科研費 - 辻 義之
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研究課題/研究課題番号:22K18768 2022年6月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
辻 義之
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
量子乱流場は、超流動と常流動成分が混在する複雑乱流場である。常流動成分は水や空気の流れと同様に粘性乱流としてふるまい、乱流中には微細な渦構造(乱流渦)が存在する。一方、超流動成分中にも量子渦と呼ばれる旋回を伴う渦構造が存在する。本研究では、新たな可視化粒子としてヘリウムエキシマを用いる。エキシマはヘリウム原子に電子を衝突させることで電荷を持たせ、別のヘリウム原子と結合した状態である。エキシマの生成には放射線(中性子、ガンマ線)及びプラズマ発光を利用する。エキシマによる流動場可視化と量子渦の運動を定量化することで複雑乱流の新たな知見を得ることを目的とする。
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研究課題/研究課題番号:22H01404 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
古市 紀之, 辻 義之, 経田 僚昭, 小野 満里絵
担当区分:研究分担者
本研究においては、高レイノルズ数壁乱流のうち円管乱流における平均速度分布と乱流強度分布のスケーリング則の確立、すなわちその普遍性を明らかにすることを目指す。スケーリング則の確立のためには、各レイヤーにおける流動構造を明確にする必要があるが、1点の乱流統計量のみでは議論を行うことができない。そのため、本研究においては散逸率計測を行うための新たなLDVシステムの開発を行う。開発された計測手法を用い、壁面から中心にかけての乱流特性を明らかにし、その普遍的な分布を確立することを目的とする。
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音響流放射を用いた乱流変動抑制による乱流摩擦抵抗低減法の研究
研究課題/研究課題番号:20H02379 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
川島 英幹, 辻 義之
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
( 直接経費:450000円 、 間接経費:37800円 )
壁面の接線方向に近い角度で音響流を放射することで、境界層内の流速を制御できる音響流放射型流場制御デバイスと、流体による壁面の剪断力を電流として計測できる電極型剪断力計測器を組み合わせると、乱流境界層中の流場の変動を電極型剪断力計測器で検知し、その変動を緩和する速度の音響流を、音響流放射型流場制御デバイスから放射することにより、乱流境界層内の流場の変動を抑制し乱流摩擦抵抗を低減する制御が可能となる。そこで、乱流境界層における剪断力の変動の基本特性や、音響流放射時の流場への影響等の計測も行い、電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスとを組み合わせた能動型乱流場抑制制御システムの開発を行う。
乱流境界層内の流場を制御することで抵抗低減を図ることを目的として、電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスとを組み合わせた能動型乱流場抑制制御システムを開発している。本年度は、流場制御システムに適した音響流放射型流場制御デバイスと電極型剪断力計測器の開発を行った。
音響流放射型流場制御デバイスはについては、当初、圧電材料を複合材料にして弾性表面波の音速を制御した試験体を製作し、基本特性の計測や流動試験を行った。複合材料型のデバイスは音速の制御による音響流放射角の制御という点では優れているが、ステンレスとPVDF樹脂、樹脂とニオブ酸リチウム結晶など、性状の大きく異なる物質を組み合わせて複合化しているため、実験中の破損や経時変化による性質の変化が問題となった。そこで、単一の圧電材料で、水の音速に近い表面波音速をもつ物質について調査し、BGOとBSOの2種が候補となった。BGO、BSOともに音響波を発生させるデバイスとしての先行研究例が皆無のため、理論面から有望と思われる結晶の方向を複数種類選定して、試験体を試作した。またPIVにより、流場制御の計測を行う準備として、特性のわかっているニオブ酸リチウム試験体による音響流放射デバイスを製作し、PIV計測の実験環境を整えた。その際、通常使用されている双方向回路だけで無く、流場制御デバイスには必須となる単方向型回路のデバイスも試作し、単方向性の強い音響流が放射されることをPIV計測により確認した。
電極型剪断力計測器は、流場制御デバイスとの組み合わせがしやすいフィルム型計測器の試作を行った。
当初、予定していた複合材料型圧電材料を用いた音響流放射デバイスは、現状では耐久性の点で課題が有ることが判ったため、単一材料を用いたデバイスの試作をすることになった。水に近い音速の特性を持つBGO、BSOを圧電材料として選定したが、音響流を放射するデバイスとしての研究例がなく、結晶の方向なども、理論面から検討する必要があり、試行錯誤の結果、試作デバイスの製作に時間がかかってしまったが、最終的には良好な基本特性を持つデバイスを得ることができた。また回路についても、通常用いられている双方向型に対して、単方向型を採用し、PIVにより単方向性の強い音響流を放射できることを確認できた。また電翼型剪断力計についても試行錯誤はあるが進んでいる。申請書での計画に対しては、やや遅れているが、先行研究例の無い領域の開発であることを考えれば、順調に進んでいると認識している。
BGOを圧電材料とした音響流放射型流場制御デバイスの放射する音響流の造る流場をPIVにより計測し、その特性を調査する。乱流境界層中において音響流を放射させ、境界層内の流れと音響流の干渉現象をPIV計測により詳細に調査する。塩水等の導電性のある液中で、櫛歯回路間の通電を防ぐため、デバイスをコーティングする方法を検討する。
乱流境界層内の乱流による速度変動により物体表面上に発生する剪断力の変動を計測できる電極型剪断力計測器の開発を進める。
能動型乱流場抑制制御システムとして、乱流による速度変動の抑制制御による抵抗低減を実現できる電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスの組み合わせ方法や位置関係、制御ロジックについて検討する。その検討結果を基に、電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスを組み合わせた乱流場抑制制御システムの試作システムを設計・製作する。
試作した電極型剪断力計測器により、乱流境界層内の剪断力の時間変動を計測する。続いて、流場制御デバイスから周期的に音響流を放射させ、壁面での剪断応力がどのように変動するか計測する。さらに乱流境界層内において、音響流放射型流場制御デバイスから音響流を周期的に放射させて、流路壁面での剪断力の変動と音響流放射型流場制御デバイスに加わる抵抗の変動を計測する。計測結果から剪断力の変動と音響流放射の関係を解析し、抵抗低減を図れる制御ロジックを検討する。試作システムに導き出された制御ロジックを適用し、抵抗低減を可能とする制御パラメータを探索する。
また剪断力を計測し、音響流により流場を制御する状態でのPIV計測を実施し、制御ロジックと流場の変化、抵抗の変化の関係を解明する。 -
高レイノルズ数円管乱流の摩擦損失係数と普遍的速度分布型の確立のための国際共同研究
研究課題/研究課題番号:19KK0098 2019年10月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
古市 紀之, 辻 義之, 経田 僚昭, 和田 裕貴, 小野 満里絵
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
( 直接経費:50000円 、 間接経費:42000円 )
本研究においては、独PTBの研究グループと、高分解能や多点面計測といった高機能付加されたLDVを用いて、高レイノルズ数円管乱流における管摩擦係数と平均速度分布型を確定するための国際共同研究である。異なる二つの設備における実験結果から、円管流における管摩擦係数の値や対数速度分布則におけるカルマン定数の普遍的な値を検証し、確定することを主目的とする。
ドイツPTBにおいて管摩擦係数および平均流速分布計測の実施を行うことを計画していたが、今年度においても新型コロナウィルス情勢により実現することができなかった。そのため、昨年度に引き続きPTBにおいて実験的に実施する予定のLDVにおける空間分解能が乱流強度におよぼす影響について、国内において実験的調査を行い、その情報をPTBと共有しディスカッションを行った。LDVの焦点距離を変えることにより、流れ方向成分の乱流強度における第一ピークに対する影響を調査し、空間分解能に対する補正方法を開発した。これにより、乱流強度におけるLDVの空間分解能ついては、最大摩擦レイノルズ数20 000まで、その影響が無く計測できることが明らかになった。本年度においては、この研究成果を論文として投稿し、採択にいたっている。また、別途開発した空間分解能の補正方法との整合性を検証し、この内容も論文として採択にいたっている。ドイツPTBにおける実験では高空間分解能LDVによる計測を計画しており、これらの補正方法との整合性を検討することによりさらなる信頼性の向上が期待できる。
空間分解能の影響の他、乱流強度分布において流れ方向のみではなく、垂直方向および円周方向に関する分布の計測を昨年度に引き続き実施した。これにより、流れ方向と円周方向の対数分布が現れる領域に普遍性があることが明確になった。この成果は、ドイツPTBにおける実験との整合性を検証する意味でも、重要な結果となる。本結果については、現在論文として投稿中である。
また、面計測LDVについては順次開発を進めている。今後、国内での検証実験を進める予定である。
新型コロナウィルス情勢のために今年度計画していたドイツPTBにおける共同での実験の実施を、昨年度に引き続き全くできなかった。管摩擦係数の計測においては、PTBサイドにて準備・実験を実施してもらうことで進めているが、情勢から進捗が止まっている。LDVの空間分解能の影響においては国内において可能な限りの実験的研究を行っているものの、現地における実験という内容についてはいかんともしがたい状況にある。そのため、現状はやや遅れがあると言わざるを得ない。最終年度においても国外での実験についての可能性が未定のため、研究期間の延長を視野に入れつつ、調整を進める予定である。
現状として、2022年度の渡航も非常に厳しい状況であると言える。現時点では、2023年1月程度からの渡航を検討しており、PTBサイドとも調整を進めている。ここで、現地における実験を集中的に行うことを想定しているが、実験内容を考慮すると十分に実施できないか可能性がある。そのため、研究期間の延長を視野にいれつつ、当初目標を達成できるように研究内容等の調整を進めて行く。 -
研究課題/研究課題番号:19H00641 2019年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
木村 芳文, 辻 義之, 藤原 宏志, 金田 行雄, 坂上 貴之, 松本 剛
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
( 直接経費:250000円 )
流体方程式の適切性/特異性の解明は流体方程式の数値解析の理論的裏付けとして多くの分野にまたがる基礎的な問題である一方,流体の最大の未解決問題である乱流の理解と制御に決定的な役割を果たすことから数学のミレニアム問題の一つにも挙げられている大問題である.本研究課題は渦運動の視点から流体方程式の特異性とそれに関わる乱流の統計性の問題を戦略的に研究することを目的としており,理論・モデル解析と大規模数値解析を融合させることによってこれまでの特異点探索における困難を克服し,乱流の解明と制御への筋道をつけるとともにミレニアム問題の解決に導くブレークスルーの達成を目指している.
流体方程式の適切性/特異性の解明は流体方程式の数値解析の理論的裏付けとして多くの分野にまたがる基礎的な問題である一方,流体の最大の未解決問題である乱流の理解と制御に決定的な役割を果たすことから数学のミレニアム問題の一つにも挙げられている大問題である.本研究課題は 渦運動の視点から流体方程式の特異性とそれに関わる乱流の統計性の問題を戦略的に研究することを目的としている.学術的な「問い」として(1)流体方程式の特異性を正確に捉えるための方法論,(2)乱流中の渦フィラメントの安定化問題,(3)渦リコネクションにおける特異点の正則化問題,(4)渦フィラメントの特異性と乱流の統計性の問題,(5)渦フィラメントの相互作用についてのリモートセンシングを掲げ, 理論・モデル解析と大規模数値解析を融合させることによってこれまでの特異点探索における困難を克服し,これらの「問い」に答えることを目的とし.この解決によって乱流の解明と制御への筋道をつけるとともにミレニアム問題の解決に導くブレークスルーの達成を目指している.
本年度は初年度として古典流体における渦リコネクションの問題を推進した. 木村はMoffatt & Kimura (2019a, b)で得られた結果と比較するためにkIda, Takaoka, Hussain (1984) の手法を用いてガウシアン型のコアを持つ2つの傾いた渦輪を対称に配置した初期条件に対してNavier-Stokes方程式の直接数値計算(DNS)を実行した.計算は名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータ(FX100)を用いて1024^3の格子点を用いて計算を行った.結果としてDNSでは2つの渦輪の最近接点における曲率が成長せず,最大渦度がオーバーシュートできないことが観測された.この結果は途中経過としてシアトルで開催されたアメリカ物理学会で発表された.
前述のように昨年度の研究はMoffatt & Kimura (2019a,b)で得られた結果のDNSによる検証が一つの重要な課題であり,名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータ(FX100)使用による大規模数値シミュレーションの実施とそのデータ解析と理論との比較が研究代表者の主な業績であった.最大渦度の発展が力学系による予測とDNSで大きく異なることは,新たな研究のテーマを与える重要な観察であると考える.DNSで渦管に沿っての曲率が発展しないことはそれが渦輪の最近接点付近のメッシュ数の欠乏に拠るものなのか,それともMoffatt & Kimura (2019a,b)の力学系モデルとは異なる物理的な条件に拠るものなのかは現在のところ不明であるが今後それを明らかにすることは今後の大きな問題である.
研究分担者の藤原は博士後期課程の院生との共同研究でプログラムの並列化と厳密化によりKimura & Moffatt (2018)の捻れた渦輪におけるBiot-Savart モデルによる特異性の結果を検証するとともにさらに精度を上げる成果を上げつつある.以上、全体としてほぼ目的を達成することができ計画は順調に進展していると言える。
これまでの成果を踏まえて、以下の研究を推進し、結果をまとめていく。(1)大規模数値解析の実施:名古屋大学情報基盤センターにおいて令和2年度に新たに導入され7月より稼働するスーパーコンピュータ(FUJITSU PRIMEHPC FX1000)を用いて対称な2つの傾いた渦輪を初期条件とするNavier-Stokes方程式の直接数値計算(DNS)を行い,力学系による予想とDNSとの違いについて考察を行う.(2)分担者の藤原と共同し,Biot-Savartモデルの数値解析の改良を行い,セグメントの長さを渦度の伸長の度合いによって調整できるような数値解析法を導入し,より精密な特異性の解析を可能にする.(3)分担者の金田との共同研究の一環としてNavier-Stokes方程式のDNSコードの改良を行い,渦度の大きさに応じてのアダプティブなメッシュ間隔が実現できるようなスキームの構築を目指し,力学系モデルとDNSの結果の乖離の原因を追究する.(4)Moffatt & Kimura (2019a,b)の力学系の解に対応して2つの傾渦輪がリコネクション時に生成する渦音の音圧をLighthill の理論をもとに考察する.力学系の考察では渦度の時間発展はリコネクション時近傍で非常に特異的になり,大きな渦音が生成されることが予想できる. -
研究課題/研究課題番号:19H00747 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
辻 義之, 山本 義暢
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:44070000円 ( 直接経費:33900000円 、 間接経費:10170000円 )
液体ヘリウムは絶対温度2.17Kにおいて、その粘性が消失する超流動ヘリウム(HeII)へと相転移する。HeIIでは量子渦が複雑に絡み合うタングルが形成され、発達乱流場の普遍的性質を内在すると考えられる。微細粒子を用いた速度場のラグランジュ計測から、量子乱流場の普遍法則(Kolmogorov則や対数法則)を検証するとともに、その普遍性が成立する背景を量子渦の自己組織化を介して明らかにする。水や空気など古典乱流がそなえるリチャードソン・カスケードと比較することで、運動量やエネルギー輸送をになう物理機構を解き明かし、広く複雑乱流の普遍性を理解することを目的とする。
今年度は以下の項目について研究を実施した。その概要をまとめる。
[A] 量子渦のラグランジュ軌道解析によるKolmogorovスペクトルの算出:3次元的なラグランジュ軌道の計測を目的とした複数台カメラでの計測を実施した。キャリブレーションの精度を向上させることで、三次元的軌道の再構築ができることを確認した。軌道を追尾できる時間間隔が小さいため、光学系の改善をおこなうことで、統計量の算出をより高精度化ができることを明らかにした。
[B]壁乱流における平均速度分布の計測:正方形ダクト内に微細粒子(個体水素)播種して、そのラグランジュ速度を計測することから、微細粒子が量子渦との相互作用をする時間スケールをフラクタル解析から見積もり、個体壁からの影響を定量化することができた。
[C]Heエキシマを利用した速度計測法の開発:プラズマ放電を利用したエキシマの生成をおこない、その発生を分光スペクトルにより確認できた。直流放電にすることで、より安定に放電を持続することができるが、リーク電流が発生しやす事がわかり、その改善を進める予定である。
[D]乱流の普遍性の理解、量子乱流と古典乱流との統一的理解:微細粒子のラグランジュ軌道の解析から、ハースト指数の算出によって自己相似的な軌道の出現と、過去および未来の記憶効果が存在することを実験データの解析から明らかにした。この統計的性質は古典乱流、量子乱流ともに内在しており、両者の普遍性をより深く解釈できる可能性を示唆している。今後は量子渦間距離の見積もりを試みたい。
感染症の拡大により、実験が制約された。計測器の調達も滞りがあったが、研究期間を延長することで、計画を遂行できた。
これまでの成果を踏まえ、三次元計測の精度をあげる。量子渦の挙動を解明することと古典乱流との接点を見出し、高レイノルズ数乱流の普遍性を調べる。エキシマをトレーサとする可視化法を確立できるように進めていく。 -
量子乱流場の三次元渦構造の可視化とラグランジュ速度の計測
研究課題/研究課題番号:16K14158 2016年4月 - 2018年3月
辻 義之
担当区分:研究代表者
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
超流動場の可視化のために,低温デュアーを取り囲む複数台のカメラ配置を実装できる体系を構築した.粒子位置とその大きさを算出する計算アルゴリズムを構築した.高速度カメラで撮影をした画像を時系列で解析をして,4時刻以上の粒子位置を追跡することで,ラグランジュ速度,加速度の算出をおこなった.量子渦と微粒子の相互作用から粒子軌道が特異な形状を示すことが観測された.つまり,ラグランジュ速度と加速度を算出することで,量子渦タングルの渦間距離を見積もる指標を提示できることが分かった.熱対向流下において,加熱するパワーを調整して流動状況を変化させ,その速度分布,加速度分布形状の変化を体系的に調査した.
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超流動乱流における量子渦の可視化と普遍的エネルギースペクトルの解明
2015年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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高レイノルズ数円管流れにおける摩擦損失係数の定式化と普遍速度分布に関する研究
研究課題/研究課題番号:15H03923 2015年4月 - 2018年3月
古市 紀之
担当区分:研究分担者
高レイノルズ数円管乱流における管摩擦係数と流速分布に対する普遍性に関する研究を行った。本研究は高レイノルズ数実流試験設備を用い、流量を高精度に計測することによる摩擦速度やレイノルズ数を高精度に求めることができる点が最大の特徴である。流速分布をLDVを用いて行い、その計測結果の妥当性の検証を詳細に行った。特に、流速分布から求められる管摩擦係数と圧力勾配から実測された値が非常に良い一致を示した。この結果を元に、流速分布を対数則により現した場合の傾き(カルマン定数)を精度良く算出し、その値は0.384であった。他の壁乱流における値と非常に良い一致を示しており、壁乱流における普遍性を示すことができた。
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超流動乱流における量子渦の可視化と普遍的エネルギースペクトルの解明
研究課題/研究課題番号:15H03917 2015年4月 - 2018年3月
辻 義之
担当区分:研究代表者
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
超流動乱流中の微細粒子を可視化するため,撮影カメラの光学系の改良をおこなった.その結果,3時刻以上の粒子を検出できる割合が向上し,粒子径分布の計算が文献値として既知の分布と一致するようになった.実験体系および解析プログラムの改良により,超流動乱流場の微細粒子のラグランジュ軌道の撮影をおこなった.粒子軌道に沿った速度構造関数を計算することで,そのべき指数を算出ることができた.このべき指数は,ラグランジュスペクトルのべき指数と等価である.粒子径によりこのべき指数は異なることが明らかとなった.また,粒子速度と加速度の確率密度関数から,常流動成分と超流動成分の割合が大きく影響することが明らかとなった.
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大規模数値解析による乱流中の流れ構造の動力学と異方性の解明
研究課題/研究課題番号:25247014 2013年4月 - 2018年3月
木村 芳文
担当区分:研究分担者
本研究課題は渦や波といった乱流中の流れ構造の非等方性が重要な役割を果たす宇宙・地球流体乱流に焦点をあて、大規模数値解析を用いて、流れ構造の動力学と特異性の解明を通し乱流統計理論の構築を目指すことを目的としていた。論文公表に至った主な成果としては(1)安定密度成層乱流におけるエネルギースペクトルの時間発展のメカニズムと(2)渦リコネクションにおける特異性と特徴的な幾何学的性質の抽出、が挙げられる。特に2番目の結果はClay研究所のミレニアム問題の一つであるNavier-Stokes方程式の適切性に大きく関係するものであることが分かってきた。
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中性子を用いた量子乱流渦の検出法の開発
2012年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究24656120
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超流動乱流における量子渦の可視化法の開発と圧力変動計測による乱流普遍則の解明
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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高レイノルズ数乱流境界層における圧力統計量の普遍性の解明と大規模組織構造との関連
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
辻 義之
担当区分:研究代表者
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熱乱流における速度境界層の直接測定と巨視的流動パターンの解明
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
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多点速度と変動圧力の同時測定に基づく乱流微細構造と普遍法則の解明
2001年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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KL展開と情報幾何学に基づく壁乱流の普遍的速度スケーリングに関する研究
1998年4月 - 2000年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
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固有安全炉における熱水力挙動およびヒートパイプによる余熱除去システムに関する研究
1996年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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フラクタルブラウン運動による乱流速度場の表現
1995年4月 - 1996年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A)07750189
担当区分:研究代表者