科研費 - 安田 啓司
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微構造制御に基づく高活性化と回収/再利用の両立を目指した環境浄化光触媒の開発
研究課題/研究課題番号:23H03567 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小島 義弘, 安田 啓司
担当区分:研究分担者
酸化タングステン(WO3)は可視光を吸収可能な光触媒として知られているが,WO3単体では光吸収によって生じる励起電子と正孔が再結合しやく,光触媒活性がそれほど高くない。そこで本申請研究では,「超音波噴霧熱分解法と超音波還元法の二つのソノプロセス」および「テンプレート(鋳型)技術」を応用した触媒の多孔化と金属ナノ粒子との複合化に基づく微構造制御により,可視応答型光触媒の活性向上と環境浄化プロセスへの応用を目指した研究を遂行していく。また,磁性金属を複合化させることにより,磁気回収/再利用可能な利便性に優れた触媒開発を目指す。
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高密度薬物選択捕捉気液界面の生成と持続可能な高効率水系分離システムの設計
研究課題/研究課題番号:22H02115 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
齋藤 徹, 林 英男, 安田 啓司
担当区分:研究分担者
微細気泡(FB)生成技術を用いて高密度に気液界面を生成させ水中薬物の捕捉率を増大させ、適用可能な薬物と薬物選択性の制御の幅を拡大する。FB気液界面における薬物捕捉場の溶媒特性の評価とともに特性を制御する方法論を確立し、薬物分離システムを設計する。薬物含有排水処理、薬物の精製、低環境負荷分解等、高効率・低環境負荷な水系分離技術を実用化する。
① FB技術による気液界面の高密度化と分離効率の向上
② FB膜分離技術との融合によるFB増感膜濾過技術の開発
③ 薬物選択捕捉FBの分光学・計算化学的溶媒特性評価と制御方法の確立
④ 連続的FB増感膜分離装置の試作と薬物精製および薬物含有水処理への適用 -
気液界面修飾型薬物捕捉場の創成と持続可能な水系反応分離工学の構築
研究課題/研究課題番号:19H02752 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
齋藤 徹, 林 英男, 近藤 寛子, 安田 啓司
担当区分:研究分担者
気液界面の溶媒特性を微量の混和性溶媒や塩により制御し、水中薬物の強力かつ選択的な捕捉場を生成させる方法論を得る。
① 界面修飾型薬物捕捉場の分光学・計算化学的溶媒特性評価と制御方法の確立
② 薬物含有医療・産業排水の高効率・低環境負荷型処理技術の開発
③ 薬物の迅速分離精製技術および分解・反応技術の開発
④ マイクロバブル技術による気液界面の高密度化と反応・分離効率の向上
からなる研究を実施し、薬物捕捉場を利用する分離や反応の基礎学術を確立し、薬物含有排水処理、薬物の分離精製、薬物の低環境負荷分解、薬物の水系合成化学を含む持続可能(高効率・低環境負荷)な水系反応分離工学を開拓する。
フローテーション分離において塩基性薬物や色素を選択的かつ高効率に捕捉する界面分離場を生成させ、水中薬物および色素の簡便・迅速な分離技術を設計した。
①塩基性色素および薬物の迅速分離: 3つの汎用色素(ローダミンB、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン)について分離条件を検討した。微量のアルコール添加により、分離効率は著しく増大した。アルコールの効果はエタノール<2-プロパノール<1-ブタノールと炭素数の増加につれて増大した。アルコールが気液界面に配向し、色素のための選択捕捉場が形成されるとともに、気液界面積を増大させたためである。環境水および合成染色排水の簡便・迅速かつ低環境負荷な処理技術としての可能性を見出した。
疎水性(水-オクタノール分配係数)や酸塩基特性(pKa)の異なる薬物を系統的に捕集し、本法の適用範囲を調べた。薬物が中性化学種となるpH12において、疎水性と捕集率が相関した。薬物の捕集率は微量のアニオン界面活性剤の添加により著しく増大した。
②気液界面分離場のキャラクタリゼーション: マイクロバブルの気液界面のデータ電位は負であり、pHの上昇につれて負電荷が増加した。塩基性色素や薬物の界面への捕捉に静電相互作用が関与することが強く示唆された。一方、疎水環境分子プローブを用いる気液界面の疎水性評価については蛍光スペクトルの再現性が低く、非平衡状態における物性測定の課題が見出された。
③分子動力学シミュレーションに基づく気液界面における分子配向予測: 分子間相互作用に基づいて対象分子の挙動を予測する分子動力学シミュレーション手法により、気液界面に付近におけるローダミンBの挙動を追跡した。アルコール無添加時に比べ、1-ブタノール添加時にはローダミンBが気液界面に吸着する挙動が観察され、本系における分子動力学シミュレーションの有効性が示された。
微量のアルコールを添加した無界面活性剤フローテーションにより、塩基性色素の著しく簡便かつ迅速な分離を達成した。環境水や染色排水中の共存物質の影響を低減する方法を確立し、排水処理への適用性が示された。さらに本法が色素選択的であったことから、色素合成時の新規精製技術としての可能性を見出すなど、応用においては、当初の予定以上の成果が得られた。
一方、蛍光分子プローブを用いる気液界面の疎水性評価については再現性が得られず、非平衡状態における蛍光スペクトル測定に課題が残った。そこで次年度の研究計画を一部前倒して分子動力学シミュレーションによる気液界面の色素分子の挙動を追跡した。アルコール共存下における塩基性色素の気液界面への吸着を再現できた。様々な条件下における塩基性薬物や色素および共存物質の気液界面への吸着を予測する手段となり、気液界面分離場を利用する分離や反応系を設計するための有力な手段となることが期待される。
1.薬物・色素含有排水の迅速処理 最少量(0.1%以下)の添加により顕著な分離促進効果が得られた1-ブタノールを気液界面修飾剤として用いるフローテーションによる薬物や色素含有排水処理技術としての適用性を明らかにする。併行して、環境水や染色排水中の共存物質の色素除去に及ぼす影響を調べ、妨害を排除する方法を溶液化学や反応分離工学の観点から検討する。塩基性薬物については、薬物の疎水性(水-オクタノール分配係数log Kow)やpHと除去率の関係を調べ、薬物除去に及ぼす要因を明らかにする。
2.塩基性薬物・色素の迅速精製技術の開発 フローテーションによる迅速分離技術に基づく塩基性薬物や色素の高速分離精製技術を設計する。既存の方法で合成した色素や薬物の反応後 の溶液をフリーテーションセルに入れ、上記と同様に分離操作を行う。添加アルコールとして、エタノールと2-プロパノールを用いる。一定時間(3~5分)後に水面の濃縮層を採取する。この操作を繰り返し、原料、中間体、副生成物、目的生成物の割合をLC-MSにより追跡する。
3.塩基性薬物の低環境負荷水系合成の試み ミセル形成濃度以下の界面活性剤水溶液中に高密度に気泡を発生させ、気液界面における分子配向を利用することにより、ミセル触媒と同様の水系反応の可能性を探索する。高密度な気泡の発生には、せん断流によるマイクロバブル発生器、スタティックミキサー、ホモジナイザーを使用し、発生効率と安定性を比較する。反応系として、抗生物質や農薬の不活性化反応の他、塩基性薬物の合成反応を試みる。
4.気液界面における薬物・色素の配向や反応の分子動力学シミュレーション 実験系と平衡して、分子動力学シミュレーションソフトを用いる検討を行い、上記の反応や分離の最適化や新規な反応系の発見の可能性を探る。 -
超微細気泡と超音波による超高純度金属ナノ粒子の合成と水分析センシング
研究課題/研究課題番号:19H02505 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
安田 啓司, 金 継業, 小島 義弘
担当区分:研究代表者
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
金属ナノ粒子は合成時に使用される安定剤が粒子表面に吸着し、触媒、光学、電気性能を低下させている。本研究では、安定剤、還元剤を使用しないウルトラファインバブル(UFB)超音波合成法を開発する。原理は、水溶液中の金属イオンを超音波により生成した還元種で還元して金属ナノ粒子の核を生成し、UFB添加により、粒子成長速度の制御し、加えて、粒子の分散安定性を向上させるものである。本研究では、UFB超音波法による超高純度な金属ナノ粒子の合成法と粒子径の制御法を確立し、反応メカニズムを解明することを目的とする。さらに、水中の重金属、水素、農薬の簡易かつ高感度な水分析センサや触媒としての実用化を目指す。
本研究では、粒子径を制御した高純度な金属ナノ粒子を合成するために、ウルトラファインバブル(UFB)超音波合成法を開発し、水分析センサや触媒として応用することを目的としている。本年度は以下の項目について研究を行った。
1.高純度な金属ナノ粒子の合成:加圧溶解法で生成したUFB水をエバポレータで濃縮することによって、UFB濃度を従来の6倍程度である約300億個/mLまで高くして、金ナノ粒子を合成した結果、直径が5~20 nmの超微細な粒子を生成できた。さらに、UFB濃度と金ナノ粒子の平均粒子径の関係を表す実験式を構築した。また、酢酸銀水溶液から超音波還元法により高純度な銀ナノ粒子を合成できた。
2.水中のラジカルを検出するためのセンサーの開発:水中のスーパーオキシドラジカルを検出できるセンサーを開発するためには、高分子の重合反応を用いて、金ナノ粒子と水溶性タンパク質のシトクロムを電極表面に固定化することが求められる。本年度は超音波還元法により調製した金ナノ粒子溶液の中にモノマーの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)が可溶化できることが明らかとなった。
3.光触媒の複合粒子の合成と性能評価:超音波還元法でPd/WO3(パラジウム/酸化タングステン)複合粒子を合成し、このPd/WO3粒子の触媒活性を水溶液中メチレンブルー(MB)処理時の分解反応から評価した。その結果、可視光を連続照射しながら処理した場合、MBの分解反応が進行した。WO3単体の粒子と比較したところPd/WO3粒子を用いた場合、分解速度が大幅に向上した。また、MB分解速度に及ぼすWO3に対するPdの仕込み率の影響について検討したところ、本年度検討した操作条件内では最適値が存在することがわかった。
金属ナノ粒子の合成については、高濃度なウルトラファインバブル水を用いて、安定剤や還元剤を使用せずに、5~20 nmの超微細で高純度な金ナノ粒子を合成することができた。ウルトラファインバブル濃度と金ナノ粒子の平均粒子径との相関式から、金ナノ粒子の平均径を予測することが可能となった。また、高純度な銀ナノ粒子の合成に成功した。
ラジカルのセンサーの開発については、金ナノ粒子溶液中でモノマーの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を可溶化できた。
光触媒の複合粒子の合成と性能評価については、パラジウム/酸化タングステンの複合粒子の合成に成功した。性能評価として、メチレンブルーの分解を行ったところ、複合粒子を用いた場合、酸化タングステンの単体粒子と比較して、分解速度が大幅に向上した。
以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
本手法を用いて様々な超高純度金属ナノ粒子を合成し、センサーや触媒への応用を行うために、主に以下の内容を検討することを計画している。
1.金、銀、パラジウム、白金の単体粒子と複合粒子の合成:ウルトラファインバブル水をさらに高濃度化し、様々な金属の単体ナノ粒子や複合ナノ粒子を合成する。各種金属ナノ粒子の粒子の形状、大きさを電子顕微鏡で測定し、さらに、成分分析、水中での安定性の評価も行う。
2.水中の活性酸素を検出するためのマイクロセンサの作製と応用:モノマーの3,4-エチレンジオキシチオフェンの電解重合により金ナノ粒子とシトクロムを電極へ固定化し、さらに、センサーの微小化して、様々な水中での活性酸素の検出を行う。表面増強ラマン散乱も評価する。
3.水中の有害物質を分解する光触媒への応用:様々な貴金属ナノ粒子を酸化タングステンの表面に担持した複合粒子を合成し、貴金属ナノ粒子の粒径・分散性を電子顕微鏡で測定し、光触媒活性の評価を水溶液中のメチレンブルーの分解により行う。
4.これまでの研究成果の取りまとめと研究成果の発信を行う。 -
超音波を活用したコポリマー応答温度・機械的強度の精密設計法の開発
研究課題/研究課題番号:18H01771 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
久保 正樹, 小林 大祐, 安田 啓司
担当区分:研究分担者
本研究では、超音波を用いたコポリマー合成法において、超音波照射条件を制御することで反応速度を精緻に制御して、温度応答性コポリマーの特性を設計する新規なプロセスを構築した。まず、種々の超音波照射の条件下でコポリマーの合成を行い、分子量、分散度に加えて、コポリマー組成に及ぼす超音波照射条件の影響を明らかにした。次に、合成したコポリマーの特性評価を行った。その結果、超音波を利用することによって、従来の化学的開始剤を用いた方法では獲得することができない、コポリマー組成から予測される応答温度よりも高い応答温度を示すコポリマーが合成できることを示し、超音波ポリマー合成法の優位性を実証した。
超音波を用いてコポリマーの分子量、分子量分布、共重合組成を制御することで、生成コポリマーの特性の一つである温度応答性を制御する新規な方法の開発に成功した。これによって、従来はモノマーの仕込みモル比によって制御していた温度応答性を、超音波照射条件によっても制御することを可能とし、コポリマーの温度応答性と機械的強度の設計の幅を広げることが可能になった。 -
ウルトラファインバブルによるソノリアクターの高効率化と排水処理への応用
研究課題/研究課題番号:16H04560 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業
安田 啓司
担当区分:研究代表者
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
直径が1μm以下の微細気泡であるウルトラファインバブル(UFB)を用いて超音波の化学的作用、機械的作用の促進を行った。まず、超純水に超音波を照射したところ、UFBの生成が見られ、超音波周波数が低いほど多く生成した。
化学的作用として、金ナノ粒子合成へのUFBの影響を調べた。UFBの添加により、金ナノ粒子が微細化し、粒子の分散安定性が向上した。
機械的作用であるフェニルアラニン水溶液の超音波霧化による濃縮性能が、UFBの添加により、向上した。
低周波の超音波によって簡単に短時間でウルトラファインバブル(UFB)を生成できる。また、界面活性剤などの安定剤が無くても、UFBと超音波によって微細で安定な金ナノ粒子を合成できる。さらに、水中の生理活性物質の超音波霧化濃縮においてUFBの添加によって、濃縮率が増大する。これらの効果はUFBによる超音波キャビテーションの生成促進、UFBと超音波の相互作用、UFB表面の帯電性・疎水性・長期安定性に起因し、学術的にも大変興味深い。 -
高効率ソノリアクターの開発と最適化
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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超音波によるナノエマルションを利用したレアメタル回収の新技術への挑戦
2011年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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超音波を用いた排水中VOCの高速分離・完全無害化システム
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
安田 啓司
担当区分:研究代表者
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持続性社会のためのソノプロセス
2005年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
香田忍
担当区分:研究分担者
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超音波霧化を利用した芳香成分の濃縮
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
安田 啓司
担当区分:研究代表者
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地熱エネルギー利用システムにおけるシリカスケール抑止技術の開発
2002年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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超音波による流出油エマルジョンの分離
1998年4月 - 2000年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
安田啓司
担当区分:研究代表者