科研費 - 齊藤 誠
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日本の経済統制期における通貨発行を通じた財政ファイナンスの長期的影響について
2018年4月 - 2021年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
齊藤誠
担当区分:研究代表者
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行動規範としての非常時対応マニュアルに関する行動経済学的研究
2016年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 研究成果公開促進費 (研究成果公開発表)
齊藤誠
担当区分:研究代表者
本研究は,福島第一原発事故への対応を詳細に分析することによって,非常時対応におけるマニュアルの作成と活用に関して行動経済学的な考察を行っている。
非常時対応マニュアルの対象については「きわめて過酷な事態への対応」と「相応に過酷な事態への対応」を明確に区別し,後者については技術的にも実際的にも十分に対応可能であることから,事前にマニュアルを整備し,事後にその履行を徹底することが重要である。しかし,福島第一原発事故は「相応に深刻な事態」であったにもかかわらず,2つの事態の区別をあいまいにし両者を十把一絡げにして「想定外」としたことから,結果としてきわめて深刻な事態に陥ってしまった。 -
非常時における適切な対応を可能とする社会システムのあり方に関する社会科学的研究
2013年10月 - 2016年3月
科学研究費補助金 日本学術振興会・課題設定による先導的尋問学・社会科学研究推進事業
齊藤誠
担当区分:研究代表者
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ダウンサイジング環境における土地・住宅ストックの効率的再構築に関する研究
2012年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
齊藤誠
担当区分:研究代表者
本研究は,都市圏(首都圏と政令指定都市)に関するデジタル地理情報を積極的に活用することによって,人口動態,土地や住宅ストックの配分,地価・家賃形成の相互依存関係について精緻な実証分析を行ってきた。とりわけ,人口の高齢化と住宅の老朽化が同時に進行することが予想されている都市圏郊外部を対象として分析を行っている。
都市圏郊外部においては,都市縁辺部からの影響として少子高齢化の影響を受けて地価が低下する要因と,都市中心部からの影響として1970年代,80年代に建てた共同住宅の老朽化し周辺環境が悪化する要因が交錯して,2020年以降,地価が低下に転じ,土地用途や公共施設の再配置が要請される。 -
東日本大震災学術調査・マクロ経済班
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 日本学術振興会・東日本大震災学術調査
齊藤誠
担当区分:研究代表者
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高質の住宅ストックを生み出し支える社会システムの設計
2008年10月 - 2012年3月
科学研究費補助金 文部科学省近未来課題解決事業
齊藤誠
担当区分:研究代表者
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双方向の国際資金循環の決定メカニズムについて
2007年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(S)
齊藤誠
担当区分:研究代表者
本研究では,2国間で双方向の資金循環が生じるような状況を考察するとともに,国に固有のショックをシェアリングする効果を分析している。特に,相手国に対する債権と債務から成る両建ての対外ポートフォリオが持つ経済学的な効果を明らかにしている。また、個々の経済主体にとってカタストロフィックなリスクのシェアリングについては、国際間ばかりでなく、世代間や国内の経済主体間でのリスク配分についても理論的、実証的に分析を進める。
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自然災害リスクに対する危険回避行動と地価形成:理論と水害による実証
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
齊藤誠
担当区分:研究代表者
本研究プロジェクトは,自然災害リスクと不動産価格形成について3つの研究成果を生み出している。
第1に,研究代表者と研究分担者が継続的に行ってきた東京都下の地震リスクと地価,あるいは家賃の関係について実証的な分析を行ってきたものが,当該分野で重要な英文査読論文として採択された。Nakagawa, Saito, and Yamaga(2007,forthcoming in Japanese Economic Review)では,地震リスクの分だけ地価が割り引かれ,その程度は標準的な期待効用仮説と整合的であることを実証的に明らかにしている。また,Nakagawa et al.,(2007,Regional Science and Urban Economics)では,地震リスクと家賃の関係に関する実証研究に基づいて,地震に脆弱な地域の賃貸物件の耐震補強は物件所有者の費用便益の面からも純収益が生じることを示している。
第2に,水害リスクと地価形成の関係を実証的に分析するためのデータベースを構築したことである。具体的には,愛知県が公表している水害ハザードマップと県内で時系列的に記録されている公示地価、国勢調査の町丁目別データを用いて,自然災害リスクと地価形成の関係を検証するためのデータベースを作り上げている。(1)平成12年に東海豪雨水害によって,名古屋市の家計や企業が深刻な水害リスクを経験した,(2)東海豪雨水害を契機として,名古屋市は平成15年に水害ハザードマップを初めて公表し,市民に水害リスクの周知徹底を図った,(3)同時に,名古屋市は,新たな緊急雨水整備計画を策定し,東海豪雨水害を反映して地域ごとに異なったレベルの防災対策を実施することにコミットした,(4)水害リスクについては,民間保険市場が不十分であり,公的な保険制度も確立していない,といった事情を鑑みて当該データベースを今後の実証分析に活用していきたい。
第3に,研究代表者は,より一般的向けの媒体やジャーナリスティックな媒体を通じて第1や第2の実証分析の知見に基づいた政策提言を行ってきた。 -
資産価格決定理論に基づく状態価格分布の計測
1999年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
齊藤誠
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世代別消費行動の実証分析:一般均衡モデルと用いた新しいアプローチ
1998年4月 - 1999年3月
科学研究費補助金 奨励研究
齊藤誠
本プロジェクト「世代別消費行動の実証分析」は,以下の3つの目標を持っている。(1)世代間の所得分配を正確に計測する尺度を構築する。この尺度は経済成長の影響をコントロールし,純粋に世代間分配の部分を抽出するように工夫されている。(2)こうして構築された尺度を非常に入手が容易な年齢階層別消費データに適用する。(3)世代間所得分配の国際比較を行う。
このプロジェクトはほぼ終了し,さらに関連した研究テーマについて手法を応用している段階である。日本,米国,英国の3国の国際比較から得られた結果は,『日本経済研究』3 6 号および The Economics of Aging (forthcoming)に報告されている。英国に比べて日本と米国では,総消費のより大きなシェアが現存の高齢者世代に分配され,若い世代にはより少ないシェアしか分配されていない。
本研究に関連して世代間分配ばかりではなく,世代内分配について実証分析を行い,TheReview of Income and wealth 44 および『季刊社会保障研究』に報告されている。そこでは,所得分配のばらつきが大きい高齢者層のウェートが高齢化とともに高まり,その要因が経済全体の不平等度を引き上げていることを明らかにしている。このプロジェクトを通して日本の世代間分配や世代内分配に関する実証的な知見が深まった。 -
人口高齢化が資本蓄積に与える影響についての実証研究:資産市場が不完備なケース
1996年4月 - 1997年3月
科学研究費補助金 奨励研究
齊藤誠
担当区分:研究代表者
本奨励研究では,資産市場の不完備性が,資産価格,資源配分,所得分配,さらには資本蓄積にどのような経済学的な影響をもたらすのかを分析するための理論的なフレームワークを構築し,その理論モデルを実証的に検証することを試みてきた。特に,人口高齢化の影響を数量的に分析できるように工夫をほどこしている。
まず,理論的なフレームワークとしては,研究者が従来より進めてきた不完備市場下の資産価格決定モデルを発展させてきた。特に,保険市場が不完全なケースについて,分析をいっそう発展させることができた。これらの理論的な成果は,いくつかのinternational journalsで英語論文として発表される予定である。
一方,実証的な研究については,『家計調査』と『全国消費実態調査』の公表データに基づき,消費成長率を年齢効果,コ-ホ-ト効果,マクロ経済効果に分解した結果から,資産市場の不完備性が異時点間や世代間の資産源配分にどのような影響を与えているのかを数量的に解析している。こうした分析は,次年度以降も継続していく予定である。また,『全国消費実態調査』の個票データを用いた先行研究の実証結果を活用しながら,保険市場の不完全性によって世代内の資産分布がどのような影響を受けているのかを計量的に測定している。特に,年齢の上昇に伴って世代内の消費不平等度が高まること,人口高齢化によって消費不平等度の高い世代がそのシェアを高め,経済全体の不平等度も引き上げていることを明らかにしている。これらの実証結果は,大竹・斉藤『日本経済研究』に報告している。
次年度以降も世代内分配と世代間分配について実証研究を積み重ね,両者の側面を統一的に取り扱える理論モデルを構築しながら人口高齢化が経済に与える影響を総合的に評価する枠組みを提出したい。