科研費 - 横溝 大
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研究課題/研究課題番号:23H00772 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
浅野 有紀, 横溝 大, 藤谷 武史, 原田 大樹, 小塚 荘一郎, 角崎 洋平
担当区分:研究分担者
本研究は、技術革新や社会の複雑化に伴い、保険を取り巻く環境が大きく変化しているという事実認識に基づき、社会的相互扶助の仕組みの一つとしての私的保険が、今や限界に直面しつつある国家的な社会保障制度の代替手段あるいは補助手段として、いかなる可能性を有するかを、法分野横断的に考察しようとするものである。
まずは、保険を取り巻く環境変化に関する各法分野からの分析と、福祉国家の変容と保険のあり方に関する法理論及びガバナンスの観点からの分析を、同時並行的に進める(第1フェーズ)。その上で、両者の研究成果を総合し、今後の適切な保険のあり方と国家法・非国家法による対応について検討する(第2フェーズ)。 -
イノベーションガバナンスにおける法理論の再構築-消費者・競争・情報政策の交錯
研究課題/研究課題番号:22H00801 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
丸山 絵美子, 大屋 雄裕, 横溝 大, 石井 夏生利, 松田 貴文, 中川 丈久, 得津 晶, 滝澤 紗矢子, 西内 康人, 吉政 知広
担当区分:研究分担者
技術変革社会の検討課題である(1)ダークパターン・ターゲティングなどの行動操縦(データ活用型誘導デザイン)、(2)取引条件の個別化、自動的価格談合などの取引条件自動化(データ活用型取引条件の設定)、(3)このような現象を促進する主体の登場に着目し、消費者政策・競争政策・情報政策の交錯において、①規制の「目的・理念」(政策課題)の重複・抵触の調整方法を検討し、②規制の「手法」としての自主・共同規制の理論的分析と実効性確保への対応策を提言し、さらに、③規制の「基盤かつ技術」を提供する私法の役割を検証する研究を行う。
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デジタルプラットフォーム取引の越境性に対応した規整枠組の構築
研究課題/研究課題番号:21H04383 2021年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
横溝 大, 竹内 真理, 渕 圭吾, 内記 香子, 川島 富士雄, 原田 大樹, 渕 麻依子, 増田 史子, 松中 学, 成瀬 剛, 加藤 紫帆
担当区分:研究代表者
配分額:35100000円 ( 直接経費:27000000円 、 間接経費:8100000円 )
本研究は、デジタルプラットフォーム取引の越境性に我が国が適切に対応するための国家規制、紛争解決、及び国際協力のあり方を示すことを目的とする。具体的には、①国家法間の調整の観点から、関連法規の国際的適用範囲を明らかにすると共に外国法規との抵触を調整するためのルールを探求し、国境を越えるデジタルプラットフォーム取引紛争に関する実効的救済手段を模索し、さらに、国境を越える執行に関する協力体制のあり方を提言する。その際、②グローバル・ガバナンスの観点から、国際機関や民間団体等における様々な規範形成や我が国への影響にも留意し、理論的にも整合性があり実務的にも実効性がある包括的な規整枠組の設計を目指す。
研究初年度に当たる本年度は、Aグループ(国家法間の調整の観点からのアプローチ)を中心に、各メンバーによる相互報告により、問題意識の共有を図ると共に、有識者との意見交換により情報収集を行った。
前者については、グローバル・デジタルプラットフォームガバナンス研究会(GDPG研究会)を立ち上げ、7月、10月、1月に各3時間、オンラインで開催し、毎回3名、合計9名のメンバーが夫々研究課題に関する報告を行った。また、後者については、千葉恵美子教授(大阪大学)とプラットフォームビジネス公開研究会を共同で月1回のペースで開催し、有識者の報告に基づき議論した。これらの作業を通じて、各法分野において、とりわけ国家管轄権理論についての理解、及び、デジタルプラットフォームをどのような性質のものと理解しているかという点に相違があることが確認された。
また、本年度は、今後の共同研究発展のための組織作りも行った。すなわち、技術補佐員を雇用して事務局を立ち上げると共に、本研究についてのウェブサイトを作成し、今後の情報発信のための基盤を作った(https://gdpg.law.nagoya-u.ac.jp/)。
尚、研究成果の一部は既に初年度から各メンバーにより公表されている。その中でも、本研究の問題意識を示した横溝「抵触法の観点からのデジタルプラットフォーム研究-その課題と学際的研究の必要性について」法律時報93巻12号、及び、Japanese Yearbook of International Law 64巻(2021)の特集Cross-border Aspects of Conducting Business Activities Through Digital Platformsにおける原田・渕・横溝の論稿をここでは挙げておく。
研究計画においては2024年度に予定されていた英文での成果物公表につき、本年度既に3本の英語論文を公表することが出来た。この点で、当初の計画以上に進展していると評価出来る。
2022年度は、中間成果につき意見交換を行うことを予定している。
具体的には、9月に行われる国際法学会研究大会において、A②グループ(「国境を越えるデジタルプラットフォーム紛争」)が中心となり、分科会「デジタルプラットフォームの自律性と国家法秩序」において報告を行い、フィードバックを得る。
他方、本年度、各法分野において、とりわけ国家管轄権理論についての理解、及び、デジタルプラットフォームをどのような性質のものと理解しているかという点に相違があることが確認されたことを踏まえ、2022年度は、この2つの問題についてメンバー間で集中的に議論を行う。具体的には、6月のGDPG研究会で竹内・松中両教授に問題提起となる報告をして頂き、それを踏まえて2つのグループで研究を進めて行く。その上で、年度末に共同執筆又はメンバーによる単独執筆という形で、夫々の問題について研究成果を公表することを予定している。 -
多極化時代グローバル私法の新地平:私法統一の弾性化と国内受容における偏差の研究
研究課題/研究課題番号:20H00051 2020年4月 - 2025年3月
曽野 裕夫
担当区分:研究分担者
国によって法が異なることの不都合を克服すべく19世紀に西欧で始まった私法統一活動は、20世紀には地球規模の企てとなったが、今日では、その重心は「法の統一」から「法の平準化」「法の現代化」へと遷移し、「統一」は断念され、受容国による「偏差」が許容されるものとなっている。
私法統一が前提とした「自由主義経済」に対する対抗軸である「国家資本主義」の勃興や、「先端技術」による「法」の駆逐などの、さまざまな「多極化」現象はさらに「法の統一」を後退させる。
本研究は、このような「多極化」の時代における私法統一の国内受容における「偏差」の現状・要因を分析し、その許容度についての指針の獲得を目的とする。 -
アメリカ第4次対外関係法リステイトメントの多角的研究
研究課題/研究課題番号:20H01424 2020年4月 - 2024年3月
長田 真里
担当区分:研究分担者
本研究は、アメリカ合衆国で2018年に公表された第4次対外関係法リステイトメントを対象として,管轄権概念,外国判決承認その他国際的な裁判手続に関わる問題につき,アメリカにおける理論的発展及び実務の展開について多角的に研究を行い,もって日本における同分野の種々の問題につき,理論や実務の将来的展望を検討するための示唆を得ることを最終的な目的とするものである。
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グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析
研究課題/研究課題番号:19H00568 2019年4月 - 2024年3月
原田 大樹
担当区分:研究分担者
本研究は,①国家法からの自律性を有すると考えられるグローバル法秩序とローカル法秩序の現状を実証分析した上で,当該法秩序における個人の権利・自由保障と共同性・強制のモメントとを均衡させる法理論を模索すること,②国家法秩序を含む様々な法秩序が,ある法関係で同時に作動した場合に,それらに含まれる法規範の効力がどのように調整されるのか,具体的事例の実証分析を踏まえて理論的に解明することを目的とする。このことを通じて,Brexitや保護主義的傾向などの近時のグローバル化に対抗する原理を法理論的に分析し,国家法の制御能力の低下に対応しうる新たな規範体系・規範秩序・規制手法の提示を目指す。
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消費者信用法制の新段階の検証―法規制の態様・存在形式・内容の総合的検討の試み―
研究課題/研究課題番号:18H00808 2018年4月 - 2022年3月
丸山 絵美子
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、消費者法の立法・解釈の現状が抱えていると思われる問題について、今後の立法論・解釈論に寄与するために、基礎理論・総論レベルでの幾つかの整理を行い、消費者信用法制を中心に、法規範の設計・法解釈のあり方を実践してみるというものである。本年度は研究会による討論と、研究代表者・分担者による学術雑誌への研究成果の公表を開始した。役割分担として、問題意識の整理と行動経済学の知見の活用について丸山・西内でまとめたうえ、大屋雄裕(消費者法はどのような利益を守る制度なのかを論じる)、吉政知広(消費者法のルール形成のあり方、Rule vs Standard論や規範形成の主体といった観点から検討)、松田貴文(消費者保護法制の政策化について米国における議論を参考に論じる)、西内康人(消費貸借法制について行動経済学の知見に基づく立法論・解釈論の実践を示す)、牧佐智代(英国のペイデーローン規制を取り上げ、立法にあたっての経済学的視点の重要性を示す)、得津晶(企業行動の態様の解明を試み消費者取引規制への示唆の導出を目指す)、丸山絵美子(消費者信用規整と消費者取引規整を対比し多層的規整構造の現状分析と今後の方向性を検討する)、横溝大(消費者信用に関する国境を越えた規整・その特色を明らかにし、国家法秩序への影響と課題を考察する)、高橋祐介(消費者法制と税制の相互影響の基本メカニズムを検討する)による検討を予定し、連載を開始した。大屋、吉政論文が年度内に公表され、すでに反響を得ている状況にある。
2年目の段階であるが、すでに研究成果の公表を学術雑誌(法律時報)において開始することができた。研究成果物を意見をいただきたい専門家に送付することによって着実な反響も得ている状況である。
コロナウィルスの影響によって国際交流は中止となり、しばらくは専門家が参集して会議開催を行うことも困難な状況に至っている。通信環境を整備のうえ、研究会の開催を継続する予定である。また、学術雑誌への成果公表をきっかけに、法と経済学会でのでのシンポジウム開催のオファーをいただき、準備を進めているが、この点も、学会開催ができるかは予断を許さない状況であるものの、研究は推進していく予定である。 -
複数国間の共通的知的財産制度及び関連法制度の研究
研究課題/研究課題番号:17H00963 2017年4月 - 2022年3月
鈴木 將文
担当区分:研究分担者
研究期間の3年目に入り、研究を一層深化させるとともに、国内外の研究会、学会等で研究成果の発信を行った。具体的には、次のとおりである。
(1)米国、ドイツ、英国、スイス等の研究者と実施した特許権侵害に対する救済措置に関する国際共同研究の成果をケンブリッジ大学出版から書籍("Patent Remedies and Complex Products: Toward a Global Consensus")として公刊した(オープンアクセスも可能な形で提供している。)。(2)特許制度の研究のためには、同様の保護対象を持つ営業秘密制度についても研究を行う必要があるとの認識から、営業秘密の国際的保護に関する研究を進めた。その成果を欧州の国際会議において、欧米の研究者と共通論題に関するパネルを組んで、パネリストとして報告を行ったのか、名古屋大学での国際会議等でも発表した(なお、2020年3月に、欧米の研究者も招いて国内で研究会を開催することを企画していたが、これは新型コロナウイルス感染症問題により中止した。)。(3)特許権の国際的保護に関し、実体法的側面と手続法的側面(国際私法の視点)の両方について研究を進め、成果を国際会議で発表した。経済学の観点からの研究としては、グレースピリオドに焦点を当てた研究を行い、国際会議で報告した。(4)標準必須特許を巡る問題につき、国内学会(法と経済学会)で報告するとともに外国研究者との共著書を出版した。(5)特許制度について考察する基礎として情報・データの法的保護に関する研究も行い、論文と研究会での研究報告を通じて成果を発表した。
多数の国際会議での報告と、複数の書籍及び論文の発表を行い、また新たな研究者とのネットワークの拡大も実現できた。
2020年度は最終年度の2021年度に向けて研究のとりまとめに着手する。2019年度も、個別テーマの探求が主たる活動となったことから、2020年度は特許制度全体に関する体系的な検討を進めることとする。 -
トランスナショナル・ローの法理論―多元的法とガバナンス
研究課題/研究課題番号:16H03539 2016年4月 - 2020年3月
浅野 有紀
担当区分:研究分担者
研究第3年度に当たる本年度の中心的活動は、法哲学会において行われた統一テーマ報告「法多元主義ーグローバル化の中の法」における報告であった(11月、東京大学)。同シンポジウムでは、研究代表者である浅野及び研究分担者である長谷川・原田・松尾が、本研究課題での成果を踏まえた報告を行い、会場との意見交換を通じて多くのフィードバックを得た。
また、研究代表者である浅野は、本研究課題における研究成果を単著『法多元主義 交錯する国家法と非国家法』としてまとめ、公刊した(11月)。
さらに、実証研究については、組織規範動態WGにおいては、民事法領域におけるソフトローに関する先行研究の分析を成果として公表すると共に、ソフトロー分析のための枠組に関する研究を進め、成果として公表した。
最後に、TNLに関し多角的な検討を続けるため、国内の研究者を定期的に研究会に招聘し、意見交換を行う活動も継続した。本年度は、今年度から研究分担者に加わった加藤紫帆氏による「国境を越えた文化財の不正取引に対する抵触法的対応」、また、加藤陽氏 (近畿大学法学部)による「国連法とEU法の相克―ラディカル多元主義の理論構造とその実践的意義―」(以上6月)、稲田龍樹氏(元学習院大学教授・弁護士)による「昭和民法(家族法)と協議」というテーマでの報告を基に議論した。
これらの活動を通じて、本研究課題についての研究は、大きく進展したということが出来る。
研究代表者である浅野が、本研究課題に関する成果を書籍『法多元主義 交錯する国家法と非国家法』としてまとめ、公刊することが出来たため。同書の公刊は、当初の計画以上の成果である。
今年度も、関連文献を随時物品費で購入し精査することを継続する。前年度の法哲学会での法多元主義に関するシンポジウムでの報告・意見交換を踏まえ、法哲学年報に理論面での最終成果を公表する。具体的には、研究代表者の浅野の他、研究分担者である松尾・原田・長谷川が執筆する。
また、昨年度までの方法論的検討を踏まえ、実証WG(松中を中心とした国際金融WGと清水を中心とした企業動態WG)において具体的テーマについて一定の成果を示す。京都・名古屋・札幌等において国内旅費を用いて打ち合わせ・研究会を開催しつつ、下記ワークショップを踏まえて公表する。
さらに、今年度も国内旅費を用いて法多元主義に精通する国内研究者を年1・2回招聘し、意見交換を継続する(場所は京都を予定している)。最後に、外国旅費を用いてTNLの中心的研究者を招聘して国際ワークショップを2月後半日本で開催し、理論面だけではなく実証面での研究成果を示した上でフィードバックを得ることとする。 -
政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築
研究課題/研究課題番号:16H03543 2016年4月 - 2020年3月
原田 大樹
担当区分:研究分担者
かつて,一国の単位で処理可能であった社会問題の解決が国境を越えるようになり,法規範の定立とその実現や紛争解決が国家の枠を越えて展開することがもはや珍しくなくなっている。このような政策実現過程のグローバル化は,国家の自律的な法規範定立・政策形成に影響を与えるのみならず,法執行や裁判といった,従来であれば国家しかその担い手を観念できなかった局面にまで拡張してきている。
そこで本研究では,法学のさまざまな分野にまたがるこれまでの分析の成果を踏まえ,グローバル化をめぐる法解釈論上の問題を幅広く「調整」の問題と捉え,これを法規範間の効力調整とフォーラム間の判断調整に分けて検討した。
グローバル化をめぐる憲法・行政法学からのアプローチは,従来,グローバルなレベルで政策決定が実質的になされ,国内の議会が決める余地が極めて少ないという規範定立局面に関心が集中してきていた。
しかし,本研究の成果が示すように,規範の個別的な適用や実現の局面である法執行や具体的な紛争解決の局面でも,グローバル化の影響が強まっている。例えば,国際租税法における租税情報の交換や租税債務の執行共助,あるいは国際投資仲裁の場を通じた国内行政手段の適法性審査が,現実的な法解釈の課題として日本法に突きつけられていることを明らかにした。 -
ASEAN経済共同体構築による加盟国法へのインパクト
研究課題/研究課題番号:16H01981 2016年4月 - 2019年3月
小畑 郁
担当区分:研究分担者
ASEANは、共同体設立宣言にもかかわらず、その機関自身の域内統治統制力は依然として弱く、むしろ域内から域外に広がるネットワークのハブとみる方が実態にあっている。その下で、加盟国法は、市場統合により自律的な調和に向い、ASEANは、それを助けるように、頻繁に開かれる会議を軸として、独自のものというより国際スタンダードの導入を促進している。
加盟国政治において構造化している権威主義的要素を回避するために、この地域に影響を及ぼしているアクターの政策は、機能主義的色彩を色濃く有している。しかし、今日の過剰な市場化に鑑みると、どのように立憲的価値を導入していくか、を課題として意識する必要がある。
EUでは、域内の経済協力の高度化は、EU法が法の統一をもたらし、これを基盤として価値の共有を前提とする憲法秩序の構築に向かった。これに対して、ASEANでは、域内の法の調和は、ネットワークのなかでの国際基準の推奨という形で進んでいる。このように、本研究は、地域的な国際経済協力のダイナミクスについて、EUとは異なる、しかし機能している論理を発見した。
したがって、ここでは、機能する市場経済を確立し、地域の人々の福祉を実現するためには、はるかに複雑な戦略をとる必要がある。さしあたり、価値を性急に振りかざすことを慎み、過剰な市場化がもたらす具体的な問題に対して協力していくことが有効であろう。 -
相続代替制度の国際的側面に関する抵触法的検討
研究課題/研究課題番号:16H03548 2016年4月 - 2019年3月
横溝 大
担当区分:研究代表者
配分額:11180000円 ( 直接経費:8600000円 、 間接経費:2580000円 )
本研究は、各国において多様化する、個人の死亡時における相続以外の財産移転方法(「相続代替制度」)について、民法・抵触法(国際私法)・租税法の観点から検討したものである。
民法の観点からは、フランス法と対比しつつ、日本における相続代替制度の態様と制約について検討した。また、抵触法の観点からは、特別規則の必要性について、また、信託について検討した。さらに、租税法上は、当事者自治と税制の中立性の観点から取扱いを考察した。
本研究は、今後益々その利用可能性が問題となって来るであろう相続代替制度やestate planningについて生じ得る抵触法上の問題を正面から考察した我が国最初の本格的研究であり、その理論的・実務的意義は大きい。学術上は、この問題に関する民法・抵触法・租税法上の議論の呼び水になると共に、社会的には、現行法の下で何処まで相続代替制度が利用可能で何処から利用出来ないかを明確にした点に意義がある。 -
消費者取引に伴うリテール決済サービス法制の構築
研究課題/研究課題番号:15H01927 2015年4月 - 2020年3月
千葉 恵美子
担当区分:研究分担者
銀行口座を利用した電子決済・カード決済等、リテール決済サービスを法的に分析し、これまで消費者法と決済法に分断されてきたキャッシュレス決済に関する法制度を横断的・包括的に規律するための立法政策のあり方を検討した。
本研究の成果は、第1に、EU法とアジア法の動向を着目して,日本の決済サービスを巡る法政策の在り方と方向性を示した点にある。第2に、カード決済システムに関する産業組織論からの経済分析の研究成果をもとに、リテール決済サービスがいずれもプラットフォームビジネスであることを解析し、キャッシュレス決済に関する法制度を横断的・包括的に規律する視座を明らかにした点にある。
キャッシュレス化が急速に進展し、様々な主体・多様な方法によって提供されるリテール決済サービスについて、銀行口座を介した決済とカード決済、電子マネー決済、コード決済・収納代等の各種のペイメントサービスが、共に、決済プラットフォームを介して債権債務関係を消滅させる点で共通性があることを解明し、これらのサービスを包括的横断的に法規制する際の具体的な方策を提言した点に、本研究の学術的・社会的意義がある。 -
租税法規範の国際的な抵触とその調整
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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グローバル化に対応した公法・私法共同の理論構築-消費者法・社会保障領域を中心に
2012年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
藤谷武史
担当区分:研究分担者
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グローバル化における「私法」の変容
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
浅野有紀
担当区分:研究分担者
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抵触法における公法・私法への融合の対応-新たな抵触法モデルの構築に向けて
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)・21730042
横溝 大
担当区分:研究代表者
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各国の新たな身分法制と国際私法-国際私法方法論の観点から
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
林貴美
担当区分:研究分担者
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外国国家行為の我が国における効果―接触法の全体的構造に関する考察
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 若手研究(B),課題番号:18730028
横溝 大
担当区分:研究代表者
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国際会社法の総合的研究
2005年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 特定領域研究
早川吉尚
担当区分:研究分担者