科研費 - 千島 亮
-
聴覚刺激音の選択的注意による脳波応用生活支援システム構築に向けた研究
研究課題/研究課題番号:20H04563 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
千島 亮
担当区分:研究代表者
配分額:8710000円 ( 直接経費:6700000円 、 間接経費:2010000円 )
現在,リハビリテーション実践において極めて生活支援が困難な重度神経難病者(児)を対象とし,簡易に脳波導出可能な聴覚刺激音の選択的注意によるP300型BCI(Brain-Computer Interface)の構築を目標としている.臨床現場や対象者の生活環境下での,利便性や負担軽減に重点を置いた基礎的研究を立案し,健常被験者の協力を得て聴覚刺激によるP300型BCI構築を更に推進する.病態進行に即応した個別的な支援,活用に伴う利用者負担の軽減,家族・介助者による機器調整の簡便さを担保した支援技術構築の課題を検証し,聴覚刺激による新たなP300型BCIの実用性を検証する考えである.
健常成人学生10名(平均年 齢22.4歳±1.10)について楽音による課題実施時のEEGを測定した.何れの課題においても同定できる目的成分導出が可能であった.「高さ弁別課題」では標的刺激後と非標的刺激後の最大陽性振幅値に有意差を認めたが,一部で非標的刺激後の振幅値で標的刺激後の振幅値を上回る傾向を示すことがあった.同分類の楽器でも奏法の違い等により解析結果は異なった.特にピアノ音は立ち上がり時間が極めて短く倍音が豊富に含まれることから,短時間提示(120 ms)でも「ピアノらしい音色」が提示可能であると判断して基音のみの純音と組み合わせた選択的注意課題も合わせて検討した.課題は音圧55 dBSPL程度に統一し,ピアノ音A4(440 Hz)とA5(880 Hz)を用いた「高さ弁別課題」,A4の純音とピアノ音を用いた「音色弁別課題」,ピアノ音A4と純音のA5を用いた「混合課題」の3課題とした.標的刺激と非標的刺激を入れ替え,各課題2条件で実施した.課題終了後,快不快の程度,好みの程度,難易度について5段階で主観的印象を聴き取った. ピアノ音は立ち上がり時間が極めて短く,倍音が豊富に含まれていた.短時間(120 ms)でも「ピアノらしい音色」が呈示可能であると判断し,純音と組み合わせた選択的注意課題としても検討した.何れの実験課題でもP300成分の同定が可能であり,「高さ弁別課題」では最大陽性何れの課題でもP300成分の同定が可能であっった.「高さ弁別課題」では最大陽性振幅値に有意差を認めた.楽音の音の高さごとの課題におけるP300の最大振幅値に有意差は認めなかった.また,最大陽性振幅値と主観的印象に相関は認めなかった.ピアノ音は不快感なく好まれる傾向にあり,刺激にピアノ音を用いることは,操作のモチベーション向上や,長時間使用時の負担軽減につながる可能性があると示唆される.
健常成人学生10名(平均年 齢22.4歳±1.10)について楽音による課題実施時のEEGを測定した.本年度においても研究被験者のリクルートに関して,学内での健常成人学生の公募と協力者の確保が難しい傾向にあった.解析結果の信頼性からも,より多くの被験者の確保が課題となる.
学内での健常成人学生の公募と協力者の確保が難しい傾向にあったことから,本年度最終年となるが,引き続き.解析結果の信頼性を向上させた被検者データの収集に努める.導出P300成分の解析をさらに進める. -
聴覚刺激の弁別選択によるP300型脳波応用支援システムの構築
研究課題/研究課題番号:26350657 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
千島 亮
担当区分:研究代表者
気導音と骨伝導音の聴覚刺激特性を活かした独自の P300型BCIシステムを構築し,フィードバック実験に発 展させることを目的に提案した.また計画期間は3年間 とし,本年初年度と次年度H27年度は聴覚刺激による P300型BCIを試作・構築し,安定したP300成分導出に最 適な骨伝導音の頭蓋伝達特性の検討と片側・両側での 伝導素子接地による刺激部位との関係ついて検討を進 めている.気導刺激については,空間での仮想音源を 独自にプログラムした頭部伝達関数(HRTF)を用いて 方位情報を定位させ調音し,P300成分の安定導出条件 について検討する予定である.いずれも協力の得られ た健常被験者により基礎的実験を試行し,P300成分の 特徴抽出アルゴリズム構築について検討している.本 研究に着手する前年度までのデータ収集とその解析か ら,最終年度のH28年は独自に構築した特徴抽出アルゴ リズムでオンライン上でのフィードバック実験に発展 させる考えで積極的に推進している.
-
骨伝導聴覚刺激によるP300応用意思伝達支援システムの実用開発
研究課題/研究課題番号:22500502 2010年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
千島 亮
担当区分:研究代表者
:極めて重症な神経筋疾患者(児)・高位頸髄損傷者 の意思伝達支援を目的とし,新らたな導出手法による 脳波応用意思伝達支援システムの開発に主眼を置いて いる.これまでの脳波応用インタフェース研究では用 いられていない骨伝導聴覚刺激による事象関連電位 P300成分を応用する.独自の刺激呈示手法で導出した 目的P300をコマンド変換し,生活支援デバイスの制御を可能とするシステムである点を特長としている.呈 示刺激の選択聴取にあたる利用者負担を軽減できる骨 伝導聴覚を用いた独自の脳波誘発手法による支援シス テムであり,活用の利便性を確保した新規性のある意 思伝達支援システムである.骨伝導聴覚刺激による独 自の導出方法により,生活支援デバイスを制御可能と するP300応用BCIの実用化を最終目標としている.研究 計画期間は3年間とし,初年度H22年度は,P300誘発に 最適な骨伝導音の伝達特性についての基礎的研究を更 に進め,健常者を対象としてデータ収集して導出手法 の検討を実施する.次年度H23年度は,骨伝導聴覚刺激 システムを構築し,呈示する刺激音の音圧レベル,周 波数,刺激持続時間などの刺激パラメータを変化させ 刺激音呈示の最適条件を更に被験者を増やして明らか にする.また,目的P300信号の特徴抽出のための独自 のアルゴリズムを既存開発ソフトウエアと開発プログ ラムとを融合させて構築し,オフライン上でのP300信 号処理と特徴抽出アルゴリズムの構築を完了させる. 最終年度のH24年度では,構築してきた独自の骨伝導聴 覚刺激によるP300応用BCIシステムにコマンド変換プ ログラムを加え,健常者を対象としてオンライン上で のデバイス制御の実験を計画実施し,骨伝導聴覚刺激 によるP300応用BCIシステムの実用性を検証した.ま た,より複数の制御コマンドを確保するための刺激条 件の検討においても,これまでのP300成分導出では応 用されていない音像定位させた弁別音によっても,骨 伝導刺激と気導刺激の双方の条件で安定した目的P300 成分の導出が可能であった.音刺激条件のパラメータ の一つとして,方位情報を持たせた聴覚刺激音(音像 定位刺激音)による構築の可能性も示唆された.
-
骨伝導聴覚刺激による脳波応用意思伝達システムの基礎的研究
研究課題/研究課題番号:19500474 2007年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
千島 亮
担当区分:研究代表者
-
聴覚文字提示入力方式によるコミュニケーション支 援システムの開発
研究課題/研究課題番号:16500340 2004年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
千島 亮
担当区分:研究代表者
:コミュニケーション支援を目的として試作・検討を 進めてきた重度身体障害者の随意的な眼球運動のパタ ーンを,非侵襲・非接触に検出できる「眼球運動画像 検出装置」を入力インタフェースに用い,視覚情報に 依存しない独自の単音節選択型キーボード(アプリケ ーション・ソフトウエアのプログラム開発)と組み合 わせて総合的なコミュニケーション支援システムの有 用性を検討した.従来からの視覚能力に依存したコン ピュータ入力デバイスやPC周辺機器に代えて,聴覚情 報による文字入力を可能とした.利用者において,視 覚に依存した情報処理の負担を軽減し,モニター機器 を必要としない極めてコンパクトな機器構築によるコ ミュニケーション支援システムの有用性を確認するこ とが可能であった.また,音声提示条件の検討から, 精度・速度は利用者の学習(練習)により向上し,重 度コミュニケーション障害者(児)の意思伝達支援機器に聴覚情報を有効に活用したシステムであると考え られた.
-
眼球運動画像検出型コミュニケーションシステムの実用開発
研究課題/研究課題番号:11835013 1999年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
千島 亮
担当区分:研究代表者
This study did the development of communication support equipment which could detect the voluntary eye movement pattern which remains for severity neuromuscular disease person non-invasion noncontacting with the purpose. And, the plan was carried out with the aim of verifying clinical trial situation of developed equipment and synthetic communication support measures, and drawing the possibility of the extension of the positive independence life. Operability of the communication peripheral equipment and usefulness in clinical scene of eye movement detection system and problem were verified in fiscal 2000 which was the last fiscal year for severity neuromuscular disease patient who the cooperation was got for the research, and the problem in communication support equipment introduction of severity neuromuscular disease person was examined it.As a result of trying the trial of this prototype, it was possible to carry out the utilization by simple operation and adjustment with small burden to user and environmental space. It was judged that the usefulness as the equipment which is related to the communication support could be expected. In equipment introduction which was related to the communication support, the characteristics and improvement of the fact of improvement in the accuracy, etc. with peculiar and program decision considering the attention seemed to be important. The hand in such equipment development judged that the development of the support equipment for reducing the nursing burden of the family who supports independence support and staying home life of possible, limiting and expanded ADL Including the staying home life was important.
-
眼球運動画像検出装置を用いたコミュニケーションシステム開発のための基礎的研究
研究課題/研究課題番号:09770441 1997年4月 - 1999年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A)
千島 亮
担当区分:研究代表者
平成9・10年の研究成果を基盤に,眼球運動検出装置 の予備実験用システムを独自に構築し,検出装置のプ ロトタイプを検討試作した.本装置を健常被験者にお いて試行し,内諾が得られた5名のALS(筋萎縮性側索 硬化症)をはじめとする入院患者において,随意眼球 運動の非接触的な検出を試みた.結果,何れの症例に おいても周辺機器操作のための「ON・OFF」コマンド信 号誘導が可能であった.これにより,本眼球画像情報 を利用したコミュニケーション支援のための入力イン タフェース構築のための方策を確認した.
-
眼球運動を用いたコミュニケーションシステムを開 発するための基礎的研究
研究課題/研究課題番号:06770548 1994年4月 - 1995年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A)
千島 亮
担当区分:研究代表者
重症な障害をもつ神経筋疾患患者(患児)を対象と し,残存する随意眼球運動により得られた特徴的な眼 球電図(EOG)をコマンド信号として活用したコミュニ ケーション支援システムの開発を最終目標とし,臨床 応用に向けたEOG信号導出についての基礎的情報の検 討と,応用可能な信号特性についての基礎研究を実施 した.結果,EOG信号の単一波形成分のみの利用でなく 随意運動で得られたる左・右水平共同運動,上・下垂 直共同運動および,水平・垂直運動の合成である回旋 運動の5種類の信号を個別にPC制御コマンドとして応 用することが可能であると考えられた.EOG信号の応用 による重度障害者のコミュニケーション支援システム 構築が可能であることを確認した.