科研費 - 池田 素子
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研究課題/研究課題番号:22H02358 2022年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
池田 素子
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
核多角体病ウイルス(NPV)に感染した昆虫細胞に誘導される全タンパク質合成停止のメカニズムを明らかにすることを目的として,NPV感染によって誘導されるカイコ(Bombyx mori)由来培養細胞におけるリボソームRNA(rRNA)の分解機構とその誘導機構について解析を行った.
リボソーム分解経路の解析:NPV感染カイコ細胞では,約1,400 ntのrRNA分解断片が検出されることから,rRNA分解の実行因子はエンドリボヌクレアーゼであると予想した.カイコゲノムデータベース(KAIKOBase)を用いて,エンドリボヌクレアーゼをコードすることが推定される18個の遺伝子を選抜し,rRNA分解への関与を明らかにするため,Autographa californica NPV(AcMNPV)感染カイコ細胞におけるノックダウン解析を行った.その結果,いずれの遺伝子をノックダウンした場合もrRNA分解は抑制されず,エンドリボヌクレアーゼを特定することはできなかった.
AcMNPVのP143と相互作用するカイコ細胞因子の探索:AcP143の機能ドメインの絞り込みを行い,325-599アミノ酸残基からなる領域(AcP143(325-599))でrRNA分解が誘導されることを明らかにした.さらに,325番目のグルタミン残基(Q325)の重要性を調査するため,Q325をアラニンに置換した変異体(AcP143(Q325A))を用いて一過性発現解析を行った.その結果,AcP143(Q325A)を発現させた細胞は,AcP143を発現させた細胞と同様にrRNA分解を誘導したことから,Q325はrRNA分解において直接的な機能を持つのではなく,AcP143の構造維持などに機能していると考えられた.AcP143(325-599)と相互作用するカイコ細胞因子を探索するため,大量発現系の構築を検討した.
カイコゲノムの遺伝子情報からrRNA分解に関わるエンドリボヌクレアーゼの探索を進めた.18遺伝子をエンドリボヌクレアーゼの候補遺伝子として実験を進めたが,エンドリボヌクレアーゼを特定することができなかった.したがって,エンドリボヌクレアーゼを特定するために,別のアプローチを検討する必要が生じた.
リボソーム分解の誘導機構解析を目的として,引き金となるウイルス因子と相互作用するカイコ細胞因子の探索を行った.まず,全長のAcP143を用いて大量発現系の構築を検討したが,タンパク質発現を確認することができなかった.そこで,AcP143の325-599アミノ酸残基からなる領域でrRNA分解が誘導されることから,この領域を大量発現させる系の構築を行った.まず,大腸菌によるタンパク質発現系を試みたが,標準的な方法では発現を確認することができず,さまざまな方法を試行することになった.最終的に,バキュロウイルス発現系を用いることによって,タンパク質発現を確認することができた.
バキュロウイルス発現系を用いてAcP143の機能ドメイン(325-599アミノ酸残基)を大量発現させ,アフィニティー精製法により発現タンパク質と相互作用する細胞因子の探索を進める.
蛍光標識したリボソームタンパク質をカイコ細胞に一過性発現させることでリボソームを可視化し,rRNA分解時のリボソームの挙動を調査する.これにより,rRNA分解が進行する細胞内の位置の特定および分解経路の予測を行う. -
昆虫とウイルス間を水平伝播する寄生蜂致死タンパク質の適応的意義と殺蜂機構の解明
研究課題/研究課題番号:21H04723 2021年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
仲井 まどか, 中松 豊, 鈴木 絵里子, 池田 素子, 石井 一夫, 高務 淳, 伊藤 克彦
担当区分:研究分担者
エントモポックスウイルスなどの昆虫ウイルスやSpodoptera属などの昆虫のゲノムに保存されている、寄生蜂致死タンパク質 (Parasitoid Killing Factor: PKF)が、寄生蜂を殺すしくみを明らかにし、PKFがウイルスと昆虫間を水平伝播しその両者に今日まで保存されている理由、すなわちその適応的意義を解明することを目的とする。寄生蜂は、昆虫にとっては排除しなければならない宿命の天敵であり、ウイルスにとっては共通の宿主を奪い合う競争者である。本研究の成果により、昆虫と天敵の共進化における新しいパラダイムの構築を目指す。
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昆虫細胞における抗ウイルス応答としての全タンパク質合成停止機構の解明
研究課題/研究課題番号:18H02213 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
池田 素子
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
核多角体病ウイルス(NPV)に感染した昆虫細胞に誘導される全タンパク質合成停止のメカニズムを明らかにすることを目的として,NPV感染によって誘導されるカイコ(Bombyx mori)由来培養細胞におけるリボソームRNA(rRNA)の分解機構とその誘導機構について解析を行った.
リボソーム分解経路の解析:NPV感染カイコ細胞では,約1,400 ntのrRNA分解断片が検出されることから,rRNA分解の実行因子はエンドリボヌクレアーゼであると予想した.カイコゲノムデータベース(KAIKOBase)を用いて,エンドリボヌクレアーゼをコードすることが推定される18個の遺伝子を選抜し,rRNA分解への関与を明らかにするため,Autographa californica NPV(AcMNPV)感染カイコ細胞におけるノックダウン解析を行った.その結果,いずれの遺伝子をノックダウンした場合もrRNA分解は抑制されず,エンドリボヌクレアーゼを特定することはできなかった.
AcMNPVのP143と相互作用するカイコ細胞因子の探索:AcP143の機能ドメインの絞り込みを行い,325-599アミノ酸残基からなる領域(AcP143(325-599))でrRNA分解が誘導されることを明らかにした.さらに,325番目のグルタミン残基(Q325)の重要性を調査するため,Q325をアラニンに置換した変異体(AcP143(Q325A))を用いて一過性発現解析を行った.その結果,AcP143(Q325A)を発現させた細胞は,AcP143を発現させた細胞と同様にrRNA分解を誘導したことから,Q325はrRNA分解において直接的な機能を持つのではなく,AcP143の構造維持などに機能していると考えられた.AcP143(325-599)と相互作用するカイコ細胞因子を探索するため,大量発現系の構築を検討した.
カイコゲノムの遺伝子情報からrRNA分解に関わるエンドリボヌクレアーゼの探索を進めた.18遺伝子をエンドリボヌクレアーゼの候補遺伝子として実験を進めたが,エンドリボヌクレアーゼを特定することができなかった.したがって,エンドリボヌクレアーゼを特定するために,別のアプローチを検討する必要が生じた.
リボソーム分解の誘導機構解析を目的として,引き金となるウイルス因子と相互作用するカイコ細胞因子の探索を行った.まず,全長のAcP143を用いて大量発現系の構築を検討したが,タンパク質発現を確認することができなかった.そこで,AcP143の325-599アミノ酸残基からなる領域でrRNA分解が誘導されることから,この領域を大量発現させる系の構築を行った.まず,大腸菌によるタンパク質発現系を試みたが,標準的な方法では発現を確認することができず,さまざまな方法を試行することになった.最終的に,バキュロウイルス発現系を用いることによって,タンパク質発現を確認することができた.
バキュロウイルス発現系を用いてAcP143の機能ドメイン(325-599アミノ酸残基)を大量発現させ,アフィニティー精製法により発現タンパク質と相互作用する細胞因子の探索を進める.
蛍光標識したリボソームタンパク質をカイコ細胞に一過性発現させることでリボソームを可視化し,rRNA分解時のリボソームの挙動を調査する.これにより,rRNA分解が進行する細胞内の位置の特定および分解経路の予測を行う. -
核多角体病ウイルス感染細胞におけるrRNA分解による抗ウイルス応答の分子機構
研究課題/研究課題番号:26292173 2014年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
池田 素子, 永峰 俊弘, 山田 早人
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
これまでに,カイコ細胞において,核多角体病ウイルス(NPV)感染に対する抗ウイルス応答としてrRNAが分解減少することを報告した.本研究では,rRNA分解の誘導機構を明らかにすることを目的とした.rRNA分解を誘導する因子としてAutographa californica NPVのp143遺伝子(ac-p143)を同定した.さらに,誘導に関わるAc-P143のドメイン解析,Ac-P143と相互作用するカイコ細胞因子の探索,rRNA分解を誘導するためのシグナル伝達因子の探索を行った.
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リボソームRNA分解による昆虫細胞の抗ウイルス応答
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
池田 素子
担当区分:研究代表者
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カイコ卵の休眠開始と低温受容・伝達に係わる遺伝子の単離と作用機序の解明
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
柳沼利信
担当区分:研究分担者
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核多角体病ウイルス感染細胞が発動する全タンパク質合成停止の分子機構
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
池田 素子
担当区分:研究代表者
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昆虫における抗ウイルス応答の分子機構解析
2007年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
小林迪弘
担当区分:研究分担者
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寄生バチの回避機構を利用した昆虫の生体防御システムにおける多様性の解析
2006年7月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
田中利治
担当区分:研究分担者
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休眠ホルモン情報の受容と執行の分子機構解明と応用
2004年7月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
柳沼利信
担当区分:研究分担者
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真核生物におけるD-アミノ酸の機能とその分子機構
2004年7月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
吉村徹
担当区分:研究分担者
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核多角体病ウイルス感染による宿主DNA複製の制御機構の解析
2004年7月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:16380040
池田素子
担当区分:研究代表者
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昆虫-バキュロウイルス相関におけるアポトーシス分子機構解析
2002年7月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
小林迪弘
担当区分:研究分担者
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核多角体病ウイルス感染による宿主細胞周期制御機構の解析
2001年7月 - 2003年1月
科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)(一般)
担当区分:研究代表者
科研費
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核多角体病ウイルスにおける宿主域決定因子の同定と機能解析
1998年7月 - 2002年1月
科学研究費補助金 基盤研究(A)(2)
担当区分:研究分担者
科研費
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核多角体病ウイルスにおける宿主域決定の分子機構解析
1996年7月 - 1998年1月
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)
担当区分:研究分担者
科研費
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核多角体病ウイルスのレセプターの同定と構造解析
1995年7月 - 1997年1月
科学研究費補助金 奨励研究(A)
担当区分:研究代表者
科研費