科研費 - 金田 英宏
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「あかり」近赤外線分光データで探る多環芳香族炭化水素(PAH)の真のスペクトル特性
研究課題/研究課題番号:24K07094 2024年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大薮 進喜, 金田 英宏, 山村 一誠
担当区分:研究分担者
銀河系の星間空間に存在する多環芳香族炭化水素(PAH)の特性を理解することは、宇宙の物質の成り立ちや進化を知る上で非常に重要である。しかし、これまでの研究で調べられてきたPAHのスペクトル特性は、その放射の効率のために星形成周辺のPAH放射、すなわち星形成の強い放射場の影響を受けたPAHのスペクトルの観測であった。そこで、星形成の影響が少ない星間物質本来のPAHのスペクトル特性を「あかり」赤外線衛星の近赤外線分光観測のデータアーカイブから得られないかと考えたのが本研究である。
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接合型Ge検出器の2次元構造展開で切り拓く超高感度な中間-遠赤外線センサーの実現
研究課題/研究課題番号:23K25919 2023年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 仁研, 中岡 俊裕, 金田 英宏, 和田 武彦
担当区分:研究分担者
生命誕生に至る過程の解明において、宇宙史における物質の多様化に対する「銀河の働き」の理解が必須である。そのため、銀河の局所領域毎の物理診断が要る。しかし、診断に必要な中間-遠赤外線分光マッピング観測が実現に至っていない。その主な理由の一つは、波長30-200um帯に超高感度かつ大規模アレイフォーマットを有するゲルマニウム(Ge)赤外線センサーの実用化が進んでいないためである。我々は直面する様々な課題を着実に突破し、最後の難攻不落であった高感度化の課題を接合型Ge検出器の2次元構造展開によって打ち破った。全ての課題を克服した今、これらの成果を集約・発展させることで前述の赤外線センサーを実現する。
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接合型Ge検出器の2次元構造展開で切り拓く超高感度な中間-遠赤外線センサーの実現
研究課題/研究課題番号:23H01223 2023年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 仁研, 中岡 俊裕, 金田 英宏, 和田 武彦
担当区分:研究分担者
生命誕生に至る過程の解明において、宇宙史における物質の多様化に対する「銀河の働き」の理解が必須である。そのため、銀河の局所領域毎の物理診断が要る。しかし、診断に必要な中間-遠赤外線分光マッピング観測が実現に至っていない。その主な理由の一つは、波長30-200um帯に超高感度かつ大規模アレイフォーマットを有するゲルマニウム(Ge)赤外線センサーの実用化が進んでいないためである。我々は直面する様々な課題を着実に突破し、最後の難攻不落であった高感度化の課題を接合型Ge検出器の2次元構造展開によって打ち破った。全ての課題を克服した今、これらの成果を集約・発展させることで前述の赤外線センサーを実現する。
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研究課題/研究課題番号:23H05441 2023年4月 - 2028年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(S)
中川 貴雄, 中岡 俊裕, 松原 英雄, 平原 靖大, 金田 英宏, 和田 武彦, 鈴木 仁研
担当区分:研究分担者
惑星系の構成を決めると考えられているスノーラインの存在証明と位置特定を、スペースからの中間赤外線高分散分光観測で実現するために、本研究では(1)「技術開発」を行う。特に小型化に有効なイマージョン・グレーティング技術を開発する。
さらにイマージョン・グレーティングを用いて分光システムを試作し、(2) 地上望遠鏡を用いた原始惑星系円盤からのH2Oスペクトル線の「試験観測」を行う。これにより、スノーラインと関係の深い高温H2Oガスを観測することで、理論モデルの妥当性を検証する。
将来のスペースからのスノーラインの直接観測実現を目指して、「技術開発」と「科学的な試験観測」の両面から研究を進める。 -
原始惑星系円盤におけるスノーライン探査を目指す中間赤外線高分散分光技術開発
研究課題/研究課題番号:23H00134 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
中川 貴雄, 中岡 俊裕, 松原 英雄, 平原 靖大, 金田 英宏, 和田 武彦
担当区分:研究分担者
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日印共同気球観測を軸とする遠赤外線天文学による星形成研究の推進
研究課題/研究課題番号:21KK0053 2021年10月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
金田 英宏, 大薮 進喜, 楠根 貴成
担当区分:研究代表者
配分額:18980000円 ( 直接経費:14600000円 、 間接経費:4380000円 )
本研究は、日本とインドの国際共同気球観測を軸に、遠赤外線による星形成の研究を推進することを目的とする。具体的には、我々が所有する遠赤外線アレイ分光器と、インドが所有する口径1 mの気球望遠鏡システムを組み合わせ、インドのハイデラバード気球放球基地から大質量星形成領域の観測を実施する。遠赤外線[CII]放射を検出し、星間雲フィラメント・ハブ構造と大質量星形成との関連性を探る。4年間で代表的な大質量星形成領域を網羅的に観測する。また、気球観測と並行して現地滞在中に、将来の遠赤外線による星形成研究のために、インド宇宙研究機関ISRO主導の天文衛星による遠赤外線偏光撮像ミッションの概念検討を進める。
インド現地で望遠鏡と観測装置の噛み合わせ試験を始める予定であったが、新型コロナウイルス感染症でインドへの渡航不可であったため、気球フライトに使用する予定の検出器の極低温動作試験を繰り返し行った。とくに、ピクセルごとの絶対感度や波長感度特性の違いに着目し、これらが最適になるような検出器バイアスパラメータの調査を行った。また、極低温読み出し回路において、不確かな挙動が確認されたため、配線周りなどを見直して、観測装置の改修を進めた。
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並行して、気球高度での残留大気のスペクトルなどを評価して、実際の気球観測中に予想される性能の評価を詳細に行い、検出器に対する要求性能を導出した。さらに、観測データ解析ツールの開発、イメージ解析のためのプログラム製作なども進めた。加えて、まもなく渡航が可能になることを期待し、インドの共同研究者と議論のうえ、招へいの準備を進めた。
新型コロナウイルス感染症でインドへの渡航不可であったため。また、国内の実験準備についても、新型コロナウイルス感染症の影響で遅れている。
観測装置の準備のために、当面は電気インターフェースを国内でシミュレータを用いて確認し、望遠鏡との機械調整については、インドの共同研究者とオンラインベースで検討を始める。渡航可能になり次第、速やかに現地作業に進む予定である。気球観測が可能な11月~3月において、気球フライトを実施し、3-4天体の観測を目指す。観測天体の可視性を考慮して、観測計画を立案する。従来観測で[CII]マップが取得された天体を高詳細に観測するとともに、フィラメント・ハブ構造が卓越した星形成領域を観測リストに加える。科学データの解析は日印共同で実施する。なお、7月ごろにインドの共同研究者を日本へ招へいし、データ解析や今後の観測の進め方などについて議論を行う予定である。 -
研究課題/研究課題番号:21H01127 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
金田 英宏, 大薮 進喜, 和田 武彦
担当区分:研究代表者
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
世界初の宇宙遠赤外線干渉計を気球観測によって実現する。既存のFITE(Far-Infrared Interferometer Experiment)計画のリソースを引き継ぎ、姿勢制御や光学調整、アレイ検出器などの改良を行う。より一層にフィジビリティを高めるべく、干渉フリンジ検出機能を増強する。世界において、未だに遠赤外線干渉計による観測を成功させたグループは存在しない。ALMAやTMTなどの地上巨大望遠鏡に匹敵する空間分解能を、遠赤外線の波長域で得るには、1 km基線長の宇宙干渉計が必要である。本研究はその実現に向けたパスファインダーとして位置づけられる。
過去の気球干渉計実験では、観測現地での調整作業に時間がかかって、フライト機会を逃すという問題が発生していた。そこで、今年度は、フライト直前の現地調整を効率的に行えるように、既存の気球干渉計システムを用いて、干渉光学系の調整方式を確立し、そのための実証試験を行った。また、姿勢制御をより安定に行えるようなアルゴリズムの整備を進めた。
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実験環境の整備を行い、技術支援者を雇用して作業を進めた。具体的には、まず、基線長約5 mの干渉計の大型光学系を、望遠鏡構体の構造から決定される軸(仰角軸)に合わせて調整する方式を確立した。続いて、その軸に対して45度で交わるように、基線長を定義する平面鏡の角度を調整した。さらに、その軸と光学系の基本軸の直交点を精密に設け、その点を基準として1次平面鏡を左右均等に設置した。この調整方式の有効性を確認すべく、必要な調整機構を設計および製作を行い、実証試験を実施した。その結果、左右の平面鏡の角度、および、2つの軸の直交点の位置は、気球干渉計の観測に必要な精度を満足する小さな値になることが確認できた。また、左右の平面鏡の位置調整により、約5 mの基線長に対して光路差を十分高い精度で調整できることを示した。以上の光学調整方式の開発と並行して、2次平面鏡の5軸調整のための駆動機構の開発を始めた。この機構は次年度に完成させ、光学調整試験に組み込む予定である。
新型コロナ感染症の影響で、実験の実施が困難な時期があったため。また、実験施設の改修があり、そのために作業を中断せざるを得ない期間も生じた。
前年度に製造を開始した5軸調整機構を完成させ、2次平面鏡のマウント部に導入して、光学調整を実施する。軸外し放物面鏡を組み込み、干渉光学系全体として一通りの光学調整試験を行い、結果を評価する。なお、経年劣化により反射率が低下している鏡が存在するため、再蒸着・研磨を実施する予定である。また、整備されたアルゴリズムを用いて、3軸の姿勢制御試験を行い、従来性能からの改善を確認する。 -
低温光学計測の革新的な多様化をもたらす大口径熱遮断光学窓の実現
研究課題/研究課題番号:19K21883 2019年6月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
金田 英宏
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
近年は、さまざまな光学計測分野において、精密加工技術の進歩とともに、光学系の複雑化・高度化が進んでいる。その一方で、光学性能を極めるには、熱的に安定な光学評価システムの確立が強く求められる。宇宙赤外線観測では光学系を低温に冷やす必要があるが、安定冷却状態を保ちながら光学計測を行うことは至難の業である。一般に、低温シュラウドに穴を設け、真空チャンバーの外に置かれたレーザー干渉計の光を導入して測定するのだが、常温からの輻射入熱は必ず問題になる。本研究では、干渉計レーザー波長だけを選択的に透過し、UVから遠赤外線帯までの電磁波を遮断する大口径の低温光学窓の実現を目指し、技術アイデアの原理検証を行う。
低温真空チャンバーとレーザー干渉計を用いて、非球面鏡に対して低温光学面形状の測定を実施できるシステムを構築した。熱遮断入射光学窓を設計・製作し、低温での実用性を確認した。中心波長がHe-Neレーザー633 nmのバンドパスフィルターを検討した。それ以外の可視・赤外線波長帯の阻止能を上げ、より長い波長の遠赤外線での阻止能もできるだけ高くするために基板および金属膜の素材を選定した。試作した入射光学窓の透過率の波長依存性を測定して、要求仕様を満足することを確認した。並行して、CGH干渉計による非球面鏡の低温面形状測定のための光学アラインメント調整の技術開発を進めた。
近年は、天文観測のみならず、さまざまな光学計測分野において、広視野・高解像度が求められており、光学系の複雑化が進んでいる。その一方で、性能を向上させるためには、熱的に安定な光学系の実現が強く求められる。とくに宇宙赤外線観測では、装置からの熱放射による赤外線フォトンノイズを軽減するために極低温に冷やす必要がある。多彩な低温光学計測を可能にするためには、熱をできるだけ遮断した環境下での低温チャンバーによるレーザー干渉計測の実現が必要不可欠であり、本研究ではその原理実証を行った。 -
研究課題/研究課題番号:19K03927 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
石原 大助, 金田 英宏
担当区分:研究分担者
赤外線波長域には、珪酸塩・有機物・氷などの固体物質のスペクトルバンドが存在し、天体のスペクトル形状から物質の組成や温度やサイズが分かる。存在する物質の物理状態や形成条件からは、天体の現在と過去の物理状態が推定できる。ただし、分光データから複数の構成物質を正しく特定するには、また広がった淡いバンドを同定するには、観測データからスペクトル形状を精度良く決定する必要がある。これまで、空間分解能・波長分解能・感度を向上する開発に比べ、スペクトル精度を上げる開発は殆ど行われてこなかった。本研究では、衛星観測等の低背景環境における光分散型の分光器において、スペクトル形状の決定精度を改善する方法を開発する。
本研究では、光分散型の分光観測において、スペクトル形状の決定精度を改善する方法を開発する。
光分散型分光器 (分光素子で分散した光を多画素のアレイ検 出器で受けるタイプ) のデータを解析する際には、(a) 分散光イメージから暗電流や背景放射等のスカイを差し引き、(b) 装置の感度 (感度の波長依存性) を補正する。そのため、これら較正プロセスの精度が、スペクトル形状の決定精度に影響する。
とくに、衛星からの光赤外線観測などの、低背景放射環境では、(a) の内、暗電流の寄与が相対的に大きい。解析で (a) の、実験で (b) の、それぞれの精度向上を図り、実際の観測において、スペクトル形状を精度良く決定する方法確立に繋げる。
今年度も、昨年度に引き続き、赤外線天文衛星「あかり」で取得した分光データを用いて、主に (a) の分散光イメージからの暗電流の差し引き精度の向上に取り組んだ。
暗電流の差し引き精度が、スペクトル形状の不定性の主要因となる、「あかり」の冷媒枯渇後の、検出器の熱電流が卓越する環境で取得したデータを対象に、暗電流の温度依存性をピクセル毎に精度良く決め、光分散されたイメージデータから、暗電流を精確に差し引く方法を模索した。
暗電流の温度依存性のピクセル依存性を、ショットノイズレベル以下の精度で求め、観測データに適用することはできたが、スペクトルに乗る典型的な較正エラー起因の偽形状に、対象天体の明るさ依存性が見られることから、このデータに対して、(b) も総合的に改善する必要があることが分かった。
検出器の熱電流の見積り精度が、スペクトル形状決定精度に支配的に効いていると思われる、赤外線天文衛星「あかり」が冷媒枯渇後に取得した、近赤外線分光データを対象に、スペクトル形状精度改善の研究を進めていた。アレイ検出器における、各ピクセルの暗電流量の温度依存性を、温度の関数で精度良く記述することで、光を分散させたイメージ上の強度ムラの誤認識、すなわちスペクトルの偽形状成分を、劇的に軽減できる予定であったが、スペクトルの偽形状成分と見られる物に、温度依存性だけでなく対象天体の明るさ依存性も見られることが分かり、当初予定していたアプローチのみでは、不十分であることが分かった。
アレイ検出器における、各ピクセルの暗電流量の温度依存性を精度良く決め、
分光観測データから暗電流を精度良く差し引くだけで、スペクトル形状精度を改善できるデータもある。ただし、研究対象として利用している赤外線天文衛星「あかり」が冷媒枯渇後に取得した近赤外線分光データの較正には、他にも形状精度を悪化させる要素が残っているため、全てのデータで、前述の工夫の効果を定量的に評価できていない。
そこで、今年度は、他にも改善すべき較正上の課題を一つずつ対処してゆく、もしくは、当初予定していた工夫によって改善する成分を分離して定量評価する、の両面を試してゆく。 -
気球望遠鏡を用いた遠赤外[CII]輝線の広域マッピングによる大質量星形成の理解 国際共著
研究課題/研究課題番号:JP JSBP1 20197715 2019年10月 - 2022年9月
日本学術振興会 二国間交流事業共同研究
金田英宏
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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星形成フィラメントのダイナミクスを探る日印気球実験による遠赤外[CII]広域観測
研究課題/研究課題番号:18H01252 2018年4月 - 2021年3月
金田 英宏
担当区分:研究代表者
配分額:17030000円 ( 直接経費:13100000円 、 間接経費:3930000円 )
2018年度に発覚したアレイ検出器のリーク電流の技術課題について、現在の半導体アレイ設計の構造パラメータを見直し、再製作を行った。低温動作試験にて評価した結果、リーク電流の大幅な改善が確認された。この結果が観測データの性能にどのように影響するかを詳細に見積もり、問題がないとの結論を得た。その後、この検出器を現行の機器に改めてインストールし、分光器システムを再構築・再評価を実施したが、波長分解能が期待される性能を有していないことが発覚した。原因を調査した結果、ファブリペロー光学系の設計に問題があるとの結論に至り、関連する光学系部品の再設計・再製作を行った。
一方、従来[CII]ファブリペロー分光器による大質量星形成領域の観測データが大量に蓄積されつつある。2019年度はその解析ソフトを完成させた。現在、IDLベースから汎用性の高いPythonへ移行を進めている。そのための技術補佐員を雇用した。Herschel衛星による遠赤外線データ、および、「あかり」衛星による中間赤外線データと、本研究による[CII]気球観測データを組み合わせた解析手法を確立した。観測天体のなかで、まずはRCW36に関する成果をまとめて査読付きジャーナルに投稿した(現在、レフェリー対応中)。また、他の複数の天体についても、インド側の共同研究者との活発な議論を行い(2020年2月に名古屋大学で会合を開催)、成果をまとめるための具体的な方針の合意を得た。
なお、2019年4月にインド・ハイデラバードで気球実験を実施した。放球には成功したが、観測途中で分光器の駆動コイルが断線する不具合が発生した。そのため、分光器を日本へ送り返してコイルを新しく置き換え、光学系を再調整してインドに輸送した。2020年3月に気球観測を行う予定で準備を進めたが、コロナウイルスの影響で断念した。
ファブリペロー光学系の設計に問題があり、予定していた波長分解能が出せないという不具合が発生した。そのため、関連光学系の再設計・製作を行った。また、コロナウイルスのためにインドへ渡航することが不可能になり、予定していた気球実験が実施できなくなった。
整備を終えたファブリペロー分光器とアレイ検出器のシステムを再構築し、総合評価試験を速やかに実施する。低温真空実験を行い、電気系・光学系が正常に動作すること、感度・ノイズが観測要求を満足するレベルにあることを実証する。コロナウイルスの事態が改善し許可が出れば速やかにインドへ観測装置を輸送できるように準備する。現地での機械・光学・電気の噛み合わせを行い、 気球望遠鏡システムとして正常に動作することを、現地の技術者との共同作業で実証する。地上試験はできるだけ速やかに終わらせて、2020年度中の気球観測を目指す。
また、データ解析ソフトをアレイデータに対応させるべく、現行のものに汎用性を持たせる改良を行い、現地での観測中のQuick Lookにも使えるものにグレードアップする。まず、大質量星形成領域RCW36に関する論文を発表し、他の天体についても、インドとの協力により、速やかに成果をまとめ、論文の準備を進める。 -
南アフリカIRSFの可視―近赤外同時化によるSED測定の革新
研究課題/研究課題番号:15K05021 2015年4月 - 2018年3月
佐藤 修二
担当区分:その他
目標は、可視から近赤外にわたる7色同時測光/偏光装置のIRSF1.4m望遠鏡への導入であった。
そのためには、撮像部(検出器の大型化および読み出し部)の小型化が必須であった。この自力開発が頓挫して、小型の市販カメラQHYを代用とする迂回路を見いだした。これは未だ実現していない。また本研究の基礎となったTRIPOL(3色同時測光/偏光装置)の論文化も、較正データが不十分なため到達限界が不定で受理されていない。他方、TRIPOL搭載の機会を求めて、アジア諸国と連携を進め、望遠鏡の新たな光学系を探究した結果、木野解を見つけた。 -
ダストに隠された宇宙の物質進化を暴く 極低温SOI赤外線イメージングの開拓
研究課題/研究課題番号:25109005 2013年6月 - 2018年3月
新学術領域研究(研究領域提案型)
和田 武彦
担当区分:研究分担者
従来の極低温冷却高感度遠赤外線画像センサにあった、赤外光検知材料(Ge等)と読出集積回路材料(Si)との間の熱膨張差による破壊の問題を、光検知部をSiで支持したSi支持型光検知器と、Nano particle deposition (NpD) 金バンプにより克服できることを明らかにした。
表面活性常温接合を用いて作成したSi支持型Ge:Ga Blocked impurity band (BIB) 遠赤外線光検知器と、cryo-SOI CMOS極低温動作読集積回路を、NpD金バンプで組み合わせることで、世界最多の画素を持つ、32x32素子遠赤外線画像センサを作成した。
遠赤外線画像センサの開発により、塵による吸収の影響を受けにくく、星・惑星・銀河・ブラックホール等の天体の形成過程の解明に重要であった、遠赤外線天文観測を効率的に行えるようになる。本研究は、遠赤外線だけでなく、高感度が必要な冷却型の赤外線画像センサ一般に広く適用できるため、高速赤外線カメラやハイパースペクトルイメージングなど、安全・安心分野への応用も期待できる。現在、米国に依存している高感度赤外線画像センサを国内技術のみで開発できたため、輸出規制の問題を回避できるようになる。 -
Herschelとあかり衛星観測に基づく近傍銀河中のダスト変成の研究
2011年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究分担者
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次世代遠中間赤外線検出器の開発
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)(一般)・20244016
和田武彦
担当区分:研究分担者
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中間・遠赤外線衛星データを用いた近傍楕円銀河の星間ダストの研究
2007年4月 - 2009年9月
科学研究費補助金 若手研究(B)・19740114
金田英宏
担当区分:研究代表者
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ASTRO-F衛星による大マジェラン雲及び近傍銀河中の星間物質の循環・進化の研究
2006年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)(一般)
尾中敬
担当区分:研究分担者
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赤外線衛星データへの過渡応答補正技術の適用によるプラズマに埋もれた星間塵の研究
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 若手研究・17740123
金田英宏
担当区分:研究代表者
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宇宙観測用半導体Ge:Gaアレイ遠赤外線検出器の過渡応答メカニズムの全容解明
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)・15740123
金田英宏
担当区分:研究代表者