科研費 - 小沢 浩
-
評価軸の多元化と確率評価を用いた企業行動モデルの転換と管理会計技法の再生
研究課題/研究課題番号:23K01668 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小沢 浩
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
通常の「業績評価」は、一つの目標を与え、その達成水準を評価します。しかし、実際には、複数の目標を同時に追求することが求められることがあります。本研究は、複数目標を同時に満足させる解を導出するための意思決定プロセスを示します。また、業績評価には、達成水準を評価する方法と、達成確率を評価する方法があります。達成確率の評価は、一般には軽視されがちですが、複数目標を追求するときには、達成確率を評価する方法が不可欠です。また、達成確率の評価では、達成基準の設定が、被評価者(行為者)のリスク態度に影響を及ぼすと考え枯れます。本研究では、これらの検証を通じて、新しい管理会計技法を開発しようとしています。
-
研究課題/研究課題番号:21K01699 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高岡 伸行, 小沢 浩, 吉田 高文, 原田 裕治
担当区分:研究分担者
本研究はSRB(social responsible businesses)と同規模同業種の一般企業のビジネス・エコシステム(BES)の組織化パターンの比較分析から,持続可能な経営行動の特徴とその再現方法を検討する。事業・戦略コンテクストの編成に該当する,多様な諸ステークホルダーとの連携から構成されるBESの組織化メカニズムとそのコスト負担構造並びにそれらへの資本構成特性の影響を実証的に分析する枠組みを整理する。中でも持続可能なBES編成の実現性と実効性を担保する鍵要素として「資本コストの寄付効果」の影響や作用の特定に注目する。
-
パターン認識技術を用いて財務データから企業の定性的属性を読み取る技法の開発
研究課題/研究課題番号:20K20755 2020年7月 - 2023年3月
科学研究費補助金 挑戦的研究(萌芽)
小沢 浩
担当区分:研究代表者
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
本研究は、財務諸表の数値や経営分析の指標は、業種ごとに違いがあって単純には比較できないと言われています。もし、そうであれば、逆に、財務諸表を見れば、その企業の業種や戦略が判別できるかもしれません。しかし、そのような試みはこれまで行われてきませんでした。そこで、財務諸表の数値から、業種や戦略などの企業の定性的な属性を読み取る方法を開発しようというのが本研究の目的です。そのために、MTシステムという、品質工学で用いられるパターン認識の技法を使います。まずは、財務諸表から、その企業の業種を特定する方法に挑戦します。その後、戦略や経営健全性なども判定できるように発展させます。
-
今日的課題に対応する原価企画のあり方に関する研究
研究課題/研究課題番号:20H01556 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
小沢 浩
製品の設計段階で原価の低減を図る原価企画とよばれる活動に関する研究は1990年代に多く行われて豊富な蓄積がある。それから30年を経た現在、企業はグローバル化、環境問題への対応、製造業のサービス化など、新しい状況に直面している。こうした新しい経営環境において、原価企画への取り組みがどのように変化しているのかを調査する。
-
原価企画とイノベーションの関係に関する学際的研究
研究課題/研究課題番号:19H01548 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金
梶原 武久
担当区分:研究分担者
本研究は、原価企画とイノベーションの関係について、フィールドスタディと実験研究を行うことで、理論的・実証的に解明することを目指す。フィールドスタディから得られた知見と実験研究から得られた知見を有機的に関連づけことで、原価企画とイノベーションの間の複雑な因果関係の解明を試みる。
第1に、自動車メーカーを対象としたフィールドスタディに基づき、近年、自動車メーカーが積極的に取り組んでいるモジュラー型製品開発が、原価企画、コスト・マネジメント、組織間関係に及ぼす影響について検討を行った。分析の結果、モジュラー型製品開発の採用により、個々の製品開発プロジェクトを対象とする原価企画の限界が明らかになり、コスト・マネジメントや組織間関係に新しいアプローチが求められることが明らかになった。
第2に、上記のフィールドスタディを通じて明かとなったことを定量的に分析するための準備作業として、自動車部品に関するデータベースの構築の作業と質問票調査の設計を進めた。次年度以降、本データベースと自動車部品メーカーを対象としたサーベイ調査を統合することによって定量的分析を行うための基礎的作業を行うことができた。
第3に、原価企画が個人やグループの創造性や協力行動に及ぼす影響に関する実験研究について、経済学と心理学の先行研究に基づき理論的な検討を行った。また、現実に即した実験計画を行うため、鉄道車両、バイク、大規模建築などの開発エンジニアやコスト・エンジニアを対象とするフィールドインタビューを実施した。フィールドインタビューの結果、タイトな開発スケジュールや原価目標がエンジニアの創造性を阻害することがあることやコストエンジニアが有するコスト知識が、エンジニアの創造的な問題解決を促進することなどが明らかになった。
1年目の研究実施計画に具体的に記載した事項について、概ね達成することができた。「主要自動車部品255品目の国内における納入マトリックスの現状分析」のデータベース化の作業について、学生雇用を予定していたが人員が十分に集まらず、外部の業者に依頼することになり、外注費が嵩んだ。また、新型コロナウィルス感染の広まりの影響を受けたため、予定した年度分よりも少ない年度分しかデータベース化の作業ができなかった。この点について、若干の遅れがあるが、フィールドスタディ、質問票設計、実験計画が予定以上に進んでいることから、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
第1に、「主要自動車部品255品目の国内における納入マトリックスの現状分析」のデータベース化について、外部の業者を使用しながら作業を継続する。データベース化が完了次第速やかにメンバー間で共有し、分析を進める。
第2に、実験研究について、共同研究者である南洋理工大学(シンガポール)のHuaxiang Yin教授の支援が不可欠である。実験用タスクの設計や論文の作成のために、南洋理工大学を訪問することで、実験研究を推し進める。
第3に、自動車部品メーカーを対象としたサーベイ調査を2020年度中に実施したいと考えているが、新型コロナウィルス感染の拡がりのため調査のタイミングを上手く見極める必要がある。状況を見ながら、2021年度への延期も視野に柔軟に対応したい。 -
アライアンス能力構築に向けた合弁経験の活用の分析
研究課題/研究課題番号:18K01817 2018年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金
趙 偉
担当区分:研究分担者
本研究は4ケ年計画で実施され、第2年度に当たる2019年度の研究概要は以下の2点である。
第1に、社会=技術システム論の考え方を用いて、本研究の分析枠組みを構築したことである。具体的には、(1)社会=技術システム論研究における「高い業績を上げるため、作業組織の社会システムと技術システムの最適応化が求められる」という考え方を用いて、国際合弁企業における作業組織という社会システムを分析することの重要性を確認した。また、 (2)国際合弁企業における知識移転のメカニズムの分析である。国際合弁企業では、知識移転において、親会社からもたらされる社会システムへの適合と不適合が生じる。社会-技術システム論の考え方に従えば、社会システム要因が、国際合弁企業に導入された技術システムに適応できていないという問題を見出すことができる。そのため、どのような社会システムが作業組織に定着することで、技術システムに適応するのかというパターンを抽出することを行った。その研究成果を国内学会で報告した。
第2に、昨年度に引き続き、国際合弁企業に関する先行研究の整理・分析を行ったことである。今年度は、(1)知識移転に関する先行研究、(2)NUMMIに関する研究を経時的に整理した。NUMMIに関する先行研究を、①ハイブリッドアプローチ、②技術移転戦略アプローチ、③知識創造アプローチ、④組織文化論アプローチという,4つに類型化し分析を行った。(3)先行研究で示されたのは、(a)単一組織から単一組織への知識移転の場合、本社の経営システムの中で、どのような知識を、どのように移転するのかというメカニズムに焦点を当てていること,(b)国際合弁企業における技術移転の場合、競争力を高めるために、いわゆる技術移転だけではなく、企業文化にも焦点を当てていることであった。これらの先行研究の整理と事例分析を学術論文として投稿した。
おおむね順調に進展していると評価する理由は、以下の3点である。
第1に、社会=技術システム論の考え方を用いて,分析枠組みを構築できたことである。その結果、(1)国際合弁における知識移転のメカニズム(社会システムと技術システムの適合)について分析することができた。その研究成果を国内学会で発表することができた。(2)知識移転に関する先行研究、およびNUMMIという国際合弁に関する先行研究を、経時的に整理して分析することができた。また、社会システム形成プロセス、およびその重要性を指摘し、学術論文として投稿することができた。第2に、NUMMIという国際合弁企業の事例分析を行うことで、合弁経験をという現象を、技術システム(生産方式、品質管理、原価管理など)と社会システム(組織文化、人間関係、労使交渉など)の2つの側面から分析ができたことである。その分析結果を、研究成果として発表できたことである。第3に、NUMMIの事例を考察した結果、トヨタがNUMMI以外の北米進出は、「UAWを避けている理由として、UAWへの対応のような社会システム要素への適応が難しいことをあげることができる」、という考えに至った。今後は,この観点から、事例分析などを実施する予定である。
本研究課題の今後の推進方策は、以下の3点である。
第1に、NUMMIという国際合弁企業の25年史を整理し、合弁経験から抽出されたアライアンス能力を経営学史としてまとめることである。また、これらの研究成果については、学会報告および学術論文として発表する。第2に、昨年度に引き続き、(1)NUMMI労働協約書の整理・分析,(2)これまで行ってきたNUMMIの経営に携わってきた人達へのインタビュー調査の整理・分析である。その結果として学会報告を行う予定である。第3に、COVID-19の影響で中止された国際学会への参加、報告を行い、国際合弁や知識移転に関する学識経験者との意見交換を行う。NUMMIという国際合弁事例の普遍性を抽出し、知識移転や社会システムの構築などの研究につなげていく予定である。 -
原価企画能力の研究:技術情報の蓄積と処理に注目した技術者視点からのアプローチ
研究課題/研究課題番号:17K04048 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金
小沢 浩
担当区分:研究代表者
配分額:2600000円 ( 直接経費:2000000円 、 間接経費:600000円 )
本研究の成果は、2つある。1つは、原価企画において、設計段階で見積もられた原価と実際に発生した原価の間に違いが生じる2つの原因を明らかにしたことである。過去の経験から蓄積されたデータの外挿によって将来の原価を予測する時に生じる「外挿による錯誤」と、限定的な条件の下でしか要求された品質が確保されない部品を使う場合に、環境のばらつきによって、製品が品質を満たせなくなる「品質設計の脆弱さ」である。もう1つは、多目標を与えられた状況で、エンジニアが設計解を導出するときの思考方法を示したことである。多次元の目標に、新しい変数を加えることによって、関数を変化させ、設計解の存在確率を高めることができる。
本研究は、原価企画という、製品開発段階において原価低減を図る取り組みを対象としている。これまで、製品開発のマネジメントについては、組織やルールづくりに焦点が当てられてきたが、本研究は、開発プロセスにおける技術者の思考パターンに焦点を当てた。それによって、開発時の原価見積を誤る仕組みと、原価以外の多様な目標が与えられている中で、全ての目標を満足させる設計解を導きだす仕組みを示すことができた。 -
CSRアプローチの企業利益最大化の戦略的意思決定パターンとそのメカニズム
研究課題/研究課題番号:16K03808 2016年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金
高岡 伸行
担当区分:研究分担者
本研究は社会的責任ビジネスの経営行動のメカニズムとそれを主導する意思決定原理の探究を課題としている。従来CSRは経済的利益と矛盾すると捉えられてきた。その矛盾を克服し,両者の橋架を,CSRを考慮・実践する企業利益最大化を図る株式会社形態企業における経営行動と捉えている。
こうした理解を,新古典派経済学の企業観、それを前提とした経営戦略論の諸枠組みに基づく利益最大化の経営行動の論理との比較から,展開し,社会的責任ビジネスの経営行動の特性を浮き彫りにしている。
本研究は社会的責任ビジネスという捉え方の構築に際して,企業論,戦略論,そしてビジネス・モデルの考察を中心とした経営管理論と関連づけCSR論を再考している。それによって経営学研究におけるCSR論の体系的な系譜づけの枠組み整理に寄与した点が本研究の学術的意義と考える。
その過程において営利・非営利ハイブリッド型法人制度を含め,ベネフィット・コーポレーションやソーシャル・ビジネス等,社会的責任ビジネスの制度設計の検討を行っている。新たな法人形態のみならず,株式会社形態の企業による社会的責任ビジネス展開の制度上の改善点の示唆は社会貢献型の事業体の設計や実践の議論に対する本研究の貢献になり得ると考える。 -
原価企画における原価作りこみエラーの発生メカニズムと解決方法に関する研究
2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
梶原武久
商品企画や製品開発段階においてライフサイクルコストを作り込む活動である原価企画について、近年、原価を効果的に作り込むことができないという問題が実務において頻発している。本研究では、原価作り込みエラーの発生状況を記述した上で、その発生メカニズムと解決方法を明らかにする。
-
原価企画における原価作りこみエラーの発生メカニズムと解決方法 に関する研究
研究課題/研究課題番号:16H03680 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金
梶原 武久
担当区分:研究分担者
製品開発段階のコスト・マネジメント手法である原価企画に関して、目標原価を達成できない、開発段階での原価見積もりが製造段階での原価と大きく乖離する、あるいは製造段階で原価が変動するなどの現象を原価作りこみエラーと名付け、その原因と解決方法を明らかにした。本研究では、モジュラー型製品開発が原価作りこみエラーを軽減するための有効な解決策となること、その実現に原価企画や組織間コスト・マネジメントの刷新が求められること、その際、原価担当者のコスト知識が重要な役割を果たすことを明らかにしている。
日本企業の競争優位の源泉となってきた原価企画について、それを学術的に研究し、国際発信することが日本人研究者に求められている。ただし、既存研究の多くは、原価企画の実務の記述に終始しており、学術研究としての深化や国際発信が遅れている。本研究は、経済学や心理学など社会科学の基礎理論をベースに、原価企画が抱える課題やその解決法を解明するものであり、国際的にも大きな学術的な意義を有するものである。加えて、原価企画の実践に関して実務が抱える喫緊の課題にフォーカスしており、多くの実践的示唆を提供している。 -
生産形態と行動規範・業績評価法の適合に関する研究:工学と会計学の融合に向けて
2009年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
小沢 浩
担当区分:研究代表者
ライン生産やセル生産など,生産形態が異なると,それに合わせて作業者の働き方も変わらなければならない。そして,作業者の働き方は業績の評価方法に大きく影響される。そこで,生産形態と,作業者に求められる行動規範,それを導く業績評価法の関係を明らかにしようとする。
-
ライン=セルの生産形態決定モデルの定量化と生産形態の移行に関する事例研究
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
小沢 浩
担当区分:研究代表者
-
セル生産の実態調査、作業実験および分業論とセル生産の整合的理論化
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
小沢 浩
担当区分:研究代表者