科研費 - 門脇 誠二
-
サピエンス数理先史学 ー新人拡散にともなう文化進化モデリング
研究課題/研究課題番号:24H00001 2024年4月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 特別推進研究
西秋 良宏, 門脇 誠二, 野林 厚志, 若野 友一郎, 田村 亨, 田村 光平
担当区分:研究分担者
人類は約700万年前の生誕以来、複数の集団が共存しつつ進化してきたにもかかわらず、現在はただ一種、私たちホモ・サピエンス(新人)しか生存していない。その状態がうまれたのはアフリカで30~20万年前に生まれた新人が5~4万年前にユーラシアへの広範な拡散をはたして以降である。その背景には新人と他の人類らとの認知能力差があったとの説は根強いが、交替の具体的経緯には未知の部分が多い。本研究は、拡散の起点となった西アジア一帯の実測データと、その後の展開にかかわる定量データを数理科学的に解析することによって、その説明を試みる。これによって、数理先史学という新たな学術領域を推進する。
-
C-14測定の限界性能を追求する、過去5万年から3万年にかけての新しい年代基準
研究課題/研究課題番号:24K00153 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
大森 貴之, 山田 圭太郎, 中川 毅, 門脇 誠二, 長屋 憲慶
担当区分:研究分担者
放射性炭素(14C)を用いて過去5万年から3万年前までを精密に年代測定するには、古い時代に特化した加速器質量分析(AMS)技術と、測定結果を年代値へ正確に読みかえるための「換算表」(較正曲線)が必要となる。
本研究は、14Cを感度よくはかる技術を追求し、国際基準に採用された福井県水月湖の年縞堆積物における14Cデータを倍増させ、年代測定の精確さを抜本的に改善する新しい基準の確立を目指す。
本研究で確立される「換算表」は、西アジアの旧石器編年研究へ応用して効用を評価し、得られた高精度なデータは、新しい基準として国際的な年代測定コミュニティにも提供する。 -
コンクリーション化を応用した史跡・文化遺産等劣化抑制・修復技術開発研究
研究課題/研究課題番号:23K17275 2023年6月 - 2029年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
吉田 英一, 門脇 誠二, 南 雅代
担当区分:研究分担者
名古屋大学博物館では,これまで国内外の研究機関と共同で国内史跡の石材調査,軍艦島などの古いコンクリート分析の他,海外(ヨルダンなど)での古代遺跡の発掘調査を行なってきている.これらのこれまでの調査から,石材や古いコンクリートの劣化は酸性雨などによる炭酸カルシウムの溶出が主たる原因であり,また海外の石材や煉瓦は炭酸カルシウムが豊富に含まれているものが多く,乾燥地域でも長期間におけるこれらの溶出が劣化・崩壊の主な原因であることが分かってきた.本音件研究では,コンクリーション化剤によってこれらの影響を上記研究計画によって固定化させ劣化を抑制する手法を開発する.
-
ヒツジとヤギの牧畜史における自然交配の可能性に関するタンパク質考古学的実証研究
研究課題/研究課題番号:22K00986 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
中沢 隆, 門脇 誠二, 佐伯 和彦
担当区分:研究分担者
人類の食糧獲得手段が狩猟・採集から牧畜や農業に移行した時期と地域には諸説あるが、今から約1万年前の西アジアとされている。ヤギとヒツジの家畜化から本格的な牧畜までの過程は、ヤギとヒツジの個体数や分布状況の変化から辿るのが一般的であるが,本研究ではヤギとヒツジの交雑種の出現頻度に注目する。ヤギとヒツジの家畜化初期においては自然交雑の頻度が比較的高く、繁殖管理に必要な畜産技術の発達によって交雑種の出現頻度が極端に低下したと考えられるからである。
本研究はコラーゲンの質量分析に基づく交雑種の同定法を用いるが、この方法は他の交雑種の同定にも拡張可能であり、動物考古学に新たな研究方法と視点とを提供する。 -
資源利用行動から探る新人社会の基盤形成史:レヴァント地方乾燥域の考古科学研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:20H00026 2020年4月 - 2025年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
門脇 誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:44330000円 ( 直接経費:34100000円 、 間接経費:10230000円 )
レヴァント地方では、ホモ・サピエンス(新人)の拡散や農耕牧畜の発生など新人社会の基盤形成に大きく寄与した歴史事象が早くから進行したが、当地は乾燥気候が卓越し人類の生存にとって最適な環境とはいえない。
本研究は、限られた資源の有効利用が新人社会の基盤形成を支えた根本要因だったのではないかという仮説を掲げ、新人が旧人と共存していた約7万年前から農耕牧畜が発生し始めた約1万年前までを対象に、レヴァント乾燥域における人類の資源利用行動を明らかにする。
水資源と石器石材の分布を、考古学・文化人類学・地理学・地球科学の方法により記録・分析し、遺跡の分布や石器石材の産地同定、石材の利用効率などの分析を行う。 -
コーカサス地方における初期家畜の由来と飼育行動を探る考古科学研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:17H04534 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
門脇 誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:12350000円 ( 直接経費:9500000円 、 間接経費:2850000円 )
本研究は、コーカサス地方へ農業が普及した歴史プロセスの一端を明らかにするために、新石器時代の初期家畜の由来と飼育行動に関する分析を行った。家畜の由来に関しては古代ミトコンドリアDNAの系統解析を行い、初期家畜ヤギが外来である可能性を示した。家畜の飼育行動に関しては、酸素・炭素安定同位体分析を行い、家畜ヤギやヒツジ、ウシの一部が高地と低地のあいだを季節的に移牧していた可能性を示した。また、農村内の空間利用に関する分析を行った結果、農民でも時代と地域によって空間利用が多様であることが明らかになり、それは居住形態や習慣に関わると考えられる。
現代の食料生産を支える農業の発生と普及は、人類史における社会経済上の画期であり、考古学・歴史学上の大きな研究テーマである。その中でも主要な穀物(ムギやマメ類)や家畜(ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ)の栽培家畜化が発生した地域が西アジアであり、世界各国の研究者が西アジアにおける農耕の発生と拡散に関する研究を行っている。本研究は、肥沃な三日月地帯で発生した西アジア型農業が、周辺のコーカサス地域へ普及した過程の解明に、古代DNAや同位体分析、タンパク質分析といった複数の理化学的手法を取り入れたのが特色である。国際的な研究テーマを学際的方法によって実施し、日本の人文科学の国際化と学際化の推進を目指した。 -
パレオアジア文化史学の国際活動支援 国際共著
研究課題/研究課題番号:16K21721 2016年6月 - 2022年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)
西秋 良宏
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
本研究の目的は、広大なアジア諸国において領域メンバーが展開する国際的な研究活動を効率的に支援し、パレオアジア文化史学の推進に貢献することにある。本年度は、計画研究各班が実施する野外調査を支援したほか、総括班と共同で国内における国際会議を開催、さらには国外においても複数の領域の特別セッションを主催するなどもおこなった。おもな実績は次のとおりである。
(1)日本人海外学術情報の集積と発信。領域内研究者が実施しているアジア関連現地調査情報を収集、整理し、ホームページにてそれらを発信した。
(2)国際的共同研究体制の推進。領域各分野で総計海外約10数機関に所属する研究者との共同研究を進めた。ウズベキスタン、アゼルバイジャン、パキスタンなどへは研究者を派遣し、計画研究の野外調査を支援した。
(3)研究者コミュニティへの発信。領域の成果のビジビリティを高め、新たな現地共同研究を開拓するため、関係する海外機関、研究者全36ヶ国、約400件を搭載するデータベースを作成した。
(4)研究者の相互交流。若手研究者をドイツに2ヶ月派遣し、有機質遺物の同位体分析の分析手法についての共同研究を実施させた。その成果は領域で収集した遺物分析に活用される。
(5)ロシア、オーストラリアなどの海外研究者を招聘した国際会議を主催した。また、マベトナムで開催されたインド太平洋考古学会議、およびマレーシアで開催された世界狩猟民会議において領域のセッションを主催した。
理由
国際連携研究の基盤形成は整っており、実質的な共同研究、成果発表、領域主催の国際会議を複数開催するなどの段階にいたっているため。
研究成果、実施状況の国際発信は随時、メイル、ホームページなどでおこなってきたが、初年度の計画研究各班の報告書がでそろう4月以降、海外連絡網を用いてさらに発信を続ける。 -
ホモ・サピエンスのアジア定着期における行動様式の解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:16H06409 2016年6月 - 2022年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)
門脇 誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:113620000円 ( 直接経費:87400000円 、 間接経費:26220000円 )
【遺跡調査】 ヨルダン、モンゴル、インドネシア、北海道における遺跡調査を予定通りに行い、研究課題に直接関わるオリジナルの考古記録の収集を行うことができた。ヨルダンとモンゴルに共通して採取されたInitial Upper Paleolithicの記録は、ヨルダンではホモ・サピエンスの定着(旧人の絶滅)、モンゴルでは拡散初期に相当する貴重なものである。インドネシアでも3万年前近くに遡る記録が得られた。今年度も調査現場において異分野連携を推進し、B01班の文化人類学者がヨルダンの遺跡調査に参加した。
【海外研究】 連携研究者2名が海外研究を行い資料調査や試料分析を行った。中国黒竜江省ハルビン市と大慶市大慶博物館の訪問では、後期更新世後半から最終氷期最盛期(LGM)にかけての動物骨標本を観察した。また国際活動支援予算により、ドイツ、テュービンゲン大学の地球科学分野の研究室において遺跡出土動物遺存体の同位体分析を行った。
【試料分析】 遺跡調査で得られた標本は、班内外の研究者との連携を通して分析が進められた。公募研究として進められているタンパク質分析による動物種の同定は、1万年前よりも新しい標本(新石器時代)については安定した結果が蓄積したため、今年度は3万年前に遡る標本(上部旧石器時代)の分析を開始した。
【成果発信】 ホモ・サピエンスの拡散と定着プロセスに直接関わる考古記録の1つであるInitial Upper Paleolithicの特集号(Archaeological Research in Asia)が分担者の出穂雅実を主体として編集された。また、2018年12月に京都で国際研究会を開催した。
【若手育成】 遺跡調査やシンポジウムへの大学院生の参加、および資料分析を通した学士・修士・博士研究の指導を行った。
海外調査の実施は現地の状況にも左右されるが、今年度も予定通りに遺跡調査を継続し、アジアに新人が拡散・定着した時期の考古記録の蓄積を行うことができた。また今年度は、連携研究者2名も海外(中国とドイツ)において資料調査および分析を行ったのが新たな進展である。それにより、遺跡調査から得られた標本の分析および解釈を促進する成果が得られた。
新学術領域研究において鍵となる異分野連携についても進展することができた。遺跡調査においては、ヨルダンの調査にB01班の文化人類学者が参加した。考古民族学的調査を行うことによって、旧石器時代の居住民の水利用や鳥罠猟に関する知見が得られた。
文化変容に関するモデル化についても、数理モデルの検討を進め、12月の国際研究大会において海外研究者からの意見を仰ぐと共に、モデル改善をめざした議論を行うことができた。
成果発表においても、国際学術誌や国際学会での公表を引き続き行うことができた。そして、これらの成果をまとめた年次報告書の冊子を、新学術領域の出版シリーズ(PaleoAsia Project Series)の一部として今年度も刊行した。
今年度は領域全体の中間評価があり、これまでの進捗状況について総括的な報告を行ったが、その評価はAであった。
以上の点から、研究活動から成果発信まで順調に進展していると思われる。
【遺跡情報の収集】
2016年度から継続しているヨルダン、モンゴル、インドネシア、北海道における調査を今年度も実施する。これまで収集した資料の分析の結果に基づき、確認すべき点や新たな問題点を明確にした上で調査にのぞみ、効率的・戦略的な調査を行う。文献探査についても継続する。その活用としては、遺跡調査によって得られたオリジナル資料の比較対象として用い、論文や学会発表の際に利用する。
【考古記録の解析と成果発表】
これまでと同様に、遺跡調査と文献探査で収集する記録から、(1)道具製作(石器と骨器)、(2)資源利用(陸生・水生資源)、(3)居住・移動(遺跡の立地や分布など)、(4)社会関係(墓・炉・象徴品)の行動に関わるデータを扱い、アジア各地における行動変遷パタンを明らかにする。 これらの行動を復元するための分析はプロジェクト内外の研究者と共同で進める。特に今年度は、第7回研究大会において連携シンポジウム「新人文化の形成過程における石器技術とそのモデル化」を予定しており、特に道具製作行動の変遷パタンをアジア広域で比較すると共に、それを新人拡散と旧人消滅の人口動態と関連づけるモデル化を進める。これまで、アジア各地の遺跡調査を通して採取した考古資料の分析を通して、行動様式の推定や年代測定、古環境との対応などについて研究を進めてきたが、ある程度成果がまとまってきたので、今年度は論文や学会などでの成果発表をより進める。また、これまでと同様、今年度の活動成果をまとめた報告書を作成する。
【成果発表など】
これまでと同様、領域全体の研究大会(年2回)に参加するほか、班会議を開いて収集情報の共有化と研究進行の打ち合わせを随時行う。また、今年度は国際第四紀学連合(於:アイルランド)において、幾つかの成果発表を予定している。博士研究員の雇用や本研究課題の研究を通した若手教育・学生指導も継続する。 -
西アジア北端の農耕起源をさぐる:穀物加工と貯蔵の考古資料の通時的分析 国際共著
研究課題/研究課題番号:26770265 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
門脇誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
-
河原で宝石と歴史を見つけよう!
研究課題/研究課題番号:HT25113 2013年4月 - 2014年3月
日本学術振興会 ひらめき☆ときめきサイエンス
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
-
河原の石で包丁をつくろう!石器づくりから学ぶ文化と自然
研究課題/研究課題番号:HT24102 2012年4月 - 2013年3月
日本学術振興会 ひらめき☆ときめきサイエンス
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
-
縄文文化の北方フロンティア―北海道東部地域―の環境変化と縄文人の生業戦略
研究課題/研究課題番号:23320169 2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
新美倫子
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
-
西アジア先史農耕社会の考古学:社会史構築へ向けての比較研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:23720382 2011年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
門脇誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
-
ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:22101002 2010年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
-
西アジア初期農耕村落の日常活動:技術と空間利用の社会生態学的研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:08J00005 2008年4月 - 2009年9月
科学研究費補助金 特別研究員奨励費
門脇 誠二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6000000円 ( 直接経費:6000000円 )