科研費 - 秋間 広
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超音波パワードプラ法による運動時の筋内血流の時空間的評価:高齢者と若齢者の比較
研究課題/研究課題番号:22K19728 2022年6月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
秋間 広, 片山 敬章, 狩野 豊, 石黒憲子, 小池 晃彦
担当区分:研究代表者
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
加齢による骨格筋の量,質,機能の低下に関する知見は注目されてきたが,これらの低下が骨格筋の血流(筋内血流)にまで影響を及ぼす可能性があることはあまり知られていない.本研究では超音波パワードプラ法による筋内血流を時空間的に評価し高齢者と若齢者で比較する.高齢者と若齢者それぞれ60名が膝伸展による等尺性随意最大筋力の50%の負荷で5秒間の筋収縮を5秒間の休息を挟みながら実施する.外側広筋・中間広筋のパワードプラを連続的に動画記録し,筋内血流が増加した部分を描出し,その面積を『筋内血流』として評価する.この測定から高齢者,運動不足の若齢者,あるいはアスリート等の幅広い人々への応用が期待される.
これまで血流の測定はPositron Emission Tomography (PET)等の非侵襲的な方法,あるいは超音波ドプラー法のような大きな血管を流れる血流を測定する手法が主に行われてきた.しかしながら,これらの研究手法の問題点としては,被曝が伴う場合がある,あるいは大きな血管を流れる血流量動態しか明らかになっていない.すなわち,筋内のどの血管にどのくらい血流が流れているのかが不明である.先に挙げたPETを用いれば血流の測定は可能であるが,被曝による侵襲が免れないのが大きな問題点であった.そこで我々は非侵襲的な超音波パワードプラ法を用いて,運動時の骨格筋内の血流動体について検討した.
等尺性最大随意膝伸展筋力の50%強度で5秒収縮ー5秒弛緩の等尺性最大随意膝伸展運動を開始し,疲労困憊まで運動を継続した.運動中には外側広筋より超音波パワードドプラ法による筋内血流を,また近赤外分光法を用いて外側広筋における筋内の脱酸素化のデータを取得した.その結果,運動を開始して100秒までは直線的に筋内血流が増加し,その後,定常に達した.また,近赤外分光法による脱酸素化については筋内血流とミラーイメージの変化動態であった.その他には,超音波パワードドプラ法により得られた筋内血流には,血流の流れの速い部分と遅い部分があることをカラースケールの色を基準にして定量的に確かめることができる.それらの色の違いを元にして血流の流れの速い部分,中程度の部分,遅い部分の色をそれぞれ分離し,分析した.その結果,血管を横断面で見た際,血流の流れの速い部分の面積が最も少なく,次に中程度の流れの速度の部分,そして最も流れの遅い部分の面積が最も大きかった.つまり,血管内では最も流れの遅い部分が多くを占めていることが明らかとなった.
当初は筋内血流を測定する機器を業者に依頼していたが,それが完成し,徐々に実験を進めているところである.データも揃いつつあり,数日前に最初に行った実験結果を英文雑誌に投稿中である.
いくつかの実験を行ったため,その分析についても継続中である.これらのデータを元に論文を出来るだけ早く完成させ,投稿していく予定である.また,今後は別の観点からの実験についても構想があり,その実験についても進めていくよていである. -
超音波画像における“骨格筋の質”:エコー減衰補正法の開発と筋スティフネスへの影響
研究課題/研究課題番号:21H03341 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
秋間 広, 安藤 良介, 片寄 正樹, 石黒憲子, 吉子 彰人, 谷口 圭吾
担当区分:研究代表者
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
本研究はヒトの”筋肉の質”について評価し,筋機能や筋肉の硬さなどとの関係について検討します.筋肉の質は超音波断層装置,磁気共鳴映像法あるいは磁気共鳴分光法を用いて,評価し筋肉内部の脂肪や結合組織が多い場合は筋の質が低いと判断します.特に超音波断層装置の弱点としては,深い部分にある筋肉の質を評価する際には,超音波エコーの減衰が生じます.したがって,皮膚表面の近くにある筋肉の白黒度合いと深い部分にある筋肉の白黒度合いを直接比較することはできません.そのため,深い部分にある筋肉のエコーの減衰を数式を用いて補正します.さらにこの数式の補正が妥当であるのか否かを屍体の筋肉を使って直接調べます.
本年度においては,主に2つの研究を行った.一つ目は骨格筋に対して超音波断層装置により超音波画像を取得する際に生じるエコー強度の減衰に関するものである.エコー強度は筋の質を表す指標の一つであり,多くの研究で用いられてきている.しかしながら,深層部にある骨格筋を対象にエコー強度を算出する研究などがあり,そのような研究環境では著しいエコー強度の減衰が生じることが知られている.それにも関わらず,エコー強度の補正などをすることなく論文で発表されている研究が散見される.本研究ではヒト屍体を用いて,筋エコーの減衰を直接評価することを目的に,昨年度より実験を行なってきた.当該年度では計15肢の屍体・大腿部でのエコー減衰状況を把握した.昨年度とあわせて,26肢のデータを得た.現在,分析中であるが,対象とする筋の表層部の組織が厚いほど,エコーの減衰が著しいことが示された.最終的にはエコー強度の補正式を算出することを目指している.
もう一つの研究では骨格筋の硬さには筋内に分布する脂肪(筋内脂肪)の影響があるのではないかとする仮説を検証する実験を行った.これについても分析中であり,データが出揃ってきている.安静時および筋力発揮時に超音波エラストグラフィを用いて主働筋の筋の硬さについて測定した.被検者は15名であった.また,MRIにより大腿部の横断像を撮影した.これらのデータから骨格筋の硬さが筋内脂肪によって説明できるのかについて検討する予定である.
当初予定していた実験が比較的順調に進んでいるため.
今後は超音波断層装置によるエコー強度および磁気共鳴映像法による脂肪組織量との関係性について,若齢者や高齢者を対象に検討していく予定である. -
超音波画像における“骨格筋の質”:エコー減衰補正法の開発と筋スティフネスへの影響
研究課題/研究課題番号:23K21612 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
秋間 広, 安藤 良介, 片寄 正樹, 石黒憲子, 吉子 彰人, 谷口 圭吾
担当区分:研究代表者
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
超音波断層装置を用いて,ヒト骨格筋の特性を調べることができる.例えば,非常にトレーニングされている人の超音波画像では骨格筋の色が濃く見え,全体が黒っぽく観察できる.一方,普段から運動等を行わない人の骨格筋には白っぽい部分が霜降り状に分布しているのが確認できる.これらの見た目での違いを超音波画像では定性的に評価できるため,ヒト骨格筋の質を評価できる考えられており,世界中の関連研究者がこの手法を用いて研究を行っている.本研究ではこの特性を利用して,ヒト骨格筋の特徴について調べることを目的として研究を進めるものである.
本研究ではヒト骨格筋の質について評価し,筋の質というのはどのような特性があるのかについて調べることを目的とした.特に今年度は超音波断層装置を用いて,ヒト骨格筋の横断画像を撮影して,筋エコー強度が筋厚と筋断面積とどのような関係にあるのかについて検討することを目的とした.
成人男性40名(年齢:21.6 ± 1.2歳,身長:172.6 ± 6.2 cm,体重:64.3 ± 9.5 kg,BMI:21.5 ± 2.7 kg/m2)が実験に参加した.身長,体重,年齢等の身体特性,超音波断層装置により大腿中央部の横断画像を撮影し,大腿直筋,中間広筋,外側広筋におけるエコー強度,筋厚および筋断面積を計測した.また,膝関節角度90度における等尺性最大膝伸展筋力の測定を行った.40名の参加者を大腿直筋のエコー強度を基準にして,高エコー強度群と低エコー強度群の2群に分類し,エコー強度の違いが他のパラメータに及ぼす関係性について検討した.その結果,高エコー強度群においては,中間広筋エコー強度と中間広筋筋断面積と有意な正の相関関係が認められ (r = 0.615, P < 0.01),また中間広筋エコー強度と中間広筋筋厚と有意な正の相関関係が認められた (r = 0.699, P < 0.01).一方,低エコー強度群においては,大腿直筋エコー強度と大腿直筋筋断面積(r = 0.615, P < 0.01)との間に,また外側広筋エコー強度と外側広筋筋厚との間に有意な正の相関関係が認められた (r = 0.599, P < 0.01).さらに,大腿直筋エコー強度と大腿直筋筋厚(r = 0.615, P < 0.01)との間および外側広筋エコー強度と外側広筋筋厚との間に有意な正の相関関係が認められた (r = 0.563, P < 0.01).以上の結果からエコー強度の違いは筋によって異なることが示され,エコー強度が筋力発揮に対して何らかの影響を及ぼしているのか,あるいは神経性の因子等に影響されているのか,あるいはその両者の影響なのか明らかにできることを望む.
当初予定していた研究を着実にすすめられており,また,研究成果も少しずつ蓄積されつつあるため.
今回得られた研究では筋エコー強度の高い群と低い群に2群に分け,その両群において筋力発揮とどのような関係にあるのかについて検討した.今後については,研究で得られた成果を国内や海外の学会で発表していくこと,およびその成果を学術論文として発表していくことが必要であると考えている. -
研究課題/研究課題番号:17H02142 2017年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
秋間 広
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本研究では上腕三頭筋の筋の形が筋収縮パターンや筋活動に及ぼす影響について検討することを目的とした.13名の若年男女が肘関節角度60,90,120度において,随意肘伸展力(MVC)の50%,75%の強度で等尺性筋力発揮を行った.その結果,安静時と比較して肘関節角度60度と90度で上腕三頭筋・長頭の筋束長の有意な短縮が見られた.次に,上腕三頭筋の神経筋活動について検討した.その結果,上腕三頭筋の3筋の筋活動は力発揮とともに直線的に増加した.以上の結果から,ヒト上腕三頭筋では筋収縮に伴って著しい筋形状や筋活動変化が見られなく,これは抗重力筋である大腿四頭筋の結果とは大きく異なることが示された.
本研究では肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)の力発揮時の筋肉の形と筋活動について検討した.その結果,上腕三頭筋を構成する3つの筋肉間での力発揮時の形の変化と筋活動パターンには劇的な変化は見られなかった.これは我々がこれまで対象としてきた抗重力筋である大腿四頭筋とは異なった.この違いは上腕三頭筋と大腿四頭筋の体における役割の違いや発揮できる力の大きさの違いなどに起因していると考えている.上腕三頭筋は車椅子における最大の動力源となる筋肉でこの筋肉の特性を調べることは大変に意義あるものだと考えている.したがって,本研究は身体的に障害を持つ方々においても重要な示唆を与えるものであると考えている. -
唾液中の炎症マーカーから子どもの腰痛を予測できるか?
研究課題/研究課題番号:16K13068 2016年4月 - 2019年3月
秋間 広
担当区分:研究代表者
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
青年期スポーツ競技者における腰痛者の割合と腰痛の詳細を調査し, 座位姿勢や腰部・側腹部の筋厚, 筋エコー強度および炎症マーカを測定した.腰痛群は, 中等度の痛みを有した.慢性的な痛みを訴える者は少なく, 将来的に腰痛を再発するリスクが少ないことが明らかとなった.胸椎角度,腰椎角度においては腰痛群と非腰痛群で有意な差は認められなかった.体幹筋筋厚および筋エコー強度においても両群間で有意な差は認められなかった.以上の結果から, 本研究における腰痛群は罹患期間が12週間以内の非慢性的な腰痛が多く, 姿勢, 筋の量的および質的な変化が生じなかったことが示唆された.
青年期スポーツ競技者における腰痛者の割合と腰痛の詳細を調査し, 座位姿勢,腰部・側腹部の筋肉の量と質および炎症の程度を測定した.本研究の腰痛群は, 中等度の痛みを持っていたが,それは慢性的な痛みとは言えず, 将来的に腰痛を再発するリスクも少ないことが示された.座位時の姿勢においては,腰痛群と非腰痛群で違いは認められなかった.体幹筋の量と質においても両群間で違いは認められなかった.以上の結果から, 本研究における腰痛群は非慢性的な腰痛が多く, 姿勢, 筋の量的および質的な変化が生じなかったことが示唆された. -
大腿部深層筋である中間広筋を含む大腿四頭筋機能の総合的な解明
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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ヒト骨格筋に分布する筋内脂肪を超音波エコーを用いて非侵襲的に定量化する試み
2011年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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超短期間の筋力トレーニングが神経筋機能に及ぼす影響
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,研究課題番号:18650187
秋間 広
担当区分:研究代表者
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身体不活動及び運動トレーニングが身体機能に及ぼす宇宙医学的研究
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:17300207
秋間 広
担当区分:研究代表者
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萎縮筋の機能的・形態的回復過程の検討
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 若手研究(B),課題番号:15700414
秋間 広
担当区分:研究代表者
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神経筋電気刺激:磁気共鳴機能画像を用いた刺激部位の可視化システムの開発
2001年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 奨励研究(A),研究課題番号:13780015
秋間 広