科研費 - 亀髙 諭
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骨格筋再生における筋芽細胞膜融合の責任因子の探索
研究課題/研究課題番号:20K07244 2020年4月 - 2023年3月
亀高 諭
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究は骨格筋発生の初期段階で起こる筋芽細胞の融合現象に着目し、近年開発した新規細胞融合検出法(HiMy法)を用いて
(1)細胞融合を促進あるいは遅延させる化合物や遺伝子を網羅的に探索し、
(2)得られた情報をもとに培養筋芽細胞やマウス骨格筋損傷モデルなどを用いて細胞融合の分子機構を明らかにする。
本研究により今まで不明な点の多かった細胞膜融合現象の分子機序を解明し、筋損傷からの治癒を促進する新規治療薬の発見、さらにはその成果に基づく筋損傷の予防方法や筋損傷からの回復促進のための新たなリハビリテーション法等の開発研究へ発展できることが期待される。 -
がんサルコペニアの重症化予防を目的とした薬剤シーズの発見と運動療法介入研究
2018年4月 - 2022年3月
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B))
杉浦 英志, 分担者, 亀高 諭
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17160円 ( 直接経費:13200円 、 間接経費:3960円 )
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がんサルコペニアの重症化予防を目的とした薬剤シーズの発見と運動療法介入研究
研究課題/研究課題番号:18H03127 2018年4月 - 2022年3月
杉浦 英志
担当区分:研究分担者
1) 筋芽細胞融合アッセイ系(HiMy assay)を用いて筋芽細胞融合現象に関与する114の化合物のスクリーニングを行った。C2C12筋芽細胞分化24時間後における細胞融合をHiBiT-LgBiT(Promega)の再構成によるNanoLuc活性を測定することにより評価した。その結果、DMSO コントロールに対して2倍以上の活性が見られたものは5種、1.5~2 倍の活性が見られたものは9種、0.5 倍以下の活性は6種であった。今後、更なる解析により新たな知見が得られる可能性が期待された。
2) 作製したがん悪液質モデルマウスを用いて、有酸素運動による骨格筋の形態学的変化の解析を行った。Control群、C26群、C26+有酸素運動群 (以下、Con群、C26群、C26+Ex群)を用意し、有酸素運動群に対してはトレッドミルを用いた有酸素運動を実施し、その他の群においては、4週間通常飼育をしたところ、前脛骨筋、腓腹筋において、Con群と比較してC26群では重量が有意に減少した。また、これらの筋において、C26+Ex群では重量の有意な減少抑制が見られ、有酸素運動はがん悪液質性筋萎縮に対して抑制効果を有することが示唆された。
3) 周術期消化器がん患者63例を対象とし、活動量が術後合併症に影響する因子を検討した。活動量をIPAQ短縮版にて調査し、サルコペニアの有無をCTでのL3レベルPMIと握力、歩行速度から判定した。ロジスティック回帰分析を行ったところ、座位時間がCD≧Ⅱと独立して関連する変数として抽出された。活動量が低いほど死亡リスクが高くなることが報告されており、座位時間の減少が合併症発症リスクを軽減できる可能性が示唆された。
HiMy法 (HiBiT-based myoblast fusion assay)による手法が安定したことにより、化合物ライブラリーからの抽出が可能となった。コントロール群に対して2倍以上の活性(促進効果)が見られたものが5種見出され、今後、毒性の有無や濃度依存性による効果について検討していく必要がある。また、探索された薬剤による筋萎縮抑制の分子機序をシグナル伝達系の観点から薬剤の作用機序を解析していく必要がある。
In vivoの実験においては、がん悪液質モデルマウスの作成が成功し、がん悪液質による筋委縮作用や運動介入による筋委縮抑制効果が確認されたが、トレッドミル運動によるがん悪液質性筋萎縮抑制効果について、骨格筋萎縮に関するマーカー遺伝子を解析していく必要がある。
臨床研究においては、周術期がん患者におけるサルコペニアの評価を行ってきたが、悪液質の進行した終末期がん患者を対象とした評価も必要である。
1)In vitroの実験において、がん悪液質筋萎縮に対する薬剤シーズの抽出と探索された薬剤効果機序を解析する。培養筋芽細胞C2C12を使用し 、スプリットルシフェラーゼによる細胞融合アッセイ系により筋管形成を制御する化合物を探索する。また、探索された薬剤による筋萎縮抑制 の分子機序をシグナル伝達系の観点から薬剤の作用機序を解析する。 2)In vivoの実験において、探索により見出された筋芽細胞融合促進効果の高い化合物を坦癌マウスに経口投与による筋萎縮への保護効果を検 討する。探索された薬剤を投与された担癌マウスに対して、筋組成や構造、筋の蛋白分解や合成経路の確認を行う。がん細胞接種4週間後、体 重、腫瘍重量、下肢骨格筋(前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋)の重量を測定するとともに、前脛骨筋のtotal RNAを抽出し、cDNA合成の後、定量PCR(qPCR)を行い、mRNA発現量を解析する。また、トレッドミル運動によるがん悪液質性筋萎縮抑制効果について検討を行い、骨格筋萎縮に関 するマーカー遺伝子を解析していく。 3)周術期および終末期がん患者を対象とした運動療法介入の臨床比較試験を行う。基礎研究で得られた結果に基づいて運動療法プログラムを 作成する。運動療法の有効性を確認するために運動療法群とコントロール群との間でオープンラベルの比較試験を行い、コホート研究より同定 したリスク因子をアウトカムの代替指標として改善効果を検討する。 -
筋芽細胞の膜融合過程を担う分子機構の解明-新たな筋障害治療ターゲットの探索
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金
亀高 諭
担当区分:研究代表者
マウス培養筋芽細胞C2C12を用いて、筋分化、筋修復過程における細胞膜融合メカニズムの分子機構を明らかにする目的で、C2C12細胞の筋分化に必須な遺伝子を探索した。探索に先立ち、筋分化効率の高いC2C12筋芽細胞株を探索し、幾つかの高分化効率を有するクローンを単離した。得られたクローンを用いてRNAi法によりゴルジ体、エンドソームで機能するクラスリンアダプター分子、GGA1(Golgi-localized, gamma-ear containing, adaptor protein 1)がC2C12細胞の骨格筋分化に重要な役割を担っていることを見出した。哺乳動物には構造、機能的に類似した3つのGGA遺伝子(GGGA1, 2, 及び3)が存在することから、これらの分子の筋分化における機能解析を行うことを企画したが、これらの分子群に対する良い抗体が市販されていないことからこれらの抗体を作成し、特異抗体を得ることに成功した。C2C12細胞における内在性GGAの発現解析を行った結果、GGA1筋分化過程において発現量がmRNAレベルで上昇すること、またGGA1はC2C12細胞内においても他の細胞と同様にゴルジ、エンドソームに局在することが明らかとなった。類縁分子であるGGA2, GGA3に関しても同様の解析を行ったところ、GGA3はGGA1同様に筋分化に重要である可能性が示唆される一方で、GGA2はノックダウンにより筋分化は阻害されなかったことから、GGA1, 3とGGA2が筋分化において異なる機能特異性を有していることが示唆された。GGA1, 3はGGA2にはないユビキチン結合能を持つことが示唆されていることから、ユビキチン化されたカーゴ分子が筋分化に重要である可能性を考え、カーゴ分子の探索を開始している。
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筋芽細胞の膜融合過程を担う分子機構の解明-新たな筋障害治療ターゲットの探索
研究課題/研究課題番号:15K12580 2015年4月 - 2018年3月
亀高 諭
担当区分:研究代表者
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
筋芽細胞融合は、発生中の筋肉の成長と損傷時の筋線維の再生に寄与する、きわめて重要な過程である。本研究においては培養筋芽細胞株C2C12細胞を用いて、蛍光タンパク質を用いた簡便かつ感度の高い細胞融合検出系を構築し、骨格筋分化に関わる遺伝子および分化に影響を与える分子の探索を行った。その結果細胞内小胞輸送に関わるGGA1クラスリンアダプター分子をノックダウンすることで筋分化が阻害されること、さらにインスリン受容体の細胞膜表面での発現が低下することが示された。
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オートファジーの機能形態学的基盤-隔離膜生成機構の解明に向けて
研究課題/研究課題番号:15H04670 2015年4月 - 2018年3月
和栗 聡
担当区分:研究分担者
本研究はオートファジー隔離膜の初期構造の同定を目的とした。アミノ酸飢餓誘導によるオートファジーの解析は他グループから発表されたため、対象をマイトファジーに絞った。その結果、鉄欠乏誘導性マイトファジーにおいて、ミトコンドリア表面における隔離膜伸長がミトコンドリアの部分隔離に重要であること、および近傍の小胞体が前駆体となる可能性を示すことができた。また、隔離膜の構造を走査型電子顕微鏡で観察することに成功し、次の研究に繋げることができた。さらに、創傷治癒過程の線維芽細胞および癌カヘキシアで見られる萎縮筋線維において、オートファジー・リソソーム分解系が重要な働きを担うことを示唆した。
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オメガソーム細管構造の研究-サブミクロンレベルの形態学と分子機能
研究課題/研究課題番号:24390048 2012年4月 - 2015年3月
和栗 聡
担当区分:研究分担者
オートファジー隔離膜の近傍に見出された新規細管構造としてisolation membrane-associated tubule (IMAT)を見出し、その詳細な解析を行った。電子線トモグラフ法を用いた三次元立体構築によりIMATが小胞体と隔離膜に内腔を通じて連続していること、オメガソームの本体であること、小胞体における隔離膜生成の初期過程に関連することを明らかにした。また、電子顕微鏡でIMATを検出するためにオスミウム酸を用いた新規固定法を開発した。小胞体で始まる隔離膜生成の最も初期の形態変化は未だ捉えられておらず、ここに関与する分子機構も含め、本研究がこれら疑問に答える糸口になる。
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ショウジョウバエを用いたライソゾーム/ライソゾーム関連オルガネラの形成機構の解明
研究課題/研究課題番号:24570167 2012年 - 2014年
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
亀高 諭
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5590000円 ( 直接経費:4300000円 、 間接経費:1290000円 )
エンドソーム、ライソゾームなどのポストゴルジの小器官で機能する蛋白質はトランスゴルジ網(TGN)において目的の小器官への経路へと選別される。この仕分けの過程は細胞機能特異的なポストゴルジのコンパートメント、すなわちライソゾーム関連オルガネラ(LRO)を形成する時にも必須な役割を演じている。本研究においてはショウジョウバエモデルを用い、ゴルジ体に局在するクラスリンアダプター分子群がLRO及びライソゾームの生合成に重要な役割を演じていることを明らかにし、同時にショウジョウバエがヒトライソゾーム蓄積症候群の良いモデル系となりうることが示唆された。
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クラスリン被覆小胞形成の試験管内再構成
2008年 - 2009年
科学研究費補助金 特定領域研究
本研究はショウジョウバエの培養細胞系を用いてクラスリン被覆小胞の形成とクラスリン依存的な小胞輸送の素過程を分子レベルで明らかにし、細胞構成要素の発現制御の分子機序に迫ることを目的としている。(1) これまでに動物細胞のクラスリンアダプターGGAs,AP-1複合体のショウジョウバエホモログであるdGGA及びdAP-1複合体及び関連因子のクローニングと性状解析を行い、クラスリン被覆小胞の形成に於いてショウジョウバエが哺乳動物及び出芽酵母と非常によく似たメカニズムを有していることを示し、論文で報告した、また、(2) S2培養細胞系を用いて、リソソームに局在する蛋白質分解酵素の選別受容体Lerpの輸送を生化学的及び細胞生物学的にモニターするアッセイ系を確立し、クラスリンアダプター分子群及びその制御因子であるARF small GTPaseファミリーの分子群が実際にLerpの輸送に関与していることを示すことに成功した。更に、(3) ゴルジ体から形成されるdGGAを含む膜小胞がLerpを含むことを、GFP-dGGA及びmCherry-Lerpを用いた生細胞内観察により示した。(4) 関連因子の生化学的な性状解析を行った後,野生型S2細胞あるいは遺伝子ノックダウン株由来の単離膜及び細胞質フラクション、精製リコンビナント蛋白質を用いたクラスリンの細胞質から膜へのリクルートを試験管内で再構成することに成功した。
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ショウジョウバエ培養細胞系を用いたリソソーム酵素局在化の分子機構の解析
2008年 - 2009年
科学研究費補助金 若手研究(B)
細胞内における膜貫通型蛋白質のオルガネラ間の輸送は主に膜小胞を介して行われる。GGA, AP-1等のクラスリンアダプターと呼ばれる分子群は、膜蛋白質の選別輸送に必要なクラスリン被覆小胞形成において必須な役割を担っているが、その分子機能および調節機構の詳細は不明な点が多い。本研究に於いてはショウジョウバエの培養細胞系においてこれらの分子群の性状解析を行い、ショウジョウバエ細胞においても哺乳動物細胞と同様なメカニズムでクラスリンアダプターが膜蛋白質輸送において機能していることが示された。
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β-セクレターゼ細胞内輸送機構の解析
2003年
科学研究費補助金 特定領域研究
BACEはAβの産生に関与する重要なアスパラギン酸プロテアーゼ(β-secretase)であり、細胞内でのβ-secretase活性の発現部位やその局在化機構を明らかにすることはアルツハイマー病の発症機序の解明のみならず治療においても重要な意義を持つ。BACEはトランスゴルジ網(TGN)で選別され,細胞膜まで小胞輸送される。BACEの局在化には24残基からなる細胞質ドメインが必須である。これまでの研究から、BACEの細胞質ドメインにはGGA(Golgi-localizng,gamma-adaptin ear homology domain,ARF-interacting)と結合する酸性クラスターdileucineシグナルがあり、BACEがTGNとその近傍に局在することに関与し、同シグナル内のSer498のリン酸化がGGAとの結合を制御していることも示唆されてきた。今回、我々は、BACEの細胞質ドメインとGGA1のVHSドメインとの結合様式を調べた。HeLa細胞で、BACEとGGA1との共局在を調べたところ、核周囲のゴルジ領域とその近傍の点状構造物で共存することが分かった。Brefeldin Aで同細胞を処理すると、BACE陽性のチューブ状構造物がTGNから進展した。すなわち、BACEの輸送はARF依存性に調節されていることを示唆している。次に、BACEの細胞質ドメインペプチドとGGA1のVHSドメインをBIACOREで解析したところ、結合定数(Kd)が0.83μMであることが分かった。また、Ser498のリン酸化によって両者の結合力が2倍以上(Kd=0.32μM)に上昇することも分かった。さらに、両者の結合様式をX線結晶構造解析(解像度1.9Å)により調べた結果、両者の結合は、リソソーム酵素をTGNからリソソームへと選別輸送するMPRとGGAとの結合様式と類似していた。その解析から、BACE-tailのSer残基とLys残基は溶媒面に向くことが分かり、BACEの細胞質ドメインのSer残基がリン酸化されると、Lys残基やペプチド骨格が水素結合の数を増加すること、また、GGA1のVHSドメインとの静電気結合を増強することにより、両者の親和性が不可逆的に増加する可能性が示された。
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β-セクレターゼ調節因子の単離と機能解析
2002年 - 2003年
科学研究費補助金 若手研究(B)
APPのプロセシングの分子機構及びその調節機構を明らかにする目的でβ-セクレターゼ(BACE)の性状解析を行ってきた。培養細胞に発現させたBACEはTGN、エンドソーム、細胞膜に局在し、これらのポストゴルジコンパートメントへのBACEの局在化には24アミノ酸からなる細胞質ドメイン(BACE-Tail)が不可欠であることが知られている。BACEの細胞内局在化機構を明らかにする目的でこれらの領域と結合する蛋白質を探索した結果、phospholipid scramblase1(PLSCR1)を同定し、両蛋白質の相互作用について詳細に検討した結果、PLSCR1との結合にはBACE-tail内のジロイシン配列(LL)が必須である事が明らかとなった。細胞生物学的手法、及び細胞内におけるコレステロール輸送の阻害剤を用いた解析により、PLSCR1がBACEと共通の輸送経路を通って細胞内で輸送されている事、更に両蛋白質が細胞内でラフトと呼ばれる膜脂質の微小ドメインに存在し、細胞内で蛋白質複合体を形成している事を明らかにした。近年、試験管内結合実験により、BACE-tailがアダプター蛋白の一種であるGGA1及びGGA2と直接的に結合する事が報告された。GGAはクラスリン被覆小胞の形成に関与するsmall GTPaseであるARF(ADP-ribosylation factor)依存的にTGNからの蛋白質輸送に関わる事が知られている。我々はBACE-tail及びGGA1が直接的に結合するだけでなく、その親和性がBACE-tailのセリン残基のリン酸化により変化することを見い出した。BACE-tailのリン酸化はBACEの細胞内輸送の調節に関わっている事が示唆されており、BACEの細胞内輸送の調節機構としてBACE-tailのリン酸化が重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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β-セクレターゼの調節機構の解析
2002年
科学研究費補助金 特定領域研究
我々はこれまでにAPPのプロセシングの分子機構及びその調節機構を明らかにする目的でβ-セクレターゼ(BACE)の性状解析を行ってきた。培養細胞に発現させたBACEはTGN、エンドソーム、細胞膜に局在し、これらのポストゴルジコンパートメントへのBACEの局在化には24アミノ酸からなる細胞質ドメイン(BACE-Tail)が不可欠であることが知られている。BACEの細胞内局在化機構を明らかにする目的でこれらの領域と結合する蛋白質を探索した結果、phospholipid scramblase1(PLSCR1)を同定し、両蛋白質の相互作用について詳細に検討した結果、PLSCR1との結合にはBACE-tail内のジロイシン配列(LL)が必須である事が明らかとなった。細胞内におけるコレステロール輪送の阻害剤を用いた解析により、PLSCR1がBACEと共通の輸送経路を通って細胞内で輸送されている事、更に両蛋白質が細胞内でラフトと呼ばれる膜脂質の微小ドメインに存在し、細胞内で蛋白質複合体を形成している事を明らかにした。近年、試験管内結合実験により、BACE-tailがアダプター蛋白の一種であるGGA1及びGGA2と直接的に結合する事が報告された。GGAはクラスリン被覆小胞の形成に関与するsmall GTPaseであるARF(ADP-ribosylation factor)依存的にTGNからの蛋白質輸送に関わる事が知られている。我々はBACE-tail及びGGA1が直接的に結合するだけでなく、その親和性がBACE-tailのセリン残基のリン酸化により変化することを見い出した。BACE-tailのリン酸化はBACEの細胞内輸送の調節に関わっている事が示唆されており、BACEの細胞内輸送の調節機構としてBACE-tailのリン酸化が重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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APPプロセシング酵素BACE2及びBACEの機能解析
2001年
科学研究費補助金 特定領域研究
本研究はアルツハイマー病におけるAPPプロセシングに関わるBACE及びその類似蛋白質BACE2の性状解析を細胞生物学的手法を用いて行う事により、細胞内におけるβ-部位切断の起こる場所を明らかにし、さらにβ-セクレターゼ活性の調節機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。培養細胞に発現させたBACE及びBACE2の局在は大きく異なりBACEがTGN、エンドソーム、細胞膜に局在するのに対し、BACE2は主に小胞体に局在した。更に細胞生物学的手法を用いてこれらの分子の細胞内局在化機構を調べたところ、BACEは細胞質領域がエンドソームへの局在化に必要であるのに対し、BACE2は内腔側の領域が小胞体への局在化に必須である事が明かとなった。BACEの細胞内局在化に関わる因子を同定するためにツーハイブリッド法を用いた結合蛋白質の探索を試みた結果、phospholipid scramblase(PLSCR1)を同定した。さらにリコンビナント蛋白質を用いた試験管内結合実験及び共免疫沈降実験により、PLSCR1がBACEの細胞内局在化シグナルを有する細胞質領域に直接結合し細胞内においても蛋白質複合体を形成している事が明かとなった。これらの蛋白質は形質膜の微小ドメインである脂質ラフトに局在し、PLSCR1との結合ドメインを欠失したBACE変異体が脂質ラフトへの局在化にも欠損を示すことから、PLSCR1はBACEの脂質ラフトへの導入に関与しているのかもしれない。
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Molecular mechanisms on the intracellular protein trafficking.
資金種別:競争的資金
We are focusing on the molecular mechanisms on the protein sorting/trafficking at the TGN.
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細胞内蛋白質輸送の分子機構
資金種別:競争的資金
細胞内蛋白質輸送,特にゴルジ体での蛋白質の選別輸送に関わる分子機構とその調節に関わるメカニズムを研究している。
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ショウジョウバエを用いたリソソーム蛋白質輸送の生理意義の解析
資金種別:競争的資金
リソソームへの蛋白質輸送の分子メカニズムとその生理的意義を、ショウジョウバエを用いて細胞、個体レベルで解析する。
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Physiological consequences of lysosomal protein trafficking in Drosophila melanogaster
資金種別:競争的資金
We are approaching the molecular mechanisms and physiological roles of lysosomal protein trafficking in the fruit fly, Drosophila melanogaster.