2025/03/31 更新

写真a

タケノ ユカリ
竹野 ゆかり
TAKENO Yukari
所属
大学院医学系研究科 総合保健学専攻 看護科学 講師
大学院担当
大学院医学系研究科
学部担当
医学部(保健学科)
職名
講師

学位 1

  1. 博士(看護学) ( 2013年6月   名古屋大学 ) 

学歴 2

  1. 名古屋大学   医学系研究科   看護学専攻

    - 2013年3月

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    国名: 日本国

  2. Flinders University   Graduate School, Division of Nursing

    - 2006年11月

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    国名: 日本国

受賞 1

  1. Postgraduate Research Award

    2007年5月   Flinders University  

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    受賞国:オーストラリア連邦

 

論文 11

  1. A Pilot Study of Determining the Reliability of a New Three-Dimensional Scanning System for Measuring Truncal Thickness After Breast Cancer Surgery

    Hisano, F; Watanabe, S; Niwa, S; Nakanishi, K; Mawaki, A; Takeno, Y; Murota, K; Honda, I; Fujimoto, E; Oshima, C

    LYMPHATIC RESEARCH AND BIOLOGY   21 巻 ( 2 ) 頁: 179 - 186   2023年4月

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  2. The Correlation Between Fluid Distribution and Swelling or Subjective Symptoms of the Trunk in Lymphedema Patients: A Preliminary Observational Study

    Hisano, F; Niwa, S; Nakanishi, K; Mawaki, A; Murota, K; Fukuyama, A; Takeno, Y; Watanabe, S; Fujimoto, E; Oshima, C

    LYMPHATIC RESEARCH AND BIOLOGY   19 巻 ( 3 ) 頁: 269 - 273   2021年6月

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  3. LONG-TERM FOLLOW-UP OF COLLATERAL PATHWAYS ESTABLISHED AFTER LYMPHADENECTOMY IN RATS

    Takeno Y., Arita H., Oshima C., Mawaki A., Nakanishi K., Kurono F., Fujimoto E.

    LYMPHOLOGY   50 巻 ( 3 ) 頁: 131-135   2017年9月

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    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    Web of Science

  4. Nighttime bandaging to reduce lymphedema swelling: a clinical pre-post study 査読有り

    Nakanishi Keisuke, Mawaki Ayana, Oshima Chika, Takeno Yukari, Kurono Fumiya, Murotani Kenta, Kikumori Toyone and Fujimoto Etsuko

    SAGE Open Nursing   3 巻   頁: 1-8   2017年

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    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

  5. Long-term follow-up of collateral pathways established after lymphadenectomy in rats.

    Takeno Y, Arita H, Oshima C, Mawaki A, Nakanishi K, Kurono F, Fujimoto E

    Lymphology   50 巻 ( 3 ) 頁: 131 - 135   2017年

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    記述言語:英語  

    PubMed

  6. 安全な吸引のために ―解剖生理学的知識と手技―

    藤本悦子、竹野ゆかり

    理学療法学   40 巻 ( 4 ) 頁: 335-334   2013年

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    記述言語:日本語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

  7. Sleep disturbance in elderly patients after cardiac surgery during their stay in intensive care unit and surgical ward

    Arita, H., Takeno, Y., Fujimoto, E.

    Journal of Nursing & Care     2013年

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    記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.4172/2167-1168.1000137

  8. Alternations of lymph flow after lymphadenectomy in rats revealed by real time fluorescence imaging system

    Takeno, Y., Fujimoto, E.

    Lymphology   46 巻 ( 1 ) 頁: 12-19   2013年

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

  9. Efficacy of complete decongestive therapy (CDT) on edematous rat limb after lymphadenectomy demonstrated by real time lymphatic fluid tracing

    Takeno, Y., Arita, H., Fujimoto, E.

    SpringerPlus   2 巻 ( 225 )   2013年

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: 10.1186/2193-1801-2-225

  10. 外国人看護師とともに働くための一歩--インドネシア人看護師の看護技術に着目して

    竹野ゆかり、Dewi Wan Nishfa、Agustina Hana Rizmadewi

    日本看護技術学会誌   10 巻 ( 1 ) 頁: 66-68   2011年

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    担当区分:筆頭著者  

  11. Facilitating the transition of Asian nurses to work in Australia

    Takeno, Y.

    Journal of Nursing Management   18 巻 ( 2 ) 頁: 215-224   2010年

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

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書籍等出版物 4

  1. 人体の構造と機能 第4版

    Elaine N. Marieb、林正健二、今本喜久子、遠藤健司、大島千佳、小田切陽一、武田多一、武田裕子、竹野ゆかり、藤本悦子( 担当: 共著)

    医学書院  2015年3月 

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    記述言語:日本語

  2. 看護師国試状況設定完全予想問題集

    大津廣子、小松万喜子他( 担当: 共著)

    成美堂  2014年11月 

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    記述言語:日本語

  3. 解剖生理学から見直す看護技術

    藤本悦子、有田広美、荒井孝子、大島千佳、木室ゆかり、石田陽子、三浦奈都子、武田利明、竹野ゆかり、深井喜代子、菱沼典子、大久保暢子、澤本美千代( 担当: 共著)

    学研メディカル  2012年 

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    記述言語:日本語

  4. 手術室看護手順 第2版

    舩橋朋子、池田好美、伊藤綾乃、岡本彩、金子弘美、黒田暢子、佐藤晃子、筋田真弓、竹野ゆかり、大黒谷好恵、錦織純子、花柗有美、吉田京子( 担当: 共著)

    医学書院  1998年 

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    記述言語:日本語

講演・口頭発表等 29

  1. 看護系大学学部学生に対するリンパ浮腫ケア教育-セラピストの増大をめざして-

    藤本悦子、安藤詳子、中西啓介、竹野ゆかり、間脇彩奈、大島千佳

    看護科学学会第37回学術集会 

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    開催年月日: 2017年12月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  2. 糖尿病は間質液の尿への移行を遅延させるかーイヌリンを指標としてー

    竹野ゆかり、堀夏美、田村舞帆、藤本悦子

    コ・メディカル形態機能学会第15回学術集会 

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    開催年月日: 2016年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  3. リンパ浮腫ケアの新たなステージ

    藤本悦子、大島千佳、竹野ゆかり、中西啓介、永谷幸子、谷保由依子、黒野史椰

    日本看護技術学会第14回学術集会 

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    開催年月日: 2015年10月

    記述言語:日本語   会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)  

    国名:日本国  

  4. イヌリンを指標とした間質液の動態と肥満との関係

    田村 舞帆、堀 夏美、竹野 ゆかり、大島 千佳)、藤本 悦子

    コ・メディカル形態機能学会第14回学術集会 

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    開催年月日: 2015年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  5. 多層包帯法が睡眠に与える影響

    児玉侑紀、高羽杏奈、大島千佳、間脇彩奈、竹野ゆかり、藤本悦子

    コ・メディカル形態機能学会第14回学術集会 

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    開催年月日: 2015年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  6. A follow-up study of collateral pathways established after lymphadenectomy in rats 国際会議

    Takeno, Y, Nakanishi, K, Mawaki, A, Oshima, C, Arita, H, Fujimoto, E.

    25th World Congress of Lymphology 

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    開催年月日: 2015年9月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:アメリカ合衆国  

  7. PATTTERN OF FLUID ACCUMULATION IN THE LYMPHEDEMATOUS ARM REVEALED BY MAGNETIC RESONANCE 国際会議

    FUJIMOTO,E, TANIHO, Y, MAWAKI, A, OSHIMA, C, NAKANISHI, K, TAKENO, Y.

    25th World Congress of Lymphology 

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    開催年月日: 2015年9月

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    国名:アメリカ合衆国  

  8. Exretion patterns of urinary melatonin after cardiac surgery in elderly patients 国際会議

    Arita, H, Takeno, Y, Fujimoto, E.

    18th EAFONS 

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    開催年月日: 2015年2月

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    国名:台湾  

  9. 巻尺で測定した周囲径と自覚症状はリンパ浮腫の指標として使えるか

    谷保由依子,間脇彩奈,大島千佳,竹野ゆかり,藤本悦子

    日本看護技術学会第13回学術集会 

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    開催年月日: 2014年11月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  10. リンパ浮腫患者の皮膚粘弾性-スキンケアのpreliminary study として-

    間脇彩奈, 谷保由依子, 大島千佳, 竹野ゆかり, 藤本悦子

    日本看護技術学会第13回学術集会 

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    開催年月日: 2014年11月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  11. リンパ節切除後のリンパ動態の変化―リアルタイムイメージング法を用いた解析-

    竹野ゆかり、藤本悦子

    日本解剖学会第74会中部支部学術集会 

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    開催年月日: 2014年10月 - 2014年11月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    開催地:金沢   国名:日本国  

  12. 腋窩リンパ節切除後のリンパ動態の変化

    竹野ゆかり、中西啓介、間脇彩奈、有田広美、大島千佳、藤本悦子

    コ・メディカル形態機能学会第13回学術集会 

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    開催年月日: 2014年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  13. リンパ流速の測定方法の開発-疾患との関連において-

    野田さつき、水野花奈美、渡邉真季、八木街子、中西啓介、竹野ゆかり、藤本悦子

    コ・メディカル形態機能学会第13回学術集会 

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    開催年月日: 2014年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  14. 上肢リンパ浮腫における水分の分布-MR画像を用いて-

    谷保由依子,間脇彩奈,竹野ゆかり,大島千佳,安藤詳子,藤本悦子

    日本看護研究学会大40回学術集会 

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    開催年月日: 2014年8月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  15. Efficacy of complete decongestive therapy (CDT) on edematous rat limb after lymphadenectomy demonstrated by real time lymphatic fluid tracing 国際会議

    Takeno, Y., Arita, H., Fujimoto, E.

    24th. World Congress of International Society of Lymphology 

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    開催年月日: 2013年9月

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    国名:イタリア共和国  

  16. ラットのリンパ動態に関する研究 分水嶺の探索

    黒野史椰、竹野ゆかり、大島千佳、 藤本悦子

    第12回コメディカル形態機能学会学術集会 

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    開催年月日: 2013年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  17. 効果的なドライシャンプーの検討 洗髪前の蒸しタオルの使用について

    間脇彩奈、竹野ゆかり、藤本悦子

    第39回日本看護研究学会 

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    開催年月日: 2013年8月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  18. Facilitation in a work setting for the transition of Indonesian nurses in Japan: Contrast with Kuwaiti health care system 国際会議

    Takeno, Y., Arita, H., Fujimoto, E.

    ICN 25th Quadrennial Congress 

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    開催年月日: 2013年5月

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    国名:オーストラリア連邦  

  19. Establishment of new lymphatic routes from edematous limb after lymphadenectomy in rats 国際会議

    Takeno, Y. Arita, H. Fujimoto, E.

    3rd. Nagoya-Yonsei university research exchange meeting on Health Sciences 

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    開催年月日: 2012年11月

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  20. リンパ経路遮断後のリンパ動態の変化 リンパドレナージの検討を示唆する基礎研究

    竹野ゆかり 林美希 藤本悦子

    第11回日本看護技術学会学術集会 

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    開催年月日: 2012年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  21. 肥満ラットにおけるリンパの流れについての検討

    佐伯街子、大島千佳、永谷幸子、間脇彩奈、竹野ゆかり、林美希、藤本悦子

    第11回コメディカル形態機能学会学術集会 

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    開催年月日: 2012年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  22. 複合的治療による上肢リンパ浮腫の変化 MRIを用いた検討

    林美希、竹野ゆかり、 藤本悦子

    第11回日本看護技術学会学術集会 

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    開催年月日: 2012年9月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  23. 続発性リンパ浮腫を来した患肢の内部構造と液体貯留部位 MRIを用いたpreliminary study

    藤本悦子 竹野ゆかり 大島千佳、永谷幸子、 佐伯街子、間脇彩奈、 安藤祥子、林美希

    第38回日本看護研究学会 

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    開催年月日: 2012年7月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  24. リンパ節切除後のリンパ動態の変化  リンパ浮腫ケアの基礎研究として

    竹野ゆかり、 永谷幸子、大島千佳、藤本悦子

    第31回日本看護科学学会学術集会 

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    開催年月日: 2011年12月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  25. インドネシア人看護師の日本就労目的とそれに対する日本の課題

    竹野ゆかり

    第30回日本看護科学学会学術集会 

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    開催年月日: 2010年12月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  26. インドネシア人看護師とともに働いていくために:インドネシアの看護教育からの検討

    竹野ゆかり, Dewi Wan Nishfa

    第13回国際看護研究学会学術集会 

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    開催年月日: 2010年9月

    記述言語:日本語   会議種別:ポスター発表  

    国名:日本国  

  27. Decision-making process to migrate to Australia: Case studiesof Korean and Japanese nurses 国際会議

    Takeno, Y., Fujimoto, E.

    12th. East Asian Forum of Nursing Scholars (EAFONS) 

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    開催年月日: 2009年

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

  28. Education for the transition of Asian Nurses to work in Australia 国際会議

    Takeno, Y.

    ICN Conference 2007 

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    開催年月日: 2007年

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    国名:オーストラリア連邦  

  29. Facilitating the transition of Asian nurses of work in Australia 国際会議

    Takeno, Y.

    Royal College of Nursing Australia 

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    開催年月日: 2006年

    記述言語:英語   会議種別:口頭発表(一般)  

    国名:日本国  

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科研費 12

  1. 続発性リンパ浮腫の評価とタンパク質動態:リンパ浮腫モデル動物を用いた基礎研究

    研究課題/研究課題番号:23K09834  2023年4月 - 2026年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    竹野 ゆかり, 藤本 悦子, 中西 啓介, 間脇 彩奈, 有田 広美, 大島 千佳

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )

    リンパ浮腫とは、がん手術に伴うリンパ節郭清により、その部位の遠位側に組織間液が貯留することである。組織間液の主な成分は水分であるが、水分のほかにタンパク質が過剰に貯留するのが特徴である。皮下組織におけるタンパク質の蓄積は膠質浸透圧の低下をもたらし、さらに多くの水分を血管外に引き出すことにより持続的なむくみをもたらす。リンパ浮腫は一旦生じると完治することは難しい。
    これまで、リンパ浮腫の特徴であり、水貯留の原因となる皮下組織のタンパク質とその量については注目されてこなかった。むくみを予防し、進行を食い止めるにはタンパク質が貯留しない、または排出を促進させるといった新しい着眼点が必要である。
    本研究の目的は、リンパ浮腫の特徴である皮下組織内のタンパク質について解剖生理学、分子生物学的側面から解析を行い、リンパ浮腫の評価をすることである。本研究では、動物を用いてリンパ浮腫を作製し、リンパ浮腫を継時的に評価すること、並びに、タンパク質や水分動体について把握すること、そして最終的にこれらのデータを用いて浮腫の新しい評価基準を作成することである。
    2023年度は、動物を用いてリンパ浮腫を作成することを中心として行った。浮腫を継時的に見ることから、まず長期間浮腫にさらすためのモデル動物を作成し、後肢のリンパ浮腫の状態を確認している。その後、期間をおきながら、同一部位にリンパ浮腫を作成している。リンパ浮腫を作成した後、患肢は一時的に肥大し、リンパ動態は変化した。その後、リンパ動態は変化したままであったが、患肢の外見的サイズは元に戻る、または若干小さくなるのではないかと思われた。そのため、筋肉量との関係を見るために、ビタミンDと筋肉量との関係を調べている。浮腫作成からの期間も短かく、サンプル数も少なかったため統計学的な処理はできなかったが、浮腫作成前と比較して、下肢筋肉は減少していた。またビタミンDとの因果関係については不明であった。
    リンパ採取については、胸管にシリコンチューブを挿入することを試みているが、時間的にも技術的にも安定して行えるまでには至っていない。
    リンパ浮腫の進行とタンパク質・水分動態との関係を見ることを目的としているため、初年度は長期にリンパ浮腫状態におくモデル動物を作成することを中心として行った。
    また予定通り、リンパ採取についても予定していた方法に加えて、他の方法も模索して行った。
    2024年度前半は、引き続き、リンパ浮腫モデル動物を作成していく。それと並行して、リンパ浮腫肢から皮下組織を採取し、解析を行なっていく。予定としては、タンパク質の解析としてPCRやウェスタンブロッティング、定量には分光光度計、またはELISAを用いる。
    前年度も筋肉量について計測を行ったが、今年度も同様に測定していく予定である。統計的な処理が行えるよう、サンプル数を増やしていく予定である。

  2. 筋損傷に対する筋内リンパ管の役割とその役割に着目した治療戦略

    研究課題/研究課題番号:22H03440  2022年4月 - 2026年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    河上 敬介, 縣 信秀, 竹野 ゆかり, 紀 瑞成

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    担当区分:研究分担者 

    これまで,筋損傷におけるリンパ管の役割は不明で,その分布すら分かっていなかった。我々は,筋内のリンパ管が他の組織と異なる大きさや分布を呈すること,そのリンパ管の数や大きさが筋損傷後の回復早期に通常の約2倍に増加することを明らかにした。一方近年,リンパ管新生は周囲組織の毛細血管新生までも誘導し筋の壊死を抑えることが報告された。よってリンパ管は,筋損傷においても毛細血管新生のトリガーとして機能し,筋再生やエネルギー供給に寄与し,筋損傷からの回復に不可欠な存在かもしれない。本研究は,力学刺激⇒リンパ管新生⇒筋損傷回復という,これまでにない新たな切り口から有効な理学療法を探る。

  3. 筋損傷に対する筋内リンパ管の役割とその役割に着目した治療戦略

    研究課題/研究課題番号:23K24698  2022年4月 - 2026年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    河上 敬介, 縣 信秀, 紀 瑞成, 竹野 ゆかり

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    担当区分:研究分担者 

    力学刺激が筋損傷からの回復を促進させることが分かっている。一方、筋損傷からの回復におけるリンパ管の役割は不明であり、その分布すら分かっていない。我々は、筋内のリンパ管が他の組織と異なる大きさや分布を呈すること、そのリンパ管の数や大きさが筋損傷後の回復早期に通常の約2倍に増加することを明らかにした。リンパ管は筋損傷時の毛細血管新生のトリガーとして機能し、筋損傷からの回復に不可欠な存在の可能性がある。そこで本研究は、力学刺激⇒リンパ管新生⇒筋損傷回復という、これまでにない新たな切り口から有効な理学療法を探る。
    本研究の目的は,筋損傷からの回復における筋内リンパ管の形態応答のメカニズムを組織学的、免疫組織学的そして生化学的に明らかにし,筋損傷におけるリンパ管の役割を解明することである.さらに,このリンパ管の役割に着目して,効果的な理学療法を探ることである.具体的には,まず筋損傷時のリンパ管形態応答とその分子機構の解明を行う.次に筋損傷からの回復におけるリンパ管の役割の解明を行う.そして,リンパ管の役割に着目して,主に力学刺激を用いた効果的な理学療法の解明を行う.
    そこで令和5年度は、マウス前脛骨筋に対して損傷筋線維の割合が±5%の精度で作られた筋損傷モデルを用い、昨年度から取り掛かった、筋損傷からの回復過程におけるリンパ管新生に関わる情報伝達系について例数を増やして検証した。その結果、他の組織の癌細胞増殖や組織損傷後と同様のVEGF-C/-D、VEGFR-3が関与していることが判明した。またその上流には主に炎症性マクロファージから放出するTNF-α や IL-1βが関与していることがうかがえる結果を得た。これから更なる検証も必要であるが、組織学的検証にも照らし合わせて推察すると、これらのシグナル分子の活性は損傷2-3日目に強くなることが考えられた。本結果には、更に非炎症性マクロファージやそのサイトカインであるIL-10等の検証も進めていく必要がある事が判明した。更に次年度行う予定である理学療法の選定を行った。その結果、まず定量的刺激が可能で損傷からの回復促進効果が期待できる伸長刺激を用いての検証が適切であることが判明した。
    筋損傷からの回復過程に、他の組織の癌細胞増殖や組織損傷後と同様のVEGF-C/-D、VEGFR-3が関与していることが判明した。また、このシグナル伝達系に、炎症性マクロファージや非炎症性マクロファージから放出されるサイトカインの関与がうかがえた。さらに、次年度実施予定の伸長刺激の量や頻度について、検証を開始できたため。
    令和5年度までに、筋損傷からの回復過程における、リンパ管や毛細血管の動態及びそのシグナル伝達系について十分に検証されていなかった点を解明する。特に、非炎症性マクロファージやそのサイトカインについて明らかにする。そして、筋損傷からの回復過程における、リンパ管や毛細血管の動態及びそのシグナル伝達系の全容を明らかにする。生化学的検証では、Real time RT-PCR法を用いてリンパ管新生因子およびその上流の炎症性細胞のサイトカインのmRNA発現量を解析する。なお、リンパ管内皮細胞マーカーである抗LYVE-1抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、リンパ管数を測定後、筋線維1本当たりのリンパ管・血管数を算出する。
    また昨年度行った理学療法の選定の結果をふまえ、定量的刺激が可能で、損傷からの回復促進効果が期待できる伸長刺激を用いて、頻度や強度を変えながらその効果を検証する。なお強度は、筋に張力を加えたときの応力を基に、最適な強度に迫る。組織学的評価は、筋線維の再生と、炎症性マクロファージや非炎症性マクロファージの集積、リンパ管や毛細血管の密度の変化の解析により行う。また生化学的評価は、各マクロファージから放出するサイトカインやリンパ管成長因子のmRNA発現量の解析により行う。

  4. 看護教育における解剖生理学の再構築とその教育指針の作成

    研究課題/研究課題番号:20K10650  2020年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    藤本 悦子, 荒川 満枝, 大久保暢子, 大島 千佳, 竹野 ゆかり, 高橋 名帆子, 佐々木 久美子, 林 みつる, 神田 知咲

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    担当区分:研究分担者 

    看護は人体の構造と機能にかなった方法で提供されなければならない。しかし現行の解剖生理学教育は看護実践と乖離していることが指摘されている。解剖生理学教育を整理し、看護の視点から見直す必要があると考えられる。 本研究では、1) 解剖生理学担当と看護専門科目担当の教員へアンケート調査を行い、看護教育で必要な内容を抽出する。2) 看護師長へアンケート調査を行い、臨床の場で不足している解剖生理 学を把握する。3) これらのデータを基にブレーンストーミングを行い、様々な手法を活用して教育を構築する。この時、要所に看護技術について実験を行い、解剖生理学との関連を検証しながら、内容を洗練させる。
    1)令和5年度はアンケートの内容を吟味した。念頭に置いたのは、絶対に教育しなければならないものと、その教育内容を分かりやすくするものである。分かりやすくするために、どのように教育を構築していくかということについて、グループ内で検討した。これまでの教育では、理解を向上させる上で、決定的に脱落しいる内容があることが分かって来た。それは顕微鏡写真である。例えばマクロファージという言葉は、看護師なら誰もが知っているが、貪食する、異物を消化するという知識だけである。そこで、マクロファージがファゴサイトーシスで異物を捕食するところの迫力のある顕微鏡写真を提示する。そうすると学生は様々に考えをめぐらす素地ができやすい。この例では、マクロファージの働きに感動が現れやすい。喀痰の必要性や、免疫機能への影響(殺し屋になったり、抗原提示細胞になったりする)、さらに染症対策(ワクチンの意味と理解)まで広がっていけばよい。細胞の顔を全く知らないで、知識だけが増えていく教育では、臨床の場で自在に知識を活用することは難しいと思われた。
    2)以上から顕微鏡写真の撮影に力を注いだ。
    作成した写真は①月経周期の各段階の子宮粘膜。特に月経で排出されるものはどんな顔をしているのかという疑問への回答として。②結合組織に存在する細胞各種。「抗体をつくる形質細胞ってどんな顔?」への回答として。③各種の上皮組織。「粘膜とはなに?」「移行上皮の移行って何?」への回答として。④網膜。「網膜にある細胞って、神経細胞?」への回答として。⑤神経細胞。「神経細胞って大きいの?」への回答、⑤小腸「粘膜固有層にある細胞は何か」「リンパ管はどのように存在するのか」への回答として。その他、細胞から臓器のレベルに至るまでの全体像を撮影し、顕微鏡写真をを充実させた。
    3)アンケート内容を基盤を完成させた。
    今、倫理審査申請の段階にきているが、1)代表者や共同研究者の異動が考えられていたため、どの大学に申請すればよいかが決まらず、研究全体が難航している。
    2)これまでの期間は、コロナ禍のために事態が順調に進まなかった(各年度の報告書に記載)。3)教科書の指針を作るためには、解剖生理学関連の看護の教科書について国際的な動向を把握しておかなければないことが分かってきた。そこで、アメリカの教科書を精査しその内容を検討したが、この作業は新たに付加されたものであり、当初の研究計画が遅れる原因の一つとなった。
    令和6年度は、アンケートを実施し現場で必要な教育内容を抽出する。
    これにチームおの研究者自身の研究特性(顕微鏡レベルでの細胞の解析を含めて)を生かした看護技術習得のための基礎知識を加味して、教育を構築する。

  5. リンパ浮腫の早期発見のための基礎研究ー体表面の微量生体ガスに着目してー

    研究課題/研究課題番号:20K10684  2020年4月 - 2024年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    中西 啓介, 竹野 ゆかり, 大島 千佳, 間脇 彩奈, 藤本 悦子, 安藤 詳子, 本田 育美

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    担当区分:研究分担者 

    私たちの体の表面からわずかに出ている生体ガスは体内の様子を映しており、糖尿病の健康管理などに役立てられはじめていますが、リンパ浮腫には使われていません。リンパ浮腫はがんなどの手術によって、腕や足に浮腫(むくみ)を生じるものです。生体ガス測定は,検査に痛みはなく、短い時間で検査を終えられる利点があります。この研究の進め方は、まず動物研究でリンパに関係する生体ガスを幅広く調べ、その後に患者さんを集めて行う研究でリンパ浮腫に特徴的な生体ガスをわり出します。2020年4月現在において、新型コロナウィルスが世界的に猛威をふるっており、患者さんに協力を得ておこなう研究は安全を第一に展開していきます。
    動物実験および健常者から取得した病理的・生理的浮腫部位の微量生体ガスサンプルをガスクロマトグラフィー法で分析し、ターゲットを設定せずにその特徴量を網羅的に解析した。(実験1.ラット後肢のリンパ浮腫モデルを使った研究、実験2.マウス尾部のリンパ浮腫モデルを使った研究、実験3.生理的浮腫に特異的な微量生体ガス成分の探索)
    その結果、最大で1000を超える特徴量が検出された。今後、実験結果を統合し、さらに、既存の知見等を手掛かりとして将来性ある特徴量・候補物質を検索していく。
    本研究では、動物実験および健常者から取得した病理的・生理的浮腫部位の微量生体ガスサンプルをガスクロマトグラフィー法で分析し、ターゲットを設定せずにその特徴量を網羅的に解析した。その結果として見出された最大で1000を超えるリンパ浮腫・生理的浮腫の特徴量は、今後のリンパ浮腫のバイオマーカーとなる微量生体ガスの同定、さらには将来的に非侵襲的リンパ浮腫検知器の研究開発の端緒となる基礎的知見の創出に貢献するものとして、社会的・学術的意義を認めるものと考える。

  6. 下肢の筋・骨格系の手術を受ける高齢者の睡眠状態とその関連要因

    研究課題/研究課題番号:20K10716  2020年4月 - 2024年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    有田 広美, 藤本 悦子, 竹野 ゆかり, 矢島 直樹

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    担当区分:研究分担者 

    急性期病院において入院・治療を受ける患者は高齢であることが多く、二次的合併症のリスクは高い。下肢の筋・骨格系の手術(以下、下肢整形外科手術)を受ける高齢患者はせん妄を発症することが多く、誘発因子のひとつに「睡眠障害」が多数報告されている。本研究では、認知機能障害の有無や予定手術・緊急入院を問わず、下肢整形外科手術を受ける高齢者の睡眠を非装着型睡眠測定器という客観的な指標を用いて、術前から術後7日間まで測定して睡眠状況を明らかにする。さらに、痛み、日常生活動作など睡眠に影響を及ぼす要因を検討することで、下肢の筋・骨格系の手術を受ける高齢患者に対する睡眠促進ケアプログラムの基礎とする。
    本研究は腰椎、下肢の手術を受けた65歳以上の高齢患者に対して睡眠の変化と睡眠に影響する要因を明らかにすることを目的にマット型睡眠計を用いて手術前日から術後一週間の睡眠を測定した。膝・股関節手術群において睡眠は日ごとに分断され、減少していた。腰椎手術群の睡眠パラメーターは術前と術後の睡眠に差はなかった。腰椎手術と膝・股関節手術の2群間には睡眠パラメーターに有意な差はなかった。主観的睡眠感は腰椎手術群において術前よりも術後6日に悪化する傾向があった。
    本研究によって、ICU管理が必要な重症術後患者だけでなく、整形外科手術を受けた患者も夜間の睡眠リズムが乱れることがわかった。リハビリテーションが進んでいても睡眠障害や睡眠の満足度を得られていない患者や睡眠の乱れが回復してきても睡眠満足度は悪化したままであることが明らかになり、腰椎や膝・股関節手術後の患者の睡眠ケアの基礎資料となると考えられる。

  7. リンパ浮腫早期介入プログラム構築のための研究ー患部の内部構造に着目してー

    研究課題/研究課題番号:19K10925  2019年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    大島 千佳, 藤本 悦子, 中西 啓介, 間脇 彩奈, 竹野 ゆかり, 安藤 詳子

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    担当区分:研究分担者 

    がん治療後の続発性リンパ浮腫では、早期に発症の兆候を発見し治療を開始することが、重症化の防止に極めて重要であるが、患者の多くは、患肢の極端な腫脹などの自覚症状から受診に到るケースが多く、適切な介入の時期を逃している場合が多い。本研究では、がん治療開始前の患者を対象として、自覚症状に先行するごく初期における患部の変化を、客観性の高い指標であるMRIを中心に、超音波エコー、生体インピーダンス、皮膚計測器などを用いて、多角的に捉え、その特徴を経時的に比較検討することによって、リンパ浮腫に対する早期介入プログラム構築の基礎とする。
    本研究の目的は、がん治療開始前の患者を対象として、自覚症状に先行するごく初期における患部の変化を、客観性の高い指標であるMRIを中心に、超音波エコー、生体インピーダンス、皮膚計測器などを用いて、多角的に捉え、その特徴を比較検討することによって、リンパ浮腫に対する早期介入プログラム構築の基礎データを得ることである。今年度は、超音波エコーをリンパ液貯留の早期発見デバイスに用いる際の基礎データを得るため。乳がん治療関連浮腫における皮下組織内の体液貯留の検出に、「仮想体積を用いたフラクタル解析」を使用できるか否かを検証した。研究の概要は以下。
    (国際リンパ学会ステージⅡ)を発症した女性21名の患側上肢および健側上肢の皮下組織を、6-15MHzのリニアトランスデューサーを用いた超音波診断装置(Sonosite Edge II;ソノサイト社、富士フイルム)でスキャンした。その後、同一部位の液体貯留状況を、3テスラMR装置を用いて評価し、3群(高濃度領域あり=液体の貯留あり、高濃度領域なし=液体貯留なし、健側)に分類した。3群間で「H + 2」と「複雑さ」の両方に有意差が認められた(p < 0.05)。事後検定では「複雑さ」について有意差が認められた(Mann-Whitney U検定;Bonferroni補正 p < 0.0167)。ユークリッド空間における分布の評価では、健側、高濃度領域なし、高濃度領域ありの順に分布のばらつきが小さくなることが示された。以上より、「仮想体積を用いたフラクタル解析」の 「複雑さ」は、乳がん術後リンパ浮腫患者の皮下組織液貯留の有無を判定する際に、有効な指標となることが明らかとなった。なお今年度の研究成果は、Lymphatic Research and Biology (2023-2024 IF:2.349). に掲載された。
    コロナ禍における被験者(リンパ浮腫患者)数の減少が、今年度も改善されなかったため、これまでに得られたデータをまとめ、論文として公表した。
    これまでの研究活動で、多くの新知見を得ることができたと考える。最終年度の研究活動は、これまで得られた知見をまとめ、つぎの研究活動に寄与できる形に
    発信することである。

  8. リンパ浮腫評価指標の開発-皮膚表面構造はリンパ浮腫を評価できるかー

    研究課題/研究課題番号:19K10795  2019年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    間脇 彩奈, 藤本 悦子, 中西 啓介, 竹野 ゆかり, 大島 千佳, 川西 康友

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    担当区分:研究分担者 

    リンパ浮腫ケアのエビデンス構築にあたり、リンパ浮腫の程度を評価する統一した指標を作ることは喫緊の課題である。私たちはこれまでリンパ浮腫患者の皮膚の変化に注目して研究を行い、リンパ浮腫患者の皮膚表面構造は水分の貯留状況に合わせて変化していることを見出した。本研究では近年、多くの分野で画期的な効果をもたらしている人工知能や画像解析技術を、皮膚表面構造の画像解析法の解明に使用する。皮膚表面構造を数量化し、浮腫の程度との相関を明らかにすることで新しいリンパ浮腫評価指標を開発し、国内外のリンパ浮腫患者に使用できるツールの基礎とする。
    リンパ浮腫は慢性的なものであり、継続的なケアや診断が必要になるが、それらに要する労力は大きく患者の負担が大きい。この負担を軽減するために、統一した指標やケアのエビデンスを確立し、より簡便で適切なケアを検討することは喫緊の課題である。
    私たちはこれまでリンパ浮腫患者の皮膚の変化に注目して研究を行い、リンパ浮腫患者の皮膚表面構造が変化していることを観察してきた。本研究では、まだ多くのことが明らかにされていないリンパ浮腫患者の皮膚表面構造に着目し、リンパ浮腫の皮膚の評価とすることができるかを明らかにすることを目的としている。
    2022年度までに、皮膚表面構造の拡大画像を用いて皮溝と皮丘を明瞭化させるための処理方法、分析方法の検討、既存のデータを使用した画像処理および分析を行った。その結果、上肢リンパ浮腫患者の患側では皮丘面積の割合が大きくなる傾向が見られ、リンパ浮腫の特徴を表している可能性を示唆した。この結果は、2023年度に学会発表を行った。
    2023年度は画像処理について、作業の効率化や妥当性を向上させるためにプログラミングを作成し自動化を行った。その画像処理方法を用いて、健常女性の下肢で生理的に発生する浮腫前後の皮膚表面構造の変化について分析を行った。その結果、腓骨部付近の浮腫の程度が大きい部位では、皮丘割合が他の部位よりも大きくなるという結果が得られ、皮膚表面構造の拡大画像が浮腫の評価として使える可能性をさらに強化する結果となった。
    今後の課題として、超音波画像等皮膚内部構造の評価と併せて皮膚表面構造の拡大画像の評価を行う必要があると考えている。
    2022年度までに画像処理・解析方法を確立し、2023年度はプログラミングを作成、作業効率を上げて分析を行うことができた。また、健常女性の下肢で活動後に生理的に発生する浮腫の皮膚表面構造の変化についての調査、分析を行った。その結果、浮腫の程度が大きい部位では、皮丘割合が他の部位よりも大きくなるという結果が得られ、皮膚表面構造の拡大画像が浮腫の評価として使える可能性を支持する結果を得ることができた。
    しかし、圧痕測定法による浮腫評価に信頼性が低かったため、今後の課題として、超音波画像等の皮膚内部構造の評価と併せて皮膚表面構造の拡大画像の評価を行う必要があると考えている。
    健常人、患者含めて新規被験者のリクルートを行い、被験者数を増やしながらこれまで行ってきた画像分析方法の妥当性の検証を続ける。併せて、既存データを用いて、患者背景や浮腫の程度を示す他の指標、超音波画像の評価との関連性についても分析を進める予定である。また、これまでの結果を学会や論文にまとめ発表していく。

  9. リンパ浮腫の進展に伴う皮下組織とリンパ管の変化 -リンパ浮腫ケアと線維化-

    研究課題/研究課題番号:18K17458  2018年4月 - 2022年3月

    科学研究費助成事業  若手研究

    竹野 ゆかり

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )

    本研究の目的は、リンパ浮腫の進行に伴って生じる組織の線維化に対し、それを未然に防ぐためのケアを開発することである。
    リンパ浮腫モデルラットを作成し、浮腫肢の皮下組織に圧測定カテーテル(Millar)を用いて組織の圧測定並びに徒手ドレナージや圧迫療法を行った際にどれほどの圧が生じているかを測定した。
    測定値に多少のばらつきはあるものの、やや高めの圧迫を加えないとリンパは流れないことが明らかとなった。このことは、現在リンパドレナージの主流となっている優しいドレナージ方法とは異なっている。しかし、強い圧を長期的に継続して加えていくことにより、リンパ管や組織に与える影響については調べることはできなかった。
    リンパ浮腫は一度発症すると根治することはないと言われており、生涯にわたって悪化を防ぐための日々のケアが必要となってくる。しかし、リンパ浮腫の重症度に応じたケアは構築されておらず、リンパ浮腫診断後は一律なケアを提供している現実がある。リンパ浮腫を正確にアセスメントすることは難しく、国際リンパ学会の指標を用いてもその分類は曖昧である。患者のQOL向上のためには、患部を客観的にかつ正確に評価する必要があり、その上でリンパ浮腫の重症度に合わせたケアを提供することが望まれている。本研究は、そのようなリンパ浮腫評価の一端を担うものと考えている。

  10. 糖尿病を抱える続発性リンパ浮腫患者のケアに関する研究

    研究課題/研究課題番号:16H05563  2016年4月 - 2020年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    藤本 悦子, 中西 啓介, 間脇 彩奈, 竹野 ゆかり, 玉腰 浩司, 有田 広美, 大島 千佳, 安藤 詳子, 菊森 豊根, 永谷 幸子

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    担当区分:研究分担者 

    糖尿病患者のリンパ浮腫(乳がん手術時のリンパ節郭清による)のケアプログラムの構築を試みた。複合的療法をベースに様々な観点から検討した。
    MR画像からで、前腕の側に水分貯留が多いことが明らかになった。ドレナージはこの部位を念頭に実施すること、血糖との関係から血圧変動の安定している食後120分に実施することが推奨された。浮腫の状況を把握するには、従来の巻き尺や自覚症状による判定では不十分であることが分かり、MR画像や超音波画像診断画像の必要性が示唆された。セルフケアでは患者をエンカレッジするためにケアの効果を視覚的に捉えることが重要である。このために3Dスキャナーを使用することが考えられた。
    乳がん、糖尿病が急増していることを鑑みると、糖尿病をもつリンパ浮腫患者のケアが看護として益々重要になってくると考えられる。本研究結果は、ケアを実践する場合に、これまで戸惑っていたこと(今まで通りの画一的な方法でよいのか、いつどのように実施すればよいか、具体的な方法は?といったこと)について回答することにつながり、患者の利益に貢献すると思われる。なお、この「戸惑い」については、第14 回日本看護技術学会(2015)で交流セッションを開催し、臨床看護師を含む様々な立場の参加者と共に抽出、あるいは確認したものである。

  11. 集中治療室で鎮痛・鎮静管理を受けた重症患者の睡眠に関する研究

    研究課題/研究課題番号:16K12035  2016年4月 - 2020年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    有田 広美, 藤本 悦子, 竹野 ゆかり, 高山 裕喜枝

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    担当区分:研究分担者 

    本研究は、術後にICUに入室してJ-PADガイドラインに沿って昼は覚醒、夜は鎮静という鎮痛・鎮静管理を受けた患者の集中治療室入室中および一般病棟に帰室した後の睡眠覚醒リズムを明らかにすることを目的とした。心臓手術、消化器系がんで術後温熱療法、咽頭および下顎がんで皮弁再建術を実施した21名に、マット型睡眠計を用いて睡眠測定、睡眠感を調査した。ICU入室中よりも一般病棟に帰室後の中途覚醒時間が有意に増加し、睡眠時間、睡眠効率が有意に低下していた。J-PADガイドラインに沿って鎮痛・鎮静管理を行った患者の睡眠は良いように見えるが、その管理を中止して一般外科病棟に移動した患者の睡眠は障害されていた。
    本研究によって、ICU入室中は鎮痛・鎮静管理がマネジメントされており苦痛の訴えは少なかったが、一般病棟に移動後は夜間の睡眠リズムが乱れることがわかった。また、侵襲の大きい下顎がん皮弁再建術を受けた患者は気管切開の苦痛、思うように会話ができない苦痛も伴い、鎮痛・鎮静薬の投与が継続されても睡眠満足度は低いことがわかった。この結果から重症患者の鎮痛・鎮静管理終了後もさらに苦痛緩和および睡眠ケアを強化する必要性が示唆された。

  12. リンパ浮腫患者の睡眠障害に関する研究ー睡眠状況改善プログラムの開発ー

    研究課題/研究課題番号:15K11468  2015年4月 - 2019年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    大島 千佳, 藤本 悦子, 間脇 彩奈, 竹野 ゆかり

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    担当区分:研究分担者 

    リンパ浮腫治療において、最も治療効果を発揮しうる多層包帯法は、その圧迫感や可動制限などから、睡眠の質を下げる可能性が指摘されている。本研究は、健常者および乳がん治療後片側上肢にリンパ浮腫を発症した患者を対象に、就寝中の多層包帯法が睡眠に与える影響を検討したものである。その結果、多層包帯法は、健常者、リンパ浮腫患者の双方において、睡眠に影響を与えないことが明らかになった。本研究により、多層包帯法導入に伴う睡眠障害への懸念が払拭された。これまで、睡眠障害を懸念して多層包帯法の導入に踏み切れなかったリンパ浮腫患者も、今後は、より積極的に多層包帯法を取り入れ、継続使用できるようになると考える。
    がん患者は、不眠症や睡眠覚醒周期に障害をきたすリスクがきわめて高く、中でもリンパ浮腫を合併した患者では、がん治療終了後も睡眠障害が持続することが報告されている。2008年には、日本における乳がんの発生率と睡眠時間に関する研究報告が発表され、乳がんの発症予防・再発予防には適切な睡眠の確保が必要ということが、広く認知されるようになった。再発の不安を常に抱えるリンパ浮腫患者にとって、夜間帯の多層包帯法導入は、大きな不安を伴うものであったが、本研究により睡眠障害への懸念が払拭された。これまで多層包帯法の導入に踏み切れなかったリンパ浮腫患者も、今後は、安心してその恩恵にあずかることができるようになる。

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社会貢献活動 1

  1. リーダーシップ研修

    役割:講師

    2022年