科研費 - 矢野 勝也
-
二酸化炭素濃度の上昇が植物の老化を促進させるメカニズムの解明
研究課題/研究課題番号:24KF0224 2024年11月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
-
研究課題/研究課題番号:22K18346 2022年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
配分額:26000000円 ( 直接経費:20000000円 、 間接経費:6000000円 )
通常作物の生育は窒素肥料に強く依存するが、高い窒素固定能を有するサツマイモはその例外である。この窒素固定能は植物細胞間隙に生息する細菌(エンドファイト)によると考えられており、ニトロゲナーゼ遺伝子をゲノム上に保有する細菌がサツマイモ体内から多数検出されている。しかし、培養可能な細菌だけ単離・増殖・接種しても、本来の高い窒素固定能を再現できない。この結果は培養困難な細菌が真の機能実体である可能性を示唆する。本研究では、サツマイモ体内で高い窒素固定能を実際に発現した細菌を培養に依存することなく直接可視化して特定し、特定した細菌の挙動を追跡する。
15N2ガスをサツマイモに供与した後、植物体内から細菌群を回収した。ラマン顕微鏡を用いて、細菌シトクロムcを検出し、シトクロムc内部にC-14NだけでなくC-15Nを有する細菌が存在することを確認できた。希釈した細菌懸濁液を寒天ゲル上に塗布し、細菌シングルセルを観察した。15Nを含むシングルセルと含まないシングルセルをそれぞれ回収してゲノム解析を実施し、16S rDNA配列から窒素固定に関与した可能性のある細菌候補が得られた。同時に、ニトロゲナーゼ遺伝子(nifH)の有無も調査した。その結果、いくつかの細菌がnifH遺伝子を有すること、かつ15N2を利用したことを確認できた。
<BR>
世代間での窒素固定能の関連性とエンドファイト細菌の移行性について調査するために、同一品種のサツマイモ苗を複数の生産地から入手し、同一圃場で栽培した。各個体の窒素固定能を評価しランキングを作成した。
これまでのところ、当初の予定通りに進捗しているため
今年度は前年度育成した塊根(前世代)から芽出しし、出芽させた苗を同一圃場で栽培して、窒素固定能の世代間での関連性を調査する。すでに前世代各個体の窒素固定能の評価を終えており、今後は各個体から出芽させた苗を再度圃場で育成して窒素固定能を評価して前世代との関連性を調査する。同時に、前世代・次世代で検出されたエンドファイト細菌の関連性を解析する。 -
CO2環境と栄養状態の相互作用がもたらす植物水分経済の新機軸
研究課題/研究課題番号:21H02328 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
植物のバイオマス生産量と蒸散量の間には緊密な関係が存在し、バイオマス生産量=積算蒸散量×水利用効率、と表現できる。ここで水利用効率とは、蒸散量当たりのバイオマス生産量を示す。水利用効率が高いと少量の水消費でバイオマス生産が可能となり、乾燥耐性の指標となっている。ただし、水利用効率とバイオマス生産の間にはトレードオフの関係があると従来は考えられていた。しかし、高CO2環境下ではこのトレードオフが打破される可能性があり、本研究では窒素・リン栄養状態が水利用効率の向上、さらにはバイオマス生産増を可能にするかどうかを検証する。
倍増したCO2濃度環境下では気孔開度が低くてもCO2の取り込みが可能になり、蒸散量の増加なしでもバイオマス生産能を倍増させることを実証した。ただし、そのためには植物の栄養状態の制御がこれまで以上に重要で、需要量が増す窒素・リン・カリウムを過不足なく供給することが水利用効率の増加につながり、その増加がバイオマス生産能に直結することを明らかにした。また、高CO2環境は昼間の蒸散を抑制しても夜間の蒸散抑制には至らないこと、光合成を伴わない夜間の蒸散にはバイオマス生産に直結しない無駄な水消費が含まれており、その抑制がバイオマス生産を低下させずに水消費量を抑制させる可能性があることを示唆した。
植物のバイオマス生産能は蒸散量と水利用効率の積で表現でき、蒸散量・水利用効率あるいはその両方の増加がバイオマス生産能を向上させる。ただし、バイオマス生産能と水利用効率の間には負の相関関係が成立する場合が多いため、蒸散量の増加が重要とされてきた。これに対して本研究では、この従来の考え方が現在の相対的に低いCO2濃度では成立しても、CO2濃度が上昇する将来では必ずしも成立しない可能性を示した。高CO2環境下では水利用効率が増加しやすくなるが、この水利用効率増加が栄養状態(リン・カリウム・窒素)に強く依存すること、そして利用効率の増加が植物のバイオマス生産能をに直結しやすいことを明らかにできた。 -
インディカ、ジャポニカ水稲品種間のセシウム吸収・体内分配の変異要因と分子機構
研究課題/研究課題番号:16H04865 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
近藤 始彦, 羽田野 麻理, 石川 淳子, 後藤 明俊, 藤村 恵人, 矢野 勝也
担当区分:研究分担者
Cs吸収と体内分配のイネ品種間差異の生理・遺伝要因の解明を行った。Csの吸収はインディカ品種ではジャポニカ品種に比べ特に幼穂形成期~穂揃期の吸収能力が高かったが、これはKとの拮抗作用だけでなくCs吸収自体にも品種間差異があるためと考えられ、関連輸送体発現レベルにも品種間差異がみられた。またCs吸収への蒸散流の寄与は大きくないと考えられた。インディカ品種は玄米へのCs分配が高くまた低K条件で高まることが高い玄米Cs濃度の要因であった。また葉身から再転流があり穂首に集積しやすいことが明らかになった。コシヒカリ/IR64の染色体置換系統の遺伝解析より、Cs吸収に関与するQTL領域を複数見出した。
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性セシウム137Csの農地汚染に対しては、長期間にわたる吸収抑制対策が不可欠である。これまで農地除染およびカリウムの多量施用によるセシウム吸収抑制が行われており、基準値を上回る玄米の生産は最小限に抑えられている。しかし、今後の被災地での営農再開の促進に向けては、より少量のカリウム施肥で放射性セシウムの可食部への蓄積を効果的に抑制する技術の開発が求められており、本研究で実施した品種間差異の生理・遺伝要因の解明は、セシウム低蓄積性の品種開発と効率的なカリウム施肥技術の確立に貢献する。 -
研究課題/研究課題番号:16H05055 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
矢野 勝也, 近藤 始彦, 田中愛子
担当区分:研究代表者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
サツマイモが高CO2環境下で高いバイオマス生産能を発揮することを私たちは見いだした。その原因を、1)エンドファイトによる窒素固定能、2)肥大成長可能なシンク器官から解析した。サツマイモの窒素固定能をδ15N値から推定したところ、ダイズに匹敵する個体からトウモロコシと同程度まで幅広いことを確認した。サツマイモ塊根を肥大できないように処理しても葉身デンプン濃度の増加や気孔コンダクタンスの低下は起きないこと、高CO2環境下のジャガイモでは、生育後期におそらく窒素欠乏による老化促進によって、バイオマス生産能が向上しなかったことから、シンク容量の柔軟性だけでは不十分であることが示唆された。
大気CO2濃度の上昇を植物バイオマス生産能の向上にいかに活用するかが問われている。しかし、高CO2環境下における植物生産力の向上は期待よりも貧弱な場合が多い。この原因として、1)窒素欠乏、2)葉内での糖・デンプンの蓄積、の2点がしばしば指摘されてきた。サツマイモは高CO2環境下で高いバイオマス生産能を発揮するが、その原因として1)エンドファイトによる窒素固定能、2)肥大成長可能なシンク器官が糖・デンプンの葉内蓄積を抑制するのではないかと考えた。本研究の結果、イモのような柔軟なシンク容量を具えるだけでは不十分であり、それに加えて窒素欠乏を回避することが必要であることが示唆された。 -
植物気孔形態の可変性:何のために変化するのか?
2013年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
-
土の硬さで植物のアルミニウムストレスを緩和できるか?
2012年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
担当区分:研究代表者
-
作物種子のリン富化技術
2011年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
-
土壌不均一系における植物パフォーマンス
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:20380178
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
-
作物による土壌蓄積リン資源の獲得戦略の多様性と施肥量削減への応用
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
大門弘幸
担当区分:研究分担者
-
根圏ホスファターゼ活性の画像解析法
2007年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,課題番号:19658123
矢野 勝也
担当区分:研究代表者
-
植物の hydraulic lift 現象における水放出経路の解明
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 若手研究(A),課題番号:17688015
担当区分:研究代表者
科研費
-
リン酸欠乏が気孔閉鎖を誘発するメカニズムの解析および気孔ー光合成関係の再検証
2004年4月
科学研究費補助金 特別研究員奨励費
担当区分:研究代表者
科研費
-
導管水同位体解析から評価した天水田イネの水資源獲得様式
2001年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(1)(海外学術調査)
担当区分:研究分担者
科研費
-
菌根共生系を利用した作物による難溶性リン酸吸収の促進
1999年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A)
担当区分:研究代表者
-
不耕起栽培における菌根ネットワークの意義
1998年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)
担当区分:研究代表者
-
発育解剖学的差異をもつ作物根系構成要素の機能的特異性の解明
1996年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)(2)
担当区分:研究分担者
科研費