科研費 - 浅川 晋
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温室効果ガスや窒素負荷の排出削減と好適生育環境を両立させる地下水位制御手法の探索
研究課題/研究課題番号:24H00535 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
宮本 輝仁, 浅川 晋, 吉田 修一郎, 西田 和弘, 亀山 幸司, 中村 真人, 柳井 洋介, 松本 宜大, 久保田 幸
担当区分:研究分担者
水田における野菜などの高収益作物栽培が推奨される一方、多量施肥による温室効果ガスや窒素負荷の流出増加が懸念される。本研究では、粘土質転換畑において温室効果ガスや窒素負荷の排出削減と好適生育環境を両立させる地下水位制御手法の探索を行う。具体的には、土塊内の間隙における温室効果ガスの発生・拡散過程から土層内の粗間隙を通じた窒素や温室効果ガスの動態解明、温室効果ガスや窒素負荷の発生と消失に関わる微生物活動の水分依存性の解明を行い、それぞれの素過程をモデル化・統合する。そして、シミュレーションにより農地由来の温室効果ガスや窒素負荷の排出削減と好適生育環境の創出を両立させうる地下水位制御手法を探索する。
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土壌微生物の酵素発現への微量金属元素の拮抗作用:水田土壌の二価鉄イオンの影響解析
研究課題/研究課題番号:24K01653 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
浅川 晋, 渡邉 健史
担当区分:研究代表者
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
湛水水田土壌中の鉄濃度は,微生物培養で通常用いる培地に比べ10倍から100倍程度高い。このような条件下の土壌に生息する微生物が持つ金属酵素中の微量金属元素と鉄との間の拮抗関係を明らかにすることを目的とする。メタン生成古細菌あるいはメタン酸化細菌を対象とし,ヒドロゲナーゼ,メタンモノオキシゲナーゼ,ニトロゲナーゼのニッケル,銅,モリブデン,バナジウム含有型と鉄含有型のそれぞれのアイソフォーム酵素の発現に及ぼすFe2+濃度の影響を解析する。
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研究課題/研究課題番号:24K01797 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
EPRON Daniel, 諏訪 錬平, 浅川 晋
担当区分:研究分担者
The aim is to acquire new knowledge on CH4 fluxes from soil and trees in mountain and mangrove forests and scale them to the ecosystem level, taking up the challenge of the large spatio-temporal heterogeneity of these types of forest. The reason for choosing these two forest types is that they are both complex but differ significantly in terms of methane flux: methanogenesis dominates in mangrove sediments while methanotrophy dominates in upland soils. The source of methane emitted by the surface of the trunks is mostly exogenous for mangroves, mostly endogenous for trees in mountain forests.
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水稲に連作障害が生じない本当の理由は何か:根圏で土壌病原菌を抑止する機作の探索
研究課題/研究課題番号:22K19132 2022年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
浅川 晋, 村瀬 潤, 渡邉 健史
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
湛水下で栽培されるイネ(水稲)には土壌病原菌による連作障害が起きない。従来,湛水で生じる土壌の還元・嫌気状態により好気性の土壌病原菌の活動が抑制されることがその原因とされてきたが,イネと同様に湛水下で栽培されるレンコンやクワイにはフザリウム等の好気性糸状菌による連作障害が起きるため,他に原因があると思われる。イネの根圏では地上部より送られる酸素が根から漏出し酸化的となる。このようなイネの根圏で活発化する(1)原生生物の捕食作用,(2)根周囲の酸化還元境界層における二価鉄の酸化反応によるラジカル生成,(3)非病原性の細菌・糸状菌群集の増殖が土壌病原菌を抑止していると想定し,その機作を探る。
湛水下で栽培されるイネ(水稲)には土壌病原菌による連作障害が起きない。従来,湛水で生じる土壌の還元・嫌気状態により好気性の土壌病原菌の活動が抑制されることがその原因とされてきたが,水稲と同様に湛水下で栽培されるレンコン,クワイにはフザリウム等による連作障害が起きるため,他に原因があると思われる。本研究では,地上部より送られる酸素が根から漏出し,酸化的となるイネの根圏で活発化する微生物活動と生化学反応が土壌病原菌に対する抑止性に関与していると想定する。水稲根圏において,優占して生息する原生生物の捕食作用,根周囲の酸化還元境界層の鉄酸化反応,根からの酸素と有機物で増殖する細菌・糸状菌群集に注目し,水稲が土壌病原菌に対し抑止性を発揮している機作を探ることを目的とする。
2022年度にイネに対する病徴の発現を確認した結果に基づき、Fusarium commune MAFF236517株を供試菌株とした。湛水水田条件および落水畑条件の圃場でイネを栽培し、それぞれのイネから調製した根圏土壌試料について、フザリウム共培養法を用いてF. commune MAFF236517株に対する根圏微生物による抑止作用の調査を行った。分げつ期、出穂期のどちらの試料でも、畑と比べ水田のイネの根圏土壌でF. communeのコロニーの伸長程度が明らかに小さくなる傾向は認められなかった。また、ニ価鉄と過酸化水素によるフェントン反応で生じるヒドロキシラジカルを蛍光プローブHydroxyphenyl Fluoresceinにより特異的に検出できることを確認し、F. commune MAFF236517株をニ価鉄と過酸化水素で処理し、平板培地で増殖程度への影響を調査した。処理区と非処理区の間でF. commune MAFF236517株の増殖程度に差が見られず、ヒドロキシラジカルの影響は認められなかった。
2022年度にイネに対する病徴の発現を確認したFusarium commune MAFF236517株を供試菌株として用い、根圏に生息する微生物による抑止作用について、圃場において湛水水田条件および落水畑条件でイネを栽培し、それぞれのイネから調製した根圏土壌試料を対象に、フザリウム共培養法を用いてF. commune MAFF236517株に対する抑止作用を調査した。水田と畑で明確な差異は認められなかったものの、どちらの試料もF. commune MAFF236517株に対する生育抑止作用を有することを確認することができた。また、根圏での鉄酸化反応による病原菌の抑止作用については、今回用いた条件ではF. commune MAFF236517株の増殖程度への影響は認められなかったが、鉄酸化反応に伴うヒドロキシラジカルの発生を蛍光プローブを用いて特異的に検出することができた。以上より、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
根圏での鉄酸化反応による病原菌の抑止作用については、ニ価鉄濃度やラジカル処理回数を変え、F. commune株に対する生育抑制作用をさらに調査する予定である。根圏に生息する微生物(細菌・糸状菌)による抑止作用については、圃場において湛水水田条件および落水畑条件でのイネを栽培を2024年度も継続することにより連作を行い、それぞれのイネから調製した根圏土壌試料について、フザリウム共培養法を用いてF. commune株に対する抑止作用に水田と連作2年目の畑の間で違いが見られるかの調査を行う。さらに、原生生物による捕食作用については、イネ根圏より分離された原生生物株がF. commune株を捕食するかの調査を行う予定である。 -
田畑輪換圃場の微生物群集動態を長期継続調査し水田土壌微生物群集の安定性を解明する
研究課題/研究課題番号:18H02114 2018年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
浅川 晋, 村瀬 潤, 渡邉 健史
担当区分:研究代表者
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
水田では1年の間で湛水と落水が繰り返されるが、土壌中の微生物は安定で頑健な群集を形成している。そのメカニズムを解明するため、3年間隔で畑転換と水田復元が繰り返される田畑輪換圃場の土壌微生物群集の動態を11年間に亘り調査・解析した。好気性・嫌気性のどちらの微生物でも転換畑作期間に存在量が低下し、水田復元期間に徐々に存在量が増加する傾向を示した菌群が多かった。転換畑作期間の群集構成は対照の連年水田と大きく異なったが、水田復元期間が1-3年と増すにつれ連年水田の群集構成に近づく傾向が認められた。水田特有の安定で頑健な群集は、水田を毎年湛水し水稲を栽培することにより形成され維持されていると考えられた。
田畑輪換試験圃場を対象にした長期間の調査により、水田土壌中の安定で頑健な微生物群集が畑転換により大きな影響を受け、水田に復元するとその影響が徐々に緩和されることを初めて明らかにした。水田の高い持続性と生産性に寄与していると考えられる土壌微生物群集の高い恒常性・適応性の維持に、毎年湛水し水稲を栽培することが重要であることを示し、作物生産や環境保全に水田土壌微生物の機能を有効利用する際に有用な基盤的知見を提供した。 -
田畑輪換圃場の微生物群集動態を長期継続調査し水田土壌微生物群集の安定性を解明する
2018年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
浅川 晋
担当区分:研究代表者
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西アフリカ内陸盆地水田におけ る鉄過剰障害イネ根圏の鉄還元 ・酸化微生物の調査・解析
2017年4月 - 2021年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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西アフリカ内陸盆地水田における鉄過剰障害イネ根圏の鉄還元・酸化微生物の調査・解析
研究課題/研究課題番号:17H04619 2017年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
浅川 晋, 渡邉 健史
担当区分:研究代表者
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
還元条件下の水田土壌で生成する高濃度の二価鉄により生じるイネの鉄過剰障害は熱帯地域等で水稲生産に大きな被害を与えている。本研究では鉄過剰水田のイネ根圏の鉄代謝関連微生物に注目した。西アフリカ、ブルキナファソのKou盆地の鉄過剰水田圃場の障害発生および未発生イネの根圏土壌、根およびバルク土壌試料を対象に微生物群集の解析を行い、日本国内の鉄過剰障害非発生の通常水田圃場由来の試料と鉄還元・酸化微生物の特徴を比較した。イネの鉄過剰障害発生の有無に関わらず、鉄過剰水田圃場の水稲根圏では二価鉄含量の多さを反映し、鉄酸化細菌に対して鉄還元細菌が優占する微生物群集が形成されていることを明らかにした。
実際にイネの収量低下の大きな被害が発生している西アフリカの内陸盆地の鉄過剰水田を対象に、水稲根圏の鉄還元・酸化微生物群集を調査・解析し、二価鉄を酸化し過剰害軽減への寄与が期待される鉄酸化菌よりも、過剰害の主要因である二価鉄を生成する鉄還元菌が優占していることを初めて明らかにした。この知見は、鉄過剰水田において鉄代謝関連微生物の活性を制御・利活用し、イネの鉄過剰被害を軽減する方策を考える上で極めて重要かつ有用と考えられる。 -
酸化還元境界層のゆらぎが微生物の動態とガス代謝に及ぼす影響
研究課題/研究課題番号:16H05056 2016年4月 - 2019年3月
村瀬 潤
担当区分:研究分担者
水田土壌に焦点を当てて、酸化還元境界層のゆらぎの実態と微生物群集の応答を解析した。水田土壌表層は過飽和から完全な無酸素状態まで、溶存酸素濃度が極めて大きな変動を示した。水稲根圏でもイネの生育に応じて酸化還元電位が劇的に変動した。水田土壌に生息する原生生物は、好適な酸素濃度あるいは酸化還元電位を持つグループや広範囲の酸素濃度に適応するグループが存在し、酸化還元境界層で捕食者として重要な役割を果たすと考えられた。メタン酸化細菌はメタン酸化に酸素を必須とするものの、嫌気状態に置かれても長期間活性を維持することが可能であった。また、微好気性鉄酸化細菌が表層で活動することが明らかとなった。
酸化還元境界層は、多くの重要な微生物代謝が進行するホットスポットであるが、厚さ数ミリの酸化還元境界層の中での劇的な化学的濃度勾配に応じた微生物の群集や活性の空間分布の詳細はほとんど分かっていなかった。本研究では、酸化還元境界層が大きなゆらぎを有していることを実証するとともに、境界層で微生物がサブミリスケールの住み分けを行なっている実態を明らかにした。また物質循環の鍵を担う微生物群集の境界層のゆらぎに対する応答を検証した。本研究の成果から、酸化還元境界層における環境変動が微生物の生態や温室効果ガスであるメタンの動態に及ぼす影響を微生物サイズの視点に立ったスケールで解析することの重要性が示された。 -
塩基類養分の貯蔵・供給源としての土壌微生物バイオマスの評価
研究課題/研究課題番号:15K07337 2015年4月 - 2019年3月
浅川 晋
担当区分:研究代表者
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
塩基類養分の貯蔵源と作物への供給源としての土壌微生物バイオマスに注目した。塩基類養分の土壌中でのイオンとしての存在量とバイオマス中での保持量,バイオマスから交換性・水溶性イオンへの流れを把握し,土壌微生物バイオマスの機能を定量的に明らかにしようとした。水田,畑,草地,樹園地など各種土壌におけるバイオマスカリウムの存在量や動態を明らかにし,クロロホルム燻蒸抽出法によるバイオマスカリウム測定のために必要なカリウムの溶出率を求めた。また,バイオマスカリウムの代謝回転時間を初めて算出した。
土壌中の微生物バイオマスに貯蔵されているカリウム量は,これまで植物へのカリウムの主要な供給源と考えられていた粘土鉱物などに保持されている交換性カリウム量の約3割に相当することや、微生物バイオマス中のカリウムが活発に代謝回転していることを明らかにし,カリウムの貯蔵源・供給源としての土壌微生物バイオマスの重要性を示した。 -
塩基類養分の貯蔵・供給源としての土壌微生物バイオマスの評価
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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水田における有機栽培が土壌微生物群集に及ぼす影響の解明と評価
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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メタン生成古細菌メタノサルシナ・マゼイの細胞壁分解酵素の解析と機能利用
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
浅川 晋
担当区分:研究代表者
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水田土壌のメタン生成共生系を構成する微生物群の解析
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般),課題番号:18580059
浅川 晋
担当区分:研究代表者
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水田土壌の主要なメタン生成古細菌群の解析
2002年7月 - 2004年1月
科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)(一般)
担当区分:研究代表者
科研費