2025/04/10 更新

写真a

キノシタ トシノリ
木下 俊則
KINOSHITA, Toshinori
所属
トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授
大学院担当
大学院理学研究科
職名
教授
連絡先
メールアドレス

学位 1

  1. 博士(理学) ( 1997年1月   九州大学 ) 

研究キーワード 12

  1. 環境応答

  2. 気孔孔辺細胞

  3. 光シグナル伝達

  4. 青色光

  5. フォトトロピン

  6. 細胞膜H+-ATPase

  7. イオン輸送

  8. 蛋白質リン酸化

  9. 植物ホルモン

  10. 光合成

  11. バイオマス

  12. ゲノム編集

研究分野 4

  1. ライフサイエンス / 植物分子、生理科学

  2. その他 / その他  / 分子生物学

  3. その他 / その他  / 植物生理・分子

  4. その他 / その他  / 生物分子科学

現在の研究課題とSDGs 4

  1. 植物の環境応答のシグナル伝達機構

  2. 環境変動に対する気孔開閉制御の分子機構

  3. 細胞膜プロトンポンプの活性調節機構の解明

  4. 植物の成長促進と環境耐性付与

経歴 6

  1. 名古屋大学   トランスフォーマティブ生命分子研究所   教授

    2013年4月 - 現在

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    国名:日本国

  2. 名古屋大学   遺伝子実験施設   所長(センター長)

    2013年4月 - 2023年3月

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    国名:日本国

  3. 名古屋大学   大学院理学研究科生命理学専攻   教授

    2010年10月 - 現在

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    国名:日本国

  4. 名古屋大学   大学院理学研究科生命理学専攻   准教授

    2007年4月 - 2010年9月

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    国名:日本国

  5. 九州大学   大学院理学研究院生物科学専攻   助手

    1999年4月 - 2007年3月

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    国名:日本国

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学歴 3

  1. 九州大学   理学研究科   生物科学専攻

    1993年4月 - 1994年9月

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    国名: 日本国

  2. 九州大学   理学研究科   生物科学専攻

    1991年4月 - 1993年3月

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    国名: 日本国

  3. 九州大学   理学部   生物学科

    1987年4月 - 1991年3月

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    国名: 日本国

所属学協会 4

  1. 日本植物生理学会

  2. 日本植物学会

  3. 日本分子生物学会

  4. American Society of Plant Biologists

委員歴 5

  1. 日本植物生理学会   代議員  

    2014年1月 - 現在   

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    団体区分:学協会

  2. 日本植物生理学会   常任理事  

    2024年1月 - 2025年12月   

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    団体区分:学協会

  3. 日本植物学会   代議員  

    2022年6月 - 現在   

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    団体区分:学協会

  4. 日本植物生理学会   常任理事  

    2020年3月 - 2022年3月   

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    団体区分:学協会

  5. 日本植物生理学会   幹事長  

    2018年3月 - 2020年3月   

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    団体区分:学協会

受賞 7

  1. Highly Cited Researcher 2024

    2024年11月   Clarivate  

  2. 第6回日本光生物学協会 協会賞

    2024年8月   日本光生物学協会  

  3. Highly Cited Researcher 2023

    2023年11月   Clarivate  

  4. 優秀論文賞

    2015年9月   日本植物学会  

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    受賞区分:学会誌・学術雑誌による顕彰 

  5. 平成19年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞

    2007年4月   文部科学省  

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    受賞国:日本国

    課題名「植物における青色光及び植物ホルモンのシグナル伝達の研究」

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論文 135

  1. Phosphorylation of plasma membrane H+-ATPase Thr881 participates in light-induced stomatal opening. 査読有り Open Access

    Hayashi Y, Fukatsu K, Takahashi K, Kinoshita SN, Kato K, Sakakibara T, Kuwata K, Kinoshita T

    NATURE COMMUNICATIONS   15 巻   頁: 1194   2024年2月

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    担当区分:責任著者   記述言語:英語   掲載種別:研究論文(学術雑誌)  

    DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-024-45248-5

    Open Access

  2. Identification and improvement of isothiocyanate-based inhibitors on stomatal opening to act as drought tolerance-conferring agrochemicals 査読有り Open Access

    NATURE COMMUNICATIONS   14 巻   頁: 2665   2023年5月

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    担当区分:責任著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1038/s41467-023-38102-7

    Open Access

    Web of Science

    PubMed

  3. Elevated CO2 induces rapid dephosphorylation of plasma membrane H+-ATPase in guard cells 査読有り Open Access

    Ando Eigo, Kollist Hannes, Fukatsu Kohei, Kinoshita Toshinori, Terashima Ichiro

    NEW PHYTOLOGIST   236 巻 ( 6 ) 頁: 2061 - 2074   2022年12月

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    担当区分:責任著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1111/nph.18472

    Open Access

    Web of Science

  4. Type 2C protein phosphatase clade D family members dephosphorylate guard cell plasma membrane H+-ATPase 査読有り Open Access

    Akiyama Mitsumasa, Sugimoto Hodaka, Inoue Shin-ichiro, Takahashi Yohei, Hayashi Maki, Hayashi Yuki, Mizutani Miya, Ogawa Takumi, Kinoshita Daichi, Ando Eigo, Park Meeyeon, Gray William M., Kinoshita Toshinori

    PLANT PHYSIOLOGY   188 巻 ( 4 ) 頁: 2228 - 2240   2022年3月

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    担当区分:責任著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1093/plphys/kiab571

    Open Access

    Web of Science

  5. Plasma membrane H+-ATPase overexpression increases rice yield via simultaneous enhancement of nutrient uptake and photosynthesis 査読有り 国際共著 Open Access

    Zhang Maoxing, Wang Yin, Chen Xi, Xu Feiyun, Ding Ming, Ye Wenxiu, Kawai Yuya, Toda Yosuke, Hayashi Yuki, Suzuki Takamasa, Zeng Houqing, Xiao Liang, Xiao Xin, Xu Jin, Guo Shiwei, Yan Feng, Shen Qirong, Xu Guohua, Kinoshita Toshinori, Zhu Yiyong

    NATURE COMMUNICATIONS   12 巻 ( 1 )   2021年2月

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    担当区分:責任著者   記述言語:英語  

    DOI: 10.1038/s41467-021-20964-4

    Open Access

    Web of Science

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書籍等出版物 28

  1. 生物の科学『遺伝』植物の通気口「気孔」 ー環境に応答する気孔の制御

    林優紀、木下俊則( 担当: 共著)

    株式会社エヌ・ティー・エス  2020年9月 

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    記述言語:日本語

  2. JATAFFジャーナル 10巻9号「プロトンポンプの機能を高めることによりイネの収量向上と肥料の削減を実現」

    木下俊則

    公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会  2022年10月 

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    担当ページ:37-42   記述言語:日本語

  3. 植調「細胞膜プロトンポンプの過剰発現は養分吸収と光合成を同時に促進することでイネの収量を増加させる」

    木下俊則

    公益財団法人日本植物調整剤研究協会  2021年12月 

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    担当ページ:11-14   記述言語:日本語

  4. 光合成 「気孔開閉」 

    木下俊則( 範囲: 第Ⅲ部 「気孔開閉」)

    日本光合成学会  2021年12月 

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    担当ページ:153-158  

  5. 生物の科学『遺伝』「植物の巧みな環境応答 ー植物の情報処理研究の最前線」

    木下俊則、林優紀( 担当: 共著)

    株式会社エヌ・ティー・エス  2020年9月 

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    記述言語:日本語

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MISC 1

  1. 寄生植物ストライガのストリゴラクトン受容体タンパク質 招待有り 査読有り

    吉村 柾彦, 土屋 雄一朗, 佐藤 良勝, 伊丹 健一郎, 木下 俊則, 萩原 伸也  

    Plant Morphology29 巻   頁: 33 - 37   2017年

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    記述言語:日本語   掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)  

    DOI: 10.5685/plmorphol.29.33

講演・口頭発表等 135

  1. 植物の成長の謎にせまる気孔の科学のはなし 招待有り

    木下俊則

    名古屋大学オープンレクチャー  2023年3月21日  名古屋大学

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    開催年月日: 2023年3月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(招待・特別)  

    開催地:名古屋大学   国名:日本国  

  2. シロイヌナズナ実生での細胞膜 H+-ATPase 活性化が包括的な遺伝子発現に与える影響

    木下(永縄)悟,瀧京美,永縄万由子,長谷川莉子,桐山寛生,大神田淳子,木下俊則

    第64回日本植物生理学会年会  2023年3月13日  日本植物生理学会

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    開催年月日: 2023年3月

    記述言語:日本語   会議種別:ポスター発表  

    開催地:東北大学   国名:日本国  

  3. タイプ2CプロテインホスファターゼDクレードによる気孔開度制御

    木下大地,水谷未耶,榊原拓,村上公亮,丹下昭憲,安藤英伍,木下俊則

    第64回日本植物生理学会年会  2023年3月17日  日本植物生理学会

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    開催年月日: 2023年3月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    開催地:東北大学   国名:日本国  

  4. ディープラーニングを用いたシロイヌ ナズナの気孔開度自動定量技術の開発

    高木桃子,平田梨佳子,相原悠介,林 優紀,水谷未耶,安藤英伍,河野(吉村) 恵実,富山将和,木下俊則,峯彰,戸田陽介

    第64回日本植物生理学会年会  2023年3月15日  日本植物生理学会

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    開催年月日: 2023年3月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    開催地:東北大学   国名:日本国  

  5. シロイヌナズナのストレス応答性 転写因子の翻訳後制御に関わるプ ロテインキナーゼの同定

    中澤透子,杉本蒼,高橋亮輔,船守晴帆,高橋史憲,中道範人, 木下俊則,篠崎一雄,篠崎和子,溝井順哉

    第64回日本植物生理学会年会  2023年3月15日  日本植物生理学会

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    開催年月日: 2023年3月

    記述言語:日本語   会議種別:口頭発表(一般)  

    開催地:東北大学   国名:日本国  

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共同研究・競争的資金等の研究課題 2

  1. 気孔開度制御による植物の光合成活性と生産量の促進

    2010年4月 - 2020年3月

    科学技術振興機構 先端的低炭素化技術開発(ALCA) 

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    資金種別:競争的資金

  2. 気孔開閉と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構の解明

    2005年10月 - 2009年3月

    さきがけ 

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    資金種別:競争的資金

科研費 17

  1. 不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構

    研究課題/研究課題番号:20H05905  2020年11月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  学術変革領域研究(A)

    松下 智直, 松林 嘉克, 壽崎 拓哉, 吉田 聡子, 木下 俊則, 杉本 慶子, 芦苅 基行, 佐瀬 英俊, 打田 直行, 関 真秀, 花田 耕介, 鈴木 孝征, 稲垣 宗一, 多田 安臣, 児玉 豊, 桑田啓子

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    担当区分:研究分担者 

    植物を取り巻く環境は、土壌栄養や木もれ日のように細かいモザイク状の空間的不均一性を示し、また乾燥刺激のように不規則な時間的変動を伴う。そのため、移動できない植物は広いダイナミックレンジの環境変動を受け止め、それらに頑健かつ柔軟に適応するという、独自のレジリエンス機構を備えている。しかし、従来の研究は均一条件下での単一な環境応答の解析に留まり、本来の不均一かつ複合的な自然環境への多層的な適応機構を理解するには至っていない。本領域では、時空間的に不均一な環境情報を統御する分子機構とそれを支えるプロテオーム多様化機構に焦点を当てることで植物の環境レジリエンスの本質を解明する。

  2. 不規則な環境変動に応答した気孔開度と花成の制御機構

    研究課題/研究課題番号:20H05910  2020年11月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  学術変革領域研究(A)

    木下 俊則, 児玉 豊, 今泉 貴登

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:125190000円 ( 直接経費:96300000円 、 間接経費:28890000円 )

    自然界で実際に植物が晒されている不規則な環境変動により引き起こされる気孔開度制御や花成の段階的なステージゲート応答の分子機構について、参画研究者らのこれまでに培ってきた技術・経験を生かした生理・生化学的手法やイメージングを始め、新たな組織、細胞レベルでのオミクスアプローチも駆使して解明する。さらに、これらの知見に基づき気孔開度や花成をより精密に制御することで、植物の成長促進や収量増産の技術の確立を目指す。
    1)長期的な環境刺激や空間的な不均一環境による気孔開度の制御の分子メカニズムの解明。植物は乾燥による水分不足を感知すると、気孔を閉じて萎れを防止する初期反応を開始するが、さらに乾燥に数日間晒されると、この世代での生存を諦めて種子を付け、生存のチャンスを次世代へと託す。その分子機構を明らかにすることを目的として解析を進めた。また、木漏れ日にみられる変動光環境での気孔応答、葉の光情報が根に与える影響や、根における情報がどのように気孔開度に影響を与えているかなど、時空間的な環境刺激や複合環境シグナルの影響についても解析を進めた。
    2)転写開始点制御のオーキシン応答や孔辺細胞機能へ関与について。植物の成長や形態形成において重要な役割を担う植物ホルモン・オーキシン処理や細胞機能の大きく異なる孔辺細胞と葉肉細胞における転写開始点の異なる遺伝子の探索を進めた。
    3)気孔開度調節による植物の成長制御。気孔は、光合成に必要な二酸化炭素取り込み、蒸散介した水分放出や養分吸収を行なっており、植物の光合成活性、乾燥耐性に直結する役割を担っている。これまでの研究により、植物体の細胞膜H+-ATPaseの発現量を増やすことで、気孔開口、光合成活性、根における養分吸収が増加し、イネでは野外圃場での収量が30%以上増加することが明らかとなり、これらの植物を「ポンプ植物」と名付けた(Nat Commun 2021)。今年度は、化合物やゲノム編集など遺伝子組換えに頼らない方法による「ポンプ植物」の作出を目指した解析を進めた。
    4) 複合環境シグナル制御機構の解析。早朝を再現した実験系を確立し、PHOTの光感知によって誘導されることが知られていた気孔開口などの複数の生理現象にも温度が影響することを明らかにした。今後は変異体などを用いることで、気孔開口などにおけるPHOTの複合環境感知の関与を明らかにしたい。
    各研究項目について、順調に研究が進んでおり、研究成果として原著論文を16報発表した。これらから、おおむね順調に進展していると考えられる。
    本研究により、時空間的な環境刺激や複合環境シグナルなどによる気孔開度調節機構の解析を進めることで、本領域の大きな目標である不均一環境における植物の環境応答の分子機構を明らかにする。

  3. 気孔開度調節のシグナル伝達の解明と植物の成長制御

    研究課題/研究課題番号:20H05687  2020年8月 - 2025年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(S)

    木下 俊則, 佐藤 綾人, 矢守 航

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    配分額:186940000円 ( 直接経費:143800000円 、 間接経費:43140000円 )

    植物の表皮に存在する気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の唯一の取り入れ口であり、変動する環境条件に応答してその開度を調節している。これまでの研究により、気孔を構成する孔辺細胞では、光に応答して細胞膜プロトンポンプが活性化され、気孔開口の駆動力を形成することなど、気孔開・閉のシグナル伝達の一端が明らかとなってきたが、詳細な分子機構は未だ不明の部分が多い。本研究では、生理・生化学・遺伝学的手法やケミカルバイオロジーを駆使し、気孔開・閉のシグナル伝達の分子機構を明らかにする。さらに、これらの成果に基づき気孔開度を人為的に制御する技術開発を行い、植物の成長促進や乾燥耐性の付与の技術確立を目指す。
    これまでの研究により、気孔開口の必須酵素である細胞膜H+-ATPaseの脱リン酸化に関わる新たな重要因子PP2C.Dsを同定した(Plant Physiology 2022)。これにより、気孔の青色光シグナル伝達における光受容体(フォトトロピン)、シグナル因子(BLUS1, BHP)、シグナル伝達の最終標的分子(細胞膜H+-ATPase)とその活性調節因子が明らかとなったことになり、転写を伴わない植物の細胞内シグナル伝達として、ここまで分子機構の明らかとなった例は少ない。さらに、GFP-PP2C.D9を用いた免疫沈降により、未知の共同沈降タンパク質に加え、上記のすべてが含まれることを見出しており、細胞内でシグナロソームを形成している可能性が強く示唆されている。現在、網羅的なタンパク質相互作用解析を進めており、青色光受容体から細胞膜H+-ATPaseまでをタンパク質の相互作用の繋がりとして証明することができれば、植物の特徴的なシグナル伝達経路の完全解明として生物学分野に大きく貢献できると考えている。また、孔辺細胞での関与は現在解析中であるが、TMKsが50年以上探し求められていた根や葉における細胞膜H+-ATPaseのリン酸化を触媒するキナーゼを同定した成果として、Nature 2021a、Nature 2021bに発表し、植物生理学分野の進展に大きく貢献した。
    加えて、モデル樹木ポプラにおいても、孔辺細胞の細胞膜プロトンポンプの発現を高めることで、気孔開口が促進され、成長速度や光合成が促進されることを証明し、草本だけでなく、木本においても利用可能な技術であることを実証した(Frontier in Plant Science 2021)。
    研究項目として掲げている研究が順調に進捗しており、それらの研究成果として原著論文を23報発表した。これらから、おおむね順調に進展していると考えられる。
    研究項目1、孔辺細胞のH+-ATPaseのリン酸化制御に関わるキナーゼ・ホスファターゼの解析。現在、青色光シグナル伝達因子を用いた網羅的なタンパク質相互作用解析を進めており、青色光受容体から細胞膜H+-ATPaseまでをタンパク質の相互作用の繋がりとして証明すること目指す。さらに未知の共同沈降タンパク質の機能解析を進め、フォトトロピンから細胞膜H+-ATPaseに至るシグナル伝達の全貌解明を行う。また、葉や根の細胞膜H+-ATPase のキナーゼとして同定したTMKsの孔辺細胞のH+-ATPaseへの関与を明らかにし、TMKsの相互作用因子の探索を進める。
    研究項目2、網羅的ホスホプロテオミクスによる気孔開・閉調節因子の探索。これまでのホスホプロテオミクスをもとに気孔開口への関与が明らかとなった因子の解析に加え、その他の候補(約50タンパク質)についても解析を進める。
    研究項目3、気孔開度に影響を与える化合物の同定と作用機作の解明。気孔開度に影響を与える化合物の網羅的スクリーニング(約3万化合物)により同定した気孔開口を抑制する247化合物、促進する5化合物について解析をさらに進める。また、研究分担者の佐藤と進めている化合物の構造活性相関解析とアフィニティー精製を進め、気孔開度制御のシグナル伝達機構を解明する。
    研究項目4、気孔開度制御した植物体の成長促進や乾燥耐性の付与。遺伝子組換え技術に頼らない「ポンプ植物」の確立を目指し、ゲノム編集によりシロイヌナズナの細胞膜H+-ATPaseのプロモーター領域に変異を導入することで、H+-ATPaseの発現が高まった植物体に確立を進める。さらに、現在、光合成に直接関わる遺伝子とH+-ATPaseの同時形質転換体(ピラミッティング植物)の表現型観察も進めていく。

  4. 植物の成長可塑性を支える環境認識と記憶の自律分散型統御システム

    研究課題/研究課題番号:20H05603  2020年4月 - 2021年3月

    新学術領域研究(研究領域提案型)

    木下 俊則

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )

    1.「日本の科学 遺伝」に本領域の成果を解説する記事を掲載する。また、これまで本領域が主体となって執筆した特集号の冊子体を作成し、植物関連分野の研究者に配布し、本新学術領域の最新成果を広く知ってもらう。
    2.領域全体の班員の成果を紹介する動画の作成し、YouTube等の動画共有サービスで公開し、社会や国民に広く公開する。

  5. 気孔開口の光シグナル伝達の解明と気孔開度の植物成長への影響

    研究課題/研究課題番号:20H00468  2020年4月 - 2021年3月

    科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    木下 俊則

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    担当区分:研究代表者 

    配分額:45110000円 ( 直接経費:34700000円 、 間接経費:10410000円 )

    植物の表皮に存在する気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の唯一の取り入れ口であり、刻々と変動する環境に応答してその開度を調節している。気孔は、光に応答して開口し、ガス交換を促進する。本提案では、光に応答した気孔開口の分子機構を、生理学的・遺伝学的手法やケミカルジェネティクス(化学遺伝学的手法)を駆使して解明する。
    地球上最大の代謝反応である光合成は人類生存の基盤であり、農作物を提供するのみならず、二酸化炭素を吸収する一方、酸素を産出して地球環境を整えている。植物の表皮に存在する気孔は、植物固有の代謝反応である光合成に必要な二酸化炭素の唯一の取り入れ口であり、刻々と変動する環境に応答してその開度を調節している。気孔を構成する一対の孔辺細胞は、光に応答して気孔を開口させ、ガス交換を促進し、一方、乾燥ストレスに曝されると、植物ホルモン・アブシシン酸に応答して気孔を閉鎖し、植物からの水分損失を防いでいる。これまでの申請者らの研究により、孔辺細胞では、青色光や赤色光に応答して細胞膜プロトンポンプがリン酸化により活性化され、気孔開口の駆動力を形成することなど、気孔開口の重要な分子機構の一端が明らかとなってきた。
    本研究では、植物の成長・生存に極めて重要な光による気孔開口のシグナル伝達の分子機構を、研究代表者のこれまでに培ってきた技術・経験を生かした生理・生化学的手法やケミカルバイオロジーを駆使して明らかにすることを目的として研究を進めてきた。また、気孔開口のキーエンザイムである細胞膜プロトンポンプ活性化の分子機構について、特にリン酸化に関わる因子の解析に主眼をおき進めてきた。さらに、気孔開度に影響を与える化合物の同定を目的としたケミカルスクリーニングを進め、強力に気孔開度に影響を与える化合物を続々と同定し、その機能解析を進めてきた。
    令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
    令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

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産業財産権 1

  1. 植物気孔開口調節剤

    木下俊則、相原悠介、佐藤綾人、藤茂雄、叶文秀、戸田陽介、伊丹健一郎、村上慧、前田文平、後藤栞奈

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    出願番号:2022-072557  出願日:2022年4月

    特許番号/登録番号:2022-072557 

 

社会貢献活動 6

  1. 気孔開口の分子機構と気孔開度制御の開発

    役割:講師

    愛知県知多農林水産事務所農業改良普及課  愛知県知多農林水産事務所農業改良普及課セミナー  2021年2月

  2. 植物に欠かせない気孔の大切な働き

    役割:講師

    豊橋市自然史博物館  名古屋大学出前授業  2020年11月

  3. 気孔開度制御技術研究開発プラットフォーム

    役割:講師

    産学官連携協議会  「知」の集積と活用の場  2020年11月

  4. 気孔開度調節のシグナル伝達の解明と植物の成長制御

    役割:講師

    第5回ITbM/GTRコンソーシアム  2020年9月

  5. 気孔開度調節による植物の成長制御技術の開発

    役割:講師

    関東種苗生産協議会  関東種苗生産協議会セミナー  2020年1月

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メディア報道 14

  1. ワサビで植物の鮮度を守る!? テレビ・ラジオ番組

    TBSラジオ  森本毅郎・スタンバイ  2023年7月

  2. ワサビの辛み 野菜鮮度保つ 新聞・雑誌

    読売新聞  2023年7月

  3. しおれ防ぐ天然化合物 植物の気孔開口を抑制 新聞・雑誌

    科学新聞  2023年5月

  4. 辛み成分、葉のしおれ防ぐ 新聞・雑誌

    日本経済新聞  2023年5月

  5. ワサビの辛み花長持ち 名大発見、気孔開かせず 新聞・雑誌

    中日新聞  2023年5月

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