科研費 - 平原 聖文
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新考案による分析原理と検出応答信号の革新的処理法で探求する惑星圏プラズマ計測技術
研究課題/研究課題番号:23K17701 2023年4月 - 2026年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 挑戦的研究(萌芽)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
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宇宙地球系結合機構の実証的研究と次世代電磁気圏探査計画の基盤となる戦略的技術開拓
2016年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
平原 聖文
担当区分:研究代表者
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低・高エネルギー粒子、及びX線の同時分析機能実現に向けたハイブリッド検出系の試作
2015年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金
平原 聖文
担当区分:研究代表者
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波動-粒子相互作用・電磁場による放射線帯・衝撃波・極域磁気圏での宇宙プラズマ加速
2009年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究代表者
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低高度極軌道衛星と地上観測網によるジオスペース電離圏現象の多次元・同時総合観測
2007年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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広エネルギー帯多成分宇宙プラズマの計測手法確立と相互作用解明を目指す発展的研究
2004年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究代表者
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惑星磁気圏に分布するイオン・中性粒子のエネルギー質量分析技術の新規開発―新設計・開発による高エネルギー粒子計測器の試作とその小型・軽量化―
2001年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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地球電離圏から磁気圏へ供給されるイオンの加熱・加速・輸送過程,流出量の定量的研究
1998年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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地球惑星超高層大気の中性粒子分布・力学機構の実証解明を実現する直接観測の基盤構築
2017年4月 - 2021年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
齋藤義文
担当区分:研究分担者
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地球惑星超高層大気の中性粒子分布・力学機構の実証解明を実現する直接観測の基盤構築
研究課題/研究課題番号:17H01164 2017年4月 - 2021年3月
齋藤 義文
担当区分:研究分担者
本研究の目的は将来の地球の電離圏・磁気圏観測や他天体の周回観測及び他天体への着陸探査を含めた惑星探査に向けた、4種類の人工飛翔体搭載用中性粒子質量分析器を開発することである。「マルチターンTOF型質量分析器」については平成29年度に引き続き宇宙機搭載用パルス高圧電源の開発を行った。その結果、宇宙用TOF型質量分析計に必要な、昇圧レベル1kV・消費電力2W未満・立ち上がり時間50ナノ秒で昇圧後の平坦さ10%以内を実現したパルス高圧電源基板を試作することができた。「多反射リフレクトロン型質量分析器」については、平成29年度に行った設計・検討結果を基に詳細設計を行った上で試験モデルの試作を行うことができた他、平成29年度に完了できなかった1回反射型リフレクトロンの実験室モデルの改良と測定装置の改良を行った。所期の質量分解能200には到達しなかったものの「多反射リフレクトロン型質量分析器」の詳細設計に反映すべき設計指針を得ることができた。「四重極型質量分析器」については、平成29年度に開始した、4つの質量分析器に共通の開発項目である中性粒子の電離機構部の開発を進め、酸化バリウムを多孔質タングステンに含浸させたカソード,および酸化イットリウムをイリジウムにコーティングしたカソードの性能試験・耐久試験を実施することで、搭載可能なレベルの電離機構部の設計を行うことができた。「2次元速度計測用ベネット型中性粒子分析器」については、試作モデルに関して昨年度に行った雑音除去の為の電極構造を設置するための内部電極構造の再確認を行ったのに加えて速度分布関数を取得出来る様に、2次元位置検出器の較正実験を行った。また、粒子ビームの2次元空間プロファイル取得システムを完成させた他、粒子ビームラインのモニターシステムを開発し、中性粒子分析器開発に必要な粒子ビームラインの特性取得を可能にした。
申請時の計画では平成30年度までに、複数の質量分析器に共通に必要となる「中性粒子の電離機構部」「宇宙機搭載用パルス高圧電源の開発」を行い、「マルチターンTOF型質量分析器」については宇宙機搭載可能な分析器制御部の開発、「多反射リフレクトロン型質量分析器」については試験モデルの試作とレーザーによる固体物質の気化を行う部分の設計・試作、「四重極型質量分析器」については、搭載用四重極質量分析器の設計、「2次元速度計測用ベネット型中性粒子分析器」については、二酸化炭素・アルゴンに対する質量弁別能力の確認と改良を行う予定であった。「中性粒子の電離機構部」については、搭載可能なレベルの電離機構部の設計を行うことができた他、「宇宙機搭載用パルス高圧電源の開発」については、もう少し性能を上げる必要があるものの、宇宙機搭載可能な部品を用いた電源の試験モデルを製作することができた。各質量分析器の開発においても、「マルチターンTOF型質量分析器」については本研究とは別の予算を用いて宇宙機搭載可能な分析器制御部の開発を進めることができた。「多反射リフレクトロン型質量分析器」については、予定通り試験モデルの試作を行うことができたが、レーザーによる固体物質の気化を行う部分については、平成31年度以降に実施を遅らせることにした。「四重極型質量分析器」については、必要とされる開発技術が近く、より高い性能が期待できる「オービトラップ型質量分析器」の開発を進めることに方針を転換したが、この質量分析器について検討を進めることができた。「2次元速度計測用ベネット型中性粒子分析器」については、性能試験のために必要となるビームラインの性能を確認するためのビームモニターの開発を行うことで、最終的な目的である、窒素原子・酸素原子の質量分離と、それぞれでの密度・風速・温度計測のための測定を行う準備を進めることができた。
4年間の研究計画のうちこれまでに約半分の2年間が過ぎた。複数の質量分析器に共通の開発項目である「宇宙機搭載用パルス高圧電源」の開発については、予定より時間がかかっているが確実に性能の向上を進めている。「マルチターンTOF型質量分析器」の開発で予定していた、「宇宙機搭載可能な分析器制御部」の開発を他の予算で進めることができることになったため、本研究では質量分析器の性能を左右するパルス高圧の開発を更に進めることにするが、他の予算で試作した分析器制御部の性能評価及び調整も行う。「多反射リフレクトロン型質量分析器」については、平成30年度には、実験室モデルの設計・製作を優先したために、レーザーによる固体物質の気化を行う部分の設計・試作が遅れているが、平成31年度に試作後の試験まで含めて実施する予定である。「四重極型質量分析器」に変えて開発を進めることになった、「オービトラップ型質量分析器」は、平成31年度には試験モデルの要素試作を行って開発を進める予定である。「2次元速度計測用ベネット型中性粒子分析器」については、2次元位置検出機能を有するMCP検出器の較正実験を行った結果、検出器からのパルス信号の波高分析処理技術を改修する必要を認めたため、次年度では波高分析処理のプログラミング開発を進め、分析器による中性大気の速度分布関数の取得に向けた分析技術改善を行う予定である。複数の質量分析器に共通に開発を進めている中性粒子の電離機構部については、「多反射リフレクトロン型質量分析器」へのイオンビーム入射条件に適したオプティクスを設計し,含浸カソードおよび酸化イットリウムカソードを用いた電子銃を製作し,そのビーム特性を調べる予定である。この電離機構部と宇宙機搭載用パルス高圧電源については、それぞれの試作品を「多反射リフレクトロン型質量分析器」に接続して性能確認試験を実施することも計画している。 -
宇宙地球系結合機構の実証的研究と次世代電磁気圏探査計画の基盤となる戦略的技術開拓
研究課題/研究課題番号:16H02230 2016年4月 - 2020年3月
平原 聖文
担当区分:研究代表者
配分額:45760000円 ( 直接経費:35200000円 、 間接経費:10560000円 )
宇宙空間物理学・地球惑星電磁気圏物理学・超高層大気物理学の分野において提案されている宇宙科学探査衛星計画「FACTORS」を推進しており、150-200kg級の新しい衛星システムの開発検討を行った。宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA・ISAS)における公募型小型衛星計画のワーキンググループとして2018年度後半に提案・承認された。JAXA・ISASの戦略的開発研究費への申請も行い、複数探査衛星の編隊飛行による地球環境と宇宙空間との領域間結合過程の実証的研究を遂行するための基盤的技術開発に着手した。特に編隊飛行を維持するための推進系と電界アンテナにおいて搭載位置の対策を講じた。複数衛星構成のため、スウェーデンの国内宇宙プログラムである超小型衛星計画との連携を深めるための議論を行った。このFACTORS衛星計画で必要となる波動粒子相互作用解析に対して観測データを提供する粒子分析器の開発においては、検出器からの出力信号を処理しカウント情報などを得るための処理回路部を設計・試作した。上述の将来探査衛星計画の学術的・技術的検討と並行し、これまでの衛星データを活用し宇宙空間と地球電離圏の間の電磁的結合現象に関連する解析的研究を進めた。具体的には、日本独自のれいめい衛星とNASAのFAST衛星で取得された観測データ、特に地球極域電磁気圏におけるオーロラ電子と地球大気イオンの磁場に対するエネルギー分布に関する観測データを比較検討し、磁力線に平行・垂直方向の準静電的・波動的電界成分による加速過程について調査した。また、地球超高層大気を支配する中性大気粒子ダイナミクスの観点から、FACTORS衛星計画で遂行するのが望まれる熱圏中性粒子観測研究に向けた基礎情報を収集するために過去の研究成果を調査した。特に、真空紫外線観測による大気組成推定手法の本衛星計画への応用を重点的に調べた。
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所の予算事情のため複数年度にわたりSS-520-3号機ロケット実験の実施が遅延しており本ロケット実験にて宇宙実証する波動粒子相互作用解析装置と超熱的イオン分析器のデータが未取得であり、宇宙地球結合系直接探査衛星計画「FACTORS」の技術基盤獲得が途上であるため。また、新規技術開拓として取り組んでいる中性粒子分析器開発においてスウェーデンとの共同研究開発を検討しつつ、日本国内で具体的な開発実験環境として求められる較正実験用粒子ビームラインのフラックス向上のための改良に向けた課題解決の情報収集・技術的解決方策に時間が必要であるため。
宇宙科学探査衛星計画「FACTORS」においては、超熱的イオン分析器の開発を遂行する必要があり、その研究開発のためのビームライン較正実験装置を整備する。特に、イオンビームモニターの2次元プロファイルを取得するため、2018年度に開発を進めた位置検出用MCPアセンブリーの適用を目指しつつ、イオン・電子ビームラインのフラックス向上のための検討を行う。。また、FACTORS衛星計画に留まらず、将来の超小型衛星計画に求められる小型・軽量・省電力のイオン・電子同時計測用静電型粒子分析器の設計・開発に着手する。また、中性粒子観測器質量分析部に用いる二次電子源について、印加電圧を低圧化することで必要リソースを低減するため、キャピラリプレートを用いることを検討している。このため、キャピラリプレートの試作及び性能試験治具(電極・筐体など) の設計を行う。FACTORS衛星計画においてはスウェーデンとの共同研究開発が重要であり、2018年度から継続して、スウェーデンの超小型衛星計画「InnoSat」との議論を行いつつ、理学観測の観点においては、スウェーデン王立工科大学との議論を実施する。並行してFACTROS衛星に搭載を検討しているオーロラカメラの真空紫外線観測による大気組成研究の実施の可否を早急に決定し光学機器設計に提言する。 -
低・高エネルギー粒子、及びX線の同時分析機能実現に向けたハイブリッド検出系の試作
研究課題/研究課題番号:15K13574 2015年4月 - 2019年3月
平原 聖文
担当区分:研究代表者
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
宇宙探査、特に宇宙プラズマ粒子の検出において宇宙実績のあるマイクロチャンネルプレートアセンブリと、ASIC(特定用途向け集積回路)が組み込まれた片面ストリップ型シリコン検出器ユニットを結合させハイブリッド検出器を試作した。これにより、MCPが有効な数百keV以下のエネルギー帯と、SSDが多用される数十keV以上でのエネルギー帯に渡ってハイブリッド系検出が可能になり、広いエネルギー帯域を有感帯域とする検出システムの基礎開発が原理的に可能となった。このハイブリッド検出系を真空槽内に設置しイオンビーム照射する事で、真空中でのハイブリッド検出器の機能を世界で初めて成功した。
地球・惑星を取り巻く宇宙空間に広く分布・飛来し、宇宙変動現象、及び宇宙インフラ技術に大きな影響を及ぼす宇宙プラズマ粒子・超高層大気粒子・極端紫外線・X線・ガンマ線の計測は、宇宙惑星空間物理学における極めて重要な観測対象である。本研究では、これらの観測に従来から活用されてきた2 種類の検出器であるマイクロチャンネルプレート(MCP)と半導体検出器(SSD)を構造的・電気的に結合させることで、それらの長所を生かし、欠点を補いあう新規の一体型ハイブリッド検出器を設計・製作し、性能評価・較正実験を行うという技術的・挑戦的な課題に関する実験的研究を遂行し、世界初のハイブリッド検出器の試作品を開発した。