科研費 - 水野 幸治
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立位CTと人体有限要素モデルを用いた高齢者の転倒による傷害機序の解明と試験法の構築
研究課題/研究課題番号:25K01464 2025年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
水野 幸治
担当区分:研究代表者
配分額:14820000円 ( 直接経費:11400000円 、 間接経費:3420000円 )
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交通事故における自動車コーナー部と衝突した交通弱者の挙動及び傷害メカニズムの解明
研究課題/研究課題番号:24K07981 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
寺島 孝明, 水野 幸治
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:250000円
本研究では自動車のコーナー部と歩行者・自転車などの交通弱者の衝突事故を対象とし、事故の低減、被害軽減を進める上で必要不可欠な交通事故実態の解明を行うと共に交通弱者の保護方法を検討する。
研究では、交通事故統計データを分析し、マクロ的な視点から事故が多く発生する状況などの特徴を明確にする。また、自動車と歩行者・自転車の事故を再現した実車衝突実験、シミュレーション解析を行い、ミクロ的な視点から交通弱者の挙動、自動車及び路面との衝突における傷害発生機序を明らかにするとともに、必要となる保護方法を明確にする。 -
自動運転に向けた解剖学を考慮した人体のシートベルト拘束方法に関する研究
研究課題/研究課題番号:22H01728 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
水野 幸治, 田中 良知, 細川 成之, 一杉 正仁
担当区分:研究代表者
配分額:13000000円 ( 直接経費:10000000円 、 間接経費:3000000円 )
自動車衝突時にラップベルトは常に乗員の骨盤前縁に掛かり続けていなければならない.ラップベルトが骨盤の上前腸骨棘から外れると(サブマリン),ベルトが腹部に侵入し,重篤な傷害をもたらす.本研究の目的は「ラップベルトが骨盤を拘束するメカニズムを明確化し,男女別,腹部形状,着座姿勢およびベルト経路を考慮した,サブマリン防止方法を確立する」である.被験者によるベルト着用状態でのCTデータを参照して身体的特徴を再現した個体別人体有限要素モデルを作成する.実際の乗車時や自動運転での多様な姿勢を反映させ,サブマリン発生メカニズムを,有限要素解析およびダミーを用いたスレッド(台車)衝撃実験によって解明する.
自動車衝突時にラップベルトは常に乗員の骨盤前縁に係合し続けていなければならない.ラップベルトが骨盤の上前腸骨棘(ASIS)から外れると(サブマリン),ベルトが腹部に侵入し,重篤な傷害をもたらす.衝突事故では特に後席においてサブマリンの発生がしばしば見られ,この防止は乗員保護における重要な課題である.本研究の目的は「ラップベルトが骨盤を拘束するメカニズムを明確化し,男女別,腹部形状,着座姿勢およびベルト経路を考慮した,サブマリン防止方法を確立する」ことにある.
本年度は3次元身体計測データをもとに,有限要素モデルを作成し,このモデルを用いて,様々な姿勢におけるサブマリン発生リスクを検討した.さらにダミーを用いた実験により,サブマリン発生状況を調べた.
様々な姿勢における4つの体格の人体有限要素モデル(男性低BMI,標準BMI,高BMI,小柄女性)の動的シミュレーションから,サブマリンの発生に対して,モデルや姿勢を横断する変数として「ラップベルトと骨盤のなす角」,「ラップベルトと骨盤のオーバーラップ」,「衝撃時の骨盤の後方回転角」の3つが有意に影響を及ぼすことを特定した.これらの変数の時系列分析から,ラップベルトが骨盤前縁と係合してから,骨盤が回転し,骨盤軟部組織のせん断変形を伴いながら,ラップベルトが骨盤前縁を滑り出すというサブマリン発生メカニズムを明らかにした.今後,サブマリン発生防止のための方策についても検討していく予定である.
研究成果について,日本語論文1件,国際会議1件,講演会3件の発表を行った.自動車技術会の講演発表については,学術講演会優秀講演賞を受賞した.来年度は,英語による論文投稿を行っていく.
本研究課題は身体計測,有限要素モデル作成,シミュレーション,実験からなっている.現在までの実施状況を下記に示す.
(1) 立位型CT装置を用いた被験者によるラップベルト着用状態での3次元CTデータをもとに,身体計測,着座姿勢,骨盤に対するベルトの位置等を調べた.
(2) このデータを参照して,モーフィングにより人体有限要素モデルTHUMSの軟組織を修正し,低BMI,高BMIの男性人体有限要素モデルを作成した.
(3) 3つの着座姿勢(標準,リクライニング,スローチング)による4種類の人体有限要素モデル(男性低BMI,標準BMI,高BMI,小柄女性)の動的シミュレーションを実施した.低BMI,リクライニング,スローチング姿勢ではサブマリンが発生しやすいことが明確となった.
(4) ダミー(前席,後席,リクライニング姿勢,スローチング姿勢)によるスレッド(台車)実験を行った.小柄女性ダミーでは前席リクライニング,後席スローチング姿勢でサブマリンが発生した.男性ダミーではいずれの条件でもサブマリンが発生しなかった.
今年度はサブマリン発生メカニズムの解明に主眼を置いた.発生メカニズムはほぼ明らかになりつつあり,計画よりも順調に研究を進めることができた.
今後,実際の乗員のラップベルトの骨盤上の位置,およびサブマリンリスクの状況を把握するため,下記のように研究を進めていく予定である.
1.事故分析を行い,ラップベルトによる腹部傷害の現状を調べる.
2.現在の人体有限要素モデルは体幹と大腿部まわりを中心にモーフィングしている.さらに,上肢や下腿などのモーフィングも行い,有限要素モデルの精度を向上させる.サブマリンの発生に影響を及ぼす変数として,「ラップベルトと骨盤のなす角」,「ラップベルトと骨盤のオーバーラップ」,「衝撃時の骨盤の後方回転角」の3つを特定したが,さらに,これらの変数のサブマリン発生に対する閾値ないしは発生確率を求める.ベルトアンカー位置,ベルトデバイス,エアバッグ,シート座面形状を変えてシミュレーションを実施し,サブマリン防止のための設計指針を得る.
3.実際の乗車時にはラップベルトが人体の骨盤に装着され続けているとは限らない.乗員は様々な乗車姿勢を取るとともに,ラップベルトには巻き込みのためのベルト張力が加わり続けるので,骨盤に対するベルトの位置は動的に変化しうる.ベルトの装着位置の時間推移を調べるため,被験者の目的地までの乗車において,ベルトと骨盤の位置関係の時間変化を計測する.被験者の性別,年齢,体格,およびベルト装着位置の指導の有無で比較して,統計分析を行う. -
自動運転に向けた解剖学を考慮した人体のシートベルト拘束方法に関する研究
研究課題/研究課題番号:23K22996 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
水野 幸治, 田中 良知, 細川 成之, 一杉 正仁, 趙 雨晴
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:13000000円 ( 直接経費:10000000円 、 間接経費:3000000円 )
自動車衝突時にラップベルトは常に乗員の骨盤前縁に係合し続けていなければならない.ラップベルトが骨盤から外れると(サブマリン),ベルトが腹部に侵入し,重篤な傷害をもたらす.将来の自動運転における自由な着座姿勢も考えると,衝突においてサブマリンの防止は乗員保護における重要な課題である.
本研究では,被験者の立位CTからベルトと骨盤の位置関係を求め,さらに,実車での着座姿勢,ベルトの位置を調べる.さらに,CT画像を基に人体有限要素モデルを構築する.これにより,ラップベルトが骨盤を拘束するメカニズムを明確化し,男女別,腹部形状,着座姿勢およびベルト経路を考慮した,サブマリン防止方法を確立する.
国際的に自動運転に向けて,自由な着座姿勢に対する乗員の拘束方法が研究されている.それにともない,後席も含めたラップベルトによる骨盤の拘束方法が大きな課題となっているが,いまだに解は見出されていない.本研究は,「後席乗員の実際の着座状況はどのようなものか」「ラップベルトと骨盤の初期位置,衝突時にラップベルトが骨盤を動的にどのように係合するか,なぜベルトの骨盤からのはずれ(サブマリン)が発生するのか」というベルトと骨盤の相互作用に関する基本的な問い,さらに,「この相互作用が各自の解剖学的特徴,シートベルトの幾何学的特性,シートの特性などによってどのように影響を受けるのか」という問いからなる.
これらの問いに対して,サブマリンの発生メカニズムに関して,人体モデルを用いた有限要素解析による後席乗員の衝撃シミュレーションをもとに,サブマリンが骨盤の後方回転およびラップベルトと骨盤前縁のラップ率によって記述できることを明らかにした.
さらに,50名からなるベルト着用状態での着座CTデータを用いて,ベルトの骨盤との係合,骨盤の姿勢に関して,ヒップポイント位置とシートバック角度が大きな影響を与えることを示した.また,後席乗員の着座状況を調べ,時間とともに骨盤角が推移するという結果を得た.
CTデータをもとに,人体有限要素モデルの形状モーフィングを行い,標準体格男性に加えて,低BMI,高BMIの人体モデルを作成した.これらのモデルをリクライニング姿勢,スローチング姿勢で着座させ,サブマリン発生を着座時の骨盤角とベルトオーバーラップによりモデル化した.
これらの結果は,英語審査論文(2編),日本語審査論文(2編)として公表した.うち1編はその内容の新規性が認められ,自動車技術会論文賞の受賞に至った.
研究開始から,男女別の身体計測,姿勢別,サブマリンの発生状況を検討してきた.研究の一つの課題である実際のベルトの骨盤への係合状況の解明については,被験者のCTによる基礎データを分析したのち,被験者の実車の後席を用いた計測,走行中の着座姿勢の変化を調べている.これにより,ベルトと骨盤の係合が,骨盤の後傾姿勢とヒップポイント(大転子位置)によって表すことができること,これが着座時間により変化することが明確になる等,重要な知見が得られ,順調に推移している.
もう一つの課題は,様々な体格や姿勢の乗員に対してサブマリンを表現する変数の明確化である.CTデータを基に低BMI,標準BMI,高BMIの男女の人体有限要素モデルを作成して,後席に着座した状態で減速度場を与え,様々な姿勢下でサブマリン発生を調べた.様々な体格や姿勢を取る人体についてサブマリンの発生確率を求めることができた.発生確率はベルトのアンカー位置やプリテンショナーなどで変わることも明確になり,設計への方向性も得られた.
このように本研究は,様々な体格と姿勢の乗員に関するサブマリンの発生の機序明確化と防止に向けた対策を考慮した設計方法の提案に向けて順調に推移している.
男女被験者について,さらに人数を増やし,実車を用いて実際の着座姿勢およびシートベルトの装着位置について計測する.また,走行中の着座姿勢の変化について映像と共に,特に,骨盤の角度をモニターし,サブマリン発生リスクの時間推移を調べる.また,立位CTによる撮影も進め,高齢者の立位姿勢における脊椎の姿勢についても調査する.
昨年度作成した低BMI,標準BMI,高BMIの男性の人体有限要素モデルに加えて,モーフィング手法を用いて女性の高BMI,低BMIの人体モデルも作成する.この一連のモデル作成により,様々な体格,着座姿勢を取る乗員に対する前方衝撃(50 km/h)について有限要素解析を行うことが可能となる.現在,国際的な課題となっている女性の方がサブマリンが発生しやすい要因を検討する.また,現在,衝突実験で用いられているHybrid III 50M, 5F, 及びTHOR 50M, 5Fの有限要素モデルについても衝撃シミュレーションを行い,人体モデルと骨盤の後方回転メカニズムの比較を行う.
有限要素解析から求めたサブマリン発生を支配する変数を,実測から得たベルト装着位置データに適用し,様々な体格や姿勢を取る人体についてサブマリンの発生確率を求める.シートパン形状,シートクッションの剛性,ラップベルトのアンカー位置,プリテンショナーなどの設計変数を変更し,骨盤の後方回転を低減するための方法を求める.これにより,本研究の最終目的であるベルトの骨盤からの滑りを防止するためのシートベルトシステムの設計指針を提案する -
自動運転に向けた四輪車対自転車事故の統合安全に関する研究
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
水野幸治
担当区分:研究代表者
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研究課題/研究課題番号:19H02259 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
水野 幸治, 青木 宏文, 一杉 正仁, 伊藤 大輔
担当区分:研究代表者
配分額:9490000円 ( 直接経費:7300000円 、 間接経費:2190000円 )
本研究では四輪車対自転車衝突事故を対象として,事故とヒヤリハットのドライブレコーダ映像を比較し,事故の発生因子と閾値を求める.ドライビングシミュレータ実験から,衝突回避が困難な状況下の運転者行動を分析し,四輪運転者の行動モデルを作成する.このモデルを衝突の力学モデルと結合させて,統合事故再現データベースを構築する.データベースに衝突被害軽減ブレーキ等の衝突回避デバイスを導入し,事故における衝突回避効果を得る.さらに,この回避困難な衝突について有限要素解析を行い,自転車乗員の被害軽減の方策を得る.本研究では,事故発生から被害者保護までシームレスにつなぐ統合安全による自転車乗員保護方法を提示する.
四輪車対自転車の出会い頭事故について,発生要因の解明を目的として研究を行った.ドライブレコーダ(DR)の事故データを収集し,ヒヤリハットとの比較から,事故発生を決める3つのモデルを構築した:①事故発生を衝突余裕時間,ブレーキ反応時間,制動時間の時間的関係による運動学モデル,②ロジスティック回帰による確率モデル,③変数の階層的な意味を示す決定木モデルである.
ドライビングシミュレータ実験から,ブレーキ反応時間がドライバの視線位置に依存することを見出した.衝突被害軽減ブレーキを取り付けて事故再現し,センサー視野角拡大が事故防止に有効であることを示し,究極的なAEBでも回避できない事故を特定した.
本研究開始前は自動運転によりすべての事故がゼロになるとの議論があった.本研究では,四輪車対自転車の出会い頭事故を検討し,衝突余裕時間が1秒未満の自転車の飛び出し事故は究極的な性能を持つAEBでも回避できないことを示した.これらは交差点でAIなどにより危険を予知しつつ速度を落として走行するなどの考え方につながった.
また,ドライブレコーダの事故分析とその再現から,視線の向きと事故発生の関係を示し,さらに緊急時のドライバの応答特性を取得した.これらは,ドライバの運転状態の検知や事故回避につながる.ドライバ応答と事故発生の関係を求める研究を進展させ,交通事故死者数ゼロに貢献するための実装を目指す. -
交通事故時の自転車乗員の頭部保護に関する研究
2013年4月 - 2016年4月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
水野幸治
担当区分:研究代表者
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自動車側面衝突時の子ども乗員の保護
2010年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
水野幸治
担当区分:研究代表者
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日本人人体有限要素モデルによる自動車衝突時の後席乗員保護に関する研究
2007年
科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般),課題番号:19560087
水野 幸治
担当区分:研究代表者
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低速度の車対歩行者衝突に関する研究
2005年
科学研究費補助金 基盤研究(C),課題番号:17560225
水野 幸治
担当区分:研究代表者
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自動車衝突時の子供の拘束方法に関する生体力学的研究
2003年 - 2004年
科学研究費補助金 基盤C 14550073