科研費 - 山本 宏昭
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研究課題/研究課題番号:19K03912 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山本 宏昭
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究の目的は星形成の母体となる水素分子雲の形成条件、および水素分子形成率を明らかにすること、また低密度分子雲の分布・性質を明らかにすることである。これを達成するために、金星探査機「あかつき」や小惑星探査機「はやぶさ2」と通信を行っている臼田64m鏡のLバンド(1-2GHz)帯の高感度化を通して、高銀緯領域でヒドロキシラジカル輝線の観測を実施する。取得されるデータ、及び既存の一酸化炭素分子輝線、中性水素原子、低温ダストのデータを比較し目的を達成する。本研究は日本のLバンド帯の研究を普及・促進させ、SKA等の次世代観測装置への架け橋、ガンマ線との比較研究、分子雲自体の研究の発展に寄与する。
昨年度に取得したデータの解析を引き続き実施し、K5/VSSP、K5/VSSP32系とADS3000+系の2種類の相関器で同時に取得したデータで同じスペクトルが取得できたことを確認した1612、1665、1667、1720MHzの4輝線、両円偏波の計8輝線の同時観測を考慮した際、ADS3000+の方がK5/VSSP系よりもサンプル周波数を広くとれるため、より広い速度範囲をカバーできることを実証した。L帯におけるADS3000+を用いた分光観測は今回が初の試みであり、今後の観測において、使用できることを確認した。また、NGC2023方向のADS3000+で取得したデータについて、1665MHzと1667MHzのOH輝線について、取得した左右円偏波のデータを使って、ゼーマン効果の解析を行い、2.5σで17μGの磁場強度の見積もりに成功した。完全に十分なS/Nとは言えないが、ゼーマン効果を用いた磁場測定の道筋をつける重要な結果を得た。
10月に高銀緯分子雲の観測を行い、解析を実行中である。
システムの感度改善に向けて、Low noise factory社の冷却アンプとバイアス電圧をかけるための基板等を購入し、バイアス回路の製作にとりかかっている。また、受信機搭載に向けた、導波管回路の設計を行っている。研究協力者により、受信機を搭載予定のクライオスタット、冷凍機を臼田宇宙空間観測所に移送し、受信機搭載に向けて準備を行っている。最終年度に搭載し、感度向上を目指す。
これまでの成果を3月に行われた日本天文学会春季年会にて報告した。講演の聴講者との議論で有益な情報を得ることができた。
コロナウイルス蔓延に伴い、臼田宇宙空間観測所への出張が年間を通して難しい状況であった。観測・データ解析は順調に進んだが、現場での作業・確認ができなかったため、新受信機システムの開発に遅れをとった。
現状システム雑音温度が75K程度であるが、購入した冷却アンプが常温時でも20K程度と性能が比較的よいため、同軸導波管変換直後に取り付けることで、まずはシステム雑音温度の改善を図る。並行してクライオスタットの改修作業を行い、冷却アンプが搭載して、高感度化を達成する。天体観測も同時並行で実行し、分子雲形成の議論を行う。 -
研究課題/研究課題番号:21253003 2009年 - 2011年
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
福井 康雄, 大西 利和, 山本 宏昭
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
「なんてん」銀河面サーベイのデータを詳細に解析し、計11個のジェット分子雲候補天体を発見した。このうちの1つは銀河系中心の大質量ブラックホールに付随し、過去にジェットを放出するような活動期があったことを初めて示すものである。また一酸化炭素分子(CO)の多輝線観測を候補天体に実施、特に348. 5度方向では分子雲内部の温度・密度分布を明らかにした。さらに磁気流体数値計算を共同研究で実施し、ジェットの周囲で高密度領域を形成することができることを示した。
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研究課題/研究課題番号:22740119 2010年 - 2012年
科学研究費助成事業 若手研究(B)
山本 宏昭
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
NANTEN2 望遠鏡を用いて複数の超新星残骸全体に対して^12CO(J=1-0, 2-1)、^13CO(J=1-0)輝線のスキャン観測を実施し、付随する分子雲の全貌を明らかにした。また、水素原子雲のデータも活用することにより、全星間陽子の分布を明らかにし、ガンマ線との比較を通して、ガンマ線放射の陽子起源説を指示する結果を得た。さらに宇宙線陽子のエネルギーが超新星残骸のエネルギーの 0.1-1%程度であることを明らかにした。
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電波・赤外線観測による最も進化段階の早い星形成過程の観測的研究
研究課題/研究課題番号:23403001 2011年4月 - 2014年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
河村 晶子, 大西 利和, 山本 宏昭
担当区分:研究分担者
NANTEN2ミリ波サブミリ波望遠鏡及びオーストラリアMopraミリ波望遠鏡を用いて、銀河系円盤部、近傍分子雲、大マゼラン雲等の観測を進めるとともに、なんてんによる100GHz帯の銀河系分子雲の詳細な解析を行い、分子ガスの詳細分布を調べた。また、プランク衛星、ハーシェル赤外線望遠鏡による100ミクロンから500ミクロンで得られた、星間ダストの分布を調べ、原子、分子ガスとの比較を進め、さらに既存のあかり、スピッツァー天文衛星による点源カタログを合わせ、若い進化段階にある星のカタログ化を行った。これらを用いて分子ガス、星間ダスト、そして星形成活動について比較研究を行った。
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研究課題/研究課題番号:24224005 2012年5月 - 2016年3月
名古屋大学 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
福井 康雄, 山本 宏昭, 佐野 栄俊, 早川 貴敬, 奥田 武志, 田島 宏康
担当区分:研究分担者
本申請研究は、ガンマ線超新星残骸 (SNR) に付随する星間分子 (CO) と原子 (HI) を定量し、宇宙線陽子起源ガンマ線放射を特定することを目的とする。当該年度は、マゼラン雲と北天の SNR およびその複合体に付随する CO と HI の精密定量を行なった。
大マゼラン雲の SNR 複合体 30 Dor C は、シンクロトロンX線やTeVガンマ線で明るく輝くため、10 TeVを超える高いエネルギーまでの宇宙線加速を探るうえで適している。オーストラリアのMopra 電波望遠鏡を用いた CO 観測と、ATCA 電波干渉計によるHI公開データを組み合わせることで、30 Dor C に付随する星間ガスを特定した。興味深いことに、北西部の高密度分子雲方向でシンクロトロンX線の増光が確認された。これは、銀河系内の SNR RX J1713 他で見られている、衝撃波―星間ガス相互作用の描像と酷似している。ガンマ線の放射方向とも矛盾はないため、有望な宇宙線陽子加速源を特定したといえる。
JCMT 望遠鏡による CO 公開データを解析し、北天のガンマ線 SNR 3C 391 に付随する星間ガスを特定した。視線速度 15 km/s に渡るウイング成分がみられていることから、衝撃波と強く相互作用した星間ガス (shocked-gas) とみられる。今後、野辺山45-m電波望遠鏡を用いて異なる励起状態の CO を観測し、shocked-gas の物理量を精査することで、宇宙線陽子起源ガンマ線の特定を目指す。
なお本研究は、同じ研究代表者の特別推進研究「星間水素の精密定量による新たな星間物質像の構築」が採択となったため、本研究計画は特別推進研究の内容に含まれ、引き続き推進していく予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
27年度が最終年度であるため、記入しない。 -
研究課題/研究課題番号:25287035 2013年4月 - 2016年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
山本 宏昭, 福井 康雄, 桑原 利尚, 佐野 栄俊
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:19240000円 ( 直接経費:14800000円 、 間接経費:4440000円 )
高銀緯領域(太陽系近傍領域)において、Planck衛星とIRAS衛星のデータから導出された低温ダストの光学的厚み及びダスト温度のパラメータと水素原子(HI)ガス、CO輝線強度のデータを比較した。この比較研究の結果から光学的に厚いHIガスが従来考えられていたよりも多量に存在し、MBM53,54,55などで分子雲の周囲にも広がって分布していることを明らかにした。このHIガスの光学的厚みは1-2程度、スピン温度は30K程度が多くの割合を占めている。近年注目されている原子、分子輝線では直接トレースできないDark gasはHIガスが光学的に厚いということを考慮することで説明可能であることを示した。
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研究課題/研究課題番号:15H05694 2015年 - 2019年
科学研究費助成事業 特別推進研究
福井 康雄, 立原 研悟, 山本 宏昭, 佐野 栄俊, 小川 英夫, 鳥居 和史, 早川 貴敬, 水野 恒史, 竹内 努, 谷口 義明, 渡部 直樹, 井上 剛志
担当区分:研究分担者
星間水素の挙動を詳細に解析し、新たな星間物質像を構築し、銀河進化研究に新局面を拓く成果をあげた。主な観測・理論解析の成果は以下にまとめられる。1)星間水素原子は粒状に分布する低温相と広く分布する高温相とからなる。低温相は水素分子雲を形成し分子雲への転移を担う。2)水素分子の紫外線観測が不可能であるために、分子雲形成を直接観測することはできないが、理論モデルとの比較によって兆候を抑え、形成途上の星間雲を特定した。3)COとCI(中性炭素原子)の比較観測が中性水素全体の挙動の解明に有効であることを示した。4)水素を定量する新手法を開発し、精度良く水素原子柱密度を導出した。この際、γ線、ダスト放射との比較を併用し、ダストが水素ガス密度によって成長していることを見出した。5)4)と並行して、星間雲中の重元素量の高精度定量を可能にし、銀河系をとりまく高中速度雲の多くが10%程度の低重元素を持つことを明らかにした。6)マゼラン雲、M33、アンテナ銀河等において、大規模星団形成が水素原子雲および分子雲同士の衝突によって形成されていることを発見した。さらに、7)超新星残骸RXJ1713.7-3946において新たなガンマ線解析を行い、陽子起源ガンマ線の存在を立証した。8)広域分子雲観測装置NASCOの開発を行い、所期の性能を実証して広域観測の基盤を確立した。
星間水素は宇宙を構成する最も基本的な物質のひとつであり、その物理的理解は重要である。本研究は、従来にない視点から星間水素の存在形態、物理的化学的性質、ダスト進化、重元素の定量、球状星団の起源、さらに超新星残骸における宇宙線加速の実証という基本問題を、次々に解明して画期的な成果をあげた。その学術的意義は極めて高い。 -
なんてん望遠鏡の観測データを用いた巨大分子雲の統計的研究
研究課題/研究課題番号:04J05701 2004年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 特別研究員奨励費
山本宏昭
配分額:1900000円 ( 直接経費:1900000円 )