科研費 - 竹本 さやか
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神経細胞移動を制御するカルシウム依存的分子細胞機構の解明
2016年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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分界条床核特定神経回路を介した不安生起機構
2015年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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神経回路形成を制御する新規カルシウム依存的リン酸化シグナリング機構の解明
2011年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
担当区分:研究代表者
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脂質修飾型CaMキナーゼによる神経機能制御
2008年 - 2009年
科学研究費補助金 若手研究(B)
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アクチン動態を制御するCaMKK-CaMKIカスケードの神経機能解明
2008年 - 2009年
科学研究費補助金 若手研究(B)
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蛋白質脂質修飾による膜挿入型CaMキナーゼCLICK-IIIの機能制御
2006年 - 2007年
科学研究費補助金 若手研究(B)
脳機能を担う神経回路の形成は、もともと球状である神経細胞が、細胞の骨組みである細胞骨格を利用して形を変化させ、樹状突起軸索と呼ばれる突起を発達させることで完成する。
本研究課題では、CaMキナーゼCLICK-IIIの神経回路形成における機能を神経細胞培養のモデル系を用いて探索し、さらに本酵素の受ける蛋白質脂質修飾によって酵素機能がどのように修飾を受けるのか解明することを目的とした。
まず、ラット大脳皮質神経細胞の樹状突起形成・伸展を培養下で観察する方法を確立した。本培養神経細胞において、RNAi法やノックアウトマウスを用いてCLICK-IIIの発現量を減少させると樹状突起形成が阻害され、逆に発現ベクターを用いて同発現を増加させると樹状突起形成が促進された。更に、本作用は神経栄養因子であるBDNFの効果発現においても寄与していることを明らかとした。分子レベルでは、CLICK-IIIが脂質と共有結合しラフト膜上に存在する結果、アクチン制御蛋白質Racを活性化することが、樹状突起形成作用の引き金となることを突き止め、樹状突起形成における蛋白質脂質修飾の重要性を分子レベルではじめて立証した。これらの成果は新たな樹状突起形成制御機構として注目され、Neuron誌にて掲載された。 -
新規膜挿入型CaMキナーゼCLICK-III/CaMKIγの神経機能解析
2004年 - 2005年
科学研究費補助金 若手研究(B)
本研究は、CaMKIファミリーに属する神経細胞特異的なCaMキナーゼ、CLICK-III/CaMKIγの、神経機能解明ならびにその分子機構の理解を目的とする。
研究代表者は、前年度に本酵素がプレニル化ならびにパルミトイル化という複数の脂質修飾を受け膜アンカーされることを見出していたため、平成17年度は引き続き脂質修飾の制御ならびに生物学的意義についての研究を進めた。
まず、2種類の脂質修飾であるプレニル化とパルミトイル化が互いに影響するか、各脂質修飾欠失変異体を用いて検討した。その結果、パルミトイル化を受けるためにはプレニル化を必要とする一方、パルミトイル化の有無によりプレニル化は影響されないことが分かり、細胞内において本酵素は、プレニル化、パルミトイル化を順序立って受けていることが示唆された。また、近年同定されたパルミトイル化酵素のうち、CLICK-IIIを基質とする候補分子を同定した。
次に、CLICK-IIIの細胞生物学的機能について神経突起伸展のモデル細胞であるPC-12細胞を用いて検討した。CLICK-IIIを発現しないPC-12細胞にCLICK-IIIを発現させると、脱分極刺激によって誘導される突起伸展を促進することが分かった。更にこの作用は、脂質修飾欠失変異体においては減弱しており、脂質修飾が機能発現において重要な役割を果たすことが示唆された。
以上の研究成果は... -
研究課題/研究課題番号:23K17639 2023年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
木村さやか
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
私達が健やかな生命活動を営む上で必要不可欠な「食」は、空腹・満腹といった生理状態に加えて、味覚や環境による“快・不快”の情動(感情)によっても変化する。また社会的問題となっている、拒食や過食といった摂食障害は、ストレスに伴う情動変容との関連が深いと考えられいる。本研究では、短期的あるいは慢性的な情動変化により大きく影響を受ける摂食行動の制御において重要な役割を果たすとされる扁桃体に焦点を当て、味覚や環境による短期的な情動、ストレスに伴う慢性的な情動変容が摂食行動を制御する分子・神経機構を解明する。
私達が健やかな生命活動を営む上で必要不可欠な「食」は、空腹・満腹といった生理状態加えて、味覚や環境による“快・不快”の情動(感情)によっても変化する。また社会的問題となっている、拒食や過食といった摂食障害は、ストレスに伴う情動変容との関連が深いと考えられいる。本研究では、短期的あるいは慢性的な情動変化により大きく影響を受ける摂食行動の制御において重要な役割を果たすとされる扁桃体に焦点を当て、味覚や環境による短期的な情動、ストレスに伴う慢性的な情動変容が摂食行動を制御する分子・神経機構を解明する。
今年度は、情動が摂食を制御する神経機構を扁桃体の神経活動計測・操作から探るため、摂食中の自由行動中マウス脳内で細胞内カルシウムイメージングに基づき計測を行った。また、神経活動操作による摂食量変化を計測する験系を構築した。一方、慢性的な情動変容に伴う摂食行動変化の分子・神経機構を明らかとするために、慢性ストレスモデルにおける遺伝子発現プロファイルの変化を扁桃体において明らかとするため取得したRNAseqのデータ解析を推進した。
本研究は2つの項目について研究を進めており、いずれも順調に進展している。
研究項目①:情動が摂食を制御する神経機構を扁桃体の神経活動計測・操作
すでに摂食行動を計測する方法を確立し、回路操作実験を行っており、計画どおり実験が進んでいる。
研究項目②:慢性的な情動変容に伴う摂食行動変化の分子・神経機構
慢性ストレス下モデルを対象にRNAseqを実施し、データ解析を進め、慢性ストレスモデルにおける遺伝子発現変化の解析を完了し、変化を見出している。
上記2項目について、以下の通り研究を推進する計画である。
研究項目①:情動が摂食を制御する神経機構を扁桃体の神経活動計測・操作
確立した摂食行動を測定するための行動解析手法を用い、注目する細胞群の神経活動操作を行った際の行動変化を見出す。他の情動行動についても検討し、両者の相関の有無を明らかとする。
研究項目②:慢性的な情動変容に伴う摂食行動変化の分子・神経機構
摂食低下を含む抑うつ状態を示すマウス慢性ストレスモデルにおいて明らかとなった遺伝子変動について、さらにデータ解析を行い、結果の報告を行う。 -
カルシウムシグナリングの神経回路形成における生理機能と脳病態への寄与
研究課題/研究課題番号:23K27486 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木村さやか
担当区分:研究代表者
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
本研究では、神経カルシウムシグナリングの胎生期神経回路形成における生理機能を解明し、胎生期およびその後の脳病態への寄与を解明する。そのために胎生期を含む生涯において、神経カルシウムシグナリング活性化を担う主要な分子であるカルシウムチャネルに着目し、機能獲得型カルシウムチャネルを、時期選択的に脳内で挿入・欠失可能なマウス系統を開発し、神経カルシウムシグナリング破綻の個体病態モデルと位置付け研究を進める。このマウスモデル系統を用いることで、時期選択的な点変異の表現型への影響を初めて検証することが可能となり、特に神経回路形成が盛んな胎生期と出生後を区別して病態への寄与を検証する。
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研究課題/研究課題番号:21H05089 2021年8月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)
安楽 泰孝, 川井 隆之, 竹本 さやか, 中木戸 誠, 川井 隆之, 木村さやか, 中木戸 誠
担当区分:研究分担者
脳分子探査領域の創成に貢献するために、総括班が果たす主な役割は、「連携研究の推進」及び「研究成果の社会発信」である。「連携研究の推進」は、本領域で策定した「脳分子を非侵襲に回収・検出し、脳機能・疾患を理解」というミッション推進に必須である。専門性の異なる3つの計画研究班(A01脳探査ナノマシン設計、A02分子脳病態、A03極限検出)に配された班員間のダイナミックな連携により推進されることで、分野を超えた研究基盤を構築する。その際、個々の連携が研究基盤の構築につながっていることを総括班は常にチェックする。また勉強会を開催し、脳分子探査に関連した知識の班員間での共有を促すと共に、得られた研究成果をもとに新たな連携を積極的にコーディネートする。また「研究成果の社会発信」は、本研究開始と同時にWebサイトを立ち上げ、本領域の狙いや意義について紹介する。2022年度以降には、顕著な研究成果の学術論文への掲載、それに伴う大学広報を通じたプレスリリースはもちろん、各学会とのシンポジウム共催を通じて、研究成果を国内外に広く発信する。さらに日本科学未来館におけるイベント等を活用して、本研究領域に関する中学生・高校生向けの講習会を開催する。
その中で当該年度は、計画班員間で連携の積極的推進という意識共有を徹底することに注力した。領域全体で取り組む3つの研究項目について、その進捗状況と今後の進め方の詳細を議論する「キックオフミーティング」に加え、日常的なオンラインでの交流を積極的に行い、絶えず互いの研究状況について共有しつつ内容を調整することによって、効率を最大限に高めた体制での研究推進を行った。個人の専門領域をつくり籠もりながら他分野を伺うというのではなく、異分野に積極的に踏み込み様々な学問分野を融合し、新たな脳内分子情報科学研究を提案できるような環境を調整した。 -
研究課題/研究課題番号:21H05091 2021年8月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)
木村さやか, 宮田 茂雄
担当区分:研究代表者
配分額:40690000円 ( 直接経費:31300000円 、 間接経費:9390000円 )
脳によって生起する情動(不安、恐怖、快楽など)は、生物が生存するうえで必要不可欠な生理機能である。現代社会における様々なストレスが一因となり、過度な情動の亢進や消失といった情動障害が生じ、うつ病や適応障害、不安障害をはじめとする精神疾患との病態に関与するとされる。本研究では、特に細胞外分子の変化を捉えるために、脳深部イメージング法やマイクロダイアリシス法などの分子脳生物学的手法を組み合わせ、ストレスに伴う情動障害の病態解明を目指し、モデルマウスを対象とした研究を推進する。
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研究課題/研究課題番号:20H03339 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木村さやか
担当区分:研究代表者
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
シナプス可塑性といった可塑的変化を制御する代表的経路であるCa2+依存的経路が、幼弱神経細胞においてどのような役割を果たすのか解明するため、申請者がこれまでに研究を進めてきたCa2+依存的リン酸化経路に着目した研究を行う。特にin vivoにおける機能を解明するため、独自に開発した遺伝子改変マウス、スライスイメージング法などを駆使し、多面的な検討を推進することで、カルシウム依存的神経回路形成に寄与する分子基盤を明らかとし、脳機能制御における重要性を解明する。
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研究課題/研究課題番号:16H04670 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木村さやか
担当区分:研究代表者
配分額:16770000円 ( 直接経費:12900000円 、 間接経費:3870000円 )
脳室周囲にて誕生・運命決定された神経細胞は適切な脳局所へと移動し神経回路を形成する。細胞移動の異常が精神神経疾患の素地となることが提唱され、分子機構の解明が待望されている。本研究では、大脳皮質神経細胞の形づくりの一端(軸索・樹状突起発達)を担う、Ca2+依存性蛋白質リン酸化酵素に焦点を当てた研究を推進した。また、活性化に必要なCa2+流入にかかわるチャネル候補を見出し、細胞移動制御への寄与を検討した。その結果、これまでの独自知見を発展させ、いつどのようにして、シナプス形成前の神経回路形成が、Ca2+依存的経路によって制御されるのか、その一端を明らかとした。
神経回路形成の異常が、精神疾患の素地となり得ることが報告され、神経回路形成そのものがどのようにして制御されているのか、その分子メカニズムの解明が待望される。本研究では、初期の神経回路形成過程である、神経細胞移動に着目して、あらたな分子機構の解明を進めた。特に、代表者が専門とする、カルシウム依存的な神経細胞移動制御機構について研究を進め、これまでの研究成果を発展させる新たな知見を見出した。