科研費 - 柳瀬 明彦
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環境ストックと経済活動の相互依存と国際貿易に関する理論的研究
研究課題/研究課題番号:23K01407 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
李 綱, 柳瀬 明彦
担当区分:研究分担者
生産活動と自然環境と相互影響は多面的である。例えば、生産活動に伴う環境汚染物質の排出や再生可能資源の採取は、環境資源ストックにマイナスの影響をもたらす(これを生産活動の「環境負荷度」と呼ぶ)。同時に、酸性雨が農作物や建物に被害を与えるように、環境悪化は生産性や生産活動の水準に悪影響を与えることがある(これを生産活動の「環境依存度」と呼ぶ)。環境負荷度と環境依存度は、国・産業・企業の各レベルにおいて異なるものである。本研究は、経済理論にこれらの違いを取り入れ、グローバルな経済活動と環境ストックとの相互依存を解明し、貿易自由化が経済厚生に与える影響、環境・貿易政策のあり方を検討するものである。
本研究は、(1)環境負荷度や環境依存度が異なる国の間での貿易自由化が環境や経済厚生に与える影響、(2)環境依存度や環境負荷度が産業間あるいは企業間で異なる場合の貿易の環境・経済厚生的含意および環境・貿易政策を巡る政府間の戦略的行動、(3)閉鎖経済と開放経済それぞれにおける環境適応投資の動学的特徴と関連政策のあり方、という3つのサブテーマに取り組むものである。今年度は主に(1)のサブテーマに関して、以下の研究成果が得られた。
・環境負荷度や環境依存度が異なる2カ国2部門モデルを構築し、貿易の環境・経済厚生的含意に関する動学的分析を行った。
・貿易自由化により、各国は環境負荷の高い財(一国は資源財、他国は工業財)を輸出するようになるため、両国の環境ストックは長期的に閉鎖経済均衡よりも悪化することが示された。ただし、資源財輸出国の環境ストックは貿易移行期間を通して単調に悪化するのに対し、工業財輸出国の環境ストックは、定常状態に近づくにつれて改善に転じる場合がある。
・比較優位と貿易による経済厚生への影響の関係を明らかにした。資源財輸出国にとって比較優位が小さいほど、また、貿易による環境悪化(特に資源財輸出国の環境悪化)が大きいほど、比較優位の源泉である資源財部門の生産性が大きく低下し、両国が貿易から損失を被る可能性が高まる。
・両国の要素賦存量の組み合わせによっては、自由貿易下で複数の定常均衡が存在する。均衡間では、特化パターンや厚生水準が大きく異なる。一方の均衡からもう一方の均衡に移行すると、一国の経済厚生は改善するに対し、他国の経済厚生は悪化するため、均衡間の移行には両国の合意形成が困難である。
上記の理論モデルについて、研究代表者と研究分担者が複数の国内外の学会、研究会で研究報告を行い、有益なコメントを得た。これらの成果を論文としてまとめ、国際学術誌に投稿した。
「研究実績の概要」欄で述べたように、本研究課題の中心的サブテーマの1つに関する理論分析を行い、学術的に興味深い結果を導出した。それらを論文にまとめ、国内外の学会・研究会でも活発に研究成果の発信を行ったとともに、国際学術誌に投稿した。得られた結果はほか2つのサブテーマの分析にとっても有益なものである。今後は査読者のコメントを踏まえて改訂作業を行い、論文の早期掲載に努める。
(1)のサブテーマの投稿論文に関しては、査読者のコメントを踏まえ、論文の改訂を進めて早期の再投稿を目指す。
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次年度は、第2のサブテーマを中心に、産業間・企業間の環境負荷度・環境依存度の違いを考慮した貿易モデルの構築と、環境・貿易政策の戦略的側面の分析を進める。加えて、第3のサブテーマの環境適応投資の特徴分析にも着手する。
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新たな研究成果については、国内外の学会や研究会で積極的に報告して発信を図るとともに、ディスカッションペーパーの形でも随時公表する。関連の国内外の研究者を招聘して研究セミナーを開催し、意見交換を通じて新たな研究課題の探索を行う。 -
研究課題/研究課題番号:22H00841 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
玉井 寿樹, 柳瀬 明彦, 新居 理有, 藤田 真哉, 上口 晃
担当区分:研究分担者
2010年以降、世界で27カ国が1%以上の人口減少を経験しており、2019年から2050年にかけて55の国と地域で1%以上の人口減少が見込まれている(国連世界人口統計2019)。その中でも、日本は世界で他に類を見ない水準に高齢化が進み人口の減少が続く社会となっている。財源不足による社会資本の劣化と人口減少の負のスパイラルが続けば、経済の生産性低下と社会資本の便益格差に対する世代間での不公平性が高まり、社会的不満の増大が懸念される。本研究は人口減少という現実の経済環境の変化に対応可能な社会資本整備の制度設計・制度構築に関する政策的知見を提供することを目指すものである。
本研究の目的は、人口減少社会において、経済の生産性を維持し公平かつ安定的な富の分配を実現する基礎となる社会資本整備のあり方を明らかにすることである。本年度は研究期間の初年度にあたるため既存研究及びデータの整理と基本モデルの構築という基礎研究に注力し、人口構造と社会資本の相互作用とメカニズムを明らかにしてきた。
具体的には、地域・産業・世代間の各課題に関する先行研究・関連研究の文献調査・課題整理と人口構造変化と社会資本蓄積を取り入れた経済モデルの構築を行い基礎的な解析が完了した。その結果として、査読付き論文が2編のほか、査読なし論文(ワーキングペーパーを含む)が3編、図書が1編が公刊された。また、成果の一部は学会報告として国内外の主要学会にて報告されている(年次大会・研究集会など計8回)。
研究の主要な結果としては①交通インフラの整備により輸送コストを下げることができる環境下で各政府が政策ゲームを展開し公的資本形成が促される過程が描写できる分析の理論的フレームワークが構築されたこと、②企業規模が異なるなど異なった特性を持った経済主体が存在する状況でインフラの生産性効果がどういったメカニズムで機能するのかの手がかりが得られたことなどが挙げられる。これらにより、地域・産業における生産性の決定要因と人口構造が変化した場合に政策決定のプロセスを通じて公共投資の水準に与える影響及び公共投資の経済効果が明らかになった。
本年度は研究期間の初年度にあたるため既存研究及びデータの整理と基本モデルの構築が主たる目標であった。特に、地域・産業・世代間の各課題に関する先行研究・関連研究の文献調査・課題整理と人口構造変化と社会資本蓄積を取り入れた経済モデルの構築を完了することが求められていた。先の研究実績において詳述した通り、概ねこれらの目標に沿った研究が完成しており、次年度以降の研究の基礎を作ることができた。このような理由から、研究の進捗状況については概ね順調に進展していると判断している。
概ね計画通りに進展していることから、次年度は当初の予定通り、社会資本投資の財源調達を考慮した経済分析と所得分配面に着目した経済分析を実施する計画である。また、2024年度は人口動態が最適な財源構成に与える影響及び社会資本の蓄積を通じて所得分配に与える影響を明らかにすることを主たる目的として研究を推進する予定である。 -
研究課題/研究課題番号:23K22112 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
玉井 寿樹, 柳瀬 明彦, 新居 理有, 藤田 真哉, 上口 晃
担当区分:研究分担者
本研究は人口減少という現実の経済環境の変化に対応可能な社会資本整備の制度設計・制度構築に関する政策的知見を提供することを目指すものである。本研究では特に人口動態と社会資本の経済効果の相互作用に焦点を当て、(1)民主主義的政策決定過程のモデル化により政策と人口動態の相互作用を明らかにし、最適な社会資本投資政策を導出するとともに、(2)DSGEを応用したシミュレーション分析を用いた経済モデルと現実経済の整合性の検証を通じて、社会資本の経済効果に関する厳密な定量的評価と将来予測を提示する。
本研究の目的は、人口減少社会において、経済の生産性を維持し公平かつ安定的な富の分配を実現する基礎となる社会資本整備のあり方を明らかにすることである。本年度は社会資本投資の財源調達を考慮した経済分析と所得分配面に着目した経済分析を進めてきた。 その結果として、査読付き論文が6編が公刊された。また、 成果の一部は学会報告として国内外の主要学会にて報告されている(年次大会・研究集会など計9回)。 研究の主要な結果としては高齢化、将来予想、地域間競争などの現実的な要素を加味したインフラの望ましいあり方が明らかになった。具体的には、(1) 地域間競争について考慮した経済モデルをにより、雇用創出問題を加味した地域間競争下にあっては資本流出入に関連した雇用外部性の大きさによってはインフラ整備による政策競争が社会的に望ましくなることが示された。(2) 公債による財源を想定した場合に、利子率が成長率を下回る状況を想定し、建設国債によるインフラ投資が社会厚生を改善するための条件を導出した。(3)さらに、将来予想に関するバイアスが存在する場合に、民主主義的意思決定のもとで望ましいインフラ投資の政策ルールを導出した。これらに加えて、基礎的研究と関連して、(4)所得分配に関する研究成果と(5)国際貿易に関する研究成果も得られている。これらにより、財源調達や所得分配を考慮した場合の最適なインフラ政策のあり方が明らかになった。
本年度はの2つのワーキンググループの研究活動を軸にして、PFI (Private Finance Initiative) を含む社会資本投資の財源調達を考慮した経済分析と所得分配面に着目した経済分析を実施してきた。先の研究実績において詳述した通り、概ねこれらの目標に沿った研究が完了している。このような理由から、研究の進捗状況については概ね順調に進展していると判断している。
2024年度は、これまでに2つのの研究グループで検討した個別の課題に関する経済モデルを包括的な経済モデルに発展させる。また、統合された課題について社会資本整備に関する最適政策を導出することを目指している。それと同時に量的な政策効果を検証するために、経済モデルの解析・ 数値シミ ュレーションを進める。具体的には国内外の学術集会における最新の研究知見の収集及び分析を行い、研究組織及び組織外の共同研究者との意見交換を通じて、上記の研究を進めていき、適切なモデル設計を行うとともに、社会資本の蓄積を通じて所得分配をはじめとした経済活動に与える影響を明らかにする。2025年度は、拡張された研究ネットワークを活用し、研究組織内外との活発な議論によりこれまで の研究成果の精緻化をすると。また、現実に適応可能な最適政策を命題として確立する。さらに、本 研究課題の総括としての研究集会を開催するとともに、国内外の研究者との意見交換を通じて、研究成果から導かれる政策的知見を抽出する。 -
研究課題/研究課題番号:20H01492 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
柳瀬 明彦, 玉井 寿樹, 古川 雄一, 荒 知宏
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
グローバル経済の安定的かつ健全な発展の鍵を握る「貿易費用」と「生産性」という2つの要素に着目し、それらに影響を与える社会的基盤である「インフラ(産業基盤や生活関連の社会資本)」と「制度資本(教育、司法、政治システム、文化など)」の構築・整備のあり方を検討する。これにより、経済学の諸分野における発展と、現実の各種インフラ整備戦略および制度設計における方向性の提示と政策の立案に対する貢献を目指す。
本研究は、グローバル経済の発展において「貿易費用」と「生産性」が重要な役割を果たすことに着目し、それらに影響を与える「インフラ(社会的生産基盤)」と「制度資本(教育、司法、政治システム、文化など)」の整備のあり方を主に理論的に検討した。インフラ整備が貿易費用の削減を通じて貿易を促進するメカニズム、インフラが生産性に与える影響を通じて貿易や経済厚生に与える効果、制度設計が貿易費用や生産性の変化を通じて経済主体の行動や市場均衡に与える影響、の各トピックについて様々な理論モデルを構築し、分析を行った。また、いくつかの研究については、実証分析も行い、理論仮説がサポートされることを示した。
本研究は、「インフラ整備と貿易費用」「インフラ整備と生産性」「制度設計と貿易費用」「制度設計と生産性」の諸トピックについて、新たな経済学的知見を提供した。これにより、経済学の理論的発展に大きく寄与した。
本研究はまた、政府や民間部門がインフラ整備や制度設計を通じて貿易促進や経済成長をどのように達成できるかについての具体的な指針を提供し、実際の政策立案や戦略策定において有益な知見を提供した。本研究の成果は、グローバル経済の健全な発展に対して重要な政策的含意を与えるものとなる。 -
公共インフラの国際間供給戦略による世界経済のブロック化と国際貿易の理論的分析
研究課題/研究課題番号:20K01605 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
多和田 眞, 柳瀬 明彦
担当区分:研究分担者
近年の中国によるアジア地域への積極的なインフラ供給戦略は日本や欧米などのインフラ供給に影響を与えている。国家間のインフラ供給競争が、世界貿易ひいてはそれによる世界経済にどのような影響をもたらすかを考察する。特に本研究では国家間のインフラ供給戦略にもとづく公共インフラの供給が国際貿易を通してもたらす世界経済における国家間の貿易状況を見ていくことで世界経済が地域間でのブロック化につながる可能性を、理論モデルを構築して討するものである。
政府間での公共インフラの供給を一般均衡における政府間の戦略ゲームとして考え、財の生産に混雑の発生しない公共インフラを供給する2国間での貿易について、初めに伝統的な貿易モデルで、複数均衡の可能性を指摘した。そしてリカード的な一般均衡のゲームで、大国の方がインフラにより依存する財を輸出し、両国とも貿易利益を得ることを示した。この結果は従来の比較優位論と類似しているが、ゲームの場合には不効率な生産が生じる可能性と全ての面で同一な国の間でも貿易が生じる可能性が指摘できた。そこで詳細な分析で、非対称均衡の性質を明らかにし、財の生産に混雑を伴う公共インフラでは非対称均衡は存在しないことを示した。
近年の世界経済は中国の「一帯一路」構想とアメリカ・日本を中心とする「自由で開かれたインド・太平洋」構想の間での世界経済の覇権争いが顕著になっている。特にこうした国々が大規模な公共インフラを戦略的に供給することで、周辺諸国との貿易を自国に取り組み、貿易による勢力拡大を図り、自国の経済厚生を高めることにある。このような国家間の戦略的公共インフラ供給は世界経済のブロック化を促進させて、世界経済を悪化させる可能性がある。このような場合において、世界経済の悪化を防止するような経済的手段の考察に役立つと考えられる。 -
グローバル経済における戦略的インフラ整備に関する動学ゲーム理論分析
2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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グローバル経済における戦略的インフラ整備に関する動学ゲーム理論分析(国際共同研究強化)
研究課題/研究課題番号:16KK0079 2017年 - 2022年
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
柳瀬 明彦
担当区分:研究代表者
配分額:14430000円 ( 直接経費:11100000円 、 間接経費:3330000円 )
時間を通じた戦略的相互依存関係が存在する下での戦略的インフラ整備の諸トピックについて、動学ゲーム理論モデルを構築して分析した。(1)産業内貿易モデルの枠組みで、貿易費用を削減するインフラ整備を各国政府が戦略的に行う状況における、政策ゲームの均衡動学経路や長期均衡の性質を明らかにした。(2)少数の寡占企業と多数の独占的競争企業が共存する市場経済モデルの枠組みで、寡占企業によるR&D投資が知識資本の蓄積をもたらす状況における、寡占企業の様々な投資戦略を分析し、各戦略の下での均衡動学経路および長期均衡を導出し、その性質を明らかにした。
動学的最適化と非協力ゲーム理論を融合した動学ゲーム(微分ゲーム)理論を応用して物的インフラや市場インフラの整備における戦略的側面を明らかにする本研究は、インフラ整備を考慮に入れた国際貿易や企業行動に関する理論分析の発展に貢献するという学術的意義を持つ。また、現実の国際社会では各国がインフラ整備に関して主導権を握るべく鎬を削っており、経済のグローバル化が進んだ現在、インフラ整備のあり方もグローバル化とそれに伴う戦略的相互依存関係を考慮に入れて議論すべきであるといえる。本研究は、このような極めて政策的に重要な課題に対する学術的な取り組みであるという社会的意義を持つ。 -
グローバル経済における高質な市場形成のための戦略的インフラ整備に関する理論分析
2016年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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グローバリゼーションに伴う生産プロセスの変化と地球環境への影響
2016年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
馬 岩
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グローバル経済における高質な市場形成のための戦略的インフラ整備に関する理論分析
研究課題/研究課題番号:16H03612 2016年4月 - 2020年3月
柳瀬 明彦
担当区分:研究代表者
配分額:16510000円 ( 直接経費:12700000円 、 間接経費:3810000円 )
グローバル化の進んだ現代経済の健全な発展・成長において重要なカギを握る物的インフラと市場インフラのそれぞれの整備のあり方について、公共部門と民間部門の間の相互作用に着目しながら、理論的に検討した。
(1)物的インフラの輸出と融資に関する国家間競争の戦略的分析、(2)制度の変遷と競争形態・貿易構造の相互作用における動学経路の解明、(3)開放経済下の教育投資・研究開発を通じた知識資本ベースの経済成長、という3つのトピックにおける理論の構築と分析を通じて、グローバル経済の健全な発展・成長につながる「質の高い市場」を形成するためのインフラ整備のあり方に関する新たな理論的知見と政策的含意を導いた。
本研究から得られた新たな理論的知見は、国際経済学、公共経済学、経済成長論の諸分野における理論の発展に貢献をもたらす。それに加えて、研究成果から導かれる様々な政策的含意は、我が国の各種インフラ整備戦略における方向性の提示と政策の立案において重要な役割を果たすことになる。さらには、質の高い市場取引が達成され高い社会的厚生の得られるグローバル経済システムの実現に向けた日本の役割を明らかにすることにもつながる。 -
グローバリゼーションに伴う生産プロセスの変化と地球環境への影響
研究課題/研究課題番号:16H03617 2016年4月 - 2020年3月
馬 岩
担当区分:研究分担者
本研究課題では、タスク貿易の枠組みをより一般的な生産過程に拡張したグローバルサプライチェーンの理論を構築し、グローバリゼーションによるグローバルサプライチェーンの変化を解明し、その理論的帰結を国際産業連関表のデータを用いて実証的に分析した。また、外国直接投資からのスピルオーバー効果と企業のグローバル化の決定要因を理論と実証の両面から研究した。更に、人的資本の分布がタスク貿易に与える影響に関する理論研究を行い、実証研究のための仮設を提出した。最後に、生産プロセスの国際的分割とそれによるグローバルサプライチェーンの深化が地球環境に与える影響を理論的に分析し、環境保護政策の効果についても分析した。
グローバリゼーションの進展がグローバルサプライチェーンをどう深化させるのか、理論的に、そして産業連関表を用いて定量的に測ったことは、現在盛んに行われているグローバルサプライチェーンやグローバルバリューチェーンの研究を進める上で大きな学術的意味を持つ。また、外国直接投資からのスピルオーバー効果と企業のグローバル化の決定要因を分析したことにより、政策の効果を示すことで、多くの途上国で外商政策を形成する際に、有力なエビデンスを提供している。更に、持続的成長を可能にする環境規制や環境政策の効果を分析することを通し、現実の政策提言にもつながる。 -
観光立国による経済発展の可能性に関する経済理論の構築およびその実証
2015年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
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基準認証制度のハーモナイゼーションと地域貿易協定に関する理論的分析
2013年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
川端 康
担当区分:研究分担者
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内生的人口変動と国際貿易に関する動学理論の研究 研究課題
2012年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
太田代 幸雄
担当区分:研究分担者
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ストック外部性と戦略的相互依存関係の下での国際貿易に関する理論的研究
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者