科研費 - 松岡 健
-
相転移予混合気充填法とレーザー点火による気体力学的上限パルスデトネーション作動
研究課題/研究課題番号:17H04971 2017年4月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(A)
松岡 健
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:24050000円 ( 直接経費:18500000円 、 間接経費:5550000円 )
デトネーション波(超音速燃焼波)とは,既存燃焼方式では達成できない高い理論熱効率,コンパクトな燃焼器,瞬時高圧生成を実現する.本研究は,独自の手法である液滴パージ法とレーザー点火によって,間欠的なデトネーションサイクル(PDC)の気体力学的上限周波数での作動を目指す.
本研究では,PDCの全過程をシュリーレン法および高速度カメラで可視化し,1次元数値計算でモデル化できることを示した.また,従来の作動周波数を1桁向上させた2kHzでのPDC作動を達成した.デトネーション波遷移過程を最小化するため,レーザー点火システムを新たに構築し,投入エネルギーとブラスト波マッハ数の関係を明らかにした.
最も激しい燃焼モードであるデトネーション波を用いると,燃焼サイクルで最高の理論熱効率と高速燃焼による燃焼器の小型化を実現する.そのため,デトネーションエンジンは既存内燃機関の燃焼方式を置換するポテンシャルを有する.本研究の目的である「間欠デトネーションサイクル(PDC)の気体力学上限周波数での作動」によって,既存定常燃焼方式のエンジンとの性能比較が初めて可能となる.また,PDC全過程の可視化およびモデル化は,デトネーションサイクルの複雑な非定常流れを理解し,能動的に制御することにつながる. -
動的・液体推進剤回転デトネーションエンジン物理解明:弾道・軌道上フライト実証展開
研究課題/研究課題番号:23H05446 2023年4月 - 2028年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
笠原 次郎, 松尾 亜紀子, 船木 一幸, 羽生 宏人, 中田 大将, 江口 光, 内海 政春, 平嶋 秀俊, 川崎 央, 松岡 健, 伊東山 登
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
デトネーション(極超音速)燃焼を用いた推進機構が航空宇宙工学分野に革新をもたらしている.本研究では,「動的(Dynamic)」な回転デトネーションエンジンの性能及び「液体推進剤」のデトネーションエンジンの物理を解明する.「液体推進剤」デトネーションエンジンを,観測ロケットを用いた宇宙弾道飛行にてフライト実証し,地球周回軌道上でフライト実証する.以上により,航空宇宙工学分野において人類未到の新システムを出現させ,全く新しい学術を切り拓く.
-
デトネーションエンジンの物理解明: 宇宙飛行実証国際共同研究
研究課題/研究課題番号:23K200236 2023年 - 2029年
日本学術振興会 国際共同研究加速基金(国際先導研究)
担当区分:研究分担者
-
デトネーション能動制御インジェクタによる圧力ゲイン燃焼の原理実証
研究課題/研究課題番号:23H01603 2023年 - 2026年
日本学術振興会 科研費 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:15400000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:1200000円 )
-
予混合回転デトネーションエンジンによる圧力ゲイン機構の解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:23KK0082 2023年 - 2026年
日本学術振興会 国際共同研究加速基金(海外連携研究)
松岡健、川崎央、伊東山登
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:20930000円 ( 直接経費:16100000円 、 間接経費:4830000円 )
-
電気浸透流ポンプ駆動推力可変スラスタによる超小型衛星姿勢制御系の変革
研究課題/研究課題番号:22K18857 2022年6月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
松岡 健
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
近年、超小型衛星ミッションの多様化が加速度的に進んでいる。故に、ジェット推進による姿勢制御系(Reaction Control System、RCS)の小型高性能化が求められている。
本研究では、電気浸透流ポンプ(EOP)と過酸化水素を組み合わせたEOP駆動型推力可変スラスタによって目的を達成する。EOPをRCSに応用した場合、低い消費電力での1MPa程度の高い吐出圧、印可電圧による推力可変、可動部が存在しないなど、これまでのRCSの概念を変革する潜在的強みがある。本研究期間において、本RCSの成立性と優位性を示し、ブレッドボードモデルの構築を目指す。
電気浸透流ポンプ(EOP)は、多孔質セラミック材の両端に電界をかけることで流体が輸送される「電気浸透流現象」を利用したポンプである。EOPは機械的可動部がなく、1MPa程度の高い吐出圧を得ることができる。また、電圧を制御することで流量を制御することが可能である。これらの特徴から、EOPを用いた超小型人工衛星用スラスタは、従来のスラスタで必要であった剛直な加圧系を排除した単純なシステムで推力制御を実現することが可能であり、超小型衛星の高精度姿勢制御を実現する。
当該年度までに、EOPを用いた水および過酸化水素の送液、およびそのモデル化を完了した。その結果、印加電圧20~140Vに対して、体積流量が線形増加し、5~50μL/minの広い範囲での流量変化を確認した。加えて、過酸化水素と白金触媒を用いた1液式EOPスラスタの作動実証試験を実施し、燃焼器内圧の上昇(推力の発生)を確認した。しかしながら、EOPの送液流量とノズルスロート直径のミスマッチにより、間欠的な圧力上昇であった。本年度は、本課題を解決するため、EOPの大流量化を目指した多孔質セラミックス材の試作器を作成に特化して研究を進めた。具体的には、実証実験で使用した円筒セラミックス(直径3.3mm、長さ4mm)に対して、最大直径15mmおよび最大長さ6mmである。
来年度、大型EOPを用いた流量試験およびEOPスラスタ作動試験を実施し、定常推力およびその推力可変を実証する。
1年目までに、EOPの基本特性である流量Qと押し圧Pとの関係(Q-P線図)を、純水および過酸化水素を用いた実験および理論解析から明らかにした。
加えて、小型EOPを用いたスラスタのブレッドボードモデルを製作し、真空チャンバー内での作動試験を実施した。実験の結果、過酸化水素の送液、白金との触媒反応、燃焼圧力の上昇を確認し、本実証試験にてEOPスラスタの実現可能性を見出すことができた。しかしながら、燃焼圧力が振動し定常推力を達成できていないため、来年度に取り組む予定である。
また、定常推力を実証するために必要な大型の多孔質セラミックスを試作した。
以上の3点から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
今後は以下の3つの課題に取り組む予定である。
1.試作した大型の多孔質セラミックスを用いたEOPを試作する。送液能力に大きく影響する炭素電極と多孔質セラミックスとの接触方法に着目し、メッシュ等異なる手法を試みる。
2.試作した大型EOPを用いた純水と過酸化水素の送液実験を行い、構築したモデルが成立することの確認、および炭素電極接触方法の有効性を検証する。
3.過酸化水素と白金触媒で作動する1液式EOPスラスタを構築する。真空環境下での作動試験を実施し、定常推力およびその推力可変能力を実証する。 -
電気浸透流ポンプ駆動推力可変スラスタによる超小型衛星姿勢制御系の変革
研究課題/研究課題番号:22K1885 2022年 - 2023年
日本学術振興会 科学研究費補助金 挑戦的研究(萌芽)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
-
研究課題/研究課題番号:20K21046 2020年7月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
松岡 健
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
高機動姿勢制御によるガンマ線バースト観測や人口衛星フォーメーションフライトによる地球観測に代表される、人口衛星を用いた科学・商用ミッションの高度化・多様化が加速度的に進んでいる。本研究は、高度化する人口衛星ミッションに柔軟に対応するべく、高機動かつ高精度な姿勢制御が可能な間欠爆轟スラスタ(PDT)を提案する。小型・軽量なPDTシステムを用いた微小非定常推力の測定実験を実施し、スラスタとしての姿勢制御能力を明らかにする。本研究によって既存RCSとのトレードオフ検討が初めて可能となる。本研究は既存RCSの在り方を大きく転換させる潜在的優位性を有した挑戦的研究である。
パルスデトネーションスラスタ(PDT)は、筒状燃焼器内でデトネーション波(超音速燃焼波)を間欠的に生成することで間欠的な推力を取り出す、姿勢制御システムである。従来の1液および2液スラスタと比べて、繰り返し精度の高いインパルス生成、推力応答性の向上、周波数制御による推力スロットリングが可能である。
本研究では、JAXA観測ロケットS-520-31号機を用いて実宇宙空間でのPDT作動を実施した。その結果、2ヘルツで5サイクルのPDE作動を3回(計15回のPDEサイクル)を試み、93%の成功率を達成した。また、1サイクル当たりのインパルスは5%以内の高い繰り返し精度であった。
本研究では、パルスデトネーションスラスタ(PDT)が実宇宙環境で作動することを世界で初めて実証した。また、PDT作動によってロケット機軸周りの角速度を変化させることを示した。より高精度な衛星姿勢制御が期待できるPDTの作動実証は、大きな社会的意義を有する。また、間欠燃焼であっても燃焼器出口の絞りを設けることでPDTが作動し、想定通りの推力の生成を確認できた。実ミッションに向けた小型高性能のための作動モデルを構築できた点で学術的意義は高い。 -
研究課題/研究課題番号:20H02349 2020年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
松岡 健
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
爆轟波(ばくごうは)を用いた爆轟燃焼器は、高速燃焼による燃焼器の小型高出力化と既存燃焼サイクルで最高の理論熱効率を実現する。しかしながら、非定常燃焼器特有の煩雑さにより爆轟燃焼器の潜在的優位性は実験的に確認されていない。本研究の最終目的は、この優位性(供給ガス全圧に対する高い既燃ガス全圧)を実験的に立証し、実用化研究へつなげることである。この最終目的に対して、独自に提案した反射往復爆轟燃焼器を用いた3軸推力測定、燃焼器内部の圧力測定・可視化実験を同時に実施し、既燃ガス全圧の高精度推定法の確立および直接可視化観測によるその物理的な根拠付けを行うことが本研究の目的である。
極超音速燃焼波(デトネーション波)を用いた推進エンジンは、超高速燃焼による燃焼器の小型化、高い理論熱効率、衝撃波断熱圧縮による圧縮機簡素化を実現する、革新的推進エンジンである。現在までにデトネーション燃焼による圧力ゲイン(酸化剤全圧よりもデトネーションによって燃焼した既燃ガスの全圧が上回ること)は実験的に確認されていない。
本研究の最終目的は、既燃ガス全圧を高精度に評価し、圧力ゲインを阻害するメカニズムを明らかにすることである。当該年度は、回転デトネーションエンジン(RDE)におけるデトネーション波マッハ数(圧力ゲインを支配するデトネーション波強さの指標)を調査した。外径60mmの二重円環形状の燃焼器を用い、燃料としてエチレン、酸化剤として酸素を使用した。デトネーション波が伝播するインジェクタ面(燃焼器底部)付近に高応答圧力センサをフラッシュマウントし、推進剤質量流束を変化させた。また、燃焼器出口側を高速度カメラで撮影し、回転伝播するデトネーション波の伝播速度を測定した。
実験の結果、推進剤質量流束の増加に伴いデトネーション波伝播速度が微増した。しかしながら、デトネーション波通過前後の圧力差は低下した。また、逆流量の指標であるインジェクタ流体力学的閉塞率は減少した。この結果は、デトネーション波伝播速度が増加しても、デトネーション波マッハ数(伝播速度/混合気音速)が低下していることを示唆している。また、マッハ数減少の原因として、デトネーション波前面でのデフラグレーション燃焼が重要であることを示した(Noda et al., Acta Astronautica, 2023)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。 -
自律圧縮型デトネーション推進機の物理解明:高次統合化観測ロケット宇宙飛行実証展開
研究課題/研究課題番号:19H05464 2019年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究
笠原 次郎, 川崎 央, 江口 光, 松岡 健, 船木 一幸, 羽生 宏人, 内海 政春, 松尾 亜紀子, 平嶋 秀俊, 中田 大将, 渡部 広吾輝
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
デトネーション(極超音速)燃焼を用いた推進機構が航空宇宙工学分野に革新をもたらしている.本研究では,革新的な自律圧縮過程を有する多孔壁噴射器付直接冷却回転デトネーションエンジン及び,機体とエンジンの統合を実現するデトネーションユニットの研究を実施することによって,航空宇宙機の革新的高性能化と軽量化の原理を同時に解明する.また, 2023年には,観測ロケットの第3段にデトネーションエンジンを搭載してロケットとして世界最高性能の低軌道投入飛行プログラムの採択を目指す.
(1)多孔冷却面構造のデトネーションエンジンに関する研究に関しては、H3用リテンションスラスタ軌道上実証に向け水素ー酸素RDEで比推力415秒を達成。横壁からのインジェクションによって、C*性能を保ちながら、熱流束を半減できることを確認した。
(2)2024年7月打ち上げ観測ロケットS-520-34号機実験用液体推進剤デトネーションエンジンの作動に成功した。微粒化・気化過程を含む液体推進剤(エタノール-N2O )に対し、デトネーション伝播を高速度カメラで撮影に成功した。最大3秒の試験に成功し、理想的な推力を得た。観測ロケットS-520-34号機用デトネーションエンジンシステム2(DES2)PFM基本設計が完了した。充填形態、外筒取付後保管状態、フライト形態のDES2系統図を製作した。BBMの設計が完了した(2023.4試験予定)。PFMの基本設計が完了した(2023.12試験予定)。深宇宙探査に必須の上段用のエンジンが、デトネーション燃焼を利用することで小型化、高性能化されることが本実験で実証されている。深宇宙探査のための革新的かつフライアブルな新エンジンシステムを創造しつつある点で、社会的意義のある成果である。
(3)冬試験にて、液体推進剤デトネーションエンジンの作動特性実験を実施し、BBM・PFM用燃焼機部を製造し、単体試験を実施した。デフラグレーションモードで最大15秒の燃焼を達成した。液流し試験で流量係数を決定し、作動タイミングの最適条件を決定し、燃焼機-供給系の相互作用を理解した。
(4)N2Oの触媒分解ガスにて、エチレンの点火・保炎に成功した。デトネーションの伝播維持の代表特性である「反射点距離」に関して、極めて広い化学種・圧力・温度領域で定量決定法を確立した。
(1)自律圧縮爆轟現象の昇圧の理解に関して:内筒なしの先進的な定常準1次元レイリー・境界層発達内部流れのモデルを提案している。また、これまでの圧縮性流体力学の常識を覆すスロートのない、ダイバージングRDEロケット燃焼機がデトネーションンジンでは実現できることを発見している。エタノールー酸素システムでも3秒試験に成功し、BBM製造、PFM設計を完了している。
(2)圧力増加の限界値(10-1000)の解明に関して:回転型の高速バルブの研究を実施し、秒速1500 m/sでの開閉するバルブの原理実証に成功し圧力増大解明に道筋を見出している。また、バルブを用いない、静的な回転デトネーションエンジンに関しては、その最大値は、本グループが報告していた150%近傍であることが、世界的にコンセンサスを得る段階になっており、本グループの先見性が証明されている。また、プレナムから燃焼器にかけてのデトネーションの伝播による管路の閉塞に関する基礎物理を解明している。さらに動的RDEを提唱している。
(3)多孔冷却面構造のデトネーションエンジンの熱的特性の解明に関して:すでに、多孔冷却面構造のデトネーションエンジンは、熱平衡に到達する長秒の実験結果を得ている。わずか20 mm程度のエンジンにて、熱制御しながら高いC*効率(95%以上)の音速ジェットを生成可能であることが示された。水素ー酸素RDEで比推力415秒を達成した。このエンジンは、三菱重工業との共同研究にて、軌道上実証・実用化を目指すことになり、まさに世界を先導中である。
(4)デトネーションエンジンユニットに関して:観測ロケットS-520-31号機によるデトネーションエンジンシステム(DES)の宇宙フライトに成功し、大きな世界的インパクトをもたらした。さらに観測ロケットS-520-34号機実験に採択され、2024年度の打ち上げが決定している。
以上のように、項目(1)-(4)で当初の計画を大きく超える研究の進展があった。
(1)自律圧縮爆轟現象の昇圧メカニズムの理解:研究が軌道にのった実験装置にて、なるべく広範囲のパラメータでさらに実験を展開する。ダイバージングRDE、液体燃料・酸化剤、先進推進剤での実験・数値解析をより包括的に行い、実験研究を完了させる。
(2) 圧力増加の限界値(10~1000)の解明:動的RDE研究に展開する。高い昇圧性能を証明し、推力特性を評価し、優れた比推力を生み出し得ることを検証する。当初の計画どおりにすすまない場合は、観測ロケット実証試験の結果の解析に重点を移す。
(3) 多孔冷却壁面構造のデトネーションエンジンの熱的特性を解明:水素燃料を含め、熟成した実験装置にて、なるべく広範囲のパラメータで実験を展開する。熱流動構造を定量化できるに十分なデータの取得を目指す。特に燃焼器内部での熱交換と断熱層の構造に着目した研究を展開しつつ、早期の軌道上実証を目指す。
(4) デトネーションユニットと機体統合推力空力特性の解明:観測ロケットS-520-34号機での宇宙飛行実証実験をすすめる。アレイ化したデトネーションユニットを設計製造し飛行試験にて、揚力、抗力、回転力、推力を計測する。胴体及び翼形状に対し、ユニットアレイを統合させ、飛行実験を行う。機体の統合性能として、揚抗比(L/D)、推力、比推力(Isp)、燃料消費率(TSFC)を実験的に取得する。また、回転トルク計測結果から、姿勢の変更がどの程度の範囲で可能なのかを検証する。また、翼(機体)姿勢の安定性を十分な確保できるかを調査し、縦、横、方向の安定微係数を実験的に決定する。この計測結果から、既存機体とは異なるエンジン機体統合形状ユニットを提案する。 -
反射往復型デトネーションサイクル伝播維持機構の解明とその工学的長所の探求 国際共著
研究課題/研究課題番号:18KK0404 2019年 - 2022年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
松岡 健
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:15470000円 ( 直接経費:11900000円 、 間接経費:3570000円 )
最も激しい燃焼モードである爆轟波(デトネーション波)を用いたデトネーションサイクル(DC)は既存燃焼サイクルで最高の理論熱効率と高速燃焼による燃焼器の小型化を実現する。本国際共同研究では、新たに提案した受動的デトネーション制御手法である反射往復型デトネーションサイクルに対して、デトネーション研究の第一人者であるCalifornia Institute of Technology(Caltech)のJoseph E. Shepherd教授と共同でその伝播維持機構および工学的長所を明らかにし、受動制御型デトネーションサイクルを世界に先駆けて確立する。
連続的なデトネーション伝播が可能な回転デトネーションエンジン(RDE)や反射往復デトネーションエンジンは、伝播速度の遅い亜音速燃焼を利用した既存推進エンジンと比較して、10~20%の理論熱効率向上、約1000倍の伝播速度による燃焼器小型化、DW自身での昇圧効果による圧縮機簡素化を実現する。しかしながら、非定常燃焼器特有の煩雑さによりデトネーションエンジンの潜在的優位性であるPressure Gain(PG)は実験的に確認されていない。本国際共同研究では、予混合RDE基礎実験設備を構築した。本装置を起点にPGを阻害する物理メカニズムを解明するための国際的な基礎研究フレームワーク形成につなげる。
RDEの概念自体は1950年代に提案されていた。2010年頃から光学可視化・計測技術の高速化に伴い再び着目され始めた。Elsevierが提供する文献データSciValによると、RDEに関する論文数は2017年の77件から2021年の177件と約2.5倍増加し、今後も増加する傾向である。このようにRDE研究が活発化している一方で、RDEのPG性能に関する統一的な研究体系は存在しない。故に、本国際共同研究は「PGを阻害する物理メカニズムを明らかにするための基礎研究フレームワークを早期に確立し、RDE実用化のためのブレイクスルー技術の創出につなげる」意義がある。 -
航空宇宙機用タービン革新:デトネーション半径方向末広超音速タービンの物理解明
研究課題/研究課題番号:18KK0127 2018年10月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
笠原 次郎, 松尾 亜紀子, 船木 一幸, 松岡 健, 川崎 央
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
申請者らの超小型デトネーション燃焼器による超音速ジェットを、米国研究者らが着想した超音速流ラジアルタービン(半径方向外向きに流れながら、流路は拡大し,速度は増加する)に吹き込むことで,極めて小型で高効率な航空宇宙用(超軽量・高効率)タービンが実現可能との見通しを得ている。しかしながら、そのような小型デトネーション燃焼器+超音速流ラジアルタービンの物理機構は十分理解できていないない。そこで、本研究では、(1) 申請者らは小型デトネーション燃焼器を製作し、スロートなしの超音速ジェット生成メカニズムの解明を担当し、(2) 米国側は新規着想の超音速タービンの機構を解明し、流れ係数、段負荷ファクターなどタービン特性を求め、さらに、(3) 申請者らと米国側研究者で,米国側研究室にて装置を結合し、小型デトネーション燃焼器+超音速流ラジアルタービンのシステム物理実証を行い、システムとしての物理特性を解明する。
平成30年度、令和元年度は、月1回の会議を開催しつつ日本側は小型デトネーション燃焼器の設計・製作を行い高い燃焼効率を達成した。米国側は、新規着想の超音速タービンの機構を設計し、供給部等を含め、可視化研究を実施した。さらに、2019年9月19日、20日の米国(Purdue大)での共同での実験実施に向けて独自インターフェイスの検討・設計・製作を行った。日本側では、予定された流量での燃焼試験(透明円筒管による可視化・軸方向の圧力分布計測等)を完全に完了し、AIAA Journalへ論文投稿中である。 -
機体とエンジンの融合を目指す:デトネーションアクチュエータの研究
研究課題/研究課題番号:17K18937 2017年6月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
笠原 次郎, 松尾 亜紀子, 船木 一幸, 松岡 健, 川崎 央
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
内筒なしのデトネーションアクチュエータを開発し、高速ジェットの推力特性を測定し、理論性能(適性膨張を仮定した場合)の90%以上の推力が発生することを確認した。アクチュエータは、制御信号のONが入力されば、燃料(エチレン)と酸化剤(酸素)のバルブが開となり、燃焼器部に気体が投入され、点火し、回転デトネーション波が発生し、音速の高速ジェットを生成でき、OFFにすると、停止する仕組みとした。エンジンの応答時間は100 ms、Ispは 242 secを達成している。可視化計測でも結果を確認した。また、窒素フィルム冷却機構を開発し、壁面への熱流束を抑制可能であることを実験的に確認した。
本研究にて特性を解明するデトネーションアクチュエータを、ロケット初段胴体下部にアレイ化し、一体化した場合、大推力を得ることができ、同一直径で既存ロケットの数倍の推力を達成できる。さらにアクチュエータを機体構造材として利用することによって、既存液体ロケットの構造効率を削減可能であり。ロール含む3 自由度の制御が可能になり、再使用帰還用軌道制御エンジンとしても使用可能である。また、多数のアクチュエータを使用することで、信頼性が各段に高まる。つまり本研究は、エンジンと機体を統合することで、これまでの液体ロケットを超えた高性能の航空宇宙機を創造するという点で、挑戦的な意義を有している。 -
革新的な自律圧縮爆轟物理機構の解明:多孔壁噴射器付円盤回転デトネーションエンジン
研究課題/研究課題番号:17H03480 2017年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
笠原 次郎, 松尾 亜紀子, 船木 一幸, 松岡 健, 川崎 央
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
(1)自律圧縮爆轟現象の昇圧メカニズムの解明研究に関しては、低圧力損失インレットの設計を実施した。(2)自律的な圧力増加の限界値の解明研究に関しては、圧力ゲインを目指した内側噴射型の回転デトネーション燃焼器の設計を実施した。(3)多孔冷却壁面構造のデトネーションエンジンの熱的特性の解明研究に関しては、フィルム冷却型のインジェクターを搭載した回転デトネーション燃焼器の設計を実施した。以上の設計と並行して、ロケットシステムの検討をあわせて実施し、革新的な回転デトネーションロケットエンジンの実現への道筋を明かにした。これらの研究成果は、ICDERS等の国際会議の基調講演・招待講演で発表し、高く評価されている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。 -
燃料液滴パージ法によるパルスデトネーションエンジンのkHz高周波数作動
研究課題/研究課題番号:26820371 2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
松岡 健, 遠藤 琢磨, 松尾 亜紀子, 笠原 次郎, 渡部 広吾輝, 瀧 春奈
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
デトネーションサイクルは,燃焼サイクルで最大の理論熱効率と燃焼器小型化を同時に実現する.パルスデトネーションサイクル(PDC)は,燃焼器中でデトネーションを間欠的に生成し,この繰り返し周波数増加によって推力密度が増加する.本研究では,独自の手法である燃料液滴パージ法に,新たに酸化剤高速充填手法(特願2015-251952)を導入した.内径10mm、全長100mmの燃焼器での1010ヘルツのPDC作動実験を実施し、酸化剤供給圧力を242%増加させることで、DDT距離・時間を約50%短縮されることに成功した。最終的に,1916ヘルツの繰り返し周波数を達成し,従来の周波数のオーダーを1桁向上させた.
-
液滴パージとレーザー点火によるパルスデトネーション技術の高度化
研究課題/研究課題番号:26289323 2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
遠藤琢磨
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
液滴パージとレーザー点火によるパルスデトネーション(PD)技術の高度化を目的に研究を行った。液滴パージによるPD技術の高度化については、技術の熟成段階に入った。具体的には、PD燃焼器の運転条件を変えた際に液滴パージに関する運転パラメータを如何に調整するかについて、その調整手順を確立し、種々の運転条件に対応できるようになった。レーザー点火によるPD技術の高度化については、技術がまだ未熟なので、単純な系を使った基礎研究を進め、静止した可燃性混合気および100 m/s程度までの高速で流れる可燃性混合気を使い、レーザー点火の特性を従来型のスパークプラグ点火の特性と比較して明らかにした。
-
液体燃料を用いた液滴パージ法による革新的実用型パルスデトネーションエンジンの実証
研究課題/研究課題番号:25889033 2013年4月 - 2014年3月
科研費 研究活動スタート支援
担当区分:研究代表者
-
MHz級デトネーションエンジンの物理機構解明:バルブ共振型と回転爆轟波型エンジン
研究課題/研究課題番号:24246137 2012年4月 - 2015年3月
科研費 基盤(A) 基盤研究(A)
担当区分:研究分担者
-
新形式の既燃ガス掃気法・バルブシステムを用いたパルスデトネーションエンジンの実証
研究課題/研究課題番号:12J03831 2012年4月 - 2013年3月
科研費 特別研究員奨励費
担当区分:研究代表者
-
デトネーション共振機構を用いた推進システムの実証
研究課題/研究課題番号:10J00996 2010年4月 - 2012年3月
科研費 特別研究員奨励費
担当区分:研究代表者