科研費 - 矢野 勝也
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研究課題/研究課題番号:25H00930 2025年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
矢野 勝也, 吉岡 博文, 大井 崇生, 安達 広明
担当区分:研究代表者
配分額:46800000円 ( 直接経費:36000000円 、 間接経費:10800000円 )
世界の作物生産・食料安全保障が生物に利用可能な窒素源の制約を受け、自律的窒素管理には生物窒素固定の活用が不可欠である。しかし、マメ科植物の共生的窒素固定を除くと、その実態は不明である。例えば、サツマイモ・ススキ、シロアリは共生器官なしにN2を栄養源とするが、どの細菌が実際に窒素固定しているのかも不明である。これら体内にはニトロゲナーゼ遺伝子を有する細菌種が多数検出され、遺伝情報のみに依拠した従来法ではどの細菌が機能したのか特定できない。本研究では、15N2供与で標識したニトロゲナーゼ代謝産物の非破壊検出により、系内で真に機能した窒素固定細菌を選別してからそのシングルセルゲノムを解読する。
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二酸化炭素濃度の上昇が植物の老化を促進させるメカニズムの解明
研究課題/研究課題番号:24KF0224 2024年11月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
矢野 勝也, YI YAN
担当区分:研究代表者
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
Elevated CO2 can accelerate senescence. Oxidative stress, led by the overproduction of reactive oxygen species (ROS), is strongly associated with aging. This study aims to elucidate the role of ROS scavengers (GSH/GSSG) in plants supplied with ammonia-N and nitrate-N under different CO2 conditions.
To investigate whether eCO2-induced senescence can be observed in soybean and whether it is related to nitrogen (N) deficiency or the GSH/GSSG ratio, two pot experiments were conducted under elevated CO2 (eCO2, 800 ppm) and ambient CO2 (aCO2, 400 ppm) conditions. The experiments involved the wild-type soybean cultivar ‘Enrei’ and its mutant ‘En1282’ (which cannot form nodules) under both low nitrogen (Low N) and high nitrogen (High N) conditions, with nitrogen supplied as either NO3- or NH4+. The results show that ‘En1282’ exhibited earlier senescence than ‘Enrei’ due to nitrogen deficiency, especially under Low N conditions. However, the senescence of both genotypes was unaffected by CO2 concentration and nitrogen forms. At full maturity, biomass was higher under eCO2, higher nitrogen supply, and NO3- compared to aCO2, lower nitrogen supply, and NH4+. Both GSH and GSSG concentrations in ‘Enrei’ decreased as the plants grew, with minimal effect from nitrogen forms. When the plants showed senescence, the GSH/GSSG ratio decreased slightly under eCO2 compared to aCO2 (P = 0.076). These results suggest that eCO2-induced senescence does not occur in soybean, and that N deficiency accelerates senescence. However, N deficiency-induced senescence can be greatly alleviated by the provision of additional nitrogen either fertilizers or nodules, although it was not significantly affected by nitrogen forms.
According to the research plan, the goal in 2024 was to investigate whether eCO2-induced senescence is related to reducing power and the GSH/GSSG ratio under two CO2 concentrations (elevated CO2, 800 ppm, and ambient CO2, 400 ppm). We have already tracked the changes in the GSH/GSSG ratio and plant senescence over time throughout soybean growth and development. Although the current results indicate that changes in CO2 concentration do not induce premature senescence in soybean, nitrogen deficiency accelerates the onset of senescence. Notably, the form of nitrogen supply has not affected the antioxidant system in the plants as previously hypothesized. The study is progressing as planned, and we are conducting research on the potential effects of eCO2 and nitrogen levels on potato senescence and antioxidant systems.
Our previous studies in soybean have demonstrated that nitrogen levels exert a more significant influence on plant senescence than the nitrogen form. Consequently, potato plants, which have been shown to exhibit early senescence under eCO2, will be used as the model organism in this study. The primary objectives for this year are: first, to investigate the impact of nitrogen levels on eCO2-induced senescence, and second, to explore the potential relationship between eCO2-induced senescence and antioxidant capacity. A pot experiment is being conducted in two growth chambers with elevated CO2 (eCO2, 800 ppm) and ambient CO2 (aCO2, 400 ppm), under both low and high nitrogen supply conditions. The aim is to first confirm the relationship between eCO2-induced senescence and nitrogen status. Furthermore, in a subsequent pot experiment, daily fluctuations in the GSH/GSSG ratio will be examined to elucidate the effects of nitrogen form and CO2 concentration on GSH/GSSG levels during both day and night. This will provide a comprehensive understanding of how nitrogen supply and CO2 concentration influence antioxidant dynamics in relation to senescence processes. -
研究課題/研究課題番号:22K18346 2022年6月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
配分額:26000000円 ( 直接経費:20000000円 、 間接経費:6000000円 )
通常作物の生育は窒素肥料に強く依存するが、高い窒素固定能を有するサツマイモはその例外である。この窒素固定能は植物細胞間隙に生息する細菌(エンドファイト)によると考えられており、ニトロゲナーゼ遺伝子をゲノム上に保有する細菌がサツマイモ体内から多数検出されている。しかし、培養可能な細菌だけ単離・増殖・接種しても、本来の高い窒素固定能を再現できない。この結果は培養困難な細菌が真の機能実体である可能性を示唆する。本研究では、サツマイモ体内で高い窒素固定能を実際に発現した細菌を培養に依存することなく直接可視化して特定し、特定した細菌の挙動を追跡する。
本研究では、サツマイモ体内で高い窒素固定能を実際に発現した細菌を培養に依存することなく直接可視化して特定し、特定した細菌の挙動を追跡する。サツマイモに適用する前に、根粒で窒素固定することがわかっているダイズを用いて、地下部に15N2ガスを供与した後、根粒中の根粒菌に15Nが検出されるかを検証した。その結果、ラマン顕微鏡を用いることで、根粒磨砕液中の根粒菌に15Nを検出することができ、この方法論が有効であることを確認できた。次に、塊根を発育させたサツマイモ根系に15N2ガスを供与し、細根・塊根からの抽出液を得た。これら抽出液中の細菌では14Nしか検出できなかったものが存在する一方で、一部の細菌には15Nが検出された。
15N2ガスを供与したサツマイモから細菌群を回収した。希釈した細菌懸濁液を寒天ゲル上に塗布し、細菌シングルセルを観察した。15Nを含むシングルセルと含まないシングルセルをそれぞれ回収してゲノム解析を実施し、16S rDNA配列から窒素固定に関与した可能性のある細菌候補が得られた。同時に、ニトロゲナーゼ遺伝子(nifH)の有無も調査した。その結果、いくつかの細菌がnifH遺伝子を有すること、かつ15N2を利用したことを確認できた。
世代間での窒素固定能の関連性とエンドファイト細菌の移行性について調査するために、同一品種のサツマイモ苗を複数の生産地から入手し、同一圃場で栽培した。各個体の窒素固定能を評価しランキングを作成する一方で、各個体の塊根から出芽させた次世代個体をさらに同一圃場で育成して各個体の窒素固定能を評価した。その結果、前世代と次世代の窒素固定能の相関は必ずしも高くないことが判明した。続いて、同じ生産地で品種が異なるイモ苗を入手し、同一圃場で栽培して窒素固定能を解析した結果、顕著な品種間差異を確認できた。
シングルセル回収の方法論に困難が生じたため。
シングルセル回収の方法論確立に取り組みつつ、回収したシングルセルのゲノム解析を完了する。ゲノム解析で特定した窒素固定細菌が前世代・次世代サツマイモ個体で伝播する可能性を検証する。さらに、同一生産地で品種が異なるサツマイモ体内で機能した窒素固定細菌を解析し、窒素固定能の差異との関係を調査する。 -
CO2環境と栄養状態の相互作用がもたらす植物水分経済の新機軸
研究課題/研究課題番号:21H02328 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
植物のバイオマス生産量と蒸散量の間には緊密な関係が存在し、バイオマス生産量=積算蒸散量×水利用効率、と表現できる。ここで水利用効率とは、蒸散量当たりのバイオマス生産量を示す。水利用効率が高いと少量の水消費でバイオマス生産が可能となり、乾燥耐性の指標となっている。ただし、水利用効率とバイオマス生産の間にはトレードオフの関係があると従来は考えられていた。しかし、高CO2環境下ではこのトレードオフが打破される可能性があり、本研究では窒素・リン栄養状態が水利用効率の向上、さらにはバイオマス生産増を可能にするかどうかを検証する。
倍増したCO2濃度環境下では気孔開度が低くてもCO2の取り込みが可能になり、蒸散量の増加なしでもバイオマス生産能を倍増させることを実証した。ただし、そのためには植物の栄養状態の制御がこれまで以上に重要で、需要量が増す窒素・リン・カリウムを過不足なく供給することが水利用効率の増加につながり、その増加がバイオマス生産能に直結することを明らかにした。また、高CO2環境は昼間の蒸散を抑制しても夜間の蒸散抑制には至らないこと、光合成を伴わない夜間の蒸散にはバイオマス生産に直結しない無駄な水消費が含まれており、その抑制がバイオマス生産を低下させずに水消費量を抑制させる可能性があることを示唆した。
植物のバイオマス生産能は蒸散量と水利用効率の積で表現でき、蒸散量・水利用効率あるいはその両方の増加がバイオマス生産能を向上させる。ただし、バイオマス生産能と水利用効率の間には負の相関関係が成立する場合が多いため、蒸散量の増加が重要とされてきた。これに対して本研究では、この従来の考え方が現在の相対的に低いCO2濃度では成立しても、CO2濃度が上昇する将来では必ずしも成立しない可能性を示した。高CO2環境下では水利用効率が増加しやすくなるが、この水利用効率増加が栄養状態(リン・カリウム・窒素)に強く依存すること、そして利用効率の増加が植物のバイオマス生産能をに直結しやすいことを明らかにできた。 -
インディカ、ジャポニカ水稲品種間のセシウム吸収・体内分配の変異要因と分子機構
研究課題/研究課題番号:16H04865 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
近藤 始彦, 羽田野 麻理, 石川 淳子, 後藤 明俊, 藤村 恵人, 矢野 勝也
担当区分:研究分担者
Cs吸収と体内分配のイネ品種間差異の生理・遺伝要因の解明を行った。Csの吸収はインディカ品種ではジャポニカ品種に比べ特に幼穂形成期~穂揃期の吸収能力が高かったが、これはKとの拮抗作用だけでなくCs吸収自体にも品種間差異があるためと考えられ、関連輸送体発現レベルにも品種間差異がみられた。またCs吸収への蒸散流の寄与は大きくないと考えられた。インディカ品種は玄米へのCs分配が高くまた低K条件で高まることが高い玄米Cs濃度の要因であった。また葉身から再転流があり穂首に集積しやすいことが明らかになった。コシヒカリ/IR64の染色体置換系統の遺伝解析より、Cs吸収に関与するQTL領域を複数見出した。
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性セシウム137Csの農地汚染に対しては、長期間にわたる吸収抑制対策が不可欠である。これまで農地除染およびカリウムの多量施用によるセシウム吸収抑制が行われており、基準値を上回る玄米の生産は最小限に抑えられている。しかし、今後の被災地での営農再開の促進に向けては、より少量のカリウム施肥で放射性セシウムの可食部への蓄積を効果的に抑制する技術の開発が求められており、本研究で実施した品種間差異の生理・遺伝要因の解明は、セシウム低蓄積性の品種開発と効率的なカリウム施肥技術の確立に貢献する。 -
研究課題/研究課題番号:16H05055 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
矢野 勝也, 近藤 始彦, 田中愛子
担当区分:研究代表者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
サツマイモが高CO2環境下で高いバイオマス生産能を発揮することを私たちは見いだした。その原因を、1)エンドファイトによる窒素固定能、2)肥大成長可能なシンク器官から解析した。サツマイモの窒素固定能をδ15N値から推定したところ、ダイズに匹敵する個体からトウモロコシと同程度まで幅広いことを確認した。サツマイモ塊根を肥大できないように処理しても葉身デンプン濃度の増加や気孔コンダクタンスの低下は起きないこと、高CO2環境下のジャガイモでは、生育後期におそらく窒素欠乏による老化促進によって、バイオマス生産能が向上しなかったことから、シンク容量の柔軟性だけでは不十分であることが示唆された。
大気CO2濃度の上昇を植物バイオマス生産能の向上にいかに活用するかが問われている。しかし、高CO2環境下における植物生産力の向上は期待よりも貧弱な場合が多い。この原因として、1)窒素欠乏、2)葉内での糖・デンプンの蓄積、の2点がしばしば指摘されてきた。サツマイモは高CO2環境下で高いバイオマス生産能を発揮するが、その原因として1)エンドファイトによる窒素固定能、2)肥大成長可能なシンク器官が糖・デンプンの葉内蓄積を抑制するのではないかと考えた。本研究の結果、イモのような柔軟なシンク容量を具えるだけでは不十分であり、それに加えて窒素欠乏を回避することが必要であることが示唆された。 -
植物気孔形態の可変性:何のために変化するのか?
2013年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
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土の硬さで植物のアルミニウムストレスを緩和できるか?
2012年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
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作物種子のリン富化技術
2011年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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土壌不均一系における植物パフォーマンス
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:20380178
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
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作物による土壌蓄積リン資源の獲得戦略の多様性と施肥量削減への応用
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
大門弘幸
担当区分:研究分担者
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根圏ホスファターゼ活性の画像解析法
2007年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,課題番号:19658123
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
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植物の hydraulic lift 現象における水放出経路の解明
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 若手研究(A),課題番号:17688015
担当区分:研究代表者
科研費
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リン酸欠乏が気孔閉鎖を誘発するメカニズムの解析および気孔ー光合成関係の再検証
2004年4月
科学研究費補助金 特別研究員奨励費
担当区分:研究代表者
科研費
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導管水同位体解析から評価した天水田イネの水資源獲得様式
2001年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(1)(海外学術調査)
担当区分:研究分担者
科研費
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菌根共生系を利用した作物による難溶性リン酸吸収の促進
1999年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A)
担当区分:研究代表者
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不耕起栽培における菌根ネットワークの意義
1998年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)
担当区分:研究代表者
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発育解剖学的差異をもつ作物根系構成要素の機能的特異性の解明
1996年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)(2)
担当区分:研究分担者
科研費