科研費 - 宮脇 勝
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風力発電施設のゾーニング制度と景観アセスメントの基準に関する国際比較
研究課題/研究課題番号:23K04173 2023年4月 - 2027年3月
基盤(C)
宮脇 勝
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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レジリエンスを考慮した広域景観計画と国土景観観察センターの国際研究
研究課題/研究課題番号:19K04787 2019年4月 - 2023年3月
基盤研究(C)
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
近年の自然災害による広域被害から、複数県に及ぶ防災・復興と環境保全を考慮した広域の土地利用規制手段が急務であり、レジリエンスを考慮した広域景観計画を想定する。本研究は、自然景観と災害の土地の重なりに着目し、広域景観の「保全」「防災」「エネルギー」を組み合わせた土地利用特性を基に、広域GISデータとして「景観アトラス(景観地図集)」を作り、土地利用規制と環境資源活用を国際比較研究する。複数県や国土スケールの景観計画を国際比較し、環境保全と防災に配慮した土地活用によってレジリエンスを考慮し、減災と復興にも役立てられる広域景観計画手法、広域土地利用制度の改善、環境教育方法を提案するものである。
本年度は、本研究の予定通り、国土景観観察センターに相当する名古屋大学にランドスケープ・オブザーベートリー(環境観察室)の設置を行い、東海地方、名古屋大都市圏と木曽三川流域のランドスケープ情報と市街化情報をGISで分析し、その研究結果を立体地形模型の上からプロジェクションマッピングするシステムを開発した。また、ドローンの景観写真、航空写真、衛星写真とともに観察する研究を実施した。さらに、景観と防災の両方に関わる土地利用や災害復興に関わるレジリエンスの研究を行った。
本研究で設置したランドスケープ・オブザーベートリーの施設を用いて、名古屋大都市圏と木曽三川流域に関する研究成果を、2019年12月に「まちと住まいの集い」の講演会において一般に公開した。
研究成果の実績として、著書(共著)にて、「法律・計画・事業を結ぶ景観計画とアーバンデザイン」、『まちを再生する公共デザイン』、学芸出版社(京都)、103-114頁、2019年を発表した。また査読付き論文として、水田の歴史的類型による生態的環境と労働生産性の比較および維持管理シナリオの検討、日本造園学会、ランドスケープ研究83巻5号、2020年を発表した。その他に、名古屋大学「ランドスケープ・オブザーベートリー」設置のための研究 GIS データベースの作成と公開について、日本建築学会大会、527-528、2019年と、GIS による「ランドスケープ・ユニット」と「東海アトラス」の作成に関する研究、日本建築学会大会、529-530、2019年と、名古屋市の都市計画公園の形成類型と震災復興仮設住宅で不足する公園面積の算出、日本建築学会大会、781-782、2019年、国際景観学とアーバンデザイン、第10回適塾路地奥サロン会誌、1-4、2019年を発表した。
名古屋大学にランドスケープ・オブザーベートリー(環境観察室)を設置し、SDGsや東海地方、名古屋大都市圏と木曽三川流域のランドスケープおよび市街化プロセスに関する研究を、立体地形模型にプロジェクションマッピングするシステムを設置することができたため。
調査対象エリアを名古屋大都市圏から東海地方に徐々に拡大していく予定である。また、航空写真や衛星写真に加え、ドローンの映像の利用も検討する。 -
ユネスコ「歴史的都市景観に関する勧告」後の都市経営戦略確立に関する研究
研究課題/研究課題番号:16H02382 2016年4月 - 2020年3月
西村 幸夫
担当区分:研究分担者
第一の研究部門である都市計画の先進諸国において「歴史的都市景観」の問題を都市計画制度の中でどのように居続けているのかに関しては、すでに研究を終えている。
第二の研究部門である日本おける「歴史的都市景観」を都市計画制度に内部化するかに関しては、平成30年6月に文化財保護法が改正され、文化財保存活用地域計画(以下、地域計画)の制度が法定化されたことにともない、その実施に向けた施策を検討するにあたり、運用指針の公表とその実施を待っていたところである。運用指針の思考は平成31年4月より実施され、それに伴って本研究も延期して再開することとなった。
地域計画の策定が多くの自治体で開始され、その策定にあたって未指定文化財の悉皆的調査が盛り込まれることが多く、その一部として「文化的景観」候補地の調査が入ることから、「歴史的都市景観」の視点もひろく地域計画に活かせる可能性が高まったことを明らかにした。
ただし、現時点においては地域計画の策定が文化財担当課の所轄にとどまっているため、都市計画的な手法との橋渡しが欠落している現状も同時に明らかになった。
歴史まちづくり法のもとでの施策と連携しつつ、面的な都市景観の歴史的価値を明らかにする調査を地域計画の下で実施し、重点地域として計画の中に位置づけると同時に、歴史まちづくり計画を策定し、規制誘導施策を予算措置を伴いながら策定することをプロセスとして推奨することによって、「歴史的都市景観」を軸とした新たな都市計画整備施策の実施に向けたロードマップが明らかになると結論付けている。
文化財保護法改正後の自治体の動きが、予想以上に前向きで、各地で文化財保存活用地域計画の策定が進んでいるため、事例収集が容易となったため。
文化財保存活用地域計画の進捗を見極めながら、提言を準備することを配慮したい。 -
欧州の景観情報共有システムと景観観察手法の国際比較と日本での応用研究
研究課題/研究課題番号:16K06640 2016年4月 - 2019年3月
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
環境権の概念の一つとして「環境情報を知る権利」が重要な柱であるが、日本において制度上課題がある。景観への意識を向上し、景観の状況を観察、共有、周知することが急務であり、有効な海外の景観情報共有システムである「景観観察センター(Landscape Observatory)」とその観察手法を明らかにすることを、本研究の目的とする。
さらに、景観観察手法の新しいツールとして、過去と現在の景観写真を用いた観察手法に着目して国際比較を行い、日本での応用を技術的に検討する。そして、国内において、景観の意識を向上し、周知するための景観観察センターの設置を具体的に検討することを目的とする。
欧州の環境情報共有システムの整備が進められている中、特にイタリアにおいて、景観観察センターの整備が各地で見られ、国、州、地方自治体、市民の景観情報の共有と教育活動が活発化していることが本研究で明らかになった。研究成果を国内の学会、専門家や国の関係機関に周知することで、日本での応用を準備することに役立てる社会的意義がある。
また、国内の景観情報の重要性を共有するために、欧州で進む景観観察センターの研究を活かして、名古屋大学にランドスケープ環境観察室を整備することで、東海地方の景観資源から観察共有し、学術的研究を地域で進め、社会に還元していく意義がある。 -
戦略的地域景観まちづくりの理論化と実践手法の開発
研究課題/研究課題番号:15H04062 2015年4月 - 2018年3月
佐々木 葉
担当区分:研究分担者
本研究課題では、建築物等の色彩や緑のコントロールによる景観形成だけではなく、地域の環境、生計、主体(人とコミュニティ)を包括的にとらえ、変化しつつも持続する地域社会・環境を形成する方策として、景観まちづくりを位置づけている。こうした広義の地域景観まちづくりの実践に役立つ、地域景観の価値や資源の抽出手法、具体の空間デザインの進め方について、各地での実践を通して取り組んだ。また「見た目」を超えた景観の意義についても論じた。
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環境権・景観権の確立と景観計画への応用に関する国際比較研究
研究課題/研究課題番号:25420625 2013年4月 - 2016年3月
基盤研究(C)
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
日本でまだ規定がない環境権であるが、東日本大震災の原発事故でふるさとを喪失した人が8万人に及ぶことから、環境権自体を国際研究の対象とした。そこで、改めて人権として環境権が認識されている海外の調査を行った。
そこでわかったことは、環境権とは、1)環境情報を知る権利、2)環境に関わる計画決定に参加する権利、3)裁判を求める権利の3つから成ることであり、日本で参照すべきである。
日本においては、2011 年の原発事故で広がった環境汚染により、ふるさとの風景が日常生活から奪われたため、全国で訴訟が始まったが、ふるさとの概念の中に景観が含まれていることや補償に関わる諸課題が本研究で明らかとなった。 -
歴史的都市景観に関するユネスコ勧告をめぐる国内法整備に関する研究
研究課題/研究課題番号:24246099 2012年4月 - 2016年3月
基盤研究(A)
西村 幸夫
担当区分:研究分担者
2011年ユネスコ勧告によると「歴史的都市景観」は計画対象ではなく、計画手法であり、合意形成や価値づけの手続きと並行した手続きである。また、「歴史的都市景観」を認識するプロセスを都市計画立案のプロセスの中にあらかじめ組み込むことにより、「歴史的都市景観」を計画の中に位置づけることができる。
具体的な方法としては、歴史文化基本構想の中に「歴史的都市景観」を明確に位置付けること、歴史的風致維持向上計画のなかで重点区域として位置づける際に、「歴史的都市景観」の視点からも評価を加えることが必要である。 -
戦略的環境アセスメントSEAと景観アセスメントと景観計画の統合的手法の国際比較
研究課題/研究課題番号:22560600 2010年 - 2012年
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
(1)欧州では戦略的環境アセスメントSEAが指令によって義務化されているために、多くの国で既に導入していることがわかった。(2)SEAにおける景観アセスメントの役割が大きく、欧州40ヵ国が調印した欧州ランドスケープ条約でも、景観アセスメントの役割を明確にし、各国で取り組みが見られた。(3)日本における景観計画の取り組みは進んでいるが、景観アセスメントが十分なされておらず、諸問題が明らかにされた。
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研究課題/研究課題番号:21246092 2009年 - 2011年
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
西村 幸夫, 桑田 仁, 鈴木 伸治, 鳥海 基樹, 遠藤 新, 崗村 祐, 宮脇 勝, 野原 卓, 中島 直人, 窪田 亜矢
担当区分:研究分担者
景観法が定める景観計画と歴史まちづくり法がいう歴史的風致維持向上計画および文化庁が推進する歴史文化基本構想の統合に向けて以下のことが有効である。(1)対象地域が保有する景観資源および歴史文化資源の掘り起こしとそれらの計画への位置づけの段階で、市民参加の下に作業を統合的に実施すること、(2)事業の事前協議プロセスへの外部専門家の参画をはかること、(3)高度地区や容積率などの都市計画法そのものを改正し、景観や歴史・文化の保全を都市計画の目的のなかに加えることが統合の目標となるべきである。
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景観法下の景観計画立案時の計画論的研究
研究課題/研究課題番号:18360284 2006年 - 2008年
西村 幸夫
担当区分:連携研究者
景観計画の立案にあたって具体的な景観構成要素の抽出の場面、それらをひとつの計画として構成していく場面にわけて方法論を整理した。前者においては、対象地区成立の歴史的経緯や地形的特色、文化的背景等を網羅的に採り上げ、その計画論的評価を行う手法を提起した。後者においては、既往の都市計画との関係を整理する計画手法、文化的景観等の文化財指定との関係を整理する計画手法、景観計画区域と計画地区の選択のあり方、眺望景観の導入に関して、計画論的整理を行い、今後の望ましい景観計画立案のプロセスを提案した。
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火山噴火罹災地の歴史的庭園復元・自然環境変遷とランドスケープの保全活用
研究課題/研究課題番号:16089205 2004年 - 2010年
武内 和彦
担当区分:研究分担者
本研究では、イタリアのヴェスヴィオ山、フィリッピンのピナツボ、日本の三宅島を対象として自然環境の変化のプロセスを中心として研究を行った。
第一は、今回の研究において、噴火によって埋没した当時の植物遺存体からローマ時代の建築物に使われていた木材の種類や食用植物の解明を進展することができた。当時の建築用の資材としてクリが多用されていたことが判b明した。当時の南ヨーロッパでは、クリを建築の用材として活用することは、一般的でなく、この地域の特異な現象である。おそらく、ヴェスヴィオ周辺ではクリの生育が気候的に合致したため、そのクリを食用にするとともに、大きく成長させて木材として活用するという、文化的な基盤が形成されていたと考えられる。
第二は、地形学や水文学的に遺跡の立地と環境の変遷を明らかにすることである。遺構「Area12」で複数個体の大甕が検出された。この甕では、商品的な価値を持つぶどう酒の製造が行われていたものと想定される。実際に遺跡からはブドウの種が多数検出されている。なお、ぶどう酒を製造のためには、相当量の水が必要になる。この点で、本研究では周辺地域の地形構造を解析した。その結果、発掘地であるソンマ・ヴェスヴィアーナの上流域に当たるソンマ山の大きな2つの谷が、他の流域と比べて水源涵養能力が極めて高いということが明らかになった。
第三は、ランドスケープの保全活用である。イタリアは、以前から文化的な遺産を重視したランドスケープの整備を行うという考え方が定着している。本研究で最も重要と考えられたのは、いかに遺跡周辺で伝統的な農村ランドスケープを維持していくかということである。この観点からすると、クリの栽培をこの地域で再評価すること、ブドウ畑を今後とも保全していくことが、一体的なランドスケープの保全活用のために重要であると考えられた。これまでの農業に特化した農村環境整備から、伝統的景観の保全によるグリーンツーリズムの振興を含めたトータルな農村環境整備へと発展させていくことが望ましいと考えられる。
そのほか、ピナツボ火山では噴火後の自然環境の復元にはおよそ50年かかること明らかとなり、三宅島では小規模な火山噴火が連続して起きても植生等にはあまり影響を及ぼさないことが明らかになった。 -
公共空間の利活用による都市景観形成と都市活性化に関する研究
研究課題/研究課題番号:15560525 2003年 - 2005年
北原 理雄
担当区分:研究分担者
魅力的な都市には人々の生き生きとした活動がある。物的空間だけで魅力ある都市景観を形成することは困難であり、活気あるアクティビティが存在して初めて都市は輝きを増し、都市活性化にも資する成果を生むことができる。街路、広場などの公共空間は、都市におけるアクティビティの主要舞台である。従って、都市景観形成に当たっては、公共空間の物的改善に加えて、その利活用を適切にコントロールする手法の確立が必要不可欠である。
上記のような課題意識に立ち、本研究は次の2点を目的として進められた。
・この領域で一日の長を有する欧米諸都市において公共空間の利活用に関してどのような制度が用意されているか、またどのような体制のもとで公共空間の利活用がどのように規制・誘導されているか調査し、コントロールの制度とその運用実態を明らかにする。
・わが国における実験的取り組みに基づき、現行制度のもとにおける成果と課題を明らかにし、今後の方向性を見いだす。
その結果、次のような成果が得られた。
(1)既調査6都市(パリ、コペンハーゲン、ミラノ、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル)の資料を再整理するとともに、新たにロンドン、ヘルシンキ、ストックホルム、ニューヨーク、クリチバの調査を行い、公共空間の利活用を図る制度とその運用実態を明らかにした。
(2)広島、横浜、名古屋など、国内の先駆的都市について追加調査を行うとともに、韓国(ソウル、清州)の調査を行い、アジアにおける公共空間利活用の視点で、現状と課題を検討した。
(3)千葉市におけるオープンカフェとパラソルギャラリーの実験を継続し、公共空間の利活用が生み出す賑わいの実態と都市活性化に対する効果を分析した。 -
イタリアとフランスにおける都市再生法および都市再生プログラムに関する研究
研究課題/研究課題番号:15760449 2003年 - 2005年
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
本研究は、都市再生に関わる各国の近年の活発な動きを受けて、特に、イタリアおよびフランスにおける都市再生や景観に関わる新法の成立背景について、文献および現地調査によって明らかにする。さらに、法定の都市計画を行う上で、海外の都市計画決定手続きの特徴や計画・事業の運用の特徴を明らかにするものである。
本年度は、イタリアの都市再生および景観に関係する都市計画の系譜を文献で調査し、また具体的な事例を現地調査をトリノ市とミラノ市で行うとともに、イタリアを代表する都市計画家のベルナルド・セッキ教授と研究打ち合わせを行った。
トリノ市では、特にオリンピック関連の施設も都市再生で整備されたばかりで、最新事情の現地写真と資料の収集を行った。ミラノ市もまた、都市再生の事業が多く準備されているところであり、その資料を収集追加した。また、セッキ教授には、これまでの研究過程で生じた疑問点について、まとめて教えて頂いた。
一方、論文作成の成果として、日本都市計画学会において、本研究に関連するイタリアの論文とフランスの論文を発表した。また、著書としても、本研究に関連して、イタリアの都市美に関する研究成果を発表した。
本研究を進めた結果、イタリアやフランスにおける都市再生事業の効果として、衰退した地域の再開発を通じて、都市の景観に与える影響と、国全体に与える社会経済効果が明らかになり、その都市計画や制度において、我が国にも示唆を与えてくれていることがわかった。 -
歴史的都市・村落の環境保全に関する調査研究
研究課題/研究課題番号:14800001 2002年 - 2004年
中村 賢二郎
担当区分:研究分担者
平成16年度は7月と10月に研究会を開催し、14年度と15年度に行った国外調査と国内調査の結果について意見交換を行った。
7月の研究会では報告書の作成の方針について検討した。報告書の内容を 1.問題の所在と課題 2.現地調査報告 3.まとめと提言 に大別すること、その各々の小項目及びその執筆担当者と秋の研究会で研究分担者によるフリートーキングの座談の会を開き、その内容も報告書に収録することを決定した。国内の重要伝統的建造物群保存地区の図面を凡例を記載して報告書の添付資料とすることも決定した。
10月の研究会では国外調査と国内調査の結果を踏まえてフリートーキングで意見交換を行い、この記録を座談会記事として報告書に収録した。研究テーマに関する問題の所在が多くの行政の制度と関連し、かつ今後取り組むべき課題も多岐にわたることが2年余の調査研究で明らかになってきたために問題の所在を洗い出し、課題を多角的に分析するために座談会形式のフリートーキングが有益であると考えられたためである。
各研究分担者等によって作成された原稿は研究分担者の立命館大学歴史都市防災研究センター 益田兼房教授と立命館大学歴史都市防災研究センター 板谷直子ポスドク研究員がとりまとめ、研究代表者の中村が全体を見て部分的に必要な修正を執筆者と協議し、実施した。
重要伝統的建造物群保存地区の図面については、保存地区の所在する市町村に文化庁文化財部建造物課から改めて提出を依頼し、江面主任文化財調査官と益田教授が数回にわたってこれを点検し、市町村にフィードバックしたうえで最終的な図面を確定した。図面の作成、修正等に関しては東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻 保存修復建造物研究室所属の大学院学生の方々の協力を得て行った。 -
研究課題/研究課題番号:12450241 2000年 - 2002年
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
北沢 猛, 西村 幸夫, 中井 検裕, 山崎 正史, 三島 伸雄, 岡崎 篤行, 西村 幸夫, 宮脇 勝, 北沢 猛
担当区分:研究分担者
「景観基本法の提言」に関して、研究を集約して以下の11の提言にまとめた。
1.風景基本法(仮称)を制定し、国と地方公共団体の責務を明らかにする
2.法定の風景基本計画づくりを風景基本法の中で規定する
3.電線の地中化や屋外広告物規制など、新しい風景づくりへと法の対象を拡大する
4.「風景の保全と創造」を建築基準法や都市計画法など、既存の建設関連法規の目的の中へ加える
5.建設関連法規の記述において、規制はナショナル・ミニマムであることを明記し、そのような運用に移行する
6.特別用途地区などの新たに改正されてきた既存制度を積極的に活用する
7.風景向上施策を戦略的に進めるための重点地区を指定する
8.各地で制定されてきている景観条例に対して、風景基本法において根拠を与える
9.デザイン審査制度を導入する
10.デザイン・ガイドラインを作成する
11.都市景観規制およびデザイン規制に関する専門職能を確立する
なお、この提言を含む研究成果の全体について、『日本の風景計画』と題して、学芸出版社より平成15年6月頃に出版予定である。
以上の具体的提案をまとめると、第一に風景基本法制定の提言、第二に既存制度を改善することによる統合的風景行政の推進、第三に風景の質の向上のための具体的な諸施策の提言、の3つに大別できる。特に風景基本法の制定に関しては、先進諸国の風景法制を概観し、わが国の風土にあった法制度の提言を行う工夫をしている。この主張は国の施策にも取り入れられる可能性が高く、今後さらに詳細な法制度上の検討を重ねる必要がある。同時に、風景関連の規制の具体的なあり方について、実務面にまで踏み込んだ施策の提言を今後行っていく必要がある。 -
中心市街地のためのタウンマネージメント・市民参加・デザインマネージメントの研究
研究課題/研究課題番号:12750542 2000年 - 2001年
奨励研究(A)
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
平成13年度は、平成12年度の活動を継続し、下記のようないくつかの企画を試験的に行った。
1)平成13年度10月6日〜8日千葉市において、中心市街地活性化のため、景観市民フォーラムを開催し、その運営支援を行った。景観ウォッチング、パラソルギャラリー等、賑わいのある都心景観づくりのための社会実験を行った。
2)平成13年10月〜11月において、木更津市の中心市街地衰退の原因究明調査、市民アンケート、広域市民ヒヤリング調査を実施した。
3)平成13年11月24日木更津市において、行政、市民向けに調査結果の発表会を実施した。
こうした活動を経て、木更津市広域交流委員会、木更津市広域交流市民の会の調査活動の具体的活動の企画立案につなげるかたちで、調査結果を地域での活用に役立てた。
一方、海外の中心市街地調査として、イタリア北部地方中心都市トレント市の歴史的中心市街地の町並み整備条例の調査、ヴェネツィア市歴史的中心市街地および周辺自然環境の複合的保全のための施策調査、ベルギーのブリュッセル市中心市街地における建築物の再利用調査、フランスのパリ市における都心マンションの改修事例調査、イギリスのロンドン市テームズ川沿いの再開発調査を行った。調査方法は、現地調査の他に、市が発行する資料、市へのヒヤリング、再開発を担当した建築家へのヒヤリングをできるだけ加えている。
こうした調査結果は、各種の報告書、雑誌、本等において準備発表するために、まとめの作業を行っているところである。 -
眺望景観の保護に関する計画論的研究
研究課題/研究課題番号:09450224 1997年 - 1998年
西村 幸夫
担当区分:研究分担者
イギリス・フランス・ドイツ・オーストリア・イタリア・アメリカ・カナダの欧米7カ国の景観に関する計画諸制度をわが国で初めて綿密に比較検討した。さらに主要都市として、ロンドン・パリ・ウィーン・シュツットガルト・ローマ・ボストン・サンフランシスコ・バンクーバー・モントリオールという主要9都市の都市計画施策とその運用実態を明らかにした。
調査の中で明らかになった点として、景観問題が特別な立法による規制以前に、都市計画システムの中で考慮される仕組みが形成されていること、歴史的環境の保全問題が主要な課題として取り組まれていること、詳細な地区データが蓄積されており、これをもとにきめの細かいデザインコントロールが実現していること、モニュメントや周辺の山並みなどに対する眺望が主要な規制対象として挙げられて来つつあること、総じて都市の周辺部や農地を含んだ風景計画が計画対象としてここ10年の間に確立しつつあるということなどが具体的な制度とともに明らかにされた。
さらに市民参加の手続きの具体的な方法や、行政の裁量の具体的なあり方をヒアリングによって明らかにした。裁量のもとには詳細な規制があること、眺望保存の試みは各国とも実験段階であることなどが明らかになった。 -
都市マスタープランの方法論的研究-イタリアの事例分析-
研究課題/研究課題番号:08750716 1996年
奨励研究(A)
宮脇 勝
担当区分:研究代表者
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
わが国における都市マスタープランの策定方法およびその内容について議論が高まっている中、欧米の先行事例の研究も求められており、イタリアの事例について研究を行なった。特に、都市マスタープランの拠り所となっている都市計画法の内容に加え、マスタープランの普及プロセス、マスタープラン中で重要な内容となっている風景計画や新業務地区の計画について明らかにした。
具体的には、古いマスタープランの事例として、ローマ市、ナポリ市、ボロ-ニャ市を扱い、近年の事例として、ローマ市、トリノ市の場合を明らかにした。また、風景計画の内容として、アッシジ市、サン・ジミニャ-ノ市、ベルガモ市、オルヴィエト市の内容を明らかにした。以上の成果のうち、都市計画法の内容、マスタープランの位置づけ、風景計画の内容について、学会論文(日本都市計画学会)、雑誌論文(造景第7号)に発表した。この他、都市環境デザイン会議北海道ブロックなどで講演会を行なった。
結論として、イタリア各地にある個性的な都市政策のあらましを理解することができた。 -
小都市の住環境リ・デザイン・システムに関する計画的研究-ウィンターシティの居住街区の再生と再編-
研究課題/研究課題番号:07650699 1995年 - 1996年
小林 英嗣
担当区分:研究分担者
平成7年度及び平成8年度にかけて小都市の住環境リデザイン・システムに関して研究を進め、成果を次のように、まとめる。
1.地方都市圏のリデザインを目的とした整備目標と将来像についての視点から、(1)中心市街地、(2)地方都市圏の既成市街地、(3)地方都市圏の中間市街地、(4)地方都市圏の住宅市街地の4つの地区別の整備目標とリデザインの計画論を考察した。
2.地域生活拠点の計画的再編とネットワーク形成の視点から、(1)こども生活行動と生活拠点、(2)高齢者の生活行動と生活拠点、(3)小都市のネットワーク化の3つの対象別の生活拠点の計画的再編論を考察した。
3.サスティナブルな住環境を目標とした視点から、(1)住環境計画の目標像、(2)地区住環境再編の計画情報のフレームワークの2つの側面について考察した。
4.街区と建築群の秩序からみたリデザインの空間構成原理の視点から、(1)都市空間における建築集合、(2)都市パターンと建築群の2つの側面について考察した。
5.地方都市圏のリデザインプログラムの展開プロセスに注目し、(1)地域別プロセスプラニング、(2)市民参加型のプラニングについて考察した。
この5つの視点に基づきながら、地方都市圏のリデザインのために、現在までどのような傾向にあり、どのような主体に対し、どのようなプログラムが必要であるかについて、論考し成果を得た。 -
歴史まちづくり法と景観法の計画論的統合に関する研究
2011年4月 - 2013年4月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究分担者