科研費 - 横山 智
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ラオス農村における家族計画,生業,人口動態のマルチスケールな相互作用の解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:25H00505 2025年4月 - 2029年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
丹羽 孝仁
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:46150000円 ( 直接経費:35500000円 、 間接経費:10650000円 )
本研究は、高出生率国の急速な少子化のメカニズムを、ラオスを事例地として明らかにする。具体的な研究課題は以下の3点である。(1)家族計画、生業、人口動態の分析枠組みを拡張する必要がある。人口変動に関わる要素を詳細に検討する必要性は依然として高い。(2)これらの要因間の相互作用に注目する必要がある。トランスナショナルな空間移動によって複雑化している小規模人口集団の人口変動を理解するためには、要素間の相互作用に注目する必要がある。(3)ラオス農村の現代的位置づけをマルチスケールな空間性から検討する必要がある。グローバル・ナショナルなレベルの変化を踏まえた上で、ローカルな小規模人口集団の人口変動を捉える必要がある。同時に、ローカルな動きがナショナル・グローバルに与える影響も重要な視座となる。
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東南アジアの発酵食品を支える文化的・生態的条件の解明:フィールド発酵食品学の展開 国際共著
研究課題/研究課題番号:25H00508 2025年4月 - 2029年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:45890000円 ( 直接経費:35300000円 、 間接経費:10590000円 )
近年,微生物学と生化学分野による発酵食品の機能解明やその応用,そして環境人文学分野による発酵食品の地域生態史や生産者の実践などの解明といった研究が蓄積されている.しかし,いかに発酵食品が利用され,存続しているのか,人文学と自然科学による総合的視点から解明する研究は管見の限り存在しない.発酵食品が近年注目を集めるようになる何世紀も前から,世界各地で民族独自の伝統的な発酵食品がつくられ,それが現在まで継承されている文化的条件と生態的条件に着目する必要がある.そこで本研究では,発酵食品を日常的に利用してきた東南アジアのタイ,ラオス,カンボジアにおいて,文化的条件と生態的条件が,いかに相互に影響し合いながら発酵食品が成立,維持されてきたのか,フィールドワークと実験室を結ぶ新たな研究手法である「フィールド発酵食品学」の手法を用いて総合的な視点から問うことを目的とする.
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研究課題/研究課題番号:21H04375 2021年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
アジアでは、自然環境に応じた生業より得られる産物を原料として、様々な発酵食品がつくられてきた。これまで、タンパク質源となる乳、大豆、魚介類の主要な3種類の発酵食品の製法と利用に基づいてアジア発酵食文化が議論されてきた。しかし、それ以外の発酵食品は、ほとんど検討されず、さらに、上述3種の発酵食品が重なる地域についての食文化の議論は事実上行われてこなかった。また、人文社会科学系と自然科学系の両手法の連携も課題であった。そこで本研究では、アジアの伝統的な発酵食品をより広く取り上げ、さらに乳と大豆、大豆と魚介類の発酵食品が交差する地域の発酵食文化を分野横断的なフィールドワークを実施することで解明する。在来知に基づく技術や行為と密接に関係していると考えられる「微生物のドメスティケーション」を自然科学の研究者による微生物分析の結果と融合させる学際的な手法によって、アジア発酵食文化圏を再構築することを目指す。
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東南アジア大陸山地部の多様な生業によるヘテロな農耕環境の形成・維持機構 国際共著
研究課題/研究課題番号:20KK0014 2020年10月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
廣田 勲
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:15600000円 ( 直接経費:12000000円 、 間接経費:3600000円 )
東南アジア大陸部の様々な生業活動は、歴史的に極めてヘテロな環境を作り出し、生物多様性の創出に貢献してきたと考えられる。近年、市場経済化の影響により、生業や土地利用の単純化が大規模に進行している。その一方で一部地域では、こうしたヘテロ環境が能動的に維持されている村落が存在することが明らかとなってきた。本研究はこうした村落を対象とし、ヘテロな環境を組み込んだ生業形態の解明を試みる。依然として伝統的な生業が多く残存するラオス山地部の地域住民の生業を、総体性、連動性に着目し理解し直すことによって、高い生物多様性を有する地域における、市場経済化等の現代的背景を踏まえた生業の地域適合的なモデルを提案する。
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伝統的社会における発酵食品の位置づけに関する総合的・通地域的研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:19K21662 2019年7月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 挑戦的研究(萌芽)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究では世界の各地域の伝統食として伝えられている発酵食がいかに継承され、また変化しているのかを調査した。その結果、インドネシアの伝統的ダイズ発酵食のテンペは伝統的な植物素材を使った製法が廃れていた。また、東北タイの魚発酵調味料「プラ・ラー」は、生産時に使う塩が現地の岩塩から海水塩へ、また原料の魚が淡水魚から海産魚へ、ガーナの発酵調味料「ダワダワ」がヒロハフサマメノキからダイズへと変化し、製法だけではなく発酵食品の原料が変化している事例も見られた。発酵食品は各地の伝統食として位置づけられているものの、自然素材の希少性、原料入手の困難性から、製法と原料が大きく変化していることが明らかになった。
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現代ラオスにおける小規模社会集団の人口動態メカニズム 国際共著
研究課題/研究課題番号:17H01633 2017年4月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
ラオスの小規模社会集団の人口と生業に関するデータを用いて各要因間の相互関係を分析し、どのような変数が集団の動態に影響しているのかを解明した。一つの村(集落)において3世代前に遡って人口動態を調査し、それを生業変化と関連付けた本研究では、今後の小規模社会集団の動向を議論する上で貴重な情報を提供した。
加えて、本研究で取得した3世代にわたるデータには、1970年代のベトナム戦争による動乱と王政から社会主義への政治体制の変化、そして1980年代後半以降の自由経済化などの重要なイベントが含まれる。政治・経済・社会の変化に伴う人びとの対応を扱ったラオス地誌としても貴重な研究資料を提示できた。 -
地域統合下におけるアジア農民の生計戦略と持続可能性に関する研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:16H03115 2016年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:16380000円 ( 直接経費:12600000円 、 間接経費:3780000円 )
本研究では、日本、ベトナム、ラオス、タイの4カ国において、農家世帯単位での生計および自然資源利用に関する調査を実施し、地域レベルの経済統合が進展する状況における小農の生計戦略の様々な対応を分析した。
日本では、個別農家の競争力を高めるために経営規模の拡大を集落単位で推し進める対応が見られ、一方ベトナムとラオスでは、海外からの商品作物の需要に応じて、自給的生産を中心に営農していた農家世帯が生計の多角化を進めている状況が明らかになった。また、タイでは、1980年代移行の社会経済開発と就業構造の変化によって、小農の伝統的な食(魚介類の伝統的発酵食品)と生業が大きく変化している実態を明らかにした。 -
森林生態資源の地域固有性とグローバルドメスティケーション化に関する研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:15H02590 2015年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
小林繁男
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:24960000円 ( 直接経費:19200000円 、 間接経費:5760000円 )
森林生態資源利用のバナキュラリティーについて南アジアから東南アジアに掛けた納豆の地域固有性を解明した。REDD+のセーフガードにおける地域住民の伝統的知識と生物多様性保全では、食養後、発酵茶を利用して山茶と二次林の持続的利用を明らかにした。森林生態資源のグローバルドメスティケーション資源利用の実態をペッカリーの狩猟が商業的活動になっていた。地域住民の生存基盤の安全保障のための森林生態資源の持続的利用・管理において森林生態資源が地域の住民の生活に必須であること、持続的に資源の維持が出来るかが問題であることが解った。
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東北タイ・メコン河中流回廊における多民族文化圏の生活誌 国際共著
研究課題/研究課題番号:26300010 2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
永田好克
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
タイ東北部のナコーンパノム県を中心として現地調査を進めた。メコン河対岸のラオス側に比べて情報が少なかった村単位の民族分布と地域内での住み分けについて一定の成果を得た。合わせて行った基本語彙の録音採取は、周辺言語の影響が少ない話者の減少に鑑みて今後貴重な記録資料となるものである。伝統食のひとつである魚の発酵食品の生産方法に関する調査では、民族ごとの差異を明確にするには至らなかったが、自家消費用での生産が幅広く堅持されている中で、用途によって原材料の構成比を変えていることが明らかとなった。農具に関する調査では、より広域に中国南部との関連を検討する必要性を確認できた。
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アジア南部山岳地帯における在来馬の遺伝的多様性に関する調査研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:25304046 2013年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
国枝 哲夫
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
本研究では、ミャンマー、ラオス、ベトナムの山岳地帯におい小型在来馬の調査とDNAサンプルの収集を行い、アジア在来馬集団の遺伝的多様性と集団間の類縁関係を明らかとすることを試みた。ミャンマーにて184個体、ラオスにて71個体、ベトナムにて167個体のDNAサンプルを収集し、それらのDNAを用いて、ミトコンドリアDNAおよびY染色体マーカーのハプロタイプ、およびマイクロサテライトマーカーといくつかの機能的遺伝子の遺伝子型を調べた。その結果、いずれの集団も母系の遺伝的多様性は高く独自の遺伝的構成を持つこと、父系では一部に西洋系品種の遺伝的影響を受けていることが明らかとなった。
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ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:25257004 2013年4月 - 2016年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:37700000円 ( 直接経費:29000000円 、 間接経費:8700000円 )
本研究では、ラオスにおいて、天水田稲作と焼畑の生業構造が異なる2つの集落を対象に、人口動態・再生産・生業に関する各要因間の相互関係を分析した。
その結果、天水田稲作農村で人口増加に対処するために住民がとった行動は、土地利用の集約化や農業の高度化ではなく、1980年代からのタイへの出稼ぎであった。出稼ぎで得たお金で水田を購入し、さらに見かけ上の人口を減少させて、自給と現金収入獲得の両立を図った。一方の焼畑山村では、女性の有配偶出生率が4未満と低い水準にあった。そこで、食事調査によって住民の栄養状態を調べたところ、低栄養の状態が低出生率の原因である可能性を示唆した。 -
研究課題/研究課題番号:24652160 2012年4月 - 2015年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
本研究で扱う納豆様の無塩発酵大豆食品(ナットウと記す)の起源や伝播経路に関しては、これまで数多くの議論が交わされてきたが、未だに明らかになっていない。そこで本研究では、これまでの議論を踏まえつつ、東南アジアとヒマラヤのナットウに焦点をあて、ナットウを製造する民族の食文化、製法、利用方法を調査した。
その結果、各地のナットウの共通点と差異から「ナットウの発展段階論」を提示した。さらに、ナットウの形状に着目して地域分類を行ない、それらを総合的に考察した上で東南アジア大陸部とヒマラヤの4 地域で独自にナットウが発祥したとする仮説を打ち出した。 -
研究課題/研究課題番号:22241012 2010年4月 - 2014年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
秋道智彌
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:47320000円 ( 直接経費:36400000円 、 間接経費:10920000円 )
国連ミレニアム生態系評価の「生態系サービス」概念である「基盤」「供給」「調節」「文化」の分類ではサービス相互間の因果関係が説明できない。本研究では自然と人間の相互作用環の統合的理解を生態系サービス間の多様な「関係性」を新しい価値概念「関係価値」を導入することで明らかにする分析をおこなった。具体的には東南アジアの大陸部・島嶼部における人間と自然の多様な関わりをグローバル交易と環境破壊、健康と食のリスクに注目し、人間の受ける恩恵とリスクの両方を考慮した新しい「生態系サービス」概念の提案を実証した。あわせて共有の思想(コモンズ)と生態史を関係価値における重要な価値概念として提示した。
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東南アジア農山漁村の生業転換と持続型生存基盤の再構築 国際共著
研究課題/研究課題番号:22241058 2010年4月 - 2014年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
河野泰之
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:46670000円 ( 直接経費:35900000円 、 間接経費:10770000円 )
東南アジアの農山漁村では、商品作物栽培の普及や農外就業機会の増加をドライバーとして生業転換が進行している。農山漁村の住民は常に複数の生業を組み合わせて持続的な生存基盤を確保しているが、生業転換は、多くの場合、複数の生業すべてを変化させるのではなく、その一部を変化させるものである。これに対して複数の生業すべてを変化させた場合には生活が極度に困難な状態に陥るリスクを負う。したがって、持続型生存基盤の観点から生業を構造化して生業転換の可能性とリスクを論じる必要があること、また、教育、就労、家族形態を含む生活全般を視野に入れて検討する必要があることが明らかになった。
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線香粘結剤タブ粉を通してみた東南アジア大陸部の森林利用と日本の里山利用の関係性
研究課題/研究課題番号:21510263 2009年4月 - 2012年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(C)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
タブノキを粉にした「タブ粉」が線香の粘結剤として古くから利用されている。しかし、1960年代以降の山村の生業構造変化と高齢化によって、日本の里山ではタブノキ採集者が激減し、1970年代からタブ粉の輸入が開始されることになった。現在、九州で残っている製粉場はわずか2軒である。一方、タブノキを採取している東南アジアのラオスでは、住民がタブノキを植林して、工夫しながら持続的な方法で樹皮を採取していた。それは、住民の現金収入源としても大きく貢献している。東南アジアからのタブ粉輸入は日本の里山利用を考え直すことの必要性を問うており、線香という意外なモノから、環境問題の複雑さが見えてくる。
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「大国」と少数民族―東南アジア大陸部山地における中国ヘゲモニー論を超えて
研究課題/研究課題番号:20401009 2008年4月 - 2012年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
落合雪野
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:16510000円 ( 直接経費:12700000円 、 間接経費:3810000円 )
本研究では、ミャンマー、ラオス、ベトナムと中国雲南省との国境地域に居住する少数民族に着目し、農業を中心とした生業活動の変化、健康管理の方法や生活文化の変容のあり方について現地調査をおこなった。その結果、国境地域の少数民族が、中国やタイといった「大国」から政治的、経済的、文化的圧力を受けながらも、日常生活においては、新たな生存戦略を確立していくプロセスを明らかにした。
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第3次フードレジーム下における新たな対日農産物・食料輸出の展開と当事国農業・流通に及ぼす影響
研究課題/研究課題番号:19320134 2007年4月 - 2010年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)
荒木一視
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:10790000円 ( 直接経費:8300000円 、 間接経費:2490000円 )
1990年代以降,グローバルな農産物・食料貿易が展開する中で,わが国の農産物輸入が新たにどのような貿易パターンを形成したのか,その結果,国内農業や農産物流通にどのような影響を与え,かつまた対日輸出国の農業と流通体系にどのような影響を与えてきたのかというテーマに取り組んだ。国内外の調査から,新たな流通体系の構築や再編成の実態が検討され,品質の確保という観点が重要性を帯びてきていることが明らかになった。
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東南アジア大陸山地部におけるヒト・モノ・情報の流動と生業構造変化に関する空間分析
研究課題/研究課題番号:16510188 2004年4月 - 2007年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(C)
横山 智
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
本研究では,ラオスを中心にしてヴェトナムと中国雲南省を含む「東南アジア大陸山地部」において,「ヒト・モノ・情報の流動」が農山村の生業構造変化にどのような影響を与えているのか,空間的視点から地域間を比較検討しつつ明らかにすることを目的とした。その結果,以下の5点について新しい知見が得られた。
1.「ヒト・モノ・情報の流動」,すなわちグローバル化に対して焼畑農民が,農外活動を導入する,もしくは商品作物を導入するなど,生業構造を変化しつつ対応している。
2.アクセスの悪い山地の集落では,伝統的な焼畑農耕が維持されているが,近年になり農外活動が導入され始めた。
3.ハイブリッド種トウモロコシなどの商品作物の導入には,初期にそれを導入した世帯が地域全体の普及に大きな役割を果たしていることが明らかになった。
4.山岳地域から中国へ輸出される農林産物の仲買構造を解明し,全体的な流通システムを明らかにすることができた。
5.国際ツーリストの増加によって農山村部の観光地化が進展し,社会的な影響が与えられるようになってきた。
以上の結果から,今後も「ヒト・モノ・情報の流動」が農山村部の生業構造変化に大きな影響を与えると考えられる。特に,観光地化の進展と農山村部の変化は新しい現象であり,調査を継続させていく予定である。