクト性の機構の背後に興味がある.本課題の研究成果としては,次が得られた.インスタントンのモジュライ空間が非コンパクトであるときのその非コンパクト性の度合いを定量化するため,L2計量を導入し,その直径のインスタントン数が大きくなる極限での増大度を調べた.その結果として,標準球面のときのモジュライ空間の直径の最適な評価が得られた.
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非コンパクト四次元多様体のドナルドソン理論におけるモジュライ空間の幾何解析的研究
研究課題/研究課題番号:23740044 2011年4月 - 2012年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
松尾 信一郎
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インスタントンのモジュライの計量幾何の観点からの研究
2013年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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スカラー曲率とアインシュタイン計量の幾何解析・大域幾何
研究課題/研究課題番号:24340008 2012年4月 - 2018年3月
芥川 一雄
担当区分:連携研究者
非常に一般的な特異集合を許容する多様体上で,スカラー曲率に関する山辺の問題においてAubinの不等式の一般化を確立し,それがstrictな不等式のとき特異山辺計量の存在定理を得た.
さらに等号が成立するときに,解が存在しないような例を構成した.またエッジコーン・アインシュタイン計量と呼ばれる特異アインシュタイン計量に対して,リッチ曲率をコントロールした滑らかな計量族による近似を示した.応用として,エッジコーン・アインシュタイン計量の存在を利用して,滑らかな多様体の山辺不変量の下からの評価法を与えた. -
非コンパクト四次元多様体のドナルドソン理論におけるモジュライ空間の幾何解析的研究
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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四次元開多様体上のゲージ理論の大域解析学的研究と無限次元の幾何学
2011年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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四次元開多様体上のゲージ理論の大域解析学的研究と無限次元の幾何学
研究課題/研究課題番号:11J00149 2011年 - 2013年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
松尾 信一郎
今年度はブローディ曲線の全体がなす空間の平均次元を研究した.
京都大学の塚本真輝氏との共同研究である.
プローディ曲線とは,複素平面から複素射影空間へのリプシッツ正則写像のことであり,その全てを集めた空間は無限次元になる.この無限次元空間の幾何学を研究した.
正則写像とはコーシー=リーマン方程式の解のことであるが,コーシー=リーマン方程式とゲージ理論における反自己双対方程式には様々なアナロジーが成り立つ.
この研究もそのアナロジーの一環として捉えることができる.
平均次元とは,「無限次元空間の次元」としてグロモフが1999年に導入したコンパクト力学系の位相不変量である.
例えば,N次元閉球の両側無限直積にはコンパクト離散力学系の構造が自然に入るが,その平均次元はちょうどNになる.
コンパクト力学系の位相不変量には位相的エントロピーもあるが,平均次元はその位相的エントロピーの拡張になっている.位相的エントロピーが数え上げの力学系化だとすれば,平均次元は次元の力学系化である.
さて,ブローディ曲線の全体がなす空間には,広義一様収束の位相を入れる.
このとき,函数論における一様族の議論によって,この空間はコンパクトになるとわかる.
また,ブローディ曲線の全体がなす空間には,複素数のなす群が,定義域へのずらしとして,自然に作用する.
従って,ブローディ曲線の全体がなす空間はコンパクト力学系である.
よって,その平均次元を考えることができる.
我々の主定理は,その評価であり,有理型函数の場合には正確な値を求めた.
これはリーマン=ロッホの定理の無限次元版と言うことができる. -
擬正則曲線のモジュライ空間の大域解析学的研究とその四元数化の研究
2007年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者