科研費 - 樫田 啓
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研究課題/研究課題番号:23H04873 2023年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
矢貝 史樹, 樫田 啓, 灰野 岳晴
担当区分:研究分担者
本計画研究では、研究代表者が開発した階層的湾曲自己組織化技術をさらに深化させるとともに、研究分担者が独自に開発する、ホストゲスト型超分子ポリマーや人工核酸に適用する。さらに領域内合成研究者が開発する分子ユニットを湾曲構造と有機的に融合し、それらがメゾスケール領域で示す光・電子物性を探求する。総じて、分子の一次元集合体に自発的な湾曲性を発生させる技術を駆使し、メゾヒエラルキーの礎となる未踏物質を世界に先駆けて発信する。
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研究課題/研究課題番号:23K26774 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:18850000円 ( 直接経費:14500000円 、 間接経費:4350000円 )
本研究では我々が開発した人工核酸であるセリノール核酸(SNA)の配列解析法の開発を目指す。SNAは高い酵素耐性やキラル増幅などの機能を持つが、SNAの配列を解析する手法は報告されておらず、SNAを利用したアプタマーの開発は不可能であった。そこで、本研究ではSNAの配列を解析する新たな手法を開発する。本研究が実現できれば、天然核酸では実現が困難な様々な機能を持ったSNAアプタマーの開発が期待できる。
本研究では3か年の研究期間において、セリノール核酸(SNA)の配列解析法の開発、及びその応用を目指している。まず、これまで開発したSNA配列解析法を更に発展させることでこれを確立する。その後、開発したSNA開発解析法を利用することで様々な生体分子に対するSNAアプタマーの開発を目指す。
一年目は、SNA配列解析法の拡張について検討を行った。これまでに天然塩基を持つSNA10量体の配列解析が可能であることを明らかにしている。しかしながら、本配列解析法は二重鎖形成のみを利用しているため、様々な修飾塩基導入SNAの配列解析が期待できる。そこで、本研究では天然塩基構造を化学的に改変した修飾塩基をSNAに導入し、その配列解析が可能かどうか検討した。具体的には、チミン同様の水素結合部位を持つピレニルウラシル及びシアヌル酸を導入したSNAの配列解析を行った。その結果、シアヌル酸導入SNAの配列解析が可能であることがわかった。一方、ピレニルウラシルはミスマッチ認識能が不十分であることが示唆された。今後、これらの結果を更に精査することで正確な塩基対形成能と機能性を両立する修飾塩基構造を探索する予定である。
また、より長い鎖長を持つSNAの配列解析についても一部検討を行った。まず、ランダム配列長を伸長して配列解析を行ったところ、SNAと相補的な配列は得られないことがわかった。このことは、ランダム鎖長の増加に伴い、相補配列の分子数が大幅に低下していしまったことを示唆している。今後は長鎖SNAの配列を分割して解析する手法の開発に取り組む予定である。
本研究では3か年の研究期間において、1)セリノール核酸(SNA)の配列解析法の開発、及び2)それを利用したアプタマー開発を目指している。一年目はこのうち、1)について詳細に検討を行った。修飾塩基を導入したSNAの配列解析が可能かどうか検討したところ、チミン誘導体であるシアヌル酸を導入したSNAの配列解析が可能であることを明らかにした。シアヌル酸は水素結合部位を両面に持つため、水素結合を介して標的分子に結合するアプタマーの開発が期待できる。また、蛍光色素であるピレンを持つピレニルウラシル導入SNAについても検討を行った。その結果、ピレニルウラシルは塩基対形成が不正確であることがわかった。これらのことは、塩基対形成の正確性が分子構造と密接に関連していることを示唆しており、今後本研究を発展させるうえで極めて重要な知見と言える。今後は、これらの知見を元に修飾塩基の化学構造を設計・合成し、その配列解析が可能かどうか検証していく予定である。
以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
2年目はSNA配列解析法の更なる拡張を目指す。具体的には、より長い鎖長を持つSNAの配列解析を目指す。これまでにSNA10量体の配列解析に成功しているため、まずは20量体の配列解析について検討を行う予定である。また、前年度に引き続き修飾塩基導入SNAの配列解析についての検討を進める。具体的には、チミンの6位に様々な官能基を導入した修飾塩基を検討する。また、これまで利用してきたチミン誘導体に加えアデニン誘導体を導入したSNAの配列解析についても検討を進める予定である。その結果、本配列解析法が適用可能な修飾塩基の化学構造の解明が期待できる。
また、2年目及び3年目において本配列解析法を利用したアプタマー開発を目指す。SNAを利用することで、高い酵素耐性を持つアプタマーの開発が期待できる。また、SNAがアキラルであること利用することで、CD及びCPLにより標的を検出するアプタマープローブの開発が期待できる。まず、天然核酸に結合するアプタマー開発について検討を行う予定である。 -
蛍光バーコードを利用したインタラクトームイメージング法の開発
研究課題/研究課題番号:22K19107 2022年6月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
我々は核酸の鎖交換反応を利用することで多数の分子を同時にラベル化する蛍光バーコードの開発に成功した。この蛍光バーコードは蛍光色素の種類や蛍光変化回数を増加させることで、ラベルの種類を指数関数的に増大できるという特長がある。そこで、本研究では蛍光バーコードを利用することで生体分子間相互作用を可視化する手法の開発を目指す。
本研究では我々が開発した蛍光バーコードの拡張、及びそれを利用した生体分子間相互作用解析を目指した。まず、D-トレオニノール核酸の鎖交換反応について詳細に検討した。その結果、鎖交換反応に最適な鎖長や反応温度を明らかにすることが出来た。また、蛍光バーコードの拡張について検討を行い、蛍光変化回数を3回に増加させても設計通り機能することがわかった。更に、タンパク質間相互作用を可視化するために近接ライゲーションについての検討を行い、通常の蛍光標識核酸を利用したイメージングが可能であることを確認した。以上のように、蛍光バーコードを利用した生体分子間相互作用を可視化するための基盤技術の確立に成功した。
生体分子間の相互作用は全ての生命現象の基盤であるため、これを可視化することは生命現象を理解する上で非常に重要である。これを実現するためには多数の蛍光ラベルを調製する必要があるが、従来の技術では蛍光波長にオーバーラップがあるため同時検出可能な数に大きな制約があった。それに対し、我々が開発した蛍光バーコードは膨大な種類の蛍光ラベルを簡便に調製することが可能である。また、本研究成果によって生体分子間相互作用イメージングに必要な基盤技術を確立することが出来た。今後、我々が開発した技術を更に発展させることで複数の生体分子間相互作用の同時イメージングが期待できる。 -
研究課題/研究課題番号:22H00331 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
矢貝 史樹, 樫田 啓, 五月女 光
担当区分:研究分担者
本研究は、均一な曲率で湾曲する直径10nm程度のナノワイヤー(湾曲ナノワイヤー)を用いて多様な微小構造体を創成し、それらを変形させることで従来不可能であったメゾスケール領域での物質操作を実現する。リング、ラセン、ウェーブ、チェーン等の多様な微小構造体を有し、内部に光に応答する分子を組み込むことで、これらの構造体の変形を実現する。また、複数の構造体をメカニカルに連結することで、伸縮や反復運動などさらに複雑な動きを実現する。さらにDNA類似分子を用いて湾曲ナノワイヤーを創成することで、原理の一般化を検討する。
昨年度は、メゾスケールロタキサンの「軸」となるナノワイヤー材料の開発を進めた。ナノワイヤーには剛性が必要であるため、分子の自己組織化の形態をチューブ状にする手法がふさわしい。そこで、当該研究室の主要分子骨格であるバルビツール酸系とハサミ型分子系の双方でチューブ状超分子ポリマーの創成に取り組んだ。新規分子デザインによって、発光性のアントラセンナノチューブ並びに励起子輸送能が期待されるクロロフィルナノチューブの合成に成功した。さらにこれらの材料は、形成時および形成してから時間発展的に螺旋構造を誘起することが原子間力顕微鏡観察および円二色性吸収スペクトルにより見出された。これは予想外の結果であり、今後この螺旋形成のメカニズムについて深く検討していく予定である。メゾスケールロタキサンの形成には螺旋表面での二次核形成を利用する。螺旋構造によって表面形状が変化するため、二次核形成の挙動も変化すると考えられる。
分担者である五月女は、ロタキサンの「環」となるナノリングの発光挙動について、時間分解傾向スペクトル測定を実施した。その結果、ナノリングの発光量子収率が対応する鎖状構造よりも高くなるメカニズムを解明することに成功した。現在論文を共同で執筆中である。
分担者である樫田は、六重螺旋構造を利用したナノワイヤーを調製するための配列合成を行った。人工核酸の鎖長を変化させて融解温度を測定したところ、鎖長に応じて安定性が変化することがわかった。現在これをナノワイヤー化するための条件検討を行っている。
螺旋形成、正確には原子間力顕微鏡による螺旋構造の時間発展的形成に関しては、予想外の発見と言える。本来の目的であるメゾスケールロタキサンに関しては収率よく合成する手法をまだ見出すことができていないが、螺旋構造形成は非常に重要な科学的な発見であり、まずはそのメカニズムを解明していく予定である。
今後は、両ナノチューブ材料における螺旋形成のメカニズムを探ることを第一の目的とする。メゾスケールロタキサンの形成には螺旋表面での二次核形成制御が重要となる。螺旋構造によって表面形状が異なるため、この課題は非常に重要な研究項目となる。実際の手法としては、円二色性吸収スペクトルや分担者との共同による過渡吸収測定、時間分解発光測定等を予定している。また、ナノファイバー材料の水溶性化にも取り組み、分担者との共同による人工核酸塩基との融合に関しても精力的に研究を進める。 -
研究課題/研究課題番号:20H02858 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
本研究では我々が開発した人工核酸であるSNAを利用したキラル増幅系を開発することを目指す。キラル増幅系はアキラルな構造体にキラル分子を添加した際に、そのキラリティが大幅に増大する現象である。しかしながら、これまで核酸間の二重鎖形成を利用したキラル増幅系は報告されていない。本研究が実現できれば、キラルな生体分子を検出する汎用性の高い手法となることが期待できる。
本研究では申請者らが開発したセリノール核酸(SNA)を利用したキラル増幅系の開発、及びそれを利用した生体分子検出を目指した。まず、アキラルなSNA一次元構造体を調製した。この構造体に対し、キラル人工核酸を少量添加した際にCD強度が大幅に増大したことから、核酸の二重鎖形成を利用したキラル増幅系の開発に初めて成功した。また、ナノ構造体を蛍光色素で修飾することで、CDだけではなく円偏光発光(CPL)を発現させることにも成功した。更に、DNAをキラル源として利用したキラル増幅系を構築した。以上のように、核酸の二重鎖形成を利用したキラル増幅系を開発し、それを利用した生体分子検出に成功した。
生体分子はほぼ全てキラルであるため、キラリティに基づいた検出法を開発することが出来れば、生体分子を検出する非常に汎用性の高い手法となることが期待できる。本研究では、核酸のキラリティを増幅し、円二色性や円偏光発光によって検出する全く新しい手法を開発した。今後、これを利用した天然核酸検出や他の生体分子検出への応用が期待できる。 -
研究課題/研究課題番号:19K22250 2019年6月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
生体分子の蛍光ラベル化及び蛍光検出は生物学において必要不可欠な技術であるが、同時に検出可能な蛍光色素は多くの場合3,4種類程度に限られていた。
そこで本研究では核酸による二重鎖形成を利用することによって蛍光波長が経時変化する蛍光バーコード法を開発することを目指す。これが実現できれば、膨大な種類の生体分子を同時に蛍光イメージングすることが期待できる。
従来の生体分子蛍光イメージングでは励起・検出波長に限りがあることから、同時に検出可能な蛍光色素は多くの場合3,4色に限られていた。本研究では核酸の鎖交換反応を利用することで多数の生体分子を同時にイメージングする蛍光バーコードの開発を目指した。研究の結果、実際に蛍光バーコードが設計通り機能することを明らかにし、多数のビーズの識別や複数種のタンパク質同時検出に成功した。
本研究によりあらかじめ決められた順序に従って蛍光色が変化する蛍光バーコードの開発に成功した。本研究では計27種類の蛍光バーコードを調製したが、利用する蛍光色素の数や蛍光変化回数を増大させることでその種類を指数関数的に増大させることができる。また、その際に必要となる核酸鎖の数が非常に少ないという特長もある。そのため、生物学やバイオテクノロジーにおける有用なツールとしての応用が期待される。 -
DNA骨格を利用した色素間相互作用の解析と機能性π造形システムの創製
研究課題/研究課題番号:17H05150 2017年4月 - 2019年3月
新学術領域研究(研究領域提案型)
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
色素などのπ電子系物質は集積化する際の配向や距離によってその物性を大幅に変化させるため、その集合形態の制御が極めて重要である。本研究ではDNA骨格を利用することにより、分子を空間的に精緻に配置した新しいπ造形システムを構築することを目指した。前年度は、DNA骨格を利用して同種の色素間におけるエネルギーマイグレーションについて詳細に解析した。その結果、エネルギー移動効率が厳密にフェルスター理論に従って変化することを実験的に証明することに初めて成功した。これらの成果は本年度Communications Chemistry誌に報告した。
本年度は前年度得られた知見を元に、色素を精密に集積化した光捕集アンテナ複合体の開発を目指した。具体的には多数のドナー色素(ピレン)をDNAに導入し、中央にアクセプター色素(ペリレン)を配置したDNAジャンクション構造を調製した。その結果、ドナー間でまずエネルギーマイグレーションが起き、更にドナーからアクセプターへの異種色素間エネルギー移動が起きることによって、アクセプターの発光増大を期待した。実際に、ジャンクション構造を調製し、蛍光スペクトルを測定したところアクセプターの強い発光が観察されたことから、高効率な光捕集アンテナとして機能することが分かった。また、ジャンクション構造の分岐数を変化させて詳細に解析を行ったところ6分岐のジャンクション構造が高い光捕集能を示し、有効吸光係数が百倍以上向上することが分かった。
現在、これらの成果を元に論文を執筆中である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。 -
配向依存型FRETを利用した核酸構造解析法の開発
研究課題/研究課題番号:16H05925 2016年4月 - 2020年3月
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:25350000円 ( 直接経費:19500000円 、 間接経費:5850000円 )
本研究ではFRETの配向依存性を利用した核酸構造解析法の開発を目指した。まず、構造解析法に利用可能な蛍光色素の拡張を行い、より大きな複合体を構造解析可能な色素ペアの開発に成功した。また、同種色素間エネルギー移動が核酸構造解析に利用可能であることを明らかにした。本手法を利用することで、ギャップ構造などの損傷DNA、A-tract配列、更にRNAの構造解析に成功した。更に、FRETの配向依存性を利用することでDNAと小分子間の相互作用を解析可能であることを明らかにした。
核酸結合タンパク質は核酸構造のわずかな違いを認識して結合することが知られている。従来、核酸構造の解析にはNMRやX線構造解析が利用されてきた。しかしながら、大量のサンプルが必要であり、またサンプル調製や解析が煩雑であるという問題点があった。本研究で開発した核酸構造解析法は少量のサンプルで解析が可能であり、また解析が簡便であるという利点がある。そのため、今後様々な核酸構造を網羅的に解析することによって、生物学や創薬科学に貢献することが期待できる。 -
多重鎖形成可能な人工核酸の開発
研究課題/研究課題番号:16K14031 2016年4月 - 2018年3月
樫田 啓
担当区分:研究代表者
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
天然核酸はプリン塩基の両面で水素結合することにより、三重鎖や四重鎖構造を形成することが知られている。本研究では、この天然塩基を模倣し両面で水素結合可能な人工塩基を導入した人工核酸を合成した。その結果、この人工核酸が六重鎖構造を形成することを明らかにした。この六重鎖構造は、二価陽イオン存在下や低pHで安定化することが分かった。これらのことは六重鎖構造がpHセンサーや金属イオンセンサーとして機能することを示唆している。また、分子モデリング計算を行ったところ六重鎖構造は内部に空孔をもったユニークな構造をしていることが示唆された。そのため、新たな超分子モチーフやイオンチャネルとしての応用が期待できる。
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細胞内イメージングに向けた超高感度核酸プローブの開発
2014年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型・公募研究)
担当区分:研究代表者
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細胞内イメージングに向けた超高感度核酸プローブの開発
2012年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型・公募研究)
担当区分:研究代表者
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“DNAドット”を活用した高感度ラベル化法の開発
2010年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
樫田啓
担当区分:研究代表者
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核酸とのコンジュゲーションによる色素会合体調製法の確立
2007年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 若手(スタートアップ)
担当区分:研究代表者