研究者詳細 - 西田　佳弘

論文 - 西田　佳弘

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誌上シンポジウム骨軟部腫瘍の薬物治療アップデート骨巨細胞腫に対するデノスマブ治療査読有り

浦川浩, 新井英介, 生田国大, 大田剛広, 酒井智久, 西田佳弘

臨床整形外科 54 巻 ( 7 ) 頁： 665 - 670 2019年7月

誌上シンポジウム骨軟部腫瘍の薬物治療アップデートデスモイドに対する薬物治療査読有り

西田佳弘

臨床整形外科 54 巻 ( 7 ) 頁： 697 - 702 2019年7月

軟部肉腫広範切除のため大腿四頭筋腱合併切除後に膝伸展機構の再建を行い、装具なしで歩行を獲得した症例査読有り

神山卓史, 加古誠人, 森友洋, 髙木優衣, 寺井千晶, 栗谷彩, 白井祐也, 新井英介, 門野泉, 西田佳弘

理学療法学Supplement 46S1 巻 ( 0 ) 頁： H2-114_1 - H2-114_1 2019年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【症例紹介】四肢の軟部肉腫に対する手術では患肢温存率は増加しており、術後の機能再獲得に関しても向上が望まれている。一方で他の整形外科疾患と異なり、手術により切除される組織や再建方法、喪失あるいは残存する機能が患者ごとに異なっているため、リハビリテーションも個々の症例に応じた対応が必要となる。　今回我々は、大腿軟部肉腫に対する広範切除として大腿四頭筋腱を合併切除した後に遊離筋皮弁により再建し、術後の綿密な管理下での積極的な筋力トレーニングにより膝伸展機能を再獲得し、装具を使用せずに片松葉杖歩行を早期に実現した症例を経験したのでこれを報告する。　50代女性、身長151cm、体重46.6kg。既往歴に子宮頸がんを認め、入院前のADLは全自立レベルであった。Ｘ-6ヵ月に右大腿部に腫瘤を触知し、Ｘ-3ヵ月に他院にて右大腿遠位部腫瘤に対して単純摘出術施行された。その後の病理診断にて末分化多形肉腫と診断され、Ｘ-1ヵ月に当院を初診し、Ｘ日に追加広範切除術施行された。【評価とリーズニング】　広範切除により、大腿四頭筋の遠位部は、膝蓋骨停止部から近位10cmほどまで四頭筋全層が切除された。切除後の再建として、対側の遊離前外側大腿皮弁（以下ALT）が使用された。採取されたALTの大腿筋膜～腸脛靭帯を、遠位は膝蓋骨（骨孔を通し膝蓋靭帯に縫着）、近位は大腿直筋・中間広筋・外側広筋の腱成分と縫合した。内側広筋部は血管吻合部であったため縫合しなかった。術後4週間は膝伸展位で大腿～下腿までの外固定とした。　術直後はベッド上にて、患肢伸展位固定であり、この時点での筋力は徒手筋力検査（以下MMT）にて左大腿四頭筋0レベルで、筋収縮は認めなかった。術後4週にて患肢半荷重、関節可動域練習が許可され、左大腿四頭筋筋力はMMT2レベル、Extension Lag（以下Lag）-15°であった。関節可動域（以下ROM）は膝関節屈曲40°、伸展0°で、両松葉杖歩行可能ではあったが、「膝折れしそうで怖い」などの発言がみられた。【介入内容と結果】大腿四頭筋遠位部の全切除ののち、大腿筋膜～腸脛靭帯による再建が行われたが、遊離皮弁の為、術後は外固定による伸展位固定が必要な状態であった。この期間中も、①筋力維持・回復 ②癒着防止が必要の為、術直後は、残存している大腿四頭筋の筋力強化を目的にパテラセッティング（10回2セットを1日最低5回）、癒着予防目的にパテラモビライゼーションを行い、ベッドサイドでのセルフエクササイズも指導した。術後4週より伸展位固定解除され、膝屈曲可動域練習および端坐位での膝関節伸展運動も行い、膝関節伸展機能の再獲得を目指した。可動域練習は再建腱の伸張には十分注意して、屈曲角とLagを評価しつつ行った。　術後7週にて患肢全荷重が許可されたため、スクワットなど荷重位でのトレーニングと歩行練習を中心に行った。膝関節屈曲可動域練習開始後にLagは一時的に-30°まで増大したが、術後8週では-15°まで改善を認めた。左大腿四頭筋筋力はMMT2レベル、ROMは膝関節屈曲90°、伸展0°まで改善し、歩行は装具を使用せずに片松葉杖歩行可能であった。10ｍ歩行は11.95秒で、「安心して歩けるようになって嬉しい」などの発言もみられ、X+58日に自宅退院となった。【結論】　術後経過において、Lagが低下した原因は、術後の屈曲角度拡大に伴い再建腱の伸張が生じたためと考えられたが、関節可動域の内容を制限し、筋力トレーニングを中心に行うことでさらなる再建腱の伸張を予防することができたと考える。また、本症例はLagがあるためMMTでは2の判定となるが、屈曲位では徒手抵抗でMMT4相当の筋出力が可能となり、膝関節屈曲位での支持性が得られ、膝折れが予防出来たと考える。一方、膝関節軽度屈曲位から完全伸展では四頭筋の筋収縮が十分に得られなかったが、荷重位でのスクワット運動を取り入れることにより、ハムストリングスおよび膝関節伸展ロックによる制御が可能となり、膝関節軽度屈曲位から完全伸展位においても膝折れが予防出来たと考える。　これらの介入により、術式より膝折れが予想されたが、装具を使用せずに片松葉杖歩行自立に至ったと考える。　今回の結果より、広範切除施行後のリハビリテーションは、手術内容を理解し、残存機能に着目した適切な筋力トレーニングが有効であることが示唆された。【倫理的配慮，説明と同意】本研究は名古屋大学生命倫理審査委員会の承認を得た上で、ヘルシンキ宣言に基づき、患者に十分な説明を行い、書面にて同意を得て行った。

DOI： 10.14900/cjpt.46s1.h2-114_1

CiNii Research

外反変形性膝関節症患者に対する人工膝関節全置換術前後の特徴について査読有り

加古誠人, 森友洋, 髙木優衣, 寺井千晶, 栗谷彩, 神山卓史, 白井祐也, 濱田恭, 平岩英樹, 門野泉, 西田佳弘

理学療法学Supplement 46S1 巻 ( 0 ) 頁： H2-71_1 - H2-71_1 2019年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【はじめに】 変形性膝関節症（膝OA）は、関節変形や可動域制限、筋力低下、疼痛を主症状とし、膝OAに対する外科手術の一つに人工膝関節全置換術（TKA）があり、除痛、変形矯正を目的として広く行われている。膝OAの変形は、内反膝OAが90％以上を占め、外反膝OAの発症率は低いと言われている。そのため、TKAに関する解析は内反膝OAに関する報告が多く、外反膝OAに関する報告は非常に少ない。【目的】本研究の目的は、内反膝OAと外反膝OAのTKA前後の身体機能および術後経過の差を解析し、外反膝OAに対して今後理学療法に必要となる特徴を明らかにすることとした。【方法】 対象は、2015年9月から2017年11月までの期間に初回のTKAを施行した膝OA患者のうち、評価困難例や神経疾患などの合併症を有する例を除外した84例とした。評価項目は、年齢、性別、BMI、大腿骨脛骨角（FTA）、手術時間、出血量、在院日数を診療録より調査した。疼痛はVisual Analogue Scale（VAS）を用いた。両股関節・両膝関節可動域（ROM）、10m快適歩行速度を測定した。下肢筋力（股関節外転筋、膝関節伸展筋）は、ハンドヘルドダイナモメータ（μTas F-100、アニマ社製）を用いて測定した。 全体を内反群（FTA175°以上）、外反群（175°未満）の2群に分けて比較検討した。統計処理は、2群間の比較を対応のないt検定で行った。結果は、平均値±標準偏差で示し、有意水準は5%未満とした。【結果】 内反群70例（年齢72.1±7.8歳、女性55例）、外反群14例（年齢70.9±7.6歳、女性12例）であった。両群間の年齢、性別において差はなかった。FTAは内反群186.3±7.1°、外反群166.6±8.3°であった。術前の身体機能は、健側股関節屈曲・外転ROM、患側股関節外転筋力、両側膝関節伸展筋力において外反群が有意に低かった。術後の身体機能は、VASにおいて外反群が有意に高く、患側膝関節伸展筋力は外反群が有意に低かった。その他に、手術時間、在院日数それぞれ外反群が有意に長かった。【結論】 術前の結果より、内反膝OAに比べ、外反膝OAは股関節の可動域および筋力の低下が認められた。外反膝では股関節の変形や内転拘縮を伴う症例も散見され、これが一因と考えた。また、術後の結果から外反膝OAは、術後疼痛や患側膝関節伸展筋力低下がより強く認められ、手術時間が長くなっていることから、内反OAに比べより術式の影響を強く受ける可能性が示唆された。 外反膝OAのTKA前後の理学療法介入は、膝関節のみならず股関節機能や術式、疼痛など内反膝OAとの違いを理解して、注意深く慎重な介入が必要であると考える。【倫理的配慮，説明と同意】本研究は名古屋大学生命倫理審査委員会の承認（承認番号：2015-0516）を得た上で、ヘルシンキ宣言に基づき、患者に十分な説明を行い、書面にて同意を得て行った。

DOI： 10.14900/cjpt.46s1.h2-71_1

CiNii Research

内反型変形性膝関節症患者におけるTUGに影響を及ぼす因子の検討査読有り

白井祐也, 森友洋, 加古誠人, 髙木優衣, 寺井千晶, 栗谷彩, 神山卓史, 濱田恭, 平岩秀樹, 門野泉, 西田佳弘

理学療法学Supplement 46S1 巻 ( 0 ) 頁： H2-219_2 - H2-219_2 2019年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【はじめに、目的】Timed up and go test（TUG）は，下肢筋力，動的バランス，歩行能力を統合した評価指標として使用されている。変形性膝関節症（膝OA）患者において，TUGは，起立，歩行，階段昇降といった日常生活動作と大きく関連する評価項目として重要と言われている。近年，膝OA患者におけるTUGに影響を及ぼす因子は膝関節の運動機能に限局した報告が多く見られ，他関節を含む下肢の運動機能全般や，変形の重症度，疼痛を含めた因子での検討は十分にされていない。そこで本研究は，膝OA患者におけるTUGに影響を及ぼす因子を下肢の運動機能，変形の重症度，疼痛の項目から検討することを目的とした。【方法】対象は2014年6月から2017年11月までに初回の人工膝関節置換術目的に入院した内反型膝OA患者のうち，神経疾患の既往のある者，測定困難な者を除外した37例（女性29例，男性8例，年齢70.8±8.1歳，身長154.7±7.7cm，体重63.3±10.4kg）とした。TUGは2回測定し，平均値を使用した。運動機能の評価項目は，股関節，膝関節，足関節の関節可動域（ROM）と股関節外転，膝関節伸展の等尺性の最大筋力とした。筋力測定は，ハンドヘルドダイナモメータ（μTas F-100，アニマ社製）を使用した。変形の重症度は大腿脛骨角（Femoro-tibial angle：FTA）を使用し，疼痛に関する評価は，疼痛の程度（Visual analogue scale：VAS），疼痛に対する破局的思考の程度（Pain Catastrophizing Scale：PCS）を使用した。評価項目は手術前日に測定した。統計処理は，TUGに対する各指標間の関連、FTAと疼痛の関連を正規性に応じてPearsonの相関係数またはSpearmanの順位相関係数を用いて行った。結果は平均値±標準偏差で示し，有意水準は5％とした。【結果】TUGの平均値は10.7±2.5秒であった。TUG値は両側股関節内旋ROM（患側：r=-0.35，p<0.05/健側：r=-0.36，p<0.05），患側股関節内転ROM（r=-0.33，p<0.05），健側股関節外転筋力（r=-0.39，p<0.05），両側膝関節伸展筋力（患側：r=-0.44，p<0.01/健側：r=-0.36，p<0.05）と有意な負の相関を示した。変形の重症度を示すFTAや疼痛に関する評価のVASやPCSとの相関は認められなかった。またFTA はVASやPCSとも相関を認めなかった。【結論（考察も含む）】今回の結果からTUGは，健側，患側ともに股関節，膝関節の運動機能との相関を認めた。進行期あるいは末期内反型膝OA患者では患側の膝関節だけでなく，健側を含めた両側下肢の運動機能がTUGに関与していることが明らかとなった。一方でTUGは変形の重症度や疼痛の評価項目と相関を認めなかった。過去の報告と同様に変形の重症度と疼痛も相関を認めなかった。このことから内反型膝OA患者において変形の重症度や疼痛は必ずしもTUGの制限因子とならず，TUGはROMや筋力といった運動機能をより反映した評価指標であることが示唆された。【倫理的配慮，説明と同意】 本研究は名古屋大学生命倫理審査の承認を得た上で，ヘルシンキ宣言に基づき，対象者に十分な説明を行い，書面にて同意を得て実施した（承認番号：2018-0081）。

DOI： 10.14900/cjpt.46s1.h2-219_2

CiNii Research

変形性膝関節症患者の健康関連QOLに関連する因子の検討査読有り

寺井千晶, 加古誠人, 髙木優衣, 栗谷彩, 神山卓史, 白井祐也, 森友洋, 濱田恭, 平岩秀樹, 門野泉, 西田佳弘

理学療法学Supplement 46S1 巻 ( 0 ) 頁： H2-25_1 - H2-25_1 2019年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【はじめに、目的】変形性膝関節症（膝OA）は本邦において多くの罹患患者を有する骨関節疾患の1つであり，その主な症状は膝関節痛である。荷重関節である膝関節の疼痛は患者の移動能力を低下させ，日常生活活動を障害し，さらに生活の質（Quality of life；QOL）の低下を招くとされる。QOLのうち，健康に関わるものは健康関連QOL（Health related quality of life；HRQOL）とされ，HRQOLの評価指標としてはSF-36が一般的に用いられる。どのような因子が膝OA患者のHRQOLに関連するか明らかにすることは，理学療法介入を行う上で一助となると考える。本研究の目的は膝OA患者のHRQOLに関連する因子を明らかにすることである。【方法】対象は2016年4月から2018年4月の間に手術目的で当院整形外科へ入院した膝OA患者のうち，術前評価時に歩行可能かつ質問紙評価が可能であった62例（女性：48例，男性：14例，平均年齢69.7±9.3歳：平均±SD）とした。HRQOLの評価には日本語版SF-36を用い，身体的側面，精神的側面および役割/社会的側面の3つのQOLサマリースコアを算出した。また疼痛の程度の評価にはVisual analog scale（VAS）を用い，疼痛に対する破局的思考の評価指標であるPain Catastrophizing Scale（PCS）を用いて反すう，無力感，拡大視の3つの数値を算出した。身体機能評価項目は膝伸展筋力（ハンドヘルドダイナモメーターを用いて測定），膝伸展/屈曲可動域（ROM），10m歩行速度（快適歩行速度，最大歩行速度）とした。統計学的解析にはSPSSを用い，3つのサマリースコアと各項目のSpearmanの順位相関係数を算出した。なお，有意水準は5％とした。【結果】身体的側面のスコアはVAS（r=-.258，p=.043），PCS反すう（r=-.255，p=.048），PCS無力感（r=-.282，p=.028），快適歩行速度（r=.371，p=.003），患側膝屈曲ROM（r=.387，p=.002）と有意な相関を認めた。精神的側面のスコアはVAS（r=-.424，p=.001），PCS反すう（r=-.370，p=.003），PCS無力感（r=-.346，r=.006），PCS拡大視（p=-.355，p=.005）と有意な相関を認めた。役割/社会的側面のスコアはPCS無力感（r=-.305，p=.017），PCS拡大視（r=-.345，p=.006），快適歩行速度（r=.359，p=.004），最大歩行速度（r=.343，p=.009）と有意な相関を認めた。【結論（考察も含む）】各サマリースコアにおいて，疼痛に関連する因子であるVASやPCSが有意な相関を認めることが明らかとなった。また身体機能では歩行速度が2つのサマリースコアにおいて有意な相関を認め，膝OA患者のHRQOLには疼痛や歩行速度が関連することが示唆された。したがって，手術を要するような進行期・末期膝OA患者に対し疼痛や歩行速度の改善を目指す理学療法介入を行うことは患者のHRQOL改善につながる可能性があると考える。【倫理的配慮，説明と同意】本研究は当院生命倫理審査委員会の承認を得た上で，ヘルシンキ宣言に基づき，患者に十分な説明を行い書面にて同意を得て実施した（承認番号：2015-0516）。

DOI： 10.14900/cjpt.46s1.h2-25_1

CiNii Research

画像診断と病理骨芽細胞腫査読有り

駒田智大, 岩野信吾, 長縄慎二, 新井英介, 西田佳弘, 下山芳江

画像診断 39 巻 ( 1 ) 頁： 4 - 5 2018年12月

軟骨無形成症に起因する脊柱管狭窄症に対して手術とリハビリテーションを行った1例査読有り

菱田愛加, 門野泉, 岡田貴士, 今釜史郎, 西田佳弘

中部日本整形外科災害外科学会雑誌 61 巻 ( 5 ) 頁： 963 - 964 2018年9月

胸腺摘出術患者における術前6分間歩行距離は術後離床遅延を予測する査読有り

林和寛, 福本紘一, 横井香平, 永谷元基, 井上貴行, 伊藤理, 中島裕貴, 服部慶子, 門野泉, 西田佳弘

理学療法学Supplement 2016 巻 ( 0 ) 頁： 0784 2017年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【はじめに，目的】胸腺摘出術は，胸腺腫および重症筋無力症に対する治療法の一つである。胸腺腫患者の約1/3に重症筋無力症が合併するとされ，先行研究では重症筋無力症合併と胸腺摘出術後死亡率との関連が報告されている。胸部外科術後の理学療法においては，術後合併症の予防と身体機能の回復を主たる目的として術後早期から離床を行うことが推奨されている。術後の離床遅延は術後合併症や在院期間の延長につながることから，離床遅延に関連する要因を明らかにすることが求められている。そこで，本研究は胸腺摘出術患者において，術後離床遅延を予測する術前術中因子について検討した。【方法】2013年4月から2015年6月の期間に当院にて胸腺摘出術および周術期理学療法を施行した57例を対象とし，後方視的に検討した。術翌日に病棟歩行可能であった患者を早期離床群，歩行不可能であった患者を離床遅延群とした。評価指標は併存疾患，術前呼吸機能，術前6分間歩行距離（6MWD），手術時間，麻酔時間，出血量，術中水分バランス，術式，硬膜外麻酔使用の有無とした。各評価指標について，2群間をMann-Whitney U検定およびカイ二乗検定を用いて比較した。また，離床遅延の予測因子をロジスティック回帰分析で検討した。結果は平均値±標準偏差で示し，統計学的解析では有意水準を危険率0.05未満とした。【結果】対象の年齢は59±12歳，BMIは23.0±3.7 kg/m2であり，男性33例，女性24例であった。重症筋無力症を有していた患者は13例であった。早期離床群は31例，離床遅延群は26例であった。離床遅延群の病棟歩行開始日は，術後2日目が22例，術後3日目が4例であった。術後肺炎は離床遅延した1例のみに生じた。入院期間中には重症筋無力症クリーゼは発症しなかった。離床遅延群の術前6MWD（460±96 m）は，早期離床群（519±99 m）と比較して有意に低値を示した。重症筋無力症の有無の割合は両群間で差を認めず，その他の術前術中因子についても有意な差を認めなった。術前術中因子のうち，離床遅延の有無との関連が危険率0.2未満であった因子（高血圧，術前化学放射線療法，%肺活量，%1秒量，術前6MWD）を独立変数として抽出し，離床遅延の有無を従属変数として，ステップワイズ法を用いてロジスティック回帰分析を行った。ロジスティック回帰分析の結果，術前6MWDのみが離床遅延の独立した危険因子として抽出された。離床遅延と術前6MWDのReceiver Operating Characteristic曲線から算出された離床遅延のカットオフ値は498 mであった。【結論】胸腺摘出術後における離床遅延には術前6MWDが関連した。6MWDは術前評価指標の一つとして有用であり，術前6MWDが低値を示す患者においては術後に離床が遅延する可能性が推測されるため，術前後の介入方法を検討する必要があることが示唆された。

DOI： 10.14900/cjpt.2016.0784

CiNii Research

生体肝移植術前後における筋力と6分間歩行距離の変化査読有り

水野陽太, 伊藤理, 服部慶子, 永谷元基, 井上貴行, 西田佳弘, 大西康晴, 亀井秀弥, 倉田信彦, 長谷川好規, 小倉靖弘

理学療法学Supplement 2016 巻 ( 0 ) 頁： 0763 2017年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：公益社団法人日本理学療法士協会

【はじめに，目的】末期肝障害患者の多くは，筋力や運動耐容能などの身体機能が低下している。身体機能の低下は肝移植術により数ヵ月から数年後に改善すると報告されているが，移植術後短期間の在院中にどのように変化するかは明らかではない。肝移植周術期における理学療法介入は，他の外科周術期と同様，術後合併症の予防や身体機能回復の促進を目的に行われており，筋力や運動耐容能の経過を把握することは重要である。肝移植による身体機能に関する報告の多くは脳死肝移植術を対象とした海外からのものであり，わが国で多く行われている生体肝移植術の報告は無い。そこで本研究は，生体肝移植術前後の身体機能の変化と，それらに関連する因子を検討することを目的とした。【方法】2014年4月から2015年12月までに当院で生体肝移植術を施行され，周術期理学療法が実施された成人21例を対象とした後方視的観察研究を行った。うち術前と術後4週目で評価が可能であった12例については，移植前後での身体機能を比較し，筋力の評価として握力ならびに等尺性膝伸展筋力，運動耐容能の評価として6分間歩行距離（6MWD）を測定した。術前後の評価指標についてはWilcoxonの符号順位検定を用いて比較し，各指標の相関はSpearmanの順位相関係数を用いて算出した。統計学的解析では有意水準を危険率0.05未満とした。【結果】評価群（n=12）と非評価群（n=9）では術前肝障害重症度の指標であるMELD scoreに有意差はみられなかった。評価群は全例が移植後自宅退院であったが，非評価群では2例が死亡退院であった。評価群の移植後の歩行開始は平均5.7日（2-17日），術後在院日数は平均54.2日（31-125日）であった。術前6MWDとMELD score（r=-0.646，P=0.023）ならびに呼吸機能の%VC（r=0.757，P=0.004），%FVC（r=0.776，P=0.003），%FEV1（r=0.734，P=0.007）には有意な相関がみられた。術前後の比較において6MWDに有意差はみられなかった（365.9±141.3 m vs. 341.1±139.7 m，P=0.182）が，握力（21.4±5.4 kgf vs. 17.3±5.9 kgf，P=0.015）と等尺性膝伸展筋力（19.1±5.4 kgf vs. 13.5±5.8 kgf，P=0.012）において有意な低下を認めた。術前MELD scoreと握力減少率（r=-0.604，P=0.038），等尺性膝伸展筋力減少率（r=-0.786，P=0.002）との間には有意な負の相関がみられた。【結論】生体肝移植術後4週の時点では，筋力は術前のレベルまで十分に回復しなかった。今後，移植後の筋力低下の軽減，早期回復を促す理学療法の確立が望まれる。

DOI： 10.14900/cjpt.2016.0763

CiNii Research

四肢の骨・軟部肉腫査読有り

西田佳弘

日本小児血液・がん学会雑誌 54 巻 ( 3 ) 頁： 224 - 228 2017年

記述言語：日本語掲載種別：研究論文（学術雑誌）出版者・発行元：日本小児血液・がん学会

日本整形外科学会の全国骨・軟部腫瘍登録データによるとAYA世代において発症数の多い肉腫として，骨原発では骨肉腫とEwing肉腫，軟部では横紋筋肉腫，滑膜肉腫，脂肪肉腫が挙げられる．その他にAYA世代に発症する特徴的な疾患として神経線維腫症1型に合併する悪性末梢神経鞘腫瘍（MPNST），良悪性の中間型であるデスモイド型線維腫症などがある．すべてが稀な疾患であり，各々の治療法が異なるために経験豊富な施設での治療が望まれる．横紋筋肉腫，デスモイド型線維腫症では診療ガイドラインを熟知していないために診療方針が施設ごとに大きく異なっていることが明らかとなった．骨・軟部肉腫の中でも，これまで通り診療レベルの均てん化および向上をめざすべき疾患と，診療の一層の集約化が必要である疾患があり，区別していく英断が必要であろう．四肢に好発する骨肉腫の治療では人工関節置換を必要とする場合が多く，治療後運動が制限されるとともに，腫瘍が治癒した後も人工関節の弛みや感染に対して複数回の手術が必要となる場合が多く，AYA世代および30歳以降も継続的な診療が必要となる．またMPNSTのように早期発見が遅れて治療成績が低下する疾患ではAYA世代のNF1患者への啓蒙が重要である．デスモイド型線維腫症では，腫瘍自体あるいは治療によって四肢の機能障害に悩まされるAYA世代患者が多く，多診療科による慎重な診療方針決定が重要となる．

DOI： 10.11412/jspho.54.224

CiNii Research

Financial burden of surgical treatment for retroperitoneal sarcoma. 査読有り

Yokoyama Y, Sunagawa M, Kurimoto K, Sakai T, Nishida Y, Ebata T, Kodera Y.

Surg Today. 54 巻 ( 10 ) 頁： 1201 - 1207 2024年10月

The impact of goal-directed prehabilitation therapy on functional capacity in patients undergoing hepatobiliary and pancreatic surgery: A randomized clinical trial. 査読有り

Mizuno Y, Yokoyama Y, Nakajima H, Inoue T, Tanaka S, Nagaya M, Inokawa Y, Ando M, Nishida Y, Ebata T.

Surgery. 176 巻 ( 2 ) 頁： 252 - 258 2024年8月

Japanese orthopaedic association (JOA) clinical practice guidelines on the management of malignant bone tumors - Secondary publication. 査読有り

Tsuchiya K, Akisue T, Ehara S, Kawai A, Kawano H, Hiraga H, Hosono A, Hutani H, Morii T, Morioka H, Nishida Y, Oda Y, Ogose A, Shimose S, Yamaguchi T, Yamamoto T, Yoshida M.

J Orthop Sci. S0949-2658 巻 ( 23 ) 頁： 00321 - 00324 2024年7月

Preoperative Sarcopenia Severity and Clinical Outcomes after Total Hip Arthroplasty. 査読有り

Tanaka S, Kayamoto A, Terai C, Nojiri S, Fugane Y, Mori T, Nagaya M, Kako M, Iida H, Osawa Y, Takegami Y, Nishida Y.

Nutrients. 16 巻 ( 13 ) 頁： 2085 - 2085 2024年6月

膝関節周囲軟部肉腫術後の膝関節機能の検討査読有り

小池宏, 永野昭仁, 相羽久輝, 淺沼邦洋, 筑紫聡, 小澤英史, 河南勝久, 生田国大, 西田佳弘, 今釜史郎

日本整形外科学会雑誌 98 巻 ( 6 ) 頁： S1607 - S1607 2024年6月

補助人工心臓植込み後に高次脳機能障害を合併し、寛骨臼骨折受傷後、部分荷重歩行獲得に難渋した一例査読有り

堀勇斗, 寺井千晶, 府金幸紀, 森友洋, 山口英敏, 浅見雄太, 西田佳弘

国立大学リハビリテーション 45 巻頁： 54 - 58 2024年4月

Effects of acute phase intensive electrical muscle stimulation in COVID-19 patients requiring invasive mechanical ventilation: an observational case-control study. 査読有り

Tsuchikawa Y, Tanaka S, Kasugai D, Nakagawa R, Shimizu M, Inoue T, Nagaya M, Nasu T, Omote N, Higashi M, Yamamoto T, Jingushi N, Numaguchi A, Nishida Y.

Sci Rep. 14 巻 ( 1 ) 頁： 5254 - 5254 2024年3月

TGF-β signaling promotes desmoid tumor formation via CSRP2 upregulation. 査読有り

Li Y, Fujishita T, Mishiro-Sato E, Kojima Y, Niu Y, Taketo MM, Urano Y, Sakai T, Enomoto A, Nishida Y, Aoki M.

Cancer Sci. 115 巻 ( 2 ) 頁： 401 - 411 2024年2月

＜Editors' Choice＞ The relationship between preoperative foot alignment and postoperative outcomes in patients who underwent initial total knee arthroplasty. 査読有り

Hishida A, Hiraiwa H, Kadono I, Yamaguchi H, Okada T, Terai C, Kayamoto A, Nishida Y.

Nagoya J Med Sci. 86 巻 ( 1 ) 頁： 91 - 103 2024年2月

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<西田 佳弘>

論文 - 西田 佳弘

<西田　佳弘>

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