科研費 - 西川 俊夫
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独自の推定生合成機構を活用した複雑天然物とその類縁体の合成と生物活性の探索
研究課題/研究課題番号:24K01636 2024年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
西川 俊夫, 宮坂 忠親
担当区分:研究代表者
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
本研究は3つの天然物とその類縁体を、独自に推定した生合成経路・機構を活用することで化学合成し、新たな生物活性の発見と活用を目指すものである。これら天然物はいずれも微量成分で、構造が極めて複雑なため化学合成が困難で合成法もほとんどなく、生物機能の探索・解析も十分行われていない。申請者は、過去十数年、これら天然物の合成研究を進め、その過程でそれぞれ合理的で精密な生合成経路・機構を提案してきた。本研究では、その成果を元にこれら天然物の初の不斉全合成に挑戦するとともに類縁体合成を実施する。また合成品を用いた広範な活性評価を通して、これら複雑骨格を有する天然物が示すユニークな生物活性を探索する。
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天然物を基盤とした実空間分子の拡張と潜在空間分子設計への貢献
研究課題/研究課題番号:24H01766 2024年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
西川 俊夫
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:7020000円 ( 直接経費:5400000円 、 間接経費:1620000円 )
海産天然物アプリシアトキシンには、環構造の異なる多様な類縁体が知られているが、それらの生物活性はほとんど調べられていない。本研究では、申請者が開発しつつあるこれら天然物の網羅的合成法によってまず天然型化合物ライブラリーを構築する。一方で、ある合成中間体から多様な非天然型のマクロリド構造を創出できることを見出したので、それを活用して非天然型化合物ライブラリーを構築する。これら2つのライブラリーは他に例のないユニークな環構造を有する化合物群であり、その生物活性評価によって本学術変革領域が目指す実空間分子の拡張が可能になる。また、AIを活用した潜在空間分子の創出にも大きく寄与することが期待される。
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ホタルルシフェリンのone-pot合成反応の実用化とルシフェリン生合成の解明
研究課題/研究課題番号:23K17974 2023年6月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
西川 俊夫, 大場 裕一
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
ホタルの生物発光は、ルシフェラーゼアッセイとして 今日の生物学研究で欠かすことができない。この発光反応の分子機構は詳しく調べられているが、基質ルシフェリンの生合成経路とその機構の大半は未解明のままである。本研究では、まず申請者らが偶然発見したベンゾキノンとシステインをつかった非酵素的one-pot合成反応を改良することで実用的なルシフェリンの化学合成法を開発する。one-pot合成反応がルシフェリン生合成と類似していることから、この反応の中間体を使って生合成酵素、酵素遺伝子を同定する。ルシフェリンの構造決定以来およそ60年の謎であるルシフェリンの生合成経路、機構を明らかにしようとする研究である。
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植物病原菌が生み出すサイトカイニンの構造多様性と作用機作の分子基盤解明
研究課題/研究課題番号:23H00324 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
榊原 均, 小嶋 美紀子, 西川 俊夫
担当区分:研究分担者
植物ホルモンの1つであるサイトカイニンの作用は、濃度変化による「量的」な調節と側鎖構造の多様性による「質的」な調節により、その強さと制御形質が規定される。ある種の植物病原菌では、その病症原因遺伝子座にコードされる酵素群が特殊な側鎖修飾をもつサイトカイニン様分子群を生産し、それらが宿主植物の情報統御の恒常性を撹乱することで奇形を誘発する。そこで本研究では、植物病原菌が作り出す新奇サイトカイニン様分子群の構造とその生合成機構と作用機作を分子レベルで解き明かし、病原微生物由来のサイトカイニン側鎖構造の多様性と質的な作用調節機構の基盤原理を明らかにする。
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テトロドトキシンの生合成機構解明~生産の場である有毒ツノヒラムシ属の重要性~
研究課題/研究課題番号:23H00347 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
糸井 史朗, MORI TETSUSHI, 周防 玲, 浅川 修一, 西川 俊夫
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
フグ毒テトロドトキシン(TTX)の生合成機構は、長年にわたる研究にもかかわらず不明なままである。本申請研究では、研究代表者らのこれまでの研究で得られたデータをもとに、「TTXは、オオツノヒラムシの体内で共生細菌との共同作業により生合成されている」との仮説にもとづき、その共生細菌を分離し、TTXの生合成に関わる遺伝子群を明らかにする計画である。また、オオツノヒラムシおよび細菌におけるTTXおよびその生合成中間体の動態を通して、TTXの生合成機構の全貌を解明することを目的とする。
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有機合成化学を駆使したエンジイン抗生物質の生合成機構解明への挑戦
研究課題/研究課題番号:23H04553 2023年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
西川 俊夫
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5980000円 ( 直接経費:4600000円 、 間接経費:1380000円 )
ネオカルチノスタチン, ダイネミシンA、カリチェアミシンなどの抗腫瘍性抗生物質は、9あるいは10員環エンジイン構造を有することから環状エンジイン抗生物質と呼ばれている。2000年代初頭に生合成酵素遺伝子クラスターが特定されたが、高歪みの環状エンジイン部分の生合成に関わる酵素の同定と機能解析はほとんど進んでいない。本研究では、これらエンジイン構造とダイネミシンAのアントラキノン構造は、全て「ポリイン中間体の連続反応によって一挙に生成する」という全く独自の生合成仮説を提唱し、この仮説の合理性を推定基質を化学合成して検証するとともに、この反応を触媒すると考えられる酵素を同定することを目的とする。
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植物病原菌が作り出す新奇サイトカイニンの構造および生合成経路と機能の解明
研究課題/研究課題番号:19H00931 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
榊原 均, 小嶋美紀子, 西川 俊夫
担当区分:研究分担者
植物に感染し奇形を引き起こす帯化病菌Rhodococcus fasciansの病症原因遺伝子座FASオペロン遺伝子群の機能を解明し、この病原菌が生産する新奇サイトカイニン様分子の構造と生合成機構を、生化学、分子遺伝学、有機化学、分析化学的手法を駆使して同定する。また、この分子の宿主植物体内での作用機作を分子レベルで解き明かし、サイトカイニンの側鎖構造の多様性による「質的な作用調節機構のしくみ」を解明する。
研究分担者の西川により有機合成されたNC289の種々の類縁構造体と、in vitroで合成・構造を決定したNC289Rについて、NMR解析及び質量分析のフラグメント比較解析を行い、NC289Rの構造を完全に決定することに成功した。
次に、R. fasciansをタバコに感染させ、経時的にサイトカイニン分析を行なった。その結果、感染依存的にMe-iP, NC273が検出されたものの、NC289Rについては極微量であったため、質量分析のフラグメント解析で同一性を結論づけるには至らなかった。
年度途中よりR. fasciansが植物防疫所の許可の下、研究代表者の実験室での使用が可能になったため、菌の入手と培養条件の検討を行なった。その結果、植物由来の培地を使用することにより、FASオペロン遺伝子の発現量が、既報の培養条件の約100倍に増加する条件を見出すことに成功した。この方法により、in vitroでの合成で構造を決定していたNC245, NC273, NC289Rと、R. fasciansがin vivoで生産する新奇サイトカイニンの構造の同一性の結論づけに成功した。
一方、質量分析において、in vitro合成では見られない、m/z290の構造未知のピークも検出された。
構造決定された分子種について、サイトカイニン活性の評価を行ったところ、ARR遺伝子の誘導実験、酵母を用いたサイトカイニン受容体への親和性検討実験いずれにおいても、NC245, NC273, NC289Rと側鎖修飾が進むにつれて、サイトカイニンの活性は弱くなることが明らかになった。
当初の計画通り、R. fasciansが作り出す新奇サイトカイニンの構造を決定することができた。また、研究代表者の実験室でR. fasciansの使用が可能になったことが研究を加速させ、FASオペロンの発現を100倍程度増加させる培養条件を見出せたことは特筆すべき成果である。
構造の決定が終わった新奇サイトカイニンについて、その生理作用の検討を行う。新奇構造のサイトカイニンは、サイトカイニンとしての活性は弱いことが判明したが、これはR. fascians感染によるleafy gall形成とは一見矛盾するため、今後はこれら化合物を用いてグリーンカルス誘導実験やシュート再生誘導実験などのバイオアッセイを行い、分子活性を評価する。 -
天然物の網羅的合成による新たな生物機能の解明
研究課題/研究課題番号:19H02896 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
西川 俊夫
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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研究課題/研究課題番号:18H04400 2018年4月 - 2020年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
西川 俊夫
担当区分:研究代表者
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
アプリシアトキシン(ATX)、オシラトキシン(OTX)類は、海洋シアノバクテリアから単離された中分子量のポリケチド系天然物である。アプリシアトキシンは、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化によって、強力な発ガン促進や炎症作用を示すことが明らかにされているが、オシラトキシン-Dは、L1210細胞に対する細胞毒性があると報告されているがその詳細はまったく明らかでない。本研究では、これらATX/OTX群を統一的に網羅合成することを目的としている。昨年度は、オシラトキシン-D,E, Fの全合成を達成し、これら化合物の細胞毒性がPKCの活性化に拠らないことを明らかにした。本年度は、オシラトキシンの合成と、ごく最近発見されたATX/OTX類縁体の合成を目指して研究を展開した。
ATXの合成では、左右のセグメントをカップリングすることで合成したアルキン中間体から効率よく14員環マクロジオリドを形成した。さまざまな金属触媒を用いてアセチレンとジオールの間の渡環的なスピロアセタール形成反応を試みたが、ATX型のスピロアセタールは形成せず、5員環エノールエーテルが得られただけだった。しかし、この生成物は、強力なPKCの活性化を示し、合成も容易であることから抗がん剤の有望な候補化合物となる可能性がある。
一方、新しいATX/OTXの類縁体合成では、共通中間体に対して、Lewis酸を使い分けることで異なった反応が進行し、OTX-Gとneo-deBr-ATX-Bの骨格を合成できることを見出した。数工程を経て、それぞれ天然物への変換が可能だと考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。 -
天然物リガンドを利用した生体膜経由の化学
2017年6月 - 2022年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究
西川俊夫
担当区分:研究分担者
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天然物リガンドを利用した生体膜経由の化学シグナル伝達機構の解明
研究課題/研究課題番号:17H06406 2017年6月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
村田 道雄, 土川 博史, 此木 敬一, 山下 まり, 西川 俊夫
担当区分:研究分担者
a) 膜タンパク質の機能ドメインと海洋天然物の相互作用: 新たな天然物リガンドとして、神経変性疾患の医薬品リード化合物として期待されるスピロリドに着目し、そのファーマコフォアの効率的な合成法を確立することで、未決定であった4位の立体配置を決定した。さらに、環状イミンの安定性を解析することで、天然物の特徴的な安定性に寄与する構造的要因を考察した。
b) 電位依存性イオンチャネルに特異的に作用する生物活性リガンドの創製: フグ毒テトロドトキシン(TTX)推定生合成前駆体群の合成を進め、Tb-242Cの初の全合成に成功した。また、カリウムチャネル(Kv)の阻害活性が報告されている海産天然物アプリシアトキシン(ATX)/オシラトキシン(OTX)類の合成を進め、OTX-D, E, Fの全合成とneo-debromoATX-Bの全合成に成功し、天然物の立体化学を訂正した。また、OTX-D, E, Fの生物活性評価を行なった。
c) 新しい作用様式でイオンチャネルに作動する天然物リガンドの探索と機構解明:電位依存性Na+チャネル(Nav)に作用する化合物を探索する簡便法を確立したので、実際に海洋生物を探索して陽性化合物を同定した。CHO-K1細胞を用いた蛍光生細胞観察により海洋天然毒マイトトキシン(MTX)が細胞内にCa2+を流入させ、微小菅の脱重合を誘引した後、細胞膜の一部を膨らますこと(Blebbing)を明らかにした。
d) 天然物リガンドと生体膜の相互作用解析: 脂溶性天然物リガンドとその膜受容体の相互作用解析を行う場合、生体膜中でのリガンドの挙動を解明するために、本年度はメチル分岐脂肪酸を有する合成脂質であるDPhPCに着目し、その脂質二重膜中でのアルキル鎖の特徴的な配向を明らかにした。また、サポインとそのモデル化合物についても、生体モデル膜における相互作用の分子機構を解析した。
具体的には、天然物リガンドであるスピロリドについて合成化学的な方法論を開発することに成功し、ファーマコフォアを含む中心骨格構造の安定性と活性の系統的な評価が可能となった。また、メチル分岐脂質であるDPhPCに関する研究においては、2本のアルキル鎖が膜の浅い部分で特徴的な配向を有し、かつそれぞれのsn-鎖に特異的であることを見出した。
TTXの推定生合成中間体の一つhemiketal-TTXの合成が最終段階にある。またATX/OTX類の一つOTX-Iのメチルエステルの合成にも成功し、天然物リガンドの合成供給が順調に進展している。また予備的実験で、新たにクランベシン関連化合物がある種のカルシウムチャネル(Cav)の阻害活性を示すことが明らかになった。
国際共同研究1件を含む3件の領域内共同研究の成果を基に、MTXが細胞膜脂質に作用し膜透過性を亢進することが推察された。Blebbingは他の薬剤や天然有機毒においても観測されるが、同現象を誘引するMTX濃度は著しく低いことを特徴とする。マウス神経芽細胞腫Neuro2Aとveratridine/ouabainを用いた評価系において、数種のセンブレン類が陽性を示した。また、海藻中毒原因物質ポリカバノシド類も陽性を示した。
a) 昨年度で終了した。
b) 電位依存性イオンチャネルに特異的に作用する生物活性リガンドの創製:TTX推定生合成前駆体のうちhemiketal-TTX とTb-226, Tb-242B, Tb258などの合成を完了させ、各種イオンチャネルの阻害活性を評価する。また、ATX/OTXの新規類縁体の合成とKv阻害活性を評価する。クランベシンが、Cavの阻害活性を示すことが明らかになったため、その詳細を調べる。これらの研究で、イオンチャネルに特異的に作用するリガンドを創製する。
c) 新しい作用様式でイオン透過性を亢進する天然物リガンドの探索と機構解明:MTXの作用機序解明に向けて、未だ不明である細胞内へCa2+を流入させる分子機構を明らかにしたい。そのため、所望の組成で作成したリポソーム膜に対する膜透過性亢進を分光学的手法ならびに電気生理学的な手法で観測する。比色法によるNav阻害活性試験で陽性であったセンブレンおよびポリカバノシド類の作用機序の解明および誘導体の作製と構造活性相関研究を行う。
d) 天然物リガンドと生体膜および膜タンパク質の機能ドメインとの相互作用解析: 海洋天然物スピロリドの活性中心構造を基盤とした構造活性相関および海洋生物毒イェッソトキシンの膜タンパク質標的ドメイン構造の推定を行う。さらにスフィンゴミエリンなど天然脂質リガンドの特徴的な機能発現の基盤となる、脂質膜中での分子間相互作用を明らかにする。 -
フグによるテトロドトキシン認識の分子機構
2017年6月 - 2019年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
西川俊夫
担当区分:研究代表者
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研究課題/研究課題番号:17K19195 2017年6月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
西川 俊夫, 阿部 秀樹, 安立 昌篤
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
フグは、フグ中毒の原因物質であるテトロドトキシン(TTX)を、防御物質として利用していると考えられている。一方で、フグはTTXに誘引されるという興味深い報告がなされてきた。そこで、申請者らは、まずフグの嗅覚器で本当にTTXが感知されているかを、嗅電図(EOG:嗅上皮を匂い物質で刺激した時に発生する電場電位変化)を測定することで確認しようとした。ところがTTXではなく,ほとんど毒性のないTTX類縁体に強いEOG応答が観測された。そこで、構造活性相関研究のために、そのTTX類縁体の関連化合物の化学合成と、フグ個体を使った誘引行動実験とTTX類縁体の受容嗅細胞種の特定を試みた。
本研究の最大の学術的意義は、これまでフグ誘引の活性の本体と考えられていたテトロドトキシン(TTX, フグ中毒の原因物質で猛毒)ではなく、無毒のTTX類縁体であることを初めて発見したことにある。この発見は、日本人に古くから馴染みの深いフグとフグが保有する毒素TTXの複雑な関係が、分子レベルで明らかになるきっかけとなるだろう。 -
研究課題/研究課題番号:16H04915 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
西川 俊夫, 中崎 敦夫, 安立 昌篤
担当区分:研究代表者
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
本研究では、天然からの供給と誘導体合成が困難なため有効利用が進まない天然物を、連続反応によって中心骨格を効率よく構築し、多様な類縁体を供給する方法を確立する事を目的とした。まず、ヤドクガエル毒ゼテキトキシンに含まれるサキシトキシン(STX)骨格を、内部アセチレンにグアニジンとカルバメートを配した前駆体の連続ブロモ環化反応を開発して合成し、そのSTX類縁体を合成した。エンドファイト毒ペラミンは、ピロールアミドのN-プロパルギル化からピロロピロピラジノン骨格を合成する連続反応を開発し、全合成した。キノコ成分チャキシンは、エルゴステロールより得られるフランの連続酸化反応を開発して、7段階で合成した。
本研究の最大の学術的意義は、サキシトキシン(STX)やチャキシンのような複雑な化学構造を有した天然物の重要骨格を、連続反応によって一挙に構築(合成)できることを示したことにある。STX骨格合成では、グアニジンとカルバメートをもったアセチレンを単にBr+と反応させるだけで、STXのBC環が構築されるというもので、STX類縁体の合成に有用である。ペラミンの合成法は、過去に報告されたもののなかで最短である。またチャキシンは、市販のエルゴステロールより7工程で合成できる。今後、ここで開発された合成法によって様々なアナログが合成され、医薬品や生物学研究のツール分子などの開発が進むことが期待される。 -
生物活性テルペンインドールアルカロイドの新合成方法論の開発
2012年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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特異なヘテロ多環構造を含んだ生理活性天然物の合成研究
2008年
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:20380067
西川 俊夫
担当区分:研究代表者
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合成プローブを活用したテトロドトキシンの食物連鎖機構および生合成経路の解明
2006年 - 2008年
科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般),課題番号:18510182
西川 俊夫
担当区分:研究代表者
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生理活性発現機構に基づく生物活性物質の創製
2004年11月 - 2009年3月
科学研究費補助金 特別推進研究
磯部 稔
担当区分:研究分担者
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新規微量糖鎖成分C-マンノシルトリプトファンの生物機能の解明
2003年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金 特定領域研究(A)糖鎖によるタンパク質と分子複合体の機能調節
西川俊夫
担当区分:研究代表者
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フグ毒テトロドトキシン類の全合成とその生物機能解析
2001年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 特定領域研究(A)(2)(公募)
担当区分:研究代表者
科研費