科研費 - 桐生 寿美子
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組織ダメージに応答して損傷微傷環境理モデリングを神経制御する仕組み
2024年4月 - 現在
日本学術振興会 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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損傷ニューロンのキューを感知した履歴を持つミクログリアによる神経再生能力の賦活化
2023年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 学術変革領域研究(A)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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損傷運動ニューロンのリプログラミングに関わる遺伝子発現制御機構の網羅的解析
2021年9月 - 2023年3月
日本学術振興会 挑戦的研究(萌芽)
担当区分:研究代表者
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上皮組織損傷をスイッチとして稼働する神経依存性の新たな創傷治癒メカニズム
2018年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
桐生 寿美子
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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損傷神経軸索内ミトコンドリアの品質管理のメカニズム
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
桐生寿美子
担当区分:研究代表者
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損傷神経軸索におけるミトコンドリアのダイナミクス
2010年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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神経再生現象を融合する分子発現制御のメカニズムの解析
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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損傷運動ニューロンにおけるDNAメチル化と遺伝子発現制御
2004年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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グリア・ニュ ロン相互作用による神経機能維持メカニズムとその加齢変化の解析
研究課題/研究課題番号:15082205 2003年 - 2007年
科学研究費助成事業 特定領域研究
木山 博資, 中込 咲綾, 小西 博之, 前田 光代, 桐生 寿美子, 濤川 一彦
担当区分:研究分担者
グリア・ニューロン相互作用の変化を解析するために,各種神経損傷モデルを用いて,神経・グリア相互作用に関係するミクログリアの作用と各種分子の同定を行った。本年度は(1)ミクログリアの応答と神経細胞死の関連,(2)ミクログリアに発現するGPCRの神経機能維持に関する解析,を中心に行った。(1)マウス運動神経は軸索損傷により半数以上が緩やかな細胞死をする。この時のミクログリアの動態を電子顕微鏡で観察した所,ミクログリアの接着のない運動ニューロンが存在し,それらは細胞死に至ることが新たに明らかになった。このことは,軸索損傷後ミクログリアは運動ニューロンを取り囲み生存のための環境を作りだしている可能性を示唆していると考えられた。(2)約300の蛋白共役型受容体のプライマーと,神経損傷側と健常側の神経核から抽出したRNAを用い,神経再生過程で発現が上昇するGPCRのスクリーニングを行った。この結果得られた遺伝子のうち,CCR5に注目してCCR5のリガンドであるRantesの発現動態を解析した。この結果受容体はミクログリアにリガンドは損傷運動ニューロンで発現していることが明らかになった。また,CCR5ノックアウトマウスでは運動ニューロンの細胞死が加速した。このことから,軸索損傷後にミクログリアで発現するCCR5は損傷運動ニューロンとリガンドを介して運動ニューロンの生存にポジティブに作用していることが推測された。10年ほど前から使用していたPCR用のPCR Thermal Cyclerとデータ取り込みのための顕微鏡デジタルカメラがいずれも老朽化のため何れも本研究中に修理不能となり,研究の取りまとめに多大な影響をきたしたので,当初予定していなかったが,主な物品として急遽購入した。
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損傷神経細胞におけるDINEのストレス応答機構の解析
2002年2月 - 2004年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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アデノウイルスを用いた神経系細胞種特異的遺伝子導入法の開発と神経再生への応用
研究課題/研究課題番号:12558087 2000年 - 2001年
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木山 博資, 濤川 一彦, 瀬尾 寿美子
担当区分:研究分担者
アデノウイルスベクターを用いて、ある特定の遺伝子を局所的にしかもグリアと神経細胞を区別して導入し、より高度な「神経温存再生」を可能にすることが本研究の目的である。強力なプロモーター下にloxP-Stuffer(ストップコドン)-loxP-GFP(またはLacZ)をコードしているアデノウイルスと、細胞種特異的なプロモーターの下流でCreを発現するアデノウイルスベクターを構築し、これらの共感染により標的蛋白を神経系・アストロ系・シュワン系・骨格筋の各種細胞に特異的に発現させることを目指した。ニューロン特異的プロモーターとしてSCG10プロモーター、アストロサイト特異的プロモーターとしてGFAPプロモーターを用い、それぞれの細胞種特異的発現をするCre発現ウィルスを作成した。SCG10プロモーターについては、特異性を向上させるため、神経特異的サイレンサーエレメント(NRSE)を複数付加した。これらウィルスを培養系にてCre誘導性GFP発現ウィルスと2重感染させると、細胞種特異的にCre/loxPシステムが働き、CAGプロモーターからの強いGFPの発現が誘導された。さらに、この細胞種特異的発現はラット脳内へウィルス接種することでも、神経特異性やアストロサイト特異性は比較的保たれた。しかし、脳の部位によるプロモーターの活性の違いが若干影響し、一部の領域の神経細胞では、発現が弱かった。一方、シュワン細胞特異的プロモーターとして、当初BDNFのタイプIVプロモーターを考えていたが、より高い特異性とプロモーターの短縮化をはかるため、Oct6のプロモーターを組み込んだアデノウイルスの作成を試みた。Oct6は損傷後のシュワン細胞やシュワノーマなどの腫瘍細胞で強い発現が見られるため、シュワン細胞特異的な遺伝子導入のほか、シュワノーマの治療にも応用できる可能性が期待される。
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新規損傷神経関連遺伝子による生存・再生のメカニズム
研究課題/研究課題番号:12031201 2000年
特定領域研究(A)
瀬尾 寿美子
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:1300000円 ( 直接経費:1300000円 )
神経損傷応答遺伝子として得られたメタロプロテアーゼDINE(Damage induced neuronal endopeptidase)の解析を行った。昨年度までに我々はDINEが中枢・末梢神経系の軸索障害に対して鋭敏に発現応答すること、細胞死防御活性を持つことを明らかにしている。今年度はこの点に着目し、(1)神経細胞死防御のための細胞内シグナリング、(2)DINE遺伝子の5'上流領域の解析を行った。
(1)DINEを介した細胞内シグナリング
神経細胞でのDINE過剰発現を目的として、DINEを組み込んだアデノウイルスを作製した。神経細胞により近い分化PC12細胞にこれを過剰発現させたところ、NGF除去後のアポトーシスが有意に抑制された。これはDINEによりプロセッシングを受けた未同定の基質が、G蛋白共役型受容体を介して生存シグナルを活性化させるためであることが明らかになった。しかし、DINEの基質は未だ不明であること、DINE以外の生存シグナル活性化分子は極めて多く報告されていることから、DINE特有の機能を明らかにすることが今後の課題として残された。
(2)DINE遺伝子5'上流領域の解析
様々な長さのDINE遺伝子5'上流領域をレポーター遺伝子に結合させたコンストラクトを作製し、神経細胞、非神経細胞におけるプロモーター解析を行った。この結果、極めて特異的に神経細胞にプロモーター活性を示すことが明らかになった。同様のアデノウイルスを作製し、初代培養系やラット大脳皮質への遺伝子導入実験を行った結果、神経細胞特異的発現が証明された。さらに、サイトカイン刺激によりDINEプロモーター活性が上昇することから、これが神経障害後の鋭敏な発現応答の一因と考えられた。以上のことは、グリア細胞などが混在する神経系において、損傷を受けた神経細胞に標的を絞った遺伝子導入が可能となることを示唆するものである。 -
軸索損傷神経細胞の生存・再生の分子メカニズムの解析
研究課題/研究課題番号:11157202 1999年
特定領域研究(A)
瀬尾 寿美子
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:1200000円 ( 直接経費:1200000円 )
当研究室で既に確立しているディファレンシャル・ディスプレイにより新たな神経再生関連遺伝子探索を行ったところ、いくつもの候補クローンが得られた。昨年度のcDNA全長クローニングにより、得られた候補遺伝子のうちのひとつは新規膜一回貫通型メタロプロテアーゼであることが明らかとなっていたため今年度はその機能解析を中心に進めた。本分子の特徴は神経系特異的に発現していること、末梢・中枢神経軸索損傷に対して極めて効率良く発現応答する点であることから、我々はDINE(Damage Induced Neuronal Endopeptidase)と名付けた。DINEはECE(Endothelin Converting Enzyme)とファミリーを形成しており、ニューロペプチドやサイトカインなどの前駆体プロセッシング酵素である可能性が高い。これらの分子群の発現は障害後の神経細胞において顕著に上昇することが従来より知られており、障害神経細胞に対し何らかの保護作用を持つものと考えられている。そこで、培養細胞を用いてDINEの生存維持活性性を検討した。その結果DINE過剰発現細胞ではセラミドによる細胞死が軽減されることが明らかとなった。このような生命維持活性を示す理由の一つとして、フリーラジカルスカベンジャーであるSOD(superoxide dismutase)が活性化することを我々は見いだした。SODへ至るシグナリング経路は不明でありこの点が今後の課題とされる。またin vivoでのDINEの機能評価を行うため、現在作製したアデノウイルスを用いて神経障害モデル動物への遺伝子導入を試みている。
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アデノウイルスを用いた新たな時間空間的遺伝子相同組換え法による神経障害応答の解析
研究課題/研究課題番号:10044227 1998年 - 2000年
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
木山 博資, 瀬尾 寿美, 加藤 英政, EMSON Piers C., SKYNNER Michael J., ALLEN Nicholas D., EMSON Piers, SKYNNER Mich, ALLEN Nichol
担当区分:研究分担者
この実験系は大きく2本建てより成っている.1つは目的の細胞(この場合傷害神経細胞)に限局して組み換えを起こすことであるが、もう1つはいかに少数の遺伝子操作で効果が見られるかにある.我々が従来用いたような組織特異性の乏しいプロモーターでアデノウイルス感染細胞に発現を誘導した場合、神経切断断端より取り込まれ発現するものに加え、図らずも感染部位周辺の非神経細胞にも発現が現れてしまう.標的となる遺伝子が広く細胞の生存・維持に関わる場合などには、この厳密な時間空間的制御が強く要求される.このためアデノウイルスで用いるプロモーターに神経特異性を持たせる試みを行った.ウイルスに組み込む場合、そのサイズが有限であることが問題となるため、比較的小さなSCG10/RESTを用いて試行を繰り返したところ、ある程度の特異性は得られたものの、Creリコンビナーゼを発現させ解析したところ、'切れの良い'発現制御は得られていない.更にトランスジェニックマウスを用いた神経細胞特異的プロモーターの検索も(GAP-43,nestin enhancer)それぞれに問題点を残すことになった.しかし今後もこれらのチューニングを通じて、厳密な発現制御をまずは目指したい.次に標的とする遺伝子についても興味深い結果を得た.従来、神経細胞の生死決定を司る転写因子の1つとして、c-jun(特にそのリン酸化)が注目されていた.我々もこれを重視し、当初からサイレントノックアウトの候補に挙げている.また独立した実験系にて、このc-junに加えて別のAP-1ファミリーであるAtf-3が、神経細胞生死決定に関与する可能性を強く示唆するデータが得られた.今後は当遺伝子についても加えて検討を計画している.