科研費 - 鈴木 康弘
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ウランバートル断層の地震ハザード評価と首都の被害軽減に資する防災啓発
研究課題/研究課題番号:24H00120 2024年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
鈴木 康弘, 後藤 秀昭, 齋藤 仁, 岩佐 佳哉, 藤原 広行, 森川 信之, 岩城 麻子, 先名 重樹, 奈良 由美子, 阪本 真由美, 中田 高
担当区分:研究代表者
配分額:47710000円 ( 直接経費:36700000円 、 間接経費:11010000円 )
モンゴルの首都ウランバートルは90年代初頭に自由主義化した後、急速な経済発展を遂げ急速な都市化が進行する中で、都市の耐震化が遅れ、地震災害への不安が高まっている。こうした中で首都を横断するウランバートル断層(UBF)が発見され、防災施策における取り扱いが問題になっている。本研究は、活断層調査、強震動予測、防災啓発の3つの観点から、モンゴルの地震研究機関・教育機関・防災機関とも連携して、首都防災の強化に向けた取り組みを行う。さらにUBF以外の活断層に関する地震ハザード評価も行い、モンゴルの国土計画への貢献を目指す。
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遊牧・山岳・先住民地域におけるリモート教育のモデル構築に関する実践的研究
研究課題/研究課題番号:21K18122 2021年7月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
稲村 哲也, 山田 恒夫, 奈良 由美子, 鈴木 康弘, 石井 祥子, 小貫 大輔
担当区分:研究分担者
インターネット等によるリモート教育システムは、遊牧民や山岳民等が伝統的な生活を維持しながら高等教育を受けることを可能にするものであり、現地の人々のニーズと期待は大きい。そこで本研究では、モンゴル国立大学との共同により、リモート教育の「モンゴル・モデル」を構想して試行し、その効果と課題について多角的に明らかにする。さらにヒマラヤ、アンデスなど他地域への応用を試み、地域間の比較を行い、地域適合型のリモート教育モデルを構想する。
本研究は、遊牧・山岳・先住民地域等におけるリモート教育のあり方を探求し、地域特性と社会変容に適合し、防災、リスクコミュニケーションなど、レジリエンスの強化にも資するモデルの構築を目的とする。
2022年度は、放送大学とモンゴル国立大学(NUM)の間の大学間包括協定に基づき、奈良がNUMを訪問し副学長らと協議を行い、稲村と現地協力者のバトトルガ教授による調査でこの数年間の進展状況を把握した。NUMでは、moodleによるオンライン授業(2科目)の試行を行い、100人程度が参加したが、徐々に減少し最終的には少数のみが修了できた。課題が大きいことが判明したが、一方でリモート教育の意義を確認し、新たなシステムの開発を始めたところである。また、石井が、北西部遠隔地域のフブスグル県で、リモート教育のニーズの調査を実施した。コロナ禍により教育現場ではPCや通信環境が急速に整ったが、PCやWiFiがない家庭(特に遊牧民)は多くオンライン授業に参加できないなどの課題がある。しかし、総じてリモート教育の利点、可能性への期待が高いことが確認できた。
小貫は、これまでに、(在日ブラジル人児童の教育に携わる)在日ブラジル人の教師養成のためのリモート教育プログラムをマトグロッソ大学と東海大学との間で実践した経験がある。その経験をふまえて、2022年度は、在日ブラジル人の教育等に関するニーズや可能性を探った。小貫の専門であるセクシュアリティやジェンダーに関する教育の必要性は高く、そのための実践の仕組みについて検討を重ねた。
ブータンに関しても、放送大学とブータン王立大学との間で交わした大学間協定に基づきCOVID-19パンデミック前に進めていたGNHをコンテンツとしたリモート教育プログラムについての再開を決め、今後の実施体制を整えた。
さらに、今後の研究の展開のため、ニュージーランド先住民の調査も実施した。
COVID=19パンデミックの状況が落ち着きを見せるなかで、2022年度は現地調査が可能となったため、モンゴル国立大学(NUM)と連携した実践的活動を推進できた。それによって、NUMおよび現地社会の現状把握ができ、今後の研究計画の策定が可能となった。具体的には、稲村が2022年9月にモンゴルで調査を行い、奈良が10月に放送大学の交流協定校であるNUMの副学長ら関係者と意見交換を行い、リモート教育とともに、リスクマネジメントに関するコース開発など、両国間での協働を検討することとなった。
本研究プロジェクトは、JICA草の根技術協力事業(パートナー型)「モンゴル・ホブド県における地球環境変動に伴う大規模自然災害への防災啓発プロジェクト」(代表:鈴木康弘名古屋大学・減災連携研究センター教授)とも連携しているが、パンデミック状況下においては、NUMを通じて、現地(モンゴル西部ホブド市)の市民及びモンゴル非常事態庁ホブド支部との間の活動をオンラインで結んで継続してきた。また、オンラインと現地訪問により、市のバグ(地区)長、ソーシャルワーカーらを中心に進めてきた市民主体の防災ワークショップや、児童たちによる「防災カルタ」の制作と大会を推進してきた。その過程で、NUMの付属スタジオを活用し、防災にかかわる映像コンテンツの制作・編集作業も行った。こうした実践も、本研究プロジェクトの進展と連動し、研究と実践の幅と意義を拡大してきた。
ブラジルに関しては、在日ブラジル人に向けた、セクシュアティティやジェンダーの教育のオンライン講座の「実証研究」を目指し、そのコンテンツの研究を進めた。この分野は、災害と並んで、(より見えにくい)在日外国人の「社会的な脆弱性」の重要課題である。多文化共生にとっても重要であり、その比較文化的な研究実践は、ブラジルにとっても、日本の社会にとっても、大きな貢献となりうる。
本研究プロジェクトの初年度は、COVID-19パンデミックのため現地調査ができなかった。しかし、その間パンデミックの影響により、モンゴル国立大学(NUM)におけるリモート教育への関心が大きく高まり、組織化がすすめられた。2022年度には、短期間ながらモンゴルでの現地調査を実施し、その進展の状況が明らかになった。具体的には、教員育成を目的とする「教育センター」が、2018年から「教員発展・リモート教育センター」、さらに、2023年から「教員発展・学習支援センター」として再構築された。その背景に、リモート教育の本格的導入、そのシステム化と教員のスキル向上などの意図がある。以前は、教員たちによる自発的な講義のビデオ化という試みが小規模に行われていたが、2020年4月から遠隔教育(通信教育)規則が策定され、2021年度にリモート教育・講座作成・運営に関するガイドブックが作成され、オンライン教育のシステム化が始まった。
こうした流れは、本研究プロジェクトの計画の当初の想定超えるものであり、同時に、プロジェクトの先見性と意義拡大を示すものである。そこで、今後は、現地協力者のバトトルガ教授と共に、センター長のオトゴンツェツェク氏と連携し、課題の分析と改善策、モンゴルに相応しいリモート教育コンテンツ制作とシステム化を構想する。
ブラジルにおいては、マトグロッソ連邦大学などを訪問し、遠隔教育の現状、および、ブラジルと日本とが共同で運営する、セクシュアリティとジェンダーのリモート教育講座の構築の可能性を中心に、調査を推進していく。
ブータンにおいては、COVID-19流行以前に進めていた、GNH(国民総幸福量)を主題としたコンテンツの制作とリモート教育の推進に向けた研究実践を再開する。また、ネパールなどの他地域におけるリモート教育の現状などについても、調査研究を進めていく。 -
ウランバートルの総合的地震危険度評価とモンゴルの広域活断層図作成
研究課題/研究課題番号:21H04374 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
鈴木 康弘, 渡辺 満久, 後藤 秀昭, 藤原 広行, 森川 信之, 先名 重樹, 岩城 麻子, 前田 宜浩, 奈良 由美子, 中田 高, 岩佐 佳哉
担当区分:研究代表者
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
モンゴルでは近年、地震活動が活発化し、首都ウランバートルで地震防災への関心が高まっている。本研究は、2018年に新たに確認されたウランバートル断層(UBF)について地震ハザード評価を行うとともに、周辺の活断層の影響評価と強震動予測を実施して総合的な地震危険度評価を目指す。また適切な地震防災啓発の手法開発にも取り組む。さらに変動地形学的手法によりモンゴルの広域活断層分布図を作成して、応力場やテクトニクスの議論や広域的なハザード評価に貢献する。モンゴル非常事態庁(NEMA)、科学アカデミー地球物理学研究所(IAG)、地理学研究所等(IGG)、モンゴル国立大学(MUIS)等と共同で実施する。
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熊本地震から学ぶ活断層ハザードと防災教育-活断層防災学の構築を目指して
研究課題/研究課題番号:18H03601 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
鈴木 康弘, 渡辺 満久, 後藤 秀昭, 竹内 裕希子, 隈元 崇, 熊原 康博, 森川 信之, 中村 洋光, 奈良 由美子, 藤原 広行, 須貝 俊彦, 先名 重樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:44200000円 ( 直接経費:34000000円 、 間接経費:10200000円 )
2016年熊本地震の発生とそれに伴う強震動の発生の双方について、事前予測可能性を検証した。日本政府は地震直後に両方とも予測可能であったとし、その周知が足らなかったことが被害軽減を妨げた要因だったと分析しているが、その妥当性には疑問があり再検証の必要がある。本研究の結果は1995年以降進めてきた日本の活断層地震対策の妥当性の検証と、今後の防災対策の軌道修正の必要性の検討につながる。
本研究の結果、2016年熊本地震は事前の予測を超える複雑な現象であったこと、布田川断層のスリップレートや活動履歴に関する事前情報には誤りがあり、「地震発生可能性がやや高い」とした事前の予測は十分な確度を有していなかったこと、強震動予測についても地震断層近傍の被害集中を説明できるモデルになっていないことが判明した。新たな地震発生予測モデルと強震動予測モデルの構築が望まれる。 -
モンゴル・ホブド県における地球環境変動に伴う大規模自然災害への防災啓発プロジェクト
2017年10月 - 2022年9月
鈴木康弘, スヘー バトトルガ
資金種別:競争的資金
ホブド県において、非常事態局・県庁・大学が連携する体制を構築し、地域特性に見合う防災教材を開発し、ワークショップを通じて地域リーダーに対する災害・防災教育を実施する。さらに地域リーダーが住民へ防災啓発できるようにすることで、住民全体の防災力向上を図る。教育コンテンツはインターネットベースで提供できるようにし、非常事態庁がこれをプロトタイプとして全国展開できるようにする。
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ウランバートルの地震ハザード-活断層認定問題と1976年モゴド地震の再評価-
2016年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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ウランバートルの地震ハザード-活断層認定問題と1967年モゴド地震の再評価-
研究課題/研究課題番号:16H05645 2016年4月 - 2020年3月
鈴木 康弘
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
本研究の目的は、(1)活断層調査、(2)地震災害聞き取り調査、(3)地震防災に関するtrans-disciplinaryな研究の実施にある。モンゴルでは地震発生の頻度が低いために地震現象の解明と地震防災の推進が課題となっている。本研究はモンゴル科学アカデミーとモンゴル非常事態庁、ならびにモンゴル国立大学等と連携してこの問題に取り組んだ。ウランバートル近郊の活断層に関する共同調査を実施した。活断層発見に関する第一報は国際学術誌に投稿するとともに、2019年9月にウランバートルで行われた国際会議においても発表した。
モンゴル国立大学と科学技術大学から若手研究者が参加し、次年度以降も調査を継続する体制が整備された。またモンゴルのホブド県を対象に実施中のJICAの防災啓発事業とも連携し、ワークショップや防災教育コンテンツの作成を通じて活断層による地震防災啓発に努め、目的(3)の成果を挙げた。また対象地域をホブドに拡大して災害に関する聴き取り調査とその様子の映像収録を実施した。モンゴルの活断層と地震防災に関する検討は今後も継続的に進める必要がある。新たなプロジェクトを立案しJSPSの二国間共同事業(共同研究)の道を拓いた。 -
ウランバートルの地震ハザード-活断層認定問題と1976年モゴド地震の再評価-
2016年4月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
資金種別:競争的資金
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ハザードマップにおける災害予測および避難情報伝達の機能向上に資する地理学的研究
2015年4月 - 現在
科学研究費補助金 基盤研究(B)
鈴木康弘
担当区分:研究代表者
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ハザードマップにおける災害予測および避難情報伝達の機能向上に資する地理学的研究
研究課題/研究課題番号:15H02959 2015年4月 - 2018年3月
鈴木 康弘
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
ハザードマップは最近20年間に急速に整備されたが、2011年東日本大震災以降、大規模災害が起きるたびに問題が露呈している。具体的な問題としては、①災害種ごとに定義や概念が異なる、②「災害予測」と「避難情報提供」の機能が融合できていない、③情報の空間解像度が不足し土地条件に対応しない、④計算結果に偏重し予測の不確実性が考慮できない、⑤境界線が明快に示せない、などがある。本研究では、1)ハザードマップの体系的整理、2)災害予測地図の高度化、3)緊急情報提供機能の高度化、4)防災地理教育への展開について検討し、今後の我が国のハザードマップ整備の総合的なあり方について地理学の立場から提言した。
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ハザードマップにおける災害予測および避難情報伝達の機能向上に資する地理学的研究
2015年4月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木康弘
資金種別:競争的資金
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東日本大震災の災害地理学的検証-「想定外」回避のためのハザード評価手法の再検討-
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究代表者
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高解像度DEMステレオ計測システムの開発と活断層・変動地形研究への応用
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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活断層の地表変位予測に関する変動地形学的研究
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
鈴木康弘
担当区分:研究代表者
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米国公文書館所蔵の米軍撮影空中写真による東南海地震等終戦前後の災害検証手法開発
2007年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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モンゴルのプレート内最大級地震断層と活断層に関する変動地形学的研究
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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空間地理情報の最適利用に基づく「リアリティのあるハザードマップ」の開発
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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高精度航測データを基盤にした「活断層GIS」モデルの試作
2004年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金
鈴木 康弘
担当区分:研究代表者