科研費 - 阿部 秀樹
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ペプチドと嗅覚の交差点:神経ペプチド放出は餌の匂いを繁殖の匂いに変えるか
研究課題/研究課題番号:24K09529 2024年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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神経修飾ペプチドGnRH3は脳内で如何に放出され、感覚神経回路を修飾するのか?
研究課題/研究課題番号:19K06762 2019年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
阿部 秀樹
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
魚類性行動の動機づけ制御に関わる終神経GnRH3 ペプチド神経系をモデルとして、神経修飾ペプチドによる脳内神経回路調節機構を明らかにすることを目的とする。
① GnRH3 ニューロン特異的に開口放出センサータンパク質を発現するトランスジェニック(TG)メダカを使用したin vivo / in vitroイメージングによって、脳内ペプチドニューロンの放出動態と近接ニューロン間での同期したペプチド放出制御機構を明らかにする。
② GnRH3 ニューロンによる視覚神経回路に対する神経修飾作用をTGメダカを用いたGnRH3放出誘導/抑制によって中枢視覚回路・視覚性行動に生じた変化を解析することで検証する。
魚類性行動の動機づけ制御に関わる終神経GnRH3 ペプチド神経系をモデルとして、神経修飾ペプチドが脳内神経回路を調節するメカニズムを明らかにすることを目的として、① 開口放出センサータンパク質SynaptopHluorin (SpH)をGnRH3ニューロン特異的に発現するgnrh3:sphトランスジェニック(TG)メダカ脳の ex vivo標本を用いて、稚魚脳内GnRH3ニューロンからライブイメージングを行い、バースト発火期の脳内GnRH3ニューロン細胞体・軸索に於ける自発的な開口放出を検出・解析した。
その結果、開口放出を反映する一過性SpH蛍光強度上昇がGnRH3ニューロン細胞体・軸索の両方で見られたが,その発生頻度は細胞体・軸索共に少な(5 分間で0 ~ 5 回)かった。また、一過性SpH蛍光強度上昇には持続時間が異なる2パターンが存在することが蛍光強度変化の時間推移の解析から明らかになった。さらにGABAA受容体阻害によってGnRH3ニューロンへの興奮性シナプス入力を増大させたところ、そのうちの1イプののSpH蛍光強度上昇頻度が増加することが明らかとなった。
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また、②シナプス小胞と有芯小胞を区別できないgnrh3:sph TGメダカの欠点を補うために、新たに有芯小胞のみで開口放出に伴って蛍光強度が変化するgnrh3:npy-phluorin系統の作出を試み,現在系統を増殖させ,生理実験に必要な個体数が確保され次第,SpH TGメダカで行った同様のイメージング実験を行い,蛍光強度変化の性質を比較する予定である。
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さらに③ 人工リガンドに対する人工受容体(DREADDs)をGnRH3 ニューロン特異的に発現するTG メダカの作製を行った。
稚魚脳ex vivo標本を用いたイメージング結果から脳内GnRH3ニューロンにおける自発的な開口放出頻度が想定よりも低いことが判明した。そのため単純に光シート顕微鏡を使用して自発的開口放出現象を記録して,そのkineticsを解析使用と思っても定量的なデータを得ることが困難なことが判明した。
またGnRH3ニューロン特異的にDREADDsを発現するTGメダカ系統の作出に時間がかかっている。
GABAA受容体阻害による興奮性シナプス入力の増大がGnRH3ニューロンからの開口放出を促進することが判明したが,より緩徐・持続的に興奮を催す薬物の潅流・光シート顕微鏡観察時に使用する寒天ゲルに溶かし込むことによって,高頻度にSpH蛍光強度上昇を発生させ,そのkineticsの定量解析を試みる。
またGnRH3ニューロン特異的にDREADDsを発現するTGメダカについては現在導入コンストラクトの再設計を行い,遺伝子導入を奨めている。 -
フグによるテトロドトキシン認識の分子機構の解明
研究課題/研究課題番号:17K19195 2017年6月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
西川 俊夫, 阿部 秀樹
担当区分:研究分担者
テトロドトキシン(TTX)は、フグ中毒の原因物質として知られる有名な海産天然物である。本化合物が強力な毒性を示す事から、フグはこれを防御物質として利用していると考えられている。一方で、フグはTTXに誘引されるという興味深い報告がなされてきた。そこで、本研究では、TTXによるフグ誘引の分子機構を明らかにするために、1)化学合成によって合成したTTXとその誘導体を使ってフグの嗅上皮応答(EOG応答)を示す物質を特定する、2)行動実験によって実際にフグを誘引するか確認する、3)フグによるTTX関連物質の分子機構を明らかにする、ことを目的としている。
初年度はTTXアナログを合成した。合成したアナログは以下の6種類である。Anhydro-trideoxyTTX,4-epi-trideoxyTTX, 5-deoxyTTX、anhydro-5-deoxyTTX, 5,6-dideoxyTTX, anhydro-5,6-dideoxyTTXを合成した。しかし、これらを使ったEOG実験は、フグのEGO応答を測定する実験技術の習得に時間がかかり、まだ行っていない。一方、予備実験でEOG応答を示したtrideoxyTTXを使って、様々な方法で行動実験を試みたが、クサフグの個体が大きく、また周囲のわずかな環境変化に敏感などの原因で、これまでのところ成功していない。 -
神経ペプチドの細胞内輸送~放出と行動の動機づけに関わる神経回路修飾を光でさぐる
研究課題/研究課題番号:16K07435 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
阿部 秀樹
担当区分:研究代表者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
終神経GnRH3ペプチド神経系をモデルとして、単一ペプチドニューロンの開口放出動態と感覚神経回路修飾を解析した。その結果、①単一ペプチドニューロン内で細胞内Ca2+上昇機構に局在がみられ、細胞体・神経突起ではL型Ca2+チャネル、遠位神経突起ではN型Ca2+チャネルを介したを介したCa2+流入が開口放出に主要な寄与をしていることが示唆された。②GnRH3ニューロン特異的に開口放出センサー、シナプトフルオリンを発現するトランスジェニックメダカ系統を樹立し、脳内GnRH3ニューロンからの開口放出の可視化に成功した。③全身性投与によって視運動性眼振に対するGnRHの急性修飾作用が示唆された。
単一ニューロンレベルでの動態が不明であった神経ペプチドの開口放出を、蛍光タンパク質による開口放出センサーを遺伝子導入したトランスジェニックメダカを作成することで、in vitro/ invivo で計測可能とした。これによって脳内におけるペプチド放出動態とその制御機構を解明するための基盤を作り出した。他のペプチドニューロンでも神経ペプチドの放出が神経突起のみならず細胞体からも直接生じることを実測することができ、これらの細胞内領域による放出動態制御は他の神経ペプチド産生ニューロンでもその存在が推測されており、ペプチドニューロンに共通した放出制御機構を探るツールとなる可能性がある。 -
魚はどのようにものを見ているのかー魚類視覚系の研究
研究課題/研究課題番号:15K14803 2015年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
山本 直之, 阿部 秀樹
担当区分:連携研究者
網膜から中脳視蓋と間脳の前視床核を経て大脳背側野へといたる神経回路が存在することがほぼ明らかとなった。ただし、視蓋には視覚以外にも側線感覚、聴覚、触覚なども到達しており、実際にこの回路がどのような感覚を中継しているのかを確定する必要があった。さらに調査した結果、前視床核に投射する視蓋ニューロンは網膜線維が分布する網膜の層に樹状突起を伸ばしていることがわかった。上記回路は網膜から終脳にいたる視覚路であることがわかった。
神経活動マーカーを用いて、機能的面から視覚刺激に応答する脳領域の調査を行った。ある程度の成果がでている状況である。 -
ペプチドによる神経回路修飾の動態を単一ニューロン~神経回路レベルで俯瞰する
研究課題/研究課題番号:25440166 2013年4月 - 2016年3月
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
阿部 秀樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
単一細胞レベルでのペプチド放出とその神経回路修飾機構について終神経GnRH3神経系をモデルとして以下の研究を行った。①キンギョ嗅球を分散培養し、終神経GnRH3ニューロンとその神経修飾対象である嗅球構成ニューロンを含んだ共培養系を作出した。②培養終神経GnRH3ニューロンに開口放出センサータンパク質を発現させて分泌小胞移動と開口放出を解析した。③GnRH3による魚類中枢視覚神経回路の修飾を解析するため覚醒・不動化状態のメダカから単一視蓋ニューロン活動を記録して局所光・運動刺激に対する受容野構造を解析すると共に、視蓋脳室周囲ニューロンの興奮性がCa2+依存性K+電流により抑制されることを示した。
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単一ペプチドニューロンにおける興奮~開口放出過程のリアルタイムイメージング
研究課題/研究課題番号:23770072 2011年4月 - 2013年3月
文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)) 若手研究(B)
阿部秀樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
ペプチドニューロンが多様な環境変化に対応して柔軟に個体活動を調節する機構の基盤である単一ペプチドニューロンが示す入出力関係を明らかにすることを目的として、魚類終神経GnRH ニューロン単離培養系と、同ニューロンへの外来遺伝子導入法を活用し、単一ペプチドニューロンにおける有芯小胞からのペプチド分泌動態に神経活動が及ぼす影響の解析を試みた。その結果、単一ペプチドニューロン細胞局所での分泌小胞移動、開口放出イベントの計測が可能となり、また開口放出の成因となる発火パターン制御に重要なイオン機構を解析した。
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単離培養GnRHニューロンを用いたペプチド開口放出動態の細胞生理学的解析
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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ペプチドニューロンによる神経回路機能修飾の分子・細胞メカニズム
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 特定領域研究
担当区分:研究分担者
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多機能性GnRHペプチド神経系の生物機能を包括的に理解する
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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スライス培養系を用いたペプチド神経修飾細胞からのペプチド分泌機構の研究
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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スライス培養系を用いたペプチド神経修飾細胞からのペプチド分泌機構の研究
研究課題/研究課題番号:17770059 2005年 - 2007年
文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)) 若手研究(B)
阿部 秀樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
脳内に極めて広く投射して広範な脳部位で神経修飾作用を持つと考えられる終神経(TN)-GnRH系について、「TN-GnRHニューロン細胞体における自発活動が広範囲に分枝した神経突起末端での細胞内Ca^<2+>濃度変化、ひいてはペプチド放出にいかなる影響を与えるのか」を明らかにするために、TN-GnRHニューロンの特徴的形態を培養下で再現し、電気生理、各種イメージング、分子生物学的手法などを有機的に融合して多面的に上記疑問に迫るという研究の着想に至った。
本年度は昨年度培養方法を確立したTN-GnRHニューロンの単離培養系を使用して、
1.単離培養環境下におけるTN-GnRHニューロンの神経突起伸長パターン・軸索-樹状突起分化に関する形態学的解析を行い、(1)生体内における同ニューロンと同様の神経突起伸長パターンが培養環境下で再現されることや(2)軸索-樹状突起分化、(3)単離TN-GnRHニューロン同士が培養環境下で相互結合を示すことが明らかとなった。
2.また、同ニューロンの電気生理学的特性を解析したところ、(1)従来研究に用いてきた急性脳ブロック標本で観察された規則的自発発火活動が消失し、やや脱分極した状態で閾値下の膜電位振動を示すことが明らかとなった。(2)しかしながら過分極性に直流電流を通電した状態でパルス状に脱分極刺激を行うと、一過性、または持続性に活動電位が誘発され... -
行動の動機付けの神径機構に関するイメージングとテレメトリーを用いた研究
研究課題/研究課題番号:17657027 2005年 - 2006年
文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究
岡良隆, 赤染康久, 阿部秀樹, 赤染 康久, 阿部 秀樹
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
一般に中枢神経系における情報処理は、ニューロン間のシナプス結合によって形成される神経回路において正確なアルゴリズムにしたがって行われる。一方、動物は一般に外界からの入力に対して常に一定した応答を示すのではなく、多様な環境の変化に対応して適応的かつ合目的的に柔軟に応答する能力を備えている。我々は、このとき神経回路機能に柔軟性を持たせる重要な役割を演じているのがペプチド神経系であると考えている。申請者の従来の研究結果から、終神経系において産生されるペプチド、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、実際にはホルモンとしては働かず脳内の広範囲に神経突起を投射し、そこからGnRHを放出して神経修飾作用を持つことが示唆されている。さらに、GnRHによる神経修飾作用は、動物行動の動機付け調節という重要な脳内機構の基礎であろうと考えられる行動学的証拠を得つつある。そこで本研究では、遺伝子導入を用いた特異的ニューロン破壊やテレメトリーといった先端技術を用いて動機付け調節の神経機構の解明に迫ることを目的とした。本年度は、行動中の動物の終神経GnRHニューロンからのテレメトリーを用いたニューロン活動記録を行うための装置の開発とin vitro脳標本を用いた予備実験を行った。研究協力者である工藤雄一博士が従来のテレメトリー装置をさらに軽量化し、自重1グラム以下のデバイスの作成に成功した。そこで、ド...
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研究課題/研究課題番号:17023016 2005年
文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究) 特定領域研究
岡良隆, 赤染康久, 阿部秀樹, 赤染 康久, 阿部 秀樹
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
一般に中枢神経系における情報処理は、ニューロン間のシナプス結合によって形成される神経回路において正確なアルゴリズムにしたがって行われる。一方、動物は一般に外界からの入力に対して常に一定した応答を示すのではなく、多様な環境の変化に対応して適応的かつ合目的的に柔軟に応答する能力を備えている。このとき神経回路機能に柔軟性を持たせる重要な役割を演じているのがペプチド神経系である。申請者の従来の研究結果から、終神経系において産生されるペプチド、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、実際にはホルモンとしては働かず脳内の広範囲に神経突起を投射し、そこからGnRHを放出して神経修飾作用を持つことが示唆されている。GnRHペプチドによる神経修飾作用を解析するため、まず脳内のGnRH受容体をクローニングしたところ3つの型に分類できる受容体を同定できたので、その脳内分布をin situ hybridizationにより調べた。その結果、糸球体神経核CGにそれらの発現が見られたので、今後CG構成細胞に対するGnRHの神経修飾作用を解析する。一方、GnRHニューロン自身もGnRH受容体を発現していることが単一細胞RT-PCRによっても確認できたことから、GnRHニューロンの放出するGnRHによる傍・自己分泌的な神経修飾作用がGnRHニューロン細胞塊ネットワークに及ぼす影響を解析した。その結果、Nお...
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ペプチド神経修飾系の生物機能に関する分子から行動レベルまでの横断的研究
研究課題/研究課題番号:15370032 2003年 - 2005年
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B)) 基盤研究(B)
岡良隆, 松田学, 赤染康久, 阿部秀樹, 松田学, 赤染 康久, 阿部 秀樹, 松田 学
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
1)GnRH開口放出とイオンチャネル活動・細胞内Ca^<2+>濃度のリアルタイム同時測定従来の岡らの研究成果から,環境の変化は神経伝達物質やホルモンという形で神経系・内分泌系の信号を生成することにより終神経GnRHニューロンの細胞膜に存在する伝達物質・ホルモン受容体を活性化し,それと共役する細胞内情報伝達機構によって,終神経GnRHニューロンの細胞体および脳内に広く分布する神経突起からのGnRH放出量を調節し,これによって,広範囲の神経系の機能を修飾して動物の神経系が環境の変化に柔軟に適応することを可能にする,と考えられる。このような考えを支持するために,本年度は,GnRH開口放出に重要な鍵を握る細胞内Ca^<2+>濃度変化と電気活動の関係に注目した。Ca蛍光指示薬であるCa Greenを脳スライスのGnRHニューロン内に単一細胞電気穿孔法で導入してイメージングを行うと同時にパッチ電極で単一GnRHニューロンからの電気活動記録を行った結果,終神経GnRHニューロンの電気活動に応じた細胞内Ca^<2+>濃度の変化を詳細に解析することができ、両者が強い関連を持つことが直接的に証明できた。2)GnRH受容体のGnRH細胞内及び脳内分布の解析終神経GnRH系が神経修飾作用を行うには必然的に脳内GnRH受容体を介しているはずで,その意味でGnRH受容体の脳内分布を知ることは神経修飾作用...