科研費 - 坂本 將暢
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セキュア環境における共創型授業分析の教育方法学的・教育工学的意義の解明
研究課題/研究課題番号:22K18621 2022年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
坂本 將暢, 柴田 好章, 埜嵜 志保, 柴田 好章, 埜嵜 志保, 柴田 好章, 埜嵜 志保
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究の目的は(1)個人情報保護に配慮したセキュアな授業研究・授業分析環境を構築することと、(2)開発した環境で学校を基盤とする共創型授業分析を実施することである。そこで、本研究では、「セキュア環境構築班」と「共創型授業分析実施班」を構成し、毎年度9月と3月に進捗状況を細かに確認し、残された課題を明確にする。
採択後すぐに授業研究・授業分析のためのサーバを構築し、これまでに蓄積してきた授業記録(文字・映像記録)をアーカイブ化し、同時にVPNやシンクライアント環境を構築する。新たに観察・記録した授業記録を構築したセキュアなサーバに保存しながら、共創的授業分析のテストを行う。 -
「学び続ける教師」の学習生態学:日本の教師はどこで学びえるのか
研究課題/研究課題番号:23K22235 2022年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
河野 麻沙美, 坂本 將暢, 姫野 完治, 荻野 亮吾
担当区分:研究分担者
本研究では、「教師の力量形成につながる学習はどのように保障されるべきか」を問いの軸に日本の
教師が所与の制度,慣習,文化の中でどのように学んでいるのかを明らかにする.そのために,質問紙調査を行い、個々の教師はどのように学んでいるのかを「学習実態」として,学習の文脈とともに明らかにする.また、国内の動向、海外事例との比較を通して、現在の学習環境を整理する
.本研究の射程は、個人と環境の相互作用で生起する「学習」の記述である.実践研究や事例研究を通して、教師の多様な学習生態の記述・分析を加え、「学び続ける教師」に期待される「学習」はどのようにあるべきかを考察する。 -
研究課題/研究課題番号:20H00103 2020年4月 - 2025年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
植田 健男
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
戦後初めて学習指導要領が出された1947年から、その部分改訂となった1951年版に至るまでに確立、確認されていった学習指導要領そのものの意義と内容について、その到達点を改めて明確にする。そこにおいて、最も本質的な意味を託されるかたちで「教育課程」という概念そのものが生み出され、学習指導要領はあくまでもその「基準」にすぎないことが明確に確認されたことについて、改めて歴史的な回顧を行い、併せて、この時期に試行された教育課程づくりの実践やそれにもとづく教育実践についても掘り起こしを行う。
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国境を超えた教育実践学の構築:レッスンスタディにおける東と西アジアの対話を通して
研究課題/研究課題番号:19KK0058 2019年10月 - 2025年3月
科学研究費補助金 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
サルカルアラニ モハメドレザ
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究の目的は、日本型授業研究「Lesson Study」を導入した東アジアと西アジアの対話(ローカルな知見の交流)を通して現代社会における授業実践の質向上の様相とその機能を解明し、国境を超えた「教育実践学」(グローバルな知見の創出)を構築することである。
国際比較という「レンズ」を通して、科学的、工学的、文化的、哲学的に教育実践を問い直し、教育思想の独自性と普遍性を明らかにし、授業実践の質向上の様相とその機能(特に、知識基盤社会におけるよりよい社会の実現への教育実践の使命)と学びの本質(子どもの可能性を最大限引き出す質の高い教育の可能性)を解明する。
本研究の目的は、日本型授業研究「レッスンスタディ(Lesson Study)」を導入した東アジアと西アジアの対話(ローカルな知見の交流)を通して現代社会における授業実践の質向上の様相とその機能を解明し、国境を超えた「教育実践学」(グローバルな知見の創出)を構築することである。すなわち、日本型授業研究「レッスンスタディ」の海外展開の成果・対話を基に、国際比較研究の新たな研究方法論を開発しながら、国境を超えた教育実践学を構築する。そのために研究課題Ⅰとして2019年度では、研究組織・プロジェクトチームを発足し、海外連携先とのネットワークをつくり、キックオフ会議を開催し。
また、研究倫理審査のパス、文献の収集、研究機材・環境などを整備した。
具体的に、日本型授業研究の他国への移転の可能性を確信する際に、それは、単に日本の方法が優れているからというわけではなく、例えばイランにおいては一般的に用いられていなかったテキストとしての授業記録が文化的に異質なものであったからこそ、新たな気づきを教師たちにもたらしたといえる。東アジアと西アジアの対話を通して、イランの文化的社会的背景にあるテキスト解釈と日本からもたらされた授業記録が結びつき授業研究の新しいアプローチが創出することの可能性を見出し、異なる文化のレンズ(ものの見方・考え方)から見ることを軸にした授業研究の学術的課題を明らかにした。
新型コロナウイルス対策の影響により、予定していた国際学会(例:INVITATION AS A KEYNOTE SPEAKER AT 1ST REGIONAL CONFERENCE ON LESSON STUDY AND INVITED SPEAKER FOR THE WORKSHOP, 31st March 2020-2nd April 2020, Malaysia)や海外・国内研究打ち合わせ会などが中止や延期となった。
レッスン・スタディを海外の教育研究者と教師に提案し、授業実施・観察・検討会を開催し、手法の改良と定着をはかる。同一教科・単元の研究授業を各国の学校で計画や実施し、授業・検討会等の記録を収集する(教科は文化の差異を考慮し、比較がしやすい理科・算数/数学を選定する)。各国の教育者の目(レンズ)から授業を検討・分析し、彼らのレンズから他の国の授業の特徴や文化構造などを分析し、自分の国の授業の文化的なコード、すなわち「The DNA of Teaching」を解明し、比較文化論的に再評価する。それらの成果をもとに、個々の国・地域の文化的実践の固有性を考慮して、国境を超えた「教育実践学」を構築する。 -
研究課題/研究課題番号:19H01627 2019年4月 - 2024年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
柴田 好章
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は、教育実践現場を教育学的概念の発見ないしは再発見の場として位置付け、教育学の基礎研究としての授業分析の学術的高度化と国際化を図る。〈納得の学び〉や〈協同の学び〉を一人一人の児童・生徒に保証するために、社会的・文化的・歴史的な要因の相対性と普遍性を明らかにし、教育理念や教育技術の体系的な理論を構築することを目的とする。このために、【A1授業論的課題】【A2研究方法論的課題】【B1研究倫理に適合する標準プロトコル開発】【B2授業分析システムの開発】の4つの課題を設定し、研究代表者が、4名の研究分担者や研究協力者とともに、研究を遂行する。
【A1 授業論的課題】本研究では〈納得の学び〉〈協同の学び〉のような質の高い学びを創造するために、拠りどころとなる授業論の再構築を図ることを目指している。そのために、日本の学校の授業や、今年度はモンゴルの学校の授業を中心に、収集した授業記録(逐語記録・映像記録)をもとに、授業の詳細な事実にもとづいた授業分析を行った。そして、授業諸要因の関連構造を顕在化し、社会的・文化的・歴史的要因の相対性と普遍性を検討した。特に、Society5.0を展望した授業のあり方や、問題解決学習の今日的意義について明らかにした。その成果の一部を、新学習指導要領の動向も研究代表者が中部教育学会のシンポジウムで発表し、同学会紀要などに執筆した。また、研究分担者も関連する論文を名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要に執筆した。
【A2 研究方法論的課題】個別性と一般性を統合するために相対主義的なパラダイムや、授業諸要因の関連構造」の究明や、授業分析のための記述形式として提案されてきた名古屋大学方法学研究室の授業分析の方法(「R.R.方式」や「中間項」を含む)を、教育評価における独自性も視野に入れながら、文献に基づき検討した。また、「オントロジー」を活用した、新たな授業分析方法の開発と適用を試みた。これら成果を、中部教育学会、日本教育方法学会で発表し、名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要の論文2本を執筆した。
【B1 研究倫理に適合する標準プロトコル開発】研究参加者への説明と同意を含む標準プロトコルを開発するための、情報収集と検討を開始した。
【B2 授業分析システムの開発】研究情報の蓄積・配信機能と、授業分析(データ解析)の支援機能を有するシステムの基本設計の検討を開始した。システムに包含される手法の開発を進め、研究分担者が名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要に論文を執筆した。
本研究は、理論的研究課題として2点、開発的研究課題として2点を挙げて研究を進めている。うち、理論的研究課題については、当初の計画をこえて具体的な研究成果を発表することができた。ただし、開発的研究課題については、検討を開始し今後の研究の方向性を見出すとともに、授業分析システムに関する成果の一部は発表した。以上を総合的に判断し、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
新型コロナウイルス感染防止の観点から、海外での研究活動や、学校での授業記録の収集に影響を受けると考えられる。これまで取得した授業記録の分析・再分析によって、これらの著しい研究の停滞をうまないよう工夫して研究を推進する。特に、中間記述言語(中間項)の研究が大きく飛躍できる可能性が見出されている。問題解決学習、納得のある学び、協同のある学びなどの豊かな学びの具体的なありようを、授業における具体的な発言記録から裏付けるための分析方法へと発展できる可能せがある。名古屋大学教育方法学研究室の中間項研究30周年を迎える2020年を一つの区切りとして、研究成果をまとめることに注力する予定である。 -
学校を基盤とする協働型授業研究のための授業構造化システムの開発と評価
研究課題/研究課題番号:19K02998 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
坂本 將暢
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
2019年度から3ヶ年度の計画で、1)授業構造化システムの開発と、2)ソフトウェアの評価を実施する。
具体的には、先行研究の調査、蓄積している授業記録の分析、授業諸要因の解明、授業構造化システムの開発、学校を基盤とする研究の実現を目指した研修に適用したシステムの評価という課題を設定し、それを遂行する。
本研究では、国内の研究者・実践者の協力を得て、本システムの検証を行う。また、Lesson StudyやLesson Analysisに熱心に取り組んでいる海外の研究者・実践者の協力も得て、海外における研修でも本システムが利用できるか否かを検証する。
本研究の目的は、授業構造化システムの開発と、ソフトウェアの評価を実施することである。
2019年度は、web上で稼働可能なシステムの構築(ソフトウェアの開発)に先立ち、Excelの関数とマクロを用いた、単体のプログラムを作成した。授業分析をしている国内外の研究者や学生に、そのプログラムを使用してもらい、授業構造化システムを構築するための手がかりを得た。とくに、授業分析の初心者が多いモンゴルの研究者や学生からは、その方法だけでなく、目的や理念についての理解を得られたことが伝えられた。
また、テキストマイニングの技術を用いて、授業記録を分析した。その結果、語の出現を手がかりに授業を分節にわけることができた。しかしながら、多くのケースを学習して最適解を出す手法では、一回限りの授業では十分な成果が挙げられないことが明らかになった。この点を改善する手法を開発する必要がある。
当初予定の内容の一部は進め方を見直す必要があるが、全体的には順調に進めることができており、二年度目に重点的に授業構造化システムを開発する。
本研究が設定している、1)先行研究の調査、2)蓄積している授業記録の分析、3)授業諸要因の解明、4)授業構造化システムの開発、5)学校を基盤とする研究の実現を目指した研修に適用したシステムの評価のうち、1~3は順調に進んでいる。4も当初どおり進めることができている。ただし、学校教員を対象にした調査は海外のみで、国内の調査が十分には進んでいない。この点を重点的に展開する。
1)先行研究の調査、2)蓄積している授業記録の分析、3)授業諸要因の解明、4)授業構造化システムの開発、5)学校を基盤とする研究の実現を目指した研修に適用したシステムの評価のうち、1~3は継続して展開する。とくに二年度目は4に焦点を当てて推進する。上にも書いた通り、5のうち国内の学校教員を対象にした調査を進める。 -
研究課題/研究課題番号:16K12787 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
柴田 好章
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
板書には、教師による知識の伝達のみならず、社会構成主義的な学習を進める手段としての機能がある。児童・生徒の発言を関連付けながら知識の関連構造を板書として呈示し、共有することによって、教室での集団的な思考が活性化される。その際、教室で議論されていることや、児童・生徒の発言を授業者がまとめ、整理し、関連付けるには、教師としての高い力量が必要とされる。本研究では、小中学校の授業を対象に、1)板書過程を記述・再現する可視化手法と板書記述言語の開発を通して、2)児童・生徒の話し合いを中心とする授業を分析し、3)授業における板書の役割と教師の実践知を解明した。
板書は、日本の教育技術として世界でも注目されている。主体的・対話的で深い学びの重要性が叫ばれる中、子どもの発言を中心とする授業の重要性に改めて注目が集まっている。板書は、単に教師が子どもに伝達したい内容を書き子どもがそれをノートに書き写すだけでなく、子どもたちの発言内容を教師が書き留め、相互の話し合いを活発にさせる役割を有している。こうした質の高い教師の教育技術を対象に研究し、またデータとして蓄積するために、本研究では、板書を保存・再現するための記述言語を開発した。これにより、板書に関する基礎的応用的な研究の発展が期待できるとともに、教師の教育技術・実践知の継承に役立てられる可能性がある。 -
教育工学的な視点に基づく教師教育プログラムの開発-ハンドブックを主教材として-
研究課題/研究課題番号:16K01110 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
木原 俊行
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
『教育工学的な視点に基づく教師教育ハンドブック』(以下,『ハンドブック』)を主教材とする,12の教師教育プログラムを開発した。それには,教員養成(学部),教員養成(大学院),研究者養成(大学院),現職教育,FD活動(教職大学院)に関するものが含まれている。それぞれのプログラムは,『ハンドブック』に掲げられた「変化する社会における教師像の5つの要素」や「今日の教師教育研究と教育工学研究の接点を成す5つのアプローチ」を意識して計画・実践・評価された。それらの記録をまとめた事例集を作成し,『ハンドブック』とともに,Web上で公開した。
教師教育の実践は数多いが,その体系的な枠組みを意識して目標・内容・活動等がデザインされ,実施されているわけではない。本研究プロジェクトでは,『教育工学的な視点に基づく教師教育ハンドブック』を主教材とするプログラムを構想・実践して,教育工学的な視点に基づく教師教育の枠組みに即した,教師教育実践を創造し,記録し,整理した。さらに,その過程と成果及び課題を事例集にまとめてWeb上で公開した。このリソースは,教育工学の研究コミュニティのメンバーが教育工学と教師教育の接点にあたる研究や実践を開拓する際に,そのモデルを提示している。 -
教育実践研究の伝承と創造を支援する授業研究プラットフォームの構築
研究課題/研究課題番号:16H03071 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
姫野 完治
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は、国内外で開発・実践されている授業研究の方法論を調査・類型化し、教師教育において活用可能なプラットフォームとして構築することを目的とする。具体的には、4つの研究課題を遂行した。①授業研究の方法論の類型化、②授業研究の方法論および授業実践のアーカイブ化、③複数尺度による授業研究、④授業研究プラットフォームの構築である。上述の目的のもと、ことばとかたり、ふるまい、みえ、授業づくり、わざの伝承の5つの視点で授業研究について調査・研究した。その成果について、学会や論文として発表を行うとともに、科研代表者及び分担者が中心となって著書『教師のわざを科学する』を発刊した。
教師の成長にとって授業研究や省察が重要な鍵となるが、昨今は授業研究の方法論が矮小化され、またそれ自体が継承されにくい状況にあった。本研究は、これまでに開発・推進されてきた授業研究や授業実践の知見をアーカイブ化するとともに、教員養成や現職教育で活用可能な授業研究プラットフォームを構築し、「省察的実践家」や「研究者としての教師」の高度化に寄与しようとするものであり、そこに学術的な特色と独自性があると考える。 -
研究課題/研究課題番号:15H03477 2015年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
サルカルアラニ モハメドレザ
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究の目的は、国際比較授業分析の方法を開発しながら、グローバルな現代社会におけるペダゴジーの文化的基底の様相とその機能を解明することであった。各国のペダゴジーにおけるローカル知・理論とグローバル知・理論の検討・比較の結果を基に、学習デザイン、授業観、教授法、教師観、教授技術などを基礎とした研究成果から、授業実践の背後にある心象、価値観、信念や習慣化された行動様式、およびそれらの相互関連の構造を明確にした上で、ペダゴジー・コレクトネスの構築を検討し、よりよい社会の顕在化のためのペダゴジーの働き・役割と文化的基底(cultural foundation of pedagogy)を解明した。
①宗教、言語、教育制度、学校文化の異なる様々な国を研究対象としたことで、トランスカルチャルな問題を明らかにできる。②実証的な検証を基礎にした比較開発研究、特に国際比較授業分析にある。③教えるということは「何であるか・何であるべきか」を国際的なディスコースと日本的なディスコースを結びつけることができる。
具体的に、国境を越えてトランスナショナル・ラーニングの解明に向かう基礎を築くところに、本研究の意義はある(ローカル知とグローバル知が結びつく)。例えば、アクティブ・ラーニングの学校文化の創造や知識の活用は、日本において焦眉な教育課題であるが、これは形を変えて他国にも存在している。 -
授業内の教師の動きを手がかりとした教師経験と成長に関する研究
研究課題/研究課題番号:26350341 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
坂本 將暢
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
教師の黒板前の動きには、3つの特徴があることが明らかになった。1つ目は、まったく動かない状態である。これは、初期の模擬授業で見られる。子どものところまで行って、どのようなノートを書いているか、教科書のどのページを開いているかなどの様子を観察することなく、教卓を中心に授業をする状態である。2つ目は、黒板の左から右へ動くものである。動きはだいたい直線的である。黒板の右端まで行くと左端に戻り、消しながら新たに板書を始める。3つ目は、複雑に黒板前、ときには教室内を頻繁に動き回る状態である。教育実習に行くと、この状態になることが多く、教師が現場で成長していることが、新たな仮説として生まれた。
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教育専門職の授業洞察力の向上のための授業過程可視化技法の体系化
研究課題/研究課題番号:25282052 2013年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
柴田 好章
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
教育専門職の主要な力量である「授業洞察力」の向上に資するよう、授業過程の可視化技法を体系化することを目的として、(1)授業洞察力の構造の明確化、(2)既存の授業分析手法の改良と可視化手法の新規開発、(3)授業過程の可視化技法のシステム化、(4)授業過程の洞察(気付き、価値付け、説明)における可視化技法の効果の検証、(5)授業洞察力への転移の効果の検証に取り組んだ。
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大学生の職業的資質形成の構造変容に関する比較縦断的研究―専門学修と就労経験の役割
研究課題/研究課題番号:25285229 2013年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
寺田 盛紀
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
日米独韓の大学生の職業的資質(職業基礎力と職業観)の形成に関して、2013年と2015年の2時点(初年次と3年次)の縦断分析を比較分析を行った。
一部の因子尺度を除き、職業基礎力はどの国の学生の場合も向上するのに対して、職業観はむしろ後退する。国比較では、ドイツの学生の語学力、技術力、アメリカの学生の仕事マネジメント力が他より高く、日本の学生はほぼすべての尺度で低くなっている。教育的要因との関連では、ドイツやアメリカの学生の学修努力、ボランティア活動経験が目立つのに対して、日本の学生はアルバイト中心の生活になっている。インターンシップに関しては、経験率との関係で効果が確認できなかった。 -
教師・教員志望の学生・研究者による共同的な授業分析に関する研究
研究課題/研究課題番号:23501182 2011年 - 2013年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
坂本 將暢
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
教師の分析視点の特徴は、教師の発問の仕方、子どもの特徴的な発言、授業全体の雰囲気だった。教師の指示や確認の回数を数え、それが多すぎるのではないかという結論を出したり、教師が主導的に授業をしている部分が生活指導をしている部分であることを明らかにしたりした。授業改善を目指した視点で授業分析に臨んでいることが明らかになった。
教員志望の学生の分析視点の特徴は、机間指導、教師の教え方、授業展開のパターンだった。極所に注目するというより、授業全体に視点が向いている。分析方法は、複数の分析方法を組み合わせて授業分析に取り組んでいることが明らかになった。 -
高校生の職業観形成に関する比較教育文化的研究-日本と5か国における育て方-
研究課題/研究課題番号:21330176 2009年 - 2011年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
寺田 盛紀
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は、日本と5か国(アメリカ、ドイツ、中国、韓国、インドネシア)の高校生の職業観の構造とその変化を究明し、その形成に果たす各種の教育作用とそれらの配置構造における文化的差異について、ヒヤリング調査とアンケート調査を通して明らかにしようとした。その結果、抽出され、尺度化された職業観の因子(「自己実現志向」「社会志向」「経済志向」「リーダー志向」)に関して、概して、ドイツ、日本、ついで韓国など少子化社会に直面する国の生徒のそれらが目立って低く、それに対してインドネシア、中国など途上国の生徒のそれらは高くなっていること、またその中でアメリカだけがやや異質であり、「リーダー志向」などで突出して高かった。また、どこの国も普通系の生徒の場合、第1因子や第2因子で高く、逆に職業系の生徒の場合、第3因子や第4因子で高かった。これらの傾向は、各国の教育活動や社会、家庭の文化、教育的諸関係が作用していることがいくつかの点で確認できた。とくに、家庭での仕事体験、職業高校での専門教育、校外での就業体験、普通教科での学習も若干の国、学校において積極的に寄与していたことも明らかになった。
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研究課題/研究課題番号:21700810 2009年 - 2010年
科学研究費補助金 若手研究(B)
坂本 將暢
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3120000円 ( 直接経費:2400000円 、 間接経費:720000円 )
本研究の目的は、これまで申請者が開発してきた紙版の授業分析ワークシートをソフトウェアで実装することである。紙版の授業分析ワークシートの操作性は、タブレットPCによって実現する。具体的には、1)紙版授業分析ワークシートのインターフェースと機能を備えた、電子版授業分析ワークシート(ソフトウェア)を開発し、これを授業分析に適用して、紙版授業分析ワークシートとの操作性、共有性、分析データの蓄積/参照等の利便性、分析への有効性などの相違を明らかにすること、2)開発したソフトウェアの評価のためにワークショップを実施し、ログ分析と、利用した研究者や教師や学生へのインタビュー調査によって、ソフトウェアの意義を明らかにすること、3)教員研修やスクールリーダー対象の授業研究ワークショップで活用すること、である。