2025/04/04 更新

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ヤマモト ミチロウ
山本 美知郎
YAMAMOTO Michiro
所属
大学院医学系研究科 総合医学専攻 運動・形態外科学 教授
大学院担当
大学院医学系研究科
学部担当
医学部 医学科
職名
教授

学位 1

  1. 医学博士 ( 2010年1月   名古屋大学 ) 

研究キーワード 8

  1. 手外科

  2. 人間拡張

  3. 切断指再接着

  4. スポーツ医学

  5. コンピュータシミュレーション

  6. 関節鏡手術

  7. 末梢神経外科

  8. マイクロサージャリー

研究分野 1

  1. ライフサイエンス / 整形外科学

現在の研究課題とSDGs 2

  1. Contact Realityの実現による遠隔触診システム開発

  2. 肘関節鏡手術におけるAugmented Realityシミュレーションの開発

経歴 5

  1. 名古屋大学   人間拡張・手の外科学   教授

    2023年2月

  2. 名古屋大学   特任准教授

    2022年1月 - 2023年1月

  3. 名古屋大学   特任講師

    2016年4月 - 2021年12月

  4. 名古屋大学   講師

    2013年8月 - 2016年3月

  5. 名古屋大学   病院助教

    2012年4月 - 2013年8月

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    国名:日本国

所属学協会 5

  1. 日本手外科学会   理事

    2024年4月

  2. 日本末梢神経学会   理事

    2024年9月

  3. 日本手関節外科ワークショップ   世話人

  4. 日本肘関節学会   評議員

  5. 日本マイクロサージャリー学会   評議員

委員歴 4

  1. 日本手外科学会   専門医制度委員会  

    2024年4月   

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    団体区分:学協会

  2. 日本末梢神経学会   あり方委員会  

    2024年10月   

  3. 日本整形外科学会   専門医試験委員会  

    2024年4月   

  4. 日本肘関節学会   編集委員会  

受賞 4

  1. 天児民和賞

    2024年2月   日本手外科学会  

  2. 会長賞

    2023年2月   第35回日本肘関節学会  

  3. 優秀ウエブプレゼンテーション賞

    2020年   日本最小侵襲整形外科学会  

  4. 日本マイクロサージャリー学会インターナショナルトラベリングフェロー

    2015年  

 

論文 77

  1. Patient-specific factors associated with conservative treatment failure in de Quervain tenosynovitis. 査読有り 国際共著

    Asano K, Iwatsuki K, Yokoyama H, Mabuchi M, Yamamoto M

    Journal of clinical orthopaedics and trauma   63 巻   頁: 102923   2025年4月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1016/j.jcot.2025.102923

    PubMed

  2. Eyes and movement differences in unconscious state during microscopic procedures. 査読有り 国際共著 Open Access

    Fujita A, Oyama S, Tatebe M, Shimoda S, Tokutake K, Yamamoto M, Hirata H

    Scientific reports   15 巻 ( 1 ) 頁: 6712   2025年2月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1038/s41598-025-88647-4

    Open Access

    PubMed

  3. Impact of COVID-19 Pandemic on Hand Surgery Volume in Japan. 査読有り 国際共著 Open Access

    Yoneda H, Curley J, Iwatsuki K, Saeki M, Takahashi N, Yamamoto M

    Journal of clinical medicine   14 巻 ( 5 )   2025年2月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.3390/jcm14051518

    Open Access

    PubMed

  4. Insights and trends review: Use of extended reality (xR) in hand surgery 査読有り 国際共著

    Oyama, S; Iwase, H; Yoneda, H; Yokota, H; Hirata, H; Yamamoto, M

    JOURNAL OF HAND SURGERY-EUROPEAN VOLUME     頁: 17531934241313208   2025年1月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1177/17531934241313208

    Web of Science

    PubMed

  5. Transplantation of embryonic spinal motor neurons into peripheral nerves enables functional reconstruction of a denervated diaphragm 査読有り 国際共著

    Asami, Y; Tokutake, K; Kurimoto, S; Saeki, S; Yamamoto, M; Hirata, H

    NEUROSCIENCE   559 巻   頁: 113 - 122   2024年11月

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    担当区分:筆頭著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1016/j.neuroscience.2024.08.039

    Web of Science

    PubMed

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講演・口頭発表等 6

  1. Benign hand tumors have a clear indication for surgery according to the patient-rated outcome measures 国際会議

    Michiro Yamamoto, Tadahiro Natsume, Takanobu Nishizuka, Katsuyuki Iwatsuki, Shigeru Kurimoto, Hitoshi Hirata

    Federation of European Societies for Surgery of the Hand 21st Congress 

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    開催年月日: 2016年6月

    記述言語:英語   会議種別:ポスター発表  

    開催地:Santander   国名:スペイン  

  2. Sonography-Guided Arthroscopy for Dorsal and Volar Wrist Ganglion

    Michiro Yamamoto, Masahiro Tatebe, Hitoshi Hirata

    Asia-Pacific Wrist Association  2019年11月 

  3. Cross-Sectional International Multicenter Study on Quality of Life and Reasons for Abandonment of Upper Limb Prostheses

    Michiro Yamamoto Hitoshi Hirata Melissa J. Shauver2, Sterbenz Jennifer, Kevin C. Chung Takashi Nakamura Hirotaka Tanaka Jyunpei Oba, Takaaki Chin

    International Federation of Societies for Surgery of the Hand  2019年6月 

  4. A systematic review of implant arthroplasty for PIP joint osteoarthritis, update for 2021

    Michiro Yamamoto, Shigeru Kurimoto, Masahiro Tatebe, Hitoshi Hirata

    American Society for Surgery of the Hand  2021年9月 

  5. Role of Hand Surgeon in Orthopedic Oncology

    Michiro Yamamoto, Katsuyuki Iwatsuki, Shigeru Kurimoto, Masahiro Tatebe, Hitoshi Hirata

    Asian Pacific Federation of Society for Reconstructive Microsurgery  2021年12月 

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科研費 10

  1. 超音波関節鏡を併用した次世代型関節鏡ARシステムの開発

    研究課題/研究課題番号:22K09374  2022年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    山本 美知郎, 横田 秀夫, 建部 将広, 大山 慎太郎

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )

    関節鏡手術は整形外科の標準的治療となっている。近年ではモニターの画質が改善し機器の小径化も進み視認性や操作性は向上しているが、今なお医原性神経損傷が発生している。我々が開発しているAugmented realityを用いた次世代型肘関節鏡手術システムを用いることで、術者は関節鏡単独では視認困難な神経の位置情報を術中に得ることが可能になる。肘関節鏡ARにおいて重要な課題として術中リアルタイムでの重畳表示精度の検証がある。
    肘関節鏡ARに超音波内視鏡を併用することで、ARによる重畳表示の術中誤差を計測し補正することが可能になる。今研究により超音波関節鏡を用いた関節鏡ARシステムを開発する。

  2. 異所性神経節誘導による感覚運動統合制御システム

    研究課題/研究課題番号:22H03451  2022年4月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    栗本 秀, 下田 真吾, 竹内 大, 佐伯 総太, 建部 将広, 長谷川 泰久, 平田 仁, 山本 美知郎, 岩月 克之, 徳武 克浩, 浅見 雄太

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    担当区分:研究分担者 

    末梢神経内神経幹細胞移植により麻痺筋近傍で脊髄様構造を有する神経節を誘導し、再生した複数の横紋筋を多チャンネル埋め込み型電気刺激装置により制御することで、自立した生活が可能なレベルの機能回復を実現するサイバネティクス技術を開発している。より正確な運動制御を行うため、末梢神経内感覚ニューロン移植により、失われた感覚情報も同時に再建し、体性感覚フィードバックを有した高度な運動制御を可能とする新規麻痺治療技術の開発を目指す。

  3. Augmented Reality(AR)を用いた次世代型関節鏡システムの開発

    研究課題/研究課題番号:19K09547  2019年4月 - 2022年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    山本 美知郎, 横田 秀夫, 建部 将広, 栗本 秀, 平田 仁, 大山 慎太郎

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )

    本法で開発された関節鏡は世界中で広く使用されるようになり整形外科手術において標準的な治療となっている。膝や肩、更に股関節などの大関節から肘や手指の小関節に至るまで関節鏡視下手術が行われているが、肘関節鏡視下手術においては今なお合併症が多い。肘関節鏡ARを実臨床で活用し、より安全な手技に変えることが本研究の目的である。術前画像データをコンピュータ上で再構成し、関節鏡画面に重畳表示させる関節鏡ARは現時点でのfirst in-human studyであり、最も合併症率の高い肘関節鏡手術から開始し、他の関節にも応用する。本研究から次世代型関節鏡の開発を加速する。
    整形外科手術においてARを用いた治療は人工関節や脊椎手術など一部では国内でも既に実施されている。本研究においてはARの精度を記録するために、肘関節鏡モニターと別途のモニターを設置しAR表示を行う。術者はARモニターを必要な時に参照し、必要のないときはAR無しの従来のモニターを用いて関節鏡治療を行う。術中のARは術中エコーなどと同様の補助的なシステムであり、ARによる重畳表示自体には侵襲性は無い。上記の理由により本研究は観察研究として2020年3月に名古屋大学の倫理委員会で承認を得た。
    これまでの予備実験では肘関節を90度屈曲位で固定した状態でAR関節鏡を行っている。実際の臨床例では肘関節を屈曲位から伸展位まで動かしながら鏡視することがある。肘関節の屈伸に伴う神経の位置情報の変化を複数肢位で撮影したMRIから推定する研究を理化学研究所の横田リーダーらと開始している。
    いままでに行ってきた実体モデルを用いた予備実験とニホンザルの肘関節を用いたAR肘関節鏡の実証実験の成果がScientific Reportsに2021年1月掲載された。これを受けて名古屋大学はプレスリリースを行った。日本経済新聞社から取材を受け、成果の一部は3月19日版の日経産業新聞に掲載された。
    現在のAR肘関節鏡の性能は位置追跡装置マイクロントラッカーによって規定されている。マーカーの認識や情報の入力速度など、改善の余地がある。プレスリリースしたことにより企業からの問い合わせが来ている。ウエブ会議などが予定されているが、AR肘関節鏡システムが、汎用性高く、簡単に使用できる様にするためにはアカデミアに加えて企業との共同研究が必要と考えている。製品化を含めた具体的な出口戦略を念頭において研究を進めている。
    倫理委員会の承認を得たことで臨床研究が可能になった。安全に配慮した臨床研究を行うために、肘関節の屈伸に伴う神経の移動に関する研究を行っている。具体的には健常ボランティアの肘関節MRIを伸展位と屈曲位で撮影した。伸展位における肘関節周囲の神経の情報を理化学研究所が開発したVCADのVoTracerを用いて屈曲位とした際の変化をシミュレーションする。神経の動きは関節の動きに同期させて、上腕骨内上顆前方へのスライド情報を組み合わせたアルゴリズムを作成する。正確にシミュレーションできているかを屈曲位で撮影した肘関節MRI画像で検証する。
    本研究は観察研究であり、ARは必要なときのみ参照し、不要な場面では通常の手術のみ行うことも可能である。実際の臨床例で関節鏡と鉗子にマーカーを取り付けて、頭上のライトに位置追跡装置のマイクロントラッカーを設置して、リアルタイムに位置情報を捉えることが出来るかの実証実験を行った。位置追跡装置の視野角度の問題があり、一部でマーカーの認識が出来なくなる状況を認めた。滅菌したマーカーを既成の関節鏡や鉗子に取り付けるための工具も作成している。
    変形性肘関節症や肘関節炎、または上腕骨外側上顆炎などで肘関節鏡手術を行う場面も多い。安全に肘関節鏡AR手術を行うための準備が整いつつある。現在は理化学研究所の画像解析チームといわば手作りでAR肘関節鏡を行っているが、今後は本システムの製品化も視野に入れて企業との共同研究も検討している。位置情報の入力速度やマーカーの認識範囲などは位置追跡装置の性能に依存しているが、より高精度でユーザーの負担が少ないシステムを作る必要がある。
    予備実験の成果がScientific Reportsに掲載され、名古屋大学からプレスリリースしたことで、企業からの問い合わせが来ている。企業とのウエブ会議もいくつか予定されている。名古屋大学の一部の限られた状況でしか使用できないシステムでは無く、汎用性が高く使いやすいシステムの開発が求められる。そのためには企業との共同研究が重要である。より具体的な出口戦略を念頭に入れながら臨床例での成果を出す予定である。

  4. 神経損傷後の加齢に伴う機能回復阻害因子を克服する薬理学的アプローチ

    研究課題/研究課題番号:18K10776  2018年4月 - 2021年3月

    栗本 秀

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    担当区分:研究分担者 

    末梢神経損傷後の運動機能回復は,高齢になるにしたがい理想的な外科的治療がおこなわれたとしても,運動機能回復までの時間を要し,十分な機能回復が得られない.これまでの末梢神経損傷の研究において,良好な運動機能回復には神経筋接合部の維持が重要であることがわかっている.高齢になるにしたがい神経損傷後の神経再支配が不良になる一因として,加齢に伴う後シナプス構造の変性が関与している可能性がある.本研究において,高齢マウスでは成熟マウスに比べ,脱神経筋内のアセチルコリン受容体凝集の断片化が進んでいた.この変化は末梢神経損傷後に脱神経筋内におこる変化に近いものであった.後シナプス構造におけるアセチルコリン受容体凝集にはAgrinが必要とされ,脱神経後はAgrinの放出が減少し,アセチルコリン凝集の断片化を引き起こす. Agrin欠乏マウスを用いた実験では,神経切断後に神経筋接合部でのAgrinが野生型よりも早く失われ,アセチルコリン受容体の輝度や面積が野生型よりも早く減少した.Agrin以外にもアセチルコリン受容体凝集の制御を補完する経路としてWntシグナル伝達経路の関与している可能性がある.Wnt/βカテニンシグナル伝達経路に対するアンタゴニストを投与し,培養系において神経筋接合部の形成促進効果を確認した.C2C12よりmyotubeを分化させACh受容体の凝集を誘導し,Bungarotoxinによる形態学的な評価をおこなった.Wnt/βカテニンシグナル伝達経路を抑制することで,筋繊維内のアセチルコリン受容体凝集の変性,断片化を抑制し,高齢マウスにおける神経損傷後の運動機能回復の改善を目指す.
    これまでにWnt/βカテニン伝達経路が末梢神経損傷後の後シナプス構造の維持に関与すること,また,培養系においてWnt/βカテニンシグナル伝達経路に対するアンタゴニストがアセチルコリン受容体凝集を誘導することを示してきた.高齢マウスの坐骨神経切断モデルは成熟マウスに比べ,脱神経筋内のアセチルコリン受容体凝集の断片化が進んでおり,この変化は末梢神経損傷後に脱神経筋内におこる神経筋接合部の変性に近いものであった.神経損傷後の機能回復を妨げる加齢要因を薬物治療により克服するため,Wnt/βカテニンシグナル伝達経路に対するアンタゴニスト(IWR1,Quercetin)を用いて,アセチルコリン受容体の形態評価,Wnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化を評価検討している.高齢マウスを用いた実験では22ヶ月から24ヶ月齢のマウスが必要となり,マウスの供給に時間的や数的な制限があるため,高齢マウスの準備を進めながら同時に,老化促進マウス(SAMP8)7ヶ月齢の坐骨神経切断モデルを用いて,脱神経筋内へIWR1を投与し,経時的なアセチルコリン受容体の形態評価をおこなった.
    22ヶ月から24ヶ月齢のマウス(C57BL/6)の脱神経後の末梢神経再生モデルを用いて,Wnt/βカテニンシグナル伝達経路に対するアンタゴニスト投与群、placebo投与群を用いて,運動神経機能回復を成熟マウスと比較検討する.組織学的検査を用いてAChR凝集の断片化を経時的に評価し,高齢マウスの脱神経筋内のWntシグナルのmRNA発現量をqRT- PCRを経時的に測定し、成熟マウスと比較検討する.また,Wnt/βカテニン伝達経路のターゲット遺伝子であるAxin2,SP5,C-myc,LEF1,さらにRapsynのmRNA と蛋白の発現量もqRT-PCR,Western blotting法で比較する. 電気生理学的検査・歩行解析を用いてWnt/βカテニンシグナル伝達経路に対するアンタゴニストが運動機能回復を改善できるか検討する.高齢マウスの実験においては,22-24ヶ月齢の末梢神経損傷再生モデルを用いているが,COVID-19の影響で動物実験施設への新規動物の搬入禁止や利用者の入館制限がなされ,実験計画に大きな影響がではじめている.

  5. 分散型制御による麻痺治療を実現するサイバネティクス技術開発

    研究課題/研究課題番号:18H04063  2018年4月 - 2021年3月

    平田 仁

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    担当区分:研究分担者 

    脊髄損傷(SI)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの外傷・疾患では脳機能が正常に維持される中で広範な神経原性筋萎縮が進行し、生命維持が困難な高度な障害へと発展していく。本研究は、このような難治性麻痺状況に対して、(1)末梢神経幹内神経幹細胞移植による麻痺筋近傍での脊髄様構造の神経節誘導、(2)新たに開発をする複数制御可能な埋め込み型電気刺激装置、(3)脳の制御信号を予測し、暗黙知による制御を可能とする人工知能、という独自に開発した3つの基盤技術を適用して、自立した生活が可能なレベルの機能回復を実現するサイバネティクス技術を開発している。この技術は、歩行や把持動作などの運動機能を回復させるだけでなく、嚥下や呼吸、腸の蠕動運動といった自律神経系の支配が強く、生命維持の根幹に関わる機能を回復させることもできる。本研究では末期ALS患者への治療を想定し、主な死因となっている呼吸嚥下障害をターゲットとして、げっ歯類に留まらず、大型動物モデルでも技術実証を行う。(1)は名古屋大学医学部と愛知医科大学医学部により編成される研究チームが担当し、(2)は名古屋大学工学部が技術開発を行う。(3)は理化学研究所と東北大学工学部で開発を行う。大型動物での技術実証は岐阜大学応用生物科学部附属動物実験施設で実施する。(1)で用いる神経幹細胞には愛知医科大学がヒトiPS細胞より分化誘導した運動神経前駆細胞と、岐阜大学応用生物化学部で採取される豚胎児由来運動神経前駆細胞の2種類の神経前駆細胞を用いており、より安全で臨床応用に適した神経幹細胞の供給技術を確立しつつある。(2)に関しては、一つの刺激装置により複数筋を個々に制御可能な技術と、電磁給電技術の開発に目処をつけており、特許申請を進めている。(3)に関しても、四肢制御用に開発した独自のAIであるtacit learningを嚥下・呼吸に適用させている。
    上記(1)、(2)、(3)のそれぞれに対して以下の開発を完了している。
    (1)末梢神経内への脊髄様構造を有する神経節の誘導と、それを用いる麻痺筋の再支配と電気刺激による制御技術の開発を進めた。iPS細胞へのGFP遺伝子と、チャネルロドプシン遺伝子の導入は完了し、げっ歯類モデルにて神経節形成、軸索再生、および神経筋接合部再支配を確認し、電気刺激によりMMT3以上の筋力で運動制御が可能であった。慢性麻痺モデルを用いた検討を行い、末梢神経の麻痺経過時間が神経節誘導に強く影響することを確認した。筋紡錘の再支配に関しても研究を行い、感覚神経前駆細胞移植により運動神経と同様に脊髄様組織が誘導され、筋紡錘再支配が起こることを確認した。神経幹細胞のソースに関しては、マイクロマイクロミニ豚胎児由来神経幹細胞により運動神経前駆細胞を確保し、末梢神経内に脊髄様組織を誘導する技術に目処をつけた。現在マイクロミニブタの受精卵に対して遺伝子導入を行い、GFP、チャネルロドプシン遺伝子を導入する技術を開発している。
    (2)これまでに電磁給電方式の皮下埋め込み型電気刺激装置を開発し、一つの刺激装置により複数筋を独立に制御できる独自技術の開発に成功したが、特許申請の関係によりここでは詳細を説明しない。
    (3)ALSの死因で最も頻度の高い嚥下と呼吸の連動障害に起因する誤嚥や呼吸不全を対象として、独自の収束制御型制御のアルゴリズムを開発している。本年度は、(2)の装置に対して適用し、マイクロミニブタモデルにより短時間で制御を学習できることを実証することを計画している。
    本年度は研究の最終年度であり、昨年度までに開発した技術を用いる大型動物での技術実証を予定している。実験動物にはマイクロミニブタを予定しており、岐阜大学応用生物科学部がマイクロミニブタの繁殖および遺伝子改変を担当し、また、名古屋大学医学部と連携して神経幹細胞の末梢神経内移植技術を確立する。神経刺激装置に関しては、すでにマイクロミニブタへの装着実験も開始しており、求められる制御性能を発揮できることも確認できている。本年度前半には長期間の制御に関して技術検証を行う。また、理化学研究所と東北大学工学部で開発が進む収束制御型人工知能による嚥下・呼吸連動制御をマイクロミニブタで作成した麻痺モデルで技術実証する。本年度後半には、すべの手研究チームが集結して、岐阜大学応用生物学部附属動物病院において、マイクロミニブタで作成した嚥下・呼吸筋不全麻痺モデルに対して、本研究で開発を進めているサイバネティクスを適用し、動物が摂食活動を自立して行い、自然な呼吸を維持できることを実証する。

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担当経験のある科目 (本学) 2

  1. 生涯学習と医学

    2022

  2. 生涯学習と医学

    2021

 

メディア報道 1

  1. 拡張現実を導入した肘関節鏡の開発

    2021年

学術貢献活動 1

  1. Journal of Hand Surgery Asian Pacific Volume editor

    役割:企画立案・運営等, 審査・評価, 学術調査立案・実施

    2024年1月