科研費 - 大河内 美紀
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入管行政における裁量統制の原理的・実証的研究―マクリーン事件判決の克服に向けてー
研究課題/研究課題番号:22H00781 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
村上 正直, 大河内 美紀, 安藤 由香里, 北村 泰三, 菅原 真, 曽我部 真裕, 小坂田裕子, 根岸 陽太
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、日本の入管行政における外国人の権利が、マクリーン判決を契機として、著しく制約されている現状を、国際法学と憲法学とによる理論的・実証的共同研究を通じて克服することにある。具体的には、国際法学の立場から、第1に、入管事項自由裁量論が、伝統的国際慣習法上の論理として妥当かどうかを考察し、第2に、国際人権法における出入国管理に関する外国人の権利の内容を明らかにする。憲法学の立場から、第3に、権利性質説の基礎付け及び内容を再検討し、より適切な基礎付けを行い、第4に、入管法に基づく収容関係における基本権保障のあり方を検討する。最後に、以上の国際法学と憲法学の研究成果の融合を行う。
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ポピュリズム時代における民主主義憲法学の再構築に向けた比較憲法学的研究
研究課題/研究課題番号:21H00661 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
本 秀紀, 村田 尚紀, 愛敬 浩二, 大河内 美紀, 斎藤 一久, 植松 健一, 小牧 亮也
担当区分:研究分担者
本研究は、ポピュリズムが立憲民主政に対する重大な脅威として認識されている時代状況の下で、憲法学の主流と目される「リベラリズム憲法学」によっては「ポピュリズムの脅威」を克服することはできないと考え、それに対抗する「民主主義憲法学」の可能性の探究及びその再構築に向けた理論的・実践的問題提起を行う。
その際、ポピュリズムの問題状況に比較憲法学的にアプローチするが、その独自の意義は、①単なる実態分析にとどまらず、各国の法的基本枠組みである憲法を基準に規範的分析をするとともに、②各国の憲法制度、憲法運用、憲法理論との関係でポピュリズムの問題を具体的に考察できることである。 -
司法による憲法解釈の形成において解釈方法論がもたらす作用の複眼的考察
研究課題/研究課題番号:20K01294 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大河内 美紀
担当区分:研究代表者
配分額:2210000円 ( 直接経費:1700000円 、 間接経費:510000円 )
本研究は、1990年代以降の合衆国の司法を検討対象として、(1)合衆国連邦最高裁内部において解釈方法論として「2つの原意主義」が存在してきたことを明らかにし、(2)「2つの原意主義」がそれぞれ法廷の内外で異なる影響力を有してきたことを明らかにすることを通じて、(3)連邦最高裁を中心とした合衆国の司法による憲法解釈形成の実態を把握しようとするものである。
連邦最高裁を中心とする、合衆国の違憲審査において「裁判官」と「解釈」の果たす役割を明らかにするため、合衆国の憲法研究者らの著作を検討した。具体的には、Mark Tushnet, Taking Back the Constitution: Activist Judges and the Next Age of American Law (2020);Mark Tushet & Bojan Bugaric, “Power to the People” (2021)などを素材に、タシュネットによる原意主義・テクスト主義批判を分析・検討した。
主要な研究者が近年重要な書籍を刊行しており、まずはその分析・検討を進めている。
研究計画は特に変更を要しない。引き続き、文献研究を進めてゆく。また、判例動向にも変化が観察されるため、必要に応じて判例研究も並行して行なってゆく。 -
多元的・多層的解釈の統合としての「憲法解釈」の基盤構築 国際共著
研究課題/研究課題番号:17K03352 2017年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大河内 美紀
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2080000円 ( 直接経費:1600000円 、 間接経費:480000円 )
アメリカ合衆国においては、憲法解釈をもっぱら司法の作用と見るのではなく、立法・司法・行政の各部門がそれぞれ固有の憲法解釈権を有し、その相互作用によって解釈が形成されると捉えるディパートメンタリズムの立場が提唱されている。日本においても、政府解釈の形で示される政治部門による憲法解釈や世論に示される「国民の憲法意識」が裁判を含む憲法実践に少なからぬ影響を与えていることが観察される。憲法解釈は、裁判のみならず、多元的アクターによる憲法解釈の多層的な積み重ねによって形成されるといえるが、日米においてその形成の状況は異なり、それは各部門の権限や社会的地位の相違に由来すると考えられる。
憲法が現実に果たす機能はその意味内容によって規定され、憲法の意味内容は、解釈(憲法解釈)によってはじめて明らかになる。従来、日本では、憲法解釈はもっぱら司法の作用と捉えられてきた。しかし、政府解釈に代表される政治部門による憲法解釈や世論に示される「国民の憲法意識」も憲法解釈の一種であり、現実の憲法の意味内容は、これら多元的アクターによる憲法解釈が、多層的に積み重なり、相互に影響し合う中で、醸成されている。本研究は、日米比較を通じて、多元的・多層的憲法解釈の実相を明らかにするものである。 -
イスラーム圏における法現象の分析枠組構築に関する学際的研究
研究課題/研究課題番号:16H03538 2016年4月 - 2019年3月
桑原 尚子
担当区分:研究分担者
生殖医療は世界で急速に発展しそのグローバル化が進んでいるが、イスラーム圏では、科学技術の進歩及び宗教倫理と調和した実効性ある規律設計だけでなく、「正しい」イスラーム法解釈も模索されている。イスラーム圏における「法」の基本構造と実践は西欧近代法とは異質であり、これらを理解するためには、法学だけでなく、倫理学、政治学、イスラーム学及び地域研究といった学際的視点を取り入れ、イスラーム圏における法過程の特質を比較法的、経験的かつ学際的に明らかにする必要があることを前提に、本研究では、生殖医療を分析素材として、イスラーム圏における法現象を理解するための分析枠組の構築を試みた。
西洋法からすると最も理解し難い法現象が、イスラーム圏における「法規範」の多元性ないし多元的正義ではないであろうか。かかる多元性は、主として、イスラーム法学者が発する「ファトワー」によって形成されている。生殖補助医療を題材としてイスラーム圏における法規範の多元性を対象とした本研究は、イスラーム圏における法現象を理解する上での一助になるものと思化する。 -
原発事故被害の創造的回復に向けた協働的政策形成に関する学際研究
研究課題/研究課題番号:15H02866 2015年4月 - 2018年3月
下山 憲治
担当区分:連携研究者
福島第一原発事故により生じた問題・課題群の解決に向け、①賠償に関する現状と課題の共有、②責任論と損害論に関する課題・論点の整理、③被害者の実質的権利救済に向けた政策課題の明確化、④被害の創造的回復に向けた制度設計、⑤権利救済から政策形成へ展開するプロセス研究を行った。その結果、原子力損害、電力会社・国の責任、放射性物質による汚染の除染、避難者・滞在者に対する医療、そして、主として避難者に対する住宅支援に焦点を当て、実態把握、問題の抽出を踏まえ、被害・損害の理解の仕方、それに対する責任のあり方、今後の被災者の生活やコミュニティ再建に向けた取り組み等について、多くの解決策や政策の提言をした。
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憲法訴訟においてマイノリティの果たす役割に関する憲法学的考察
2012年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
大河内美紀
担当区分:研究代表者